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「持ち家派」vs「賃貸派」:どちらが賢いのか? 後編

個別の事情が議論を複雑にしている

家を買う場合は、賃貸暮らしの人には縁のない支出が生じます。ローンの利息や固定資産税、保険、さらに維持費や修繕費などです。賃貸派はそうした点を指摘し、見落としがちな追加費用や要素が多すぎると主張します。けれども、それは双方に当てはまることであり、状況によって事情はさまざまです。では、つい見落とされがちな点をいくつか挙げてみましょう。

 

・その家に住む年数:住宅市場の状況にもよりますが、一般的には、持ち家に住む年数は長ければ長いほど良いとされています。コストが分散されるからです。

 

・近隣の住宅価格:ほとんどの場合、家を買うには高すぎると考えた人が賃貸住宅を選びます。でもそれは、住む地域の住宅価格次第です。家賃が恐ろしく高い地域なら、家を買った方が経済的に得策になることもあります。

 

・税金と保険の機会費用:住宅の購入資金を株投資や定期預金、「利率の良い」普通預金などに回した場合、どのくらいの長期的リターンが見込めますか。

 

・頭金の機会費用:住宅購入のための頭金もかなりの額です。これを投資に回した場合の長期的リターンはどのくらいでしょうか。

 

こうした要素はごく一部にすぎず、持ち家か賃貸かは、まだこれだけでは判断できません。ほかにも検討すべき留意点はたくさんあります。例えば、機会費用は確かにかなりの額にのぼりますが、かといって、あなたは実際に、そのお金を投資に回すでしょうか。結局、利率の低い普通預金にそのまま置いておくのではないでしょうか。利益が得られなければ、機会費用については考えたところで無意味です。

 

持ち家か、賃貸か、どちらが良いのかなんてわからないのです。検討すべき要素はほかにもまだありますし、そのひとつひとつが個人の状況によって異なってきます。どこに住むのか、どんな家が良いのか、家賃はいくらか、支払い額は今後いくらになるのかなど、数え上げたらキリがありません。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙の「買うか借りるか」を決めるためのシミュレーターはなかなか便利です。筆者が今まで見た中でも一番のオススメで、こうした複雑な計算を、個人の細かい事情に応じて単純化してくれます。とはいえ、シミュレーターにも限界はあります。長期的な視野に立ってより良い判断を下してくれるかもしれませんが、それはあくまでも理論上のこと。「あなた個人」にとって必ずしもそれがベストかと言えば、そうとは限りません。

 

例えば、何年か前に原文筆者がフィアンセと一緒にこのシミュレーターで計算してみたところ、家賃を毎月1500ドル以上払っているなら家を買った方が良いという結果が出ました。当時の家賃は1600ドルでしたから、理論上は、家を買った方が合理的だという結果になったわけです。しかし、用意できる頭金は住宅価格の10%に届かず、ごくわずかな緊急用の資金のほかには、貯蓄もあまりありませんでした。筆者かフィアンセのどちらかが失業すれば、ローンの支払いに行き詰ってしまいます。こうした事情を考えれば、シミュレーターの結果にかかわらず、家の購入はひとまず延期するしかありませんでした。

 

結局、このシミュレーターでは「賃貸と持ち家のどちらがお得か」の計算しかしてくれないので、決断を下す前には、それ以外の点も考慮しなくてはいけません。それは何かというと、「自分には住宅を買えるだけの経済的なゆとりがあるかどうか」です。

 

 

家は買うものであり、投資するものではない

専門家の大半は、自分が住むための家を購入するのを「投資」とみなしてはいけないという点で一致しています。世間一般で言われていることとは違って、年月が経っても不動産価値の上昇スピードがインフレのスピードを上回ることはほとんどありません。もちろん、市場の動きを見計らって、投機目的で家を買うとか、賃貸用住宅を購入したりするということはあります。ですが、自分が住むための家を購入するのはまた別の話で、この際に大きな利益を期待すべきではありません。「家は投資の対象である」というのは誤った固定観念であり、賃貸派が持ち家派に対して向ける反論として筋が通っているのです。多くの人が、その経済力がないのに、無理をしてまで高価な家を買っています。それは、家は投資だという固定観念を持っているからです。

 

専門家は、住宅購入が賢い投資ではないことを認めています。でもそこで問題になるのは、家を買うこと自体を良からぬアイデアだと誤解してしまう人が多いことです。住宅が良い「投資先」ではないからと言って、必ずしも悪い「買い物」だということにはなりません。

 

何を買うにせよ、人にはそれぞれ購買能力というものがあります。住宅を購入するなら「価格の20%分の頭金を準備すること」というルールが良く知られています。ぴったり20%分の頭金を用意できようができまいが、家を購入し維持できる経済的なゆとりがないのなら、買うべきではありません。では、その「経済的なゆとり」の有無は、どう判断すれば良いのでしょうか。こうした場合には、よく言われる目安が役に立ちます。この記事ではここまで、各自の事情を考慮しましょうと言い続けているので、今さら一般的な目安を持ち出すなんて矛盾していると思うかもしれませんが、こうした目安も適切な指針となります。

 

例えば「25%ルール」。これは、住居費は手取り額の25%以内におさめるべきだという目安で、とても参考になります。ただし、毎月の収支だけを考えるのでは不十分です。万が一の場合に備えた資金も、手元に残るようにしたいですものね。要するに、持ち家はあるもののローンの支払いに追われるような「ハウスプア」にはならないようにしましょう。

 

持ち家か賃貸かを考える上では、もちろん、「気持ちの問題」も無視できません。マイホームは夢でもあるのですから。しかし、予算が不十分でハウスプアになる見込みが濃厚ならば、「自分の家を持つ」という目的のためだけに住宅を購入するのはまったく無意味です。持ち家に住むことで得られる満足感も、ローンが返せず銀行に家を差し押さえられるのではないかという不安で、帳消しになってしまうでしょう。でももし、やりくりが可能で、毎月のローンの支払いで経済的に追い詰められることがないのであれば、話は別です。

 

結論としては、借りた方が賢い場合もあれば、買った方がうまくいく場合もあるということです。買うか借りるかのいずれか一方の立場に固執するのではなく、先述したルールを良く理解し、そろばんを弾いて、合理的な道、自分に合った道を選択してくださいね。

 

Kristin Wong(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)

 

 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160519-00010001-biz_lifeh-life