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2012.11.01 マンション管理費見直しセンターのホームページを公開しました。

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収入減で「住宅ローン破産」も…コロナ禍で家を買う際の注意点とは?

新型コロナウイルスで多くの企業の業績が悪化し、それに伴う収入減少や失業で「住宅ローン破産」をする人が続出しています。以前から家を購入しようと考えていた人の中には、今回のコロナ禍をきっかけに購入を見直す人もいるようです。ただ、年齢が上がれば上がるほどローンの借り入れが難しくなるともいわれており、いつまでも決断を先延ばしにするわけにもいきません。新型コロナウイルスの終息の見込みがない中で家を買っても大丈夫なのでしょうか。

 

積極的な繰り上げ返済はNG

 

新型コロナウイルスの影響で休業や解雇となり、収入が大幅に減ってしまったという人も少なくないことでしょう。そんな中で人生の大きな買い物である家の購入をどうしたらよいのか考えてしまいますよね。特にファミリー世帯は持ち家志向が強いため、これから家を購入しようと検討している人も多いかもしれません。その場合、コロナ不況が長期化することを前提に考え、住宅ローンについての考え方を従来とは変える必要があります。

 

これまで、住宅を買うときの基本といえば、「物件価格の最低2割は頭金で入れる、返済期間はなるべく短く、積極的に繰り上げ返済を行う」というものでした。もちろん、ローンの金額は少なく、早めに返済できるに越したことはありませんが、短い期間で返済しようとすると、毎月負担する金額が重くなります。

 

例えば、4000万円の住宅ローンを金利1%で借り、35年返済するケースと25年返済するケースを比較すると、35年返済する場合の月々の返済額は11万2913円。25年返済する場合の月々の返済額は15万748円となり、毎月約4万円も違ってきます。

 

毎月の収支に余裕があれば、貯蓄する余裕も生まれるので、子どもに学費がかかる時期にも貯蓄で対応したり、今回のコロナ危機のようなことが起こって家計が厳しくなっても貯蓄で補填(ほてん)したりすることも可能です。貯蓄する余裕があれば、子どもの教育費の負担が減ってきたところで、貯蓄分を繰り上げ返済に回すこともできます。

 

企業が倒産するときは、資金繰りでつまずくケースがほとんど。確かに、ローン期間を長くすれば総返済額も膨らみますが、それでも「資金繰りができるかどうか」を重視しましょう。

 

借りられる金額=返せる金額ではない

 

先行き不透明な状況の中で家を購入する場合、資金計画を慎重に立てることは非常に重要です。大切なのは家計を圧迫しない返済プランを組むことです。よくありがちな失敗としては、毎月の住宅ローンの返済額が今の家賃と同額になるような住宅ローンを組んでしまうことです。「今の家賃と同額であれば問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それは間違いです。なぜなら、家を購入すると、月々のローンの返済のほかに管理費や修繕積立金、維持費がかかるからです。

 

マンションの場合には、管理費・修繕積立金が一般的に毎月2万円から3万円ほどかかります。一戸建ての場合には、マンションと違い、管理費・修繕積立金はかかりませんが、不動産はマンションの敷地権の評価よりも土地による評価部分が大きくなるため、その分だけ固定資産税などの負担が重くなる可能性があります。また、不具合が発生したときの修繕費もかかるため、この費用も見込んでおく必要があります。

 

一般的に、住居費用は手取り金額の25%以内に収めるのが理想といわれていますが、都心部の住宅の場合、価格が高いので、35%以内までは許容範囲とします。

 

例えば、手取り月収が35万円のご家庭が4000万円の物件を頭金200万円、金利1%で35年間借りた場合を見てみましょう。毎月のローンの返済額は約10万7000円。マンションの場合、管理費・修繕積立金が加わるので、2万5000円程度を加えると、毎月約13万2000円を支払うことに。先述のように、住居費用は管理費・修繕積立金も含めて考えるため、住居費用の家計に占める割合は38%程度となります。

 

ちなみに、管理費・修繕積立金を含めて考えない場合には、住居費用の家計に占める割合は30%程度となるため、3800万円までローンを借りられるように思ってしまいますが、その金額でローンを組むと住居費が家計を圧迫してしまいます。

 

ではそもそも、金融機関はどれくらいの金額のローンを貸してくれるのでしょうか。一般的に、金融機関が住宅ローンとして貸してくれる金額は「年収負担率(総返済負担率)」で35%まで(年収400万円以上の場合)。この年収負担率というのは、年間のローン返済の総額を税込み年収で割った金額のことです。ただし、実際には、年収負担率35%まで借りられるのですが、理想の住居費用とされている「手取り金額の35%以内」を目指すとなると、年収負担率は20%程度に抑えたいところです。

 

また、これからはボーナス返済が当てにならない時代です。ボーナス返済を組み込んだプランは危険なため、「月々の返済のみ」のプランにしましょう。

 

今回はざっくりとした試算ですから、実際に家を購入するとなった場合には、頭金や返済方法、返済期間、金利など、さまざまな側面からシミュレーションして、家以外の教育費や老後費用なども貯蓄できる余裕があるか、家計が破綻しないかなどを確認することが大切です。

 

「出口戦略」も考えて

 

現在のコロナ禍では、家に対する価値観も変化してきています。なぜなら、新型コロナの影響で、多くの企業でリモートワークを推進しており、通勤する回数が減っている人も少なくないからです。

 

家で仕事をするとなると、これまで、住宅選びの最重要ポイントとされていた都心部や駅へのアクセスのよさといった「通勤利便性」の優先順位が下がります。通勤する必要がない、もしくは減るのであれば、都心部の狭いマンションを購入するよりも、郊外や、駅から離れたエリアの一戸建てを購入した方が価格が安い上に面積も広く、お得度が高いため、最近、郊外の一戸建ての購入を検討している人が筆者の元に相談にくるケースが多くなりました。

 

金額面で見ても、都心部の物件と比べて購入金額が安いため、ローンの負担も抑えられます。新型コロナウイルスの終息が見えない中で高額な住宅ローンを組むと家計が破綻する可能性もあるため、手堅くローンを組むのはよいと思います。

 

ただし、注意が必要なのは、新型コロナウイルスが終息した場合、現在と同じ頻度でリモートワークが続けられるかということです。また、転職した場合にはリモートワークの可否は未知数ですし、子どもが独立したら、広い家ほどメンテナンスが大変になります。病気になった場合も都心部の方が病院に通いやすいでしょう。

 

長い人生の間にはさまざまな転機が訪れます。その際、人に家を「貸す」「売却する」といった選択をする可能性も大いにあります。賃貸契約が成立しやすく、高く売れる物件というと、都心部の資産価値の高い物件になる傾向は、これからもしばらく続くことが予想されます。ちなみに、一戸建ては築20年を超えると建物の価値がゼロになると査定される傾向があるため、どれだけ価格を下げても買い手がつかない駅から遠い物件では、不良債権化する可能性もあります。

 

実際に住んでみて気付くことも多いと思いますが、メリット・デメリットをよく吟味して選択する必要はあるでしょう。購入するときに「貸す」「売却する」ことは考えにくいですが、これらの可能性もあることも踏まえて、現在の状況だけにとらわれず、将来にわたる自分たちのライフプランもしっかりと考えて物件選びをすることが大切です。

 

今回はコロナ禍で家を買う場合の注意点について述べましたが、「そもそも、家を購入する必要があるのか」「一生賃貸なのか」も含めて検討することが大切です。金額的な面からいえば、持ち家も賃貸もかかる費用に大きな差はありません。まずは自分自身のライフプランをしっかり考えてみましょう。

 

ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3416bdc8de0fdf406cc717efb7e6954a86ff1ce7?page=1