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2012.11.01 マンション管理費見直しセンターのホームページを公開しました。

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離婚「売却したい家に居座る妻」の言い分(2)

■マンションに居座り続けることで復讐する元妻

 

 しかし、感情を取ったケースもある。

 

 平成10年に東京郊外に4500万円のフルローンでマンション購入したTさん、55歳。その後、離婚し、専業主婦の妻と子供がマンションに残った。離婚原因はやはり夫であるTさんの浮気。慰謝料も払い、住宅は財産分与で妻名義とすることになった。

 

 債務はTさんだけなので、月16万円の住宅ローンはTさんが払っていくことで合意した。ところが、2008年のリーマンショックの影響で収入が大幅ダウン。高額な住宅ローンの支払いが厳しくなってきて、ついに滞納してしまったのだ。

 

 ローン残高は3500万、今売れば3700万位で売れるマンションなので、滞納してブラックリストになる前に売却して、余剰金を元妻にすべて渡すと提案したものの、元妻は断固拒否。とうとう、滞納が6カ月になり、代位弁済予告*と一括請求予告**がきてしまった。

 

 * 住宅ローンの返済が困難になった場合、借りた本人に代わって保証会社が金融機関(債権者)へ一括返済することの予告の通知。

** 住宅ローンを滞納すると「督促状」や「催告書」が届くが、これらを放置していると残高を一括して支払うことが求められる。

 

 このままでは、競売になってしまうので再三元妻に連絡するも、過去のことの恨みぶしばかりで話にならず。そこで不動産会社に売却依頼をしても、物件の内覧をしないことには売れないと断られ、とうとう一括請求になってしまった。

 

 Tさんが高橋氏のところに任意売却の相談に来たときには、競売寸前の状況。高橋氏が何度か元妻の家に足を運び状況の手紙を送り続けたところ、話を聞いてもよいということになったが、やはり元夫への恨み節が炸裂。

 

 「どうせ、お金が払えないなら、ブラックになって競売になって借金が残って困ればよい。自分たちは任意売却に協力するつもりもないし、競売で落札されるまで居座り続けてぎりぎりのところで引越しをするのでほっておいてくれ」

 

 結局、全額返済できる物件だったにもかかわらず、延滞金も膨らみ競売費用もかさみ、競売で落札されて借金だけが残った。

 

 聞けば、元夫が約束していた慰謝料も手にしていない元妻は、傍から見ると損をしただけに見えるかもしれない。しかし、幸せな家庭をぶち壊した元夫に対し、自分が大損してでも困らせたいという思いが勝ったケースと言えるだろう。

 

 彼女の復讐心はきっとそれで満たされたのだろうが、元夫・元妻とも大きな代償を払ったことは間違いない。

 

 離婚は損得だけでは計りきれないものもある。だが、ここまでこじれる前に双方の今後の人生に少しでもプラスになるような選択をするほうがベターであることは言うまでもない。

 

 ▼高橋愛子氏(住宅ローン問題支援ネット代表)のアドバイス

 

 「協議離婚で離婚し、住宅ローンや養育費の取り決めをしても、その後の長い人生で状況が変わるということは良くあることです。特に住宅ローンは金額が大きいので、払えなくなると一気に破綻に追い込まれてしまいます。

 

 問題は、払えなくなってしまったときの対応だと思います。どうしても感情論になってしまい、当事者同士だと話にならないことが多いですが、お互い感情を優先してこれからの人生を台無しにすることはないと思いますので、第三者を入れて誠意を持って対応することが大切だと思います」

 

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高橋愛子(たかはし・あいこ)

住宅ローン問題支援ネット代表、宅地建物取引士、不動産コンサルタント。

1979年東京都生まれ。大学卒業後、町の不動産会社に就職し、店長として5年間、賃貸管理業、賃貸仲介業を経験する。2007年、28歳で任意売却専門の不動産コンサルタント会社を設立し独立。きっかけは、就職した不動産会社で出会ったある顧客の競売問題だった。この一件に関わったことで初めて「任意売却」の存在を知り、その方法と意義に深く共感。「住宅ローンの支払いに苦しむ人たちを助けたい」という信念のもと、任意売却の専門家になることを決める。

また、任意売却の案件を扱うなかで、不動産、住宅ローンをめぐる問題も多岐にわたることを知り、『住宅ローン問題支援ネット』という無料相談窓口を開設。相談件数は年間数百件にのぼるが、そのなかで「離婚と不動産」についての相談が特に多いことに着目したのが、本書を書く発端となった。

著書に『老後破産で住む家がなくなる!  あなたは大丈夫? 』(日興企画)、『「住宅ローンが払えない! 」と思ったら読む本』(PHP研究所)、『任意売却ってご存じですか? 』(ファーストプレス)。講演、メディア出演も多数。趣味はバス釣りで、競技会三連覇の経験もある。

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永浜敬子=文

 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161016-00020419-president-bus_all&p=1