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2020年

11月

27日

Airbnbはもう古い?「1カ月」単位の宿泊需要増で変わる民泊スタートアップ事情

増える中期滞在需要

 

欧州のレンタルプラットフォーム大手であるFlatioとNomadXが、今年10月に合併を発表した。1カ月から1年程度の中期レンタル市場に注力することで、滞在プラットフォームのトップランナーであったAirbnbと対抗していく予定だ。

 

Airbnbがこれまでサービスの中心にすえてきたのは、観光やビジネスを目的とした、数日から数週間の短期利用だった。しかし、デジタルノマドというワークスタイルの誕生や、コロナの影響によるリモートワーカーの増加も受け、中長期滞在のニーズは急成長している。FlatioとNomadXは、ここに目をつけた。

 

Airbnbやホテルは、短期滞在を前提にした価格設定となっている。そのため、数カ月単位の中長期滞在で使用したい場合は、価格が高くなってしまうというデメリットがあった。また、通常の賃貸契約を交わす場合は、最低滞在期間が1年からに設定されている住宅が多い。このため、数カ月単位の滞在希望者は、滞在先を探すのが非常に難しいという状況があった。

 

FlatioとNomadXの価格設定は1カ月単位となっており、Airbnbやホテルと比べると割安で借りることができる。また、Flatioのサービスでは、長期滞在にありがちなデポジット(日本でいう敷金)の支払いがない。テナントと大家の間で賃貸契約を結んだり、アプリを通した継続契約と支払いも可能だ。

 

デジタルノマドやリモートワーカーが求める中期滞在

 

数カ月単位の中期滞在は、今増えつつあるといわれる「デジタルノマド」の間で需要が高まっている滞在スタイルだ。

 

場所に縛られずに仕事ができるデジタルノマドは、住みたい場所に旅行も兼ねて自由に滞在しながら仕事ができる。サンフランシスコなど生活費の高いエリアから離れ、生活コストが低い国や地域に滞在することもできる。「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた、休暇を過ごしながら仕事をするワーケーションというスタイルも、リモートワークの増加に伴い一般化した。

 

そんなデジタルノマドにとって、Airbnbやホテルに数カ月滞在するのはコストの面から選択外だ。一方、長期滞在を前提に不動産を貸し出しているオーナーからすると、数カ月というのは短く、供給がない。Flatioの共同創始者であるRadim Rezekによると、オンラインで利用できる中期滞在サービスは、現状ほとんどないのが現実だという。

 

リモートワークが一般化しつつある今、自宅オフィスを他の場所にうつしたいという需要も、今後増えることが予想される。スウェーデン、フィンランド 、オランダでは、雇用労働者の30%以上が、現在自宅で勤務をしている。アメリカのデジタルノマドの数は、今年で1千万人になるという予想もある。気分転換に、自宅ではない場所に別荘的に住まいを持ち、仕事場として使用するという需要も、今後増えていくだろう。

 

デジタルノマドを対象としたサービスの増加

 

Flatioの今年度の予約数は、前年比で20%上昇した。都心だけでみると、100%の収益増加を記録している。チェコで2015年に創業したFlatioは現在、17か国・60都市に展開しており、9000件のリスティングを持っている。対するNomadXは2017年の創業時から変わらずポルトガル市場にフォーカスしており、リモートワーカーなどを対象に、1700件の物件が登録されている。どちらも、1カ月から1年までのサービスが対象で、1カ月の利用料金は、Airbnbに比べて50%も安いという。

 

Airbnbも、4年前に中長期滞在サービスを視野に入れたことがあったが、ニーズが少なかったことから本腰を入れてこなかった(中期滞在の利益は当時、全体の5%)。

 

海外でリモートワークをする場合はビザの問題もクリアしなければならないが、テック人材用のビザを発給する英国をはじめ、リモートワーク・フリーランスビザを発行する欧州の国も増えている。チェコでは、Zivnoという1年有効なフリーランス向けの滞在ビザがある。テック最新国のエストニアでも、デジタルノマド向けの滞在ビザが今年6月からスタートした。ジョージア、ドイツ、ノルウェー、ポルトガル、オランダなども、それぞれ条件や期間は異なるものの、一定期間滞在をしながらフリーランスとして働く労働者向けにビザを提供している。

 

Airbnbの失敗から学ぶ

 

Airbnbではこれまで、利益追求の弊害として賃貸住宅の家賃が高騰するなど、数々の弊害が議論されてきた。日本をはじめ、現在では多くの欧州の都市で、Airbnbを中心とした短期滞在サービスに対する規制が行われている。

 

FlatioとNomadXは、こうしたAirbnbによる弊害や失敗を、よく心得ているようだ。

 

Airbnbを利用する家主が、利益追求のために複数の物件を管理する傾向にあるなかで、Flatioに登録している家主の85%は、1人1件のみとなっている。「物件は1人で多くても2件まで。利益追求ではなく、あくまでもサイドビジネスとして行う家主を優先しています」とRadimは説明する。

 

また、FlatioやNomadXの使用者全体の20-25%は、その街に暮らす地元民だ。学生や家を改修中の地元民などが使用するという。

 

リモートワークへのシフトに伴い、これからさらなるデジタルノマドの増加が見込まれる現在。FlatioやNomadXに限らず、中期滞在者やデジタルノマドを対象としたサービスに、今後も期待したい。

 

文:杉田真理子 / 企画・編集:岡徳之(Livit)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/585a8fd3fc1064dbccb9b2cbc84ade629e8ccded?page=1

2020年

11月

20日

タワマンの子どもは成績が伸びにくい?塾教師が気づいた真実

日本では、2000年以降、タワーマンションが乱立する状態になっている。空き家が急増する中、これ以上、大量に住宅を供給する必要はあるのか?またマンションには欠かせない大規模修繕も、タワマンは多額の費用がかかり、破綻の兆しを見せている。いま、タワマンは「限界」にきていると、住宅ジャーナリストは指摘する。本連載は榊淳司著『限界のタワーマンション』(集英社新書)より一部を抜粋、編集した原稿です。

 

なぜタワマンで育った子どもに近視が多いのか

 

タワマンに住むと心身の健康に支障をきたす?

 

日本で少しずつ高層マンションが建ち始めた頃、高層居住と心身のストレスの関係性を調べた研究者がいた。1981年、日本建築学会に発表された論文「超高層住宅居住者の住環境ストレスと健康2」の執筆者、渡辺圭子氏と山内宏太朗氏である。

 

そのまとめのところには、「住環境ストレス度と心身健康度はかなり高い相関関係を有する」とある。残念ながら、現在に至るまでそれに続く研究が見られない。これだけタワーマンションが急増した現代において、ますます必要な研究ではないだろうか?

 

実際に、私が不動産業者と話す中でも、ある一定の割合で、高層階に住み始めて体調を崩し、短期間で引っ越す人の話を聞く。

 

本記事では、タワマン居住がもたらす健康への影響や子育て上のリスクを取り上げた。現在タワーマンションで子育てをしている人や、これから引っ越しを検討している人はぜひ読んでほしい。

 

タワーマンションで育つと近視になりやすい?

 

慶應義塾大学医学部眼科学教室の教授である坪田一男氏は『あなたのこども、そのままだと近視になります』(ディスカヴァー携書)という著書の中で次のように書いている。

 

《オーストラリアとシンガポールでは、同じ中国系人種であっても高層マンションに住む子どものほうに明らかに近視が多いことが分かっています。》

 

また、同書によれば、「数ある『近視のエビデンス』の中でも、唯一確かだとされているのが『外で遊ぶと近視になりにくい』というものです」とある。

 

医学博士の織田正昭氏の著書『高層マンション子育ての危険』(メタモル出版)によると、集合住宅と1戸建て住宅に住む子どもの外遊び時間を比較すると、集合住宅で特に6階以上の高層に住む子どものほうが、1日あたり0.6時間少ないことが分かる。こうしたことも、子どもの近視に何らかの影響を与えているのではないだろうか。

 

「25階以上で生存率ゼロ」

 

このほかにも、カナダの医師会誌「CMAJ」に掲載された衝撃的な調査結果がある。心停止で病院に運び込まれた人のうち、生きて退院できた割合を調べたものだ。1~2階の居住者が4.2パーセントだったのに対して、3階以上の住民では2.6パーセント。そのうち16階以上の住民は0.9パーセントであり、25階以上になると、なんと0パーセントであった。

 

心肺蘇生は一刻を争う。高層階ほど、救急隊員が駆け付けて病院に搬送するまでの時間が長くなってしまうことが影響しているのかもしれない。

 

この調査は、子育ての環境とは直接の影響はないかもしれないが、高層階ほど搬送に時間がかかることはデメリットとして挙げられるだろう。

 

なぜタワーマンションで育つと成績が伸びにくいのか

 

タワマン育ちの子どもは「高所平気症」になる

 

高いところから落ちると、人は死ぬ。

 

これは当たり前の真実である。誰もが知っている、というか感覚として身に付けている。しかし、そうした感覚はもはや常識ではなくなりつつあるのかもしれない。

 

前述したように日本人が本格的に3階以上の階層があるマンションに住み始めたのは、概ね1960年代以降である。その頃から、高層階から子どもが転落する事故が多発した。当たり前である。高いところに住む人が多くなれば、誤って落ちる人も出てくるだろう。

 

しかし、子どもの事故が多すぎることに気付いた人もいた。

 

一群の専門家たちが、そのことを具体的に調べた。

 

財団法人未来工学研究所は1971年に設立された文科省(現・内閣府)所管の研究機関である。彼らが1985年2月に行った調査によれば、高層集合住宅の小学生342人に対して行ったアンケートにおいて、4階以上に住む子の7割以上が「ベランダや窓から下を見ても怖くない」と回答したという。同研究所の資料情報室長(当時)であった佐久川日菜子氏が、こういう子どもの感覚を「高所平気症」と名付けた。

 

高所平気症は4歳頃までに高層階で育った子どもに多く見られるという。

 

「タワマンの子どもは成績が伸びにくい」

 

タワーマンション高層階に育つ子どもは成績が伸びないと話す教育の専門家もいる。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏だ。

 

彼は中学受験指導とプロ家庭教師の経験が40年以上。かつては都内の高級住宅地の家庭を訪れることが多かったが、ここ数年増えているのが都心のタワーマンションの上層階。

 

はじめは、西村氏も「たまたま」だと思っていたそうだ。それが次第に「あれ? なぜだろう」と思うようになったという。そして今は、「タワーマンションの上層階に暮らす子どもは、成績が伸びにくい」と、ほぼ確信するに至ったようだ。

 

タワーマンションの上層階に住むにはそれなりのコストがかかる。タワマンの購入者にはニューカマーの成功者が多い。彼らは優秀であったからこそ、東京という大都会にやってきてそれなりの成功を収めたはずだ。

 

そして自らの努力によって得た成功を、自身の子どもにも望むのは当然だろう。学歴社会を生き抜くために教育への投資を惜しまないはずだ。それだけ熱心であれば、子どもも優秀である可能性が高い。

 

タワーマンションで暮らすことで子どもが失うもの

 

にもかかわらず、中学受験の専門家が「タワーマンションの上層階に暮らす子どもは、成績が伸びにくい」と確信に近いものを持った理由は何なのか。

 

西村氏は、それはタワーマンションに暮らす子どもは外に出たがらないからだと考える。以下、彼のインタビュー記事を引用する。

 

《外に出るのが面倒な子は、世界が広がらない。小学生の学習には、イメージが不可欠だからだ。子供は自分が体験したことや見たものでないとイメージできない。イメージができないと頭の中に知識が入りにくいし、そもそも問題を理解できないこともある。だから、実体験の乏しい子は、成績が伸びにくい。(中略)小学校で学ぶ勉強も、中学受験の勉強も、学びの根底にあるのは「自然」と「生活」だ。小学生の学びにそこが欠けていると伸び悩む。成績の伸び悩みは、子供自身の能力よりも環境によるところが大きい。あまり表に出ない、子供をめぐる環境の実態を伝えていくのも、家庭教師の役目だと思っている。

 

(「タワマン上層階の子『成績は低迷』の理由」プレジデントオンライン、2018年9月7日)》

 

子どもが高層居住によって失うもの

 

「住宅総合研究財団研究論文集」(№36、2009年)に「現代の子育て・子育ちからみた超高層居住に関する研究」という論文がある。副題は「乳幼児と学童期の子どもの成育環境から考察する」とある。筆頭著者は摂南大学工学部(現・理工学部)建築学科准教授(現・教授)の大谷由紀子氏。この中に興味深い記述があるので引用する。

 

《首都圏の超高層マンションが急増する地区の保育所園長に子どもの発達に関する質問を行った。現段階では高層居住による影響は認識されていないが、「親の価値観に違いを感じる」「段差の経験が乏しい(フラットな住戸からエレベーター、ベビーカーを乗り継ぐ)」「バランス感覚が育ちにくい」「コンシェルジェがいるため自分でドアを開けない」などの印象が語られた。子ども全体には「高所を怖がる慎重派の子どもが圧倒的に多い」「生き物の飼育を面倒がる子が増えた」「住んでいるマンションで経済格差が分かる、子どもの間でもそのような会話がある 」(傍点筆者)などの所見が示された。また、「子どもが土に触り、空を見上げ、木の実を採る唯一の場所としても園庭は何よりも重要」であり、マンション下の保育施設に園庭の必要が強調された。》

 

 

 

「高所を怖がる」との記述は前述の「高所平気症」の所見とは異なるものの、生活体験の乏しさは西村氏の観測と一致している。

 

自然に触れて伸び伸びと育てば普通に理解でき、身に付けられる人間としての基本的な感覚を、タワーマンションの上層階で育つことで失ってしまっているとしたら、それは至極残念なことである。

 

榊 淳司

住宅ジャーナリスト

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e3c7b8180d030438c11d03c2539555f03649c578?page=1

2020年

11月

13日

「インターネット無料」や「追いだき機能」…人気物件の舞台裏

経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

 

エリアマーケティングは地元不動産屋に聞け

 

物件のエリア・マーケティング3つのポイント

 

これまで賃貸不動産の購入までの心構えについて、「情報収集」「不動産の選び方」「不動産の現地確認」「収支計画」「融資」のテーマで紹介してきたが、ここからは購入後の賃貸住宅の経営について紹介する。

 

ここでは、入居者ニーズを取り入れた賃貸住宅を提供することが、空室リスク回避のカギを握ることを伝えたい。

 

家主業では、支出を抑えることも重要だが、最も大事なのは家賃収入を確保することだ。家主業の収入は家賃だからだ。家賃収入を最大化するためには、空室をつくらないことに注力しなくてはいけない。空室をつくらないためには、部屋を探している人に「この部屋に住みたい」と思わせることが重要だろう。つまり、入居者のニーズにマッチした部屋づくりが必要だ。

 

では、どうやって入居者ニーズを把握すればいいのか。最も重要なのは、自身が取得した賃貸住宅のエリアのマーケティングをすることだ。

 

マーケティングのポイントは3つある。

 

(1)どんな人が住んでいるエリアか

(2)どんな賃貸住宅が多いエリアか

(3)その入居対象者がそのエリアに住む理由は何か

 

この3点について探るためには、地元の不動産会社を回ることが有効だ。

 

例えば、大学があるエリアでは、(1)については学生が多く、(2)の賃貸住宅の種類は、学生向けのワンルームまたは1Kの賃貸住宅が多くなる。また(3)の学生がそのエリアに住む理由は、大学が近いからだといえる。大学があるエリアに不動産を購入する場合、単身者向けのアパートであれば、通常は学生向けに貸すということになるだろう。

 

しかし、それだけで即決してはいけない。不動産会社を回ってエリアの市場についてヒアリングするときは、学生以外にどんなニーズがあるかを必ず聞かなくてはいけない。当然のことながら、そのエリアには学生向けに賃貸しているライバルが多いからだ。あえてライバルの多い学生を入居者ターゲットとして運営するのか、あるいは、少数派ではあるが、学生以外のニーズを対象とするかを検討する必要がある。

 

「ターミナル駅でなくても、駅から近ければターミナル駅より家賃が安いので、社会人で部屋探しする人が増えている」などという情報が入れば、ライバルだらけの「レッドオーシャン」を狙うより、まだ潜在的なニーズとしてしか知られていない「ブルーオーシャン」である一人暮らしの社会人向けの需要に目を向ける方が、成功する確率は上がるのではないか。あるいは、単身者向けではなく、あえて二人暮らし向け、ファミリー向けの物件購入を検討するという選択肢もあり得る。単身者以外のニーズがどれだけあるのかを、不動産会社を回って聞くことも重要だ。

 

インターネット無料と追いだき機能が人気上位なワケ

 

例えば「意外に小学校の学区として人気が高いのに、ファミリー向け賃貸が少ない」という声を聞いたら、ファミリー向けにチャンスありだ。「需要に対して少ない=不足している」ということなので、ファミリー向け賃貸アパートやマンションがあれば狙い目だろうし、あるいは中古分譲マンションも、というように、選択肢はさらに増えるかもしれない。

 

いずれにしても、収益性が高い不動産の条件は、家賃競争にさらされないポジションにあること。入居者ニーズは、誰もが考えつくようなものだけでなく、意外性のあるニーズ、まさにダイヤモンドの原石のようなものを掘り当てることこそ重要だ。

 

人気設備は「インターネット無料」が4年連続1位

 

入居者のターゲットが明確になってきたら、そのターゲットのニーズに合う部屋を考える。入居者ニーズは大きく3つに分けられる。

 

(1)設備に対するニーズ

(2)建物の造り・間取りに対するニーズ

(3)管理に対するニーズ

 

まず(1)の設備に対するニーズについて説明しよう。

 

賃貸住宅業界向け専門新聞「週刊全国賃貸住宅新聞」で、毎年「入居者に人気の設備ランキング」という企画を実施している。この企画では、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」と「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」の2つのランキングを掲載している。

 

このランキングは、全国の賃貸住宅管理会社の協力を得て、それぞれについて、単身者向けと2人以上住めるファミリー向けとに分けて回答してもらった結果をまとめたものだ。パッと見ただけでも、単身者向けとファミリー向けのニーズの優先順位の違いがわかるだろう。購入したアパートの空室をリフォームする際に、どんな設備を新しく入れるかを検討するときには、単身者向けなのか、ファミリー向けなのかで設備のニーズが異なることを押さえておきたい。

 

このランキング企画は、2005年からほぼ毎年実施していて、私は第1回から編集部の一員として関わっている。第1回からランキングを見ていてわかったことは、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」に入っている設備が、2、3年後には「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」に入っていることだ。つまり、年々設備に対するニーズは、レベルが上がっていることになる。

 

例えば、単身者向けの「独立洗面台」や「宅配ボックス」は、数年前までは「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」のランキングのみに入っていたが、現在は当然ながら両方に入っている。

 

もちろん、長期間TOP3に入っている設備もある。単身者向けでは「インターネット無料」、ファミリー向けでは「追いだき機能」だ。この2つの設備に共通するのは、家計に優しいということだろう。

 

エリアの入居者ニーズをどう掴めばいいのか

 

インターネット無料についていえば、今や賃貸入居者の主要ターゲットである若者にとって、水道、ガス、電気に次いで重要なインフラで、個人で契約するとなると、通常4000~5000円ほど必要だ。そのため、インターネット無料となれば、家賃が周辺相場よりも1000円、2000円高くても、個人で契約するより「お得」になる。では、なぜ家主はインターネットを無料で提供できるのか。当然、インターネット使用料は家主が負担している。ただし、家主向けのインターネット料金は個人の料金とは異なる。集合住宅でまとめてその戸数分を契約するため、1戸で契約する個人よりも安く契約できるのだ。

 

契約戸数やプロバイダー会社にもよるが、目安としては月額1戸あたり1000円前後、別途工事費などの初期費用がかかる。初期費用は設備投資費と考えるが、月額使用料は家賃が1500円以上高くできるのであれば、入居者にインターネット使用料無料としても、十分まかなうことができる。入居者がいる部屋では、立ち会い確認などに手間がかかり、なかなか工事が進まないこともあるが、家主にとっても、入居者にとってもメリットがあるサービスであり、インターネット無料物件の付加価値は高い。

 

追いだき機能がファミリー向け物件に人気なのは、やはり生活時間のタイムラグにある。働き盛りの父親が帰ってくる時間が遅いと、子供たちが入浴する時間と間が空いてしまう。熱いお湯を足すことなく、お風呂を温めることができる。

 

また、二人暮らしや子供が1人のファミリーの場合、2日間お湯を入れ替えずに入るケースもある。そのときにも追いだき機能は役に立つ。ガス代はかかるが、水道代の節約という点でメリットが大きい。

 

ただ、新聞で掲載しているこのランキングは、すべてのエリアに通じるものではない。全国各地からニーズを集めて一つのランキングにしているからだ。ランキングの順位は、エリアによっては異なるものもあるだろう。所変われば住まいに対する入居者のニーズも変わる。当然、設備についても変わるものだ。しかし、このランキングが役に立たないわけではない。

 

賢い家主は、何の準備もせずに「このエリアでは、どんな設備があると入居者が決まりやすいのか」などという質問はしない。このランキングを片手に不動産会社を訪問し、「このエリアではどれが上位になるのか」と聞く。不動産会社の担当者も、たたき台となる「週刊全国賃貸住宅新聞」のランキングがあるからこそ、「このエリアは、単身者ならこっちの設備の方がニーズが高いので2位ですね」などと的確なアドバイスができるだろう。

 

良い情報を集めるためには、自ら情報を発信することが重要だ。そのためのツールとしてもこのランキングの利用価値は高い。

 

永井ゆかり

「家主と地主」編集長

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e32d06e62ea7c739e47a91afcce888dd4196ee42?page=1

2020年

11月

06日

収入減で「住宅ローン破産」も…コロナ禍で家を買う際の注意点とは?

新型コロナウイルスで多くの企業の業績が悪化し、それに伴う収入減少や失業で「住宅ローン破産」をする人が続出しています。以前から家を購入しようと考えていた人の中には、今回のコロナ禍をきっかけに購入を見直す人もいるようです。ただ、年齢が上がれば上がるほどローンの借り入れが難しくなるともいわれており、いつまでも決断を先延ばしにするわけにもいきません。新型コロナウイルスの終息の見込みがない中で家を買っても大丈夫なのでしょうか。

 

積極的な繰り上げ返済はNG

 

新型コロナウイルスの影響で休業や解雇となり、収入が大幅に減ってしまったという人も少なくないことでしょう。そんな中で人生の大きな買い物である家の購入をどうしたらよいのか考えてしまいますよね。特にファミリー世帯は持ち家志向が強いため、これから家を購入しようと検討している人も多いかもしれません。その場合、コロナ不況が長期化することを前提に考え、住宅ローンについての考え方を従来とは変える必要があります。

 

これまで、住宅を買うときの基本といえば、「物件価格の最低2割は頭金で入れる、返済期間はなるべく短く、積極的に繰り上げ返済を行う」というものでした。もちろん、ローンの金額は少なく、早めに返済できるに越したことはありませんが、短い期間で返済しようとすると、毎月負担する金額が重くなります。

 

例えば、4000万円の住宅ローンを金利1%で借り、35年返済するケースと25年返済するケースを比較すると、35年返済する場合の月々の返済額は11万2913円。25年返済する場合の月々の返済額は15万748円となり、毎月約4万円も違ってきます。

 

毎月の収支に余裕があれば、貯蓄する余裕も生まれるので、子どもに学費がかかる時期にも貯蓄で対応したり、今回のコロナ危機のようなことが起こって家計が厳しくなっても貯蓄で補填(ほてん)したりすることも可能です。貯蓄する余裕があれば、子どもの教育費の負担が減ってきたところで、貯蓄分を繰り上げ返済に回すこともできます。

 

企業が倒産するときは、資金繰りでつまずくケースがほとんど。確かに、ローン期間を長くすれば総返済額も膨らみますが、それでも「資金繰りができるかどうか」を重視しましょう。

 

借りられる金額=返せる金額ではない

 

先行き不透明な状況の中で家を購入する場合、資金計画を慎重に立てることは非常に重要です。大切なのは家計を圧迫しない返済プランを組むことです。よくありがちな失敗としては、毎月の住宅ローンの返済額が今の家賃と同額になるような住宅ローンを組んでしまうことです。「今の家賃と同額であれば問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それは間違いです。なぜなら、家を購入すると、月々のローンの返済のほかに管理費や修繕積立金、維持費がかかるからです。

 

マンションの場合には、管理費・修繕積立金が一般的に毎月2万円から3万円ほどかかります。一戸建ての場合には、マンションと違い、管理費・修繕積立金はかかりませんが、不動産はマンションの敷地権の評価よりも土地による評価部分が大きくなるため、その分だけ固定資産税などの負担が重くなる可能性があります。また、不具合が発生したときの修繕費もかかるため、この費用も見込んでおく必要があります。

 

一般的に、住居費用は手取り金額の25%以内に収めるのが理想といわれていますが、都心部の住宅の場合、価格が高いので、35%以内までは許容範囲とします。

 

例えば、手取り月収が35万円のご家庭が4000万円の物件を頭金200万円、金利1%で35年間借りた場合を見てみましょう。毎月のローンの返済額は約10万7000円。マンションの場合、管理費・修繕積立金が加わるので、2万5000円程度を加えると、毎月約13万2000円を支払うことに。先述のように、住居費用は管理費・修繕積立金も含めて考えるため、住居費用の家計に占める割合は38%程度となります。

 

ちなみに、管理費・修繕積立金を含めて考えない場合には、住居費用の家計に占める割合は30%程度となるため、3800万円までローンを借りられるように思ってしまいますが、その金額でローンを組むと住居費が家計を圧迫してしまいます。

 

ではそもそも、金融機関はどれくらいの金額のローンを貸してくれるのでしょうか。一般的に、金融機関が住宅ローンとして貸してくれる金額は「年収負担率(総返済負担率)」で35%まで(年収400万円以上の場合)。この年収負担率というのは、年間のローン返済の総額を税込み年収で割った金額のことです。ただし、実際には、年収負担率35%まで借りられるのですが、理想の住居費用とされている「手取り金額の35%以内」を目指すとなると、年収負担率は20%程度に抑えたいところです。

 

また、これからはボーナス返済が当てにならない時代です。ボーナス返済を組み込んだプランは危険なため、「月々の返済のみ」のプランにしましょう。

 

今回はざっくりとした試算ですから、実際に家を購入するとなった場合には、頭金や返済方法、返済期間、金利など、さまざまな側面からシミュレーションして、家以外の教育費や老後費用なども貯蓄できる余裕があるか、家計が破綻しないかなどを確認することが大切です。

 

「出口戦略」も考えて

 

現在のコロナ禍では、家に対する価値観も変化してきています。なぜなら、新型コロナの影響で、多くの企業でリモートワークを推進しており、通勤する回数が減っている人も少なくないからです。

 

家で仕事をするとなると、これまで、住宅選びの最重要ポイントとされていた都心部や駅へのアクセスのよさといった「通勤利便性」の優先順位が下がります。通勤する必要がない、もしくは減るのであれば、都心部の狭いマンションを購入するよりも、郊外や、駅から離れたエリアの一戸建てを購入した方が価格が安い上に面積も広く、お得度が高いため、最近、郊外の一戸建ての購入を検討している人が筆者の元に相談にくるケースが多くなりました。

 

金額面で見ても、都心部の物件と比べて購入金額が安いため、ローンの負担も抑えられます。新型コロナウイルスの終息が見えない中で高額な住宅ローンを組むと家計が破綻する可能性もあるため、手堅くローンを組むのはよいと思います。

 

ただし、注意が必要なのは、新型コロナウイルスが終息した場合、現在と同じ頻度でリモートワークが続けられるかということです。また、転職した場合にはリモートワークの可否は未知数ですし、子どもが独立したら、広い家ほどメンテナンスが大変になります。病気になった場合も都心部の方が病院に通いやすいでしょう。

 

長い人生の間にはさまざまな転機が訪れます。その際、人に家を「貸す」「売却する」といった選択をする可能性も大いにあります。賃貸契約が成立しやすく、高く売れる物件というと、都心部の資産価値の高い物件になる傾向は、これからもしばらく続くことが予想されます。ちなみに、一戸建ては築20年を超えると建物の価値がゼロになると査定される傾向があるため、どれだけ価格を下げても買い手がつかない駅から遠い物件では、不良債権化する可能性もあります。

 

実際に住んでみて気付くことも多いと思いますが、メリット・デメリットをよく吟味して選択する必要はあるでしょう。購入するときに「貸す」「売却する」ことは考えにくいですが、これらの可能性もあることも踏まえて、現在の状況だけにとらわれず、将来にわたる自分たちのライフプランもしっかりと考えて物件選びをすることが大切です。

 

今回はコロナ禍で家を買う場合の注意点について述べましたが、「そもそも、家を購入する必要があるのか」「一生賃貸なのか」も含めて検討することが大切です。金額的な面からいえば、持ち家も賃貸もかかる費用に大きな差はありません。まずは自分自身のライフプランをしっかり考えてみましょう。

 

ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3416bdc8de0fdf406cc717efb7e6954a86ff1ce7?page=1

2020年

10月

30日

不動産投資が「物件のよさ」だけでは成功できない深い理由

2018年に社会問題となった、新築シェアハウス“かぼちゃの馬車"破綻事件以降、不動産投資へのネガティブなイメージが広がっています。しかし、ある一定の条件を揃えることで、収益不動産を活用した資産形成は実現できます。ここでは、投資物件の選択から維持管理の基本を解説します。※本記事は『新富裕層のための戦略的不動産投資』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

 

「管理会社」と「仲介会社」の違いを理解しているか?

 

不動産投資は物件のよさだけでは成功を収めることはできません。特に運用面では、客付け力が重要な指標となります。リーシング力について解説している本はたくさんありますが、うまく伝わっていない部分も多くあると感じています。それは、管理会社と仲介会社の違いです。

 

当社は賃貸店舗を所有しておらず地場もないのですが、常時96%以上の入居率を保っています。これは、当社のリーシング担当が「管理物件の入居率」を目標としているからだといえます。一方、仲介店舗は「手数料」を目標にしています。例えば、管理物件の入居率よりも仲介手数料や広告費、家賃保証会社など、あらゆるところからマージンを得ることに重きを置いているわけです。つまり、当社のようなタイプはストックビジネスのようなものであり、一方の仲介店舗は単発の手数料商ですので、ビジネスの仕組みが違うということです。

 

管理だけをしている会社であれば、管理手数料が利益の中心となり、客付け会社であれば賃貸仲介の手数料や広告費が利益となります。また、店舗で営業する客付け会社の場合、店舗運営のコストがかかります。

 

今はネットの時代ですが、管理会社と客付け会社の連携がどれだけとれているのかがキーとなります。どのような客付け会社が強いのかは一概に言い切れませんし、一社に任せて客付けが決まるという時代ではありませんから、管理会社が複数の客付け会社に入居募集を依頼していくのが重要です。

 

自主管理をして自分で賃貸仲介会社を一件ずつ回るという方も時々いますが、それを本業にしている管理会社に任せたほうが費用対効果は高いです。

 

そもそもの話として、一口に「不動産会社」や「客付け会社」といっても、例えばTVCMで見かけるような大手チェーン店は、一見客付け会社のように見えますが、地元では大手の管理会社であるケースが多いです。直営店舗の他地場の不動産会社がフランチャイズに加入しているケースもありますから、見た目は全国区のショップのように見えて、実態は地場の老舗管理会社であるということも少なくありません。

 

結局のところ大切なのは、しっかりとリーシングすることです。そのためにどうすればいいのかといえば、非常にシンプルな話です。入退去の管理やクリーニングやリフォーム手配を行い、客付け会社にきちんと情報を周知させること。またADなど、かかる経費をしっかりと配分することです。

 

物件に関していえば、空室を埋めるには、「キレイにすること」が基本です。退去になった部屋は迅速に原状回復工事や必要なリフォームを実施することはもとより、一棟丸ごと管理している会社としてエントランス・廊下・ゴミ置き場・EV・駐輪場など、常に全体をきれいに保っておくことが一つひとつのお部屋の入居促進につながる第一歩です。

 

賃貸経営は、目先の収益より「長期的な視点」が重要

 

物件購入はゴールではなく賃貸経営のスタートです。新富裕層は購入後にどのように賃貸経営に向き合うべきか、建物管理などコストについてお伝えいたします。

 

「お金持ちは3代で家を潰す」という話はよく聞きますが、これは初代の才覚で裕福になったとしても、2代目、3代目はお金の使い方が下手なので、資産を減らしていくという意味です。

 

使い方が下手とは、長期的視点・経営者視点を持たず、目先の損得で物事を判断するということです。「安ければいい」と短絡的に考えていると、そのときは小さな利益を得ても、のちのち大きな損を被るということが経営上ではよく起きます。

 

ですから、何事も構造をきちんと理解することが重要です。例えば、家賃が1000円上がると聞けばうれしくなってしまうものですが、わずか1000円のために2カ月も空室となっては元も子もありません。

 

そのためオーナーは、そうした目先の小さなお金のために、大きなところを見失わないようにしなければなりません。

 

また、客付け仲介店の営業マンは人の入れ替えが激しい傾向があります。オーナー様自ら顔入り名刺を持って挨拶回りに行ったものの、すぐ担当者が離職してしまったという例は珍しくありません。

 

特に地方は、地主という、管理会社にとってのビッグクライアントの物件が優先されるケースも多いため、自分の物件を後回しにされないために、現地の仲介会社を回られる方も多いです。そこまでしたのに担当者が離職となれば、不満な気持ちもよく分かります。

 

ただ、理解しておかないといけないのは、地方物件の多くがそうであるように、家賃が安い物件の場合、客付け仲介会社の収益が家賃1カ月分では割に合わないということです。なので、そういった物件は、賃貸募集の際に、高い広告費が必要であることを見越した価格で購入する必要があります。

 

つまり、表面利回りが高くても、客付けコストや原状回復費を考慮すると、家賃2、3万円の物件は投資に見合っていないというケースも多々あるのです。原状回復費については、今回の民法改正でほとんどがオーナー負担ということになりましたので、特に注意が必要です。

 

「必ずX後に売る」というこだわりは不要

 

高稼働の必要性と、購入後(買い進めや売却など)をどのように考えればよいのでしょうか。

 

最近、お客様から出口戦略について相談を受けることが増えました。しかし、そもそも30年という長さでお金を借りられることもすごいことですし、完済後も持ち続けるという選択肢もあるわけです。

 

にもかかわらず、なぜ「5年後に売る」といった戦略を立てる必要があるのでしょうか。5年後の相場は、誰にも読めません。それどころか1年先も、数カ月先でさえも予測が難しいのが経済というものです。

 

自分にコントロールできないものによって、自身の損益が左右されることは、できるだけ避けなければなりません。

 

ファンドバブルが弾けたのは、ファンドが「〇年後には必ず売却する」ということを決めていたために、実際5年後に相場が下がっていても売らざるを得なくなったためです。

 

30年間で好きなときに売れるのに、わざわざ5年後に売ると決めてしまう理由はないはずです。毎年「今は売り時か?」と検討する必要はあるものの、最初に確定する必要はありません。

 

むしろ「5年後に売れたらいいなと思っていたけど、市況が悪いから持ち続けよう」とか「3年だけど、今売ったほうがよさそう」、もしくは「急にお金が必要になったから売ろう」といった判断を自分でできることが長期投資の強みです。

 

したがって、イメージを持つことや毎年の定点観測・市場把握は重要ですが、「必ずX後に売る」というこだわりを持つ必要はないのです。

 

信頼できる管理会社の選択が成功の秘訣

 

私は物件購入においてバランスを大切にすべきという考え方を提案しますが、購入後もバランスが必要です。長期修繕計画に関しては、新築アパートを買う人の場合、20年経った中古アパートがどうなるのか理解したうえで新築を買うのならいいのですが、新築物件しか見ないのはリスクがあります。

 

また不動産会社との関係性についても、私は違和感を覚えます。あなたは不動産会社を「コンサルティング会社」として見ていますか、それとも「下請け会社」として見ていますか。「安ければいい」と考えるのは、下請け会社に対しての発想です。下請けだと見ているのなら、下請けのような会社しか選べないでしょうし、逆にコンサルティング会社だと思って見ているのなら、それにふさわしい会社と出会えるはずです。

 

私自身、管理は「当たり前の積み重ね」だと認識しています。当社のお客様には、すでに他社から物件を購入している方もいます。ただそのなかには、管理状態がひどいケースもあります。

 

管理については、数の論理が働くので、管理戸数が3000戸もしくは5000戸といったラインを超えないと、ビジネス的に生産性が高いとはいえません。当社の場合、そこまでの戸数にはなっていないのですが、売買があるので会社全体としては成り立ってはいます。そうでなければ管理戸数が多い会社でないと厳しいといえるでしょう。

 

特に、繁忙期に原状回復の業者に依頼する場合、やはり発注数が多い管理会社の依頼が優先される傾向にあります。繁忙期に暇な原状回復業者というのは、仕事のクオリティが低いから暇なのであって、言い方は悪いですが〝安かろう悪かろう〟のケースはやはり多くなりました。

 

そういったことを考え合わせると、管理会社のポイントは、質の高い工事業者を迅速に手配したり、入居者様からのリクエストに丁寧に対応したり、送金レポートを1日でも遅らせなかったりということになるのです。

 

杉山 浩一

株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

宅地建物取引士

マンション管理士

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/45b2602c65fb699ab30f528b166e7ee0803749dd?page=1

2020年

10月

23日

恐しい…水で急速に腐った「日本の木の家」のとんでもない末路

本記事は、2016年1月29日刊行の書籍『「ワケあり物件」超高値売却法』(幻冬舎MC)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

築50年の住宅…価格はゼロどころかマイナス

自分の物件に、どのような不人気の「ワケ」があるのかを、いくつか代表的な事例をあげて見ていきましょう。

 

1.築年数が古い物件

 

不動産の上物は新しければ新しいほど価値が高くなります。欧米はともかくとして、日本ではこれが絶対的な真理です。欧米では、伝統的な石造りの建物などにも人気が集まりますが、日本では伝統的な古民家といえども住みたがる人は多くはないでしょう。

 

もちろん、欧米に比べて日本の住宅が、耐久性で劣るというわけでもありません。建築技術でいえば、住宅でもマンションでも日本は世界でも最高レベルにあります。違いがあるとすれば文化や慣習の部分です。

 

ちなみに、日本の法律では、木造住宅・店舗の減価償却用の耐用年数は事業用で22年、自己の居住用で33年となっています。これは、税制上は木造住宅には33年間の使用価値があることを示します。

 

もちろん、実際の耐用年数はもっと長く、実際に存在する木造住宅を見ると、築50年や60年の物件もたくさんあります。

 

しかし、市場価値でいえば、木造住宅はだいたい15年も経てば価値がゼロになってしまいます。つまり築15年の木造一戸建ての物件があったとすれば、その価格は、ほぼ全て地価であって、住宅部分は価格に入っていないというわけです。

 

さらにいえば、築50年の住宅などでは、その価格はゼロどころかマイナスになることもあります。新しい買い主が住宅を取り壊す費用がかかるからということで、土地価格から住宅の取り壊し費用が引かれて、物件価格になっているからです。

 

ちなみに、鉄骨鉄筋コンクリート(RC)造の建物の場合は、減価償却用の耐用年数は事業用で47年、自己の居住用で70年です。RC造は歴史が浅いので、明確にはわかりませんが、実際の耐用年数も同じ程度ではないでしょうか。

 

ですが、市場価値でいえば、やはりRC造のマンションといえども、せいぜい30年間でゼロになるのではないかと思います。

 

同じ築10年でも「こんなに違う…」大差のワケは?

2.設備の老朽化した物件

 

物件の築年数が経っているかどうかは、人でいえば年齢のようなものなので、ごまかすことはできません。物件広告を見ればすぐにわかります。しかし、物件広告だけではなかなかわからないのが、その物件の状態です。状態がよければ築年数が経っていても売れますし、逆に悪ければ築浅でも不人気物件となってしまいます。

 

実際に物件がどのような状態にあるのかは目で見てみれば一目瞭然です。同じ築10年といっても、状態がよいか悪いかで雲泥の差が出ます。会社で人を採用するときに、同じ年齢でも外見や経歴がまったく異なるのと一緒です。

 

物件の状態といって、すぐに思い浮かぶのは外観や内装です。外壁の塗装が剥げていたり、壁紙が煙草のヤニで汚れていたりするような家は、いかにも古そうな感じがしますし、目に見えない部分の経年劣化まで想像させてしまいます。

 

人間も、採用面接や商談に向かうときにはきれいに外見を整えていきますが、それと同じように不動産も、内覧の前には化粧(メイクアップ)をして、こざっぱりとした外観になるよう清掃する必要があります。お客様に自らを売り込むという意味では、どちらも同じことだからです。

 

もちろん、外見ばかりではなく、中身も重要です。すぐに目に見えるわけではありませんが、大切なポイントが水回りです。住宅において最も傷みやすく、劣化が激しいのが水回りの設備だからです。

 

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい

水回りとは、トイレ、キッチン、風呂場、洗面所を指します。水を使う場所は汚れを落とす場所でもあるので、油汚れも多く、どうしても汚くなりがちです。

 

また、水は一見、無害に見えますが、木材や鉄骨などの建材を腐らせる作用を持ちます。住宅にとって一番の大敵は水気なのです。もちろん、水気はパイプや塗料などによって建材からは遠ざけられていますが、長年使っていると、知らず知らずのうちに水はねや水漏れが重なって、しみをつくり、経年劣化を進めるものです。

 

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい印象を見る人に与えます。水回りではありませんが、住宅と水の関係で最も注意しておきたいのが雨漏りです。雨漏りは、屋根や外壁のすき間から雨水が建物の内部に侵入することで起こります。水が入ってきたときに、中にいる人がすぐに気づけばよいのですが、なかなかそうはなりません。なぜなら、外壁と内壁との間には、天井裏などの空間があるからです。

 

さらに、そこに断熱材や防音材などが詰められているために、住宅内への雨水の侵入に気づけないのです。そのため、住人が室内への雨漏りに気づくころには、すでに天井裏にはかなりの水がたまっています。その水が天井にしみをつくり、柱を濡らし、ベニヤ板を波打たせてしまうのです。

 

雨漏りの厄介なところは、1回の修繕では完全に直せないところです。というのも、雨漏りは、前述のような理由ですぐに気づけないために、屋根や外壁のどこから雨水が入り込んでいるかの原因を特定することが難しく、直しても直りきらないことが多いからです。また、一部を直しても、他の箇所から雨が侵入することが多く、何度もの修繕を必要とします。

 

実際に、弊社の管理する物件では数カ月の間に、3回も雨漏りの苦情が出て、そのたびに工務店を手配しなければなりませんでした。住宅の水気は、建材の腐食ばかりでなく、シロアリを呼び込むこともあります。腐食もシロアリも、壁の裏側で進行するため、普通に生活していても気づかないことが多く、気づいたときにはもう手遅れになっていることが多いのです。

 

これらの経年劣化は、たとえ売り主が知らずに売却しても、売却後に発覚した場合、瑕疵担保責任として売り主の責任で修理する必要があるため、黙って売り抜けることはできません。また、知っている場合は修繕履歴を全て、新しい買い主に伝える義務があります。

 

ですから「ワケ」を隠すことは法律上も、道義的にもできないのです。それよりは、売却前に徹底的に検査と清掃をして、できるだけよい状態をお客様に見せるほうが、高額で売れる可能性が高まります。

 

バス停からも10分以上…「遠すぎる家」の恐ろしい結末

3.交通の利便性が悪い物件

 

不動産屋として売り出し中の不動産を見ていて感じるのは、人気のない物件、価格が下がっていく物件の特徴は交通の利便性が悪いことです。

 

かつて、住宅が不足していた時代には、駅からバスで何分などといった物件でもわりとよく売れていたのですが、現在は、駅から歩けないくらい遠い物件は本当に人気がなくなりました。

 

バス停が近くにあればまだいい物件で、ひどいところになるとバス停からも10分以上歩かなければなりません。都市部ではどうしても駅周辺が栄えますし、人も集まります。駅から近いことは、今や住宅の必須条件になりました。

 

戸建てであればともかく、マンションの場合は駅から遠いと格段に資産価値が落ちます。電車の線路は人間の身体でたとえるならば血管のようなものです。人口が減少すると、都市の中心部に人が集まるコンパクト・シティ化が進みますから、ますます郊外には人がいなくなるでしょう。

 

「駅から遠くても車があるから大丈夫」の落とし穴

もちろん「駅から遠くても車があるからいい」という人も、なかにはいます。しかし、車派の人の場合は、物件の道路付けにこだわります。まず、車派の人にとって、駐車場のない物件は、それだけでアウトです。せっかく住宅を買うのに、わざわざ家から離れた駐車場を借りることほどバカバカしいことはありません。

 

さらに駐車場があっても、家の前の道が4メートル未満の場合は、取り回しが困難です。駐車場に車を入れるたびにストレスを感じたくはありません。建築基準法では、建物の敷地は原則として幅員4メートル以上の道路に接している必要があるとされています。もし敷地に面している道路の幅が4メートル未満の場合は、その敷地には建物は建てられません。仮に建てても、違法建築物になってしまいます。これを接道義務といいます。

 

しかし、新しく開発された都市はともかく、古くからある市街地では4メートル未満の道が普通に存在しています。江戸時代には車などなかったのですから道もそれほど広く造る必要がなかったのです。法律を厳格に適用すると、古くからある道とそこに面した建物のほとんどが違法となってしまいます。

 

そのため、建築基準法第42条第2項の規定で、古くからある幅員4メートル未満の道を建築基準法上の道路とみなすように規定しています。これを42条2項道路と呼びます。本来は、幅員4メートル未満のものは道路とすら認めないのですが、建築基準法ができる以前からの道であるため、特例として道路と認めているのです。

 

このように、幅員の狭い道路はいずれも見栄えが悪く、車での通行に不便なために敬遠されています。また、42条2項道路に面した建物は、建て替えの際に道路幅が4メートルになるように敷地を後退させること(セットバック)が義務づけられているため、将来的には敷地面積自体も狭まることになっています。このため、余計に人気がなくなっているのです。

 

松本 俊人

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/b5439a0bbec4f74672afdb5c02872f8ebd53a905?page=1

2020年

10月

16日

53歳会社員「住宅ローン控除を使って節税したらいくらの物件まで手が届く?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。 今回の相談者は、53歳、会社員の男性。戸建てから戸建てへの住み替えを検討中の相談者。住宅ローン控除を活用しながら、いくらぐらいまでの物件まで手が届くか知りたいとのこと。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

 

 

【相談者の悩み】

 

家を建てたいのですが、大きな買い物なので不安もあります。いくらぐらいの物件までなら心配ないのでしょうか?

 

現在の金利を考えれば節税のために住宅ローン控除を使いたいので、できるだけ頭金を少なくして買おうと思っています。現在の自宅はローン残債300万円で、不動産屋に相談すると2000万円くらいで売れそうとのことです。 

 

車(BMW)の買い替えを考えていますので、1年後に500万円ほどは貯蓄が減ります。 子どもは独立したので教育資金等大きな出費の予定はありません。60歳までは現在の収入が続きますが、その後は半分になり65歳で終わりです。退職金は2000万円ほどの予定です。将来的には実家の不動産を弟と相続しますので、半分売却すれば5000万円にはなると思います。 

 

【相談者プロフィール】 

 

男性、53歳、会社員、既婚 

 

同居家族について:妻、53歳(パート・手取り月8万円) 

 

子ども:1人(25歳)、独立 

 

住居の形態:持ち家(戸建て) 

 

毎月の世帯の手取り金額:68万円 

 

年間の世帯の手取りボーナス額:100万円 

 

毎月の世帯の支出の目安:40万円 

 

【毎月の支出の内訳】 

 

住居費:11万円 

 

食費:5万円 

 

水道光熱費:3万円 

 

保険料:2万円 

 

通信費:1万5000円 

 

車両費:1万円 

 

お小遣い:15万円 

 

その他:1万円 

 

【資産状況】 

 

毎月の貯蓄額:20万円 

 

ボーナスからの年間貯蓄額:100万円 

 

現在の貯蓄総額:2000万円 

 

現在の投資総額:1500万円 

 

現在の負債総額:300万円

 

 

 

【FPの回答】

渡邊:こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。住宅の買換えを検討しており、どれくらいの物件価格まで購入して大丈夫かとのご相談です。

 

お子様は既に独立しており、教育費の心配はいらないので、ご夫婦でのリタイア後を見据えての購入計画になります。理想のシニアライフを実現するための賢い住宅購入計画について考えていきましょう。

 

リタイアするまでにいくら準備するべき?

現在の手取りの収入から逆算して、年収は1080万円とします。60歳までは同じ年収で推移し、60歳から65歳は年収540万円と仮定します。

 

まずは、完全リタイアするまでにどれだけ生活資金を準備するべきかについて、現在の生活費をベースに考えてみましょう。 

 

現在お住まいのご自宅を売却した場合の手残りは、税金や手数料を加味しないと1700万円とします。現在、住居費を除いた生活費は、約29万円/月となります。お仕事をされているので、交際費などの支出があると思われ、お小遣いは15万円と多めの計上となっています。実際にリタイアした後に、これだけの金額使うかは分かりませんが、少し余裕を持たせた上で同じ生活費で考えてみます。

 

年金プラス住居費プラス2000万を目安に

一方、入ってくる収入としては、65歳に完全リタイアとすると公的年金のみとなります。厚生年金については、加入期間とその間の収入によって受給額が変わりますが、今回は夫婦合わせて、公的年金の受給額25万円/月とします。 

 

もし90歳までの生活を考えると、差額の4万円/月×25年間=1200万円となります。リフォームや介護・葬儀費用などの特別支出を500万円程度考えるとすると、住宅費用を除いた老後資金の目安は、1700万円となります。 

 

65歳以降の生活で住居費以外で約2000万円程度手元に準備すれば、十分生活出来る計算となります。退職金が大体2000万円とのことなので、それを老後資金と考えても良いかもしれません。

 

住宅ローン控除の恩恵は受けられる?

 

 

次に住宅購入について考えてみましょう。ご相談者は今の低金利をうまく活用しながら住宅ローン控除を最大限使っていきたいとのご要望です。

 

ご相談者は新築で戸建てを建てたいとのことですので、もし長期優良住宅であれば、ローンの年末残高の1%(最大50万円)を所得税・住民税から控除することが出来ます。 

 

住宅ローンの返済シミュレーションを作成すると、変動金利0.45%返済期間20年で5500万円の住宅ローンを組んでも、10年経過後の繰上げ返済を考えると、支払い利息よりも住宅ローン控除で控除できる合計額の方が大きくなるので、メリットがあると言えそうです。

 

 

 

7000万円の物件を買っても老後資金は問題なし

 

 

これらを踏まえてCF(キャッシュフロー)表を作成してみました

 

 

<前提条件> 収入:ご主人様~60歳1080万・60歳~65歳540万、奥様~60歳96万 世帯年金:65歳~約25万/月 

 

退職金:60歳2000万 

 

生活費:29万/月 

 

住宅購入:年収からの借入れ可能額5500万、頭金1500万、住宅ローン5500万 変動金利0.45%、返済期間20年、10年後に残債を一括返済予定。 自動車購入:来年500万 将来の相続:考慮せず

 

 

仮に諸費用込みで7000万円の物件を頭金1500万円入れて5500万の住宅ローンを組めたとしても、返済しながら貯蓄をすることも可能です。90歳時点で1000万円強の貯蓄が残る計算となります。

 

 

もし、住宅のリフォームや介護などを考慮しても、将来の相続によるご実家の売却などを想定した場合は、十分老後の生活はしていけるでしょう。

 

 

 

無理に高い物件を買う必要はない

 

住宅ローン控除を最大限活用しながら、生活出来る範囲の物件金額について考えましたが、当然無理に高い物件を購入する必要はありません。住みたいエリアやどのような家でどのようなライフスタイルを実現させたいのかが重要となります。まずはそこからスタートが基本です。 

 

今回いただいた情報以外にも、例えばお子さまへの結婚資金援助や住宅購入資金援助、お孫さんが出来た場合の援助など、出来ればやってあげたいというものもあるかもしれません。 

 

ご相談者は既に教育費も終わっており、それなりの資産形成もされてきているので、ある程度の余裕はあるようです。 

 

住宅購入以外の老後にやりたいことやお金が掛かりそうなことを想定し、慎重な住宅購入を目指しましょう。実際に購入したい物件が見つかれば、その金額でどうローンを組んだら良いのか、住宅ローン控除や生活を考慮しながら専門家に相談し、シミュレーションを作成してみてください。きっと理想の住宅購入及びセカンドライフが実現出来ます。 

 

何より大事なのは、金銭的にも精神的にも安心できる日々の生活です。

 

渡邊裕介(ファイナンシャルプランナー)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad413900db1b7e8c712f8f1b181254d91002e0b3?page=1

2020年

10月

09日

家賃6万円を超えたら、家を買った方がいい理由

日本のファミリー世帯の持家率は76%に及ぶ。4分の3以上の子どもが持ち家に住んでいるのが実態だ。持ち家を持とうと思ったきっかけも、「子どもや家族のため」が7割を占める。出産したら家を買うというのが、人生ゲームの定番の方程式といえる。

 

しかし、住宅市場はアベノミクス以降激変し、物件の選び方も変わっている。エリアごとの買いやすさも違いが大きいので、基礎知識を付けて購入に臨みたいものだ。

 

● 持ち家市場の激変 分譲戸建は「買える価格」か

 

アベノミクス以降、7年間で分譲マンション価格は5割ほど値上がりした。この価格高騰の波に乗り遅れた場合、共働きの高年収夫婦(パワーカップル)でない限り、購入環境は厳しくなった。 マンション以外の選択肢は戸建になるが、オーダーメイドの注文は分譲よりも1000万円高くなる(リクルートマイホーム購入者アンケート調べ)。そのため、現在のファミリー世帯のエントリー商品は分譲戸建になっている。この価格はアベノミクス以降、ほぼ横ばいで推移しており、リーズナブルな価格水準に留まっている。 分譲戸建の全国の平均価格は2700万円になる。これを35年の住宅ローンにすると、月の返済額は6.4万円になる。持ち家以外のファミリー世帯の平均年収は540万円なので、価格は年収のちょうど5倍になる。年収に対する返済額の比率は14%ほどで、無理せず返せる水準にある。 もし、この返済額と同等の家賃を払っているなら、家を買った方がいいことになる。なぜなら、この支払いを35年続けた結果は、賃貸ならその後も死ぬまで支払いが続くが、持ち家なら返済完了と同時に支払いがなくなるからだ。こうして、賃貸と持ち家では約1.5倍の住居費の差が出る。とにかく、早めに買って定年までに返済を終えてしまった方が、老後の暮らしは明らかに楽になる。

 

 

● 結婚は30歳前後でも 持ち家取得は37歳と遅い理由

 

とはいえ、結婚早々全員が家を買っているわけではない。全国の平均的な結婚年齢は30歳前後であるが、持ち家取得の平均年齢は37歳となっている。この7年間のブランクは、「家族構成が決まってから間取りを考えて家を買いたい」というのが、第一の理由である。子どもの数に応じて部屋数を決めたいというのは、もっともな理由ではあるが、これによって失う家賃は1年で77万円、5年で384万円になるのでムダだ。 そのため筆者は、購入をもっと早めた方がいいと考えている。なぜなら、戸建もある条件を満たせば、売却で損をする可能性が低いからだ。 住宅性能評価書付き住宅のほとんどが75年以上の耐久性を持ち合わせており、その年間価格下落率は1.4%に過ぎない。これは「100%÷75年≒1.4%」という数式と一致する。住宅ローンの返済ペースが年2.7%進む時代に売却を行うと、この差額「(2.7%-1.4%)×居住年数」が戻ってくる計算になる(ちなみに、分譲戸建でも国が定めた等級を取得していない戸建の資産性は保証されていない)。 家賃で掛け捨てるより、持ち家はこうした面でもお得になる。そうなると、10年ほどで住み替えることもできる。予定外に第三子が生まれたら、それが双子だった場合などの家族構成の変化にも、買い替えという方法で対応することができる。

 

 

● 戸建を買いやすい 都道府県はどこか?

 

都道府県別に平均販売価格を計算すると、首都圏、近畿圏、愛知県の3大都市圏と北海道、沖縄県がトップ10を占める。3000万円を超える価格水準では、年収倍率は平均で7倍ほどになるが、75%が持ち家を取得しており、それだけ家賃負担も大きいことが踏み切らせる理由になっている。要は、家賃並みの返済なら買えるのだ。

 

比較的価格が安く2500万円以下の都道府県は25と、過半数に及ぶ。年収倍率でも4~5倍程度で購入しやすい状況にある。月の支払いも5~6万円で、家賃水準以下になる。中でも宮崎県が最も安く、平均価格は2000万円となる。月支払額は4.8万円、平均年収423万円と低いが、年収倍率は4.8倍に留まり、戸建を買いやすい県になっている。 年収倍率が最も低いのは、福井県、香川県、徳島県で4.1倍しかない。こうなると、家賃など払っている場合ではないので、ファミリー世帯の持家率は80%ほどにもなる。

 

 

● 「住宅すごろく」は昔の話? シェアを伸ばす分譲戸建

 

こうして持ち家のエントリー商品の地位を分譲戸建が確立した。分譲は戸建の3分の1を占めるようになり、毎年0.5%ずつ市場シェアを増やしている。 以前、「住宅すごろく」という考え方があったが、これは今では様変わりしている。昔は都市圏に出てきて、単身でアパートに住み、結婚して賃貸マンションに住み、マンションを買って、最後に庭付き一戸建、というのがすごろくの「上がり」と思われていた。 今は、結婚したら分譲戸建がエントリー商品になり、引っ越しができるので、注文戸建を建てて一生住むのもいいだろうし、子どもが巣立ったら、便のいい立地でマンションを買うのもいいだろう。 いずれにしても大事なのは、「売却可能な持ち家を若くして取得した方が得だ」という人生設計である。このパターンを踏まないと家に悩まされる人生になりかねないので、気をつけてもらいたい。 (スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7b6a4c8c7fa4114820cbdeb4dba8035f624d1341?page=1

2020年

10月

02日

買って猛烈に後悔した「築古マンション」の恐ろしすぎる共通点

本記事は『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

築古物件に必ずつきまとう「修繕コスト」の大問題

 

築古の土地値物件を探すにあたってはもちろん、建物の築年数は経過していても修繕コストが少なくてすむものが理想です。修繕コストを下げるためには、購入予定の物件を詳細に確認する必要があります。その状態によっては、購入を避けましょう。 理由はさまざまですが、リスク回避にコストがかかる、もしくはリスク回避そのものができず瑕疵が残ってしまい、半永久的に賃貸できない、もしくは賃貸に出せたとしてもオーナーとして、入居者や第三者からの損害賠償請求を受けるリスクがあることを頭に入れておかなければなりません。 家賃によらず、最低限、入居者が快適に過ごせる空間を準備しましょう。そのために、瑕疵担保責任を免責とする売買契約の場合は、よりいっそう慎重に物件の調査を行うようにしましょう。 以下に、注意すべきポイントを解説します。 ●雨漏れ物件 当然、雨漏れはない方がいいのですが、築古物件の場合、防水効果が切れている物件はかなりの確率で存在します。そのときは自分で判断をすることなく、迷わず塗装防水工事業者に同行を依頼し、防水の原因と補修が可能であるのか、その補修がいくらぐらいか購入前に確認してください。 雨漏れがひどい場合、内装の石膏ボードなどが内側から腐ってしまっていることがあります。その場合、いくら新品のクロスを表面に貼っても、下地が腐っていれば数カ月でカビてしまいます。 室内の壁の下地から工事のやり直しになり、倍以上のコストがかかる場合もあります。 また、こんなケースもありました。4階建て重量鉄骨造のマンション16世帯中、1階の103号のキッチン天井から雨漏れしてくるのですが、その上の203号と303号は雨漏れはしていないのです。そのため、どこから雨漏れしているのかがわからず、数カ月ほど悩まされました。 結局のところ、屋上のドレイン配管から鉄骨を経由して雨漏れしていることがわかりました。原因がわからない場合は、雨漏れ原因を究明してくれる業者に依頼しなければなりませんが、1回の調査で20万~30万円のコストがかかってしまいます。

 

仙台市のとある物件で悲劇が…

 

●木造で軒天(のきてん)がはがれている物件 自社物件の購入を検討する際、こういった物件は迷わずやめるようにしています。 まず、雨漏れを放置しておくと木造の躯体が腐ります。また、シロアリは湿気を好みますので木の中に住みつき、繁殖します。シロアリが発生すると柱などの躯体はすぐに駄目になり、軒天の板が剥がれ落ちることさえあります。特に軒天の上には、ベランダもしくは廊下の下地がありますので、それが腐っていれば落下のおそれがあります。万が一、廊下やベランダが落下したら、入居者や来訪者の生命に関わり、大家業としての業務上過失責任を問われることになります。修繕には多大なコストがかかるため、購入するのは控えましょう。 仙台市で勤務していたとき、ある投資家が、仙台市太白区の山の上の満室想定利回り30%の物件を購入しました。 12室中入居が4室と、ほとんど入居者がいない物件でした。当初8室で350万円前後の修繕費を見込んでいたようですが、ベランダが腐ってグラグラしていると後になって発覚しました。購入金額が12室で960万円であったのに対し、12室分のベランダの取り換えと塗装とで300万円もの追加費用がかかってしまい、収支が大きくずれてしまったのです。オーナー側としては、入居させた以上、建物を安全に維持する責任があります。コストがかかるからといって修繕しないわけにはいきませんので、注意が必要です。

 

「二日酔い?」いいえ。スーパーボールを置いたら…

 

●傾いている物件 最近西東京に中古の自宅を購入したのですが、物件の選択をするにあたって妻とともに中古住宅をいくつか見てまわっていました。ある物件では、玄関に入ってリビングに入室した際、ぐらぐら頭が回り、車酔いにあったような印象を受けたのです。昨日お酒を飲みすぎたのか?とも思いましたが、妻も同じ印象を受けたようだったので、娘のスーパーボールを置いてみました。すると、窓に向かって動いたのです。つまり、部屋が傾いているということです。 建物を水平に戻すためには、ジャッキアップ工事が必要となります。基礎と建物の間にジャッキをいれるのですが、非常に大掛かりな工事で莫大な費用がかかるため、あらかじめ注意しておくことが必要です。 ●隣地と境界の確定で揉めている物件 物件を購入するにあたっては、敷地の境界を確定する必要があります。公募売買といって、謄本上の土地面積で売買を行うことがあるのですが、確定測量の費用が高いため「境界は非明示で売買する」と仲介会社からいわれる場合もあります。必ず境界を確定してもらうようにしましょう。 境界が確定されておらず、隣地と揉めていた場合、解体して分筆(一筆の土地を法的に分割すること)し、建売住宅にしようとしても分筆そのものが不可能となってしまいます。そのために必ず境界は確定してもらい、少なくとも測量図面に基づいて境界を明示してもらうようにしましょう。

 

「ライフラインの越境」が危険すぎるワケ

 

●ライフラインが越境している物件 地面を経由しているガス、水道などは、道路から直接配管されているのが通常です。しかし、途中で土地を分筆してライフラインの配管をしている場合は要注意です。 なぜなら、水道配管、もしくは排水管が劣化してしまい、敷設し直す必要がある場合、隣地の敷地内にある配管もまた掘削して配管し直さなければならないからです。土ならまだしもコンクリートだった場合、隣地が許可しないこともあります。 ライフラインの越境は、その後宅内に直接配管できるかどうかを確認するようにしましょう。 ●エレベーターを定期リニューアルする必要がある物件 6階以上、高さ31m以上の物件については必ずエレベーターを設置しなければなりません。エレベーターは初期投資が大きいため、高層マンションを取得する際にはエレベーターの維持管理費用が必須となります。 エレベーターの柱に「年度~定期点検実施済み」とステッカーが貼ってあれば、それはきちんと点検されている証拠です。裏を返せば、このステッカーがないエレベーターは、購入後すぐに多額のリニューアル費用がかかるということですので、注意が必要です。

 

シンドラー社の痛ましい事故が発生してから

 

2006年、シンドラー社の事故が発生してから定期点検の方法が見直されました。1年に1度は一級建築士などの有資格者による法定点検が必要とされ、また月に1度は定期点検として制御盤、機械室、電動機の給油・確認、ブレーキ調整などをしなければなりません。 月に1回の定期保守点検では、 ★POG(パーツ、オイル、グリス) ★フルメンテナンス の二つの点検方法があります。文字通りフルメンテナンスは基盤、ロープ、ボタンなどの劣化の際、追加費用がかからないという利点がありますが、コストがかかります。メーカー、サイズにもよりますが、相場は以下の通りです。 ★POG 1万5000円~3万5000円/月 ★フルメンテナンス 3万円~7万円/月 白物家電メーカーの関連会社であるエレベーター会社は点検費用が高く、エレベーター専業会社は比較的低コストでの対応が可能です。 また、エレベーターにも耐用年数があり、多くは20年~25年の間にリニューアルが必要です。方法としては、 ★全部撤去、新設リニューアル 800万円~1500万円 ★準撤去リニューアル 500万円~800万円 ★制御、部分リニューアル200万円~500万円 と幅がありますが、新設でなければ徐々に扉、電動機など部分修理の回数は増えます。工期は長いものの、新設が一番コスト減となります。 いずれにしてもエレベーターは非常に高額ですので、コストがかかることを頭にいれておきましょう。

 

「不労所得」が謳われる不動産投資、その実態は…

 

不動産投資の仕組みや特徴についてみてきましたが、その中で一貫してお話ししているのは、「投資という側面がある以上、出口を見据えて戦略を立てなければ失敗する」ということです。 医療が発達している上、少子高齢化が進む日本の平均年齢は先進国の中でも最も高く、アメリカより高い46.1歳です。特段の工夫をせず、今までと同じやり方、同じエリアで若年層、学生のみをターゲットとする賃貸経営は、徐々に入居率が下がっていくでしょう。一方、留学生を積極誘致する大学などを賃貸需要とする物件は需要が見込めるでしょう。また、積極的に高齢者を受け入れる体制をつくっているアパートは、今後も需要が増加していくことでしょう。 自分の物件が今後も継続的に賃貸需要が見込めるのかどうか、10年後のことは誰にもわかりません。リスクをとらないということは、今物件を保有している人は物件を売り、投資をやめ、利益を確定させることです。そもそも不動産投資をしていない人はこれからも不動産投資をしないということになります。 ここまで読んでいただいたらわかるかと思いますが、不動産投資は、豊富な知識や情報によって適切な選択をしていかなければなりませんので、決して、何もしなくとも利益があがる不労所得ではないのです。 不動産投資を確実に成功させるには、家賃収入を最大化させるため、仲介会社、賃貸会社、管理会社、リフォーム会社、税理士などさまざまな業種の人に依頼し、コストをコントロールし、その利ざやで収益を上げなければなりません。そのため、「他人任せ」ではなく多くの情報を取り入れ、自分の頭で考え、組み立てをすることが重要です。

 

菅谷 太一

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d957f35d733816eb331235956d6b4880dacd9c8?page=1

2020年

9月

25日

恐ろしい…「日本の家」の質が急低下している、これだけの理由

※本記事は、株式会社緑建設代表取締役社長・齋藤正臣氏の著作『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

「掘り出し物」という言葉を鵜呑みにすると…

 

■土地のことしかわかっていない不動産業者は信用できるか 不動産業者は土地の売買に関してはプロフェッショナルかもしれませんが、同じように家造りに関してもプロフェッショナルかといえば、必ずしも、そうではありません。しかし多くの方が、不動産業者に相談すれば、家造りに関してもアドバイスがもらえると思われているようです。 しかし、ここに大きな誤解があるのです。 それぞれのエリアによって、地元ならではの情報を持った不動産屋があります。彼らは、駅からの距離や周囲環境などの利便性に関しても、詳しく教えてくれるはずです。しかし、それはあくまでも不動産=土地の情報にすぎません。 「どんな土地に住むのか」と、「どんな家で暮らしたいか」の二点は、似ているようですが、ゴールの方向性がまったく違います。 不動産業者にとって大切なことは、あくまでも〝土地を売る〞ことです。土地を売るためには、多少のごまかしもあるでしょうし、真実を黙ったままということも少なくないと聞きます。 「掘り出し物」という言葉を不動産業者の営業マンが言うことがありますが、実際にはそういうことはほとんどありません。例えば古い擁壁をやり直さないと建築の許可が下りないなど、購入してから余計な費用がかかることがあります。安い土地には必ず安いなりの理由があるのです。何も考えずに、不動産業者の言うことを鵜呑みにするのは避けるべきです。 本当に良い不動産業者は、土地を探す際に、家の間取りまで考えてくれます。建てたい家、暮らしたい家の希望イメージがあるなら、それをきちんと伝えて、双方が理解したうえで、あなたの希望の家に沿った土地探しをしてくれる不動産業者を探してください。 2階には六畳の部屋が3つ、リビングには吹き抜けや大きな窓が欲しい……など、家のイメージを伝え、希望の間取りがこの土地の広さで叶うのか、相談にのってもらえれば、安心して土地を探すことができるはずです。 家造りは、土地と建物の双方の歯車がかみ合って、初めて良いものになります。希望の家を叶えるためには、家に関する知識もしっかり身に付けた不動産業者の存在が不可欠です。

 

自分の家が「建築家の作品」になってしまうと…

 

■建築家は自分の作品を造っている 設計事務所の建築家に設計を依頼した場合、住む人の利便性よりも、自分の作品として考えている人が多く、施主が「ここはこうしたい」と修正を依頼しても、「いえ、ここはこの方がいいのです」と突っぱねられてしまうケースも多いようです。 長い時間をかけて打ち合わせをしたのに、建築家から意に添わないプランが出され、「この図面を造るのにこれだけの時間がかかったからこれだけの費用を払ってください」と言われても納得できるものではありません。 また、建築家の提案通り壁を曲面にしたら家具が置きづらくなったとか、不必要に段差が多くて疲れるといった話があります。こういった事例では、実際の暮らしぶりをまったく考慮せずに作品として設計したとしか考えられません。 もちろん、生活動線や使い勝手を考えたプランを立てて、施主の希望を聞いてくれる建築家の方も中にはいらっしゃいます。ただ往々にしてプラン変更を聞かない人が多いとよく耳にします。建築家の中には実際の建築現場の納まりを知らず、工事を担当している施工会社から設計を指摘されると機嫌を損ねる人もいるようです。 個性的な家に住みたい。その人の作風が好きで作品を購入したい。多少意に添わなくても構わない、というリスクを背負う覚悟ができているのであれば、建築家にお願いする意味はあると思います。美的センスや相性のいい建築家と出会えれば、もちろん満足のいく家が建てられるでしょう。

 

「家から近いほうがいいよね」という大誤解

 

■家から近い業者に依頼するのがいいのか 工務店を選ぶ際は、家から近い会社がいいという説が昔からあります。何かトラブルがあった際にすぐにかけつけてくれるという理由からです。 しかし、トラブルへの対処スピードは、それぞれの会社の姿勢の問題であって、距離の問題ではありません。例えば、ドアの締まりの調子が悪い、といったような急を要さないトラブルがあった場合、家から10分の場所にある会社と、家から1時間の場所にある会社を比較して、前者は対応が3日後だけど、後者は翌日にはすぐお宅へ伺って対応してくれるとしたら、後者の会社の方が結果的には早く問題が解決します。 実際、緊急を要するようなトラブルというのは、電気系統やガス給湯器の故障などであって、工務店では直せないので機器のメーカー担当者が修理に伺うことになります。そうなると、住宅会社に電話して、そこからまたメーカーのサービスセンターに連絡するのと、お客様自身がサービスセンターに連絡するのとでは大差はなく、住宅会社の距離は関係ありません。大事なのは、あなたが困ったときにすぐ対応してくれる会社かどうかです。 ■棟数が多いと本当に安心なのか 手がけている住宅の数が年間何百棟以上ある。注文住宅部門で3年連続第1位……等。多くの注文を受注していれば、その会社は安心・信用できるということでしょうか。それだけの棟数の家を建てるのに、大工が何人、電気屋が何人、左官屋が何人必要でしょうか。 建築現場が増えれば増えるほど、関わる職人の数は増えていきます。大量の職人を導入すれば、その中で明らかに技術の差は生まれ、上手な職人だけの集団をつくることは不可能になります。 例えば、県内で10位の腕を持つ大工が来て、35位の左官屋が来て、23位の電気屋が来て家を建てれば、20位くらいのいい家ができるかもしれません。しかし、250位のタイル屋が来た瞬間にその家の品質は明らかに落ちてしまうのです。 同じ会社が造った家でも、ある人の家は素晴らしい出来で、ある人の家は欠陥があるということが起こりうるのです。年間の施工棟数が多い会社に、口コミや評価にばらつきが出るのはそのためです。 棟数の多い少ないがそのまま建てる家の質の良し悪しになるわけではありませんが、棟数が少なければ各現場、同じ職人が来て施工することになるので、品質のばらつきはなくなります。 しかし、昔ながらの地元の工務店の中には、技術のあるなしにかかわらず、昔からの付き合いで仲間の職人に依頼する会社もあります。棟数が少ないからといって必ずしもいいというわけではありません。品質のいい家を建てるためには、技術のある職人を常に抱えている会社を選びましょう。

 

「パパ、家建てて」大手ハウスメーカーのなかには…

 

■ある大手は入社すると家族、親戚、友達の家を建てさせられる これはちょっとした業界の裏話なのですが、毎年多くの新入社員を募集する大手ハウスメーカーのなかには、入社した新入社員にノルマを与えクリア出来ないと、家族や親戚、友人などに家を建てるように勧誘させる会社もあるそうです。伝手がなくなり、ノルマが達成できなくなった社員は自主退社をしていきますが、また翌年にはたくさんの新入社員が入ってくるというわけです。 もしあなたの身の回りにハウスメーカーに就職した親戚や知り合いがいて、その会社で家造りをするよう営業に来たとしても、情に流されず、自分の理想の家が実現できるかどうか、という点で選んでください。もし、その会社で理想の家造りができそうだということであればいいのです。何度も書きますが、家造りに情けは禁物です。 ■アフターサービス部門があれば安心なのか 24時間、365日、いつでも困ったときには電話口で対応してくれるアフターサービス部門がある会社は安心でしょうか。 定期的な点検やメンテナンスといったフォローは確かに便利で魅力的です。何かトラブルが発生した場合にもすぐに相談出来るので心強いかもしれません。しかしこれは、言い換えると専門の部署を設けなければいけないくらい、年間を通じてクレームの件数も多いということにもつながります。 大してクレームが寄せられなければ、直接担当した営業マンか現場監督と話をすれば いいのです。完全にクレームをゼロにすることはどんな会社でも難しいでしょうが、専門の部署を設けて人を雇う必要があるということは、それだけ多く問題が発生しているという逆説的な証拠かもしれません。 関わる人が多いと希望が通りづらい会社の規模が大きくなってしまうとどうしても仕事が分業されてしまうので、仕方がないことなのかもしれませんが、例えば営業マンに希望のプランを伝えたとしても、直接施主から話を聞いていない設計部の人間が図面を書いた場合、希望が反映されないものが上がってきてしまうということがよくあります。 また、設計図が上がってきた段階で、営業マンが気づくことがあっても、設計部の担当者の方が先輩で、社内の上下関係で営業の立場が弱く、出てきたプランの修正をその場で言えないこともあるようです。その結果、希望が反映されないプランをそのまま施主に提出してしまうことになります。 直接打ち合わせをしていないと、なかなか施主の気持ちが伝わらず、親身になって設計する気にならないのかもしれませんが、施主の要望はプランに反映するべきと考えます。一番いいのは、設計する人間と直接打ち合わせができるような会社を選ぶことです。

 

齋藤 正臣

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8eace03d36d62571244084150ee2ecf718e7bbda?page=1

 

2020年

9月

17日

コロナで変わる「地方移住」 地域おこし協力隊に応募殺到、オフィス移転も〈週刊朝日〉

 退職後のセカンドライフとされていた「地方移住」。新型コロナウイルスの感染拡大でこれに異変が起きている。リモートワークの普及に伴い、人混みでの感染リスクを避けようと地方暮らしを選ぶ人が増え、働き盛りの世代も目立つ。

 

 首都圏に暮らす50代の夫婦は、今秋に中部地方へ移住することを決めた。もともと地震のリスクなどに不安を感じていたといい、「コロナに背中を押された」。夫は自営業であるため、移住先でも同じような仕事を新たに始めるつもりだ。  すでに今春、東京から中部地方へ移り住んだのは40代の夫婦だ。以前から願望はあったが、「移住先で仕事が見つかるかがネックだった」(夫)という。コロナ禍でリモートワークが進んだことから、地方でも同じ仕事が続けられると判断した。移住先でも外出自粛を余儀なくされたが、豊かな自然に囲まれて過ごせることを改めて良かったと感じている。  実際、兵庫県豊岡市が「地域おこし協力隊」として農業や伝統工芸の従事者を募ったところ、応募が殺到した。応募者は通常2~3人くらいだというが、6月29日~7月19日の約3週間に17人の枠で求めると、56人が手を挙げたというのだ。 「移住を考えていて、コロナがきっかけで人生を見つめ直したという方もいました」(市担当者)。応募者は、東京を含め全国各地からの21~47歳。20代が20人超もいたという。8月から現地に移り住み、仕事に携わる人も出てきた。  移住したい人と受け入れる地域をマッチングさせるサービスも、コロナ禍で活況だ。マッチングの専用サイト「SMOUT(スマウト)」の新規登録者は、4月までは600~700人程度だったものの、5月に1千人を超えると、6月には約1500人、7月に約1800人と最多を更新した。  スマウトを運営するカヤックの広報担当、梶陽子さんは「緊急事態宣言が解除された5月、自然発生的に増えました。コロナでリモートワークが進み、ファミリー層も移住を検討しています」。

 

 新規登録者は20~40代が大半で、首都圏の割合が高くなる傾向だ。  スマウトを活用する山口県萩市は、前出の豊岡市のような「地域おこし協力隊」(9人枠)で、22人も応募が来るなど手応えを得る。 「コロナをきっかけに、都市部で仕事をするより、地方で仕事をすることに興味を持った方はいました。これまで簡単に移り住みにくかった世帯が動き出しています」(市担当者)  茨城県の移住・就職相談センターでも相談が増えている。50~60代の退職者がセカンドライフを送るための移住が中心だったが、最近は働き盛りの30代が目立つという。 「リストラを懸念している」。こう話すのは、首都圏で不動産関連の会社に勤める30代の男性だ。コロナでテナント需要が低迷するなど先行きが不透明なため、移住を絡めた転職を考えている。首都圏外で就職活動を続け、すでに内定を得た会社もあるという。 ■複数県探す人も パソナは淡路移転  都市部への人口流出が進み、労働力の確保が課題とされてきた地方。図らずも、コロナがこうした「逆流入」を呼び起こすきっかけになった。  徳島県は、コロナで解雇や雇い止め、採用内定取り消しとなった人を対象に県職員を募集した。 「移住者がどんどん増えているかというと、まだそこまでではありません。ただ、コロナが移住を考えるきっかけにはなっている。移住関連サイトの閲覧が増え、東京の相談センターなどに問い合わせが増えています」(県担当者)  東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」は45道府県の地域情報を提供し、移住や地方暮らしの相談を受けている。高橋公理事長は「面談を含めて本気度の高い人が来ています。移住に仕事は不可欠」と語る。センターにはハローワークも備え、移住先での就職を支援する。  センター内に相談窓口を設ける岐阜県の担当者もこう話す。 「これまでの移住は『観光で訪れて良かった』という理由でしたが、コロナがきっかけなのか、現地を訪れたことがないという人もいます。地方移住に興味があり、インターネットなどでよく調べてきて、趣味や好きなことをやりたいと相談に来ます」

 

 さらに、「一人で複数県に相談に来る人が確実に増えている」(センターに相談窓口を構える富山県の担当者)という。  リクルートキャリアのHR統括編集長、藤井薫さんは「コロナでリモートワークが進み、時間や空間を超えられるようになった。会社や人生、家族関係などを考え直し、仕事のあり方を考える時代に突入しているのでは」と指摘する。  転職情報サイト「doda」の編集長、喜多恭子さんは「コロナによる在宅勤務で家族と触れ合い、仕事を見つめ直された方が多い」としたうえで、「件数はまだそれほどではないが、移住を望む方もいる。仕事探し自体も変わってきている」。  東京都心のオフィスを地方に移す動きも出てきた。人材派遣大手のパソナグループ(東京都千代田区)は、本部機能社員の約3分の2を兵庫県淡路島に移す。新型コロナの感染拡大やデジタル革命が進むなか、リモートワークなどで働き方が変わり、新しい生活様式への適応が求められている。都心の自然災害リスクへの対応もあるためだ。パソナは2023年度末までに、グループの本部機能社員約1800人のうち、約1200人を移す予定だ。本部機能業務には、人事や広報、総務、財務経理、経営企画などがあるという。  消費者庁は、新未来創造戦略本部を7月30日に徳島市に開設した。消費者政策の研究機能を担うほか、国際業務の拠点などとなる。国や自治体、企業や大学の研究者など約60人の体制でスタートし順次、拡充していく方針だという。  都心からオフィスを地方へ移す動きは、これからどんどん出てくると見るのは、住宅ジャーナリストの榊淳司さんだ。とくにIT系の仕事は、場所を選ばないことが多いためだ。  パソナの移転については、子育て世代の場合、子どもの受験や進学面でハンディがあるものの、瀬戸内海の温暖な島暮らしはある意味で魅力的だとする。 「都心のオフィスは縮小傾向があからさまになっています。地方では戸建て住宅が売れていて、一部の動きとは言えなくなっています」(榊さん)。コロナが収束しても、この流れは止まらないとする。(本誌・浅井秀樹) ※週刊朝日  2020年9月25日号

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/db150c9095717bfb01cbfd86b99efca6b5e0ffd1?page=1

2020年

9月

11日

新築神話が崩壊…中古住宅は実際のところ何年住めるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

 

中古流通市場には不思議なことがいっぱい

 

日本の中古流通市場を見ていると、不思議なことがいっぱいあります。 私がまだ三井不動産に入社したばかりのころ、ある中古物件の仲介の仕事に携わりました。物件は神奈川県鎌倉市にある一軒家。建物は戦前に建てられたもののようですが、大変しっかりと造られた洋館で、重厚な佇まいです。歴史を十分に感じさせる素晴らしい建物に、現地を訪れた私も時計の針が戻ったようなノスタルジックな気分にさせられたものでした。 売主は数年前に亡くなり、相続人が持て余して売却をしたい、との申し出でした。 さて売り値の査定です。私はまだ入社後間もなかったので、不動産仲介は素人の域を出ていません。先輩に教わりながら価格を査定していきます。土地の形状、傾斜、境界の確認など土地周りの作業を行ないます。周辺の取引事例も綿密に調査します。鎌倉といってもエリアによってだいぶ土地の値段は違ってきます。この物件は超一等地ではありませんが駅からも近く、まずまずの立地です。この場所なら良い価格がつきそうです。 そして建物の調査をしようとした私に、先輩が声を掛けました。 「ああ、建物はいいや。どうせ価値なんかないから。古屋と表示すればそれでかまわないよ」 そうです。日本の不動産流通業界では建物の価値は木造などの場合は築20年を超えるとほぼゼロという査定が平気で行なわれるのです。つまり中古査定価格はほぼ土地代相当ということになるのです。 素人目にはまだ十分使用できるお洒落な洋館のお値段がゼロ。それどころか、 「解体費用分は土地の査定価格から引いておかないと売れないかもな」 先輩の声が響きます。なんだかその声に当時の私は大いなる違和感を覚えたものです。日本においては中古住宅の査定に当たっては、とにかく建物の価値を認めようとしないのです。

 

中古住宅に高い査定がつくことはない

 

同じ時期に同じ仕様の家を買った場合でも20年も経過すると、それまでの家の管理内容によって物件の価値は大きく異なってくるはずです。これは住宅に限らずオフィスビルでも商業施設でもホテルでも理屈は同じです。ところが中古住宅では築年数で「一発アウト」これはおかしな話です。 以前は日本の木造住宅は耐用年数も20年程度といわれ、それは日本の住宅は木と紙でできていて20年以内には建て替えなければならないような劣悪なものが多くあるからだ、とされていました。しかし、現在では木造住宅でも耐久性、耐震性にすぐれ、100年も持つような優良住宅が建てられるようになっています。 それでも、築年数が経過した中古住宅に高い査定値がつくことは稀です。 中古に価値を与えないということは、住宅の持ち主がいざ市場で売却しようとする際には、「土地代しかあてにならない」ということを意味します。 たとえば土地の評価額が50坪で5000万円、つまり坪当たり100万円だったとします。ここに40坪の住宅を3200万円で建設します。坪当たり80万円程度の建設費になりますから、設備仕様は十分な住宅といえます。土地と建物を合わせた費用は8200万円ということになります。 ところがこの住宅、20年たっていざ売りに出すと土地代のみが売り値と査定されてしまうのが常です。土地代が10%値上がりしていれば5500万円。ただし建物代はゼロなので中古価格は5500万円にしかなりません。わずか20年の間で2700万円も不動産価値が下がったことになります。ましてや土地代が10%下落してしまうと中古価格は4500万円。そこに建物の価値は一切包含されないのです。 これでは、日本人が自らのライフスタイルに合わせて住宅を気軽に買い替えていくことは、至難の技となってしまいます。 アメリカ人は人生の中で5、6回は住み替えるといいます。それは中古住宅に価値があると多くの人が信じているからです。テレビ番組でご一緒した米国人タレントは私にこう言いました。 「日本人、よく勇気出して新築住宅買うよね。なぜって、アメリカじゃ、まだ誰も住んだことのない住宅なんて怖くて住めないよ」

 

住宅は一生のうち何度もする買い物へ

 

これはアメリカの住宅の施工が悪いということではなく、「人が住んで性能をちゃんと確かめた」あるいは「前住んでいた人がリニューアルをしてさらに価値を高めた」ということが普通に評価される、ということです。 それでもこれからの日本では、不動産価値に対する見方が新築一辺倒から本当に自分たちのライフスタイルに合った住宅を中古住宅に見出すような時代になると考えています。 なぜなら、デベロッパーがモデルルームなどで展開する仮想現実の世界などが実際の生活にはころがっているわけではないことに、多くの人たちが気づき始めているからです。とにかく家を持たなくちゃ、といった脅迫概念が薄れ、不動産価格が手ごろな価格に落ち着いてくれば、人々はじっくり住宅の品定めを行なった上で、新築や中古の関係なく、真に自らのライフスタイルに合った住宅を選ぶようになるでしょう。 国でも、中古住宅流通を促進するために中古住宅に関する性能評価制度を制定し、物件の価値を正しく判定する一助となるようにしています。業界側も建物に価値が見出せるようになれば、もっといろいろな売り方が可能になってくるはずです。 バブル崩壊は、こうした中古住宅の流通にも中長期的には良い影響をもたらすことになるかもしれないのです。

 

牧野 知弘

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3983e3df59a5064201dcb47fc3f4ef7e43de6323?page=1

2020年

9月

04日

ウィズコロナで疎遠になる人間関係。都心に家を買うか否かで…

コロナ禍は人の生き方、価値観まで変えたんです。そうなると当然、価値観の合わない知人とは疎遠になるわけで……」  ここ半年の間で、人々の暮らしは大きく変化した。たとえば、これまで“出社”が前提となっていた働き方もコロナ感染拡大を防ぐため、積極的にテレワークが取り入れられた。政府から外出を控えるように呼び掛けられるなか、買い物はすべて通販で済ますという人も増えた。それぞれの価値観がガラリと変容するなか、友人や知人との“人付き合い”に軋轢が生まれることも……。

 

 

テレワークが中心となって都心に住むメリットがなくなった

 

 大手通信会社勤務・丸田俊樹さん(仮名・40代)は、7月まで都心の高級賃貸マンションに住んでいた。しかし8月からは千葉県の成田空港近くに引っ越し、大自然の中で暮らし始めたという。コロナ禍直前、今年の2月頃までは、都内湾岸エリアのタワーマンションを購入する予定だったという。 「結婚して第二子も産まれるし、将来ずっと仕事ができるのかわからない。決して安い買い物ではありませんが、都心のタワマンなら、毎月のローン以上の額で賃貸にも回せる。家を購入した同僚や知人から『買わないなんて損だ』と言われて購入をほぼ決めていたんですよ」(丸田さん、以下同)  日本の人口は右肩下がり、という見方もあるが、都心の人口は逆。資産価値としても申し分ない、と考えていたという丸田さんと、都心に家を購入した知人たち。ところが、である。  新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが中心となり「出社する必要がない」という人が増え始めると、価格が高く、そして狭いという会社近くの都心の物件に住む理由がなくなってしまった人々も増えた。丸田さんもそんな一人である。 「今や出社は2週間に一度、ゴールデンウィーク後に妻と相談し、千葉の奥に引っ越しました。家賃は以前の4分の1なのに広さは2倍。空気もおいしいし、買い物は以前と変わらず通販でひと通り揃う。パートに出ていた妻も今は専業主婦ですが、満足げです」

 

価値観の違いから知人とは疎遠に

 

 そんな丸田さんをよく思わないのは、都心に家を買った知人たち。引っ越した新居で、密にならない屋外バーベキューの開催を呼びかけたところ……。 「知人のAを誘ったところ、『コロナなのにバカか!』とキツい言い方をされました。それだけならまだいい。Aは後日、自身の住むタワマン最上階のゲストスペースで、同じく都心の物件を持つ知人を集めて密なパーティーをしている写真を、これ見よがしにSNSにあげていました」  丸田さんは、その投稿をまるで自分への当てつけのように感じたという。 「家を都心に買わないという時点で、私がAの価値観を認めていない、というふうに映ったのかもしれません。別の知人ヅテに聞いたんですが、Aはかなり無理して7000万以上の物件を購入したらしく……。その後コロナで嫁さんの仕事が減り、都心の不動産価値が下がる、などと言った報道を見て相当気にしていたようです」  結局、知人のAさんは、いつの間にか丸田さんとのSNS上のつながりを一方的に切ってしまったというから笑えない。

 

「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えた

 

 ここまで極端ではないが、こうしたコロナ禍の不動産を通じた「分断」は他にも起きていると話すのは、神奈川県相模原市内の不動産店店長・清水嘉一さん(仮名・40代)だ。 「都心離れは確実に起きていて、郊外の物件がいま相当動いています。都心の物件をさっと売って郊外に出た人たちが、自分の環境を自慢すると、都心から出られない人たちがムカつかれる、というお客さんは結構います。従前の価値観においての最上の暮らし、の形が変わってきたので、新たな価値感は都心暮らしを続ける人にとっては厄介。自分の資産が目減りする可能性があるわけですから」(清水さん)  Aさんとは疎遠になってしまった丸田さんだが、最近になってAさんと同様に都心在住の知人から「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えたという。価値観が変われば人付き合いも変わる。一見悲しく見える話ではあるが、新しい時代を生き抜く上では必要なことなのだ。<取材・文/森原ドンタコス>

 

日刊SPA!

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/45c1677e4e41c2d5da14e61ed3beffa9ffe3b51d?page=1

2020年

8月

28日

大家の権利を売買する「オーナーチェンジ」物件とは 投資話で損しないために

相続対策を考えた時、選択肢の一つは賃貸中の物件「オーナーチェンジ物件」です。あまりなじみがないかもしれないので、メリットや注意点をまとめました。 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、定年を控えている方や安定収入のある公務員、会社員に投資用マンションの営業マンから電話が多く掛かっているようです。私にも「お客さまを紹介頂き、成約した際には○○万円、物件価格の●●%、紹介料をお支払いします」という、よだれの垂れそうな金額を提示する営業電話を多く頂きます。そのような紹介業務を収入源にしている方もいるのかもしれません。 今年は年度末である3月に外出自粛などの影響を受け、なかなか数字を上げられなかった業者さんが多かったのだと思います。さて、以前であれば、新築の投資用マンションのケースが多かったのですが、最近は価格も高騰していたり立地に難があったりする物件も多いので、賃貸中の中古物件いわゆる「オーナーチェンジ物件」の購入話を持ちかけるケースも増えています。相続対策として賃貸投資を検討されている複数の方から「実際のところ、どうなのか?」という確認や問い合わせを多く頂きました。そこで、今回は、オーナーチェンジ物件の購入を検討した際に気を付けたいことのほか、メリットとデメリットについて、お伝えしていきます。

 

オーナーチェンジ物件は中古物件

 

オーナーチェンジ物件は、簡単に言うと中古物件の1つです。このため、まずは中古物件のメリットとデメリットから解説します。なお、数年前より中古物件はオフィシャルな言い回しではなくなり、マスコミや公官庁でも「既存物件」というようになりました。中古と言う用語が古い、悪いなどネガティブなイメージを持つからだと思われます。ただ、わかりやすさの観点からこのコラムでは、あえて「中古」という言葉を使います。 中古物件のメリット では、まず、中古物件のメリットについてお伝えしましょう。 ・中古物件は、新築物件に比べて、理論上、新築物件の利益分(おおよそ粗利20%前後)が削ぎ落ちているので、投資額(購入額)が割安なこと

 

・周辺の賃料相場が安定していれば、結果的に期待できるリターン(利回り)が高くなること

 

・新築物件では見えづらい管理状況などのリスク(不確定要素)が少ないこと

 

以上の点は投資対象として魅力を感じますよね。最初から家賃収入を得られる賃貸中の中古物件を勧められるケースも多くあります。これが、今回のテーマのオーナーチェンジ物件です。また、好んで中古物件に投資される方が多いのも事実です。 ただ、リスクとリターンはトレードオフ、表裏一体の関係です。あちらを立てればこちらが立たず、の状況になります。 中古物件のデメリット デメリットは次の通りです。

 

・新築物件と比べ、中古物件は確実に経年劣化していることから、物件を補修しなければいけない可能性があること

 

・設備や意匠などが古くなり、周辺の物件と比較して見劣りしてしまう物件もあること

 

・建築当時は適法であった建築物が、その後、法令の改正などによって現行法に適合しなくなった既存不適格物件の場合、裏ワザ的な手法を使わないと建て替えや補修、ローン付けなどができないケースがあること

 

 

購入価格以上の費用がかさんだり、手間が増えたりすることもあるので、知識や情報を豊富に持つ、できれば実績のある宅建業者さんにサポートしてもらいましょう。

 

目に見えないリスクも

 

以上のように、オーナーチェンジ物件の場合は数字や見た目で有利に見えても、手続きや契約の段階で目に見えないリスクが顕在化することもあります。そのような点を踏まえた上で、投資の是非を判断しましょう。 例えば、「2020年に大家さんが知るべき『改正民法』のポイントは?売買で要注意」でもお伝えした通り、2020年4月から契約を規定する民法(債権編)が改正され、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されました。 以前は不良品だと知らずに購入した買い手は法的に守られるのが原則でした。そもそも中古物件の売買では売り手が個人であるケースが多く、その場合、瑕疵担保責任は取らなくても良いことになっていました。 今後は契約内容をしっかり理解した上で契約しないと買主は守られないことになります。このため、契約を交わす際には今までにないほど慎重になる必要があります。

 

オーナーチェンジ物件の注意点

 

オーナーチェンジ物件は、すでにお伝えした通り、新築物件と違い、ハード面で難があるケースが多いので、チェックする必要があります。ただ、未入居の中古物件とも違うので、既存の契約などソフト面の確認も必要です。 オーナーチェンジ物件で最も気を付けなければいけないことは、「現に入居している方(借家人)との信頼関係構築&維持」です。それは、オーナーチェンジ物件の売買は所有権だけでなく、賃借権も同時に譲渡される、引き継ぐことになるからです。 そもそも所有権と賃借権は別々の権利です。売買をすれば自動的に賃借権も移動するというわけではありません。借家人(賃借人)に賃借権という債権を引き継いだというためのルール(対抗要件)があります。 このルールは、民法第467条に記載されています。以下に書き起こしてみました。 ・民法 第467条(債権の譲渡の対抗要件) 1.債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2.前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 分かりやすく言うと、大家の権利の移動(=賃借権の譲渡)を借家人(=賃借人・債務者)に主張し、新しい大家が家賃の支払いなど請求するためには、(1)譲渡人である「“前”の大家さんから借家人に通知してもらう」か、(2)「借家人自身から承諾を得る(納得して貰う)」必要があります。 これは、借家人から見ると誰が大家かわからないケースや、誰に家賃を支払ったら良いか分からず、二重に家賃を支払うケースなど、不都合がないように定められたルールです。新しい大家さんから考えると、少々手間がかかります。 通常、新しい大家になった場合には、借家人からの承諾を得るようにします。この手続きは、売買契約の仲介に入っている宅建業者に依頼するケースが多いでしょう。その後、この仲介業者に物件の管理を委託する可能性が高いです。ただ、大前提として、この仲介業者さんに債権譲渡をする権利はありません。 その一方、新しい大家さんから考えると、この原則を通すのは難儀です。そこで、例外的に新しい所有者さんは、大家(賃貸人)の地位を承継します(最高裁判例 昭和39年8月28日)。通常、必要な上記の通知についても不要とされ(最高裁判例 昭和33年9月18日)、所有権移転登記を受けていれば賃料も収取できます(最高裁判例 昭和49年3月19日)。新しく大家になった際、突然、家賃を値上げするなど、急な変更を加えると、借家人との間に感情的な禍根が生じます。大きなトラブルに発展するケースもあります。このため、慎重さが必要です。 このようなことを、わかりやすく説明できる管理会社(宅建業者)が少ないのも事実です。繰り返しになりますが、今年2020年4月から契約重視の社会に突入しています。自分自身で知識や優良な情報を得るか、信頼のおけるアドバイザーにサポートを依頼されると良いでしょう。

 

(記事は2020年7月1日現在の情報に基づきます)

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役 ライフプランFP(R)、CFP(R)認定者、日本FP協会 評議員。企業の不動産部門を経験した後に独立後、優益FPオフィス代表として、住宅購入や不動産活用のアドバイスを行う。

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/62d3bbd19465fdb740f7557bba8b452b63a7cea9?page=1

2020年

8月

21日

30年暮らした東京を離れ、階段100段登った先の小さな平屋で暮らしています【脱都会。野ざらし荘だより#1】

イギリス生まれ東京育ちの私が、30数年暮らした東京を離れ、神奈川県の横須賀に移り住んだのが5年前。階段を100段登ったところにぼつんと取り残されたようにある小さな平屋の一軒家を「野ざらし荘」と名付け、暮らし始めました。 東京湾の入り口に位置し、江戸時代から軍港都市として栄えた横須賀。今でもアメリカ海軍の基地があるため、駅周辺は外国人が行き交い異国情緒が漂います。 野ざらし荘は駅から歩ける距離にあって、田舎と呼べるほど田舎でもないのですが、辺鄙な立地と階段の多さに訪れた友人の中には我が家を“横須賀のチベット”や“天空の城”という人もいるくらい人里離れた雰囲気を醸し出し、誰が植えたのか分からない木々が生い茂る野趣あふれる家なのです。 現在はここに越してから出会った夫と2歳になる子どもを育てながら毎日の暮らしを楽しんでいます。車で少し走れば海があり、山もある自然豊かな三浦半島の片隅での日々の暮らしを綴っていけたらと思います。

 

「野ざらし」な家に一目惚れ

 

東京では大学卒業をきっかけに実家を出て、学生街を転々としていました。味のある食堂や古書店がひしめき合う下町の街並みが好きで気ままな一人暮らしを送っていましたが、畑に通って自分で農作物を作ったり、花を扱う仕事をするようになってワンルームのアパートでは何をするにも手狭に感じて、庭のある家に住みたいと思うようになりました。 幼少期を庭付きの家が立ち並ぶイギリスの郊外で過ごし、庭で当たり前のようにお茶をしたり、庭の池で遊んでいた記憶がどこかで呼び覚まされたのかもしれません。 そんなことをなんとなく思いながら、ある日ネットサーフィンしていると、たまたま目に飛び込んできたのが横須賀の「改装できる物件」でした。横須賀は一度も訪れたこともない、縁もゆかりもない土地でしたが、理想的な間取りと、自分で好きなように改装できるという条件に惹かれました。

 

母屋とは別に“離れ”があり、中庭もあって、大きすぎず小さすぎず。防音室まで付いていたのは謎ですが、いろんな可能性を秘めた物件にむくむくと妄想は膨らんだのでした。

 

母屋は人が出入りするオープンな場所にして、離れは自分の暮らす拠点にして、と間取りから自ずと自分の暮らし方のようなものが導かれていったような気がします。 家賃は東京の学生街でワンルームの一人暮らしをしていた時とさほど変わらず、電車に乗れば都内まで1時間ちょっとというのも大きな魅力でした。物件情報を見た次の日には不動産屋に電話し、翌週には物件を見に現地に向かっていました。

 

汗ばむ陽気の中、友人と夏休みの子どものようにコンビニで買ったアイスクリームを舐めながら急坂を登り、さらに100段の階段を登りきったところにある一軒家にたどり着きました。門から家まで延びる道の両脇には背丈ほどある草むらがザワワと揺れ、その風景がまるで沖縄みたいで心が踊りました。 家は高台で隣接するマンションの4階部分とちょうど同じ高さ。見晴らしが良く、四方から吹き抜ける風が気持ちよい場所でした。ペンキが剥がれ、屋根も所々傷んではいましたが暮らしながら直していけばよいか、とすっかりこの家が気に入り、すぐにここに暮らすことを決意しました。一人で暮らす不安は、楽しさの方が優って、全くと言っていいほどありませんでした。

 

引っ越し当日は土砂降りの雨!初日から百段の階段の洗礼…

 

引っ越し当日はあいにくの土砂降りで、しかも友人が借りてきてくれた2tトラックがまさかの屋根なし。ブルーシートをかけたら穴が空いていて余計に水が溜まって家具やダンボールはびしょ濡れになりました。 雨の中、傘もさせず、雨に晒され手に抱えてたダンボールは半ば崩壊寸前。溶け出す前に家に投げ入れるという状態でした。追い討ちをかけて100段の階段の往復で足はプルプルと痙攣し始めていました。手伝ってくれた仲間たちと最後は声にならない雄叫びを上げながら何とか最後の荷物を運びきりました。 一人暮らしの引っ越しとはいえ、膨大な量の本と梅酒やら梅干しやらの瓶詰めの数が尋常ではなかったのです。全ての荷物を運び終えたときの達成感といったら、ずぶ濡れになりながら百キロマラソンを完走したのに等しく、肩からはもうもうと湯気が立っていました。 すぐにでもシャワーを浴びてさっぱりしたかったのですが、ガスが壊れていてまだ風呂も使える状態ではなかったので、濡れ鼠のまま横須賀の街まで下りて銭湯で汗を流しました。横須賀名物のカレーを食べて、付け合せの牛乳で乾杯し、ようやく息を吹き返したのでした。

 

濡れた本が乾くのに2週間!海が近い街ならではの苦悩を知る…

 

引っ越してから知ったのですが、ここは海が近いので湿気が多く、雨に濡れた本は乾くのに2週間近くかかりました。革靴はカビが生えて思い切って全部捨てました。しばらく人が住んでいなかったため、蟻やダンゴムシの方が多くて、虫とともに暮らす日々。起きたら布団の周りに数百匹のダンゴムシがうごめいていたということもありました。

 

鳥の鳴き声で起こされ、庭で日向ぼっこをする生活に

 

自然が近い土地ならではの洗礼を受けながら、小さいとはいえ、2軒ある平屋での一人暮らしをしみじみと噛み締めながら暮らしていました。鳥の鳴き声で起こされ、日差しが差し込む庭でぼーっと日向ぼっこしているうちに1日が経っていたなんてことも一度や二度ではありません。柿仕事をしたり、庭で朝食をとったり。

 

夜には星がよく見えました。改装に取り掛かろうと思いながらあっという間に半年が過ぎていました。野ざらしな暮らしが段々と板についてきました。

 

来る人が我が家に来てショックを受けないように、とあえて「野ざらし荘」という名をつけてみましたが、一度訪れた人は何だか妙にその名前に納得して帰っていくのでした。

 

【著者】

清土奈々子

 

階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に夫と2歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。 youtube| https://www.youtube.com/channel/UCkAE6Jcy6oSlJxD2nUIu32Q webshop| nozarashisou.handcrafted.jp/

 

清土奈々子

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e159dbbff6c397afc4f72ab2a9fed24252e17a6b?page=1

2020年

8月

12日

「かぼちゃの馬車」でも暗躍…銀行ぐるみの転売業者に要注意

経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

 

不動産を購入するまでの9つの手順

 

家主業の基本、不動産を買うなら何を基準に買えばよいか、一通りわかったところで、今度は実際に不動産を購入する手順を見てみよう。大まかな手順は次の通りだ。

 

(1)収益不動産の情報を集める 不動産情報を集める方法の王道は、主として収益不動産を扱うポータルサイトでの検索だ。収益不動産のポータルサイトの大手は「健美家」と「楽待」。 また、収益不動産を扱う会社に問い合わせて、自身の属性などの個人情報や希望する不動産の条件等をあらかじめ伝え、情報をもらいやすくする。

 

(2)不動産会社に問い合わせて不動産の詳細な情報をもらう ポータルサイト等で条件に合う不動産を見つけたら、その不動産の広告を出している不動産会社に問い合わせて、現在の入居状況、各戸の家賃状況、契約期間などが書かれた「レントロール ※ 」と呼ばれる資料、分譲マンションなら修繕積立金や大規模修繕履歴など詳細な情報をもらう。

 

(3)不動産会社に現地を案内してもらう 不動産会社から提供された情報を見て、条件に合いそうであれば、実際に現地へ足を運び内見する。

 

(4)買い付けを入れる 内見後、不動産が気に入れば、不動産会社経由で買い付けを入れる。 留意しておきたいのは、買い付けの申し込みは必ずしも早い者勝ちではないことだ。売主が、その買い付け申し込みに応じても、契約を締結するまでは、売主は売買の約束を撤回して、他の購入希望者に売却することもできる。一方、買い付けを入れた希望者も契約を結ぶまでは撤回することができる。

 

(5)売買契約を締結する 買い付けが通ったら、売買契約締結となる。買い付けが通ってから契約締結までは、通常1週間から 10 日間程度。契約日は、売主・買主・不動産会社の予定で決まる。売買契約書と重要事項説明書の内容を確認し、署名・捺印で契約が成立する。

 

不動産購入代金以外にも諸費用の準備も

 

(6)金融機関に融資を申し込む

 

融資の申し込みについては、売買契約を締結したら、金融機関にて売買契約書、重要事項説明書、その他資料の原本や写しの提出・確認を行う。買い付けを入れる前後に、金融機関に前もって相談し、融資の申し込みをすることもある。

 

(7)管理会社または仲介会社を探す 管理会社をどうするかは重要な問題だ。売主が委託していた管理会社を引き継ぐか、新規で管理会社を探すか、自主管理にするかの3つの選択肢がある。管理会社を変える場合、自主管理にする場合は、以前の管理会社から業務を引き継ぐ必要がある。

 

(8)金銭消費貸借契約を締結する 金銭消費貸借契約とは、融資の本契約のことだ。当日は必要書類を持参の上、金融機関の融資担当者から重要事項の説明を受け、条件を確認し、問題がなければ契約書に署名・捺印をして完了となる。

 

(9)決済・引き渡し 決済・引き渡しは、融資を出す金融機関で行う場合が多い。売主、買主の他に、売主側仲介会社、買主側仲介会社、司法書士、融資を利用するときは融資をする金融機関担当者が一堂に会する。管理を委託する場合は、管理会社が待機することもある。 登記に必要な書類を司法書士が確認して、問題がなければ融資を実行する。その後、司法書士と仲介会社への支払いが済んで決済は完了となる。決済が完了したら、賃貸借契約書原本や鍵の引き渡しを受けて、決済・引き渡しが完了する。 不動産購入時に必要な経費は、手付金、不動産購入代金、不動産会社に支払う仲介手数料、不動産登録免許税、司法書士に支払う登記手数料、火災保険加入費、固定資産税等の精算金、ローン手数料、保証会社を使う場合はローン保証料、印紙税となる。見ての通り、不動産購入代金以外にも結構費用がかかるため、その部分も見越して資金を準備することが必要だ。 ※レントロールとは、賃貸借条件一覧表のこと。ビルや賃貸マンションやアパートを一棟買いする際はその物件の質を見定める基準となる。通常、1枚の用紙に、各部屋番号ごとの契約賃料や共益費、預かり敷金の金 額、契約年月日が記載されている。場合によっては賃借人の属性(法人、個人)や名前、性別が記載されていることもある。

 

良い「三為業者」、悪い「三為業者」

 

不動産の売買取引の現場では、時々「三為業者」という用語が出てくる。「かぼちゃの馬車」オーナーたちの多くは、この三為業者が関係した土地取引によって、相場よりもかなり高い金額で購入した。三為業者とは、所有権の移転の実態を反映していない「中間省略取引」において、特約として、所有権が最初の所有者から最終購入者に直接移転する旨を定める契約「第三者のためにする契約」を積極的に行う業者のこと。この「中間省略取引」自体は合法であり、不動産売買取引を効率的に進める方法の一つだ。 本来なら不動産の所有権が「最初の所有者から購入者X」、「購入者Xから最終購入者」へと移転した場合、不動産登記簿に2回の移転登記が記載されるべきだが、中間省略取引では、当事者全員の合意があれば、「最初の所有者から最終購入者への所有権移転登記」という1回の移転登記のみを申請し、登記することが可能となる。この契約の特色は、Xが最初の所有者から購入した金額を転売先である最終購入者に知られることがない点だ。 オーナーの代理人として「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズの一連の販売に関与した会社などに対して、訴訟を起こした加藤博太郎弁護士の調査により、今回販売会社がかなりの利益を乗せてオーナーに販売していた実態が明らかになった。 例えば、土地所有者から約3000万円で購入した土地を販売会社の元締めA社が約5500万円でオーナーに直接営業している販売会社B社に売却し、B社はオーナーに約6000万円で販売していた。実に2倍もつり上げられた金額でオーナーは購入し、結果的に多額の借金を抱えることになった。 注目したいのは、最も利益を得ていた元締めA社。加藤弁護士は「週刊全国賃貸住宅新聞」の取材で、「元締め会社とスマートデイズ実質経営者とスルガ銀行支店長で協議が重ねられてつくられたスキームではないか」と話していた。 「投資は自己責任」とはいえ、素人では見抜くのが難しかった状況があったのも事実。「投資」という欲をビジネスとしている企業にもまた欲があるという点を理解しないといけないようだ。

 

永井ゆかり

「家主と地主」編集長

 

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2020年

8月

07日

25年周期で大変動…社会構造の変化が不動産価値を決める!

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

 

戦後、日本に起こった「人口爆発」

 

日本は1945年の太平洋戦争の終結後70年以上の時を経ました。70年といえば、ほぼ人の一生に近い年月ですが、この間私たち日本人は戦禍で廃墟になった国土を立て直し、世界的にも未曽有の経済発展を成し遂げ、今、世界で最も豊かな国の一つとして存在しています。 私は、戦後の日本社会の変遷を25年という四半世紀ごとに整理してみると、その間の不動産の価値に対する人々の接し方、感じ方の違いが鮮明になってくることに気がつきました。 どういうことなのか、説明しましょう。 1945年から1970年までの四半世紀は、いわば日本の「復興期」でした。戦争終了直後、日本の人口は約7200万人。すべてを失っての再出発でした。 実はこの45年から70年までの四半世紀の間で、日本に起こった劇的なことは「人口爆発」でした。なんとこの間に日本の人口は世界が瞠目するほどに急増。大阪万国博覧会が開催される70年には、すでにその数は1億人を超えていたのです。率にして44%の増加。世界の歴史の中でも、これだけ顕著に人口増加を果たした国はありません。 人口がこれだけ増加するということは、経済から見ればそれだけ消費者が増える、つまり内需が急拡大したということです。経済はおのずと成長軌道を描きやすい環境下にあったともいえます。 しかしこの時期、日本社会全体はまだ貧しい状況でした。日本は輸出型製造業の成長に活路を見出し、原材料を輸入して製品化しこれを外国に輸出することで、60年代には経済において高度成長期を迎えることができました。 1958年には東京タワーが完成、そして1964年には最初の東京五輪が開催されます。同じ年に東京と大阪を結んで東海道を疾走することとなる東海道新幹線は、日本全国の子供の憧れの的でした。

 

「三種の神器」から「3C」の時代へ

 

この当時は、国民一人一人は貧しかったものの、国が新幹線や高速道路、そして東京五輪や大阪万博などの一大イベントを催し、希望に満ち溢れる国民をぐいぐいと牽引していった時代ともいえます。 この時期の人々の生活や価値観がよく窺い知れるのが、2005年に上映され大ヒットとなった『 ALWAYS 三丁目の夕日』です。この映画は田舎町から東京の町工場にやってくる女性が成長していく過程を追ったもので、当時の東京を表わしたノスタルジックなスタジオセットが話題を呼びました。同様に2017年に放映されたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」も、茨城県から上京して東京の町工場に就職した主人公が苦労をしながらも成長し、そこで出会った洋食屋の味に惚れ込むというストーリーを描き、注目されました。 50年代は三種の神器として、「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が、60年代には3Cと呼ばれた「車」「クーラー」「カラーテレビ」など、国民には常にわかりやすい生活向上のための「目標」のようなものがありました。 国民の皆が明日へのゆるぎない希望を持ち続けた一方で、どんどん都市部に流入する人の流れは、膨大な新たな住宅需要を生み出していきました。 国は1956年7月に、住宅に困窮する勤労者のために住宅や宅地を供給すること を目的とした日本住宅公団(現・UR、都市機構)を設立して対応しますが、当時の住宅の質はけっして水準の高いものとはいえませんでした。とりあえず「住む」ためのハコを量的に確保した、というところです。 1971年からスタートする1995年までの四半世紀はどうでしょうか。 この間の日本の人口は約2000万人の増加を見ました。高度成長期という右肩上がりの経済成長を味わった日本にとっては 70 年からの四半世紀は二度のオイルショックとの戦い、円高というグローバル経済の中での舵取りと、苦難が連続する時代でした。

 

全国各地にニュータウン建設が加速

 

しかし日本経済はこうした苦難を次々に克服し、飛躍的な成長を遂げていきます。 『Japan as №1』(エズラ・ヴォーゲル著)という書籍が持て囃され、世界第2位のGDPを実現し、日本がその自信を大いに深めていった時代でした。 一方、地方から都会へ大量に流入する人々の隊列はこの時代も続き、大挙してやってきた勤労者たちは都心から郊外に延びる鉄道沿線にマイホームを求めました。住宅は値上がりを続け、国民全員が「早く家を持たなければ一生持てなくなる」と、本当に信じた時代でした。 国が全国各地にニュータウンの建設を加速させたのも、この時代です。とりわけ1970年代は全国各地の丘陵が造成され、その結果、全国に2009カ所、面積にして18.9万haの住宅用地が誕生しました。 不動産神話あるいはマイホーム神話というのは、この時代に形成された考え方です。詳しくは拙著『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)を参考にしていただければと思います。 いずれにしてもこの時代は、不動産価値が人口の増加と経済の驚異的な成長に後押しされて上昇し続けていく時代でした。そうした意味では、「実に単純な」論理の下で不動産は捉えられていたのです。 今では冗談のような話ですが、1974年当時の厚生省の(現・厚生労働省)人口問題審議会が人口白書において「日本は出生抑制に努力すること」の旨を打ち出していました。この年は前年にオイルショックが勃発し、資源と人口に関する危機意識が高かったことが背景にあります。同年開催された日本人口会議では「子供は二人まで」という、今の政府が聞いたら卒倒するような大会宣言が採択されています。 では、日本がその絶頂時代を迎えていた1990年代半ば以降、日本はどんな道をたどっていくことになるのでしょうか。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe5e74df7b24fd31a795777d22c4b8481cd09423?page=1

2020年

7月

30日

「しくじった」資産20億円大家の失敗。1DKのマンションが…

株式会社町田工務店代表取締役社長・町田泰次氏は不動産投資で20億円もの資産を築き上げた。なんだか胡散臭いイメージが付きまといがちな不動産投資だが、成功者と敗者を隔てたものは何か? 書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎MC)にて同氏が語っている。

 

 

大家さん業に不動産情報ポータルサイトは不可欠

 

本連載では、これから大家さん業をはじめたいと思っている人向けに、私が大家さん業をはじめたころを振り返りながら、大家さんとは何か、また大家さん業をうまくやるための心構えなどを述べてきた。基本的に昔も今も大家さんが気を配るべき点や注意するべき点はかわっていない。だが、ひとつだけ大きく変わった点がある。それはインターネットの普及で、賃貸住宅をとりまく情報環境が大きくかわったことだ。 昔は賃貸住宅の入居者募集は、駅前の不動産屋(あえてそう呼ばせてもらう)の仕事だった。部屋を借りたい人は、住みたい場所を決めたら最寄りの駅前にある不動産屋へいき、条件を告げて物件を紹介してもらっていた。 それが大きく変わるきっかけとなったのは首都圏や関西圏で直接ユーザーに不動産情報を届ける不動産情報誌が創刊されたことだった。これによって入居希望者は、いろいろな場所で好みの賃貸住宅を手軽にさがせるようになった。 これがインターネット時代の到来でさらに進化して、現在のスーモやホームズなどの大手不動産情報ポータルサイトになったわけだ。 いまや大家さん業をやるには、こうしたポータルサイトは入居者の募集だけでなく、いろいろな面で不可欠の存在になっている。

 

■入居希望者の動向が詳しく分かる不動産情報ポータルサイト こうしたポータルサイトは、いまや入居者募集のツールとしてだけでなく、大家さんが自分の賃貸住宅を経営する際に必要な、さまざまなデータを与えてくれる。大家さん業をやっていくうえで欠かせない便利なツールになっているのだ。私も重宝している。 カメのようにゆっくりと歩きながらも、ウサギのように耳を大きくして情報はちゃんとキャッチするのが、賢い大家さんである。 たとえば大家さんにとって気になる空室率なども、全国平均や各自治体毎の平均はもちろん、もっとこまかく調べることもできる。ポータルサイトによっては入居希望者があるエリアの不動産情報をどれだけ見たか10段階で表示している。さらに大家さんが不動産会社を通して頼めば、自分の物件に関連するもっと詳しい情報を提供してくれる場合もある。 こうした情報を利用すれば、たとえばあなたの物件のある地域の空室率をかなり正確に試算できるので、より正確な家賃設定にいかすことができるわけだ。こうしたデータをあなたのパートナーとなる不動産会社と共同で利用すれば、あなたの賃貸住宅がターゲットとする市場のより正確な分析が可能になる。

 

資産20億円大家が「失敗した」と思ったことは…

 

■ポータルサイトを意識した物件づくりが必須 いま私が1棟マンションの新築を企画したり、リフォームを計画する際に、もっとも意識しているのは、こうした大手不動産ポータルサイトの検索エンジンにいかにひっかかりやすいものをつくるかということだ。 「流儀三」で詳しく述べるように、ポータルサイトで入居希望者が物件をさがす場合、自分の希望する物件条件を検索用チェックボックスに入力する仕組みになっている。あなたの賃貸住宅が、このチェックボックスの項目に該当する機能やサービスを持っていればいるほど、検索エンジンにひっかかる確率が高くなる。つまり入居希望者の目に触れる確率が高くなるのだ。 したがっていま目端のきく大家さんはみな、ポータルサイトの検索用チェックボックスを頻繁にチェックして、チェックボックスに新たな項目ができれば、それに即対応する用に設備を更新したりサービスを追加している。ポータルサイトを意識した設備のグレードアップや条件設定は、多くの入居希望者に自分の賃貸住宅を見てもらう上で必須の条件になっているのだ。 ■退去時アンケートにも大切なヒントが インターネット全盛の時代といっても、それがすべてではない。大家さんにとって、自分の所有する賃貸住宅の入居者からくるクレームや要望を聞く耳をもち、それを経営に活かしていくことは、大家さん業の基本であり、それはいまもまったく変わっていない。 たとえば入居者の契約期間が満了して退去が決まったときは、入居者にアンケートをとって、退去の理由や入居中の不満などを具体的に引き出すようにしたい。そもそも退去理由が転勤や結婚など、大家さんにとって防ぎようのない理由かどうかは、つぎの入居者を募集する際にも重要だ。 これがはっきりしないと募集戦略もたたない。入居中は、はっきりいってくれない入居者も、退去時には正直に不満を口にしてくれる場合も多いので、このチャンスを逃がすのはもったいない。 たとえば私が印象に残っているのは、あるマンションで収納の少なさへの不満が多かったことだ。1DKがとれる大きさの部屋を、好みの家具がおけるように、あえて広めワンルームにしたのだが、それが裏目にでた。 「もう少し狭くなってもいいから、収納はほしかった」 「家具はあまり持ちたくないので、細かな収納があるとよかった」 こうした声が多く、その後は居室はもちろんリビングやトイレ、洗面所にも簡単な収納をつけるようにした。かなり前の話だが、最近では収納の多さは、単身者用のマンションでは必須のアイテムになっている。 ■成約に結びつくのは内覧時の好印象 ポータルサイトで得られる情報は確かに部屋を選ぶ際に重要だが、インターネットでは伝わらない重要なこともある。それはマンションの外観とか共用部の印象など、実際に希望する部屋を内覧したときの印象だ。 ポータルサイトが提供する情報がいくらきめ細かくなっても、その情報だけで契約してしまう人はいない。最終的に成約に結びつくのは、内覧時の印象だ。 内覧時の印象をよくするには、まずは外観や共用部の美化維持を徹底することだ。私は不動産会社を通して専門の巡回スタッフに依頼してマンションの外観に痛みや汚れがないか定期的にチェックしてもらっている。 また入居者への情報提供や注意喚起のために掲示した印刷物が古くなったり汚れたままになっているのは、第一印象を悪くする。古くなったアパートで、いつはられたかもわからないような印刷物がヒラヒラしているのを見かけることがある。あれは大家さんのやる気のなさを象徴しているようで、ほんとうにいただけない。

 

町田 泰次

 

株式会社町田工務店 代表取締役社長

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c958576d7bc63a3d12189333d77dfae6740f9c75?page=1

2020年

7月

22日

「築61年のマンション」建て替え成功で分かった腐動産の末路

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

 

マンション建て替えに成功したのはわずか226棟

 

2017年、東京都新宿区四谷本塩町にある、日本初の民間分譲マンション四谷コーポラスが建て替えられることになった。 このマンションが分譲されたのは今から64年前の1956年。建て替えで解体される時点で築61年だ。JR「四ツ谷」駅から徒歩5分の好立地。外堀通りの喧騒からも離れた閑静な住宅街にある。延のべ床面積は2290㎡(約693坪)、総戸数28戸。分譲主は日本信販株式会社だ。

 

マンション関連の法律の骨格をなす区分所有法が施行されたのが1962年であり、管理方法も含めてマンションというシステムがまだ構築されていない段階だったこと、かつ住宅ローンの制度がない中、日本信販による割賦販売という仕組みを導入しての分譲事業という意味で、このマンションの存在は日本のマンションの歴史そのものといってもよいだろう。 このマンションの解体に先立ち、内部を見学させていただく機会を得た。地上5階建ての建物内部は、1階と4階にしか共用廊下がなく、メゾネットタイプの住戸を組み合わせた斬新な構成になっている。つまり、1、2階がメゾネットで組み合わせ、さらに4階を玄関として3、4階のメゾネットと4、5階のメゾネットを組み合わせた、昔流行(はや)ったルービックキューブのような構成の建物だ。

 

こうした形態を取ることによって、当時では考えられないほど広い70㎡以上の面積を確保した住戸を実現できたのだ。 築61年を迎える建物はさすがに外壁やサッシ、配管などの老朽化は目を覆うばかりだが、木製のサッシや住戸内部の建具デザイン、学校と見紛うような幅広の共用階段など、「レトロ」と呼ばれてもよいほどの趣 おもむき を随所に感じさせる建物となっている。 建物に対する建築学的なノスタルジーは他者の評論に譲るとして、この建て替えがどうして実現できたのかを考えてみよう。 四谷コーポラスの管理組合では2006年から10年間にわたって、大規模修繕または建て替えの検討を進めてきたが、建物の耐震性の確保は難しいと判断し、建て替えの決議を行なったという。 現在、国内では約106万戸の旧耐震マンション住戸が存在している。国土交通省によれば2014年4月時点で、全国で建て替えが行なわれたマンションはわずか226棟にすぎない。 昔のマンションは規模が小さいものが多いので、1棟が平均50戸としても建て替えの恩恵にあずかった住戸は1万戸強。旧耐震マンション全体の1%ほどということになる。それほどマンションの建て替えは、さまざまな事情により進んでいないということだ。

 

築61年マンションが建て替えに成功した理由

 

本件は建て替えを行なっても、現状よりも容積率(土地面積に対して建設できる建物面積の割合)が1.2倍程度にしかアップしないという。28戸の住戸は建て替え後は51戸になり、このうち23戸が権利者住戸、残りの28戸が新たに分譲される予定だ。建て替えにはメリットは少なく、通常ではなかなか合意形成が図れないものと推察されるが、実際には権利者の9割が建て替え後のマンション住戸の床を持つことに同意した、とのことだ。

 

四谷コーポラスが建て替えを成功に導けた理由は、何だろうか。

 

1.立地 建て替え後のマンションにも十分な不動産価値があれば、分譲部分を高値で売却できる。高値で分譲できれば、建て替えにあたって区分所有者の追加負担は少なくなる。 マンションは、建物部分について経年で劣化してしまうので不動産価値はどんどん下落してしまうが、土地の価値が保たれている立地であるならば、建物さえ新しくすれば、現在の時価で販売することができるのだ。 2.区分所有者の多くが富裕層であること 建て替えにあたっては、区分所有者が経済的に困窮していないことが必要だ。高齢化等により健康を害していても、建て替え期間中は医療機関や他の施設に移転ができるなどの条件がそろうことも必要だ。また、容積率緩和が十分でなく、建て替えにより新たな追加負担を求められたとしても、負担できるだけの経済的余裕があることが建て替えを可能にする。

 

 

3.「代替わり」が行なわれていること 四谷コーポラスの区分所有者はその多くが、途中で第三者に売却されずに相続されてきたそうだ。そして二代目、中には三代目が実際に住んでいるという。棟内に展示されていたマンション内の写真を見ると、築30年以上を経過した1988年当時の写真でも、大勢の子供たちが棟内を駆け回る姿が写し出されている。 相続された上で、子供や孫たちが実際に「住んでいる」ということは、マンションが故郷となり、所有者に愛されているということの証左だ。 4.コミュニティーが保たれていること 上記に加えて戸数がわずか28戸という小所帯であることから、「昔からよく知る」人たち同士でコミュニティーが形成され、しかも三世代にわたる老若男女が自分たちの資産であるマンションの不動産価値をアップさせるために、「建て替え」という手法を選んだことが容易に想像される。

 

さて、建て替え率1%のマンション。 上記のような要素が備わった物件はどれほどあるだろうか。

 

郊外立地で子供や孫には見向きもされなくなったマンション、1棟が数百戸もあり中国人投資家が闊歩する湾岸タワーマンション、高齢者ばかりで何事も決められない管理組合、クレームばかりでコミュニティーに参加しない区分所有者の存在。 これらのマンションで、築30年を超えても3世代の老若男女が集い、築年数が60年の還暦を迎えるときに、全員で自分たちの財産を守り抜こうという気持ちになれるであろうか。 マンションを買うということは、「コミュニティーを買う」ことと同義なのだ。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3e8d0befc184ea6eae9c41b292653aa35a8846a1?page=1

2020年

7月

17日

相続人がいない、管理費滞納…、老朽化マンションの負動産地獄

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

管理費・修繕積立金の滞納マンションが増加

 

高齢者の単身世帯が激増している。 マンションにおける高齢者の単身世帯数については正確なデータが存在しないが、2013年度に実施された国土交通省の「マンション総合調査」によれば、東京都内のマンション世帯主のうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占める。現在では当然、事態はさらに深刻だろう。こうした現状からは、今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが、容易に想像される。 かつては、親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが自宅だった。不動産は財産としての価値が高い。つまり、相続人が「住む」こともできれば、人に「貸す」こともできる。最後には「売る」ことで現金にも換えられるということで、相続人の間ではこの親の残した自宅の相続をめぐって醜いトラブル=「争続」問題が生じていた。 ところが、最近はやや状況が異なるようだ。都心居住が主流となる中、親の自宅を相続しても、自身で「住む」つもりはない。賃貸に出しても、築年数が経過したマンションでは住宅設備は古く、部屋の内装も時代遅れでなかなか借り手がつかない。かなりのお金をかけてリニューアルしても、立地に劣るマンションになると、満足な賃料で貸せるケースは少なくなっている。賃貸住宅の空き家は東京都内だけでもなんと59万8000戸も存在することが、この状況を物語っている。 親の残した自宅の不動産価値がそれほどでもないことに気づき始めた相続人たちは、むしろ現金や株式を優先し、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうような場面も増えているという。 こうした状況で相続したマンション住戸。管理上でもやっかいな問題を引き起こしている。相続人がマンション住戸を相続したことを管理組合に連絡をしないケースが、増えているのだ。 親のマンション住戸を相続はしたものの、部屋内の片付けだけでも一苦労。住戸は傷みが激しく、賃貸するとしても相当額のリニューアル費用がかかる。ただでさえ欲しくもなかった住戸を無理やり相続した相続人は、その事実を告げずに放置、結果として管理費・修繕積立金が滞納となるのだ。

 

相続人がいない「おひとり様」マンション急増中

 

通常であれば管理組合は、相続人が確認できれば、当然のこととして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行なうことになる。ところが相続人としての届け出が行なわれておらず、どこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生しているのだ。 相続人を見つけ出して、滞納分を請求できても、相続人が外国住まいであったり、相続人が複数存在するとなると、各相続人間の共有財産ということでコミュニケーションが取れずに、なかなか思うように徴収できないケースも増えている。 首都圏郊外のあるマンション管理会社の社員は、最近の事情を次のように話す。 「最近は相続人の方をつきとめても、本人にマンションを継ごうという意識がさらさらありません。中には『困っているなら差し押さえでもして売ってくださいよ』と言ってくる人までいる始末です」 この相続人が言うように、最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、時代環境は変化している。 以前であれば、流通市場に出せば確実に売却できたマンションも、立地や築年数、設備の状況などによってはまったく買い手がつかないケースも出始めている。競売によって確実に滞納金が回収できるという保証は、どこにもない。 管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も、珍しいことではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用なども組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合もおいそれと手が出しにくいというのが現状だ。 さらに問題がやっかいになってくるのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。「おひとり様」があたりまえになってきた日本社会。少子高齢化の進行は核家族どころか結婚をしない、兄弟、身寄りのない単身者の増加を招いている。こうした区分所有者に相続が発生すると、相続人がいないということになる。

 

マンションはスラム化への道を歩むのか

 

相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を、相続財産管理人に対して行なうこととなるのだ。通常、相続財産管理人を選定する場合は東京地裁などの場合、100万円ほどの予納金を納付しなければならない。相続財産からあらかじめ差し引ければよいのだが、該当金額を引当できない場合はやはり管理組合の負担となる。

 

このような住戸は最終的には売却することによって現金化することとなるが、現実は予納金すら回収できないケースも見受けられるのだ。

 

こうした事態に対して、市場性がないのであれば無理に売却せずに、国庫に入れて国から管理費・修繕積立金を徴収すればよいという人もいるが、国が国庫として取ることは事実上ない。仮に国庫に帰属させたとしても法律上、国は「特定承継人」ではないので管理費・修繕積立金等を支払う義務はないということになる。 管理費・修繕積立金の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、市場における流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続をしたがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れつづける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっているのだ。

 

マンション永住化などというが、世代を跨いで価値が持続できない多くのマンションが、今後スラム化への道を歩む可能性が高いはずだ。そんなマンションに資産価値を求める現代人は、マンションというあやふやな共同体の持続可能性をよく見極めるべきなのだ。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/34f60ddea552f62681a4124119bedb5e442a3ce7?page=1

2020年

7月

10日

急増する「マンション墓」を安易に選んではいけない理由

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

高齢化社会ニッポンは年間40万人の純減

 

毎年、お盆の季節はふるさとに帰省する客で鉄道や飛行機、高速道路などが混雑する光景が「お決まり」の映像としてメディアを賑わせる。 お盆のそもそもの目的は、先祖のお墓にお参りして、その霊をなぐさめるところにある。帰省客のどれだけが、実際に墓参りを行なっているかはわからない。どちらかといえば地方出身者は、墓参りとは別に、親戚への挨拶や卒業した学校の同級生が集まって、互いの状況を語り合う場になっているのが実態かもしれない。 理由はともあれ、人間誰しもが亡くなれば入居するのが墓である。 日本の人口は、2015年の国勢調査で初めて減少に向かっていることが発表された。人口が減少する理由は、生まれる赤ちゃんの数より亡くなる人の数が多い、つまり「人口の自然減」の状態に日本があることを示している。 2017年の出生数は94万1000人だったのに対して、死亡者数は134万4000人。なんと日本は、人口の自然増減においては年間で40万人もの純減を記録している。 実際の日本の総人口は22万人ほどの減少と発表されているが、この差は在留外国人の数が急激に伸びているからである。今や日本の人口減を一生懸命外国人在留者の伸びという「社会増」で補っているというのが現代日本の姿なのである。 さて、日本は高齢化社会に突入したといわれているが、この影響は今後死亡者数の激増という形で社会にさまざまな問題を投げかけてくる。1966年(昭和41年)の日本の死亡者数は67万人と戦後最低を記録している。当時の日本は、戦後生まれの男女が世の中を闊歩する若々しい社会だったのだ。 それがこの50年間で、死亡者数は倍増したことになる。医療施設が整い、高齢者施設が数多く建設され、長寿社会が実現したとはいえ、人間、いつかは死ぬ。そしてこれからの日本は「死ぬ」可能性の高い人が激増する状況にあるのだ。

 

墓もマンションのようにみんなで住む時代

 

厚生労働省の予測によれば、2040年には死亡者数は166万人と今よりさらに24%も増加するとしている。それもそのはずである。2017年9月、厚生労働省の発表によれば、現在国内では80歳以上の人口が1002万人。対前年比で 38万人の増加となり、初めて1000万人の大台を超えたという。さらに90歳以上の人口は206万人、100歳以上の人口でも6万7000人となっている。どんなに長寿社会になるからといっても、この数値だけから判断して今後20年くらいの間で1000万人近くの人が亡くなっていくことは、誰が見ても明らかだからだ。 いっぽう現在、日本の人口の約3分の1が東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で構成される首都圏に集中している。つまり、今後は首都圏での死亡者数が激増することが、容易に予測できる。ところが、首都圏で墓地として提供できる土地は少ないのが実態だ。 墓を持つ側のニーズにも変化が表われている。墓地といえば、これまでは地方の実家の周りにある、あるいは郊外の山などを造成して開発した霊園に多く存在したが、こうした施設に対する不満も多い。年に数回の墓参りに行くにも遠くて交通利便性に欠ける、墓参り時の天候に影響を受ける、墓の清掃や雑草取りなど手間暇がかかる、土地使用料や墓石代などの費用が高いなどといった理由が挙げられている。何事にも合理的に考える世代が台頭していく中で、既存の施設に対する不満が高まっているのである。 このような状況を反映して現在人気なのが、墓ビルである。墓地の形態をとらずに建物の中に収容をする納骨堂は何も今に始まったものではないが、最近増加しているのが、ビルを建てるか既存のオフィスビルやマンションを改装して、建物全体をお墓の収用場所にしようというものだ。墓もマンションのようにみんなで「一緒に住む」という時代になったのだ。 墓ビルではハイテク化も進んでいる。以前は建物内に棚を設(しつら)えて骨壺などを並べるだけの簡素なものだったのが、機械化され参拝者は決められたブースに来てICカードで登録番号を読み取ってもらい、該当する塔婆などの一式が目の前に出現するのを待つ。まるで銀行の貸金庫室に行って自分の金庫を取り出すような感覚だ。線香などもあらかじめ備わっているので、手ぶらで参っても大丈夫。何事も手軽に済ませられることも人気の秘密になっている。 費用も墓地であると区画にもよるが、墓石などを含めるとなんやかんやで200万円から300万円程度はかかってしまうが、自動式納骨堂であれば100万円程度。永代使用権や永代供養なども含まれているものが多いので安上がりである。 また近年は少子化が進み、「おひとりさま」需要も増える中、墓守をする後継者がいない人にとっても負担が少ないといえそうだ。

 

墓ビルがスラム化してお化け屋敷に?

 

さて一見すると良いことずくめの墓ビルであるが、実は多くの問題を抱えている。墓地は土地の中に収容されるスタイルであることから、土地が永遠に存続する限りにおいては墓としても永久に存続していくことが前提となる。ところが建物内に収まっている墓ビルは、当たり前のことだが、建物は「永久不滅」でないということを考えなくてはならない。

 

墓ビルは建物内を自動化して収容力を高めている。中には1棟で1万基もの収容力を持つビルまであるという。1基100万円だとして1万基で100億円にもなるのだから、おいしいビジネスともいえる。だがこれらも「満杯」になった後はひたすら「管理」していくことが必要になる。一般的には管理費などを徴求する形をとっているが、さて管理費はいつまで取ることができるのだろうか。最初に永代供養としてまとまった費用を徴求できたとしても墓守は永遠である。

 

建物は「有限」であることから、当然のことだが大規模修繕も必要になる。50年、60年先には「建て替え」も必要となるかもしれない。そのときこうした費用はどこから出ていくのだろうか。墓ビルに対しては宗教法人施設の敷地内限定とする、あるいは宗教法人が一定以上関与する法人の所有に限定するなど、規制を施す自治体もあるが、どのようにして建物を維持管理していくのか、まだ不透明な部分も多いのが実態だ。

 

維持費用が途絶え、誰も管理せず、放置されるような墓ビルが将来都内のあちこちに出現したらどうなるのだろうか。墓ビルが「スラム化」してお化け屋敷になるなどという笑えない話にもなりかねないのだ。永遠に存続することができない器に「永久に存在するはずの」お墓を管理していくことの矛盾に、まだ多くの墓ビルが気づいていないのだ。

 

牧野 知弘 オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

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2020年

7月

02日

理想のマンション「何駅」郊外に行けば買えるか

 コロナ禍は「家」に関する価値観を変えるといわれている。背景にあるのが在宅勤務の普及だ。パーソル総合研究所によれば、緊急事態宣言後のテレワーク実施率は全国平均で25.7%。東京都に限れば41.1%に達した。現在でも出社人数を制限して、社員を交代で出勤させる企業は少なくない。

 

日中は働きに出て、自宅は寝に帰るだけ。コロナ以前にそんな働き方をしていた人が急に在宅勤務を余儀なくされると、リビングが狭い、仕事をするための書斎が欲しいといった「不満」に気づいた人も多いだろう。

 

 

■広さを求めて郊外に目を向ける

 

だが、限られた予算で広い部屋を求めるには、地価の安い郊外へと目を向けざるをえない。では、具体的に今住んでいる駅より「何駅」都心から離れれば理想の広さが手に入るのか。 リクルート住まいカンパニーの調査によれば、2019年の新築マンション購入者の平均価格は5517万円で、住戸の面積は68.2㎡。今回は理想の広さを80㎡と仮定し、その住戸を5517万円で購入するためには、どれぐらい都心から離れる必要があるのかを調べた。

 

データは不動産調査会社の東京カンテイの協力を得て、駅ごとの㎡当たりのマンション価格を算定。新築マンションは2019年1月~12月に分譲された住戸、中古マンションは2019年1月~12月に流通した築9~11年の住戸を対象に集計している。いずれも最寄り駅から徒歩20分以内の物件が対象(バス便除く)で、専有面積30㎡未満の住戸やオフィス・店舗区画は含んでいない。

 

なお、昨今は新築マンションの供給が少なく、中古マンションも取引事例が少ないなどの理由で、十分なデータが集まらなかった駅も多かった。そこで、東京カンテイのデータに含まれていない駅については、6月中旬時点で価格を公表している分譲中の新築物件、およびポータルサイトにて売り出し中で築9~11年の中古物件を独自に集計した。サンプル数が少ないことを考慮し、あくまで参考価格として「※」マークを付加している。

 

コロナ禍で広い住戸が求められる時代には、どんなマンションが検討に値するのか。早速見ていこう。

 

「地価の安い郊外に行かないと広い住戸が買えない」という現実が如実に表れたのが小田急小田原線だ。68.2㎡の場合、新宿から出発して代々木上原や下北沢といった人気エリアを経て、最初に予算内に収まるのが新宿から14駅を数えた喜多見だ。なお、参考価格ではあるが、経堂駅から徒歩10分の「ザ・グラント経堂」では、71.54㎡の住戸が5280万円で販売されており、こちらも手が届きそうだ。

 

表では68.2㎡の新築住戸の価格が予算内(平均購入価格5517万円)の場合、赤で表示した。そして、80㎡の新築住戸が予算に収まる場合を黄色で示したが、小田急線では新宿から28駅の小田急相模原まで進む必要がある。参考価格でも75.33㎡が4,596万円(80㎡換算で4880万円)で販売されている「ライフレビュー新百合ヶ丘」の最寄り駅である新百合ヶ丘が精いっぱいだ(ただしこのマンションには76.8㎡以上の間取りはない)。

 

以上の仮定は、あくまで「新築」にこだわった場合だ。中古マンションでも許容できるなら、参考価格ベースでは登戸まで近づく。表では80㎡の中古マンションを予算内で買える場合を青で示したが、町田や相模大野といった利便性の高い駅も選択肢に入ることがわかる。

 

■JR中央・総武線でも中古に訴求力あり

 

近年供給される新築マンションは用地費や建築費が上昇しており、販売価格は高止まりの状態だ。不動産経済研究所によれば、首都圏の新築マンションの平均価格は、2010年に4716万円だったのが2019年には5980万円まで上昇した。相対的に割安な中古マンションの訴求力は、いやが上にも高まっている。

 

同じく中古の優位性がにじんだのがJR中央・総武線だ。価格高騰を象徴するかのように、新築マンションでは予算オーバーの駅が続く。ようやく予算内に収まるのが、新宿から18駅を数えた豊田だ。なお、参考価格ではあるが、三菱地所が分譲している西国分寺駅から徒歩10分の「ザ・パークハウス 国分寺四季の杜」では、記事執筆時点で70.72㎡の住戸が5321万円で販売されている。

 

80㎡の住戸を求めると、そこからさらに1駅奥に進んだ八王子が該当する。新宿から中央特快に乗っても約40分と、昨今の都心ニーズからはやや外れる。他方で、検討対象を中古にも広げれば、選択肢は一気に武蔵境にまで近づく。検討対象の駅だけでなく、分譲中・売り出し中住戸の数もぐんと増える。

 

■東急東横線の新築で予算内はゼロ

 

東急東横線に至っては、新築だけを検討対象にすると、予算内に収まる駅が一つも該当しなかった。対照的に、中古であれば日吉や菊名といった交通利便性の高い駅も選択肢に入る。人気の沿線を望むなら、中古は検討対象として外せないようだ。実際、大手マンションデベロッパー7社で構成する「メジャー7」が2018年に行った調査によれば、マンション購入検討者の43%が、新築だけでなく中古も検討対象としていた。

 

価格に影響を与えるのは、新築か中古かだけではない。急行が止まるか、複数路線が利用できるかといった「駅力」も重要な要素だ。

 

「駅力」によって価格に差が出たのは田園都市線だ。新築でも予算内に収まる駅は複数あるものの、急行停車駅にこだわるなら、渋谷から21駅の長津田まで広げる必要がある。逆に普通列車しか止まらない駅でも構わないのであれば、都心からさほど離れずにマンションを買うことができる。

 

■新築には広い住戸がない

 

今回はJR山手線から延びるJR中央・総武線と私鉄数路線を検証した。結果としては、新築にこだわると現在住んでいる場所よりも都心から離れざるをえない。他方で、駅力にこだわらず、中古も選択肢に入れれば、新築検討時よりもむしろ都心に近い場所でもマンションが買える。今回は築9~11年のマンションを対象に集計したが、築年数がより古いマンションであれば、さらに都心に近づくことも可能だ。

 

そもそも、現在分譲されている新築マンションには80㎡以上の住戸自体が存在しないこともある。前述のとおり、新築価格が上昇する一方で、購入検討者の予算は伸びていない。するとデベロッパーとしては、住戸の面積を削ることで販売価格の総額を抑えることになる。総額が大きくなる80㎡の住戸は予算に収まる買い手が限定されるため、デベロッパーとしては供給に慎重になる。

 

冒頭で示した小田急小田原線では、新築80㎡が購入できる駅で「小田急相模原」を挙げた。だが実際には、駅徒歩圏内で分譲されている「レーベン小田急相模原Vuitoa」での最も広い住戸は、現在の販売期では73.87㎡だ。

 

仮に広い住戸があったとしても、「プレミアム」扱いとして価格が上乗せされているマンションが少なくない。本稿で示した駅別価格はあくまで平均価格を㎡当たりの価格で割り戻している。実際の販売価格には軽重があり、プレミアム住戸は予算内に収まらない可能性が高い。

 

たとえば、関電不動産開発が田園都市線の宮崎台駅から徒歩10分の場所で分譲している「シエリア宮崎台」。記事執筆時点では70㎡の住戸が3998万円で販売されており、80㎡換算で4500万円台と、同駅における平均価格よりもお買い得だ。

 

だが、間取り図を見ると80㎡超の住戸はいずれも角部屋に設定されている。採光や眺望に優れる角部屋はほかの住戸よりも価格が高く設定されていることが多い。実際、85㎡台の住戸の販売価格は6546万円で、80㎡換算では6160万円と予算オーバーになる。

 

■広さがダメなら部屋数で勝負

 

在宅勤務の普及により広い住戸が求められるようになると、広さも供給も絞るという新築マンションの戦略は顧客に受け入れられなくなる。そこでデベロッパーは「部屋数」を増やしたりことで対応する。三菱地所は大人1人が入れる木製の「箱の間」を、自社分譲マンションを対象に展開する。リフォームなしで部屋数を増やすことができる。

 

大規模マンションでは、 共用施設のラウンジやスタディルームを書斎代わりにしている物件もある。予算の制約で住戸を広げられない中では、住戸内の部屋数や自由に使える共用施設をどう増やしていくかが、アフターコロナのマンション業界を勝ち抜くカギとなりそうだ。

 

一井 純 :東洋経済 記者

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7955fe1ada63d69b10fc6701313d5f938b075554?page=1

 

 

 

 

2020年

6月

26日

いまさら聞けない不動産投資の基本(9)ワンルームマンション投資の落とし穴

「いまさら聞けない不動産投資の基本」シリーズでは、主に不動産投資をこれから始めようと考えている人、始めたものの不安を感じている人などを対象として書かせていただいています。

 

ここ数年で急速に増えたワンルームマンション投資。しかしながら、投資用ワンルームマンションを購入された方の中には、その仕組みやメリット・デメリットをあまり深く知らずに始められている方も少なくありません。

 

今回はワンルームマンション投資の特徴について考え、個人的な見解も含めてお伝えします。

 

 

ワンルームマンション投資の特徴

 

これまでもお伝えしてきたとおり、不動産投資はしっかり検討・分析して行えば、比較的リスクの低い投資法だといえます。不動産にはそれぞれに特性があり、その特性をしっかり理解することが必要です。

 

これからの日本は人口減少が進行していきます。世帯数も2035年くらいをピークに減少に転じるといわれていますが、単独世帯の数は今後も増加が予想されています。

 

核家族化が進行し、進学や就職、結婚を機に親元を離れる若者が増えています。結果として地方では人口減少がより顕著になり、都市部近郊でも人口が減少するところが増えていきます。

 

ワンルームマンションは、地方から出てくる若者を中心とした単身世帯の受け皿であるといえます。こうした人たちは交通の便や生活利便施設の充実など、利便性の高いエリアへの居住を希望する人が多いことも確かです。

 

こうしたマーケットを狙い、首都圏でのワンルームマンションの新規分譲戸数はここ15年ほどの間で毎年8000戸前後が供給されています。あわせて、こうした物件のオーナーとなる大家さんも増えました。

 

ワンルームマンションの価格推移

 

ワンルームマンションだけでなく、一般分譲マンションも含めたマンションの価格は、2013年以降右肩上がりに上昇してきました。

 

2019年には首都圏の新築マンションの平均価格が6000万円を越え、バブル期のピークの価格にほぼ並んでいます。2020年以降はコロナウイルスによる経済へのダメージの状況しだいでは下落していく可能性もあると感じます。

 

一方、このところ新築マンションの供給戸数は減っています。2000年をピークに減少し始め、2008年のリーマンショックのころには大きく減り、その後少し持ち直したものの、直近5年間の供給戸数はピーク時の半分以下です。

 

この間、新築分譲マンションのデベロッパー(開発分譲会社)は大手寡占が進みました。現在は体力のある大手が売り急がず、長期間かけて販売するケースが増え、価格をコントロールしている印象があります。

 

一方、投資用マンションに限った供給は直近5年程度の間、年間約7000戸前後の戸数を維持しています。価格も上昇してきており、やや過熱感があるように感じます。

 

投資用マンションに関していえば、大手のシェアは減少しており、中小のデベロッパーが一般向けでは体力が続かないために、投資用の需要に流れ込んでいるようにも感じます。価格が高騰した結果として、販売価格を抑えるために1戸当たりの面積を小さくしたり、郊外の物件が増える傾向も見て取れます。

 

新築であれば物件のきれいさや、日本人ならではの「新築志向」の強さから、多少強気の家賃設定でも入居者が決まるケースは多いと考えられますが、投資対象として考える場合は、今後の予測も含め慎重に判断しなければ行けない状況であるといえるでしょう。

 

 

 

ワンルームマンション投資の落とし穴

 

ワンルームマンションへの投資を考える際に、抑えておきたいポイント・リスクを考えます。これらを見誤ると落とし穴があるかもしれません。

 

・新築でも一度人が住めば中古(新築プレミアムの落とし穴)

ワンルームマンションを投資用として分譲する会社の中には、高級分譲マンションのような立派なパンフレットを作成している会社もあります。新築分譲時の価格にはこうした資料の作成費も含めた広告宣伝費が含まれています。

 

また、先述のように新築を選ぶ入居者も多く、結果として、よほど市場相場とかけ離れない限り、最初の入居者は高めの賃料でも埋まる可能性が高いといえます。一度人が住めば中古マンションですので、入居者が入れ替わった時に同じ賃料で再入居してもらえるかどうかが重要になります。

 

・賃料の下落(需要と競合物件)

入居者の入れ替わりのことを考え、当該エリアの人口予測、賃料の周辺相場、競合物件の数など確認が重要になります。

 

駅から少し距離のある物件の場合、より駅に近いところに競合物件が建ち、その物件が同じ賃料で募集し始めると、遠いほうの物件は同じ賃料では埋まらない可能性が高くなります。長期保有するつもりでいても、賃料の下落により毎年赤字に陥るようなケースもあります。

 

・資産価値の下落(需要と周辺環境)

投資用不動産の場合、その価格は土地価格の推移よりも賃料、利回りの影響を強く受けます。賃料が下がれば当然利回りが下がり、結果として、売却しようとした時の価格も下がります。

 

売却の際、借入金の残債が物件価格よりも多く残っているような場合には、追加費用が必要になり、売るに売れないというケースもあります。

 

・家賃滞納

投資用不動産の場合、入居者からの家賃が滞納するケースもあります。サブリースしている場合には、サブリース会社が傾かない限りこうしたことはないでしょうが、個人と直接契約している、あるいは入退去管理だけを業者に依頼している場合は、こうしたリスクに備えることも必要です。

 

管理会社で賃料の督促まではやってくれても、それより先には突っ込んでくれないケースもありますので、保証会社の利用なども検討すべきです。

 

・サブリース会社からの賃料見直し要請

前回のサブリースのコラムでもお伝えしましたが、サブリースもずっと賃料を保証してくれるわけではありません。周辺の賃料が下落し、想定家賃が取れなくなったり、空室が増えてくるとサブリース会社からの値下げ要請が来る可能性もあります。

 

・管理組合の運営と修繕積立金の不足

最近の投資用マンションは、先述のように比較的小さな会社がデベロッパーであるケースが増えています。投資用マンションの場合、同じ建物内のすべての分譲住戸が投資用であることも少なくありません。

 

一般のマンションと異なり、投資用マンションでは所有者(=個々の住戸のオーナー)が管理組合の集まりに出席することも少なく、管理組合が機能していないケースも多々あります。建物管理の状況や長期修繕計画と修繕積立金の積み立て状況などに、あまり関心がないことが多いと考えられます。

 

分譲会社としても、実質利回りを落とす管理費や修繕積立金を分譲時に安く設定し、分譲後はほったらかしということにもなりかねません。

 

一般のマンションでも最近、修繕積立金の不足が問題になっています。いずれ、投資用マンションでも同じような事態に発展しかねません。管理が行き届かないマンションはいずれ、入居者からのクレームが増え、結果として賃料の下落、空室の増加、資産価値の減少を招きます。

 

 

 

まとめ

 

東京の人口も2025年ごろをピークになだらかに減少していくと予測されています。

 

東京都の中でも人口が減るところ、横ばいのところ、わずかながらも増えていくところがあるでしょう。単独世帯は今後も増加が見込まれていますが、エリアによって増加率にはばらつきがあり、減少するエリアもあると考えられます。

 

ワンルームマンション投資に関するネガティブな部分を主に見てきましたが、逆にいえば、これらのチェックポイントをクリアできる物件であれば、投資対象として検討できると考えます。

 

都心部でのワンルームマンションの供給数は少なくなっていますが、表面利回りだけで判断するのではなく、立地を厳選する必要があるでしょう。

 

郊外に広がり始めている供給状況ですが、今後の投資対象としては都心部に回帰していくと考えられます。個人的には、あえて都心部で今後希少になるであろうエリアの中古物件を狙うという選択肢が手堅いのではないかと感じています。

 

このところ投資用中古マンションの価格も高くなっています。投資タイミングの見極めも重要だと感じます。

 

<参照>

不動産経済研究所「2019年上期及び2018年年間の首都圏投資用マンション市場動向」(2019年8月6日付)

東京都政策企画局「2060年までの東京の人口推計」

東京都「東京都世帯数の予測」

 

執筆者:西山広高

 

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/bc1a6f65cdb9f529bd2d6a6b14f6dd138422af38?page=1

2020年

6月

19日

コロナ禍で住まい選びのオンライン化進む。売買・賃貸契約、住宅購入はどう変わる?

新型コロナウイルスの影響によって仕事や買い物など、さまざまな場面で「新しい生活様式」が広がりつつある。バーチャル画面を使ったモデルルーム見学やオンラインによる住まい選びセミナーなど、住まい選びにもそうした新しい動きが出始めているようだ。国や業界の対応、各企業の現状を取材した。

 

賃貸取引に続き売買取引でもIT重説の社会実験スタート

不動産業界では国が音頭をとり、コロナ以前から「重説のIT化」が進められていた。重説とは重要事項説明のことで、宅地建物取引業法では賃貸や売買の契約時に宅地建物取引士による説明が義務付けられている。 これまでは重要事項説明書という書面を使い、借主や買主に対して対面で重説が行われてきた。それがコロナ禍をきっかけに、IT化、つまりオンラインによるリモート化が一気に進みそうな状況なのだ。 重説のIT化はまず、賃貸取引で始まった。20158月から20171月まで、賃貸取引と法人間売買取引について社会実験が行われ、事前に登録した不動産会社が実際の業務でテレビ会議システムなどによる重説を実施。201710月からは賃貸取引での本格運用がスタートし、すべての不動産会社がIT重説を実施できるようになっている。 さらに201910月からは、個人を含む売買取引についても社会実験が開始された。賃貸取引と同様に事前登録した不動産会社が実験に参加する形で、2020930日まで実施される予定だ。参加事業者の募集は当初は20205月中旬までの予定だったが、コロナ禍を受けて門戸を広げる意味で当面の間延長されることとなった。 売買取引でのIT重説では、事前に不動産会社が売主と買主の双方に同意を得る必要がある。買主には重要事項説明書などの資料が郵便などで送付されるので、事前に目を通しておくことが可能だ。IT重説を実施するときには通常の重説と同様に不動産会社側から宅地建物取引士証が提示され、説明の様子が録画・録音される。また説明後は買主にもアンケート調査が行われ、国土交通省に提出することになっている。 社会実験に参加している不動産会社は売主の同意があれば、物件広告にIT重説が可能なことをPRでき、国が指定したロゴマークも表示できる。IT重説が受けられる物件かどうか知りたい場合は、ロゴマークで確認するといいだろう。 売買取引の社会実験に登録している不動産会社は、2020529日時点で475社となっており、今後も増えることが予測される。また賃貸取引については重要事項説明書などの書面を電子化する社会実験も2019年に実施された。今後も重説のIT化が進めば、自宅に居ながら簡単に住まいの契約がしやすくなりそうだ。

 

国や業界団体が感染予防対策のガイドラインを策定

重説のIT化が進められる一方で、不動産・住宅業界ではコロナ禍に対応した新しい接客方法などを模索する動きも出ている。緊急事態宣言の期間中は営業を自粛する店舗やモデルルームも多かったが、宣言が解除されたことで徐々に営業が再開され、客足も戻りつつあるようだ。 そんななか、国土交通省は不動産業界向けに感染予防対策ガイドラインを作成した。従業員の健康確保やテレワーク・時差出勤などの検討、勤務中のマスク着用の推奨といった基本的な対策をまとめたものだ。 店舗などでの接客については、来店やモデルルームへの来場はできる限り予約制とし、少人数での来店・来場を依頼するとしている。また仲介時の売買活動に関する報告は、対面ではなく電話などでも可能とするといった内容だ。 住宅業界の団体である住宅生産団体連合会も同様に、住宅業界向けの感染予防ガイドラインを策定。顧客との打ち合わせや商談はできる限り電話やメール、オンラインで行い、対面で行う場合はできる限り2m(最低1m)の間隔をとり、お茶などはペットボトルや紙コップで出すといったきめ細かな対策をまとめている。 不動産・住宅業界では感染予防に注意を払いつつ、早期の景気回復や市場活性化に向けた経済対策を自治体や国に要望しているところだ。

 

VRでの住まいづくりが体験できるセットが好評

住宅メーカーやリフォーム会社など、個々の企業でもオンラインを活用した対応が進んでいる。どのような対策に取り組んでいるのか、具体例を紹介しよう。 在宅で住まいづくりの相談ができる「おうちで住まいづくり」を4月から展開しているのが積水ハウスだ。希望の日時を予約すると、間取りや土地探し、資金などについて電話やWEBで担当者と相談できる。またVR(バーチャル・リアリティ)を使ってプランニング例などを体験できる「住まいづくり」体験セットを、希望者に無料で送付するサービスも行っている。 同社によると、住まいづくり体験セットは特に好評で、4月の資料請求は前年比で約2倍、5月はエリアによって5倍以上の引き合いがあったという。またリモートによる相談は当初は申し込みが少なかったが、企業でのリモートワークなどが普及するにつれて徐々に増えてきているそうだ。さらに6月には同社社員の自邸を動画で紹介するコンテンツをHP上で公開したり、今後は営業が分譲地や建売物件をライブ配信するなど、オンラインを活用したサービスを予定している。

 

リフォームのオンラインセミナー・相談会で集客増

東京・横浜を拠点にリフォームを手がけるスタイル工房では、以前からセミナーや相談会を行っていたが、コロナ禍を受けてオンラインでの対応に力をいれている。これまでは月2回の店舗セミナーでそれぞれ34組程度の参加だったが、オンライン化によって月に十数組の申し込みが入っているという。またオンライン相談会も新規の申し込みが月に30件程度と好調だ。

「オンラインでの打ち合わせやセミナーはお互いに時間調整がしやすく、進めやすいと言えます。また事前に質問事項や要望を整理するなど、しっかり準備して参加されるお客様が多く、こちらからのプラン提案などもスムーズです。ただ、工事の詳細を決める打ち合わせなどは、対面のほうが素材感などを直接感じられてよいという感想も聞かれました」と、同社の担当者は話している。 また現状ならではの要望として、オンライン授業用に子ども部屋をリフォームしたいといった相談もあったという。同社では今後もオンライン化を進め、モデルルームのライブ見学会なども検討しているそうだ。 このほか、新築マンションでもモデルルーム見学や商談などをオンラインで可能にする取り組みが広がっている。なかには情報収集や見学、契約から引き渡しまで、マンション購入のほぼすべての手続きをオンラインや郵送などでリモート化できるケースもある。 国や業界団体、各企業の取り組みが進むことにより、極力外出しなくても住まい選びが完結できるようになるかもしれない。不動産会社とオンラインで相談や打ち合わせをすれば、対面よりも効率的で内容の濃い話ができる場合もあるだろう。とはいえ、採光や眺望、室内空間や内装の素材、周辺環境などは、実物を見ないとイメージしにくい面はある。アフターコロナ時代には、手続きなど可能な部分はオンラインを活用しつつ、必要に応じて現地を確認することで、間違いのない住まい選びを実現するようにしたい。

 

●取材協力 積水ハウス スタイル工房

大森 広司

https://news.yahoo.co.jp/articles/d77d59674c3885b54d4f083861b93652a6b26379?page=1

 

 

2020年

6月

12日

資産家ドクター「不動産投資の嬉しい3つのメリット」

株式投資、FX、不動産投資など、さまざまな投資を自ら実践してきた医師が語る、不透明な時代を生き抜くためのお金の知識。本連載は、現役の医師で、大見医院院長の大見貴秀氏の書籍『失敗から学び続けた、資産家ドクターの投資術』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋し、医師に最も適している資産形成法を教えます。※「医師×お金」の総特集。 GGO For Doctor はコチラ

 

不動産投資のメリット(1)生命保険の代わりになる

不動産投資には大きなメリットが3つあります。保険的機能、年金としての効果、節税効果です。どんなメリットなのか、それぞれ解説しましょう。

 

まず、不動産投資の保険的機能についてです。金融機関から融資を受ける際、基本的に「団体信用生命保険」に加入することになります。金融機関からすれば、ローンの返済中に本人が高度な障害や病気で仕事を辞めざるをえなくなったり、もしくは亡くなったりすると、返済ができなくなるリスクを負うことになります。

 

団体信用生命保険は、そうした事態に備えて、ローン返済中に本人に万が一のことがあれば、生命保険会社がローンの残金を払ってくれるという保障制度です。したがって、ローンの返済契約者本人が返済途中で亡くなったとしても、保険会社が全部払ってくれるので、残された家族がローンの残債を返済する義務はありません。

 

そのうえ、不動産からの家賃収入は継続して入ってきますから、家族にとってはそれが遺族年金のような形でまるまる生活費として使えることになります。もちろん、すべての物件を売却してお金に換えることも可能です。これは不動産投資の大きなメリットだといえるでしょう。

 

 

先日、こんな話を聞きました。大規模な不動産を所有していた方が亡くなったとき、こんなに多額の借金を抱えてどうしたらいいのか、と奥さんはかなりパニック状態になったそうです。団体信用生命保険のことを知らなかったためですが、その説明を聞いたときはとても安心したと仰っていました。いまでは残された大規模な不動産から安定した家賃収入があるので、不自由なく生活できているそうです。

 

いまの団体信用生命保険は、死亡だけではなく、初期のがんや女性特有の病気になったときでも保障されるように適用が広がって、医療保険の要素も加味されています。掛け金も安く、保障も厚いので、一般の生命保険に入るよりも有利かもしれません。なお、団体信用生命保険の保険料は毎月のローン返済額の中に組み込まれていますから、別途保険料を払う必要もありません。

 

不動産投資のメリット(2)年金としての効果

 

次に、不動産投資の年金的効果についてです。

 

購入した不動産のローンを35年かけて全額返済したとしましょう。もしあなたがいま35歳だとすれば、そのとき70歳になっています。ローンを完済していますから、家賃収入はそのまま70歳以降のあなたの不労収入、つまり年金と同じことになるわけです。

 

もちろん、所有している物件は35年の間に古くなっていますが、リフォームもしくはリノベーションすれば借り手はつくでしょう。物件を所有し続けている限り、収入は確保できるのです。さらに、物件は資産として残っていますから、購入時の価格よりも価値は下がっているにしても、それを売却すればかなりゆとりあるお金を手にすることができます。

 

ローンの返済を満期ではなく繰り上げて返済すると、なお有利です。それだけ早く年金として活用できることになるからです。複数の物件を所有しているなら、その効果はより大きいでしょう。

 

たとえば、物件を2戸持っているとすると、そのうちの1つを売却して、そのお金をもう1戸の物件の繰上返済にあてれば、手持ちの貯蓄を減らすことなくローン返済が完了し、完済した物件からの収入は私的年金として役立てることができます。

 

ただし、築年数を経た物件を維持している限り修繕費用などの出費があるので、完済後の家賃収入が全額まるまる年金として使えるわけではありません。そこは注意が必要です。

 

不動産投資のメリット(3)節税効果

次に、不動産投資の節税効果についてです。

 

不動産投資で物件を購入すると、賃料収入が発生するので、毎年確定申告をしなければいけません。

 

研修医や勤務医の給与収入の他にアルバイト収入も得ているあなたなら、当然確定申告をしていると思いますが、不動産を購入して家賃収入を得ると、それが不動産所得として加算されて、翌年の申告で所得税と住民税の対象になります。不動産所得の金額は、次のように計算します。

 

「総収入金額-必要経費=不動産所得の金額」

 

総収入金額とは、賃貸の1年間の家賃収入のことです。必要経費とは、固定資産税、不動産取得税、損害保険料、減価償却費(*)、修繕費、仲介手数料、不動産管理費、税理士報酬、図書費、交通費などの経費です。

 

多くの場合、総収入よりも必要経費の金額のほうが大きくなるので、不動産所得は赤字になります。これが節税効果になるのです。不動産所得の赤字が給与所得と合算(損益通算といいます)されると、総所得の額が減るので、税金も少なくなるわけです。

 

 

たとえば、あなたの課税される所得金額が1000万円で不動産所得がゼロだとすると税率は33%なので、330万円が所得税としてとられることになります。これに対して、もしマイナス100万円の不動産所得があったとすれば、損益通算されて「1000万円-100万円=900万円」が課税される所得金額になります。900万円の税率は23%ですから、所得税は207万円。すなわち、不動産所得がゼロのときよりも120万円余り税金が安くなります。確定申告すれば、給与から天引きされて多くとられていた所得税のぶんがのちに還付金として戻ってきます。

 

このように、不動産投資をすると節税効果のメリットがあるのです。ただし、多くの人が誤解をしているのですが、節税効果は長く続くものではありません。還付金が毎年必ずあるわけでもありません。

 

なぜなら、必要経費の部分が年を経るごとに減っていくからです。物件を購入した1~2年目はさまざまな諸経費がかかるので節税効果はたしかに大きいのですが、3年目以降も同じというわけではないので、注意が必要です。あくまで、節税効果はメインとして考えないほうがいいでしょう。

 

*減価償却費=不動産の購入価格をそのまま経費として計上することはできない。その代わり、経年による価値の目減り分を 減価償却という一定の方法で減価償却費として計上する。計算は次のとおり。「建物価格×償却率=減価償却費」。償却率は 国税庁の「減価償却資産の償却率表」を参照。

 

不動産投資のデメリットを知り、 対策を考えておく

保険、年金、節税と不動産投資にはいくつかメリットがあるのですが、反対にデメリットもあることを忘れてはいけません。不動産投資のデメリットとしては、次のようなことが考えられます。

 

(1)空室リスク

 

(2)天災リスク

 

(3)管理修繕費変動リスク

 

(4)金利上昇リスク

 

(5)倒産リスク

 

それでは、一つひとつ説明していきます。

 

(1)空室リスク

 

空室リスクについては、いうまでもないでしょう。購入した物件に入居者を確保できなければ、家賃収入がありません。最初の入居者が確保できたとしても、その人が出ていったあと、次の入居者が見つからずに空室になってしまう場合があります。家賃収入はそういうリスクがあるので、不動産投資に不安を抱いている人が多いのです。私も札幌の物件は中心部からは外れていたため、一度出てしまうと数カ月単位で入居者が入らないということを経験しました。思った以上に入居者の退去は精神的なストレスなのです。けれども、心配はいりません。

 

入居者がいなくても、不動産会社が家賃を支払ってくれる「家賃保証」というシステムがあるからです。不動産会社が、毎月の家賃から手数料を引いた金額をオーナーに払ってくれます。手数料は不動産会社によって異なりますが、だいたい8~10%です。

 

たとえば、毎月10万円の家賃であればその8%の8000円が手数料として引かれて、残りの9万2000円が家賃として保証されるわけです。したがって、家賃保証があればたとえ空室になったとしても、家賃収入がゼロということはありません。ただし、すべての不動産会社が家賃保証というシステムを取っているわけではないので、不動産会社を選ぶ際には注意しましょう。

 

(2)天災リスク

 

次に、不動産には天災のリスクが伴います。地震や津波や火事といった災害は、突然にやってきます。地震がきても絶対に倒れない、津波がきても絶対に流されない、火事になっても絶対に燃えない、などという保証はだれにもできません。したがって、天災のリスクを少しでも防ぐためには、みずから地震保険や火災保険で備えるしかないのです。

 

ただし、物件選びの際、耐震性の高い物件を選ぶ、燃えにくい構造の物件を選ぶなどの配慮は必要です。

 

 

(3)管理修繕費変動リスク

 

建物は長い間にだんだん老朽化していきます。古く傷んだ建物には入居者が入りません。ですから、オーナーとしては常に修繕とメンテナンスを心がけなければいけません。そのための費用をふだんから用意しておく必要があります。

 

また、建物の管理費も5~10年ごとに上がる場合があります。それを知らずにいると、あとでこんなはずではなかったと後悔することになるので、事前にきちんと調べておきましょう。

 

(4)金利上昇リスク

 

不動産投資をするとき、金融機関から資金の融資を受けることになります。融資には金利が伴います。いまは低金利ですから融資が受けやすくなっていますが、金利は今後ゆるやかに上がっていくと予想されています。変動金利の返済を選択した場合、金利が上がると返済の支払いが増えていくので、そのリスクがあるといえます。

 

変動金利とは、金融機関の融資の金利タイプの一つで、返済の途中で市場の金利の変動に連動して金利が見直されるものを指します。不動産投資は、この変動金利で融資を受ける形になります。これに対して、返済の全期間が一定の金利で変わらないタイプを固定金利といいます。変動金利の金利上昇リスクを避けるには、ローンの返済期間を短くするなど対策が必要です。ただし、金利が上がるときは不動産の価値も上がることが多いので、不動産を売却するタイミングともいえます。その際は、選択肢の一つとして考えてもいいでしょう。

 

(5)倒産リスク

 

不動産投資には、不動産を販売した会社や管理している会社が倒産してしまったらどうするか、というリスクがあります。不動産業界は動きが激しいので、そういうケースが少なくないのです。ただし、心配はいりません。不動産会社が倒産しても、所有している不動産の権利はオーナーが持っているので、不動産を取り上げられることはありません。しかし、新たに管理会社を探す必要があります。管理会社によっては、手数料が変わる可能性があるので要注意です。

 

大見貴秀

 

大見医院院長

 

植田幸

 

資産コンサルタント 宅地建物取引士 AFP(日本FP協会認定)

 

 【記事をもっと読む】

 

大見 貴秀,植田 幸

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c40b7ebdab5ea2b4af41434a1d3afe1aa86563c2?page=1

 

2020年

6月

05日

住宅リースバックがにわかに活気づいている訳

新型コロナウイルス感染症の流行が続き、収入減などで生活資金の確保に悩む人が今後、増える懸念が高まっている。そうした状況下で、自宅を売却してそのまま賃貸として住み続ける「リースバック」事業に参入する不動産会社が相次いでいる。

 

5月からケイアイスター不動産(本社・埼玉県本庄市)が、不動産担保ローンのセゾンファンデックス(本社・東京都豊島区)と提携して参入。今月からは、埼玉県エリアを中心に住宅分譲などを展開するポラスグループでも自社施工物件を対象に事業を開始した。

 2013年からリースバック事業を展開する不動産流通フランチャイズチェーン(FC)のハウスドゥは、この分野の草分け的存在だが、2020年6月期第3四半期(1~3月)も反響数6000件弱、契約数176件で過去最高を記録。3年前に参入した中古マンション買い取り再販のインテリックスでも、センチュリー21などの不動産流通FCと連携して買い取り件数を増やしており、保有件数は今年2月末で前期末比約4割増の358件となった。

 ケイアイスター不動産が参入したのは、同じ不動産流通FCのハウスドゥやセンチュリー21がリースバックで集客力を高め、FC加盟店獲得につなげているのに対抗するため。10年後に1000店舗獲得を目指して取り組みを強化していく考えだ。  国土交通省でも、2020年度から住宅局でリースバックの調査研究事業を開始し、それに基づいて不動産会社のほか弁護士や消費者団体を加えたラウンドテーブルを設置。ガイドライン策定など市場環境の整備に乗り出す。はたしてリースバックは、住宅・宅地資産を有効利用する新たな不動産商品として普及・拡大するのか。

■リバースモーゲージは普及進まず  昨年6月、金融庁の審議会報告書案『高齢社会における資産形成・管理』が公表され、いわゆる「2000万円不足問題」がクローズアップされた。総務省が5年ごとに実施する全国消費実態調査(2014年)によると、家計資産に占める住宅・宅地資産の割合は66.6%を占めており、以前から住宅・宅地資産をいかに有効活用するかは課題となっていた。  日本では、1981年から東京・武蔵野市が自宅を担保に生活資金を融資する「リバースモーゲージ」の提供を開始。その後、民間金融機関からもリバースモーゲージを商品化したが、トップシェアの東京スター銀行でも、2005年からの累計利用件数が1万2000件にとどまっており、普及が進んでいない。

「本来、自宅を担保に生活資金を提供するのは金融機関がやるべきことで、不動産会社の仕事ではない。しかし、困っているお客さんがあまりに多いので取り組むことにした」。ハウスドゥの冨永正英常務取締役は、ハウスリースバック事業を始めたきっかけをそう話す。  リースバックの手法は不動産業界では以前から利用されてきた。1991年のバブル経済崩壊後に欧米から不動産証券化の手法が導入され、資金繰りに困った企業が含み益のある本社ビルなどの不動産を投資家に売却して資金を調達、そのまま賃貸ビルとして借りるという方法である。1997年のゼネコン危機では、大成建設が本社を置く東京・西新宿の新宿センタービルの持ち分を売却、現在も賃貸のまま利用している。

 その手法を個人住宅にも適用し、自宅を売却した後も住み続けることが可能な商品として事業化。病気や高齢者施設への入居などで、まとまった資金が必要な高齢者を中心に利用者を増やしてきた。リバースモーゲージのように申し込み時点で55歳以上といった年齢制限はかかっていないが、利用者の7割は高齢者で、残りは2006年の貸金業法の規制強化で資金繰りに困った個人事業主が多いという。 ■入居者がいつ退去するかわからないリスク

 スター・マイカは、賃貸で運用中のマンションを投資家などから買い取り、入居者が退去した後、リノベーション(大規模修繕)して売却するビジネスモデルで、買い取り時の価格競争を回避する戦略を取っている。顧客からの要望で以前からリースバックにも対応しているが、「自宅の場合、いつ入居者が退去するかがわからないのでリスクが大きい。買い取り物件全体の3~4%程度にとどめている」(財務担当役員)と一定の歯止めをかけて運用している。

 一方、インテリックスでは、リースバックを中長期視点で有効な仕入れルートと位置づけて「あんばい(安心売却)」の商品名で事業をスタート。不動産流通フランチャイズチェーン事業でハウスドゥと競合関係にあるセンチュリー21と組んで仕入れを積極的に増やしている。  「リースバックは資金力のない中小業者では事業を拡大するのは難しく、賃貸で運用中に高齢入居者が死亡するなどのリスクがあるので大手は手を出しにくい」(能城浩一執行役員リースバック事業部長)と分析。賃貸で運用した後は、マンションだけでなく戸建ても含めて自社で売却して収益化を目指す。

しかし、入居者がいつまでも退去しなければ物件を売却して収益化することはできない。金融機関がリバースモーゲージを積極的に拡大できない理由も、「長生きリスク」「不動産価格変動リスク」「金利変動リスク」の3大リスクがあるからだ。  インテリックスではリースバック利用者とは2年間の定期借家契約を結ぶが、「何回でも契約更新は可能」なので長生きリスクが生じる可能性はある。これまでは保有件数が300件台、保有総額57億円で運用できているので、市場売却以外の出口戦略は考えていないというが、先行するハウスドゥは出口戦略の多角化を進めている。

 「リースバック利用者には、(期間を限定する)定期借家契約では不安という方も多いので、普通借家契約に切り替えることにした。昨年9月に東京スター銀行とも提携したリバースモーゲージ保証事業などの金融事業も伸ばしていく」  ハウスドゥの安藤正弘社長は今年2月の2020年6月期中間決算説明会でそう表明した。  ハウスドゥでは、2013年からリースバック件数を順調に積み上げてきたが、保有総額が100億円に迫ったタイミングから、不動産ファンドへの物件売却などに取り組んできた。今年3月末の保有物件は330件、保有総額も53億円とピークの半分程度に抑えている。

 その一方で積極的に増やしているのがリバースモーゲージ保証などの金融事業だ。常務取締役の冨永氏が「一般消費者への資金提供は不動産会社の仕事ではない」と言うように、本来なら金融機関のリバースモーゲージが利用できれば問題ないのだが、金融機関にとっては不動産価格変動リスクへの対応が難しい。 ■リバースモーゲージを伸ばすうえでの壁  筆者が1年ほど前に東京スター銀行を取材したときも「リバースモーゲージを伸ばすうえで、最も困っているのが不動産担保評価。住宅金融支援機構の住宅融資保険が利用できるのなら、もっと取り扱いを増やせるのだが……」(ローン推進幹部)との悩みを聞いていた。

ハウスドゥのリバースモーゲージ保証は、不動産会社のノウハウを生かして不動産価格変動リスクを担保する保証を提供する。2017年の大阪信用金庫をはじめ信金を中心とした12金融機関と提携し、トップシェアの東京スター銀行もハウスドゥの保証を利用することにしたわけだ。  ちなみに住宅金融支援機構の住宅融資保険は、1955年に成立した住宅融資保険法に基づいて金融機関が提供する住宅ローンが不測の事態で事故になった場合、担保物件売却後の未回収元金を保険でカバーする制度だ。

 同機構では2009年からリバースモーゲージの仕組みをまねて、高齢者向けに融資期間中は金利だけを返済して最後に元金を一括返済する住宅ローン「リ・バース60」を商品化。2017年からは住宅融資保険制度を適用して自宅を売却して債務が残った場合でも返済が免除されるノンリコース型の提供を始めて、一気に融資件数を増やしている。  この住宅融資保険をリバースモーゲージにも適用できないかどうかを住宅金融支援機構に確認したが、「法律では資金使途が住宅に限定されており、一般的な生活資金を提供するリバースモーゲージなどには適用できない」と回答。資金使途の拡大の可能性についても「もともとの法律の趣旨が、住宅の建設等に必要な資金の融通を円滑にするのが目的であり、資金使途を広げるのは難しいのではないか」との見解だった。

リースバック保証協会が始動  今年1月、一般社団法人リースバック保証協会が設立された。国土交通省が2020年度予算にリースバックの調査研究事業を盛り込むことになり、住宅局住宅政策課からヒアリングを受けたハウスドゥが国への要望を取りまとめる業界団体が必要と判断して準備した。代表理事にはハウスドゥの冨永氏が就任したが、まだ本格的な協会活動は始まっていない。  国交省では現在、調査研究事業の委託先を選定中で、リースバック市場の状況把握もこれから着手する段階だ。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行で、生活資金に困窮した高齢者を中心に、今後はリースバックの利用が拡大することも見込まれる。

これまでにリースバックの利用件数も多くはないので、何らかのトラブルが発生したといった話は聞こえていないが、リースバックの賃貸借契約はほとんどが2~3年の定期借家契約となっている。賃貸契約更新は何度でも可能で、自宅の買い戻しもできるというが、契約更新時に条件見直しなどがどのように行われるのかといった問題もある。  リースバックの買い取り条件も、ハウスドゥでは現時点での市場価格の7割を基準にしているが、これも事業者ごとに確認する必要があるだろう。

 一方、事業者にとっては、今後、急速に高齢化・人口減少が進むなかで、リースバックやリバースモーゲージの需要が拡大すれば、不動産価格変動リスクの増大にどう対応するかが重要な課題になるだろう。65年前に国が住宅ローンの元金回収を保証するために住宅融資保険法を制定したように、個別の事業者だけでカバーするのは難しいのではないか。  ハウスドゥが業界団体名をリースバック保証協会としたのも、業界全体で不動産価格変動リスクを保証する仕組みをつくりたいとの思惑があるのかもしれない。住宅金融支援機構のリ・バース60も、ノンリコース型を投入したとたんに利用件数が増えたように、住宅・宅地資産を有効利用するための政策も必要だろう。

千葉 利宏 :ジャーナリスト

https://news.yahoo.co.jp/articles/9dd2290b9f2e3e90140297197c6327138481fdd1?page=1

2020年

5月

28日

コロナで「マンション価格が大暴落する」は本当か?新築・中古で予測する

こんにちは。マンションブロガーの、のらえもんです。“湾岸の妖精”である私は東京に緊急事態宣言が出されてから、外出が極端に少なくなった日々を過ごしていますが、皆さんどうお過ごしでしょうか?  お仕事も基本的に在宅勤務に切り替わっていますが、先日出社したときには、あまりにも人がいない街にショックを受けました。5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたが、一刻も早く、街に人があふれる日常が戻ってくることを、切に願う毎日です。

 

コロナ禍で不動産が大暴落?

 さて、結婚したとか子供ができたとかの理由で、東京でマンション探しをしていた若者にとっては、コロナ禍は大変ショッキングな出来事だと思います。 「緊急事態宣言の後、凍結した家探しはいつ再開すればいいの?」 「いや、今後コロナ自体が終わっても不動産価格がどんどん下落していくことはないのか? もうちょっと待ったほうがいいのでは…?」  そんな不安がつきまとうかと想像します。たしかに、不動産価格が暴落するのが確定しているのなら、家を購入するのは待ったほうが良いかもしれません。そのへん、どうなのでしょうか? 私は巷でうわさされる見方とは違った考え方をしています。

 

新築マンションはなかなか下がらない

 中学校公民の授業で、「価格は需要と供給の交点で決まる」と習ったはずです。そう、需要曲線です。感覚的にぴったりだと思います。  需要が少なくなれば、価格は下落する……コロナで景気が悪くなれば、買う人はいなくなり、需要が消失する。そうなると価格が暴落する。そう多くの人が考えているし、一部週刊誌やネット記事を見てもそう書いてあって不安になりますよね。  しかし、現実の世界では教科書で書かれているような単純な需要曲線のみで価格は動きません。不動産という商品は、閉店までに半額にしてでも売らないといけないスーパーの総菜ではないのです。

 

不動産の価格はどう決まるのか?  売り手が困っていなければ、価格を落としませんし、赤字額で在庫処分……というのは聞こえがいいのですが、そういう商品はもともとの原価が非常に低く設定されています。  しかし、一般的に新築マンションの原価は75~80%前後であり、残り20%から広告宣伝費と販売管理費と利益が出るという世界なのです。  こうなると、売れ行きが悪くなってもなかなか値下げができない、ということがわかります。リーマンショックの時には20%、30%下がったマンションもあったじゃないですかって? あの時は販売主であるデベロッパー自体が存亡の危機にあり、投げ売りしてでも現金化しないと会社が破滅したからです。  今回は金融機能が正常であり、国もコロナ関連死をなるべく防ぐように金融機関に働きかけているので、カネ詰まりによる投げ売りは小さいデベロッパーならともかく、人気の大手になると起きそうにありません。

 

とはいえ、中古マンションは多少下がるかも

 一方で、中古マンションは少し事情が異なります。中古マンションは取引事例法といって、同地域から似たような条件のお部屋の成約事例と比較して価格が決定されるからです。原価という概念はありません。  中古マンションの売主は個人で、多くの方は住宅ローンを抱えていらっしゃいます。そのため、心理的には住宅ローンの残債+諸費用を乗っけた以上の価格が売り出しのスタートラインとなります。取引が極端に多い東京湾岸エリアや武蔵小杉などは、ほぼデータが揃っていて取引相場が決まっています。  売主のみなさんはもちろん相場以上を狙っているのですが、売主の中でも事情を抱えた人たちがいます。相続だったり、離婚だったり、はたまたは事業で抱えた負債だったり。  こういった切羽詰まった事情があると、コロナによる不景気などで少しでも売れ行きが悪くなると、相場よりちょっと下で売ることになります。この取引が事例として掲載されて、次の取引の参考データとなるのです。  こうした売り急ぎデータが増えていきますと、相場が下落し始めます。もちろん、中古マンション取引が少ない地域でしたら、こうした相場固めを経ずに一気に価格が落ちる可能性もありますが、売る人も買う人も多い東京でしたら残念ながら、落ちるとしても徐々に、ということになります。といっても下げ幅は1年間で最大10%程度かと考えております。

 

それでは購入を待つべきなのか?

持ち家というものは、「資産」「耐久消費財」、そして「自分と家族が暮らす場所」という3つの要素が絡み合っています。  コロナで失業があるかも? と思っている方はいま無理して買うことはないでしょうけど、人生あまり先延ばししても、新居での家族との生活、そこでの積み重ねという時間は取り戻せません。  今すぐ買う必要がないなら、とりあえず数か月程度待ってみてお目当てのエリア相場がどう変化するか見たらいいと思います。でも、かなり急いでいるようであれば、さほど待つ必要性は感じません。  5%の下落は心理的に大きいものですが、金利0.6%で住宅ローンを借りると、5%の下落は4年8か月の元本返済に相当します。お金で時間を買うと思ったら、さほど悪くない取引ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  相場の下落だけではなく、自分自身と一緒に暮らす人の希望条件のすり合わせなどをこの際しておくと、動き出すときにスムーズかもしれませんね。家選びのつまづきは、価格だけの問題ではなく、価値観の違いなどによってもひきおこされます。

<TEXT/のらえもん> bizSPA!フレッシュ 編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/14faf40c9408ebb86e613e6eb13afbfa04884f72?page=1

2020年

5月

22日

相続時の10年以内の登記が義務化される!?「所有者不明土地」関連の法改正の行方は?

「所有者不明土地」とは、文字通り「誰が持っているのか分からない土地」のこと。今回は、「所有者不明土地」がこれから引き起こすと予想されている問題と、その解決のために行政が進めている対策について詳しく解説します。(ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘)
【※前回の記事はこちら!】>>最近よく耳にする「所有者不明土地」とは?

 

「所有者不明土地」について今後、予想される問題とは

 わが国の人口ピラミッドを見たときの最大の多数派である団塊の世代といわれる方たちが、後期高齢者である75歳を迎えるのが2025年前後です。一般的に後期高齢者になると、痴呆症の発症や要介護になる確率が高くなり、意思表示がしづらい状況に陥りがちです。

 そして、超高齢社会が進展する中、相続も増加することが予想され、2030年前後に多死社会・大量相続時代が訪れるといわれています。
【※関連記事はこちら!】>>「相続」で必要な書類、手続きのスケジュールを解説!

 相続の連鎖によって「所有者不明土地」が、より大量に発生する可能性が高くなりますから、この問題の解決が喫緊の課題になっています。

 一つの「所有者不明土地」を解決するためには、所有者の探索をすることになります。そのためには多大な時間と費用が必要になります。「所有者不明土地」が大量に発生すれば、事態の深刻化が避けられそうにありません。

先行して改正された「土地基本法」が2020年4月1日施行に

 2020年4月、土地の利用や活用に関する指針を示した「土地基本法」が30年ぶりに改正され、「所有者不明土地」問題の解決に向けた事実上のキックオフとなりました。

 土地基本法はバブル経済真っ最中の1989年(平成元年)にできた法律でしたから、土地活用を促進することを前提に、土地所有者の“権利”が中心的に示されていました。

 それが2020年(令和2年)に改正された土地基本法では、「所有者不明土地」問題における、管理不全になっている土地を解消するために、土地所有者の”権利”だけでなく、“責務(責任と義務)”も示されることになりました。

 どういうことかというと、わが国の所有権はとても強い権利で、たとえ隣近所の土地が管理不全になって迷惑を掛けていても、所有者に無断で活用したり、立ち入ったりすることができないことになっています。

 しかし、このような土地をそのまま放置すると、近隣住民が多大な迷惑を被り、ひいてはその地域全体の資産価値を下げてしまうような状態に陥ってしまうかもしれません。

 こうした問題の解決のためには……

・所有者が土地の利用・管理について第一次的な”責務”を負う
・所有者による土地の利用・管理が困難な場合には、近隣住民や地域コミュニティ等が行う利用・管理には公益性があると考えられ、そのために所有権は制限され得る
・国や地方公共団体は、利用・管理の促進策やその法的障害の解消のための施策を講じるべきである

といったことが必要で、今回の改正に盛り込まれています。

 そうすることにより、管理不全の陥っている空き家や空き地に対応していこうとしているわけです。

 

「所有者不明土地」問題の解決に向けたこれまでの国の動き

 これまで「所有者不明土地」問題に対して、さまざまな議論が行われてきました。

 たとえば、2018年(平成30年)に「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」(所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議)が決まり、法務省や国土交通省など関係省庁で「人口減少社会における土地に関する基本制度の在り方」等について検討を進めています。

 そして、同年11月に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の一部が施行されました。

 内容としては、登記名義人として記載されている所有者が死んだ後、長期間にわたって登記されていない土地があった場合、登記官が職権を用いて、亡くなった所有者の法定相続人を探した上で「長い間、相続登記未了であること」などを登記に付記して、法定相続人に登記手続きを直接促すことができるようになりました。

 ただ、「所有者不明土地」問題を解消するためには、まだまだ必要なことが山ほどあります。

 問題解決をより一層進めるため、2019年(平成31年)3月より法務省にて法制審議会-民法・不動産登記法部会が立ち上がり、議論を経て2019年12月3日に「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」として公表されました。パブリックコメントを受けて、2020年夏頃までには最終試案が出され、秋の臨時国会での法案成立を目指すことになっています。

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正法案のポイントは?

「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」 の中身を覗いてみましょう。

 まず、「所有者不明土地」問題の根本的な原因である「相続等による所有者不明土地」の”発生を予防”するための仕組みづくりとして、不動産登記情報の更新を図る、としています。

 具体的には「相続時の登記を義務化すること」を挙げています。

 また、「所有者不明土地」の”発生を抑制”するため、「土地所有権の放棄」や、遺産分割を10年以内に行うなど「期間制限の設定」などが検討されています。

 そして、「所有者不明土地」を”円滑かつ適正に利用”するための仕組みづくりとして、「共有関係にある『所有者不明土地』を利用できるようにする方策」が考えられています。

 具体的には、共有を解消しやすくするための、民法の共有制度の見直しです。この件は2021年度の「住生活基本計画」でも、「老朽化マンション」が主な議題に上がっていることから、改正が求められています。

 また、所有者不明土地の管理を合理化するために、現行法にはない「特定の財産のみを管理する制度」が検討されています。このほか、近隣の土地の所有者が境界の確定や確認などをする際に「所有者不明土地」を利用しやすくするためのルール改正も提言されています。
【関連記事はこちら】>>「権利未登記」「違法建築」「境界未確定」など”不動産の売却”でよくあるトラブルの解決法とは?

 まとめると……

1.相続等による所有者不明土地の発生を予防するため「相続登記の義務化」を進め、不動産登記情報の更新を図る

 

2.相続等による所有者不明土地の発生を抑制するため「土地所有権の放棄」や「遺産分割の期間制限」などを設ける 

3.所有者不明土地の利用について円滑化かつ適正化を図る
・所有者不明土地の共有制度を見直す
・所有者不明土地の財産管理制度を見直す
・所有者不明土地を近隣地の住民が使えるように「相隣関係規定」を見直す 以上の事柄は、執筆時点(2020年4月)では現在進行形の話なので、変更されることも予想されます。

 なぜなら、改正される法律は、民法(物権法、相続法)及び不動産登記法など非常に多岐にわたります。また、改正されると、その後の生活に大きなインパクトを持つことになるからです。

 次回からは、「所有者不明土地」の具体的な4つのケースについて、お伝えします。

佐藤益弘

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200521-01110621-diamondf-bus_all&p=1

2020年

5月

15日

マンション投資に失敗した会社員が損切りどころか追加で2戸買った理由

不動産投資についてさまざまな情報が飛び交っている。専門誌『家主と地主』編集長の永井ゆかり氏は、「不動産投資で成功するかどうかは、情報の集め方にかかっている。失敗する人の多くは、正しく情報収集できずセールスマンの話を鵜呑みにする」という――。

 

 ※本稿は、永井ゆかり『1万人の大家さんの結論!  生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。

■1万人大家さんの「知恵」による12カ条

 私は、これまでに延べ1万人の家主に取材してきた。経営が順調な家主たちは、前の職業でのさまざまな経験を「知恵」に変えて賃貸経営に生かしている。彼らの賃貸経営に取り組む姿勢や具体的な仕事のやり方、賃貸経営の哲学を、家主の具体的な業務の流れに沿って落とし込み、「家主業の極意12カ条」にまとめてみた。

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第1条 情報は 多方面から 集めよう
第2条 バラ色の セールストークに トゲがある
第3条 割安の 不動産には ワケがある
第4条 買う前に 現地訪問 怠るな
第5条 余裕なき 収支計画 回避せよ
第6条 借金の 重み知らずに 借りちゃダメ
第7条 入居者の ニーズ把握し 部屋づくり
第8条 業者は 家主の大事な パートナー
第9条 法律や 税務の知識 身につけよ
第10条 売却は 事業拡大の カギ握る
第11条 家主業 投資ではなく 事業なり
第12条 人生に 幸せもたらす 家主業
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 家主業を始めるにあたり、最初の一歩となる事前準備、物件の選定や購入など、初期の段階で入門者が警戒するべきポイントを説明したい。

■不動産会社主催のセミナーは営業ツール

 新しく何かを始めるとき、まずはそのテーマに関する情報を、さまざまな角度から幅広く集めるだろう。情報の集め方次第で結果が大きく変わってくるのが家主業である。今、「不動産投資」に関しては情報があふれているといっても過言ではない。書店に足を運べば、不動産投資専用の書棚はあるし、インターネットで「不動産投資」と入力し検索すれば、もの凄い数のサイトやブログ、動画、SNSのページが出てくる。投資や資産運用の分野で、不動産投資はかなり大きな存在感を示すようになっている。

 一方で、その情報を一つ一つ見ると、さまざまな投資手法がある。不動産といってもさまざまなタイプがあり、どの不動産をどんな方法で購入したらいいのか、迷ってしまうのではないだろうか。そこでまずは専門家の話を聴こうと考え、収益不動産サイトに掲載されている不動産投資セミナーに参加して情報を集めるビギナーは多い。

 セミナーに参加することは確かに情報収集の一つの手段である。ただし気をつけなくてはいけないのは、そのセミナーの多くは不動産販売業者が主催しているということだ。そのことをきちんと理解して参加するのであれば問題はないが、そうでない場合、販売業者の上手なセールストークに乗せられ、不本意な不動産購入をしてしまうケースもある。

 そういう人は、実際には1つか2つ程度のセミナーに参加しただけで決めてしまうのだ。多少のリスクがあっても、買いたくて仕方のないビギナーは、販売会社に「大丈夫、あなたなら買えますよ」などと言われると舞い上がってしまうからだろう。不動産の世界は金額が高いモノを扱うだけに、玉石混交だ。もちろん良心的な不動産販売会社もある。その良心的な販売会社を見つけ出せないと、不動産を購入できても後から苦労する羽目になる。

■成功した家主は数十冊もの書籍を読んでいる

 だからこそ情報は多方面から集めることが重要だ。まずは不動産投資と名の付く書籍は片端から読もう。うまくいっている家主たちは基本的に数十冊は読んでいる。これまで取材した家主の中には「読んだ本は100冊を超える」という人もいた。収益不動産を購入するときにどんなことをしたらいいのか、どんなことに注意したらいいのかなどは、先輩たちが経験してきたことや専門家によるアドバイスなどで知ることができる。

 ただし、不動産投資本もまた、玉石混交であることは留意しておきたい。特に近年は不動産を購入してまだ5年も経っていないような人が、まるで自分は「成功者」のように本を出版しているケースが目立つ。家主業はたった5年くらいではうまくいったかどうかは正直わからない。むしろ買った当初は儲けやすく、徐々に収入が減り、借り入れの返済が終わったころ、また増えていく傾向にあるのだ。家主歴が10年未満の人が書いた本については、参考程度にとどめておいた方が無難だろう。

 

■家主ネットワークを作るのも有効だ

 情報収集の方法は、販売業者によるセミナーと書籍ばかりではない。近年全国的に増えている「家主の会」に参加してみるのも有効だ。「家主の会」とは、家主が主催する家主のための仲間づくりの会であり、弊社が把握しているだけでも全国に100近くある(本書の「全国の主な家主の会」参照)。

 講師は、弁護士や税理士、建築士など会のメンバーの顧問先の士業の専門家、自身の賃貸経営を語る家主、新しい商品やサービスの紹介及び市場トレンドなど不動産業に関連する業者が話すケースもある。

 最も特徴的なのは、家主自身による講演が多いことだろう。家主自身による成功談や失敗談、自らの経験に基づいた経営姿勢などのリアルな話は大いに刺激になる。勉強会を行う会では、たいてい懇親会も行っている。会に参加し仲間をつくることで、家主同士だからこそ入ってくる情報が得られる。同じ家主として悩みを相談できる人たちもいる。仲間の輪をつくることで、良心的な不動産会社を紹介してくれたり、金融機関を紹介してくれたりもする。こうした家主のネットワークは貴重だ。

 こうして情報収集のルートを増やしていくと、今度はさまざまな投資手法があって迷ってしまう人も多い。迷ったときは、自分が収益不動産を購入する目的を明確にすること、そしてその情報が本当に有効なモノか、怪しいモノかを見極める力が重要になってくる。その2つさえきちんと持っていれば、大きく失敗することはない。

■家主仲間の存在は「情報の鵜吞み」を防止できる

 不動産情報は、基本的に不動産会社から得るケースが多い。新築であれば、新築不動産の販売会社、中古であれば仲介会社か、再販会社だ。家主の仲間がいない人の場合、不動産について教えてくれる人は不動産会社の営業マンしかいないため、つい彼らの話を鵜呑みにしてしまいがちだ。

 「自己資金ゼロでも買えます」「初心者で不動産について知らなくても大丈夫。私たちがサポートします」「ここでしか手に入らない物件情報があります」などなど……。営業マンはこうしたトークで不動産販売の営業をする。この3つのトークだけで、不動産購入の障壁は低く、素人でも簡単に始められるものだと思ってしまう人も少なくない。

 しかし、ここまで本論を読んだ読者の方たちであれば、これらのセールストークに問題があることに気づくだろう。

 

■セールストークを信じ切ってしまった会社員の末路

 ここで、不動産会社の営業マンのセールストークを真正直に信用して大変な目に遭った人の事例を紹介したい。投資用ワンルームマンションを営業マンに言われるがまま買い進めて、結局、損切りで売却したサラリーマンの笹川さん(仮名)だ。

 不動産会社の営業マンに「1つしか持っていないから不安定になるんですよ」と言われ、3戸購入してしまったことを後悔しているという。

 悪夢の始まりは2006年。新築分譲マンション業者から電話営業されたことがきっかけで、1戸購入したことだった。「老後対策として、また節税対策としてもいい商品ですよ」と勧められて契約。営業マンに言われるがままローンを組み、その後の賃貸管理は販売会社の系列の管理会社に任せることにした。購入当初は新築とあって家賃も高く、入居も安定していた。収支も毎月の手残りこそわずかだったが、マイナスになることはなかった。

 ところが、数年経つと周辺に新築ワンルームマンションが多く建ったことから、空室期間が長くなり、家賃の値下げを余儀なくされ、その結果、収支はマイナスになった。これからどうすればよいのかと担当の営業マンに相談した。そこで、冒頭のセリフを言われ、2戸目と3戸目を購入してしまったが、結局やりくりするのは大変だった。

 担当の営業マンに電話すると、すでに退職していた。サラリーマンとしての収入があるので、不動産収支のマイナスを何とか補填することはできたが、退職後の見通しに不安を感じ、結局、売却を決意した。損切りせざるを得なかった笹川さんは、自らの安易な不動産投資に猛省したという。

■「高利回り物件」の8つの理由を押さえよ

 不動産投資家が書いた書籍やブログなどでよく出てくるのが、「高利回り」という言葉だ。

 「利回り」とは、投資額(不動産購入額)に対するリターン(家賃収入)の割合のことで、収益性の目安となる。当然、「高利回り」とは「高収益」ということで、不動産情報にある「高利回り物件」という文字は、収益不動産を購入しようとする人たちの目には魅力的に映る。高利回り物件とは、価格が安い割に高い家賃収入が得られる物件のこと。つまり、いかに割安な物件を探せるかどうかがポイントというわけだ。

 まず、留意しておきたいのは、不動産に限らず、割安なモノには当然割安な理由があること。その理由をしっかり押さえておかないと、買った後に「こんな物件買わなければよかった! 」と後悔することになる。価格が安い理由は、買いたいと思う人があまりいない、つまり人気がないということだ。そこで、まず不動産で人気がない物件の特徴を挙げてみよう。

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1 建物が古い
2 立地が悪い
3 空室だらけで家賃収入が少ない
4 借地権が付いている
5 土地に接道がなく建て替えができない
6 事故物件である
7 特殊な物件である
8 売主に事情がある
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 主に以上の8つの理由がある。ここでは、最も高い利回りを狙える可能性がある物件の1つ、建物が古い物件を購入する際の注意点について、説明しよう。

 

■今年4月に改正された「契約不適合責任」とは

 建物が古い物件は、立地が良い場合でも古いというだけで家賃を低く設定していることが多いため、リフォームにより高付加価値物件に再生しやすい。「高利回り投資で成功した」と標榜している人の多くは、築年数の古い物件を購入し、リフォームにより内装の見た目を良くして家賃を上げて貸している。リフォーム費用を抑えるために、家主自らDIYで壁紙や床材を張り替えたり、塗装したりするケースもある。

 ただし、屋根や躯体に問題がない建物であるかどうかを必ず確認しなくてはいけない。近年は「ホームインスペクション」と呼ばれる建物診断が注目を集めている。アメリカでは、不動産取引時に行うことが義務化されていて、日本でも、2018年4月に、中古住宅の売買時に、不動産業者がホームインスペクションについて買主や売主に対して説明することや、ホームインスペクション業者(住宅検査事業者)を紹介・斡旋(あっせん)できるか告知することが義務化された。

 ホームインスペクションは有料ではあるが、行っていない建物の場合は、自己負担してでも行った方がいい。買う前に問題の有無が明確になり、リスクを回避することができるからだ。

 また、古い建物にはシロアリ被害や雨漏りといったトラブルがあるケースも多いため、「契約不適合責任」についても知っておくべきだ。「契約不適合責任」とは2020年4月に民法が改正される前まで「瑕疵(かし)担保責任」という名称で使われていたもので、売買契約で商品に品質不良や品物違い、数量不足などの不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことだ。

 これまでは例えば、シロアリ被害や雨漏りなど、売買の目的物に、買主が発見することのできない「隠れた瑕疵(欠陥)」があるときに、買主は売主に対し、損害賠償や契約の解除を請求することができた。だが、法改正によって、買主が契約以前からシロアリ被害や雨漏りなどの欠陥があることを知っていた場合でも売主は責任を負う。さらに、追完請求(修補、代替物引渡等)や代金減額請求ができるようにもなった。

 ただし、契約不適合責任は瑕疵担保責任と同様に任意規定のため、売主が宅建業者の場合などを除き、これまで通り売主と買主の合意があれば、契約不適合責任を免責にしたり、契約不適合の範囲を限定しても法的に問題はない。契約の内容については注意が必要だ。

■「高利回り」は収益性の目安に過ぎない

 こうした契約的な部分以外でも、古いアパートや一棟マンションで気をつけなくてはいけないのは、退去が発生したときだ。購入当初は、空いている部屋のリフォーム費用を予算として組み入れて収益性を考えるが、購入後、退去が発生すると、退去した部屋もそのままの状態では貸しにくいことから、リフォームをする必要が出てくる。この退去のタイミングが重なると、予想していなかった出費がかさみ、たちまちリフォーム費用が足りなくなる。

 利回りは、あくまでも不動産の収益性の一つの目安に過ぎない。自己資金をどのくらい準備できるのか、収入だけではなく、支出の金額や内容を試算し、キャッシュフローを十分考慮して買うことが必要だ。



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永井 ゆかり(ながい・ゆかり)
家主と地主』編集長
全国賃貸住宅新聞社 取締役。1975年、東京都生まれ。日本女子大学卒業。98年、「亀岡大郎取材班グループ」に入社。住宅リフォーム業界向け新聞、ベンチャー企業向け雑誌等の記者を経て、賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」編集長、賃貸住宅業界向け新聞「全国賃貸住宅新聞」編集長、2004年、全国賃貸住宅新聞社取締役に就任、現在に至る。新聞、雑誌の編集発行の傍ら、家主や不動産会社向けセミナーでの講演活動を行う。本書が初の著書となる。2児の母。
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『家主と地主』編集長 永井 ゆかり

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200515-00035336-president-bus_all&p=1

2020年

5月

08日

「不動産投資で節税」は危険 営業マンのセールストークが示す節税の真相と本末転倒な結末

収益物件を販売する不動産会社の営業マンのセールストークには、

「老後の年金になると思っていかがですか」
「団信加入で生命保険の代わりになりますよ」

「節税ができますよ」

といったものがあります。

どれもウソではありませんが、その言葉を鵜呑みにして何も検証せずに購入してしまうと、

・ 購入後に大きく物件価格が下がる
・ 思ったように収益が上がらない

などと、後悔することになります。

なかでも、節税目的で不動産投資をするのは、特に危険です。

不動産会社の営業マンが言う節税とは

不動産投資における節税と言えば、

・ 相続税
・ 所得税

・ 住民税

といった節税がありますが、不動産会社の営業マンが言う節税とは「所得税・住民税」の節税です。

ここでは法人ではなく、個人で給与収入がある人を例にあげてお話します。

個人で収益物件を購入し、家賃収入が発生すると、

年間の収入から経費・減価償却を引いた収益=所得
となり、所得を申告することになります。

マイナスの場合は、損失として申告することができます。

不動産賃貸業を個人で行う場合は、その不動産所得と給与所得を合算することができます。

また、損失も同様に給与所得と合算することができます。

これを「損益通算」と言います。

■損失が出た場合
損失が出た場合は、給与所得から損失分がマイナスとなります。

そのため確定申告すれば、年末調整で支払った所得税・住民税が還付され、節税ができるという訳です。

節税してお金が戻ってくるのは嬉しいものです。

特に収入が多く、所得税・住民税の支払いを高額だと思っている人に、この節税というキーワードは効くわけです。

節税は最初の1年だけ

この節税スキーム、実は1年目だけしか効果はありません。

例えば、1800万の新築ワンルームを金利2%・フルローン・35年で物件を購入したとして考えてみましょう。

・ 毎月の返済 … 約6万
・ 家賃収入 … 月7.0万

・ 管理費・修繕積立金 … 月1.2万

・ 賃貸管理費 … 0.3万

購入諸経費として、

・ 登記費用25万
・ 不動産取得税15万

・ 減価償却20万

程度とします。

新築ワンルームの場合は、デベロッパーから直接購入するので仲介手数料などはありませんが、仲介手数料は経費には参入できません。

■初年度と2年目以降の節税効果
初年度の収支は、

年間収入84万 - 経費18万 - ローン返済72万=-6万と購入諸経費他-60万、-66万となります
1年目は給与所得より、不動産賃貸業の損失-66万を引くことができたので、大きな節税効果がありました。

しかし、2年目は同じ条件だと、損失6万と減価償却20万の-26万だけとなります。

初年度は大きな節税効果がありますが、2年目以降は節税効果が減ってしまいます。

 

節税目的の不動産投資が危険な理由

年間数万円の節税のために、不動産投資で損を出すという考え方は実は非常に危険な考え方です。

本来は、不動産投資ではきちんと利益を出し、出た利益に対して節税を行うべきです。

損を出して節税するということは、不動産投資自体に失敗している可能性が高いと言えるのです。

せっかく不動産投資をするのに、節税できても最終的に損をすることになれば本末転倒です。

今回例にあげた新築ワンルームの場合、新築プレミアムで物件価格も賃料も高い状態にあります。

最初は空室率も少なく、賃料も高い状態をキープできると思いますが、築年数が経てば家賃は下がり、周りに新築でもできようものなら空室期間も長くなります。

■年間家賃が毎年1%下落した場合
例えば、年間家賃が毎年1%下落すると考えると、10年後の年間収益は大幅に減ることになります。

1年目は不動産の損失は-6万でしたが、10年後の家賃は6.3万まで下がり、年間の収入は-14.4万。

このときの物件価格は、収益還元法で利回り7.0%で売れるとすると、年間75.6万÷0.07=1080万と10年で720万も下がってしまいます。

30年後には、5万くらいになると考えると利回り8.0%で売れるとしても750万。

最終的に利息を含めて2500万程度返済して、750万の物件を手に入れたということです。

■年間数万円の節税のために「1750万」も損をする
年間数万円の節税を行うために、1750万も損をすることになります。

こういった物件を買ってしまうと資産を増やすどころか、資産を減らすことになってしまいます。

やはり、不動産投資では、節税目的で物件を購入するのではなく、まずは利益の出せる物件を購入することが大事だと言えます。

利益を出した上で節税を

税金を払うということは、不動産投資で利益を上げているということです。

節税目的の不動産投資は、損をして少ない還付金を得ているだけで、資産は目減りしていると考えるべきです。

やはり、不動産投資では利益がきちんと出る物件を購入し、資産を積み上げていくべきであり、その上で経費を計上したり、節税を検討すれば良いと思います。

これから不動産投資を始める方は、節税ではなく、まずは利益を上げて納税することを目標に物件選びをしてください。

それが不動産投資で成功するための近道です。(執筆者:山口 智也 / 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・米国不動産経営管理士(CPM) )

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200508-00010001-manetatsun-bus_all&p=1