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2012.11.01 マンション管理費見直しセンターのホームページを公開しました。

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老朽化マンション問題

富士通総研さんの発表がありました。
ご参考にして下さい。

 

最近高齢者の方の住宅問題が深刻化していますね。 

 

 

 

 

老朽化マンション問題への対応 ~戸建ての次に来る空き家問題~

 

1. マンション老朽化の進展と空室率の上昇

現在、老朽化した住宅が空き家となり、周囲に悪影響を与える問題が全国的に深刻化しています。空き家問題は今のところ一戸建てが中心ですが、近い将来、分譲マンションについても深刻になっていくことが予想されます。全国のマンションストックは590万戸(2012年末)に達しますが、このうち1981年6月以前に建設された旧耐震マンションは106万戸、さらに1971年4月以前に建設された旧・旧耐震マンションは18万戸あります。

マンションの完成年次別の空室率を見ると、全体の空室率は2.5%に過ぎませんが、1979年以前完成のマンションでは空室戸数の割合が10~15%の物件が増え、1969年以前になると空室戸数の割合が20%超の物件が増えていきます(2008年度、国土交通省調べ)。築30年を超えると、マンションの空室率が高まっていくことがわかります。空室率の上昇と併せ、老朽化マンションでは区分所有者が住まず、貸し出す例も多くなっていきます。

東京都港区には、日本で初めて分譲マンションが登場した1950年代半ばから60年代にかけて建設された物件が点在しています。老朽化マンションに対処する方法の1つは建て替えですが、建て替えできたものはわずかで、多くはデベロッパー主導によるものです。空室化や賃貸化が進み、管理組合が機能していない例もあり、中にはスラム化しているものもあります。

2. 建て替えの限界

建て替えには、容積率に余裕があって従前よりも多くの部屋を造ることができ、その売却益が見込めなければ、デベロッパーの協力は得られません。筆者の試算では、東京都区部では1.6~2.8倍程度容積率を割り増さなければ、採算に合わないとの結果が出ました。実際、建て替えできたのは全国でも200件程度に過ぎません(阪神大震災関連を除く)。

一方、老朽化マンションでは既存不適格物件(建設当時の法令では適法だったが、その後の法改正によって違法となり、従前と同じ容積率で建て替えることができなくなった物件)が多くあります。既存不適格物件は、1970年以前の建設で67%、1971~75年の建設で65%もあり(いずれも民間の物件、国土交通省調べ)、これらは建て替えが極めて困難です。

このように建て替えには限界があるため、他の方策も必要になります。その1つとしては、リノベーションによる物件再生が考えられます。費用が問題になりますが、ファンドが物件を区分所有者から買い取り、全棟を賃貸物件として再生する方法が挙げられます。元の所有者は売却収入による住み替えや、賃貸物件に住む選択肢が得られます。こうした取り組みを支援するため、公的機関がファンドに一部出資することも考えられるでしょう。

3. 解体費用積み立ての義務付けも必要に

さらに、建て替えもリノベーションも難しい場合、マンションの区分所有権を解消し、敷地を売却して終止符を打つ方法も検討する必要があります。区分所有権の解消には全員一致が必要ですが、この問題は東日本大震災での被災マンションで、全壊判定されたマンションでも解体できない問題として浮上しました。これを受け、昨年、被災マンション法が改正され、被災マンションに限り、5分の4の賛成で区分所有権解消が可能になりました。これは、将来的にはすべてのマンションに適用する必要性が高まっていくと考えられます。

しかし、区分所有権を解消しようとしても、解体費用が捻出できない場合には、老朽化物件が放置される恐れもあります。この解決策としては、あらかじめ解体費用を積み立てておくことが考えられます。最近では、修繕積立金の一部が、最後に解体費用として残るよう長期修繕計画を立てるマンションも出てきました。こうした取り組みを強化するため、将来的には、長期修繕計画の中で解体費用積み立てを義務付け、費用の一部を融資などの形で公的支援することも考えられます。

4.老朽化物件放置は食い止められるか

ただし、現在、解体費用を捻出する計画を立てている物件は、立地が良く、敷地が相応の価格で売却できる見通しが立っているケースと考えられます。つまり、一時的に解体費用を負担しても、敷地売却によって回収できると考えられるケースです。そのような見込みがなければ、解体費用を全額自己負担することにならざるを得ませんが、そこまでの合意ができる管理組合が出てくるかどうかは定かでありません。

一戸建ての空き家の場合、非常に危険な場合には、行政が解体費用を負担するケースも最近では増えてきましたが、共同住宅であるマンションの場合、解体には億単位の費用がかかるため、危険だからといってすぐに行政が費用を負担できるものでもありません。結局のところ、管理組合による解体費用の積み立てができなければ、老朽化物件が放置されたままになり、最悪の場合、この問題は八方塞がりになる可能性が高いのも現実です。

ここまで述べてきたように、老朽化マンションの処理について、いくつかの対応策は考えられますが、万能策は見い出しにくい状況にあり、今後、この問題に対する議論を深めていく必要があると考えます。