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「泊まれる本屋」驚異の稼働率8~9割 “本棚の中で眠る”非日常でおしゃれな空間に若い女性の支持

“泊まれる本屋”をコンセプトに、東京、京都、福岡に5店舗を展開するホステル「BOOK AND BED TOKYO」の新店舗が2018年12月13日、大阪・心斎橋に開業した。

 15年11月、東京・池袋に1号店を開業するやいなや、東京の新しいカルチャーとして国内外から注目を浴びた同ホステル。米誌「ナショナルジオグラフィック」でも、その独特のコンセプトから、世界のユニークな宿泊施設の1つとして紹介された。

池袋に続き、京都、福岡、浅草、新宿、心斎橋と、3年間で6店舗の直営店を出店。驚異の出店スピードもさることながら、いずれの店舗も稼働率8~9割と高水準を維持している。その特徴は、小説からコミックまで幅広いジャンルの本が並ぶ図書館のような空間に、簡易宿泊設備を備えていること。本棚の中に埋め込まれたベッドの中で好きな本を思う存分読め、眠くなったらそのまま寝てしまえるという、読書好きにはたまらなく心地良い空間なのだ。

 しかも、店内のパブリックスペースでは深夜でも自由に会話ができ、他の客から注意されることもない。「本を読んでもいいし、読書する習慣のない人は友達やスタッフと会話を楽しんでもいい。なかには旅先で撮った写真を客同士で見せ合ったりしている人たちもいて、自然とコミュニティーが醸成されている」。こう話すのは、同ホステルを運営するアトリエブックアンドベッド(東京・品川) ディレクターの力丸聡氏。不動産会社アールストア(同)の新規事業として同ホステルを立ち上げた生みの親でもある。

 客同士やスタッフとのゆるい関係性によって情報がSNSで拡散され、さらに人が集まってくる。こうした好循環が稼働率を上げている。力丸氏によると、その中心顧客であり、収益を支えているのが、20~30代の若い女性客だという。

おしゃれなイメージとゆるさが安心感生む

 

 同ホステルが池袋店の顧客属性を調べたところ、20~30代が85%、さらに女性客が70%を占めることが判明。利用目的別では国内旅行客と海外旅行客がそれぞれ33%、続いて都内の近郊客が29%、国内出張客が4%だった。3分の1近くを占める都内の近郊客は非日常の体験を求め、お泊まり会やサードプレイス(自宅や職場とは異なる、自分が心地良く過ごせる第三の居場所)として利用する人が多い。

 若い女性客が同ホステルを利用する理由は3つあるという。1つ目は「本をテーマにしているから」、2つ目は「ビジネスホテルより安い」、そして3つ目が「おしゃれなブランドイメージが確立されていること」。

 一般的なホステルはドミトリーと呼ばれる相部屋が基本で、慣れていない女性は多い。一方、BOOK AND BED TOKYOはホステルとしては高めの価格帯だが、デザイン性の高い内装が女性心をくすぐり、おしゃれなブランドイメージが確立されている。「隣がどんな客なのか分からないネットカフェと違い、みんなの目があるからこそのゆるいパブリック感も安心感につながっている」(力丸氏)。シングル1泊5200円という価格帯で、女性の安心感にアプローチした宿泊施設はこれまでなかったという。

 客とのコミュニケーションを大切にする店舗スタッフの存在も、女性の支持を得る大きな要因だ。フロントでチェックインするとき、カフェで注文するとき、パブリックスペースで本を読んだり、会話したりしているときも、同店のスタッフは友達のように親しげに話しかけてくる。なれなれしいと感じる人もいるかもしれないが、スタッフのオープンマインドな対応が、コミュニティーを生むきっかけにもなっている。一人旅の滞在中、安心して楽しく過ごせた体験は顧客満足につながり、ロイヤルティーを高めているようだ。

「スタッフにはブランドイメージをしっかり伝えられ、自分の見せ方も分かっている人を採用している。SNSのフォロワー数が8万人を超えるスタッフもいる」と力丸氏。例えば、心斎橋店のスタッフはファッション感度が高く、なかには雑誌モデルを務めるスタッフもいる。ブランドイメージを発信する人材の確保は、施設のハード面以上に競合他社との差別化を図るポイントといえそうだ。

スタイリッシュな店舗デザインは心斎橋店が初めて

 

 地下鉄御堂筋線心斎橋駅から徒歩1分。心斎橋店はコストパフォーマンスの高いレストランで有名な「俺のビストロ」が入るビルの3階にある。エレベーターを降りるとすぐにカフェスペースがあり、奥の扉の向こう側に宿泊ゾーンが広がっている。

 内装デザインは家具から超高層建築まで手がける「インテンショナリーズ」、ブックセレクトは本のある暮らしを提案する本のセレクトショップ「シブヤ パブリッシング&ブックセラーズ(SPBS)」、グラフィックデザインを「ソーダデザイン」が担当。カフェのメニューは、今回初めて、京都・裏寺町の人気サワー専門店「サワー」と共同開発した。

 これまではストリートをテーマに、木のぬくもりを表現した内装デザインが特徴だったが、心斎橋店では大きく変更。白を基調にしたモノクロの世界でスタイリッシュなイメージを表現した。「常に驚きを提供することもブランドのアイデンティティーになっている」と力丸氏は話す。パブリックスペースのど真ん中には、巨大なピラミッド型本棚を配置。ピラミッドのどの場所に座って読書してもOKで、テッペンからの眺めも最高だ。

 本棚の中に埋め込まれたベッドは47床あり、シングル40室、ダブル6室、スーペリアルーム1室で構成。空調器を各部屋に設置した他、初めて窓のある部屋を設け、居住空間としての質の向上にも取り組んでいる。

蔵書数は現在約2100冊。普段、本を読まない人でも楽しめるよう幅広いジャンルで選書しているのが特徴だ。話題書や写真集も多く、「タイトルや著者を知らなくても、本との偶然の出会いを体験してもらうことを重視している」(力丸氏)。

 オープン以降、平日でも行列のできる人気店となったのが、併設するカフェ「by BOOK AND BED TOKYO」だ。浅草店、新宿店に次ぐ3店舗目。クロをテーマにしたメニューはいずれもSNS映えするもので、味に対する評価も高い。

 心斎橋への出店については「コンサバティブなイメージの梅田に対して、心斎橋はミックスカルチャーの街。周辺はインバウンド客が目立つが、地元客と観光客をバランスよく取れる街だと思う」と力丸氏。都心部の駅近を中心とした出店戦略を進めており、梅田にも出店する予定だ。ただし、マーケットリサーチよりも街や物件のイメージを重視する姿勢は変わらないという。

 「寝床以外で非日常を楽しんでもらい、顧客に眠りたくないと思わせる」――。宿泊施設としては逆説的な発想で地元客まで引きつけるBOOK AND BED TOKYOの戦略は、多様化する宿泊施設市場に新たなヒントを与えそうだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190111-67672552-nkctrend-bus_all&p=1