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あの展望台から富士山が消えた!――変化を遂げる浜松町、「陸・海・空の交通結節点」に

冬の良く晴れた日、羽田空港を利用したついでに浜松町の世界貿易センタービルディングの展望台「シーサイド・トップ」へと足を運んで驚いた。富士山が全く見えなくなっているのである。



 代わりに見えるのは、ビルに隣接して伸びる建設中の巨大な建物。



 実は浜松町エリアは各地で大型再開発が行われており、「陸・海・空」の交通結節点として大きくその姿を変えようとしている。

◆浜松町は都内有数の「大型再開発エリア」だった



 山手線沿線の大型再開発といえば、東京駅八重洲口や渋谷、品川エリアが注目を集めているが、浜松町エリアも複数の大規模再開発がおこなわれる街の1つだ。



 再開発の話に移る前に、まずは浜松町駅周辺の歴史について簡単に説明しよう。



 浜松町駅が開業したのは1909年のことだが、その運命を大きく変えることとなったのは東京オリンピックが開催された1964年のことだ。



 この年、東京モノレールと都営地下鉄浅草線(大門駅)が開通。浜松町駅が東京の空の玄関として全国に広く認知されるようになるとともに、23区南部の交通結節点として発展を見せ始める。「浜松町」といえば東京モノレールを真っ先に思い浮かべる人は今も多いであろう。



 1970年には駅前に当時日本最高層であった「世界貿易センタービルディング」(高さ152m)が完成。最高階の展望台は「富士山と東京タワーが一緒に見える」として話題を呼び、結婚式場としても人気となった。



 また、1984年には海側に「東芝ビルディング」(高さ165m、現「浜松町ビルディング」)も誕生した。東京臨海部の開発が途上であった当時、特徴的なかたちの超高層ビルは非常に目立つものであったという。



 転機となったのは1998年。京浜急行が羽田空港に本格的に乗り入れると、浜松町の「空の玄関口」としての優位性は半減することとなった。



 一方、21世紀に入って竹芝・汐留地区の再開発が進むと、これら湾岸エリアの南の玄関口としての役割も果たすようになっている。

大型再開発が行われているのは、大きく分けて「世界貿易センタービルディング」の周辺と、「浜松町ビルディング」(旧・東芝ビルディング)の周辺、そしてゆりかもめ竹芝駅の周辺だ。



◆貿易センタービル再開発、「富士展望の名所」の終焉



 3つの大型再開発のうち最も規模が大きい、浜松町駅西側にある「世界貿易センタービルディング」とその周辺を再開発する「(仮称)浜松町駅前プロジェクト」(別名:浜松町二丁目4地区再開発)は、同ビルを解体するとともに、新たに5棟の大型ビルを建設するもの。



 そのうち、現在世界貿易センタービルディングに隣接して建設されている建物は日本生命保険と大林組が主体となっておこなう「(仮称)浜松町駅前プロジェクトB街区」の「ニッセイ浜松町クレアタワー」で、高さは156m、29階建て。2018年夏の竣工を目指しており、おもに大型オフィスとして利用されるほか、下層階は商業施設となり、地下で大門駅と直結される。

そして、このビルの完成後に本格化するのが「(仮称)浜松町駅前プロジェクトA街区」、つまり世界貿易センタービルディングの解体・建て替え工事だ。こちらの再開発は世界貿易センタービルディング、東京モノレール、東日本旅客鉄道(JR東日本)などが主体となっておこなうもの。工事は2017年中から一部で開始されているが、世界貿易センタービルディング本体の解体工事は2019年から開始される予定で、電波塔などを除くと日本国内で解体される建物としては最高層になるという。



 先述したとおり、世界貿易センタービルディングのすぐ隣ではB街区「クレアタワー」の建設が進んでおり、西側の展望は大きく遮られている。「富士展望の名所」としての終焉は、ビルの歴史の終焉が近いことを印象づけるものとなった。



 いずれの建物も主要用途はオフィスであるが、下層階には商機能やコンベンション施設が設けられるほか、A街区はJR浜松町駅に近く、交通結節点となる駅前広場「ステーションコア」が設けられる。



 また、B街区の南側では「浜松町二丁目C地区市街地再開発事業」も進行中。こちらの建物には港区立の文化芸術ホールなどが入居する予定だ。



◆水上交通と鉄道、空の交通結節点に!



 一方で浜松町駅の南東(海側)では、「浜松町ビルディング」(旧・東芝ビルディング)とその周辺の再開発が予定されている。



 旧・東芝ビルディングは地上40階、高さ約169mの超高層ビルで、2013年に東芝本社機能の大部分が川崎市に移転したことに伴い「浜松町ビルディング」へと改称されている。なお、東芝の登記上の本社所在地は現在も浜松町ビルディングに置かれている。所有者はNREG東芝不動産。同社はかつての「東芝不動産」であるが、2008年から野村不動産の傘下となっている(現在も東芝が一部株式を保有する)。



 浜松町ビル周辺は国家戦略特区の都市再生特別地区に認定されており、野村不動産、NREG東芝不動産、そして敷地の一部を保有する東日本旅客鉄道(JR東日本)の3社による再開発が行われる。再開発エリアは約4.7haに及ぶ広大なもので、隣接する「東芝浜松町ビル」や、かつて車とともに移動できる寝台列車「カートレイン」の乗降場としても知られたJRの貨物線跡地なども含まれる。



 浜松町ビルは世界貿易センタービルよりも約17mほど高く、やはり国内で解体される建物としては最高層のものとなる。また、東芝浜松町ビルはニュースなどで目にする機会が多い「TOSHIBA」ロゴが屋上に掲げられている建物であるが、こちらも間もなく解体されることになる。



 新たに建設される「(仮称)浜松町一丁目計画」は高さ約235mの超高層ツインタワーで、設計は幕張メッセなどを手掛けた槇文彦氏。



 北側の「N棟」(仮称、地上47階・地下5階建て)、南側の「S棟」(仮称、地上46階・地下5階建て)で構成され、両ビルを合わせた延床面積は約55万㎡にも及ぶ。2020年ごろの着工を予定しており、S棟が2023年、N棟が2029年の完成を目指して工事が進められる。



 新ビルの地下階・下層階は一体化され、大型商業施設や大型駐車場、機械室となるほか、S棟、N棟の中層にはオフィスが、N棟の高層階には住宅が、S棟の高層階にはホテルが入居する計画。これまでショッピングスポットやラグジュアリーホテルが少なかった浜松町エリアだけに、これらの施設にかける期待も大きいであろう。



 なお、気になるのは現在経営再建中の東芝グループが再び当地に戻って来るかどうかであるが、再入居するかどうかは現時点では発表されていない。



 この再開発で注目されるのは、再開発エリアの東側に隣接する芝浦運河沿いを憩いの場として整備するとともに、桟橋を設置、旅客船(水上バス)の発着地とすることが検討されているということだ。



 桟橋の設置は観光目的のみならず、再開発によりオフィス面積が増加する浜松町エリアの通勤混雑の緩和も目的としており、JR浜松町駅との結節強化・連絡通路のバリアフリー化も実施することで水上バスと鉄道の乗り換えの利便性も図られる計画だ。将来的には、浜松町が海上・水上交通と鉄道、そして空(羽田空港)との一大交通結節点となることも考えられる。



◆汐留・竹芝・浜松町の「観光回遊」にも期待



 浜松町駅周辺ではこのほかに、伊豆・小笠原方面へ向かうフェリーが発着する竹芝ふ頭・ゆりかもめ竹芝駅周辺での再開発も進みつつある。



 そのうち、芝離宮そばのゆりかもめ竹芝駅前では、東急不動産と鹿島が2020年の開業を目指して高さ210メートルの複合超高層ビルとタワーマンションを建設する「(仮称)都市再生ステップアップ・プロジェクト(竹芝地区)」が進行中だ。建物の低層部には大型の緑化テラスを、高層部には展望ラウンジを設ける計画で、新たな観光・展望スポットとしても話題を呼びそうだ。



 この再開発に合わせて竹芝ふ頭と竹芝駅、浜松町駅を結ぶ約1kmの歩行者デッキ(連絡通路)の新設も予定されており、浜松町駅の「海の玄関」としての役割や、湾岸観光の拠点としての魅力も大きく増すこととなる。



 竹芝駅周辺では、このほかにも竹芝と汐留の中間地点にあたる浜離宮南側・劇団四季劇場の周辺でJR東日本が「(仮称)竹芝ウォーターフロント開発計画」を建設し、新たな劇団四季劇場やラグジュアリィホテルを進出させることが計画されており、一連の再開発の進展にともない汐留エリアからの観光客の回遊も増えるであろう。



 大きく姿を変えようとしている浜松町駅周辺。長年親しまれた2つの個性的な超高層ビルの歴史は間もなく終わるものの、「陸・海・空の交通結節点」として、そして東京湾岸観光の南の玄関口としての新たな発展に期待したい。



<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>



https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180426-00164496-hbolz-soci