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2012.11.01 マンション管理費見直しセンターのホームページを公開しました。

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マンション価格は予想外の一段高へ、東京五輪後も下がりそうにない理由

● 売れていないが高値維持の 意外な新築マンション事情

 マンション価格が暴落すると言う人は多い。「東京オリンピック後に下がる」「その前から下がり始める」などと言い始めたのは、2016年くらいからだった。あれからもう4年目を迎えるが、価格は下がるどころかむしろ上がっている。それだけではない。今後も高値を維持して、一段高になってもおかしくない条件が揃いつつあるのが現状だ。それらの条件は一つひとつが堅い理由に支えられている。知っておかないと、家計の収支は悪くなる一方だ。

 新築マンション価格はかなり高くなった。新築価格は仕入れた際の土地代金と建築費で決定される。土地の仕入れ値はホテルと競合する立地が多いため、吊り上がっている。だからこそ、ホテルに奪われてかなり顕著に立地は悪くなっている。昨年筆者が「買い推奨」した物件の多くは、大規模再開発エリアの中の新築マンションだった。マンション単体で購入しに行った土地の立地がいかに悪くなっているかを、象徴的に表す事象だ。

 そうなると、購入者は新築に魅力を感じず、売れ行きは悪くなる。売れていなくても下がらない理由は、インバウンドの外国人旅行者需要が支えているからだ。2019年はラグビーワールドカップ、2020年は東京オリンピックというお祭りがある。すでに3000万人を超えている外国人旅行者数は、2020年、4000万人に達するペースで順調に推移している。

 その後も2030年までに6000万人に増やすことは、政府目標で決まっている。政府はビザを発給すればいくらでも増やせることをすでに知っており、味をしめている感すらある。

 こうして、観光地や別荘需要に沸くエリアは枚挙に暇がない。代表例だけでも、京都・ニセコ・宮古島はバブルの様相を呈しているし、それ以外にも世界遺産になったところは軒並み上がっている。今や外国人は観光地や都市だけでなく、田舎暮らしから秘境まで足を伸ばしている状況だ。ホテル建設は追いつかず、建築費が高過ぎて土地を仕入れたものの着工できないプロジェクトは多数にのぼる。建築費はバブル以上の水準を継続しているのだ。

 

マンション価格が下がるのを待つなら、どんなに早くても2024年以降になるだろうと述べてきたが、2030年でも下がらない可能性が出てきた。「待つ」という判断はないのである。

● 好立地の中古に稀少価値 家賃も大幅値上がり中

 最近、スタイルアクトが運営する物件情報サイト「住まいサーフィン」の会員を対象に、資産性のある中古を選んであげる「プレミア中古」というサービスをつくって、月に数十人に会っている。そこで、推奨中古物件を選定し、物件の出現を待っているが、意外に数が出て来ない。20物件指定しても物件の出現頻度が低い。新築の好立地物件が減る中、中古ではよい立地の物件の稀少価値が上昇しているのだ。

 そうなると、物件が出てきてもすぐに広告から落ちてしまう。「早い者勝ち」状態のスピード勝負だ。プレミア中古では1日以内にネット上から新着物件を見つけ出し、すぐに内覧まで持ち込める体勢を強化している。そうでないと、買えないからだ。このように、新築の立地の悪化と価格の高騰は、好立地の中古への需要を喚起しているのが現状である。

 一方、家賃は値上がりもあまり報道されていない。家賃は家計費用の最大のものだが、防衛を考えるべき水準まで値上がりし始めている。ある上場不動産会社の開示資料では、家賃は4.4%値上がりしている。それも4年程度経過した同じ部屋が、である。通常は4年経過した同じ部屋は3~4%下がるのが通常で、築年が古くなっているのだから、当たり前だ。しかし、現在は大幅に値上がりしている。それだけ市場は好転しているという証拠だ。

 実はこれからもっと上がることは確定的だ。理由は簡単で、需給バランスがより逼迫するからだ。空き家が問題だというのは、地方での話だ。都市圏では空き家が足りずに家賃が上がっているのだ。日本人も外国人も大量に都市圏に流入しているのに対して、貸家の新規着工はスルガ銀行の不正融資問題発覚以降、金融庁の締め付けで大幅に減り始めている。需要が増えて供給が減れば、今より空室率が下がるのは当たり前だ。

 空室率が0%に近づくと、不動産市場は狂乱の様相を示すことが多い。その最たるものが1980年代後半のバブル経済だった。現状はそれに近づいていることを直感的に把握した事業者が、予測調査を依頼することが最近多くなった。

● 家賃が上がると マンション価格が上がりやすい

 このインフレ状態を誰も報じないのには理由がある。現在、デフレ脱却を旗印にアベノミクスが続いている。デフレは借金大国の日本にとってかなりまずい状態だった。だから、インフレに転じた折に、かつてのバブル経済の再来のように問題視されると、政府は経済政策上、困ってしまう。そんなことをメディアが忖度しているとは思いたくないが、実際、インフレに関する話が報道されることはあまりない。しかし、家賃まで値上がりしている現在、「家賃÷価格」で算出する利回りは上がる傾向にある。利回りが高いものは買われる傾向が強くなるので、マンション価格は上がることになる。

 新築マンション価格は売れ行きが悪くても安定的で、それよりも立地がよい中古物件は稀少価値が付いて値上がりし、家賃は需給バランスで大幅に値上がっている。これだけの状況になりながら、巷で言われているように「マンション価格が暴落する」ということには根拠と意味を見出しづらい。それを言うなら、「いつまでに何%下がる」というように、下落する時期と下落幅を明記してもらいたいくらいだ。

 (スタイルアクト株式会社 代表取締役 沖有人)

沖有人

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190718-00208992-diamond-bus_all&p=1