こんにちは。マンションブロガーの、のらえもんです。“湾岸の妖精”である私は東京に緊急事態宣言が出されてから、外出が極端に少なくなった日々を過ごしていますが、皆さんどうお過ごしでしょうか? お仕事も基本的に在宅勤務に切り替わっていますが、先日出社したときには、あまりにも人がいない街にショックを受けました。5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたが、一刻も早く、街に人があふれる日常が戻ってくることを、切に願う毎日です。
コロナ禍で不動産が大暴落?
さて、結婚したとか子供ができたとかの理由で、東京でマンション探しをしていた若者にとっては、コロナ禍は大変ショッキングな出来事だと思います。 「緊急事態宣言の後、凍結した家探しはいつ再開すればいいの?」 「いや、今後コロナ自体が終わっても不動産価格がどんどん下落していくことはないのか? もうちょっと待ったほうがいいのでは…?」 そんな不安がつきまとうかと想像します。たしかに、不動産価格が暴落するのが確定しているのなら、家を購入するのは待ったほうが良いかもしれません。そのへん、どうなのでしょうか? 私は巷でうわさされる見方とは違った考え方をしています。
新築マンションはなかなか下がらない
中学校公民の授業で、「価格は需要と供給の交点で決まる」と習ったはずです。そう、需要曲線です。感覚的にぴったりだと思います。 需要が少なくなれば、価格は下落する……コロナで景気が悪くなれば、買う人はいなくなり、需要が消失する。そうなると価格が暴落する。そう多くの人が考えているし、一部週刊誌やネット記事を見てもそう書いてあって不安になりますよね。 しかし、現実の世界では教科書で書かれているような単純な需要曲線のみで価格は動きません。不動産という商品は、閉店までに半額にしてでも売らないといけないスーパーの総菜ではないのです。
不動産の価格はどう決まるのか? 売り手が困っていなければ、価格を落としませんし、赤字額で在庫処分……というのは聞こえがいいのですが、そういう商品はもともとの原価が非常に低く設定されています。 しかし、一般的に新築マンションの原価は75~80%前後であり、残り20%から広告宣伝費と販売管理費と利益が出るという世界なのです。 こうなると、売れ行きが悪くなってもなかなか値下げができない、ということがわかります。リーマンショックの時には20%、30%下がったマンションもあったじゃないですかって? あの時は販売主であるデベロッパー自体が存亡の危機にあり、投げ売りしてでも現金化しないと会社が破滅したからです。 今回は金融機能が正常であり、国もコロナ関連死をなるべく防ぐように金融機関に働きかけているので、カネ詰まりによる投げ売りは小さいデベロッパーならともかく、人気の大手になると起きそうにありません。
とはいえ、中古マンションは多少下がるかも
一方で、中古マンションは少し事情が異なります。中古マンションは取引事例法といって、同地域から似たような条件のお部屋の成約事例と比較して価格が決定されるからです。原価という概念はありません。 中古マンションの売主は個人で、多くの方は住宅ローンを抱えていらっしゃいます。そのため、心理的には住宅ローンの残債+諸費用を乗っけた以上の価格が売り出しのスタートラインとなります。取引が極端に多い東京湾岸エリアや武蔵小杉などは、ほぼデータが揃っていて取引相場が決まっています。 売主のみなさんはもちろん相場以上を狙っているのですが、売主の中でも事情を抱えた人たちがいます。相続だったり、離婚だったり、はたまたは事業で抱えた負債だったり。 こういった切羽詰まった事情があると、コロナによる不景気などで少しでも売れ行きが悪くなると、相場よりちょっと下で売ることになります。この取引が事例として掲載されて、次の取引の参考データとなるのです。 こうした売り急ぎデータが増えていきますと、相場が下落し始めます。もちろん、中古マンション取引が少ない地域でしたら、こうした相場固めを経ずに一気に価格が落ちる可能性もありますが、売る人も買う人も多い東京でしたら残念ながら、落ちるとしても徐々に、ということになります。といっても下げ幅は1年間で最大10%程度かと考えております。
それでは購入を待つべきなのか?