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2020年

4月

03日

知らないと損する新相続ルール。もはやお金持ちだけの話ではない!

 4月1日から相続税の運用方法が変わる。「争族問題」とも呼ばれる家族間の紛争を回避するため、手続きがより簡素化されるが、知らないと損することも……。今回、そんな新相続法のポイントを解説する。

 

4月1日から改正 知らないと損する新相続ルール

「約40年ぶりに相続法が大改正され、昨年から順次、施行されています。『相続争いなんてお金持ちの話』と考えがちですが、新ルールを知らないと、思わぬところで損をするリスクもあるのです」

 税理士法人タックス・アイズの五十嵐明彦税理士がこう話すのは、’15年の税制改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられ、これまで相続税を納める必要のなかった人も、相続対策に迫られるようになったからだ。

 今回の改正で特に重要なのが4月1日から施行される新制度「配偶者居住権」だという。

「夫(または妻)が亡くなったとき、残された配偶者が生活に行き詰まることのないよう、保護する目的で作られたのが配偶者居住権です。これにより、夫が亡くなった以降も、配偶者が生活の基盤である自宅に、優先的に住めるようになりました」(五十嵐氏)

 改正前は、配偶者が家族間の争いに巻き込まれ、住む家を追い出されるケースが後を絶たなかった。3年前、長年連れ添った夫に急な病で先立たれたA子さん(69歳)が、「針のムシロだった」という過去のつらい体験を振り返る。

「夫が2000万円の自宅と3000万円の預貯金を残してくれたので、一人息子と私が相続することになりました。ただ、息子は夫と折り合いが悪く、長らく音信不通で、夫が亡くなると『遺産をよこせ』と乗り込んできたんです。私は夫との思い出が詰まった自宅を相続するつもりでしたが、そうすると預貯金の相続分は500万円しか残らず暮らしていけません。結局『こんな田舎の家なんて売り払え』と言う息子が自宅を売却してしまい、泣く泣く老人ホームに身を寄せることになりました」

 こうした悲劇を防ぐのが、「配偶者居住権」だ。自宅の相続を「持つ権利」(所有権)と「住む権利」(配偶者居住権)に分けることで、妻(配偶者)が優先的に自宅に住み続けられる。五十嵐氏が続ける。

「夫が亡くなり、相続するのが妻と子という場合、両者の取り分は2分の1ずつ。法改正前は、夫が残した財産が2000万円の自宅と3000万円の預貯金というケースでは、妻が自宅を相続すると預貯金は500万円しかもらえず、生活が行き詰まってしまう。法改正後は、仮に自宅の価値を1000万円の所有権と1000万円の配偶者居住権に分けて、子が所有権を、妻が居住権を相続することで、妻は改正前より1000万円多い1500万円の預貯金を相続することができる」

 

改正相続法で賢く「節税」するには?

 ここで、すでに施行されている改正相続法のポイントにも触れておこう。遺言書の作成がPCでも作成可能となったほか、故人の預貯金が一金融機関につき150万円まで引き出せるようになるなど、多くの新ルールが設けられた。

 1年前に夫が急逝し、思わぬ苦難を強いられたB子さん(68歳)の苦労話は、改正前の制約がいかに理不尽だったかを物語っている。B子さんが当時を振り返る。

「2年前、夫が脳梗塞で急死したのですが、生前、生活費を含めたお金の管理はすべて夫がやっていたので、凍結された夫名義の銀行口座から1円も引き出せなくなってしまったんです……。凍結を解除するには公的書類が必要だけど、役所に行く暇なんて遺族にありませんよ。葬式費用も消費者金融で借金せざるを得ませんでした」

 一方、新ルールにおいて「節税」はどれくらい可能なのか?

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏がそのノウハウを話す。

「夫から妻が相続した自宅を、妻が亡くなったとき子が相続すると、そのたびに相続税がかかるが、配偶者居住権を取得した自宅の場合、子が相続するときに相続税はかかりません。また、相続時の自宅の評価額は、妻の死亡と同時に消滅する配偶者居住権の分が除かれるので、相続税自体も安くなります。ただし、配偶者居住権が付いている自宅は、いわば“こぶ付き”なので売りにくく、価値が落ちる可能性があり注意が必要です」

 不動産の相続には、小規模宅地等の特例を利用するといい。

「特例を利用すれば、自宅等の敷地の評価額を最大80%引き下げられます。5000万円の土地なら評価額が1000万円と節税効果は大きい。ただし、子が相続する場合、親との同居が必要だったり、相続前の3年以内に自らの所有する家に住んでいないことなど、条件がいくつかあります。また、預貯金は、“老々相続”になる前に、早めに生前贈与をしておいたほうがいいでしょうね」(深野氏)

 相続が金持ちだけの話ではなくなった今、新制度をいかに上手に活用すべきかがカギになるだろう。

 

<相続法の主な改正点>

【自筆証書遺言】
’19年1月~ 「手書き」が基本だが、財産目録等をパソコンなどで作成できるように
’20年7月~ 遺言書を自分で管理することに不安を感じている人のために、法務局で保管してもらうことが可能に

【相続人の預貯金】
’19年7月~ これまで遺産分割協議が終わるまで口座は凍結されたが、1行150万円まで引き出しが可能となり、葬儀費用の支払いなどに充てられるように

【義理の親を介護】
’19年7月~ 義理の親の介護を担ってきた非相続人(例えば、すでに亡くなっている「長男の嫁」で代襲相続人である子供もいない非相続人)が、「特別寄与料」という名目で、介護など労務提供したことを証明できればそれに相当する費用を請求することが可能に

【配偶者居住権】
’20年4月~ 配偶者が引き続き自宅(持ち家)に住み続けられるように。なお、婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅を生前に贈与した場合、遺産分割の対象外に

<相続に関する節税のポイント>

①配偶者居住権を取得
⇒自宅が課税対象になるのは父の死亡時のみに
⇒自宅の課税評価額も、配偶者居住権を差し引いた分、安くなる!

②小規模宅地等の特例を利用
⇒自宅等の敷地の評価額を最大80%引き下げられる!

③生前贈与を活用する
⇒住宅資金や子や孫の教育資金は、最大1500万円が非課税枠に
⇒暦年贈与なら、贈与税は年間110万円まで控除される

【税理士法人タックス・アイズ 五十嵐明彦氏】
税理士。公認会計士。社労士。資産税業務など幅広く手掛ける。『親が元気なうちからはじめる 後悔しない相続準備の本』(ディスカヴァー21)ほか、著書多数

【ファイナンシャルリサーチ代表 深野康彦氏】
マネー、商品全般の最新情報に詳しく、資産形成・運用に精通する。近著『10万円ではじめる! 人生100年時代の資産運用』(宝島社)ほか、著書多数

取材・文/斎藤武宏 撮影/山崎 元(本誌) 表組み内イラスト/大久保紫野

ハーバー・ビジネス・オンライン

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200403-00216025-hbolz-soci&p=1

 

2020年

3月

27日

住宅ローンの審査に落ちてしまった…。その理由とは?

多くの人が一生の中で最も高額となる買い物は「自宅」という場合が多いでしょう。高額であるがゆえに、その資金を現金で一括払いする(できる)方は少なく、多くの場合は住宅ローンを利用することになります。

ただし、住宅ローンにはそれぞれの金融機関が実施する「審査」があり、審査に落ちて借りられない場合や希望額を借りることができない場合などがあります。今回は住宅ローンの審査について確認してみたいと思います。

住宅ローンの審査ってどんな流れ?

金融機関での住宅ローンの審査には多くの場合「事前審査」と「本審査」の2段階があります。

住宅ローンの契約は、物件の売買契約が完了しないと締結できません。物件を購入したものの、万が一、住宅ローンを借りることができない場合には、購入資金を調達できなくなります。そのため、住宅ローンの事前審査と物件の購入の申し込みは、通常、同時並行して進められます。

事前審査の申し込みは、不動産会社や住宅会社に依頼することが多く、必要書類の準備や申し込み手続きなどの煩雑な作業をある程度任せることができます。また、自分自身でネット銀行や金融機関に申し込むこともできます。

特に、ネット銀行の場合はパソコンやスマホからいつでもどこでも住宅ローンの申し込みができるなど利便性が高く、審査に要する期間も短縮されるメリットがあります。そして、この事前審査を通過しないと次の「本審査」に進むことができません。

本審査ではより詳細な審査内容となるため、提出しなければならない書類も多くなります。本審査を通ったところでようやく住宅ローンの契約となります。

申し込みから審査結果が出るまでに要する期間は金融機関によって異なりますが、下の図の通り、一般的には事前審査で3~4日程度、本審査で1週間程度かかるといわれています。

不動産会社に購入を希望する物件を押さえておいてもらえる期間は1週間程度の場合が多いため、事前審査の申し込みは速やかに行わないと間に合わなくなるおそれもあります。不動産会社にも審査の流れなどをよく聞いて、余裕のあるスケジュールを立てるようにしましょう。

≪一般的な住宅ローン審査の流れ≫

 

住宅ローンに落ちてしまう理由

住宅ローンの審査の際に、金融機関ではどのようなところを見ているのでしょうか? 審査を申し込む人にとっては最も気になるところでしょう。一般的にいわれる住宅ローンの審査に落ちてしまう理由を見てみたいと思います。

1、申込者の信用度が基準を満たしていない
住宅ローンの申込者の信用度において金融機関が定める基準を満たしていない場合などが該当します。

特に、申込者の就業状況や申込時の年齢などがチェックされます。金融機関は貸したお金を確実に回収できるのかという観点を最優先で考えます。仮に、申込者が転職した直後である場合などは、お金を貸し出すことが難しくなります。

2、他の債務で遅延などがある
マイカーローンやカードローン、クレジットカードの支払いなど他の債務の返済状況による信用情報も審査に影響してきます。延滞の情報などが残っていると信用度が低くなってしまうため、新たに住宅ローンを借りることが困難になります。

3、「返済負担率」を超過している
「返済負担率」とは、申込者の年収に占める借入返済額の割合を示す数値です。例えば、フラット35では、年収400万円未満の場合には30%以下、年収400万円以上では35%以下と返済負担率の上限基準を定めています。

そして、この返済負担率を算定する際には、住宅ローンのみならず、他のローン(マイカーローンなど)も含んだ返済額で計算されます。つまり、住宅ローン単独では上限の基準に満たない場合でも他の借り入れの残高が影響して、住宅ローンの借入額が制限されることがあります。

このような場合には可能な範囲で、住宅ローンの審査の前にマイカーローンなどの他の借り入れを一括で返済しておくことも一つの対処方法となります。

4、健康状態に問題がある
ほとんどの住宅ローンでは団体信用生命保険の加入が必須条件となっています。つまり、団体信用生命保険に加入できる健康状態にないと、住宅ローンを契約することができません。

5、不動産の担保評価
金融機関は住宅ローンの契約の際に、同時にその不動産を担保とする抵当権を設定します。これは、万が一住宅ローンの支払いが滞った場合に、この抵当権を実行して住宅ローンの残債の返済に充てるためのものです。

つまり、購入する不動産にある程度の担保価値がないと住宅ローンの契約に至らないことになります。

 

住宅ローンの事前審査と本審査って何が違う?

事前審査とは、文字通り本審査に進むための事前の仮の審査といったところでしょう。その審査基準は金融機関ごとに異なりますが、多くの金融機関における審査基準は、以下のようなものといわれています。

(1)完済時の年齢、借入時の年齢
(2)健康状態
(3)勤務年数、年収
(4)購入不動産の担保評価
(5)連帯保証
(6)融資可能額(返済負担率)

まず、(1)年齢ですが、完済時年齢の上限はほとんどの金融機関の場合、80歳未満と定められます。それによって返済期間の長短にも影響が出てきます。また、申込時年齢は金融機関によって異なりますが、おおむね「満20歳以上満65歳以下」などとなっています。ちなみにフラット35の場合は70歳未満となります。

次に、(2)健康状態については、前述の通り、ほとんどの住宅ローンは団体信用保険の加入が必須となっています。病気などのために加入できなかったり、生活習慣病のリスクが高い人などは住宅ローンの契約にも影響を及ぼす可能性があります。

(3)勤務年数については、多くの金融機関が勤続年数を最低2~3年以上と定めています。同じく自営業者の場合でも営業年数が2~3年以上と定めている場合が多いです。また、派遣社員や契約社員の場合には借り入れは難しいことが多く、金利や保証料が高めとなる傾向があります。

(4)不動産の担保評価についても、金融機関としては最重要視する項目といえるでしょう。住宅ローンの支払いが万が一滞ってしまった場合には、その物件を担保として支払うことになります。

債権者である金融機関としては、その物件が返済に充てられるだけの担保価値があるのかということが判断基準となります。そのため、物件の担保評価が高いと金融機関が判断をすれば、住宅ローンの審査にも有利に働く可能性があります。

せっかく事前審査を通過しても、本審査で落とされてしまうと住宅ローンの契約はできません。本審査では事前審査よりも詳細な審査を行うため、提出しなければならない書類などが多くなります。必要となる書類などはおおむね以下の通りです。

(1)実印、印鑑証明書
(2)住民票
(3)課税証明書(住民税決定通知書)
(4)源泉徴収票(会社員など)、確定申告書(自営業など)
(5)本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
(6)売買契約書(不動産売買契約書、重要事項説明書)  など

※事前審査の段階では認め印でOKですが、本審査では実印での押印と印鑑証明書が必要となります。

 

住宅ローンの審査に落ちないためにできること

大まかな審査の流れとその審査基準を説明してきましたが、申込者にとって最も重要なのは可能な限り審査に落ちないようにすることです。審査に臨むにあたって事前に知っておくべきポイントを確認してみましょう。

1、頭金をできるだけ準備しておく
手元に預金などの頭金が十分に用意されていれば、年収などの理由から借入希望額に満たない場合などがあっても対応できる可能性があります。

せっかく見つけた希望にかなう自宅を購入する際に臨機応変に対応できるよう頭金に充てることができる現預金などを事前に準備しておくことをお勧めします。もちろん、その後の生活資金や子どもの教育資金などの支出を考慮した上での計画が必要です。

2、ペアローンや親子リレーローンなどを検討する
例えば、夫の年収だけでは希望の自宅の購入に必要な借入額の住宅ローンを組むことが難しい場合などには、さまざまなローンの方法があります。ペアローンとは、親子や夫婦などで住宅ローンを組み、双方が互いに連帯債務者として返済していくなどの仕組みです。

また、親子リレーローンとは、親が高齢、収入が少ない、などの場合に子どもが住宅ローンを引き継ぐことで長期間の借り入れが可能となる仕組みです。その他にも夫の収入に妻の収入を合算する「収入合算」という方法もあります。

3、クレジットカードなどを整理しておく
クレジットカードの支払いを遅延しただけでも信用情報に記録され、住宅ローンの審査にも影響が出ることがあります。本人にとってはちょっとした延滞なので気にもとどめていなかったケースが多いことでしょう。延滞している支払いなどがあれば、できるだけ返済しておきましょう。

Q&A

Q1:フラット35には事前審査がないと聞いたけど本当?
A1:フラット35では申し込みを受けた金融機関が事前審査を行い、住宅金融支援機構が本審査を行います。フラット35の場合は、利用するための「人」や「住宅」の条件が前もって公表されていることが特徴です。住宅の条件には、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合した「適合証明書」が必要であるなどの条件があります。

Q2:審査がゆるい金融機関はある?
A2:住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なるため、ある銀行では審査に落ちても、他の銀行の審査には通ることもあります。つまり、どの金融機関だから審査がゆるいということを明確にすることはできません。

ただし、フラット35の場合は一般の住宅ローンと審査基準が違うとされています。

例えば、フラット35の場合は、雇用形態や勤続年数には制限がなく、勤務状況などの人的審査よりも担保の対象とされる物件審査(建物の技術基準)に重点が置かれている傾向があるといわれています。

このような点を加味すると、どの金融機関で申し込んでもフラット35を選択した場合の方がローンの審査は通りやすい傾向にあるといえます。また、フラット35には公的融資としての側面がありますので、一般の住宅ローンと比較して自営業の人も審査に通りやすい傾向にあるともいわれています。

ただし、昨今ではフラット35の延滞者の増加や審査の甘さを問題視する動きなどもあり、以前のように明確に「フラット35だから審査が甘い」といわれることはなくなっています。

まとめ

住宅ローンの審査に落ちてしまうと、夢のマイホームを取得することが難しくなります。できる限り若いうちから貯蓄や保険などを使って頭金を準備しておくことが重要となるでしょう。

また、住宅ローンの返済期間は極めて長期に及びます。その間には考えもしなかった環境の変化が生じることもあるでしょう。住宅ローンは「借りることができる金額」ではなく、「無理なく返済できる金額」の借り入れを心掛けましょう。

執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200326-00010006-ffield-life&p=1

2020年

3月

19日

「中古マンションの購入は消費税がかからない」は本当か?

2019年10月、消費税が10%に増税されました。不動産は大きな買い物ですから、当然消費税も高額です。買主にとって「税金」は非常に関心の強い分野であると思われます。もしかしたら、「中古マンションの購入は消費税がかからない」という話を聞いたことがあるかもしれません。本記事では不動産会社で資産コンサルタントとして活躍する髙木弘美氏に、「中古マンションの購入に消費税がかかるのか」という疑問について解説いただきます。

 

中古マンションの消費税は「取引様態」で異なる

不動産は金額が大きいため、消費税は高額になります。買主にとって税金は非常に大きな関心事のはずです。建物価格4,000万円のマンションであれば実に400万円もの消費税がかかることになります。実は不動産の購入にかかる消費税の有無は、売主が誰であるかによって異なるため注意しましょう。結論からいうと、「売主が課税事業者」の場合は消費税がかかり、「売主が個人」の場合なら消費税はかかりません。

たとえば新築マンションは、一般的に売主が不動産会社(事業主)となるため、10%の消費税がかかります。一方、中古マンション購入の場合は、売主が事業者と個人どちらなのかは分かりません。前者であれば消費税が課税され、後者であれば消費税を支払う必要はありません。このように書くと「個人間で不動産の売買なんてありえるの?」と感じる人もいるのではないでしょうか。

たしかに個人から直接不動産を購入するケースはまれでしょう。しかし不動産会社の紹介(仲介)を受けて中古マンションを購入する場合、その売主が個人であれば消費税は非課税となります。現状不動産会社が仲介する中古物件の大半は、個人が売主なので実質は「中古物件を仲介で購入する場合は消費税非課税」と考えても良いかもしれません。

数百万円の消費税が非課税となれば買主にとっては大きな負担の軽減となります。不動産情報サイトやチラシの物件情報は法律で表示義務があるため物件の取引様態の記載が必要です。その種類は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3パターン。このうち「売主」とあるのはその情報を出している事業者が売主、つまり消費税がかかるケースです。

一方「代理」や「媒介(仲介)」の場合は、売主が事業者と個人のいずれの可能性もあります。このケースでは、不動産会社に直接確認してみるようにしましょう。

ここまで中古不動産の消費税の有無について述べてきましたが、これはあくまでも「建物」に関しての話です。不動産には建物と土地がありますが土地については、そもそも消費税がかかりません。これは売主が誰であるかは無関係で売主が不動産会社などの事業者であっても土地の場合は消費税がかからず購入できます。

また建売住宅などは「土地・建物セット」で販売されるケースが珍しくありません。この場合、販売価格の総額のうち「建物分がいくら」「土地分がいくら」という内訳が契約書に記載されています。この内訳を必ず確認するようにしてください。当然、建物代の割合が大きければ消費税は高くなり割合が小さければ消費税は低くなります。

 

マンション購入時の「手数料」や「諸費用」は課税対象

マンション購入にかかる費用は、マンションそのものの販売価格だけではありません。付帯するさまざまな手続きや書類の提出などにかかる手数料や諸費用が発生します。そしてこれらの諸費用は消費税の課税対象ですので注意しておきましょう。課税対象となる主な費用を以下に3つ紹介します。

●仲介手数料

不動産仲介会社に支払う手数料です。仲介手数料の上限は売買価格が400万円を超える場合「売買金額×3%+6万円+消費税」と法律で定められています。仮に3,000万円のマンションを仲介で購入し上限額の手数料(3,000万円×3%+6万円=96万円)を支払う場合、消費税は96万円×10%と算出され9万6,000円です。

●事務手数料

住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。金額は金融機関によって異なり事務手数料がないというところもあります。事務手数料を設定している金融機関は借入金額の2%程度が相場です。借入金額が3,000万円で手数料は2%(60万円)とすると消費税は6万円にもなります。

●登記費用

不動産登記の際には登録免許税や司法書士報酬が発生します。登録免許税には課税されませんが司法書士報酬は消費税の課税対象です。

■引っ越し費用、家具・家電の購入費用

中古マンションの購入に伴う引っ越し費用や入居時に購入する家具・家電代にも当然ながら消費税がかかります。冷蔵庫やエアコン、洗濯機やベッドなど購入費用に対して10%の消費税負担が必要です。消費税10%増税というのは購入検討者にとって決して無視できないものですが、国は増税分に対して「すまい給付金」や住宅ローン減税などさまざまな支援制度を設けています。

これから中古マンションの購入を考えている人は、消費税についても事前にしっかりと確認した上でこれらの制度を上手に活用しながら無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

髙木 弘美

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200318-00025789-gonline-bus_all&p=1

2020年

3月

13日

2020年開業の新駅を一挙解説!復興のシンボルや「田畑の中」にできる駅も

3月14日のJR各社のダイヤ改正に合わせて、いくつかの新駅が誕生する。これらJRの新駅に加え、今年全国で開業になる、そのほかの鉄道会社の主な新駅についてもチェックしてみよう。(鉄道アナリスト 西上いつき)

● 駅は街の顔となり その街のイメージをつくる

 鉄道依存度が高い日本においては、毎日のように多くの人々が家から駅、駅から目的地へと乗降を繰り返している。駅がその街に及ぼす影響は計り知れず、単なる交通手段としてだけではなく、その街の中心となり価値を生み出すものとなる。

 例えば、経済誌や大手不動産会社では「住みたい駅ランキング」なるものが発表されて毎度話題を呼んでいるが、世間もそれに日和見し、地価もその駅を中心に徐々に上がっていく、なんてこともある。

 今年開業する新駅の存在は、いかにその街に影響を与えるだろうか?今回は14日に控えるJR各社のダイヤ改正に合わせて開業する新駅を含めた、今年に開業予定の主な駅を一挙紹介する。

 

(1) 高輪ゲートウェイ駅(東京都港区・JR山手線 14日開業予定)

 14日のダイヤ改正に合わせてデビューするのが、この「高輪ゲートウェイ」駅だ。1971年に西日暮里駅が開業して以来、山手線ではおよそ50年ぶりの新駅の誕生となる。こんな歴史的瞬間が間もなく訪れようとしているのだから、鉄道ファンのみならず、多くの人々が今か今かとその時を待っているに違いない。

 なお、今回はあくまで「暫定開業」となり、全てが完成する本開業は2024年度ともうしばらく先になりそうだ。

 ご存じの方も多いと思うが、公募の駅名決定について批判が相次いだのも記憶に新しい。「カタカナがダサくて必要ない」「公募1位の“高輪”のみにすべきだ」などの反対意見もあったが、物議をかもしたおかげか、皮肉にも開業前から有名になった駅名ともいえる。この駅名は、もともとJR東日本が進める品川開発エリアを「グローバルゲートウェイ品川」と銘打っていることもあり、その中心地となる新駅にもゲートウェイを冠することになったのだ。

 同駅が立地する港南・芝浦エリアは、多くのマンション・商業地が建設されるなど急成長している。六本木・麻布などの古い街に比べると、港区随一の「発展途上」エリアともいえる。ここにできる新駅の役割には大きく期待したい。

 

● 港区にはもう1つの新駅が 静岡には難読駅が登場!

 (2)虎ノ門ヒルズ駅(東京都港区・東京メトロ日比谷線 6月6日開業予定)

 「高輪ゲートウェイ」と同じ、東京都港区下での新駅開業。その名の通り、超高層ビル群「虎ノ門ヒルズ」と地下道で直結する。駅開業にあわせて、周辺施設の開発も目まぐるしく進んでいる。こちらも高輪ゲートウェイと同じく暫定開業となり、開業後も本開業の2022年まで工事は続く。

 同駅は高輪ゲートウェイと同じ「地名+カタカナ」の形となったが、こちらについてはあまり多くの反対意見は上がっていない。東京メトロは駅名発表時に「より明確でわかりやすく」と掲げたが、なるほど既に街のランドマークとなった名前を直接冠したからこそ、高輪ゲートウェイと違って大きな批判にはつながらなかったともいえる。

 都心ならではの利便性の良さも注目だ。400m先の銀座線・虎ノ門駅とは乗換駅。現行の日比谷線・霞ケ関駅~神谷町駅間に位置しており、霞ケ関駅から約800m、神谷町駅から約500mという立地である。さらには東京オリンピック・パラリンピックにあわせて、虎ノ門ヒルズは5月にプレ運行が開始される、東京臨海部への「東京BRT(バス高速輸送システム)」の発着所となる。新駅を中心とした交通結節点として新たな役割も担っていくことが予想される。

 (3)御厨(みくりや)駅 (静岡県磐田市・JR東海道本線 14日開業予定)

 こちらも同じく14日のダイヤ改正に合わせて開業。住民からの要請により新設となった、いわゆる「請願駅」である。ただし、その請願自体は30年以上前になされたもので、長い時間を経てようやく今年、開業することとなった。新駅周辺にはヤマハ発動機の工場がある。ヤマハスタジアムの最寄り駅ともなり、Jリーグ・ジュビロ磐田の試合時には混雑も予想されている。

 また、ヤマハ発動機はネーミングライツによって名付けられた同駅北口広場「ヤマハ発動機Revs(レヴス)サークル」に、高さ12mにもなる「音叉」のモニュメントを設置。こちらも街の新しいランドマークとなりそうだ。

 この新しい駅に、「御厨」という難読名をつけたのはなぜだろうか。「わかりやすさ」とは真逆ではあるが、これは元からある地名に由来しており、地元では親しみある名前なのだという。また難読とはいえど、他県にもいくつか同じ地名がある。実は長崎県の松浦鉄道にも「御厨駅」という同名の駅が存在する。駅周辺の開発も多く予定されており、地元にとっても新たな拠点へと成長していく期待の大きい駅だろう。

 

● 三陸鉄道にも新駅 南伊予駅は田畑の真ん中に登場

 (4)新田老駅(岩手県宮古市・三陸鉄道リアス線 5月18日開業予定)

 2011年の東日本大震災にて甚大な被害を受けた三陸鉄道。2014年に一度は全線復旧を果たしたが、昨年の台風19号の影響により、再び被災してしまった。不通区間においてはバス代行輸送が行われていたが、今月20日に復旧工事が完了し、全線開通となる見込みだ。そんな三陸鉄道に5月18日に開業予定なのが新田老駅である。

 同駅近隣は災害公営住宅や道の駅などが作られており、エリア中心部に位置する。また、三陸鉄道の駅には愛称が付けられており、新駅・新田老駅についても公募で「真崎の紺青(こんじょう)」という瀟洒(しょうしゃ)なネーミングが選ばれた。東日本大震災から丸9年が過ぎ、同市における復興後の地域創生の拠点となることが期待される。

 (5)南伊予駅(愛媛県伊予市・JR予讃線 14日開業予定)

 JR四国発足後、5つ目の新駅となる南伊予駅。こちらも14日のダイヤ改正に合わせて開業する予定である。この新駅の開業は、県庁所在地駅としては構造上なにかと不便が多い松山駅が、2023年の高架化完了を目指し行われている工事に伴うものだ。現行の松山駅から移転して新車両基地が建設されるが、伊予市の要望もあり、南伊予駅についてもこれに隣接した形で設置されることとなった。

 貨物の車両基地としてはかなり大規模なものであるが、隣接する南伊予駅については特に特急も停車せず、周りも田畑だらけであるので、旅客駅としてどのくらいの効果があるのかは不明であるが、周辺地域がどう変わっていくのか、開業後に注目するところではある。

● 華々しい新駅開業の裏で 多くの廃駅も決まっている

 このように新駅開業が予定されている一方、2020年中に姿を消す駅も多い。長らく経営が苦しい状況のJR北海道では、ダイヤ改正を機に南弟子屈駅と古瀬駅の2駅、さらに5月には札沼線・北海道医療大学駅~新十津川駅間の廃止とともに、この区間の駅も廃止される。代行バスは運行されるものの、鉄道駅としての役割を失うことは沿線地域にとって大きな影響を与える。

 さらには、東日本大震災の被災規模が大きかったJR東日本の気仙沼線・大船渡線の一部区間についても、この4月1日に正式に鉄道事業を廃止することとなった。震災後は鉄道からBRTとして、専用道路でバスを運行する形に切り替わっていたが、ついに鉄道の復旧はかなわなかった。ダイヤ改正時に両線には「BRT」の駅が新設されるが、姿を変えてもぜひ、街の顔としての役割を果たしてほしい。

 少子高齢化・人口減少時代と言われて久しいが、2020年代となり、地方部においてはいよいよその影響が生々しい形で押し寄せてきている。冒頭で述べた通り、駅は「街の顔」としての役割も大きく、さびれていく姿を見るのは物悲しいものだ。

 しかし一方で、経済産業省および国土交通省が推進するMaaSの取り組みが各社で活発化し、パークアンドライドや公共施設、保育所など、さまざまな施設を併せ持つ駅が登場してくるだろう。駅が鉄道駅という単一の「手段」から、さまざまな機能を持つ「目的」としての存在となり、地域の拠点として、新たな価値を持つことも考えられるだろう。

西上いつき

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200313-00231590-diamond-bus_all&p=1

2020年

3月

06日

巨額の中国マネー、カナダに流入 豪邸が爆買いされ、地元住民が取り残された

「中国マネー」が世界を駆けめぐり、局地的な不動産バブルを生んだ。一気に押し寄せ、急に引いていく巨大マネーの波に、地元住民は翻弄されている。その様をカナダ、オーストラリアで見た。
カナダ西部の都市バンクーバー。中心部から橋を渡った北側にあるウェストバンクーバーは、高級住宅地として知られる。
地元不動産業者のクラランス・ディベル(63)が、海を見下ろす高台をベンツでのぼりながら、案内してくれた。

 

「家売って」中国人団体の戸別訪問

「この家は2回、中国人に売った。あそこはイラン人の家だったが、中国人に売った。その向こうの家もそうだ」

売り出し中の邸宅を2軒見せてもらった。大理石を敷き詰めた玄関、巨大なワインセラー、シアタールーム、海を一望する南向きのベッドルームとバスルーム。

「世界一の眺望だ」

3階建て約1100平方メートルで、2400万~2700万カナダドル(約20億~23億円)だという。

ディベルは2008年のリーマン・ショックで大損した銀行を辞め、不動産業を始めた。知り合いの中国人に翻訳してもらった広告をネットに流すと、中国本土から問い合わせが相次いだ。「バンクーバーで中国人向けに不動産売買を始めた最初の白人として有名なんだ」

11年ごろからの「熱狂」を、ディベルは忘れられない。

20~30人の中国人の団体がバスで押し寄せ、一軒一軒チャイムを鳴らして「売りませんか?」とたずね歩いていたのだ。20億~30億円の物件をその場で買っていく。ローンではなく一括で支払った。16年ごろまで、高額物件が1週間に3~4軒売れた。「そのころは本当に一日も休みなく働いた」

オーナーが中国人だという建設中の邸宅を見せてもらった。玄関の大理石やリビングの家具、シャンデリアなどは欧州中を探し、イタリアから輸入した。建設費は8億円を超えるという。建設業者のユリ・モーガン(37)は「私たちに注文するような人は、お金のことを気にしない。200万ドル増えてもぜんぜん気にならないようだ」と話す。

中国人の「爆買い」で住宅価格は急上昇、16年までの10年間で2~3倍に跳ね上がった。スイスの金融大手UBSのグローバル不動産バブル指数で、バンクーバーは16年にトップになるなど上位の常連だ。

 

「自国通貨は信用しない、不動産が安心」

1997年の香港返還の前から、自由がなくなると考えた香港の人がバンクーバーに住宅を買い求めるようになった。2010年の冬季五輪で注目が集まり、中国本土からも殺到した。

バンクーバー不動産協会長のアシュリー・スミス(35)は「海と山に囲まれて住むところが限られるが、生活しやすく教育環境が良いことから、富裕層の中国人家族が住むようになった」と説明する。

日本から1994年に移り住んだ不動産業者のフレッド吉村(50)は「中国やイランなど中東の人は、自国通貨を信用していない。財産をパークする(置いておく)目的でバンクーバーの不動産を買っている」。上昇を続ける不動産は「安全資産」で、自国通貨で持っているより心配がないというわけだ。

だが、「中国マネー」による住宅バブルは変調をきたす。

きっかけは州政府が導入した税制だ。2016年、外国人が住宅を買った際に価格の15%(18年から20%)の税金を追加でかけるようにした。さらに、空き家や、父親が中国本土で働くなど所得税を納めていない世帯を対象に、州政府が年間で不動産評価額の2%、バンクーバー市が1%の税金をとるようになった。20億円の住宅を買った場合、購入のときに4億円を余計に支払い、数千万円を毎年納めなければならない。

当局が動いたのは「特に若い世代が住宅を買えない状況」(市の住宅政策を担当するエドナ・チョウ)だったからだ。

いま、中国人投資家に一時の勢いはない。住宅価格は下落に転じた。

それでも、地元住民が「住宅バブル」の蚊帳の外に置かれる状況は変わらない。超高額物件の価格は下がったが、中間層にも手が届きそうな物件は高止まりしたままだ。この10年ほどで5倍に値上がりしている住宅もあり、価格は1億円を超えるものが多い。

中国マネーは地球の反対側にも押し寄せていた。オーストラリアのシドニーでは、12年ごろから中国や香港の投資家が殺到し、住宅価格は年10%以上のペースで上昇した。

あおりをくったのは地元の人だ。住宅産業協会(HIA)ニューサウスウェールズ事務局長のデイビッド・ベアー(59)は「価格が急騰し、地元住民が初めて住宅を買おうと思っても、手が届く値段ではなくなった」と説明する。

不満は実力行使を引き起こした。住宅価格がピークに達した17年、中央銀行や大手金融機関が集まるシドニー中心部の「マーティンプレース」に、多くのテントが立ち並んだ。

代表で「マーティンプレースの市長」と呼ばれたランツ・プリースリー(74)は「9カ月もの間、家を買えない約800人がテントにこもって抗議したのだ。投資家たちは、住宅をカジノでギャンブルをするように扱っていた。ふつうの労働者の収入でシドニーの住宅はとても買える値段ではない」と振り返る。

政府は「バブル退治」に動いた。外国人による不動産取得への税率を引き上げ、銀行への指導を強めて住宅ローンの審査を厳しくした。00年のシドニー五輪から右肩上がりだった住宅価格は値下がりに転じ、17年のピークと比べ7%超の下落となった。

シドニー中心部から電車で40分ほどの街エッピング。駅周辺にはマンションが並び、中国人に人気のエリアだった。昨年末、駅前に建設中の高層マンションのモデルルームを訪れてみたが、客の姿はなかった。一気に押し寄せ、急に引いていく中国マネーに翻弄されたように見えた。

 

このバブル、始まりはどこに

いまの世界のバブルは、2008年のリーマン・ショックから始まった。

危機から脱するため、米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)は、国債などの資産を買って大量のお金をばらまく「量的緩和」を3度にわたっておこなった。基軸通貨の米ドルが市場にあふれ、ドル安が進んだ。

中国はリーマン・ショック直後、景気の悪化を防ぐため、財政支出を4兆元増やした。当時の為替レートで約57兆円もの額だ。しかも人民元はドルと連動させていたので、ドルが増えるのにあわせて人民元を増やした。当然、ドル安に伴って人民元も安くなった。

もし中国が完全変動相場制をとっていれば、ドル安が進んでいたので、日本が急激な円高になったように人民元も高くなったはずだ。しかし、為替管理をしている中国は、通貨量を増やして人民元を安くした。年9%もの成長を遂げていたのにもかかわらず、財政出動と金融緩和を実行していたことになる。

つまり、景気の火が燃えているところに、油を注いでいたようなものだ。そんな状況で、バブルが生まれないはずはない。あふれた中国マネーは国内にとどまらず、世界を駆けめぐる。

そうしたときに人民元を持っていれば、インフレと通貨安で、価値が下がってしまう。お金持ちたちは、高値安定しているバンクーバーやシドニーの不動産などにお金を移した。その結果、世界の局地的なバブルにつながったのだ。

朝日新聞社

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200304-00010000-globeplus-int&p=1

2020年

2月

28日

親離れしない兄に絶句…母の葬儀後、妹が放った「驚愕の提案」

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、二次相続に直面した兄と妹の事例を、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

実家暮らしの長男…いつまでも親離れできず

今回ご紹介するのは、父、母、長男、長女の4人家族です。

父は有名企業で重役を務めあげた人でしたが、良き家庭人とはいえず、いわゆる仕事人間だったといいます。「あまり父との思い出はないんですよ」と二人の子どもが口を揃えていうほど、平日は仕事に、休日はきまって接待ゴルフにと、ほとんど家にいることはなかったそうです。

父が家にいない分、母は子育てに奮闘しました。しかしひとつ母には後悔があるというのです。

「父親がいないから、子どもを甘やかして育ててしまったかもしれません。特に長男は……」

母がそう後悔するのは、長女は30歳を前に結婚し、実家を離れたのに対して、長男は結婚の“け”の字も感じさせず、いつまでも実家を離れないからのようです。いまでは結婚をする/しないは個人の自由ですが、母の世代では結婚して一人前、という感覚が強いのでしょう。

「掃除も、洗濯も、食事の用意も、すべて親がしているの。あの子、私たちがいなくなったら、生きていけるのかしら」

40代の長男とはいえ、子どもはいつまで経っても子どもです。母の心配は尽きません。それから数年後、父が他界しました。長年勤めていた会社を定年退職してからも、再就職をして70歳を超えてもなお現役で働いていた父。「趣味は仕事です、って人だったわね」と父を懐かしむ家族。幼いころは仕事ばかりで家にもろくにいない父を嫌っていた子どもたちでしたが、最後の最後まで仕事にまい進していた姿に、生き様を見たようでした。

また父が残してくれた遺産も、かなりの額になっていました。「お父さん、お金を使うといえば、ゴルフくらいだったからね」と母。遺産は自宅のほか、株式や現金などが8,000万円ほどありました。母と、長男、長女で話し合った結果、長男に3,000万円、長女に1,000万円、母は自宅とその残りという分け方になりました。長男と長女の相続額に違いが生まれたのは、「お母さんの面倒は長男が見るから」という理由からだったといいます。

とはいえ、まだまだ母は元気なので、長男が母の面倒を見ることはありません。仕事で忙しい長男を支える母、という構図はこの後も変わらなかったといいます。

 

母の遺産は実家と貯金…兄妹でどう分ける?

母は80歳近くで他界しました。晩年は足腰が悪くなっていたので、自ら希望して介護施設に入居していたそうです。

「うちの上の子、結婚してなくて1人できちんとやっていけるのか、心配で仕方がないのよ」

と、介護施設でも心配していたのは、長男のことだったといいます。

葬儀のあとのこと。実家にいたのは、長男と長女でした。

長女「いいお葬式だったね」

長男「いろんな人に愛されていたんだな、お母さん」

長女「そうね。で、兄さんはこれからどうするの?」

長男「えっ、別にこれからも変わらず……」

長女「じゃあ、このまま実家に住むってわけね」

長男「まあ、そうだな。俺は一人だし、長男だし」

長女「じゃあ、あの家は、兄さんにあげるわ」

長女はさりげなく母の遺産相続の話を始めていました。長男は「まだ葬儀が終わったばかりなのに……」と、少しげんなりしたといいます。

長女「ほかに、どれくらい遺産があるのかしら?」

長男は、いそいそとタンスから母の貯金通帳を持ってきました。母が残したのは、4,000万円ほど。

長女「ねえ、この家は兄さんのものになるんだから、このお金は私のものよね」

長男「えっ、それはないだろう……」

長女「だって、この家、絶対4,000万円以上するわよ。貯金を全部もらっても足りないくらいよ」

長男「でも家は売るわけじゃないから、お金にならないだろ。俺も少しぐらいは……」

長女「ちょっと兄さん、これまで散々、親に甘えて暮らしてきたんじゃない。さらにもっとお金が欲しいなんて、どこまで厚かましいのよ!」

長男「でも……」

長女「それに、お父さんの相続のときに私よりも多くもらっているじゃない。お金には困っていないはずよ」

長男「困ってはないけど……」

長女「あーイライラする! そんなんだから、死ぬ間際までお母さんに心配されるのよ! 還暦を前にして、情けないったらありゃしない。 早く親離れしなさいよ!」

長男は何もいえず、そのまま黙り込んでしまいました。結局、遺産分割は長女のいうとおりになったそうです。

 

遺言書を作成する際は、遺留分の侵害に注意

父が亡くなった際の一次相続では何もいうことがなかったのに、母が亡くなった際の二次相続では、ずいぶんと強気の態度に出た長女。このように兄弟姉妹の間で相続争いになるのは、二次相続のときに起きやすい傾向にあります。

このような争いを避けるためにも、遺す側は遺言書をつくっておくといいでしょう。そして遺言書を作成する際、気を付けたいのが「遺留分」です。

遺留分はひと言でいうと、「残された家族の生活を保障するために、最低限の金額は相続できる権利」のことで、法定相続分の半分が認められます。

遺留分の計算をするときは遺産の金額の考え方に注意が必要です。この遺産の金額は、相続が発生した時の時価とされています。ここで注意をしなければいけないのが、不動産の時価の考え方です。相続税を計算する際に使う不動産の評価額は、相続税評価額というものを採用します。一方で、遺留分を計算する際に使う不動産の評価額は、実際の売買価格を基準とします。

相続税評価額ベースでは遺留分を侵害してなくても、実際の売買価格ベースにすると遺留分を侵害しているケースもあるので要注意です。

【動画/筆者が「遺留分について」分かりやすく解説】


橘慶太

円満相続税理士法人

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200228-00025728-gonline-bus_all&p=1

 

2020年

2月

21日

20代で家を買うなら必ず知っておきたい「贈与税」究極の活用法

たとえ親子の間とはいえ、年間110万円超の贈与を行った場合には、贈与税の対象になる。贈与税は相続税と並んで、最高税率55%のわが国でも最も税率の高い税金。うかつに贈与するとたいへんなことになりかねない。

 

しかし、この贈与税には合法的な抜け道がある。

 現在は「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税枠」という特例が実施されていて、住宅を取得するために、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合、最大3000万円まで非課税になる。資金的余裕のある家庭なら、これを利用しない手はないだろう。

 

3110万円まで「税金ゼロ」

 この特例、実は15年に誕生したものだが、19年10月の消費税増税に対応して、19年4月から非課税枠が3000万円に拡充されている。

 消費税増税によって住宅市場が冷え込むのを防止するためで、図表1にあるように、消費税のかからない中古住宅を取得した人などが利用できる非課税枠は最大1200万円に対して、消費税10%で買った人は3000万円になっている。年間の基礎控除枠110万円と合わせて、3110万円まで非課税になるのだ。

 非課税枠がないと、3110万円の贈与を受けた場合、基礎控除110万円を除いた3000万円が課税対象で、税額は、

 3000万円×0.45(税率)-265万円(控除額)

 で1085万円の贈与税がかかってくる。3110万円貰っても、実際に住宅取得に充てられるお金は2025万円に減ってしまう。それが、3110万円丸ごと住宅取得に使えるのだから、おいしい話だ。

 

3000万円の非課税枠はいつまで?

 しかし、この非課税枠の拡充、あくまでも消費税増税に対応した臨時措置なので、3000万円の非課税枠は20年3月末の契約までに限られる。

 20年4月以降は、21年3月までが1500万円に、21年12月までが1200万円に縮小される予定なのだ。

 しかも、そこまでは決まっているが、その先がどうなるのかは未定。非課税枠を縮小して継続される可能性もあるが、廃止されてしまう可能性もないではない。

 3000万円フルで利用できる経済的余裕があるなら、非課税枠が大きい今のうちに実行するのが得策と言える。

 住宅取得の契約を3月末までに行っておけば、3000万円の非課税枠が利用でき、引き渡しや入居がその後になってもOKだ。

 ただし、この制度は一覧表にあるように、2021年12月末までの時限措置であり、そこまでに贈与を受けて、翌22年の3月15日までに入居する必要がある点は注意が必要だ。

 

20代住宅購入者の3割が利用

 では、この特例、どれくらいの人が利用しているのか――住宅流通経営協会の調査によると、図表2にあるように、全体では14.6%の人が利用している。年代によって大きな差があって、20歳代では29.7%と、3割近くの人が非課税枠を活用している。

 贈与額は、「500万円以下」が41.6%と最も多く、1000万円以下の合計で77.8%に達するが、「1000万円超~2000万円以下」が16.3%、「2000万円超~3000万円以下」が3.6%、「3000万円超」が2.4%と、多額の贈与を受けている人も決して少なくない。

 また、住宅生産団体連合会の注文住宅を建てた人たちを対象にした調査では、2018年度に贈与を受けて注文住宅を建てた人の受贈額の平均は1174万円という結果だった。

 地域による差が大きく、東京圏は1217万円で、大阪圏は1452万円、名古屋圏は1024万円となっていている。名古屋圏は東京圏や大阪圏よりこの非課税枠の利用率が高い反面、贈与額は少ないといった地域性がみられる。

 

住宅購入のチャンス!

 この制度は、子どもや孫の側からみれば、贈与を活用して住宅を取得する大きなチャンスにほかならない。

 事実、非課税枠を利用してマイホームを取得した人たちに、この制度の影響を聞いたところ、図表3のような効果があったとしている。

 最も多かったのは、「借入額を少なくできた」の66.7%で、次いで「住宅を購入することができた」「住宅の購入時期を早めた」などが続いている。

 この制度があったからこそ、住宅を買うことができた、あるいは購入時期を早めることができた、また借入額を減らしてローン負担を軽くできたとしているわけだ。

 そのほか、住宅をグレードアップしたり、より立地のよい住まいを手に入れたりすることなどにつながっている。

 

相続税の課税割合は8.3%に上昇

 贈与を受ける側にメリットがあるのと同時に、親や祖父母の側からすれば、この非課税枠は究極の相続税対策にもなる。

 周知のように、相続税は2015年から基礎控除が引き下げられて増税され、相続税負担は一段と重くなっている。相続税には基礎控除があって、14年までは相続1件当たり5000万円、相続人1人当たり1000万円の非課税枠があった。配偶者と子ども2人の合計3人で相続する場合、5000万円+1000万円×3の8000万円まで非課税になった。

 それが、15年以降は相続1件当たり3000万円+相続人1人当たり600万円に減額されている。やはり3人での相続になると、3000万円+600万円×3の4800万円になってしまう。

 国税庁のデータによると、この基礎控除の引き下げによって、それまでは相続税の課税対象になる割合は4.4%だったのが、2017年には全国平均で8.3%まで上がった。

 地価の高い東京都ではこれが16.2%に達する。山手線の内側に不動産を所有していれば、ごくふつうの持ち家に住んでいるだけで、相続税の対象になるといわれるほどだ。

何人に贈与してもかまわない

 この相続税対策として、アパート経営などが推奨されたが、アパートが増えすぎて空室が増加し、却って負担になってしまっているケースも少なくないといわれる。

 それに対して、この住宅取得等資金贈与の特例の非課税枠制度は、こうしたリスクの一切ない究極の相続税対策となる。

 子どもに生前贈与する方法としては、「相続時精算課税制度」もあり、最大3000万円まで非課税で贈与できるが、こちらは、将来相続が発生したときには、生前贈与した分も巻き戻して相続税評価額に加えられる。相続時に精算することが前提の制度であり、いってみれば、税金の先送り、繰り延べに過ぎない。

 それに対して、住宅取得等資金贈与の特例の非課税枠を利用して生前贈与した分は、将来的にも課税される心配はない。贈与しっぱなしですむわけで、まさに究極の相続税対策になるわけだ。

 しかも、この最大3000万円の非課税枠は、贈与を受ける側1人当たりの枠であり、何人に贈与してもかまわない。子どもが2人なら、それぞれ3000万円ずつ、合計6000万円でもOKで、子どもだけではなく、孫まで含めて5人、10人でも贈与できる。

 

最高の相続税対策

 たとえば、縁起でもない話だが、いま亡くなった場合、家などの不動産、預貯金などを合わせて1億円の相続税評価になるとすれば、配偶者と子ども2人の3人で相続する場合、「1億円-3000万円×3」の基礎控除を除いた5200万円が相続税評価額になる。シッカリ相続税の対象になってしまうのだ。

 しかし、2人の子どもに3000万円ずつ贈与しておけば、相続税評価額は4000万円に減って、基礎控除の範囲内におさまり、相続税課税対象外になる。つまり、相続税は1円もかからない。

 親としては、子どもたちが相続税負担に苦しむのを未然に防いで、安心して老後の生活を送ることができるし、子どもたちの側としても、予定より早くマイホームを取得できたり、ローン負担を減らしたりできるといったメリットがある。

 親にとっても、子どもにとってもハッピーな結果であり、文字通り最高の相続税対策といっていいのではないだろうか。

山下 和之( 住宅ジャーナリスト)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200221-00070494-gendaibiz-bus_all&p=1

2020年

2月

14日

南海トラフ巨大地震が来る!「東京の物件」が比較的安全な理由

巨大地震への心配が高まるなか、不動産オーナーは、地震や津波のリスクを考えなければいけません。2011年3月の東日本大震災から約9年が経とうとしているいま、改めて震災リスクについてしっかりと学んでおきたいものです。本記事では株式会社SRコーポレーションで不動産コンサルティングを行う高澤啓氏が、リスクを考慮した不動産投資について解説していきます。

 

太平洋岸の広域で震度7、最大34mの津波を予想

南海トラフ」とは静岡県の駿河湾から九州東方沖まで続く深さ約4,000メートルの海底のくぼみ(トラフ)。海側の岩盤が陸側の岩盤の下に沈み込む境界にあり、過去約100~150年の間隔でマグニチュード(M)8前後の地震が繰り返し起きてきました。東日本大震災と同規模レベルの地震で、太平洋側の大陸プレートと海洋プレートの動きによって生じます。

高い津波予想もされている大変危険な地震で、地震による揺れの被害よりも、火災や津波による被害のほうが多く想定されています。

静岡から西側の被害が大きく、沿岸部はほぼ震度7、津波は最大34mと予想され、地震と津波によって多くの被害者、多くの建物損壊が見込まれています。ちなみに東日本大震災の最大津波は福島県富岡町の21.1m、陸地を走る津波の到達最高地点(遡上高)が40mを超える場所もありました。

静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知、大分、宮崎など、太平洋に面したエリアでアパート経営をされている方は、ある程度の覚悟が必要でしょう。

関東に関しては伊豆の下田で大きな津波は止まりますが、相模湾は10m級の津波被害が想定されています。東京都内を見てみると、東京湾内は囲まれており横浜で震度6弱、東京都内は震度5強となり、最大約2.5mの津波予想となります。

東京湾にはいくつも水門があり、巨大地震発生時には水門を閉じることで、都内への浸水を阻みます。防潮堤は4.6m~8.0mの高さがあり、地震発生から津波到達まで1時間以上あるため、水門を閉じることができ、都内の津波被害想定はほぼ皆無と言えるでしょう。

「東京は地震が来るから怖い」

「東京にも津波がくる」

そんな風に誤解されていた方も多いのではないでしょうか。

もちろん地震が来たら、帰宅難民や食料・燃料問題、液状化(荒川区や江戸川区)など、様々な問題は抱えることになりますが、東海地域や西日本に比べると安全と言えます。それでも東京は活断層があるから大きな地震が起こりやすいと考えている方もいますが、確証のない情報に踊らされているだけです。

地震はプレート型の地震と活断層の活動により断層にずれが生じて発生する地震とに分かれます。そのなかで横揺れになりやすいのがプレート型、縦揺れになりやすいのが活断層型です。

中部近畿地方に断層が集中しているので、建物崩壊の可能性の高い直下型は東京よりも警戒すべき地域はたくさんあります。そもそも世界の地震の8割が集中する日本では、小さな地震も含めると年間2,000回以上あります。関東には関東で一番大きな立川断層という活断層がありますが、直下型は広範囲には広がらないこと、そして最近の研究で数千年に一度しか発生しないため、切迫性はないと発表されました。こうしたことから、直下型やプレート型の地震にも東京はある程度強いことが想定できます。

 

「木造」と「RC造」…津波と火災に強いのは?

大阪や名古屋の不動産投資に比べても東京での不動産投資は安全性が高いと考えられますが、震度6以上の地震や津波が来た時に、木造住宅(アパート)と鉄筋コンクリート造(RC造)とでは大きな違いがあります。不動産投資をする以上、建物が崩壊してしまう場合や、地震による火事で大正時代の関東大震災のように建物が全焼してしまっては意味がありません。

アパートとマンションで比較をしてみます。まず津波被害の違いですが、以下、(財)日本住宅・木材技術センターの調べをご紹介します。

調査結果概要(津波被害)

■津波被害について
– 木造住宅では、基礎、土台を残すのみという壊滅的な被害を受けていた。
– RC造、S造でも、低層建築物では、倒壊は免れているものの、全壊と見做さざるをえない、手ひどい被害を外壁、 開口部に受けていた。
– 木造建築物でも、大断面集成材の建物では、手ひどい被 害を受けながらも倒壊を免れているものがあった。

■津波波力
– 津波波圧到達高さ2.6m程度で、木造住宅の設計用風圧 力と同程度、3m程度で2 2倍程度と推定された 倍程度と推定された。
– 大断面木造では、外壁を破られることで、津波波力を受け難い形状となり、倒壊を免れたと推定された。つまり、木造住宅は耐久力的に2.6m程の津波でも倒壊する可能性があるということです。一方、RC造に関しては窓や開口部等の崩壊はあっても建物自体の倒壊は見られませんでした。この時点でも地震対策に強いのはマンションであることがわかります。

次に火災被害の違いについてです。消防庁によると、木造住宅が全焼するまでの時間はなんと約20分となっています。これは初期消火をしなかった場合の時間ですが、地震発生時に火事が発生しても消防車が間に合わない可能性も高く、木造住宅はほぼ全焼するということになります。

地震の時間帯は食事時だとしたらかなりの被害になるでしょう。対してマンションの場合は通気性の悪さも影響して、火が回るのが非常に遅いです。さらにコンクリート壁が焼けるより早く窓ガラスが割れます。その際フラッシュオーバーと呼ばれる状態になり、急速に煙は増えますので、早めの避難が重要です。全焼するには1000度の高熱で2時間以上燃え続けるという条件でようやくコンクリートが溶け始めます。今の消防整備状況でマンションが2時間以上燃え続けるという環境は考えにくいことから、全焼する可能性はかなり低くなるということです。ここでもマンションに軍配が上がりました。

 

結局、震災リスクにも強い「都心」の不動産

ここまでで見えてきたのは、どこでどんな不動産投資をすれば少しでも「地震・津波リスク」と向き合えるのかということです。地震、津波に一番強いのはどのような角度で見たとしても東京都心部のマンションということになります。さらに津波の影響を考えると、2階以上の物件であれば都内の最高津波到達点も超えてくるのでより安心できるでしょう。

最後に重要なのが地震保険です。新耐震基準のマンションは震度7でも建物が倒壊しない想定の作りではありますが、火災が発生する場合があります。コンクリート造であれば、全焼は考えにくいですが、部屋のなかには壁紙を含め、家具など燃えるものはあります。こういった被害があった場合には100万~300万円程度の修繕費用がかかる場合もあるので、地震保険に加入することをおすすめします。

高澤 啓

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200213-00025400-gonline-bus_all&p=1

2020年

2月

07日

住宅ローンの相談をする前に、自分で確認しておきたいポイント

もし、あなたが「そろそろマイホームを」と考えたときに、まず気になるのは「良い物件」を選ぶことでしょう。

そして、それと同時にマイホームの資金調達のための「住宅ローン」選びも重要な要素といえるでしょう。多くの方にとって、一生の中で数少ない体験となるため、わからないことがあるのは当然です。そのような時に相談できる相手は誰でしょうか?

住宅ローンについて相談できる場所

まずは、以下の住宅金融支援機構の民間住宅ローン利用者の実態調査の結果をご覧ください。

住宅ローンを実際に利用した方からの回答で、役立った情報源として断トツの約半数を占めるのは、「住宅・販売事業者(営業マン、店頭、営業所など)」となっています。やはり、住宅を購入する段階で最も頼りにされているのは、いわゆる不動産仲介会社、住宅メーカーなどです。

住宅ローンについても不動産業者がすすめる提携ローンを利用することでスムーズに手続きが進めることができ、有利な条件で契約できる場合もあります。

この結果から、特に初めて住宅ローンを検討する場合には、良い不動産業者(良い担当者)を見つけ、しっかりと相談しながら手続きを進めていくことが住宅ローン選びに失敗しないための秘訣といえるでしょう。

 

住宅金融支援機構「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第2回)」

そして、2番目に多い回答はインターネットです。以前までは2番目は金融機関でした。当然といえば当然ですが、現代はインターネットを使えば、ほとんどの情報を得ることができます。

また、24時間365日いつでも住宅ローンの申し込みができる「ネット銀行」の普及もその要因の一つといえるでしょう。ネット銀行では、ローン相談専用ダイヤルによる電話相談やスカイプ(インターネット無料通話)などを使った相談対応も実施されています。

3番目には金融機関が挙げられています。昨今の史上最低の金利水準の中で、前述のネット銀行の台頭などもあり、金融機関の間でも熾烈な顧客の争奪合戦が繰り広げられていることは確かです。銀行は、各支店での相談窓口だけでなく、個人向けのローンを専門に扱う窓口として「ローンプラザ」を開設している場合も多いです。

また、通常の営業時間とは別に平日夕方や夜間、さらに土日祝日でも相談できる体制をとっている場合もあります。原則は事前予約制となっており、待ち時間もなく、じっくりと相談できることがメリットの一つといえるでしょう。

 

住宅ローンの専門家はいるの?

ここまで、住宅ローンの利用者が住宅ローンを利用する上で役に立った情報源として回答した上位三者を見てきました。これら3者の共通項は顧客に対して何らかの目的を持って接しているという点です。第1位の不動産業者の目的は、ずばり「家を売ること」です。

第2位のインターネット(ネット銀行など)、第3位の金融機関とともに、目的は「住宅ローンの契約を通じて優良な顧客を獲得すること」でしょう。つまり、3者とも「何かを売りたい」「何かを得たい」という目的があるということがいえるでしょう。

そんな中、顧客の利益を優先し、中立したアドバイスができる存在がファイナンシャルプランナー(以下、FP)といえるでしょう。ただし、士業なども同様ですが、一言でFPといってもそれぞれ得意とする分野が異なります。

例えば、FPがカバーする分野は保険、金融、相続、不動産などさまざまな領域があります。やはり、住宅ローンの相談については、その分野を得意とするFPに相談すべきでしょう。

一般財団法人住宅金融普及協会が運営する「住宅ローンアドバイザー」という資格制度があります。あくまでもひとつの目安ですが、不動産取引に関する宅地建物取引士を含め、このような資格を有しているFPは、住宅ローンの相談対応に必要となる一定レベル以上の知識や情報を有しているといえるでしょう。

また、FPの資格を有している方の多くは、会社や団体など何らかの組織に属していることがほとんどです。独立してFP業務に専業として取り組んでいる方はほんの一握りしかいないでしょう。

組織に属しているFPが決してダメということではないですが、組織によっては、利害関係などにより紹介できる商品やサービスに偏りが出てしまうことも考えられます。

相談される方は、それらの背景を十分理解した上で相談に臨まれることが重要となります。FPへの相談のメリットは、第三者的な視点で中立したアドバイスが得られることです。

例えば、銀行から勧められた住宅ローンのプランに対しての他行との比較検討や手数料や団信などを含めた総合比較などについてもアドバイスをもらうことができるでしょう。

 

住宅ローンについて相談する前に確認しておきたいこと

FPへの相談は、すでにもらっている提案内容を、改めて検証する上でも有効な手段であることを記載しました。一点注意したいのは、FPへの相談は原則有料となるということです。それぞれのFPにより料金設定などはもちろん異なりますので、事前に確認した上で相談することが必要です。

FPへの相談のもう一つのメリットは、住宅ローンの返済計画を含めた将来的なライフプランに基づくキャッシュフロー表を作成できることでしょう。毎年の家計収支の予測や将来的に必要となる資金を数値化することで、住宅ローンが無理なく返済できる額であるのかをシミュレーションすることができます。

また、住宅購入の前後に活用できる「すまい給付金」、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」など税制面での優遇策についても確認することができるでしょう。

つまり、より第三者的で総合的なアドバイスがほしい場合や家計全体への影響を含めたアドバイスがほしい場合などには、FPへの相談は有効な手段といえるでしょう。ただし、時間制などの有料相談となる場合が多いので、事前に相談したい(知りたい)ポイントをまとめておくことが重要となるでしょう。

まとめ

前述の実態調査の結果からもわかる通り、住宅ローンの選定を含めた住宅購入の成否に最も影響があるのは、「良い不動産業者を選ぶことができるか」ということでしょう。そして、それに第三者としての適切なアドバイスが加われば、安心感も格段に増すものと思います。

一生の中でそんなに多くない住宅ローンの契約ですから、自ら納得して、安心して選択したいものです。

出典 住宅金融支援機構「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第2回)」

執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200206-00010007-ffield-life&p=1

2020年

2月

03日

「リモートワークに適した都市ランキング」ニューヨークが全米ワースト2位の不名誉。1位に輝いた意外な都市とは?

働き方の多様化やデジタル環境の充実により、オフィス以外の場所で仕事をする人が世界各地で増加し続けている。

アメリカでは2005年~2017年の間に、リモートワークをする人の数が2.5倍以上に増えたという。さらにフリーランスで仕事をし、属する企業やオフィス自体が存在しないという人の数も増え続けている。

このような流れの中で、アメリカでは住む場所としてだけでなく「リモートワークやフリーランスの活動に適しているかどうか」という切り口で、都市を分析・評価する動きが活発化。

これまでのイメージを覆す意外な都市が、「リモートワーク・フレンドリー」「フリーランス・フレンドリー」な存在として脚光を浴び始めている。

リモートワーカーにとって重要なWi-Fiスピード、カフェやコワーキングスペースの多さ

キャリアアドバイスサービスを手掛けるアメリカのOverheard on Conference Callsは、このほど「リモートワークに適した全米都市ランキング」を発表した。結果を見る前に、その評価方法を紹介しよう。

このランキングはリモートワーカーが重視する5つの項目で構成されている。まず「ワーク」要素としてネット環境、コワーキングスペース、仕事のできるカフェ、さらに「ライフ」要素として生活コスト、通勤時間だ。

この5要素を重要度の高い順に「Wi-Fiの平均速度」「人口一人当たりのコワーキングスペース数」「人口一人当たりのカフェの数」「生活コスト」「通勤時間を短縮できる度合い」として数値化し、加重平均でポイントを算出。アメリカで人口の多い上位50都市を対象にランキングを作成している。

 

リモートワークに適した都市全米1位はミズーリ州カンザスシティ

このランキングで「リモートワークに適した都市全米1位」の座に輝いたのは、ミズーリ州のカンザスシティだ。人口約50万人のカンザスシティが位置するのは、ニューヨークのある東海岸からもシリコンバレーのある西海岸からも遠く離れた内陸部。

ちょうど地理的にも人口分布的にもアメリカの真ん中に位置するため、Heart of Americaという別名を持つ。

農業・畜産業が盛んで、ステーキやバーベキューという印象の強いカンザスシティが、なぜ名だたるテック都市を抑えて「リモートワークに適した都市」全米1位と評価されたのか、その一番のポイントはネット環境の良さだ。

カンザスシティのWi-Fi速度はアメリカで一番早いとも言われている。実は2012年にGoogleの高速インターネットサービスGoogle Fiberを、世界で初めて導入したのがカンザスシティで、現在では市街地の50区画以上に無料の公共Wi-Fiが整備されている。

カンザスシティは街をあげてスマートシティ化に取り組んでいて、充実した公共Wi-Fi以外にも、歩行者の動きを検知して対応する信号や街灯や、公共の情報キオスクの設置などIoT技術を駆使した街づくりが進んでいる。

 

生活コストの高いニューヨークやロサンゼルスなどの大都市は評価が低い

リモートワークに適した都市ランキングでカンザスシティに次ぐ第2位は、ユタ州のソルトレークシティ。評価項目の中でも特に生活コストの安さが、高評価の原動力となっているようだ。

その他トップ5には南部テキサス州からオースティンとサンアントニオ、東部ノースカロライナ州のローリーが名を連ねている。

反対にランキング最下位となり、「リモートワークに適していない都市」という不名誉な称号を得てしまったのは、テネシー州のメンフィス。生活コストは抑えられるものの、Wi-Fi速度が遅く、カフェやコワーキングスペースの数が少ないことが敗因となっている。

そして49位、メンフィスに次ぐワースト2と評価されたのがニューヨークだ。言わずと知れた全米最大の都市だが、まず生活コストが圧倒的に高く、人口一人当たりに換算するとカフェやコワーキングスペースの数でも平均を下回るレベルという結果だった。

同じ理由でロサンゼルスも43位と低位に沈み、テック都市の代表格であるサンフランシスコはWi-Fi・カフェ・コワーキングスペースの「ワーク」要素では8位につけているものの、生活コストの高さに足を引っ張られ総合では26位という順位になっている。

 

フリーランスに適した都市ランキングでも大都市圏から外れた中都市がトップに

もうひとつ似た切り口のランキングを紹介しよう。不動産情報サービスのNeighborhoods.comが発表した「フリーランスに適した都市ランキング2019」だ。

リモートワーカー向けランキングと同様、ここでもWi-Fi速度とカフェの数が主要な指標として使われている。

さらに生活コストの指標として1ベッドルームの平均家賃、所得税の高さ(アメリカでは州によって税率が異なる)が使われ、フリーランスならではの指標として「街の動き回りやすさ(徒歩・自転車・公共交通機関の利用を前提)」が加えられている。

全米150都市を評価対象にしたこのランキングのトップ30までに、ニューヨークやサンフランシスコは登場しない。1位2位となったのは、アメリカ北西部にあるワシントン州のスポケーンとバンクーバー。

いずれも人口20万人程度の都市だ。家賃と所得税が抑えられ、Wi-Fi速度とカフェの数、動き回りやすさの項目を高い基準で満たしている。

他にもトップ10にはフロリダ州からフォートローダーデール、オーランド、ハイアリア、タンパの4都市が、アリゾナ州からテンピ、スコッツデールの2都市がランクイン。テキサス州のサンアントニオはリモートワーク、フリーランス両方のランキングでトップ10入りを果たしている。

 

リモートワークのしやすさで都市を選ぶという考え方が広まるか

これらのランキングを見ていくと、就労場所として花形だったはずのニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコといったアメリカの大都市が、リモートワーカーやフリーランサーにとっては、もはや条件の良くない場所になっていることがわかる。

逆にあまり知られていない小~中都市が、リモートワークという切り口で見ると、とても魅力的な場所に変貌することもある。

これからビジネスの主軸になっていくミレニアル世代は、自分の働き方に高い自由度を欲する傾向が強い。

米メディアCNBCのレポートによると、ミレニアル世代のうち71%が職場の自由度の無さを理由に転職を検討し、28%が「より自由な働き方」(リモートワークが認められるかどうかなど)を手に入れるためなら、長期休暇をあきらめても良いと回答している。

アメリカに限らず全世界でリモートワークをする人は益々増えていくのは間違いない。その際に、今の生活圏を前提にリモートワークをするのではなく、リモートワークのしやすさで都市を比較し、住む場所を選ぶという発想がアメリカで、さらには日本でも広まる時が近づいているのかもしれない。

文:平島聡子 / 編集:岡徳之(Livit)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200131-00010001-ampreview-bus_all&p=1

2020年

1月

24日

空き家対策の第一歩? 使わない土地の売却に税優遇

2020年度(令和2年度)税制改正大綱が19年末に発表されました。不動産に関する税制改正では、空き家対策の側面から、長年放置されている空き地や空き家の敷地など低未利用土地を譲渡した場合に、譲渡所得から一定額を控除できる特例や、住まいを譲渡した場合の各種特例と住宅ローン控除の併用ができなくなる措置などが盛り込まれました。詳細について明らかになっていない部分もありますが、不動産に関係する改正ポイントについて、税理士法人アイアセット代表税理士の石井力さんに伺ってみました。

◇ ◇ ◇

20年度の不動産に関係する税制改正大綱のうち主なものは、
(1)低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除制度の創設
(2)住まいを譲渡した場合の各種特例と住宅ローン控除の重複適用の取りやめ
(3)国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設
(4)居住用賃貸建物の取得等に係る仕入れ税額控除制度等の適正化

となっていますが、それぞれの改正のポイントについて簡単に教えてください。

(1)低未利用土地等の売却に優遇策

【田中】まず、低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除制度です。低未利用土地というと長年放置されている空き地や空き家の敷地などを想像しますが、どんな内容なのでしょうか。

【石井税理士】低未利用土地等であることについて、市区町村の長の確認がなされたもので、譲渡する年の1月1日において所有期間が5年を超える場合、一定の条件を満たすものについては、譲渡所得の金額から100万円を上限に控除することができるようになります。ただし、譲渡価格が500万円を超えるものは除かれます。

【田中】低未利用土地等というのは具体的な規定があるのでしょうか?

【石井税理士】土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の内容がまだ明確ではありませんので、現時点でははっきりしていません。この特例は、譲渡後の低未利用土地等の利用についても、市区町村の長の確認が必要とされていますので、低未利用土地等のままの状態で保有する所有者から、一定の利用を行う予定のある者への譲渡に限って優遇したい、すなわち低未利用土地等の有効活用を推進したいという考えが背後にあるのでしょう。この特例は、土地基本法等の一部を改正する法律の施行の日、または20年7月1日のいずれか遅い日から、22年12月31日までの間の特例となります。

【田中】譲渡価格の上限が500万円となると、大都市圏では適用しにくい規定となりそうですし、控除額が100万円ということは税額で20万円程度の削減効果しか見込めませんから、あまりインパクトのある制度ではなさそうですね。

 

(2)自宅売却の特例と住宅ローン控除の重

【田中】住まいを買い換える際、これまでも、住まいを売却した場合の3000万円控除の特例(譲渡益から最大3000万円控除できる特例)と住宅ローン控除は併用できないことになっていたと思うのですが、今回の改正の意図は何なのでしょうか?

【石井税理士】 住まいを譲渡した場合、3000万円控除など居住用財産の譲渡の特例を受けるには、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することが条件となっています。一方、住宅ローン控除の適用を受けるには、控除を適用する年およびその前後2年以内は3000万円控除等居住用財産の譲渡の特例の適用を受けないことが条件となっていました。

つまり、住まいの買い換えを同時に行わず、先に新居を購入して住宅ローン控除を利用しつつ、新居に移った日(従前の住まいに住まなくなった日)から3年を経過する日の属する年の1月1日から12月31日までの間に、従前の住まいを売れば、3000万円控除などの特例を利用することが合法的にできたのです。今回の改正はこうした穴をふさぐものとなっています。20年4月1日以後に従前の住まいを譲渡する場合に適用されます。

(3)海外不動産所得の損益通算に新ルール

【田中】 建物の耐用年数を超えた国外の投資用不動産を購入することで節税効果を高めることができるという、国内富裕層向けセールストークが多く見受けられました。海外の不動産は土地よりも建物価値が高いですし、木造建物なら耐用年数22年を超えていれば、償却期間4年で減価償却できるのです。償却費で不動産所得を赤字にして給与所得などと損益通算することで高い節税効果が得られると言われています。今回の改正でこの恩恵が受けられなくなるということでしょうか。

【石井税理士】 その通りです。これまでは国外で取得した中古建物から生じる不動産所得がある場合、その年分の不動産所得の計算上、国外不動産所得に損失がある場合(つまり減価償却費が大きく損失が生じる場合)、給与所得などと損益通算することができ、課税所得を圧縮できました。しかし今回の改正で、国外中古建物の償却費に相当する部分は損益通算できないことになります。21年以後はこの改正施行となります。

(4)賃貸用物件の購入にかかる消費税還付はNG

【田中】 これは建築会社による地主向けの賃貸住宅建築の提案でよく見かけられた、建物取得にかかる消費税還付のお話でしょうか?

【石井税理士】 そうですね。細かい手法についての説明はいたしませんが、居住用賃貸建物(厳密には、住宅の貸し付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物で高額特定資産に該当するもの)については、今回の改正で仕入税額控除制度の適用が認められないことになります。

消費税がかかる売り上げを課税売り上げといいます。課税売り上げがある場合、その売り上げにかかる消費税から、仕入にかかる消費税(この場合は居住用賃貸建物の消費税)を控除し、差額を消費税として国に納めるわけです。これを「仕入税額控除」といいます。

賃貸建物の場合、建物の購入や新築などには消費税が含まれているので、仕入れにかかる消費税が発生するのですが、売り上げである家賃には消費税をかけることができません。このため、仕入れにかかる消費税を地主が負担せざるを得ないのです。

そこで、一部の人はわざわざ消費税がかかる売り上げ(課税売り上げ)を作り出して仕入税額控除を受けていたのです。例えば、金そのものの売買には消費税がかかるので、金の売買を繰り返すことで強引に課税売り上げを立て、居住用賃貸建物にかかる消費税の還付を受けるという手法が一部で横行していたのです。

【田中】 たしかに、こうした提案を受けている人を多く見てきましたが、この手法については、いつか国税当局から指摘を受けてもおかしくないという声が税理士などの専門家からも多く聞かれました。消費税還付を受けることを前提に賃貸事業の収支が黒字になるような提案が散見されましたので、これを見込んで建築会社と建築のための請負契約を締結してしまった場合、大変なことになりそうですね。

◇ ◇ ◇

今回の不動産に関する税制改正大綱を概観すると、低未利用土地等の特例以外は、法律の抜け穴をふさぐという意図が強く出ているように感じられます。また、いずれも一定の所得や資産がある一部の人が受けることができた恩恵をシャットアウトしたという形になっているようです。社会保障を中心とした歳出増を賄う必要性がますます高まる中、不動産流通を阻害しない範囲で課税を強化する、税法の穴をふさぐという動きは今後も続くのでしょうね。


田中歩

1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

NIKKEI STYLE

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200124-00010001-nikkeisty-bus_all&p=1

2020年

1月

20日

「日本初のタワマン」が建てられた、超・意外な街とは?

人口減少の局面になり、厳しさが増す不動産投資。今後、どこが投資エリアとして有望なのか。不動産投資には欠かせない要素である「人口」や「不動産取引の現状」などをもとに、検討していく。今回紹介するのは、日本で最初にタワーマンションが誕生した街。「日本初のタワマン」は、いつ、どこにできた?

何かと話題になることの多い「タワーマンション」だが、その呼称に法的な基準はなく、階数による定義もない。しかし建築基準法や消防法で、31m、60mと、建物の高さで基準が異なり、このうち高さ60m以上の建物が超高層建築物とする考え方が広まっていることから、高さ60m以上、階数にすると20階以上のマンションをタワーマンションと呼ぶことが多いようだ。

このタワーマンションだが、高層階からの眺望やハイスペックな施設・サービスによって近年人気となったが、一方で、昨年の台風被害により、災害時の危うさがクローズアップされている。

メリット、デメリットを顧みて、それを良しとするかどうかは、選ぶ人の価値観によるものだが、ところで、日本で初めてタワーマンションは、いつ、どこにできたか、ご存じだろうか。

諸説あるが、まず1971年に東京都港区三田にできた「三田綱町パークマンション」。しかし高さ52m、19階建てのツインタワーであることから、「タワマン」ではなく「高層マンション」の先駆けとして語られることが多い。前述のタワーマンションの定義による、日本第1号のタワーマンションが誕生したのは、埼玉県さいたま市。旧与野市に1976年に誕生した「与野ハウス」である。高さ66m、21階建て、総戸数463戸の大規模マンションだ。

最寄り駅でいうと、JR埼京線「北与野」駅。昨今は東京都心の再開発地区や臨海部に建てられることの多いタワーマンションだが、黎明期である1970年代は状況が異なる。当時は、日照権や敷地面積確保などの課題により、都心部にタワーマンションを建てるにはハードルが高かった。「与野ハウス」ができた当時、周辺にある建物といえば、戸建てや数階建てのアパートくらいで、隣駅のさいたま新都心の高層ビル群もなかった。

1997年、建築基準法の改正で共用部分が容積率算出上の延床面積に算入されなくなったことや日影規制の緩和などにより、人口集積地域にもタワーマンションの建設が可能になった。今日では、駅前の再開発といえば、まずはタワーマンションというくらい、いたるところで建てられている。地域のランドマークになりやすいことからも、今後も都心ばかりでなく、郊外でもタワーマンションは増えていくだろう。

そんなタワーマンション第1号が誕生した、さいたま市中央区、旧与野市は、どのような街で、どのような可能性を秘めたエリアなのか、不動産投資の観点で見ていこう。

 

新都心の街開きで、開発の中心は「北与野」へ

与野市は、2001年、大宮市と浦和市と合併し、さいたま市が誕生するまで、埼玉県南部に存在していた市だ。旧与野市の市域は、現在、さいたま市中央区となっている。

収穫が不安定で租税を賦課できない土地である「余野」から転訛したとか、ヨは「ものの間」のことで「台地と台地の間の野」という地名から転じたなど、与野の由来には諸説あるが、与野が歴史に初めて表れたのは1314年と意外に古い。平安時代後期に浄土教の宗派である融通念仏宗をおこした良忍の事績などを描いた絵巻物『融通念佛縁起絵巻』に、「与野郷」という記述が登場する。室町時代には市場が開かれ、江戸時代には甲州街道と奥州街道を結ぶ脇往還(五街道以外の主要な街道)の町場として栄えた。当時の地誌『新編武蔵風土記稿』には、与野の戸数を304、浦和を208、大宮を200余りと記している。

しかし明治時代に高崎線、東北線が開通し、1912年に「与野」駅が開設されると、商業の中心は、市が開かれていた本町通り周辺から東部地区に移っていった(ちなみに「与野」駅は現さいたま市浦和区北部にあたる旧木崎村と旧与野町の境に設置され、住所は“与野”ではない)。

1958年には、単独で市制を施行し、県下20番目の市となり、1985年、埼京線の開通により、市内に「北与野」駅、「与野本町」駅、「南与野」駅の3駅が新設された。

「北与野」駅は、2000年に街開きとなったさいたま新都心の西側にあたり、「さいたま新都心」駅とは、ペデストリアンデッキ「北与野デッキ」でつながっている。また駅周辺では高層マンションの建設が進み、駅利用者も増加傾向にある。「与野本町」は江戸時代に賑わった与野宿に近い駅であり、さいたま市中央区役所が置かれたり、「彩の国さいたま芸術劇場」が建設されたりと、行政・公共施設の集積が見られる。「南与野」は埼玉大学に向かうバス便により、3駅のなかで乗降客は一番多いが、駅周辺には商業の集積はなく、空き地も目立つ。まだまだ発展途上といった雰囲気である。

 

旧与野市埼京線沿い3駅…ポテンシャルが高い駅は?

不動産投資の観点で与野を見ていこう。まずは、地域の人口と世帯構成(図表1)だが、さいたま市中央区の人口は10万人強で、埼京線3駅周辺には1万人前後が居住する。また1世帯当たりの人数は、2人強とファミリー層と単身者層が混在するエリアである。3駅周辺に限ると、人口構造の目立った差異は見られない。

続いて、中古マンションの次に中古マンションの平均取引価格(図表2)と、その種類(図表3)を見ていこう。さいたま市中央区の平均取引価格は3239万円で、3部屋以上のファミリー物件が8割を超える。また駅周辺に限ると、さいたま新都心の第2の玄関口としても機能する「北与野」は、平均取引価格、平米単価ともに、中央区平均を上回った。新都心に近いという利便性から、プレミアム感が出ていると推測される。

一方で、「与野本町」「南与野」の取引物件数は少なく、今回の分析では、2駅周辺の物件を足しても、「北与野」周辺の物件数を下回った。3駅いずれかのエリアで不動産投資を考えるのなら、まずは「北与野」が選択肢になるだろう。

今後の不動産投資の可能性はどうか。将来の人口増加の予測から見てみよう。黄色~橙で10%以上、緑~黄緑0~10%の人口増加率を表し、青系色で人口減少を表す将来人口推移のメッシュ分析(図表4)では、3駅周辺では現状維持から微増と予想。特に「北与野」周辺は、ほか2駅よりも高い人口増加が見込まれている。

さいたま市中央区の借家率は45%で、ファミリー物件の取引が活発なエリアだ。埼京線沿い3駅に限ると、今後も安定的な人口増加も見込める。家族層のニーズをつかむことで、長期的に安定した不動産経営が実現するエリアだといえるだろう。

浸水、洪水、地震…与野周辺の災害リスクは?

日本で初めてのタワーマンションが誕生した与野。タワーマンションといえば、昨今は、災害でクローズアップされたが、与野周辺の災害リスクはどうなっているのだろうか。ハザードマップを確認してみよう。

浸水(内水)のハザードマップを見てみると、南北に流れる鴻沼川、高沼用水路沿いを中心に、50センチ以上の浸水域が点在する。また洪水のハザードマップを見てみると、注意すべきは鴻沼川。1998年の台風5号では流域で多くの浸水被害をもたらした。このとき旧与野市では災害救助法が適用されている。

また地震のリスクはどうだろう。まず国立研究開発法人防災科学技術研究所の「J-SHIS地震ハザードステーション」で地盤を見てみると、さいたま市中央区一は、火山灰質の粘土であるローム台地に分類され、比較的安定したエリアだといえる。

しかし、表層地盤増幅率(地表面近くに堆積した地層の地震時の揺れの大きさを数値化したもので、1.6以上は地盤が弱く揺れやすい、2.0以上は特に揺れやすいと評価される)を見てみると、多くが1.6~1.8と、揺れやすい地域という結果に。そのなかでも、「与野本町」の南西、上峰あたりは1.55~1.59と、エリアのなかでは揺れにくい地盤であることがわかった。

地震の被害は、揺れによる建物被害だけではない。不動産投資家であれば、地盤の液状化はしっかりと想定しておきたい。さいたま市の地震の防災マップを見てみると、鴻沼川流域は、液状化の危険が高いとされている地域。物件選びの際には、心得ておこう。

GGO編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200117-00025045-gonline-bus_all&p=1

2020年

1月

10日

申告、納税をせずにいると?相続にまつわる「時効」について

相続が発生してからの「相続税対策」は打つ手が限られますので、事前の対策が重要です。相続税専門の税理士法人チェスター監修の本連載では、具体的な相続税対策について分かりやすく解説していきます。相続ではさまざまな権利が発生しますが、それらはいつまでも認められるわけではなく時効が定められています。今回は、「相続権にかかわる5つの時効」について解説します。

相続放棄は被相続人の死亡を知った3ヵ月以内が期限

相続ではさまざまな権利が発生します。遺産を受け取る権利だけでなく、遺産の受け取りを放棄する権利も認められています。しかし、これらの権利はいつまでも認められるわけではなく、時効が定められています。

相続権にかかわる時効でもっとも短いものは相続放棄の時効で、死後3ヵ月以内となっています。亡くなった人に多額の借金がある場合は、期限内に相続放棄をしないと相続人が借金を返済しなければなりません。

相続権の時効について知識がなければ、必要な手続きができずにさまざまな不利益を被ります。背負わなくてよい借金を背負ったり、もらえるはずの遺産がもらえなかったりすることもあります。

本記事では、相続権にかかわる5つの時効についてお伝えします。相続に直面している人だけでなく、まだ相続に直面していない人も予備知識として参考にしてください。

(1)【遺産の受け取りを放棄するときの時効】

遺産の受け取りを放棄する相続放棄の時効(期限):3ヵ月

民法では遺産の受け取りを放棄すること(相続放棄)が認められています。相続では、被相続人(亡くなった人)の預貯金や不動産など資産だけでなく借金も相続の対象になります。被相続人に多額の借金がある場合は、相続放棄をすることで借金を引き継がなくてよくなります。そのかわり、預貯金や不動産なども受け取れなくなります。また、1人の相続人に遺産のすべてを相続させるために、他の相続人が相続放棄をすることがあります。

相続放棄をするには家庭裁判所への申し立てが必要で、被相続人の死亡を知ってから3ヵ月以内が期限となっています。ただし、借金があることを知らなかったなどやむを得ない事情がある場合は、3ヵ月を過ぎても相続放棄が認められる可能性があります。

期限後の相続放棄は手続きが難しくなるため、相続問題に詳しい弁護士や司法書士に依頼しましょう。

(2)【遺留分減殺請求権の時効】

遺留分減殺請求権の時効:遺留分の侵害を知ってから1年(最長でも相続開始から10年)

生前に遺言を書いておくと、財産を誰にどれだけ相続させるかを自由に決めることができます。遺言で親族以外の第三者に全財産を譲ることもできます。しかし、それでは遺族の生活が立ち行かなくなるため、民法では被相続人の配偶者と子または親に対して、最低限相続できる遺産の割合を定めています。これを「遺留分」といいます。

遺留分減殺請求権とは、遺留分が侵害された場合(遺産を全くもらえなかったか、遺留分に満たない割合しかもらえなかった場合)に、遺産を受け取った人に支払を求めることができる権利です。

遺留分の減殺請求をするときは、相手方にそのことを伝えます。ただし、遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内に請求しなければなりません。また、遺留分が侵害されたことを知らなかった場合でも、被相続人の死亡から10年が経過すれば遺留分減殺請求権は時効になります。

 

相続税の申告を怠ると、税務署が動き出す!?

(3)【遺産分割請求権の時効】

遺産分割請求権の時効:なし

相続人どうしで話し合って遺産を誰がどれだけ相続するか決めることを「遺産分割」といいます。相続人がほかの相続人に対して遺産分割を働きかける権利を「遺産分割請求権」といいます。

遺産分割請求権に時効はありませんが、遺産分割は早めに行うことをおすすめします。

遺産分割をしなければ遺産は相続人全員の共有となり、処分をするときは相続人全員の同意が必要になります。長期間にわたって遺産分割をしなければ、世代が進むごとに相続人が増えて収拾がつかなくなるおそれがあります。

相続税には税額が軽減される特例がありますが、遺産分割をしなければ適用できないものがあります。相続税の申告と納税の期限は被相続人の死亡から10か月以内です。節税のためにも遺産分割は早めに行うようにしましょう。

(4)【相続税の時効】

相続税の時効:相続税の申告期限から5年(悪質な場合は7年)

相続税の申告と納税の期限は、被相続人の死亡から10ヵ月です。その申告期限から5年を経過すれば、相続税は時効となります。ただし、申告しなければならないとわかっていて申告しなかったり、財産を隠したりなど悪質な場合は7年に延長されます。

ここで「申告期限から7年間申告しなければ相続税を払わなくてもよいのか」と考えられるかもしれません。しかし、申告をしなければ相続税を払わずに済むということは、まずありません。

相続税の申告を怠ると、必ずといってよいほど税務署が調査を始めます。税務調査で相続税の無申告が発覚すると、本来の税額に加えて、無申告加算税(または重加算税)と延滞税を加えた金額を納めなければなりません。相続税は負担の大きな税金ですが、時効をあてにすることなく、期限までに正しく申告・納税しましょう。

(5)【相続回復請求権の時効】

相続回復請求権の時効:権利の侵害を知ってから5年(最長でも相続開始から20年)

事例としては多くありませんが、相続欠格や相続廃除などにより相続人でなくなった人が遺産を相続することがあります。このとき、本来の相続人は遺産を返すように求めることができます。これを「相続回復請求権」といいます。

相続回復の請求は、本来の相続人が相続権を侵害されたことを知ってから5年以内にしなければなりません。相続権の侵害を知らなかった場合でも、被相続人の死亡から20年で相続回復請求権は時効になります。

ここまで、相続権の時効についてお伝えしました。相続で発生する権利の多くは時効が定められていて、一定の期限内に手続きをしなければ、権利を行使することができなくなってしまいます。特に、相続放棄の時効は被相続人の死亡から3ヵ月と短いので、早めの対応が必要です。

相続税については、徴税されなくなる時効がありますが、その期限までに必ずといっていいほど税務調査が行われます。本来の納期限より納税が遅れれば遅れるほど、延滞税の金額が増えていきます。相続税は期限内に申告・納税するようにしましょう。さまざまな相続権の時効についてわからない点や不安な点があれば、早めに弁護士や税理士など専門家に相談することをおすすめします。

税理士法人チェスター

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200110-00025006-gonline-bus_all&p=1

2019年

12月

27日

不動産を売るにはどれくらい期間がかかるの?不動産会社に査定依頼するときの注意点とは

多くの方にとって、不動産の売買はそう何度も経験することではないでしょう。特に長年住んでいたマイホームやご実家を売却するときには、さまざまな思い入れもあり複雑な気持ちになる方も多いと思います。

ご自身やご家族がお持ちの大切な資産である不動産を売却しようと考えたとき、どのように考えるべきかについてお伝えします。

 

不動産売却の決断

ご自身やご家族が所有している不動産は、購入するときにもさまざまなこだわりがあったことと思います。ご実家等であれば、かつてそこで幼少期を過ごしたなどの思い出があったり、ご先祖が守ってきた資産であったりします。

購入した不動産は家族構成の変化に伴って広すぎたり、狭すぎたりするようになる。配偶者が亡くなり、ひとりで住むには広すぎるなどの理由で売却、買い替えをお考えになる方もいます。

いずれにしても、不動産を売却するというのは大きな決断でしょう。不動産は保有しているだけでもコストがかかる資産。特に都市部では固定資産税の負担も重くなります。

田舎の土地建物であれば固定資産税などは安いかもしれませんが、いずれにしても長年そのままにしてしまうと内外装や設備も老朽化し、再び使うことは難しくなってきます。

草木が伸びて周辺環境に悪影響をおよぼしたり、空き家になっていることで火災や犯罪の温床になってしまうこともあります。

かといって、人に貸すという選択をする場合には「大家」としての建物管理責任も発生しますし、本当に借りてくれるかどうかわからない場合には、費用をかけて貸すかどうかも悩ましい問題です。

コインパーキングなどとして活用する場合は、建物が不要で初期投資もさほど大きくありませんが、そもそも需要があるかどうかの見極めが肝心です。場所によっては周辺が駐車場だらけで利用率が低くなっているエリアもあります。

日本では空き家が増えていることが社会問題になっています。全国平均では13.55%、7軒に1軒以上が空き家になっているといわれています。住宅地などを歩いていても「この家は空き家だな」とわかる家が少なくありません。

しかし、今日の日本では核家族化が進行し、結婚して家を出た子供たちはみんな持ち家を持っているというケースも少なくありません。使う予定のない不動産であれば、何かしらの活用を検討するか、売却することを考えるべきでしょう。

不動産売却で最初に考えること

不動産を売却するときに最初に考えることは、「いくらくらいで売れるのだろうか」ということではないでしょうか。

現在60歳以上の方の場合、30年ほど前のバブル期に非常に高い価格で購入されているケースもあります。その前から所有されていた場合でも、新聞などに掲載される「公示価格」「基準地価格」などで近隣の不動産の評価額から自分の資産価値を大まかに知り、「売るつもりはないけれどこんなに高いんだ」と感じられたことのある方もいらっしゃいます。

かつての値段のイメージがあるため、不動産屋に査定してもらって「こんな金額にしかならないのか」と肩を落とされる方もいらっしゃいました。

近年の住宅地の価格は比較的安定しています。バブル期には確かに高騰し、当時のサラリーマンは手の届くマイホームを求め、その立地は郊外に広がっていきました。その当時は郊外で数多くの宅地開発が行われ、新幹線通勤を認めた企業もありました。

現在、住宅地の価格は沈静化する一方、マンション価格が高騰しています。まず、どのくらいで売れるのかについて調べることからはじめることになるでしょう。

不動産会社に「査定」を依頼する際の注意

不動産の価格を調べる方法にはどんなものがあるでしょうか。

インターネットで「あなたの不動産の価格査定を複数の不動産会社に一括して依頼できます」というサイトもあります。こうしたサイトに査定を依頼されるのは一つの方法です。

また、「売却不動産を探しています」「あなたのお住まいのエリアで不動産を探している人がいます」などと書かれたチラシが折り込まれていることもあります。

これらを利用して、一つの会社ではなく、複数の会社の査定を受けることでも、想定される売却価格についておおよそつかむことができるでしょう。

ただし、本当にその価格で売れるかどうかは別の問題です。不動産の価格に「定価」はありません。

同じものが二つとない不動産の価格を評価する際には、その場所の用途地域やさまざまな規制、周辺の価格相場や取引事例のほか、その土地の面積や方位、形状、地勢(高低差など)、道路付け、公共交通機関へのアクセスや電気・水道・ガスなどの敷設状況、周辺環境など、あらゆる条件を考慮して価格を査定します。

これだけさまざまな要素を考慮して査定しますので、すべての会社が同じ金額にそろうわけではありません。また、その価格はあくまでも「想定」です。不動産の価格査定は中古車のものと違い、多くの場合、その会社が買い取るわけではありません。

不動産会社との付き合い方

不動産会社は、売主に自分の会社と「媒介契約」を締結していただくことを重視します。そのため「自分の会社が一番高く売れます」と思わせるために、査定では高めの価格を提示されることがほとんどです。

不動産を売却される場合、重要なのは「売却戦略」です。いくらで売りに出すのかはもちろんですが、その不動産の良いところをどのようにアピールし、価値を高く見せるか、といったテクニックも重要です。

査定が高い会社と話を進めるのではなく、こうした売却戦略についてもきちんと立案できる会社を選ぶべきでしょう。

不動産売却にかかる期間

不動産を売却される方の事情もいろいろです。長く空き家になっている不動産の場合には急いで売却しなくても良いでしょう。一方、中にはすぐに現金化したいという事情をお持ちの方もいらっしゃいます。

不動産売却に期間の制限がある場合、価格は低くなりがちです。
特殊な事情がなく、すでに家の中が片付いていて、すぐにでも売れる状態になっている場合でも、売却のための相談を始めてから引き渡しまで少なくとも2、3ヶ月はかかると考えておくべきです。

多くの不動産売却ではそれ以上の期間がかかっています。隣地との境界が確定していないような物件だと、測量や境界確定などを行わなければならないケースもあり、それだけで1ヶ月程度はかかります。

家の中にまだ家財などが残っている場合には、その片付け・処分にかかる期間も必要なばかりでなく、購入希望者が内覧に来た際の印象も悪くなり、価格にも影響しかねません。

まとめ

不動産の売却には準備と戦略が必要です。準備はご自身で進める必要があります。また、戦略の立案には信頼できる不動産屋を選ぶ必要があります。何をどう準備すべきか、相談に乗ってくれる不動産屋もあるでしょう。

多くの不動産屋が自社の中で売主と買主をマッチングする「両手取引」を行っていますが、「両手取引」を前提に考える業者は、「本当に信頼して大丈夫?」と感じます。

大きな金額になる不動産。いろいろな思いの詰まった大切な資産を大切に扱ってくれる不動産屋を探していただきたいと思います。

執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191226-00010003-ffield-life&p=1

2019年

12月

20日

「好み」だけではなかった日本人が“新築好き”になった理由

 「新築信仰」という言葉がある通り、日本の不動産市場では流通する8割以上が新築である。これは日本人の「好み」というだけではなく、ライフステージの変化に対応した物件供給ができていない賃貸市場や、依然として広がる新築向けの宅地造成、住宅ローン減税などの新築優遇税制、その一方で中古住宅市場の不透明さなどが影響している。これらは法的な枠組みにとどまらず、住宅取引の慣行、供給のあり方など、規範・慣習によって形成された広い意味での「制度」に起因している問題である。

 住宅の需給を考えるとき無視できないのは「取引費用」だ。「取引費用」とは、経済的な取引が行われるための情報収集や、取引の履行、権利の保護などにかかる費用のことである。例えば、住宅購入の際に物件が不具合を抱えていないか調べるには費用がかかる。住宅を売ったり貸したりするときにも、買い手が約束した金額を払わなくなるリスクも費用になる。なぜ日本人が「賃貸ではなく持ち家」、さらには「中古ではなく新築」という選択をするようになったのかを分析する。

 

ファミリー世帯が 賃貸から持ち家に移る理由

 まず着目するのは、貸し手の「取引費用」である。遡(さかのぼ)れば戦前の地代家賃統制令をきっかけとする借家人への強い保護が現在も続いているため、家賃を滞納されても、貸し手がすぐに退去させることが難しい。特に間取りの大きな物件で好ましくない借り手を抱えてしまうことは、貸し手にとって大きなリスクになる。必要に迫られれば借り手を退去させて、自分の資産を利用する自由が制限されることを考慮すると、貸し手は住宅の質を上げようとはせず、規模が小さい物件を供給することを選びがちだ。結果として、ファミリータイプなど一定以上の広さで質の高い住宅は、賃貸住宅として供給されにくくなった。

 都心においては、家族向け賃貸住宅が少なく、家賃も高い。割高でも借りてくれる人がいることは、貸し手が住宅の質を上げようとしない原因にもなる。結婚や出産を機に広めの住宅に住もうとすると質の割に高い家賃を払い続けて賃貸に住むか、資産価値を考えて持ち家を所有するかという選択を迫られる。賃貸のほうが割高である傾向がある中で、持ち家で安く家族向けに質の高い住宅を手に入れることができれば、後者を選ぶのは自然だろう。

 広めの賃貸に住むという選択肢が少ないなかで、政府はアパートを振り出しにして、少し広めの公営などの賃貸、マンションへと住み替え、戸建てを中心とした持ち家がゴールという「住宅双六」のような人生を標準パターンとし、住宅を購入する中間層への金融支援を政策の軸としてきた。1980年代以降は、内需拡大の手段として融資戸数の拡大だけではなく、融資額も大きく増えた。そして、バブル崩壊後は、景気対策の手段として住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)を通じた持ち家取得への融資が広がっていった。

 

持ち家のほうが割安だとしても、本来巨額の住宅ローンを組むことができる人は限られているはずである。しかし、90年代後半以降の金融緩和の中で、住宅ローン向けの金利が極めて低い状態が続き、金融機関の間の競争が激しくなる中で、以前よりも少ない頭金でローンが組まれる傾向にある。そのような状況を背景に、住まいの改善には持ち家の購入が必然とされ続けた。

 日本のように多くの人が一世代限りで消費することを念頭に住宅を購入するとき、誰かが自分の住宅を中古住宅として売り出そうにも高く売ることは難しい。仮に売り出された住宅が中古住宅として利用に堪えるものであったとしても、多くの人が住宅の価値を劣化させているなかで、その住宅だけには本当の価値があるということを買い手が知るのは簡単ではないからである。そのような情報を得るために「取引費用」を負担するくらいなら、住宅を新築するために整地した土地だけを欲しいという買い手も少なくはないだろう。

 中古住宅の流通には、買い手側にとって、住宅に深刻な欠陥がないと判断できるような情報が提供されることが重要であり、そのような情報を取得するために「取引費用」がかかる。そこで必要な情報とは、端的に住宅の質とそれに応じた価格である。買い手は、売り手の提示する価格が住宅の質に見合わない不当なものだとわかっていれば、当然購入を控える。しかし、もしそれが簡単にはわからないとなると、高い費用を払って質の悪いものを入手することになりかねない。価格に見合わないものが市場に混じっていて、しかもその質を判断するために高い「取引費用」がかかるとすれば、買い手は購入を控えるようになる。結果的に、良質な住宅でも妥当な価格で販売することが難しくなり、中古住宅の市場が成り立ちにくくなるのである。

 新築への後押しは税制の面からも行われた。住宅を購入するために10年以上のローンを組んだ場合、所得額から一定額を控除する住宅ローン減税のような制度や、固定資産税・都市計画税といった地方税の一部減免がある。しかし中古住宅では、このような優遇が新築と比べて限られてきた。また、中古住宅が価値ある「商品」として需要されるためには、住宅の所有者がその価値を維持するようなリフォームを行い、その投資が中古住宅の価値に反映されることも必要だが、そのような建物部分へのリフォーム投資が評価されることは少ない。そして、そのようなリフォームを促すような優遇措置は最近まで行われてこなかった。

 

地方の政治制度が 拍車をかける

 仮に中古住宅が優遇されていなかったとしても、新築住宅が非常に高価であるとすれば、多くの人は中古住宅を買わざるを得ないだろう。そしてそのような行動が、中古住宅の市場を成り立たせようとする努力につながるはずだ。しかし日本の場合、新築住宅の供給は容易であり、中古住宅と比べて非常に高価なものとはならなかった。その背景として、地方の政治制度がある。
 一般に、都市で持ち家が増えると、大規模な再開発は難しくなる。土地の権利関係を調整するのに多大な取引費用がかかるからである。都心に近い利便性が高い地域では新しい住宅が供給されにくく、価格も高騰するだろう。そこで論点になるのは、すでに開発された地域を再開発して住宅を増やすのか、都市を拡張して新しい宅地を作り、住宅を増やすのか、という点である。結論から言うと、日本では後者に偏るかたちで住宅が増やされてきた。
 1968年に制定された都市計画法は開発すべき土地(市街化区域)と、そうでない土地(市街化調整区域)の線引きを行う。そのうえで、土地の区画や形質を変えるような開発行為には許可を必要とするとともに、開発を認める土地については、それが商業地・工業地として開発されるべきか、住宅地として開発されるべきかといった用途指定を行うことになった。要するに都市として開発する地域を限定するもので、厳格に運用されれば住宅を増やすためには市街化区域内の再開発が中心となるはずだ。
 こうした地方自治体による規制が行われるものの、それは必ずしも十分とは言えなかった。市街化区域には農地なども広範に含まれ、当初から広めに設定される傾向があった。
 なぜなら、ある土地が市街化調整区域に指定されることは、その区域での開発を原則的に禁止することを意味しており、重大な私権の制限を受ける土地の所有者から強い反発が生じるからである。そのため、実際に開発が行われる可能性が低くても市街化区域に指定される土地が多くなり、そのなかで徐々に住宅地が広がっていくという現象が起きた。
 さらに本来は開発が認められない市街化調整区域であっても、例外的に認められる開発行為が多く、2000年以降の規制緩和によってそのような開発がより進みやすくなった。

 

これを下支えする形となったのが、地方議会の選挙制度である。地方議員は、大選挙区・単記非移譲式投票と呼ばれる、一人一票で多くの得票を得た候補者から順番に当選していく選挙制度で選ばれる。結果として10万人規模の市であっても1000票程度の得票で当選できる。そんな選挙に直面する候補者にとっての問題はこれをどう固めるか、ということに尽きる。

 多くの場合、候補者は特定の地域や団体と結びつき、自分たちを当選させてくれた住民に対する個別的利益の提供を優先するインセンティブを持つようになる。特に都市計画法の制定からバブルが崩壊するころまではそのような圧力は極めて強かっただろう。このため、人々の土地利用を制限するような政治決定は難しくなり、開発利益を狙った闇雲な宅地開発によるスプロール(都市が無秩序に拡大する)につながったのである。

日本特有の「制度」は 変えられるのか?

 「賃貸より持ち家=新築」を支えてきた「制度」を変えることは可能なのだろうか。まず求められる政策は、新築住宅を取得する費用を高めて、他方で中古住宅や賃貸にかかる費用をより低くするものになる。その一歩としては、宅地開発と新築住宅建設の抑制、地域における住宅戸数の管理といった手段になる。

 既存住宅に住む地域住民にとっても、新築住宅の過剰供給が続けば、自分たちの既存の住宅の価値を下げる可能性がある。中古で売れなくても自分が死ぬまで使えればいい、と思う人はいるだろう。

 しかし、何らかの事情で移動する必要が出てきたとき、まともな価格で売れない中古住宅を抱えるのは端的に悲惨だ。死ぬまで使えたとしても、そんな住宅では子どもや孫がその住宅の処分に困るかもしれない。将来を見据えた利害関係者として、地域での新築住宅の建設に関する意思決定に関与する資格はあるだろうし、そのような関与は新築住宅の抑制にもつながりやすいと考えられる。

砂原庸介 (神戸大学大学院法学研究科教授)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191218-00010004-wedge-soci&p=1

2019年

12月

13日

子ども達へ…父が遺したアパート4棟「どれが高い?」で大喧嘩

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、アパートが遺された家族のもとに起きた相続トラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

 

父急死…家族には、アパート4棟が遺された

今回ご紹介するのは、地方で会社を経営している夫のAさん、妻のBさん、子どもたちは、長男、次男、長女、という5人家族です。Aさんが経営していた会社は、当初、順調にいっていましたが、時代の流れのなかで、段々と業績は低迷していっていました。

そんななか、唯一救いだったのが、3人の子どもたちがすでに独立していたこと。泣き虫で心配だった次男は20代前半で結婚し、いまや3児の父。やんちゃな性格だった長女も、30歳を前に結婚し、1児の母として忙しい毎日を過ごしていました。生真面目な性格の長男は「結婚は性に合わない」と唯一未婚でしたが、一流企業に勤務し、順調にキャリアを重ねていました。

Aさんも、すでに70歳前。しかし、20代で起業し、ずっと仕事一筋だったこともあり、ことあるごとに「そろそろ潮時かな」と言ってみるも、踏ん切りがつかずにいました。

「そうですね。もう十分がんばったんだから、あとは、あなたがやりたいところまで、やればいいんじゃないですか」

そんなやり取りが夫婦の定番になっていたころ、悲劇が起きました。Aさんが事故で亡くなったのです。

Bさんは混乱するばかり。業者とのやり取りは長男が行い、なんとか葬儀を終えることができました。それから2ヵ月ほど経ったころ、Bさんも冷静を取り戻し、納骨を済ますことができました。しかし家族の混乱は、これからでした。

ある日、相続について、家族が集って話し合うことになりました。遺産分割の対象となるのは、自宅のほか、アパートが4棟、金融資産は200万円ほどでした。

「親父、アパートなんて持っていたんだ」と次男。

「お父さんが若かったころにね、『これからは不動産を持っていたほうがいい』とアドバイスしてくれた先輩がいたらしいのよ。それで、貯金をするなら不動産をもつ、というのがお父さんのポリシーだったから」とBさん。

「確かに。このご時世、貯金じゃあ、大した利息もつかないしね」と長女。

「あとね、子どもたち一人ひとりに、アパート1棟をあげられるようにって。お父さん、アパートを買っていたのよ」とBさん。

「そうだったのね、お父さんって仕事一筋だったから、そんなこと考えていたなんて意外ね」と長女。

「これからも母さんは、この家に住むだろ。だからアパートをどう分けるか、だな」と長男。

「アパートは、ちょうど4棟だろ。1人1棟、ってことか」と次男。

ここまでは、誰も相違はありませんでした。そこから話し合いはヒートアップしていったのです。

「じゃあ、俺は『●●アパート』をもらっていいかな」と次男が切り出しました。

「ちょっと、待って。『●●アパート』って駅が近いところのよね。絶対4つのアパートのなかで一番高いわ。不公平じゃない?」と長女。

「それじゃあ、『●●アパート』はお母さんに、というのはどうだい?」と長男が間に入ります。

「……じゃあ『コーポ▲▲』ならいいだろ?」と次男。

「ダメよ。『●●アパート』の次に高いのは、きっと『コーポ▲▲』よ。私だって欲しいわ」と長女。

「そんなこと言っていたら、いつまでたっても分けられないだろ!」と次男の声が大きくなりました。

「何よ、ムキになって。誰よりも高いアパートが欲しいって思っているくせに」と長女がいい返します。

「なんだよ、その言い方!」と次男の声はますます大きくなります。

「チビちゃん(=次男の子どもたち)、みんな私立に通わせているんでしょ。お金かかるもんね。大変よ、3人も子どもがいたら」と長女は嫌味たっぷりにいいます。

「まあまあ……」と長男が間に入ると、「何だよ、いつも兄貴ヅラして余裕こいて。そうやって、本当は俺のこと、バカにしているんだろ!」と怒りを長男にもぶつける次男。

兄弟喧嘩は、いつまでも終わらず、結局、マンションはすべて売却し、現金にして遺産分割を進めたといいます。

「子どもたちに、1戸ずつ、アパートを残せたらといっていたんですけどね、あの人は。なかなか親の気持ちは、子どもに伝わらないものね……」と、母であるBさんは振り返っていました。

 

3つある土地の時価…相続時には遺留分の侵害にも注意

遺産の多くが不動産の場合、分けづらさからトラブルになりがちです。不公平感を調整する、現金資産を用意しておくことが、トラブルの回避法のひとつとなるでしょう。

土地の時価の計算方法は、大きく3つ、あります。誰もが知りえる路線価を使って計算する土地の時価は、いわいる相続税評価額と呼ばれています。その名前の通り、相続税を計算する時に採用される時価です。

似たような評価額で、固定資産税評価額と呼ばれるものも存在します。これも名前の通り、固定資産税を計算する時に採用される時価です。

そして、実際に売買契約が成立する金額があります。これが本当の意味での時価です。

本当の意味での時価とは、まったくの他人同士で売買契約が成立する金額です。売る人からすれば、できるだけ高く売りたいですし、買う人からすればできるだけ安く買いたいものです。この2つの気持ちがバランスする金額が本当の意味での時価になります。

これは、まったくの他人同士というのがポイントです。これがもし親子の間であれば、どちらかが気持ちを譲歩することも考えられます。

このように、不動産の時価には、(1)相続税評価額(2)固定資産税評価額(3)実際の時価という3種類の時価が存在します。そして、実はこの3種類の時価には、高いものと安いものがあり、最も高いのが(3)、最も安いのが(2)となります。 どのくらい変わるかというと、たとえば実際の時価が100だとすると、相続税評価額は80、固定資産税評価額は70になります。

この法則を利用すれば、(1)~(3)のいずれかの金額がわかれば、他の2つも簡単に計算できるのです。

たとえば、固定資産税評価額が5000万円の土地があったとします。固定資産税評価額が5000万円ということは、実際の売却価格は7100万~7200万円前後と予測できます(5000万円÷70×100=7142万円)。

また、相続税評価額は5700万円前後ということになります(5000万円÷70×80=5714万)。

不動産鑑定士に言わせれば、このような計算方法では実際の売買金額なんて算定できないと言われますが、おおよその目安を把握する目的であれば、このような簡単な計算でも良いでしょう。

ちなみに、相続トラブルでよく争点となる、相続人が相続できる金額として最低限保障されている遺留分ですが、 計算する際に採用される不動産の評価額は、相続税評価額ではなく、実際の時価です。

このことから、相続税評価額ベースで遺留分の問題を考えていると、後々、実際の時価に戻すと遺留分を侵害していて大変な争いに発展するというケースが非常にたくさん存在するので、注意が必要です。

【動画/筆者が「不動産の相続税評価額の計算方法」を分かりやすく解説】


橘慶太

円満相続税理士法人

橘 慶太

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191213-00024597-gonline-bus_all&p=1

2019年

12月

06日

「家や土地などの不動産」の相続…どのように金額を計算するか

本記事は、税理士法人チェスター、司法書士法人チェスター、CST法律事務所監修、株式会社エッサム編集協力、円満相続を応援する税理士の会の著書、『ゼロからわかる相続と税金対策入門』(あさ出版)から一部を抜粋し、相続対策の基礎知識を紹介します。

 

「宅地の価格を評価する」4つの方法

多くの人にとって、相続財産のうち大きな割合を占めるのが家や土地などの不動産です。その不動産も金額として評価しなければなりません。

では、その評価方法の基本を順次見ていきましょう。まず、一般的な土地、すなわち宅地の評価です。

土地には、農地や山林、牧場、原野などさまざまな形態がありますが、ここでは多くの人が関心のある「宅地」について見ていきます。宅地とは、田畑などの農地や山林や原野、そのほか湖沼や鉱泉地でない土地のことを指します。そこに家が建っていて、人が住んでいなくてはいけないというものではありません。宅地のなかの空地というものも存在します。

その宅地の価格を評価する方法は次の4つがあります。(1)と(2)が主要な評価法、(3)と(4)が主要な評価法では評価が難しい場合の評価方法と考えてください。

(1)路線価方式による評価

路線価方式というのは、土地にどの路線が面しているかで評価する方法です。路線というのは道路のことです。この路線の価格すなわち路線価は、国税庁が毎年発表する路線価図によって確認することができます。路線に面した宅地1平方メートルあたりの価格が毎年改定されますので、その路線価に土地の面積をかけて宅地の価格を計算します。

なお、実際の計算の際には、その宅地の利便性が高いかどうか、土地が使いにくいかどうかなど土地の形状による補正がなされます。その補正の基本的な方法については後述します。

(2)倍率方式による評価

倍率方式というのは、先述した路線価が定められていない、農村地や別荘地などの評価の際に用いられる方法です。その土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算し、路線価方式との差を埋めるように設定されます。

固定資産税評価額は、毎年、市区町村役場から送られてくる固定資産税等納税通知書によって確認できます。一定の倍率については、国税庁が発表する評価倍率表で確認できます。

(3)公示価格による評価

公示価格は国土交通省が毎年公示している価格で、国や自治体が公共事業用地を取得する際に目安にしている価格です。この価格は、不動産取引や相続の際の財産評価など民間の取引でも利用することができます。

(4)売買取引時価による評価

売買取引時価とは、実際に売買する前提で評価される価格のことです。売買取引時価を算定するには、不動産業者に確認するほか、実際にその額をもとに納税申告する場合は、不動産鑑定士による鑑定が必要になってきます。

 

通常は路線価方式か倍率方式で算出するが…

通常、宅地(土地)を相続財産として評価する場合は、路線価方式を用いて評価額を算出します。路線価がついていない地域の場合は、倍率方式を利用して評価額を算出します。宅地の相続税評価額はこの2つのいずれかの方式により算出されるといっていいでしょう。

この2つの評価方法の基準となる路線価と固定資産税評価額は、通常、時価よりも2~3割ほど低めに設定してあります。そのため、このどちらかの方法を用いれば、不当な価格で評価額が計算されることはありません。

ただし、この2つの方式で算出するよりも、時価で評価したほうが有利なケースもあります。たとえば、土地の利用環境が激変した場合です。

路線価や固定資産税評価額、公示価格は、年に1度しか改定・公示が行われません。したがって、土地の利用環境が激変した場合、たとえば被災したり、開発計画が急になくなってしまったり、何らかの風評被害にあうなどがあった際は、公表のあとに時価が大幅に下がるケースがあります。そのような場合、売買取引時価を用いたほうが評価額は下がり、路線価方式や倍率方式による評価よりも相続財産の総額を抑えることができます。

このように、土地の評価というものは単純に考えていると見誤ってしまうほど複雑なものです。多少お金はかかってしまいますが、実際の相続の財産評価では、税理士や不動産鑑定士などそれぞれの専門家に算定を依頼するのが無難です。

評価額を調整している「画地補正」とは?

土地の評価額は、その土地の形状によって調整がかけられます。このことを「画地補正」といいます。

路線価方式には、その土地が面している道路の路線価に地積(土地の面積)をかけて評価額を算出する際に、「標準的な宅地である」という前提に立っています。それは、

・土地の一面のみが道路に接していること

・周囲の宅地に比べて奥行が標準的であること

という基準を前提にしています。

しかし実際は、土地の形状はさまざまです。奥行が深い土地もあれば、2面、3面が道路に面している土地もあり、道路に面した部分(間口)の広さも異なれば、傾斜地・がけ地もあります。私道などにより道路からのアクセスなども宅地によって異なります。それらを踏まえて、次の図のような画地補正により評価額を調整しているのです。

そのほか、土地を貸付地として提供している場合、さらにその貸付地にアパートやマンションを建てて人に貸している場合など、その状況に応じて相続する土地の評価額としては減額されます。

「固定資産税評価額と相続税評価額」は同じ額になる

土地(宅地)と同様に、家屋などの建物の評価の方法の基準を見ていきましょう。建物の評価額は固定資産税評価額を基本とします。これは、家屋をそのまま相続する場合の評価額と考えればわかりやすいでしょう。税法でも「固定資産税評価額の1.0が相続における家屋の評価となる」と明示していますので、この固定資産税評価額と相続税評価額は同じ額になります。

この固定資産税評価額は、もともと、その家屋の基礎がどのようなものか、また、各箇所に使われている素材、備わっている設備などを考慮してあらかじめ決まっていて、それに経年劣化などを加味して算出されます。

相続する家屋を他人に貸している場合、貸家としての評価額を算出します。家屋を貸家にしている場合、所有者の権利も狭まってしまいます。そのため評価が減額できるようになっています。

どのように減額されるかというと、固定資産税評価額に借家権割合と、賃貸割合を乗じた額が控除されます。借家権割合は国税庁がその建物がある地域ごとに定めている数値ですが、相続の場合に関しては一律30%と決められています。

賃貸割合は、その建物の床面積のうち、どれだけの面積を貸し出しているかという数値です。したがって、貸し出しているのが家屋全部の面積なのか、それとも一部の面積なのかで数値は変動します。その家屋を丸ごと貸家としている場合、賃貸割合は100%ですから、その場合の評価額は固定資産税の評価額よりも30%減額されます。家屋を貸家にしている場合の評価は次回で詳しく解説します。

このように家屋の評価については、固定資産税評価額を原則として、そのうえで貸家に出した場合の評価ということになります。そのため、相続における家屋の財産評価にあたっては、まず、固定資産税評価額を確認します。そのうえで、貸家に出した場合にどれくらいの評価減になるのか、と計算することになります。

それぞれの評価額の多寡を比べると、「固定資産税評価額>貸家の評価額」という関係になります。財産のたな卸しの段階では、この傾向を踏まえておくことも大切です。

【円満相続を応援する税理士の会】
蛸島 一伸 / 伊藤 惠悦 / 高野 好史 / 田中 久夫 / 加藤 元弘 / 鈴木 秀雄 / 佐藤 純一 /
岡田 誠彦 / 池田 俊幸 / 児玉 洋貴 / 加藤 眞司 / 髙橋 光彦 / 田村 智宏 / 永野 淳也 /
平井 寛子 / 伊藤 由一 / 吉田 勤 / 末吉 英明 / 内芝 公輔 / 光廣 昌史 / 辻本 聡 /
小屋敷 順子 / 坂元 隆一郎

蛸島 一伸

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191205-00024205-gonline-bus_all&p=1

2019年

11月

29日

相続税はかかる?かからない? ボーダーラインにいる時の「次の一手」

相続の話になると、避けては通れない実家の不動産。

家庭を持つ子どもたちには持ち家があり、自分の亡き後、いま住んでいる家が空き家になることは目に見えています。

 

そんな時、孫から家を引き継ぎたいという話が舞い込みます。思ってもみないうれしい話ですが、相続人でない孫は、2割増しの相続税を払わなければなりません。

かわいい孫のために、なんとかして相続税を抑えたいといいますが……。

実家を相続させたいけど、すでに持ち家がある子どもたち

仲田ひろしさん(73歳・仮名)は、自分が住んでいる家を、亡き後、親族に引き継いでもらいたいと思っていました。

仲田さんの相続人は、長男(45歳、既婚者、子どもあり)、二男(40歳、既婚者、子どもなし)の2人。長男も二男も結婚して持ち家があります。家を相続させても、空き家になるのは目に見えています。

そんな折に、長男の子供にあたる孫(20歳)から、仲田さんの家を将来引き継ぎたいと話がありました。同時期に相続セミナーを受けた仲田さんは、孫に家を引き継いでもらうためには遺言書が必要なことを知り、今回相談に来られました。

財産5300万円、相続税はいくらかかるのか?

仲田さんの想いは次の通りです。「不動産は孫へ。その他の財産は長男、二男で均等に」

遺言書作成にとりかかる前に、推定相続人の確認を行います。仲田さんの出生から現在までの戸籍を取得し、相続人になりうる人を確定するのです。同時進行で、仲田さんの財産調査を行います。

財産は、自宅不動産以外に預貯金のみ。合計5300万円でした。このまま財産を想いどおりに渡せた場合、相続税はかかるのでしょうか。

相続財産のうち相続税がかからない金額(基礎控除)は、「3000万円+(600万円×相続人の数)」 です。仲田さんの相続人は今現在、長男、二男の2人。相続税のかからない財産金額は4200万円です。そのため計算式は以下になり、1100万円に対しては相続税が課税されることになります。

(今ある財産)5300万円-(相続税のかからない財産金額)4200万円=1100万円

法定相続人に該当しない孫は、相続税が2割増し

ここで問題になってくるのは、相続人ではないけれども不動産を引き継ぐ予定になっている孫の存在です。

相続税は、引き継いだ財産の割合で負担することになります。孫も財産を引き継ぐとなれば、相続税の負担をしなければなりません。法定相続人ではない孫は、相続人の2割増で相続税の計算が行われます。しかも相続税は、現金納付が原則です。

しかし、孫が引き継ぐのは不動産。預貯金等は一切ありません。払うためには、孫自身の預貯金から捻出しなければなりません。また相続税の申告期限は、亡くなった日から10ヵ月以内。いつ“その時”がくるのかもわかりません。事前に準備が必要です。

相続税がかからないように調整することはできるのか?

もし、相続税がかからない金額(基礎控除)に財産を減らすことができれば、長男、二男、孫の3人は税金を払わずに財産を引き継ぐことができますが、はたしてそんなことできるのでしょうか。

仲田さんの財産5300万円の内訳は、自宅不動産1300万円と預貯金4000万円。財産の中には生命保険はありませんでした。そのため、今回は生命保険を相続税対策としてご提案しました。

なぜ生命保険なのでしょうか? 生命保険は「みなし相続財産」と呼ばれています。みなし相続財産とは、民法上の相続財産ではありませんが、相続税を計算する際に相続財産とみなして課税される財産のことです。

課税すると言っても、生命保険には非課税枠があります。「500万円×法定相続人の数」 の金額を、課税される生命保険金額から差し引くことができます。仲田さんの法定相続人は長男、二男の2人ですので、生命保険を使った非課税枠は1000万円になります。

仲田さんから「利用したい」との返事をいただき、預貯金4000万円のうち1000万円を生命保険にあてても今後の生活に支障がないか確認した後、保険を取り扱う専門家におつなぎしました。

保険は「お金の遺言書」

保険は「お金の遺言」とも言われます。渡したい人を受取人にすれば、相続財産とは別に渡すことができます。「不動産以外の財産を長男、二男に均等に」との意向はそのままに、長男、二男を受取人に指定しました。

すると、相続税の課税対象になりうる仲田さんの財産は以下の通りです。

(今ある財産)5300万円―(基礎控除)4200万円―(生命保険)1000万円=100万円

現時点では、100万円に対して相続税がかかるということになりますが、この100万円は仲田さんが今まで堅実にやりくりしてきた証です。「これからは自分のため、子ども、孫のためなどに使って、余生を楽しく過ごしてください」と申し上げました。

そうすることで、長男、二男、孫に相続税の負担をかけることなく財産を引き継いでもらうことができます。仲田さん自身も今後、お金の心配をあまりすることなく、楽しく過ごしていくことができるでしょう。

相続税のボーダーラインにいる時にすべきこと

きっかけは不動産を引き継いでもらいたいとの想いでしたが、その想いをカタチにするために相談してくださったおかげで、相続税がかかるか、かからないかのボーダーラインにいることが分かりました。

ちょっとした対策をしていれば相続税は発生しなかったのに、同じようにボーダーラインにいても知らないがゆえに相続税を支払わなければならなかった人もいます。手遅れになることも多いのです。

相続対策と言えば“お金持ちのすること”という意識がまだまだありますが、「相続対策」と「相続税対策」はまったく別のこと。相続はすべての人に関わることです。

だからこそ自分の財産を把握し、どう分けるのか、誰に引き継いでほしいのかを決めることから始めてください。それが決まると、その財産は誰にどのくらいの相続税がかかるのか、かからないのかを確認することができます。

相続税がかかるのであれば税金を抑えていく方法はあるのか。節税をしたうえで、まだ相続税がかかる見込みであれば、相続人が支払えるように事前に準備しておくことが必要です。

納税資金対策は、相続税対策と重なるところも多いですが、暦年贈与(年間110万円まで非課税)の非課税枠を使いながら贈与したり、先ほど出てきた生命保険を(非課税目的ではなく納税資金対策として)活用する方法など、多岐にわたります。

いま自分に相続が発生したとしたら、このまま何もしなくて問題ないのか、何かしたほうがいいのかを専門家に確認してみてください。なければ、安心して日々の生活を送ることができます。何かしたほうがいいとなった時に、いつでも相談できる専門家がいるというのは心強いものです。

今のうちからできることを少しずつ進めていきましょう。

藤原由親(アクセス相続センター 税理士)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191128-00010004-moneyplus-bus_all&p=1

2019年

11月

22日

「新築」という呪縛 日本に中古は根付くのか

都心における新築マンションの供給量の減少と価格高騰により、マンションを中心に新築から中古や賃貸物件にシフトする「脱新築時代」とも読める動きが出てきた。不動産業界では中古、賃貸物件の販売を拡大する傾向もみられる。一方で、国の住宅政策は高度成長期から続いてきた新築優遇から大きくは変わっておらず、人口減少が進む中で中古の流通を拡大する政策を促進すべきだという指摘もある。「脱新築時代」の最新事情を追跡した。

 

3年連続で中古マンションの 契約件数が新築を上回る

 首都圏において2016年から18年まで3年連続で中古マンションの契約件数が新築を上回ったことは、不動産・住宅業界に新しい流れが生まれたことを印象付けた。5年ほど前までは新築志向が強かったが、首都圏のマンション価格がこの数年で急騰した反面、所得の伸びがそれに追いつかなかったことから、新築から中古ヘのシフトがみられるようになった。

 今年の首都圏のマンション供給量は不動産経済研究所の予測によれば、3万7000戸の横ばい。都心部で大規模物件を供給できる土地が見当たらないことから、今後も大きくは増えないとみている。

 同研究所の松田忠司・主任研究員は「首都圏では、00年から07年ごろまでに年間7万~9万戸の大量供給されていた新築マンションが中古として市場に出はじめている。このころのものは設備もしっかりしており、いま流行の間取りを先取りしているのもあり、こうした物件を購入してリノベーションするユーザーが増えている。利便性の高い新築マンションの供給量は今後も少ないので、首都圏に人口流入が続く現状では中古に流れる傾向が続くのではないか」と指摘する。

 東京カンテイの調査では、今年9月の首都圏の中古マンションの平均価格(70平米換算)は、前月より0・6%上昇して3727万円、東京都は2・7%増の5165万円で最高値を更新した。

 23区内も2・3%増の5764万円と高水準になっている。都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)では、ついに8000万円台の大台に初めて達した。これも消費者の都心に住みたい志向が極めて強いことを裏付けている。

 井出武・上席主任研究員は「東京23区では中央3区(千代田、港、渋谷)の水準が依然として高く、これに引っ張られて中古マンションの価格はジリジリ上昇している。新築マンションの価格も依然高水準で、富裕層は都心3区のビンテージマンションを求め、実需購入者は築20年前後で城北・城東エリアで比較的安価な中古マンションに流れる状況となっている。

 最近は共働き世帯が増えていることから、通勤に便利な駅に近いマンションが好まれる。ただ、パワーカップルと呼ばれる世帯の合計年収が1500万円以上ある共働きであっても23区内で、7000万円台まで上昇した高額マンションを購入することは躊躇してしまうのではないだろうか。それなら、新築よりも平均30%ほど安く買える中古を買って、自分の好みに合わせてリノベーションしようという動きになっているようだ」とみている。

 ただし、中古へのシフトが起きているのは首都圏のマンションに限った話だ。現状でも全国における中古の流通シェアは、マンションなどの共同住宅、戸建てを合わせても14・5%という低水準で推移している。

 18年に行われた住宅・土地調査(総務省)によると、住宅総数は6241万戸。しかし、その13・6%に当たる849万戸がすでに空き家となっている。マンションの戸数は654万7000戸あるが、老朽化が進んできている。

 また、少子高齢化も進み、人口は減少傾向が続く。世帯数の推移を見ると、23年の5419万世帯がピークで、以後は減少し、40年には5076万世帯になる。つまり、人口と世帯数の減少により、住宅需要の先行きは頭打ちになるのは明白だ。
 それにもかかわらず、人口と世帯数の構造変化に対応した住宅政策がとられてきていない。

 国はこの十数年にわたって、大手デベロッパーによるタワーマンションに代表される新築マンションや戸建て住宅を建て続けることが経済成長につながり、国民総生産(GDP)の増加要因になるとして歓迎してきた。

 

新築優遇税制と不透明な商慣行

 それを下支えしてきたのが、税制面での優遇策だ。新築と中古住宅では、減税適用条件に違いがある。所得税では、年末ローン残高の1%の所得税額が13年間減税(住居面積が50平米以上で所得合計額が3000万円以下)される。一方、中古の場合、この条件を満たした上に、木造は築20年以内、マンション(新耐震基準)は築25年以内の建物に限定される(耐震対応をするなど、適用除外の方法もある)。また、固定資産税も、新築の場合は半分に軽減(戸建て3年間、マンションは5年間)される。一方、中古の場合、減税はない。

こうした状況に対して、さくら事務所の長嶋修会長は「首都圏の中古マンションに関しては確かに中古の取引が増えているが、戸建てについてはまだ新築の方が買いやすい。住宅ローンの減税についても、新築優遇を止めないままで中古の適用条件を少し緩和しており、依然として新築優遇には変わりはない」と、指摘する。「新築と中古のローン減税や補助金が同じならば、誰もが新築を買う。欧州では中古を明白に優遇してるように、日本でも新築から中古に舵を切るべき時が来ている」と訴える。

「新築住宅を建てると、その経済効果は住宅価格の2倍あると言われた時期があった。1990年代まではそうだったかもしれないが、今は2倍もないのでは。1戸新築を作れば1戸空き家が生まれる状況で、かえってマイナスになることもあるのではないか。

 一種の宗教のようなもので、(日本政府は)新築が良いと信じている。私は以前から住宅の『総量管理』をすべきだと主張しているのだが、あまり賛同してもらえない」(長嶋氏)。

 住宅のストックとなった約6200万戸の住宅の多くが有効に活用されているならまだしも、7戸のうち1戸が空き家状態で、人口減少が加速する中、今までと同じペースで新築を建て続けるのは無理がある。新築はほどほどにして、今ある膨大なストックの中から長く住める住宅を見つけ出す政策を真剣に考えるべき時期に来ているのではないだろうか。

 60年代の日本が高度成長を続けてきたころに、国の政策として行われてきた住宅建設5カ年計画という住宅供給を計画的に進める政策があったが2006年に終了した。その後は住生活基本法が制定され、居住水準、住宅環境など、住宅の量から質の向上を目指す政策に転換された。

 ただし、政府は20年までに中古流通住宅・リフォーム市場の規模を2倍(20兆円)にしようとしたが、達成できていない(「新成長戦略」10年6月17日閣議決定)。

 中古流通を妨げる要因として、不動産売買の商慣行もあげられる。日本では中古の売買を行う場合、宅地建物取引士の資格を持った仲介業者が売買する人の間に入り、取引が成立すれば「売り」と「買い」の両方から手数料を得る(売りと買い、別々の仲介業者もある)。これは、「両手取引」と呼ばれ、米国では原則的に禁止されている(2019.11.20発行「Wedge12月号」PART3にて詳述)。「高く売りたい」という売り主と、「安く買いたい」という買い主に対して、同じ仲介業者が介在するのは「利益相反」になるという考えからだ。

 

また、仲介業者は全国4地域に分かれて中古物件が登録されている不動産流通標準情報システム(REINS)と呼ばれるシステムを見て、顧客に希望する物件を紹介する。ただ、このシステムは物件について、築年数、間取り、価格などが表示されているが、リフォーム履歴、物件の周辺情報などは含まれていない。物件情報だけでなく周辺情報などあらゆる情報が盛り込まれている米国の不動産情報システム(MLS)とは成り立ちが異なる。

 このような中古仲介における情報の非対称性や不透明さが、購入者に二の足を踏ませているという実態もある。

住宅資産評価の見直しを

 中古の取引を拡大するためには、その資産評価をどれだけ正確にできるかもポイントになる。18年から仲介業者は、重要事項説明の際にホームインスペクション(建物状況調査)制度について説明が義務付けられたが、インスペクションはあまり普及していないという。

 そもそも日本の場合、資産価値を築年数で計算する傾向が強いため、年数が経過すると資産価値が大幅に下落してしまう。特に戸建ての場合、30年以上経過すると建物の資産価値はゼロで土地値だけとみられることが多い。

 住宅ローンの借り入れ・借り換えサービスを提供しているMFSの中山田明社長は「リノベーションした中古の資産評価を誰がするのか。金融機関にとってリノベーションによるバリューアップを評価するのは難しく、結局、鑑定企業に頼るしかない。

 不動産のデータベースもリフォームなどの過去履歴をきちんとつかんでいないため、データベースだけでは評価しにくい。中古の評価を正確にするように義務付けられ、そうした情報にアクセスできるようになれば、住宅ローンがつきやすくなり中古の取引拡大につながるのではないか」と話す。

 中古流通の拡大に向けて課題は山積しているものの、逆に言えば、日本の中古市場には大いに伸びしろがあるということでもある。「新築信仰」と「中古市場の使い勝手の悪さ」が存在する住宅市場だが、足元では物件情報の非対称性解消へ向けた動きがあり、また大手住宅メーカーでも中古部門に力を入れ始めた。Wedge12月号特集『「新築」という呪縛』では、こうした中古市場活性化に向けた業界の最前線の動きや、海外での健全な中古市場形成の仕組みを紹介する。

【参】Wedge12月号(2019.11.20発行)
特集:「新築」という呪縛 日本に中古は根付くのか(砂原庸介、中川雅之、中西 享、編集部)
PART 1  中古活性化を阻むしがらみ 「脱新築時代」は来るか?
PART 2 「好み」だけではなかった 日本人が”新築好き”になった理由
PART 3 米国の中古取引はなぜ活発なのか? 情報公開にこそカギがある
COLUMN  ゴースト化した「リゾートマンション」の行方
PART 4 中古活性化に必要な「情報透明化」と「価値再生」

中西 享・友森敏雄・濱崎陽平

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191121-00010001-wedge-soci&p=1

2019年

11月

15日

「地方の古い戸建て」買い取る企業の儲けの秘訣

空き家の問題は、今後ますます深刻化するといわれている。こちらの記事『100均の家ついに登場、深刻化する空き家の対処』で、空き家が問題になる理由や対処の取り組みについて取り上げた。

 空き家の増加は、進行する高齢化の問題や人口や世帯の減少といった問題だけでなく、住宅価格の市場性の問題もある。地方の老朽化した住宅の場合、売りたくても貸したくても採算が合わないといった理由で、住宅市場に出せない空き家が増えているからだ。

■古い家を買い取るカチタス

 ところが、こうした古い家を買い取る企業がある。埋もれてしまう家に“価値を足す”リフォームをして、住宅市場で売り出す「カチタス」(群馬県桐生市)だ。

 近年「買い取り再販事業」が広がりつつある。買い取り再販とは、事業者が古い住宅を買い取って、リフォームしたうえで、自社が売り主となって販売する事業だ。

 「古い住宅」は、今のものより性能が低いことに加え、老朽化が進み見栄えも悪いので、改修をしないと住宅市場に出しづらい。改修にいくらかかるかわからないし、時間も手間もかかるので、一般消費者にはハードルが高い。

 事業者であれば、一般消費者と違い、大量発注することでリフォームコストを抑えることができ、改修内容をパターン化することで工期も短くできる。住宅の性能を今のレベルに向上させ、今の生活に適した間取りや設備に改修すれば、買いたいという人が現れる。こうした買い取り再販事業者が、近年増えているのだ。

■取り扱う物件はマンションが多い

 ところが、買い取り再販事業者が取り扱う住宅の多くは、都市部のマンションだ。

 なぜなら、マンションは、年代別に構造や設備に類似性があり、経験豊富な事業者であれば、物件をしっかり見れば、あらかじめ改修箇所や費用などを予測することができる。しかも、マンションは都市部に多いので、買い手となる一定の需要層も見込める。

 

これに対して戸建ては、建てたのが大手ハウスメーカーか地元の小規模工務店かによって、構造や間取り、設備などに大きな違いがある。さらに改修が必要な範囲が、マンションのように住宅内にとどまらず、住宅の基礎や屋根、外構も対象になり、それぞれの状態もさまざまで、改修範囲の特定や費用の予測が難しくなる。

 例えば、想定した以上に構造部分が腐食していたりすると、改修費用がかさみ、その額を上乗せしたら市場で売れない販売価格に上昇するので、結果的に赤字になるという場合も少なくない。こうしたリスクを避けるために、築年数の新しい戸建てに限定したり、そもそもマンションしか扱わないといった、買い取り再販事業者が多いのが実態だ。

 ましてや、購入需要の小さい「地方」では、なおさらリスクの大きい戸建ての買い取り再販事業は展開できないという構図になる。

 そんな中、通常なら手を出さない「地方」×「古い戸建て」の買い取り再販事業で急成長しているのが、「カチタス」だ。2018年3月期に売上高692億円、営業利益73億円だったが、2019年3月期には売上高813億円、営業利益91億円に成長。なぜビジネスとして成功しているのか、代表取締役の新井健資氏に聞いた。

 カチタスの成功の理由は、立ち上げ当初のビジネスモデルにあった。実は、カチタスの当初の事業は、「競売物件」の買い取り再販事業だった。

 競売物件とは、ローンの返済ができなくなった不動産を裁判所が差し押さえ、競売にかけて最高値を付けた人に売却して、ローンの返済に充てるもの。もし市場価値の高い不動産なら、住宅市場で売却したほうが、競売より高く売れる可能性が高い。したがって、競売物件には、市場価値の低い(住宅市場では安くしか売れない)、地方の空き家などが多くなる。

 カチタスは、こうした市場価値の低い競売物件を買い取って、再生して販売することを繰り返し行うことで、独自のノウハウを構築し、ビジネスとして全国展開できるようになったという。

 カチタスの店舗展開は、都市部に店舗を増やしていく多くの不動産会社とはかなり異なる。競売物件が対象なので、地方裁判所の近くに店舗展開をしていった。同社の店舗一覧を見ると、大都市はごくわずかで地方都市の店舗がずらりと並ぶ。

 競売物件で構築したカチタスのノウハウは、そのまま「地方」×「古い戸建て」の再生ビジネスにつながっていく。地方の古い空き家は増え続けているので、ビジネスチャンスも拡大するうえ、もともと地方に店舗展開していたので、独自の情報収集や販売経路などが構築されているという環境にあったわけだ。

 

■「地方」でも手頃な価格にすれば買い手はいる

 とはいえ、2つの大きなハードルがある。

 (1)買い取り再販する住宅が、人口流出の進む地方で売れるのか

 (2)いかに精度高く改修費用を予測(=買い取る住宅の目利き)できるか

 この疑問を新井氏にぶつけてみた。まず、「地方で家が売れるかどうか」については「買う人はいる」と新井氏は言い切る。

 同社のビジネスモデルで、購入者としてターゲットしているのは下表のような層だ。地方都市で、初めて家を購入する層に対して、住宅市場では売りづらい家を買い取り再生し、手頃な価格で売り出す、というシンプルなものだ。

 カチタスによると、地方の総世帯数は日本全国の約46%(約2419万世帯)。そのうち、年収200万~500万円の世帯は、地方の総世帯の約37%(約902万世帯)で、さらに借家に住んでいる割合は約37%(約333万世帯)。借家のままでいいという人もいるが、持ち家志向が4割程度あるので、約138万世帯は、地方で手頃な価格の戸建てがあれば購入する「潜在顧客層」になるという。

 潜在顧客を顕在化させるには、住宅の改修も重要だが、「買える価格に設定」して販売することも重要だ。カチタスでは、つねに販売価格を意識しているという。

■三者立ち会いを実施

 買い取るかどうかの基準は、改修費用を上乗せしても「住宅市場で売れる販売価格に収まる」かどうか。となると、改修範囲や費用をどれだけ正確に予測し、買い取り価格を決めるかが、鍵になる。同社は競売物件だった古い戸建ての改修を多く扱うことで、目利きのスキルを上げてきたが、これだけに頼っているわけではない。

 買い取り再販業者の多くは、買い取り物件の目利きを自社の担当者に任せている。これに対して、カチタスでは「三者立会い」を実施している。

 三者とは、不動産会社である同社の担当者に加え、改修工事を行う施工会社、シロアリの防蟻工事を行う防蟻会社の3社だ。不動産会社は物件情報を整理し、法的な手続きを行うサポートをするが、建築の専門家ではない。実際に改修工事を行う施工会社と防蟻会社が床下や屋根裏まで入念に確認し、目利きを行うことで精度が上がるのだという。

 「雨漏りリスクのない古い戸建てはない」と言っていいほどだというが、雨漏りがあっても原因が特定できて改修の見通しが立つ場合は、改修費用を予測でき、売り出し後のトラブルを避けることができる。原因が特定できない場合は、売り出し後に雨漏りが生じる可能性が高いので、買い取り対象外と判断される。

 

実はここまでしても、実際に買い取った家の改修範囲が想定よりも広がってしまう事例もあるという。そうした事例を検討して、つねに「チェックリスト」を改善して、目利きのスキルを高めることを繰り返して、レベルアップに努めているのだ。

 また、住宅市場で手頃な価格に設定するには、「家賃並みの住宅ローンで買える」ことを意識しているという。同社の平均販売価格は1430万円なので、改修費用を安く抑える工夫をしないと事業化が難しい。

 現在の同社のビジネスモデルを図式化したのが、下図だ。現在は、地方の事業を「カチタス」が担い、都市部の事業を「リプライス」が担う、地域分けをしている。それぞれ地元のネットワークを構築する一方、買い取った家の再生化を行っている。

 改修費用は大きく分けると交換する設備機器や建材の費用と工務店への手間賃に分かれる。資材関係は資材メーカーに大量発注することで、工務店への手間賃は安定した工事の発注をすることで抑制している。

 加えて、改修範囲を決める際に、使えるものはできるだけ残して使うようにしている。とはいえ、買い手のニーズを考慮して、外構でいえば駐車場の整備を行い、内装ではキッチンやバスなどの水回りやドアノブなど使用感が出るものは交換することが多いという。

■地方の空き家すべてを救えるわけではない

 地方で急増する空き家の要因に、住宅市場では価値が低いことが挙げられる。が、カチタスの買い取り再販によって、価値が低い家も住宅市場に出すことができる。

 もちろん、提示した買い取り価格では納得できないという場合もある。住宅市場で価値が低くとも、住んでいる人にとっては価値の大きいわが家だ。もっと高く売れるはずと、商談が成立しない事例もあるが、多くの場合は後から商談が復活するという。仲介会社を通じて住宅市場で売ってみると、なかなか売れないという実態がわかり、希望より低い額でも買い取りに応じることになるのだと。

 ただし、すべての買い取り案件で買い取れるわけではない。人口減少が激しいなどその地域に住宅需要がなかったり、老朽化が進んでいて改修費用が高額になったりで、相談を受けたものの買い取れないということも多い。感覚値だがという前置きではあるが、10件に3件程度を買い取るイメージだという。残念ながら、家に価値を足すことで住宅市場に流通できる家には、限りがあるのだ。

 結局、多くの地方の空き家やその予備軍は、買い取り再販事業では救えないことになるが、所有者が適切にメンテナンスをしていれば、改修費用を抑えることができて買い取り再販が可能になることもあるだろう。

 日本の住宅は、新築時に多くのこだわりを持って建てるのに、所有後はあまりメンテナンスされないことで、老朽化が進んでしまう。日頃からしっかりメンテナンスをすることが、空き家の解消につながるのかもしれない。

山本 久美子 :住宅ジャーナリスト

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191114-00311922-toyo-soci&p=1

2019年

11月

08日

東京五輪で頂点へ…2020年「不動産バブル」は弾けるのか?

来年、五輪というビッグイベントを控えた東京では不動産価格が上昇を続け、期待感から不動産投資を始める会社員が増えています。一方で、人口減少、少子高齢化など、不動産経営においてはネガティブなニュースが流れ、サラリーマン大家の間でも不安感が広がりつつあります。本記事では、不動産会社で資産コンサルタントとして活躍する髙木弘美氏が、昨今のマンション価格の推移から今度の不動産投資戦略についてを解説いただきました。

 

右肩上がりで推移、下落の兆候は今のところ見られず

昨今は老後資金問題が取りざたされ、会社員の間でも資産形成に対する関心が高まり、なかには不動産投資を始める方も多くいます。

そもそも不動産投資の成否は、収益物件をいかに安く購入し家賃収入を得た後に出口でどれだけ高く売却できるかにかかっていますが、「不動産バブル」という声も聞かれ、どうすべきか、不安感が広がっているのも事実です。

将来、売るタイミングを間違えないためには、常に不動産市況について把握しておくことが必要ですが、2019年までにマンション価格はどのように推移し、今後はどのようになりそうなのでしょうか。

2008年のリーマンショック後に底を打った国内の不動産価格は、2018年まで右肩上がりで推移してきました。マンション価格も同様です。東京23区の新築マンション平均価格は、2016年に6,629万円だったのが、翌年には7,000万円を突破し、2019年上半期は7,644万円でした。さらに新築マンションの値動きに引っ張られるように中古マンションの価格相場も上昇しています。

首都圏の中古マンションの価格は2016年4~6月に2,973万円だったのが、2019年4~6月は3,365万円になりました。実は「2019年に不動産価格は下落する」と予測されていました。「国立社会保障・人口問題研究所」の予測データでは、日本の世帯総数が2019年に5,307万世帯となり、ピークアウトしてそれ以降は減少の一途をたどるため、需給バランスが崩れて不動産価格が下がるというのです。

2019年10月には10%への消費増税、翌年には東京オリンピックを控えて「不動産価格がピークアウトする」というのも、その理由の一つのようです。「価格が下がる可能性があるので今のうちに売っておいたほうがいい」と営業する不動産会社があったり、「2019年は危険がいっぱいだから、2018年のうちに売ったほうがいい」とセミナーで話したりする専門家もいたのです。

ただ2019年9月時点では、そのような兆候は現れていません。東京23区の中古マンションの成約価格は、2018年10~12月よりも2019年1~3月は上昇しています。2019年4~6月は同年1~3月より微減ですが、ほぼ横ばいといっていいでしょう。

 

東京五輪が与える価格変動は限定的⁉

2020年夏は、いよいよ東京五輪です。ただ開催前には、施設の工事や建築などが終了し全般的に需要が減少することが懸念材料となります。2008年に五輪を開催した中国がそうだったように、景気が後退し「不動産価格が暴落するのではないか」という声もあるのです。一方で、以下のように影響は限定的と予測するシンクタンクもあります。

「2020年東京五輪後に日本経済が失速するとの懸念は根強いが、過去の夏季オリンピック開催国の状況をみる限り、五輪大会終了が主因となって景気が後退、もしくは減速する可能性は低い」(みずほ総合研究所のリポート「みずほインサイト」 2018年12月5日より)

しかしこのように相反する景気予測が飛び交うなか、そもそも実際に不動産投資をしている人たちにとって景気による価格変動は、それほど憂うべき問題なのでしょうか。不動産投資で購入するべきなのは、「立地が良い」「利便性が高い」「需要が途切れない」というリスクコントロールしやすく、投資対象として安定した物件です。つまり景気動向に影響を受けやすいような物件を選ばない限り、巷の景気予測論に右往左往せずにすむのです。

安く仕入れられるのは「買い」のタイミング

2019年9月時点では、不動産市況に大きな変化はありません。しかし「不動産価格が下落していく」とメディアなどで騒がれると、これから不動産投資を考えている人は「本当に始めていいのだろうか」と不安になるでしょう。また現在不動産投資を行っている人も「今、持っている物件をさっさと売却してしまったほうがいいのではないだろうか」と不安になるかもしれません。

しかし成功している投資家は「価格が下がっているということは、安く仕入れられるチャンス」「今こそ『買い』のタイミングだ」という一面もあります。ある有名な個人投資家は、リーマンショックの影響で不況のどん底にあった2011年のアメリカで、ピークから4割程度も下がっていたフロリダのコンドミニアムを購入しました。

周囲の人たちは「何と無謀な投資をするのか」と否定的でしたが、その後アメリカの経済は回復し、為替が大幅な円安になったことで購入した物件の価格は、円ベースで約2倍にまで上昇。その後も満室経営が続いて家賃収入が増え続けたそうです。このように不動産価格が下がったタイミングこそ“買い”のタイミングという考え方が成功する例もあります。

タイミングを見極めるには不動産価格の動向に加えて金利の動きも気になるところです。不動産投資において借り入れは非常に大きな要素となります。しかも現在は歴史的な低金利が続いています。これは不動産投資の好機とも言えるのではないでしょうか。今後の不動産価格の下落論に流され一喜一憂するよりも、低金利が続く現在の投資環境を利用できるうちに利用するという考え方が一番賢明で確実な方法なのかもしれません。

髙木 弘美

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191108-00023952-gonline-bus_all&p=1

2019年

11月

01日

「田舎で安く」に騙され、埼玉のマンションを購入した結果…

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の失敗例を紹介します。

 

「安さ」に惹かれ埼玉県の築浅マンションを購入

【相談内容】

築10年の中古の重量鉄骨マンションを埼玉県某市で購入しました。ファミリー向けで10室中2室が空室です。築浅にもかかわらず、換気扇の故障、ウォシュレットの故障など、頻繁に設備交換があります。

また、先日退去した部屋は新築時から10年間住んでいたということで、壁も床も全部直して設備も交換する大がかりなリフォームになりそうです。管理会社からは、そろそろ屋上防水や外壁塗装もしておいたほうがいいと言われ、その見積もりは数百万円にもなります。これからどれだけのお金がかかるのかと心配です。

◆コストから考える立地選び……首都圏・郊外・地方、どの物件がいいか

かなりの田舎ともなれば、家賃3万円程度で50平米の2DK駐車場付きの部屋もあります。しかし、都内でその広さの部屋に住みたければ、郊外であっても家賃は最低でも10万円はかかります。

家賃10万円を毎月支払える人というのは、そこそこの年収があり定収入がある人と考えられます。共働きの夫婦であれば、夫の手取り年収が300万円程度、妻が200万円程度と必ずしも多くなくても、世帯で年間500万円の収入があれば、十分に生活していけるでしょう。

オーナーとして考えた場合、こうした入居者であれば家賃滞納リスクが減りますが、その代わり首都圏の物件は安くありません。

今の市況では利回り5~6%も珍しくないのです。これが地方になれば、利回りは10%や15%なのかもしれません。しかし、夫婦2人で家賃3万円を支払う世帯というのは、地方で考えても低所得世帯です。

低所得だからといって家賃滞納率が高いということはないかもしれませんが、賃貸経営にとって、入居者の属性というのは重要な要素です。家賃の価格帯が安いということは、入居者の属性が低くなるということを理解しましょう。高利回りの物件にはリスクが潜んでいるものです。値段を安くしなくては売れない事情があります。

コストについても同じ考え方ができます。先ほど例に出した都内で家賃10万円の2DK50平米の部屋と、地方で家賃3万円の2DK50平米の部屋のリフォーム費用を比べてみます。

家賃は3倍ほど違いますが、リフォーム費用はおそらくさほど変わらないでしょう。というのも、地方だからといって人件費が東京の3分の1になることはありません。建材や住宅設備も同様です。都心では工事車両の駐車場代を請求されることはあるかもしれませんが、リフォーム費用が地方の3倍になるなどということはありません。ここが地方投資最大のハンデです。

例えば、1億円の物件といっても神奈川県のアパートでいうと、普通の家よりも少し大きいくらいのレベルですが、地方は、10世帯以上の大規模のRC造マンションが買えます。

賃貸不動産への融資では、収益還元評価・積算評価など金融機関によって評価の出し方は変わりますが、積算評価額を重視するような銀行では、地方の国道沿いにある広い敷地面積を持つRC造マンションが高い評価になります。

そのため、土地の広さも、神奈川県では50坪程度の土地でも物件は企画できますが、地方ではその倍以上の広い土地になります。そうすると、単純に管理すべき面積も大きくなり、修繕する戸数も増えます。

雪国であれば除雪は必至です。面積が3倍になれば草むしりも3倍の労力が強いられます。草むしりは意外に費用が高くつきます。たとえシルバー人材センターで安く頼むにしても、田舎だからといって首都圏の10分の1の金額で済むわけではありません。

建物の規模が大きくなれば、受水槽や給水ポンプ、消防設備の法定点検といった管理すべき設備も増えていきます。それらには必ず寿命があり、時期がくれば交換が必要です。また当然、積算評価額が高く融資を受けやすいということは、固定資産税も高いのです。

原状回復するにしても、例えば同じ家賃5万円で都会が15平米の広さの部屋なら、地方は30平米と2倍の差が生じます。そうなると壁紙の値段も、床も2倍の費用がかかります。それゆえに原状回復が都会なら15万円で済んだものが、地方では2倍の30万円はかかってしまうのです。

しかし、業者から渡される賃料上は、どちらも同じ「家賃5万円」です。原状回復にかかった費用を回収するのに都会なら3カ月で回収できるのに対し、地方は6カ月もかかります。これで入居者に半年以内で退去されたら元も子もありません。

しかも、それの繰り返しですからボランティアをやっているようなものです。1年半ごとに退去されて、その都度30万円も原状回復にかかっていたら、不労所得どころか本当にお金が残りません。

利回りばかりに捉われてしまい、コストを把握せずに購入に至っている投資家は多いように思います。「事業」として考えれば、当然コストにも考えが及ぶと思うのですが、こと「投資」と考えてしまうと、目先の数値……特に利回りだけに目がいってしまいがちです。すべてのコストを差し引いた純粋なキャッシュが、思っていたほど残らないという話はよく聞きます。

では、どうしたらそうした失敗を避けられるのでしょうか。その解決策は、「購入時のシミュレーションをしっかり行うこと」です。粗くてもかまわないので、かかる経費を打ち込み、試算してみましょう。1部屋当たりの経費率で比べてみれば、地方ではたとえ利回り15%でも、思ったほどお金が残らないことがわかります。片や、都会で表面利回りが7%でも、手残りは地方と大して変わらないのです。

手残りのネット利回りが変わらなかったとすれば、どちらを選ぶのがよいでしょうか。相対的に考えて、リスクを負っているのはどちらでしょうか。積算評価にしても収益還元評価にしても、金融機関が評価したからといって、それだけの資産性や収益性が保証されているわけではありません。1億円、2億円と借金をするリスクに対して、見合ったリターンがあるのか冷静に考える必要があります。

融資を受けたら「無事に返済できるのだろうか?」「返すまでどうすればいいのだろう?」などさまざまなことを考えるはずです。フルローン、オーバーローンがもてはやされて、リスクに対する感覚がかなり麻痺している投資家も多いように感じますが、机上の空論ではなく、より実際の状況に沿ったシミュレーションをしてみることが大切です。

「みなとみらい」はイメージほど便利ではない

◆東京の10分と横浜の10分は違う

投資家が物件を探す際、エリアをどう絞っていくかというと、最初は都内で探し、その範囲でいい物件が見つからないと千葉・埼玉・神奈川に広げ、さらに北関東や静岡、山梨と徐々に広げていく人が多いようです。

賃貸ニーズで見ていけば、千葉も、広島や岡山といった地方都市も、あまり変わらないのかもしれません。ただし融資の観点からいえば、首都圏の投資家が購入する物件は、首都圏にあるほうが購入しやすいのは事実です。ですが、ここで気をつけたいのは「千葉や埼玉、神奈川などは東京に隣接しているから、東京とさほど変わらないだろう」と考えることです。

東京から電車で10分、横浜から電車で10分のエリアを比べてみるとわかりますが、東京の10分と違い、横浜の10分はかなりの郊外を含みます。大半の人たちは横浜市というだけで、「みなとみらい」の情景を思い浮かべてしまいますが、それは大間違いです。そもそも、みなとみらい自体が埋立地でビルしか立っておらず、アパートはありません。

地名のイメージほど高い家賃が取れませんし、横浜には高低差のある地形が多く、中には階段でしか辿り着けないような物件、崖っぷちに立っているような物件もあります。

それに神奈川県全域まで広げていくと、海だけでなくかなりの山奥までを含みます。山側のエリアに至っては、首都圏とはいいながら家賃の価格帯は地方並みです。これは千葉や埼玉も同様で、埼玉県は人気沿線では地価が高いですが、群馬県側になれば完全に車社会となり、ぎりぎり東京通勤圏ながらも地元で働く人も多くなりますし、千葉県もかなり広域で、汲み取り式のトイレがあるような地域も残っています。

ここでお伝えしたいことは、千葉・埼玉・神奈川を含む首都圏であっても、地方と変らない家賃水準の地域も多くあるということです。また、都会では駅を基準とした利便性を問われますが、地方になれば車を基準とした利便性が問われます。賃貸物件では「駅から〇分」が重要視されますが、それはあくまで電車通勤・通学をする入居者がターゲットであるからです。

つまり、都心では安心な物件とされる「駅近」も、一概には安心とは言えませんし、そのエリアごとの特性もきちんと把握することが必要なのです。

◆地縁にはこだわらない

投資物件の一番シンプルな買い方は、自分の地元の物件を、地元の金融機関で融資を受けて購入する、もしくは新築することです。融資にも有利ですし、土地勘や人脈もあるでしょう。賃貸ニーズについても変化に気づきやすいのは大きなメリットです。

しかし、そこで勘違いしてしまう人も中にはいます。自分が今住んでいるところではなく、自分の出身の街、学生時代を過ごした街など地縁にこだわる人です。そのような場合、数十年も前のその街のイメージと現実との落差に気づかず、需要もない学生向けのアパートを追い求めてしまうようなケースもあります。

根拠もなく自分の出身地ということで安心してしまう人もいますが、地元愛と事業とは別問題です。道路が区画整理されて、お店も激変して昔の面影はありません。賃貸物件は増えて、かつてはなかった大型ショッピングセンターもあります。こうなってくるとまったく違った街に変わっています。

昔の感覚しか持っていないのであれば、買わないほうがいいのです。しっかりと市場調査したならばいいのですが、知っているつもり、わかっているつもりになっていると判断を誤ります。

平山 智浩,渡辺 章好

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191101-00023920-gonline-bus_all&p=1

2019年

10月

25日

家を買うなら新築か、中古リノベか?プロが分析する得な選択

アラサーともなれば、一度や二度はマイホームの購入が頭をよぎったことがあるのではないだろうか。しかし実際に検討段階に入ると様々な不安点が障壁となるはず。ローンはいくらで組むか、新築か中古か、そもそも場所をどうするか。

 恐らく人生で一番高い買い物になるだけに慎重になることに越したことはないが、何を指針にして動けば良いかわからない……。そんな悩めるbizSPA!世代(25~30歳、年収400万~500万円を想定)に向けてお送りしたいのが当記事である。

 資産性のある中古物件やリノベーションの設計施工に特化した独自の不動産ノウハウが持ち味の「ゼロリノベ」で取締役を務めている一級建築士の西村一宏氏に、単身男性に向けた不動産購入の実践的なアドバイスを聞いた。第1回目は「不動産探しの前に知っておくべき知識」だったが、第2回目(全5回)は不動産購入時に必要な「お金」に関する知識を紹介する。

悪徳仲介業者を見分ける方法

 大金がからむ不動産の購入において「お金の失敗」は絶対に避けたい。その大前提として、ハズレ物件や詐欺業者に引っかからないことが大事。

「残念ながら、信頼性に疑問符が付いてしまう不動産仲介業者も少数ながら存在します。まず言えるのは、物件調査をおろそかにしている業者は避けたほうがよいでしょう。聞いていた説明と現物に相違点が多々あったり、具体的な根拠は提示せずに抽象的なセールストークしかしない場合は良くありません。

 また、お客様に資する視点ではなくて、どちらかというと会社側の視点で対応しようとする業者も注意が必要です。そういった仲介業者は、社の方針が『売り上げ至上主義』に染まっていたりするので、ゴリ押し営業も平気で仕掛けてきます。

 しかも売ったら売りっぱなしだからアフターサービスも期待できません。ユーザーのみなさんは仲介業者=建築のプロではない、ということを知っておくべきです」

 物件の安全性について知りたければ仲介業者ではなく、建築のプロである設計士や建築士に聞いたほうがよさそう。万が一、このような悪徳仲介業者に引っかかってしまうと、せっかくのマイホームが後悔の対象になりかねない。

 

ローンを組む際に利用できる制度は

 さて、住宅購入の際は「住宅ローン控除」や「すまい給付金」といったお得な制度をフル活用したいものだが、それぞれ概要はどうなっているのだろう。

「“住宅ローン控除”は、ローンを組んで住宅を取得(新築・購入・増改築など)したとき、各年末ローン残高の一定割合に相当する金額が13年間にわたり所得税から控除される、という減税制度です。控除される金額の詳細については、金融機関系のサイトに無料で利用できるシュミレーション用の返済額試算表があるので、そちらが参考になるかと思います。

 一方、“すまい給付金”は、住宅ローンを組んだ人がその年収に応じて現金をもらえるというありがたい制度。ただし利用には諸条件があって、年収の条件は510万円以下の人が対象になっています。また、基礎給付額も年収によって異なり、10月1日からの消費増税に伴って、すまい給付金も増額されました」

 ちなみにbizSPA!世代が想定する年収400万~500万円だと、すまい給付金は以下のような給付額に収まるという。

・年収450万円以下の場合=50万円
・年収450万円~525万円以下の場合=40万円

※上記の例は扶養者が1人の場合

 どちらもマイホーム購入時に利用すればお得な制度だと言えそうだ。

新築より中古のほうが売れている

 続いて、購入するなら新築と中古物件のリノベーション、どちらがオススメなのだろう。

「これは個々のお客様によってケースバイケース。ただ、近年は新築よりも中古物件の需要が増加し、販売数は中古が新築を逆転している状況です。

 我々としては、経済性とデザイン性、そして自由度を重視するなら、中古物件をリノベするやり方をオススメします。やはり新築と中古では金額的な差額も大きいですから。

 もちろん新築は素晴らしいですが、安心できる中古を買って、余ったお金は自分たちの好みに合わせたリノベを楽しんでみたり、趣味や旅行にお金を使うのも全然ありです。無理に背伸びして新築を購入するよりも、余裕のあるほうがトータル的には豊かなライフスタイルを楽しめる気がします」

 

譲れない条件と予算の折り合いをつけよう

 新築にこだわりがないのであれば、中古物件のメリットは多そうだ。そして階数や方角の違いで価格も上下する、ということも忘れてはいけない。

「マンションの場合は、階数が高いほど価格は上昇する傾向にあります。方角は太陽光の入りやすい南向きが、北向きよりも高額。ご自身の予算としっかり向き合いながら検討してください」

不動産探しで損しないお金の知識

 これらを踏まえたうえで、不動産購入時の「お金」について抑えておきたいポイントは次の4つにまとめられる。

・仲介業者の選定は重要。物件調査がいい加減だったり、ゴリ押し営業する悪徳業者は避ける。
住宅ローン控除・すまい給付金を利用することで負担軽減につながる。
・新築にこだわりがなければ中古のほうが金銭的メリットは大きい。
・マンションの場合は階数、そして方角も物件の金額に加味されているので要チェック。

 これらを理解した上で自分の身の丈に合った理想のマイホームを探そう。

<取材・文/永田明輝>

bizSPA!フレッシュ 編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191024-00219787-bizspa-life&p=1

2019年

10月

18日

慌てて修理をすると仮設住宅に入居できない? 弁護士が伝えたい10のこと

10月12日に本州を直撃した台風19号は、長野県や福島県、宮城県など東日本の各地で大きな被害をもたらした。台風で被災したとき、どのような支援を受けることが可能なのか。またそうした支援を受けるために、いますべきこととは何か。今田さんに話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】

被災から2日が経った10月14日に「水害直後 弁護士からの10か条」というアドバイスを発信した弁護士がいる。広島弁護士会災害対策委員長も務める今田健太郎さんだ。

2014年8月に発生した広島市豪雨災害、2018年7月に発生した西日本豪雨災害、2つの豪雨災害を支援してきた経験をもとに発信。「『制度を知らないことで悔し涙を流すこととなった』多くの被災者の方々を代弁する、切なる願いです」と今田さんは語る。

 

「水害後 弁護士からの10か条」、その内容とは。

1 土砂撤去で無理をしないで。

自宅も気になりますが、土砂は細菌も含んでおり、想像以上に健康状態を悪化させ、災害関連死のリスクを高めます。

自力では限界があるので、まずは体力の回復に努めてください。行政やボランティアからの案内を待ちましょう。

2 通帳や権利証を紛失しても大丈夫。

銀行の預金通帳や、定期預金証書、不動産の権利証などを紛失しても、財産はなくなりませんので、安心して下さい。

3 落ち着いたら、自宅の写真撮影を。

自宅の写真を、複数の角度から撮影し、被害に見合った罹災証明書の発行を受けられるようにしましょう。

判定の結果は、公的支援の内容に影響します。不服があれば再調査の申入れが可能です。

4 修理は決して急がず。

自宅の修理は、乾燥してから行う必要があります。また、災害救助法の応急修理の制度(例 /半壊以上で59万5000円までの費用補助)を使うと、原則、仮設住宅へ入居できません。慌てないで、全体の修理内容や費用面をしっかり検討してからにしましょう。一部だけの修理で、壊れたままの家に住むことを余儀なくされる可能性があります。

5 お金を払う前に、行政の窓口で相談を。

土砂の撤去や、自宅の修理につき、公的支援の制度があります。事前に役所へ相談しないで業者などに支払った場合、後から請求できないことがあるので、要注意です。必ず行政窓口で相談してください。

6 保険の内容を確認しよう。

近時の住宅保険には、火災保険に水災の補償が付いているものが多いです。また、家財保険による補填も考えられます。自分名義でなく、親族が契約している場合もあるので、よく確認してみましょう。

証券を紛失しても請求できます。自動車保険も同様です。

 

7 敷地内の物の処分や撤去について。

自宅に流れ着いた第三者の物や、廃棄物の処分について悩んだ場合、まずは、行政窓口や、各地の弁護士会が近々開設する被災者電話相談などを利用して、処分してよいかどうか、費用はどうするか等、相談してみてください。

また、隣家の家財やブロックなど、所有者が分かっていて撤去を求めたい場合も、すぐには解決できないこともありますので、ケンカせず、弁護士会などを頼ってください。

8 収入の目処が立たない方々へ。

水害で職場が水没した。道路が寸断されて、勤務先へ行けない。明日からの収入の目処が立たない方々に対しては、雇用保険の失業給付等、色々な制度があります。

また、雇い主側を補助する制度もありますので、少し落ち着いたら、各自治体や弁護士会の電話相談などにお問い合わせ下さい。

9 税金の減免や、教育の補助など。

大規模災害時には、各種税金等の減免や、水道光熱費の特例、教育費用の補助など、実に様々な支援が用意されています。

行政も、まだ機能していない地域もあるかもしれませんが、慌てることなく、相談体制が整うのを待ちましょう。

10 必ずや生活再建は出来ます!

今後、公的制度による給付金(生活再建支援金等)や、義援金、保険金、各種の融資制度、二重ローン減免制度など、色々な仕組みを活用することで、生活再建を図ることは可能です!高齢者の方々に向けての、修理や再築のための特例融資制度もあります。

難しいことはよく分からない』分からなくて当然です。ぜひ、弁護士などの専門家を頼ってください。

 

一歩間違えると仮設住宅への入居ができなくなることも…

今田さんはBuzzFeed Newsの取材に「行政から被災者の方達のもとにたくさんの書類が届く前に、最低限の情報を届けることが必要だと考えた」と明かす。

時間が経過するほど、被災者の方のもとに届く情報量は増えていく。そうした中、避難所などで「この制度はいま使っておかなければ使えなくなる」といった噂が一人歩きしてしまい、冷静な判断ができなくなってしまうこともあるという。

例えば、災害救助法の応急修理の制度を使うと最大で59万5千円まで家屋の修繕のための補助金が支給される。家屋の修繕が必要な場合、一見この制度を使うことは合理的なように思われるが、この制度を使うと仮設住宅への入居ができなくなってしまうため注意が必要だ。

また補助を受けるためには自治体が指定する業者へ修繕を依頼する必要があり、工事できる箇所も指定されている。

こうしたことを知らずに、家屋の修繕を急ぎ補助が受けられないケースや補助を受けた後で仮設住宅へ入居できないことを知り、半壊した自宅で過ごさざるを得ないケースがこれまで実際に発生している。

「一旦、仮設住宅に入って落ち着いてから、建て替えや修繕にはどれくらい費用がかかり、指定の業者に頼むとどれほどの時間がかかるのかなどを確認する。そうやって生活再建に向けて動き始めても、全然遅くないんですよ」

 

「周りが〇〇しているから」で、使う制度を選ぶと危険。

「周りと比べて焦る必要は全くありません」。そんな一文を10か条の末尾に書き加えた。

「周りが公費解体をしていると解体しなきゃいけないのかなとか、周りが修理をしているからしなきゃいけないのかなとか、みんな使っている制度を使わずもったいないとか。本来、それぞれの被災状況は全く異なるはずですが、ついつい周りと比較して、情報をうまく使えている人ほど前に進んでいるように見えてしまうといったことが被災地では起こります」

ある仮設住宅を回った際には、焦りを感じるあまり体調を崩してしまった人とも出会ったと今田さんは振り返る。

「個別の事情は家庭ごとに異なるので、無料相談が各都道府県で開設されるのを待っていただいて、弁護士に頼ることをおすすめします。世帯の構成や年収、り災証明などを考慮して自分にあった制度や支援内容を提案してもらうのを待ってから、生活再建に向けて動き出しても問題ありません」

 

今後、弁護士の無料相談会にはどのような相談が持ち込まれることが予想されるのだろうか。

今田さんは「隣家のブロックが崩れたが、撤去してくれない」「壊れた車が放置されたままだ」「隣家の土砂がうちの田んぼに流れ込んだ」といった近隣の住人とのトラブルに関する相談が統計上は最も多いと説明する。

次いで多いのは「傷んでそのままでは住めないが、賃料は払い続ける必要があるのか」「大家が修繕すると契約上は明記されているが、災害時の修繕も大家が負担しなくてはいけないのか」といった物件の賃貸借に関する相談だ。

今回の台風19号の被災についても、同様の相談が多く寄せられることが予想されている。

わからないことがあれば、無料相談会など弁護士に相談を。相談費用は無料となっている。

千葉雄登

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191017-00010001-bfj-soci&p=1

2019年

10月

11日

先祖代々の…に注意!? 実家の「名義」をいますぐ確認すべきワケ

争いが絶えないことから「争族」と揶揄される「相続トラブル」。当事者にならないために、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、相続名義に関わる相続トラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

 

大きなお屋敷の「名義」は父ではなかった

相続の手続きはたくさんあります。親族に相続が起きてしまった場合に、まず多くの方が思うのは、「何からやっていいのかわからない!」ということでしょう。

相続の手続きには、期限が存在するものがあります。しかしそれは3つだけです。相続が発生して3ヵ月後には「相続放棄の期限」、4ヵ月後には「所得税の準確定申告の期限」10ヵ月後には「相続税の申告の期限」があります。 

これらさえクリアすれば、ひとまず安心ですが、相続に関わる手続きには、期限がないものもあります。それを忘れるととんでもない事態が起きてしまうことがあるのです。今回は、そんなある家族の話です。

先祖代々の実家に住むAさん家族。Aさんは5人兄弟の長男で、親と同居していました。ほかの弟、妹は、進学や結婚を機に実家を離れ、それぞれ家庭をもっています。

Aさんには実家にちょっとした悩みがありました。父と同居しているとはいえ、家が広すぎるのです。先祖は地元の名士だったこともあり、実家は町の一等地。敷地も広く、そこに大きなお屋敷が建っていたのです。

子供のころは、兄弟全員に自分の部屋が与えられてよかったのですが、その兄弟が出ていったいま、使われずに、物置になっている部屋がいくつかあります。

「毎年の税金も結構かかるだろうに……」

実家はAさん名義ではなかったので、固定資産税などはすべて父が払っていました。そこはすごく助かっていましたが、維持・管理にひと苦労。すべての部屋を掃除するのは大変で、Aさんの奥さんは毎日「たいへん、たいへん」と言いながら、家事をこなしていました。

また名士だったのは先祖であって、Aさんは普通のサラリーマン。毎日、大きなお屋敷から通勤する姿は、ちょっと不釣り合い。自分でも「少し滑稽だなぁ」と思っていました。

そんなある日のこと、父が亡くなりました。遺言はありませんでしたが、父は常日頃「兄弟に不公平がないよう、わけなさい」と言っていたので、貯金などはきれいに五等分することにしました。問題は実家です。

「残るは、この家だな」と長男。

「兄貴が住んでいるんだから、兄貴が相続すれば」と次男。しかし長女は「こんな広い家に住み続けるの? 固定資産税だって大変でしょ。いま不動産の価格って高くなっているから、売り時よ。売却して、みんなで分けましょうよ」と、弟妹の間で意見が分かれました。

「兄貴はどうなんだい?」と次男。

「俺は売っていいと思っている。『先祖代々の家を売るなんて!』って親父は怒るだろうけど、そのうち税金を払えなくて、売ることになると思うし」

「兄貴がいいなら、そうすればいいよ」

弟妹も全員納得し、実家を売ることになりました。しかし問題はここからでした。長男の号令で、再び兄弟全員が実家に集まりました。

「どうしたんだい、兄貴」

「実は、この家なんだが、大変なことがわかって。名義が曾祖父さんのままだったんだ」と長男は切り出しました。

「えっ、そんな昔のまま?」と兄弟全員が目を丸くして言いました。

そうなのです。Aさん兄弟の父も、さらに祖父も、自宅の名義変更はしていなかったのです。

「この家が曾祖父さんのものだというと、この家に関しては、随分と相続人が増えてしまうのかなと……」と長男がいうと、呆れたように長女がいいました。

「何で父さんと一緒に住んでいながら、そんなことわからなかったのよ。兄さんは昔から、そう。どこか抜けているし、とんちんかんだし、要領は悪いし」

長女から、長男への小言はとまりません。さらに次女が言いました

「もしまだ見ぬ相続人のなかの一人が『ハンコは押しません』って言ったらどうなるの?」

「その場合は、にっちもさっちも、いかなくなる……」と長男。

「なんか面倒くさそうな展開だな。俺はいいよ、この家に関しては手をひく。貯金とかだけ、きちんと分けて」と三男は席を立って、出ていきました。

「私は嫌よ。ちゃんと兄さんが全部手続きをして、この家売って、そのお金を私たちにちゃんと分けてちょうだい」

長女と次女はそういうと、出ていきました。残されたのは、長男と次男。

「……まあ、面倒くさいけど、相続人を全員探し出して、一人一人に許可をもらっていくしか、この家を売る方法はないよな。頼むよ、兄貴」

そう言うと、次男も席を立って出ていってしまいました。

「こんなときばかり、兄貴、兄貴って……」

 

相続税の対策は「順番」を間違えてはいけない

基本的に不動産を売却しようとするときは、不動産の名義が所有者と一致していないといけません。事例の場合、まずは曾祖父の相続手続から始めなければいけないのです。面識のない人たちに事情を説明していき、なかには、同意がなかなか得られないケースも出てくるかもしれません。専門家であっても、なかなか骨の折れる仕事です。

相続税の申告には期限がありますが、相続登記には期間が決まっていません。放置しておくと残された家族が困ることになるので、相続する予定の不動産がある方は、一度、名義が誰なのか、確認しておくことをおすすめします。

そもそも、きちんと相続対策をしていれば「あれ、家の名義がおかしいぞ」などと、気づくチャンスはいくらでもあるはずです。

またよく言われる相続税の対策ですが、よく順番を間違えている方が見られます。行うべき相続税対策の順番は「1.現状分析」「2.遺産分割対策」「3.評価引下対策」「4.生前贈与対策」です。

相続税の「現状分析」とは、病院で受ける健康診断のようなものです。万が一のことが起きてしまった場合、

・どのくらいの相続税が発生するのか

・納税できるだけの資金があるのか

・家族が円満に相続することができるのか

・税務調査で問題になりそうなことがないか

このような問題点の精査を行っていきます。

相続税対策のなかで、最も大切なのが「遺産分割対策」です。これは「もし相続が起きてしまった場合に、どのように遺産を分けていくのか」をあらかじめ決めておく対策です。相続税は、財産の分け方によって何倍にも変わる税金です。気持ちだけで財産の分け方を決めてしまうと、相続税の負担が非常に大きくなってしまうことがあるので、注意しましょう。

また遺産の分け方をあらかじめ決めておくことの大切なポイントは、相続税の観点からだけではありません。むしろ相続税の観点より大切なことがあります。それは「みんな円満に仲良く相続してくれるか」という観点です。

いわゆる「争族」になってしまった場合には、相続税対策なんてできません。最も相続税の負担を少なくできる遺産分けができるのは、揉めていない相続が大前提なのです。

遺産分割対策が無事に形になったら、次に「評価引下対策」を考えていきます。評価引下対策とは、不動産や生命保険を活用した相続税対策です。大雑把に言うと「預金で相続させるよりも、不動産や生命保険で相続させたほうが、相続税は安く済む」という理屈です。

そして最後に行うべきなのが、「生前贈与」。預金や国債などの換金しやすい資産は、平等に財産を分ける際の調整弁として使える重要な財産です。後先考えずに生前贈与を行うと、いざ相続が起きた時にバランスの調整ができなくなってしまいます。

現状分析と遺産分割対策が基礎工事だとすると、評価引き下げ対策と生前贈与対策は、建物の建築工事のようなものです。基礎工事しないまま、建物をたてると、ちょっとした地震で倒壊します。そんなイメージです。

【動画/筆者が「不動産を売却した時の税金」をわかりやすく解説】

橘慶太

円満相続税理士法人

橘 慶太

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191010-00023484-gonline-bus_all&p=1

2019年

10月

04日

新築ではなく、「中古のタワーマンション」に人気が集まるワケ

本記事では、不動産投資アドバイザーでCFPファイナンシャルプランナーの大林弘道氏の著書、『儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイディア』より一部を抜粋し、投資をはじめとした不動産ビジネスをめぐる課題を解決するための具体的なアイデアを提案していきます。今回は、不動産市況を分析した上で検討にすべき「逆張り投資」について見ていきます。タワーマンションの固定資産税は見直されたが…

タワーマンションは所在階が高いほど取引価格も高くなります。階数差によって住戸の価格が変わるのに、公的評価が一律であるのは不公平だと、かねてより取り上げられてきました。

その結果、平成29年の税制改正で、まずは固定資産税について見直されることになりました。所在階が40階違うと固定資産税が10%ほど違うことになるようですが、そもそも固定資産税額に対する不満ってそんなに大きかったのでしょうか?

10%の差だとすれば、たとえば年税額19万円と21万円の2万円の差。タワーマンションの購入者層はそもそも裕福な方が多いはずです。これは所有者の不満ではなく、タワーマンションをテコに大きく相続税を回避される税務当局の不満なのでは? といぶかってしまいます。

その相続税評価の是正についてはまだなされていませんが、固定資産税の是正でまずはどんなハレーションが起きるかを見てみたいのでしょう。ただこの固定資産税の見直しレベルではあまり効果はないように思えます。

タワーマンションによる相続税評価の圧縮策は公的評価と取引価格のかい離にこそポイントがあり、それは土地持分が細分化されることによって、成り立っています。だとしたら建物評価額自体を階層差で10%増減したとしても本質的には変わりません。

相続税評価の見直しの際には、もう少し踏み込んだ改正がなされるのではないかと考えています。たとえば贈与の場合には、相続発生前3年以内になされた生前贈与については、その贈与はなかったものとみなし相続財産に戻されるという規定があります。

相続税回避のための資産移転を防ぐためですが、相続税評価圧縮のための物件購入においても、この「3年以内は適用外」という規定を援用してくるのではないか…と個人的に思っています。

 

「中古タワーマンション」が再注目される可能性も⁉

ところで、この改正で税務当局のスタンスについてわかったことがあります。

前出の固定資産税の見直しは平成30年以降引渡しの「新築」タワーマンションに限るとされたことです。従前の税制を期待して中古のタワーマンションを購入した人に遡及して適用するのは不合理だということのようです。固定資産税と相続税でこのスタンスを変えるとは思えませんので、将来相続税評価圧縮ルールが改正されても、中古物件には適用されない、もしくは改正前に取得した人には適用されないということが十分考えられます。

そうなると中古のタワーマンションが再注目されるのは自然で、逆に需要が盛り上がるかもしれません。ベイエリアなど、一部のタワーマンションは物件がダブつき気味のマーケットとなっていますが、再燃もあるかもしれないのです。

一方、投資用の新築ワンルームマンションには狭小地でも建築可能で、分譲単価も高めに設定ができるという供給側のメリットがあります。需要サイドもマイナス金利後の投資運用先として、個人の不動産投資熱が高まっています。その投資用ワンルームでさえ、地価・労務費・材料費のトリプル高を吸収しきれなくなってきています。

実際、投資用ワンルームマンションの分譲実績をみても、東京23区から徐々に郊外(川崎市など)に供給エリアを移しています。

川崎市ではワンルームマンションの面積要件が東京ほど厳しくないことも理由としてあげられますが、都心エリアではインバウンド需要増に伴ったホテル不足に関心が向き、ワンルームマンション用地がホテル用地に転用される例が増えていることも無視できません。

仕事が少なくなったデベロッパーや沿線開発に取り組む私鉄会社も、ホテル開発(コンバージョン含む)に取り組むようになってきました。

また、建築途中のワンルームマンションが、ファンドや私募リートへの組み入れ用に一括取得される取引も増えたように思います。こうなると都心の新築ワンルームマンションに対する買ニーズの受け皿がなくなってしまいますので、築浅のワンルームマンション(特に室内設備が充実し、共用部分のファザードのよい物件)は、需給が締まっていき、堅調に推移していくことが予想されます。

従来、ストック過多の感が否めなかったワンルームマンションですが、都心の築浅物件、または、築古であっても都心3区(千代田区、中央区、港区)の物件は「買い」と言えるでしょう。株式投資も不動産運用も逆張りにこそ商機があるかもしれませんね。

大林 弘道

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191004-00023448-gonline-bus_all&p=1

2019年

9月

27日

建物は4年で償却可能!「京都町家」を活用した相続税対策とは

本記事では、伝統的な京町家を宿泊施設して保存・再生する事業を数多く手がけてきた児玉舟氏の著書、『最強の京都「町家」投資』から一部を抜粋し、投資先としての京都「町家」の魅力と具体的な運営方法について解説します。今回は、「京都町家」を活用した相続税対策等について見ていきます。

京都は「路線価の乖離」が国内でも最も大きい⁉

京都町家投資には個人保有、法人保有のいずれにおいても、前回紹介したようにポートフォリオの一つとして大きな価値があります(関連記事「 インカムゲイン狙いに最適⁉ 京都「町家」投資の強みとは 」参照)。ただし税制面でのメリットには違いがあるので、投資目的に合わせて選ぶことができます。

まず、個人・法人いずれの場合にも減価償却があるため、収益のうち課税対象となる分はそれほど多くありません。また、個人の場合には相続税対策になるというメリットもあります。

一方、法人での保有を選択すると、個人とは異なる税率がメリットになるケースが考えられます。不動産所得は給与所得等と損益通算されます。個人の最高税率(所得税率+住民税率)は55%と高いため、医師など本業の収入が多い個人が保有すると、高い税率が適用されることがあります。法人の最高税率(法人税率+住民税率+事業税率)は36%なので、収入が多い場合には法人保有とすることで、課税額を引き下げることができます。

相続税対策の基本は、ほぼ額面どおりに評価される金融資産を、より相続税評価額の低い資産に切り替えることにあります。不動産は特に実勢価格と相続税評価額の差が大きいので節税手段としてよく用いられますが、なかでも京町家は相続への備えとして有効な資産です。

まず、京都は実勢価格と相続税の評価に用いられる路線価の乖離が国内でも最も大きいことで知られます。路線価は実勢価格の5分の1から10分の1程度と小さいため、その分相続税評価額を抑えられます。

加えて、建物は4年で償却可能です。つまり、町家を購入して4年待てば、土地と建物を合わせて、相続税評価額をかなり圧縮できるのです。

近年はアベノミクスの影響を受け、株価が上昇しています。株を保有する資産家の財産が増大するなか、京町家への投資は非常に効果が大きい相続税対策です。

また、資産家のなかには、単に財産を残すのではなく、思いや思想を後世に伝えたいと希望する人が少なくありません。京まち宿の運営は公共の財産ともいえる古都の景観や歴史、文化を後世に残すことにつながる社会的意義の大きなビジネスです。相続する遺族は社会的なステータスをも承継できるため、地域への貢献といった被相続人の生き方を受け継ぐことになるともいえるでしょう。

いずれにおいても大きな効果を発揮する京都町家投資は、資産家にとって最も有意義な相続対策なのです。

 

京都市内の地価は2012年以降、右肩上がりで上昇中

町家にはもちろん、資産としての大きな価値があります。不動産の価値を計るうえで最も分かりやすいのは地価でしょう。京都市内の地価はもともと安定性が高いうえ、近年はインバウンド需要により上昇傾向が続いています。

市内の公示地価平均は2012年以降右肩上がりで上昇しており、2012年には26万4268円だったのが、2018年には33万4592円と5年間で26.6%もの大きな伸びを示しています(「土地価格相場が分かる土地代データ」より)。

京都市内中心部の地価は東京や大阪などの大都市圏に比べ、安定的に推移するという特徴があります。大都市圏では規模の大きなビジネスを展開できるため、キャピタルゲインを狙う大量の投機マネーが時流に応じて流出入するのに伴って、地価が大幅に上下します。

ところが前回説明したとおり、京都には景観条例に基づく厳しい規制があるので、収益性の高い商業ビルなどを簡単に建てることができません。また、そういった営利だけを目的とする土地取引をどちらかと言えば好まない人も多いので、京都はマネーゲームの対象になりにくい都市なのです。

その証拠に、前述した2012~2018年における大阪市の公示地価平均は京都市より20ポイント以上高い49.4%もの上昇を示しています。

一方、大都市は下落する際にもその幅が大きく、リーマンショックの影響が表れた2008~2012年の動向を比べると、大阪市では30.9%もの下落が見られたのに対し、京都市の下落率は10.5%にとどまりました(「土地価格相場が分かる土地代データ」より)。インバウンド需要が盛り上がるなか、今後も京都の地価は堅調に推移すると予想できます。

海外の投資家から「京都町家」が注目される理由

京都のインバウンド需要をあてこんで、大手ホテルチェーンの進出が相次ぐと、過当競争が発生し、一気に利回りが低下するかもしれません。しかしながら、これまで解説してきたとおり、京都は大きなホテルを新しく建てることが難しい地域です。一部の大手外資ホテルの参入はいくつか見られますが、需要をさらうような急激なホテルの建設ラッシュが起きるとは考えられません。

急増する宿泊施設のなかには民泊も見られますが、新法の施行を機に京都では規制する動きが厳しさを増しており、合法的に収益を上げ続けるのが今後は非常に難しくなっていきます。

民泊の強みは運営・管理コストがかからないことですが、条例等の規制に準じた運営をすれば、コストは増大します。一方、京まち宿は物件数の大幅な拡大を目指しており、スケールメリットを活かして1件当たりのコスト削減を計画しています。将来的に両者の宿泊費の差は、ほとんどの旅行者が意識しないほど近づくはずです。

このように、京都町家投資には限定的なリスクしかなく、存在するリスクもコントロールが可能です。

最近では、国内のみならず、海外からも京都町家投資への注目が集まり、今後についても期待する声が高まっています。不動産投資として比較すると、海外の主要都市の利回りは軒並み低く、ニューヨークやロンドンなどでは2%程度といわれます。同じアジア圏でも、物件価格が高い香港や上海の利回りは同様に低めです。

一方、京都における不動産投資の平均的な利回りは5%程度となっており、世界的に見ても高いことが分かります。また、日本は政治・経済も安定しており、極端なインフレや為替の変動リスクもありません。従って、大きな資本を持つ資産家ほど、リスクヘッジとして京都の不動産を購入したいという強い動機を持っています。

とくに、歴史的な遺物でもある町家については優良な資産と見なす外国人が多く、中国人投資家などからの問い合わせも増えてきました。世界中を投資対象と見なして、リスクと利回りを冷徹に判断する彼らが購入する物件には、国際的な価値があると見なすことができます。京町家はそれだけ高く評価されているのです。

児玉 舟

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190927-00023279-gonline-bus_all&p=1

2019年

9月

20日

不動産物件に掘り出し物はない。価格が安いものには、安い理由がある  株式会社大京 小島代表取締役社長

マンション累計供給戸数約46万戸、マンション管理受託数(は日本一の)約53万戸、マンション仲介、リフォーム、リノベーションと、不動産の総合サービスを展開している大京グループ。

自社ブランドの「ライオンズマンション」は、今年で50周年を迎え、マンション事業に限らず、ホテル事業や、市街地再開発事業など、さらに発展を遂げています。

今回は、株式会社大京 小島代表取締役社長に、今後の不動産市場や、人生100年時代に向けた住まいに関する考え方などについて、話を伺いました。

今後のマンション市場はどうなっていくのでしょうか?

大京の社長としてではなく、個人的な見解として答えさせてください。2010年から、首都圏を中心にマンション価格は約30%アップしてきましたが、最近では、横ばいに転じてきています。首都圏のマンション価格が上昇した理由は2つです。

1つ目は、土地代が上がっていること。インバウンド向けにホテルや収益物件が多く建築されていますが、都心は立地が限られていますので土地価格が上昇しています。

2つ目は、建築費の上昇。建築業界の担い手が高齢化して人材不足になっているのに加え、建設の復興需要、オリンピック需要とニーズが高まっています。

今後については、正直私も予測が大変難しいです。値上がり要因としては、首都圏の利便性の高い物件が限られており、少なくなっていることに加え、インバウンド向けのホテルや収益物件も引き続き需要が見込まれることが挙げられると思います。

逆に、値下がり要因としては、少子高齢化で、全国に約850万戸、東京だけでも約80万戸の空き家があり、供給過多になっていることが挙げられるでしょう。

これらの観点から推測すると、マンション価値に関しては、今後、勝ち組、負け組が、よりはっきりしてきて、両者が混在する市場になっていくのではないでしょうか。

今後のマンション選びのポイントは?

1戸、1戸の物件の間取り、特徴もさることながら、今後はより住居エリアの選定が重要になるのではないでしょうか。

昔、首都圏の不動産価格は「西高東低(イメージの良い西側エリアの価格は高く、東側エリアの価格は比較的リーズナブル)」と言われましたが、今はブランドの地名よりも、視点が利便性に転換してきています。赤羽、北千住、池袋などの人気が高まっているのも、この利便性の高さが関係しているのではないでしょうか。

エリアを選ぶにあたり、過去5年のマンション価格上昇エリア、下降エリアなどのデータも参考の1つですが、データは、過去のトレンドで、未来のものではありません。最終的には、そのエリアに行き、自分でよく見て判断していくことが重要だと思います。

 

人生100年時代に向けた住まいの選び方とは?

マイホームを買うとき、一生住もうと考えて買う人が多いと言われています。

しかし、子どもがいる世帯では、将来、子どもが育ち、家を出て行ったときに、今までと同じ広さはいらないかもしれません。夫婦2人になったら、郊外の80平方メートルから、駅に近い40平方メートルのマンションに引っ越してもいいわけです。

今まで住んでいたマンションを売り、同じレベルの狭いマンションに買い替えた場合、単純に考えれば、買い値よりも、売り値が高くつき、余剰資金を得られる可能性があります。そうすればリタイア後の生活資金に当てることもできるわけです。

30代で、マイホームを買う場合、そのようなことも想像して、寂れていかないようなエリアを選び、資産形成の1つとしてマイホームを買うということも重要なのではないかと思います。

もちろん、買い替えだけではなく、資産性の高い物件であれば、自宅を担保に銀行から融資を受けられるリバースモーゲージや、自宅を売却しながらそのまま住み続けられるリースバックを活用しても、資産を十分にお金に代えることができます。

老後の資金に備えたマンション投資はどう思われますか?

その方の年齢、収入、資産状況など、ケース・バイ・ケースですので一概には言えません。ただし、資産に関しては、「卵は1つのかごに盛るな(※)」つまり、分散投資が基本的な考え方だと思います。自分の全体資産の中で、どれくらいを不動産にあてるかと判断することが大切です。

住宅ローンがかなり残っていて、さらに、不動産の投資物件に追加でローンをかかえるというのはあまりお勧めできません。資産分散のバランスが大切ではないかと思います。

不動産投資の長所を考えてみると、所有の充実感は他の投資よりもあるのではないでしょうか。

逆に短所は、マンションの価値が買った値段よりも、高くなったり、低くなったりする元本の変動リスクがあることと、マンションを現金化したい場合に、買い手がつくまで時間がかかり、流動性が低いということが挙げられると思います。

※分散投資の基本的な考え方を示す言葉。一つのかごに卵を盛るとそのかごを落とした場合、全てが割れてしまう。複数のかごに分けておけば、仮に一つを落としたとしても他の卵は影響を受けない。

 

不動産選びの注意点とは?

不動産を買うときの注意点として、私は、「不動産物件に掘り出し物はない」と考えています。不動産のマーケットは、株式市場に似ていて、プロのプレーヤーがたくさんいます。

大京グループだけでも、何百人の社員が、日夜、安い土地はないか、良い物件はないかと探しています。ですから、価格が安い物件には、安い理由があるということです。

仮に、個人の方が、不動産業者の方に甘い言葉をかけられたとしても、「不動産に掘り出し物はない」と思って対応された方が、よりよい判断ができると思います。

取材を終えて ~プロから見た不動産物件~

小島社長が、率直にインタビューに答えてくださったことがとても印象的でした。話にありました、マイホームを資産として活用するというケースは今後増えていくのではないでしょうか。

大京の社員さんの中にも、独身時代に自分が住みたい家を買い、結婚して別の住宅に住み替えた後、その家を貸し出すという方が結構いらっしゃるそうです。自分で住みたいと思って十分選んで買っているので、年数がたってもきちんと資産価値を保ち、家賃収入を得ることができているそうです。

また、「不動産物件に掘り出し物はない。価格が安いものには、安い理由がある」という言葉には、不動産業界のプロだからこその説得力を感じました。その意識をもって、不動産選びをしていくことが、大切なことなのではないでしょうか。

interviewer : FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190919-00010000-ffield-bus_all&p=1

2019年

9月

13日

「子育てしやすい」視点で選ぶとしたら一戸建てとマンションどっち?をプロに聞く

子育て世代であれば住宅購入を検討するとき、「子育て視点で考えると一戸建てとマンションどっちがいいの?」と迷ってしまうかもしれません。今回は、不動産コンサルタントの秋津智幸さんに、子育て視点で考えたときの一戸建てとマンションのメリット・デメリットを教えてもらいました。一戸建てにするか、マンションにするかを選ぶ際のポイントも要チェックです。

 

秋津 智幸(不動産コンサルタント)
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
横浜国立大学卒業。公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅等不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、企業研修や各種セミナー講師、書籍、コラム等の執筆・監修にも取り組む。著書:「賃貸生活A to Z」(アスペクト)、「〔2019~2020年版〕30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方」(監修)(河出書房新社)他。

 

子育ての視点で見たとき一戸建てのメリットは?

はじめに子育ての視点で一戸建てのメリットと、気になる点をみてみましょう。

 子育て中に気になる家の問題としては、まず「音」の問題があります。
マンションやアパートであれば、子どもが家の中で走ったり飛んだりして遊んでいるときの音や、子どもの泣き声などで近隣に気を遣うママも多いはず。一戸建てなら、マンションやアパートと違って隣の家と離れているので、それほど子どもが出す「音」を気にする必要はありません。
ただ、都心部の一戸建てなど家と家の距離が近い場合や築年の古い一戸建てでは遮音性が低いこともあるので、やはり音の問題が気になることもあります。それでも、一戸建てなら、住宅内の上下階の音は家族だけの空間なので、音に関する気遣いは不要になります。
 
また、都心部では少し難しいですが、郊外の一戸建てなら庭を確保することもでき、目の届く範囲で安心して小さな子どもを遊ばせることもできます。子育てで活躍する自動車も、敷地内に駐車場があれば、家を出てすぐに利用できる点は一戸建てに軍配が上がります。
 
さらに、子育て中にペットも飼育したいという方も少なくないでしょう。ペットの飼育が可能なマンションも増えてきていますが制約も多いです。その点、一戸建てならばマンションに比べてペットに対する制約が少ないので飼いやすいと言えます。
 
一方、一戸建てでは、一階部分に玄関や勝手口、窓など家への入り口となる箇所が増えるので、防犯面の配慮が必要になります。

 

子育ての視点で見たときマンションのメリットは?

続いて子育ての視点でマンションのメリットと気になる点はどうでしょうか? 
 
マンションと一戸建ての大きな違いの一つは共用部分があることです。大規模な分譲マンションになれば、敷地内に公園がある場合もありますし、キッズルームや図書室のような子どもと過ごすことのできる施設が建物内にあれば、雨の日も子どもと快適に過ごせます。一般的な分譲マンションでもごみ置き場が24時間利用できるのは、子育て中にはありがたいもの。
 
また、防犯性が高いのもマンションの特徴です。エントランスにオートロックや防犯カメラがあるマンションなら、不用な訪問者は侵入しにくくなり、防犯面ではより安心感があります。特に高層階の部屋であればベランダなど外からの侵入もしづらいので、防犯面では一戸建てより優れています。
 
さらに、2階建て、3階建ての一戸建てと比べてマンションは平面なので、掃除が楽というのもよく言われています。子育て中の掃除は大変なので、この点もマンションのメリットとなりますね。
 
一方、マンションのデメリットとして最も気になるのは、近隣との音の問題。マンションの構造(壁や床、天井の造り)にもよりますが、上下や左右と接しているので、どうしても音が伝わりやすいのは共同住宅の宿命です。
また、駐輪場や駐車場スペースが限られ、子どもの自転車を置くスペースが確保できない、自分の自動車を利用するにも大変ということもあります。ペットについても一戸建てのようには自由に飼うことができません。一戸建てのメリットの逆になります。

一戸建てとマンション子育てにはどちらが向いている?

これまでお話ししたように、一戸建てとマンションにはそれぞれメリットとデメリットがあります。一戸建てとマンションのどちらが向いているかは【子育て中になにを重視するか】で決まります。
 
たとえば「音を気にせず室内や庭で子どもを遊ばせたい」「子どもの教育も兼ねてペットを自由に飼いたい」「子育て中は自動車をフルに活用したい」などといった点を重視するなら、一戸建てのほうが向いていると言えます。
 
一方、「子どもの安全も考えて防犯面を重視したい」「子育て中は掃除やゴミ出し、鍵の管理など毎日のことを楽にしたい」という希望が強ければ、マンションのほうが向いているということになります。
 
どうしても一戸建てとマンションのメリット両方を求めたいという場合、数は限られますが“一戸建てのメリットを兼ね備えたマンション”という選択肢もあります。
たとえば、マンションの中でも庭付きの1階の部屋なら、音の問題に関しては下の階を気にすることもなく、子どもを庭で遊ばせることができます。

一方、費用は掛かりますが、一戸建てにマンションのメリットを加えることも可能です。
たとえば、防犯カメラを設置したり、警備会社と契約したりすれば、一戸建てでも防犯性は高まります。

一戸建て、マンション両方のメリットをすべて兼ね備える住宅を見つけることは難しいので、「子育て中になにを重視するか」を念頭において、そのメリットから一戸建てとマンションのどちらが向いているかを選ぶといいでしょう。

たまひよ ONLINE編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190911-00010782-tamahiyo-life&p=1

2019年

9月

06日

京都の人は閉鎖的?優良な「町家」物件取得のための交渉術

本記事では、伝統的な京町家を宿泊施設して保存・再生する事業を数多く手がけてきた児玉舟氏の著書、『最強の京都「町家」投資』から一部を抜粋し、投資先としての京都「町家」の魅力と具体的な運営方法について解説します。今回は、京町家を実際に「宿泊施設」として稼働させるための手順等について見ていきます。

物件の情報収集には、地元住民との密な付き合いが重要

実際に京都の町家をリノベーションして宿泊施設として稼働させるには、どのような手順が必要なのでしょうか? ここではビジネスモデルを例に説明します。

手順は、大きく二つに分けることができます。物件を取得して、緻密に企画を練り、宿泊施設としての環境を整えプロデュースする段階と、オープン準備や受付業務、客室管理などの運営段階です。

(1)物件の取得

事業を開始するには、まず宿泊施設に改装できる町家を取得しなければなりません。「不動産業は情報産業」といわれるとおり、立地の良い物件が売りに出されると、あっという間に情報が広まり、さまざまな事業者が我先にと集まります。そうなると適正価格での取得が難しいので、彼らに先んじて優良物件を買い入れるためには行政や地元不動産会社との連携に加え、街中を回り「脚を使う営業」も重要です。

主なターゲットは空き家になっている町家ですが、所有者が分からなかったり、老朽化が進んでいたりするケースも少なくありません。そこで、現在使用されている物件にも訪問して住人に声をかけ、譲っていただけるよう“買取の提案”をするのです。愛着のある住まいにいきなり「売却を」と申し出ると、驚かれることもありますが、取り壊すのではなく、家族の歴史を刻んできた建物を後世に残るよう改装し、活用するつもりだと伝えると、多くの人が共感し、理解を示してくれます。

物件の取得においては情報収集も大切であり、普段から地元の人たちと密にお付き合いをし、良好な関係を築いておく努力が欠かせません。京都の人は閉鎖的だとしばしば言われます。確かに、すぐに胸襟を開いて語り合うという人は少なく、表向きははんなり穏やかでも、信頼するまで本音を語ってくれない人も多くいます。そのような地元の気質はかなり高い参入障壁となるでしょう。けれども、時間をかけて信頼関係を築くことができれば、その関係は長く維持できる方たちです。

物件の情報を得たら、地域の市場等を調査します。エリアを訪れる観光客数はもちろん、彼らの目的や地域・国籍、経済力などを詳細に分析し、それを基にコンセプトを作るのです。取得を検討している土地についても、交通の便や周辺の観光スポットなど、観光客の需要に影響する事柄については特に入念に調査します。

 

宿泊施設として高い稼働率を維持するための施策とは?

(2)企画・建築

宿泊施設として高い稼働率を維持するためは、物件の魅力が非常に重要です。主なターゲットである外国人観光客から支持されるよう、私の会社では建物の細部にいたるまで、意匠に工夫を凝らした設計を提案しています。

町家の多くは、築後100年近い年数を経ており、状態やデザイン、使われている部材なども多様です。あまり手入れがされていないものや、空き家になってから年数が経ったものは劣化が進んでいることもあります。あるいは、もともとの間取りや使われていた部材に共通性があっても、住み手によってさまざまな改装を施され、ほとんど原型をとどめていないものもあります。

私の会社では、一つひとつの町家について、事前に行った市場調査に基づいて、立地やターゲット、周辺環境、競合施設等に合わせたリノベーションプランを構築し、投資家に提供しています。

企画の骨子が固まったら、リノベーション工事に取りかかります。ただし、長く経営を維持するには、事前準備として地域や行政との折衝が欠かせません。近隣から応援してもらえるよう説明会を開催し、事業の内容や民泊との違い、例えば緻密な管理やオペレーションについて説明を重ね、開業への合意を形成していきます。

行政への対応では各種申請手続きが必要です。主なものとして、消防法と旅館業法に基づく申請があります。

また、京都らしさを求める宿泊客の満足度を得るには、インテリアコーディネートも重要です。物件ごとにプランを作成するなかで、部屋のテーマを決め、それに合う家具や備品、装飾品を手配します。

(3)オープン準備

建物が完成したら、いよいよオープンの準備に取りかかります。なかでも大切な準備の一つに、宿泊予約サイトへの登録があります。近年はインターネット経由の予約が大きな割合を占めており、特に海外からの予約は、ほとんどがインターネットからです。そのため、開業前に、ネット上で集客できるシステムを整備しておく必要があります。

物件を知らない外国人に、魅力を伝えるうえで大きなカギとなるのが写真です。町家であることを示す外観に加え、リビングや寝室、バスルーム、洗面所など、旅行者が期待すると思われる写真を数多く撮影します。物件からの景観や立地に魅力がある場合には、宿泊する楽しみをよりイメージしやすいよう、モデルを使った撮影も良いでしょう。

(4)客室管理

民泊と差別化するうえで、行き届いた客室管理は非常に重要です。詳しくは次回以降解説しますが、ホテルとは異なり、一軒一軒が離れた場所にあるので、対応には手間と時間がかかります。最初から集約的に物件を取得して展開するドミナント出店を意識することで、効率的な客室管理を実現できます。

児玉 舟

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190906-00022995-gonline-bus_all&p=1