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<マンション>売れ行き鈍り値崩れ寸前「まだ買うな!?」

新築分譲マンション市場が変調をきたしている。建物完成後も販売を続ける「完成在庫」が急増し、値崩れを起こす寸前にあるのだ。住宅ジャーナリストの榊淳司さんがリポートする。【週刊エコノミスト編集部】



 

◇都内の駅近でも売れ残り

 今の東京の新築分譲マンション市場では、「建物が完成する前に全戸完売」の目標通りに完売できず、「完成在庫」になって数カ月、あるいは1年以上販売を続けている物件が増えている。東京23区内だけで147物件に上る。最寄り駅からの距離が近い人気の立地でも、完成在庫が目立つようになってきた。

マンションの売り主であるデベロッパーは土地の購入や建築費の支払いなどのコストを銀行からの融資で賄う。少しでも金利負担を少なくするために、建物の完成とほぼ同時に購入契約者へ引き渡すことを理想とする。回収した販売代金で銀行融資を返済すると同時に利益も確定できるからだ。



 ところが、都心好立地の「駅徒歩5分以内」物件が完成在庫化している。港区内では地下鉄・東京メトロ南北線の麻布十番駅から徒歩4分の好環境にある「グランドヒルズ元麻布」(2018年2月完成)。千代田区内ではJR四ツ谷駅徒歩5分の「プレミスト六番町」(17年8月完成)などだ。特に顕著なのは、江東区の深川エリアだ。



 ◇値上がりしすぎて庶民には手が届かず



 完成在庫が積みあがった最大の理由は、マンション価格の上昇にある。不動産経済研究所の調査によると、17年の首都圏(1都3県)のマンションの平均価格は5908万円(前年比7.6%上昇)で、バブル期の1990年(6123万円)以来の高値をつけた。東京都区部に限れば、平均価格は7089万円(同6.9%上昇)に上る。



 マンションデベロッパーは、地価や建築費などの膨らみ続けるコストを販売価格に転嫁してきた。特に、15年から16年にかけては都心部で土地の価格が目立って値上がりした。外国人観光客向けのホテル用地が高騰したあおりを受けて、マンションデベロッパーの用地取得コストも上昇したのだ。価格が高くなっても「何とか売れるだろう」という感覚で土地を購入し、マンションを開発した。そういった物件が16年から17年に目をむくような金額で売りに出されたのだ。



 マンション価格が上昇しても販売が追いついていたのは、長期的な金利低下により住宅ローンの金利負担が軽くなり、従来よりも高額なマンションを購入できるようになったことが大きい。住宅購入時の価格の目安は、かつては年収の5倍までと言われていたが、現在は年収の7倍程度まで引き上がっている。



 ただ、マンション価格はもはや一般的な消費者が許容できる水準を超えている。総務省「家計調査」によると、東京都区部の2人以上世帯の平均年収は729万円(16年)で、年収の7倍まで住宅ローンを組んでも5000万円超がやっと。このため、都心をあきらめて郊外や他県でマンションを探す人が増えている。



 ◇相続税対策、外国人の爆買いにも陰り



 また高額物件の販売を支えてきた相続税対策と外国人による「爆買い」に陰りが見えてきたことも、売れ行きを鈍らせている。特に、カナダ、イギリス、北欧などの住宅バブルに味を占め、東京でもタワーマンションなどに投資した外国人は、東京の不動産の値動きが予想外に鈍いことに失望。投資を手控えたり、値上がり益を諦めて東京五輪の前に売り抜こうとする兆しも見える。



 気になるのは、新築マンション市場と並走状態にある築浅(建築後日の浅い)の中古マンション市場だ。



 ◇新築未入居で大量の売り物件



 15年から16年にかけて「マンション価格はまだまだ上がる」という空気が市場に漂っていた中で、多くの個人投資家が都心や湾岸部のタワーマンションを値上がり期待や賃貸運用のために購入した。それらの販売済み物件が昨年あたりからぞくぞくと完成し、「新築未入居」のまま、中古市場で大量に売り出されている。



 それらのほとんどが、新築購入価格から2割程度高い売り出し価格を付けている。ただ、そういう物件は契約に至る件数が少なく、また買い手がついた場合も当初より1割超下げたところで成約していることが多い。

マンション市場とて他の商品と同様、中期的には需給関係で価格が決まる。空き家の増加が社会問題化するほど供給過剰が長期化する日本の住宅市場では、本来ならばここまで値上がりが許容されることはないはずだ。実際、都内にも住戸の半数以上に居住の実態がうかがえない新築の大規模マンションが多数ある。



 マンション市場は、いつ下落が始まってもおかしくない。マンションの購入を検討する人は、市場の変化を見極めてからでも遅くはないだろう。



(週刊エコノミスト4月10日号から)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180405-00000026-mai-bus_all