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賃貸を借りられなくなる条件とは? 入居審査の実態と通過するためのポイント

今年もまた、春の引越しシーズンが迫っている。入学や就職、転勤などに伴う物件選びは新生活の質を大きく左右するだけに、なるべく妥協したくないという人も多いだろう。

しかし、大家さんや管理会社の資産である賃貸物件を借りるには、借り手と貸し手の双方の同意による賃貸契約を結ぶ必要があり、「入居審査」を無事に通過しなければならない。借り手の一方的な希望だけで物件は決められないのである。そこで今回は、不動産コンサルタントの長嶋修氏に入居審査を突破するためのポイントを聞いた。

人柄や言葉遣いも見られている入居審査の実態

「入居審査」と一口に言っても、その内容や条件は大家さんや管理会社によってさまざま。画一的な基準などが存在するわけではないが、そんな中でも代表的なチェックポイントとして挙げられるのが、「家賃の支払い能力」や「入居希望者の人柄」に関するものだという。要は、物件を貸すにあたって信頼できる相手なのかどうかを判断されているというわけだ。

「補修費用や家賃を滞納してしまった場合を考え、その滞納分を請求できる『連帯保証人を確保する』、もしくは『指定の保証会社への加入』という条件付きで入居を認めるパターンが最も多いです。連帯保証人も保証会社もどちらも不要というケースはほぼありません。また入居審査には、部屋を著しく汚したり、騒音を立てたりして周辺住人に迷惑をかける“不良入居者”を避ける目的もあります。単に言葉遣いや見た目だけで弾かれるということはよほど極端な場合を除き考えにくいですが、反社会的な感じがないか人柄や言葉遣いも意外と見られています」と長嶋氏。

稀に、保証人の確保と保証会社への加入の両方が必要なこともあるという。保証会社への加入が条件に含まれる場合は、携帯料金や自動車ローンの支払い状況など、入居希望者の信用情報の照会が行われる。ここで信用情報に傷が付いていることが発覚すると、場合によっては審査に通らないという事態におちいってしまうのだ。

こうした賃貸住宅を取り巻く日本の事情は、他の先進国と比べても特殊で“ガラパゴス的な状況”だと長嶋氏は解説する。

「例えば、アメリカでは入居審査が甘い代わりに、3カ月分の家賃を滞納すると警察が来て問答無用で追い出されてしまいます。日本は昭和25年に成立した借地借家法の下で賃貸借契約を運用していますが、これは戦後急増した母子家庭を保護する精神に基づいた法律だったこともあり、貸主は入居者を簡単に追い出せない。そのため、入居前の審査の段階で慎重にならざるを得ないんです」

住宅ローンの審査と同様に、水商売や自営業など一般的に収入が不安定とされる職業の人よりも、公務員や誰もが知る上場企業に勤める人のほうが賃貸の入居審査も通過しやすいというのが現状のようだ。

では、収入面などで物件の選択肢が制限されてしまう可能性を抱えた人たちが、不本意な形で希望の物件が借りられないといった事態に直面することを防ぐためには、どのようなことに気を付ければいいのだろうか。

家賃を前払いできるなら無職でも審査に通る?

長嶋氏によれば、家賃の支払い能力の審査に関しては「年収の約25~30%」がひとつの大きな目安となるという。年収400万円であれば、その30%は年120万円。つまり、家賃が月10万円の部屋は借りられるという計算だ。

しかし、入居審査の可否の線引きは保証会社ごとによっても異なり、あくまでブラックボックス。前述したように人柄などが考慮される点も含め、賃貸契約が成立するか否かは必ずしも機械的に判断されるものではない。

長嶋氏いわく「保証会社への加入が必須の場合、信用情報が照会されるのは確実。もし過去の信用情報に傷があるようなら、当時の事情をあらかじめ自分から説明しておくほうが好印象でしょう。私が相談を受けたケースでは、保証人のあてがない入居希望者が500万円ほど預金が入った銀行の通帳を見せ、大家さんからOKをもらったということもありました」とのこと。

続けて、「要は無職だろうが何だろうが、貸主が賃料を取りっぱぐれない裏付けさえできればいい。そういう意味では、家賃をまとめて前払いするといった方法も有効です。仮に普通に働いていて、半年とか1年分の家賃をまとめて前払いするなら、ほとんどの物件で大家さんは2年契約を結ぶのではないでしょうか」と、貸主側の目線も含めて入居審査を突破する手段を提案してくれた。

入居の判断基準に曖昧な部分があるということは、裏を返せば借り手から積極的に条件を提案するなど、交渉次第で柔軟に対応してくれる余地も十分に考えられるというわけだ。

「非正規雇用の比率が高くなった影響もあり、この3年ほどでそうした人たちの賃貸の入居審査が緩和されたり、派遣社員用の住宅ローンができたりといった流れもあります。収入が不安定な自営業者や、孤独死のリスクが考えられる一人暮らしの高齢者の入居希望者に抵抗感を抱く貸主も多いですが、今後の賃貸経営はそうした方々にも積極的に入居してもらわないと成り立ちません。すでに大家さん向けの孤独死保険なども出てきていますが、これからそうした保険制度も本格的に普及していくでしょう」

社会情勢とも深く関係しながら変遷する賃貸住宅の入居審査。ともあれ、自分にとってより最適な物件とマッチングするためには、積極的に自分の情報を提供して貸主の信頼を得ることが何より肝要なようだ。

伊藤綾

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190215-00000003-mynavin-life