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20代で家を買うなら必ず知っておきたい「贈与税」究極の活用法

たとえ親子の間とはいえ、年間110万円超の贈与を行った場合には、贈与税の対象になる。贈与税は相続税と並んで、最高税率55%のわが国でも最も税率の高い税金。うかつに贈与するとたいへんなことになりかねない。

 

しかし、この贈与税には合法的な抜け道がある。

 現在は「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠」という特例が実施されていて、住宅を取得するために、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合、最大3000万円まで非課税になる。資金的余裕のある家庭なら、これを利用しない手はないだろう。

 

3110万円まで「税金ゼロ」

 この特例、実は15年に誕生したものだが、19年10月の消費税増税に対応して、19年4月から非課税枠が3000万円に拡充されている。

 消費税増税によって住宅市場が冷え込むのを防止するためで、図表1にあるように、消費税のかからない中古住宅を取得した人などが利用できる非課税枠は最大1200万円に対して、消費税10%で買った人は3000万円になっている。年間の基礎控除枠110万円と合わせて、3110万円まで非課税になるのだ。

 非課税枠がないと、3110万円の贈与を受けた場合、基礎控除110万円を除いた3000万円が課税対象で、税額は、

 3000万円×0.45(税率)-265万円(控除額)

 で1085万円の贈与税がかかってくる。3110万円貰っても、実際に住宅取得に充てられるお金は2025万円に減ってしまう。それが、3110万円丸ごと住宅取得に使えるのだから、おいしい話だ。

 

3000万円の非課税枠はいつまで?

 しかし、この非課税枠の拡充、あくまでも消費税増税に対応した臨時措置なので、3000万円の非課税枠は20年3月末の契約までに限られる。

 20年4月以降は、21年3月までが1500万円に、21年12月までが1200万円に縮小される予定なのだ。

 しかも、そこまでは決まっているが、その先がどうなるのかは未定。非課税枠を縮小して継続される可能性もあるが、廃止されてしまう可能性もないではない。

 3000万円フルで利用できる経済的余裕があるなら、非課税枠が大きい今のうちに実行するのが得策と言える。

 住宅取得の契約を3月末までに行っておけば、3000万円の非課税枠が利用でき、引き渡しや入居がその後になってもOKだ。

 ただし、この制度は一覧表にあるように、2021年12月末までの時限措置であり、そこまでに贈与を受けて、翌22年の3月15日までに入居する必要がある点は注意が必要だ。

 

20代住宅購入者の3割が利用

 では、この特例、どれくらいの人が利用しているのか――住宅流通経営協会の調査によると、図表2にあるように、全体では14.6%の人が利用している。年代によって大きな差があって、20歳代では29.7%と、3割近くの人が非課税枠を活用している。

 贈与額は、「500万円以下」が41.6%と最も多く、1000万円以下の合計で77.8%に達するが、「1000万円超~2000万円以下」が16.3%、「2000万円超~3000万円以下」が3.6%、「3000万円超」が2.4%と、多額の贈与を受けている人も決して少なくない。

 また、住宅生産団体連合会の注文住宅を建てた人たちを対象にした調査では、2018年度に贈与を受けて注文住宅を建てた人の受贈額の平均は1174万円という結果だった。

 地域による差が大きく、東京圏は1217万円で、大阪圏は1452万円、名古屋圏は1024万円となっていている。名古屋圏は東京圏や大阪圏よりこの非課税枠の利用率が高い反面、贈与額は少ないといった地域性がみられる。

 

住宅購入のチャンス!

 この制度は、子どもや孫の側からみれば、贈与を活用して住宅を取得する大きなチャンスにほかならない。

 事実、非課税枠を利用してマイホームを取得した人たちに、この制度の影響を聞いたところ、図表3のような効果があったとしている。

 最も多かったのは、「借入額を少なくできた」の66.7%で、次いで「住宅を購入することができた」「住宅の購入時期を早めた」などが続いている。

 この制度があったからこそ、住宅を買うことができた、あるいは購入時期を早めることができた、また借入額を減らしてローン負担を軽くできたとしているわけだ。

 そのほか、住宅をグレードアップしたり、より立地のよい住まいを手に入れたりすることなどにつながっている。

 

相続税の課税割合は8.3%に上昇

 贈与を受ける側にメリットがあるのと同時に、親や祖父母の側からすれば、この非課税枠は究極の相続税対策にもなる。

 周知のように、相続税は2015年から基礎控除が引き下げられて増税され、相続税負担は一段と重くなっている。相続税には基礎控除があって、14年までは相続1件当たり5000万円、相続人1人当たり1000万円の非課税枠があった。配偶者と子ども2人の合計3人で相続する場合、5000万円+1000万円×3の8000万円まで非課税になった。

 それが、15年以降は相続1件当たり3000万円+相続人1人当たり600万円に減額されている。やはり3人での相続になると、3000万円+600万円×3の4800万円になってしまう。

 国税庁のデータによると、この基礎控除の引き下げによって、それまでは相続税の課税対象になる割合は4.4%だったのが、2017年には全国平均で8.3%まで上がった。

 地価の高い東京都ではこれが16.2%に達する。山手線の内側に不動産を所有していれば、ごくふつうの持ち家に住んでいるだけで、相続税の対象になるといわれるほどだ。

何人に贈与してもかまわない

 この相続税対策として、アパート経営などが推奨されたが、アパートが増えすぎて空室が増加し、却って負担になってしまっているケースも少なくないといわれる。

 それに対して、この住宅取得等資金贈与の特例の非課税枠制度は、こうしたリスクの一切ない究極の相続税対策となる。

 子どもに生前贈与する方法としては、「相続時精算課税制度」もあり、最大3000万円まで非課税で贈与できるが、こちらは、将来相続が発生したときには、生前贈与した分も巻き戻して相続税評価額に加えられる。相続時に精算することが前提の制度であり、いってみれば、税金の先送り、繰り延べに過ぎない。

 それに対して、住宅取得等資金贈与の特例の非課税枠を利用して生前贈与した分は、将来的にも課税される心配はない。贈与しっぱなしですむわけで、まさに究極の相続税対策になるわけだ。

 しかも、この最大3000万円の非課税枠は、贈与を受ける側1人当たりの枠であり、何人に贈与してもかまわない。子どもが2人なら、それぞれ3000万円ずつ、合計6000万円でもOKで、子どもだけではなく、孫まで含めて5人、10人でも贈与できる。

 

最高の相続税対策

 たとえば、縁起でもない話だが、いま亡くなった場合、家などの不動産、預貯金などを合わせて1億円の相続税評価になるとすれば、配偶者と子ども2人の3人で相続する場合、「1億円-3000万円×3」の基礎控除を除いた5200万円が相続税評価額になる。シッカリ相続税の対象になってしまうのだ。

 しかし、2人の子どもに3000万円ずつ贈与しておけば、相続税評価額は4000万円に減って、基礎控除の範囲内におさまり、相続税課税対象外になる。つまり、相続税は1円もかからない。

 親としては、子どもたちが相続税負担に苦しむのを未然に防いで、安心して老後の生活を送ることができるし、子どもたちの側としても、予定より早くマイホームを取得できたり、ローン負担を減らしたりできるといったメリットがある。

 親にとっても、子どもにとってもハッピーな結果であり、文字通り最高の相続税対策といっていいのではないだろうか。

山下 和之( 住宅ジャーナリスト)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200221-00070494-gendaibiz-bus_all&p=1