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2021年

3月

19日

コロナショック真っ只中に「不動産」で独立してしまった元日本No.1営業マンの“涙と笑顔の理由”

2020年の2月頃から日本でも猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、飲食店を始め様々な業界に大打撃を与えることになった。この渦中で、不運なことに独立・起業するタイミングだった人はその後どうなったのか。

 

本記事では、中古ワンルーム不動産販売業で日本No1のセールスを誇り、2020年2月に満を持して同業にて独立した天田浩平氏にその顛末と不動産業界の動静を取材した。(取材・文:遠山怜)

 

危機は緊急事態宣言とともにやってきた

「天田さん、正直うちはもうやばいよ。このまま緊急事態宣言が続いたら、もう持たないよ」。電話口でそう話すのは、同じく中古ワンルーム不動産業界で活躍する顔なじみの社長だ。

 

2020年2月頃から日本にも忍び寄ってきたコロナウイルス感染症は、蔓延当初こそ中国のいち地方で起きた対岸の火事だったが、3月も末頃になるといよいよ日本でも世間の認識に危機感が混じり始めた。そして、4月に緊急事態宣言が発令されると、様相は一変した。

 

不動産業界に暗い影を落としたのは、何と言っても宣言下における各金融機関の融資制限、操業停止の判断だ。不動産を売れない状態に各社追い込まれていたのだ。

 

また、金融機関が動かないとあれば、会社自体も商品である不動産の仕入れもできなくなるため、売る商品もいずれは底を付く。仕入れと販売の両輪が止まれば、その先に困窮が待っているのは当然のことだった。

 

電話の向こうの社長は続ける。「でも天田さんはラッキーだよ。会社は実働はしてなかったんでしょ?ダメージはまだ少ないよ」。事実、私の会社はその年の2月には創業していたが、秋口までは新卒からお世話になっていた会社で社員として営業を続けると決めていたのだ。

 

仕入れた物件もなければ、給料を支払うべき社員もまだいないため、かかる費用は事務所の家賃程度で済んでいるのは不幸中の幸いだ。

 

しかし緊急事態宣言が延長され金融機関の引き締めが続くならば、中古ワンルームマンション販売で経営者になる夢は消えるだろう。独立すると会社に宣言した以上、このまま残留することも難しい。

 

それならばいっそ、事の始末として不動産投資の講師にでもなろうか。自分がこれまで積み上げてきた実績を思えば、それは心が揺れる選択肢だった。

 

最高の状態で独立したはずだったのに

 

遡ること3年前である2018年、営業活動の一環でお客様に会うたびにあることを言われていた。「で、天田さんはいつ独立するの?」。

 

その当時、私は中古ワンルーム不動産販売の営業マンとして業界トップクラスの営業成績を残していた。毎年順調に販売数を増やし、年間100戸程度の販売で頭打ちになっている同僚を尻目に、その3倍を超える366戸売っていたからだ。これが自分の限界だと思っていなかった。

 

お客様のそうした言葉を真剣に考え始めたのも、その1年後の2019年に自己最高実績である年間387戸の販売記録を達成した頃だった。自分の時間の全てを捧げても、もうこれ以上は難しいだろう。

 

毎年、前年比と同じくらいの実績を得るだけだ。そう悟ってからはこれ以上前に進もうという気持ちがスッと消えた。この道を前進するだけではなく、違う道を行こう。私は第二章の道を歩み始めることにした。

 

独立すると会社に申し出ると、内心は反発されるかとも身構えていたが、過去の貢献もあってか最終的には独立を容認してくれることになった。しかも、自分で新規開拓した顧客600人に関してはそのまま引き継いでいいという許しを得られた。

 

独立を宣言した際のお客様の反応も上々。「絶対独立すると思ってました。応援します」と言われた時には、胸に込み上げてきたものがあった。

 

今の会社で別の担当者を付けることもできるんですよ、と一か八か念押しして聞いてみた時も、「あなたが良くて買っていたのだから着いていきますよ」と言ってくれたお客様もいた。

 

実業家・内藤忍氏が協力してくれた影響も大きい。もともと同氏の紹介で多数のお客様を獲得していたこともあり、独立を機に付き合いがなくなれば、独立先での営業に暗雲が立ち込める可能性があった。

 

もし独立以降は付き合いをしないと言われたら、諦めて大人しく引きさがろうーそう頭の裏でそろばんを静かに弾きながら独立の挨拶に向かうと、彼はあっさりこう言ってくれた。

 

「私はあなたの所属会社ではなく、天田さんを応援していたんです。独立後もお付き合いさせてください」。

 

もうこれ以上、最善の独立環境はないだろう。全ては前途洋々、のはずだった。

 

コロナ拡大により業界は大ダメージ

 

不動産業界でのコロナショックの大きさは凄まじいものだった。

 

2020年の2月・3月は通常通りの販売実績を保っていたが、4月に入ると不動産を購入したいというお客様の熱が明らかに冷めてしまったのだ。東日本大震災の際もしばらくは自粛ムードになったように、非常時になると投資の勢いは一時的に足踏み状態になる。

 

また、業界的に対面営業が主流だったため、リモートでの営業に上手く切り替えができなかった影響も大きい。オンラインでは思ったほどこちらの熱が伝わらず、これまでに感じたことのなかった歯がゆい思いを何度もした。

 

コロナ禍になってお客様の反応は様々だったが、「みんな騒ぎすぎじゃない?大げさだよね」と楽観的な人もいたことも確かだ。そうした投資熱の高い方への営業で何とか食いつないでいたが、それでも結果として、会社全体の利益は前年比の半分近くまで落ち込んだ。

 

私自身も対面ほど営業の手応えもなく、同じく前年比の半数に営業成績は留まることになった。昨年の成績を思えば散々たる結果だったが、悲嘆している場合ではなかった。金融機関が通常営業に戻った5月以降は、新しく仕入れた物件の販売に勤しむことにした。

 

空き時間になると、懇意にさせてもらっている同業他社の社長への相談は欠かさなかった。どこに電話しても今は厳しいという言葉しか聞かなかったが、その言葉を聞くたびに自分にも問いかけていた。自分は独立する意思が本当にあるのか?

 

不動産業界で困窮し、不動産物件に助けられる

会社の固定費が軽微な状態だったとはいえ、事務所の家賃だけは発生する。そうした最中でも私は何とか自分の会社を手放さずにいられた。その理由はやはり不動産のおかげだった。

 

実はサラリーマンとして中古ワンルーム販売の営業を手がける傍ら、自分でも都内を中心に区分マンション13室、一棟物件6棟、合計88室を所有し、大家業もしていたのだ。

 

最初の1室は営業マンとして自分自身が購入していないとお客様への説得力に欠けるという思いで購入したが、徐々に自分で不動産投資することの面白さと収益の手堅さを実感し、独立前から少しづつ所有物件を増やしていたのだ。これが私を助けることに繋がった。

 

意外に思われるかもしれないが、東京の中古ワンルームにおける家賃収入はコロナウイルス感染症拡大の影響をさほど受けていない。

 

というのも、不動産賃料の下落が起きる理由は、そのエリアに住みたい人が減る、つまり人口の減少によって賃貸物件が余り、需給バランスが崩れることで賃料が下がるからで、不動産価格が下落する理由は金融機関による融資の引き締めが起き、大量の物件が市場に売りに出されたことに由来すると過去の経験からわかっている。

 

例を挙げると東日本大震災の際は、原発事故による放射能の影響が東京一帯を覆っていたため、多数の外国人労働者が日本から一斉退去したのが供給>需要になった一番の要因だ。

 

リーマンショックの際には、銀行の融資引き締めが行われたため資金繰りに困った個人投資家や、不動産業者が物件を手放し、供給の量が増えた影響が大きい。その当時、私も築浅の良物件が格安で売りに出されていたのを覚えている。

 

今回の緊急事態宣言中に様子を伺った中でも、かつてのリーマンショックと震災を経験した社長は腹を括っていたのが印象的だ。

 

「金融機関の引き締めが一時的なものだろうから、この数ヶ月は確かに売上減が続くだろうが、じきに平常に戻るだろう。今は過渡期だね。あの放射能の騒動があった東日本大震災の時ですら、人の戻りは早かったから」。

 

事実、今回は世界的な感染症の流行だったため、外国人労働者が日本から減るということは少なかった。加えて、郊外や地方への人口移動はあくまで微増に留まる範囲であった。

 

総務省の発表によると2020年1月~2020年12月の転入超過数は3万人と、都内の人口は純増している。昨年と比べれば増加数こそ落ちてはいるが、東京は引き続き人が増え続けていると言える。

 

地方の若干の転入超過数の増加は、緊急事態宣言下に東京に行き控えている引越し待ちの影響もあり、一時的な現象だと見込まれている。単身世帯が住むワンルームは、そうした郊外転居の煽りを特に受けにくい。

 

消費が停滞し、行き場を失った投資マネーが投下された影響で株価が日々乱高下を繰り返す中、自分が所有する物件の家賃収入だけは毎月安定していた。不動産投資はやはり手堅い。一連の騒動を目の当たりにして私はそう確信した。

 

自分の経験を売る

 

「郊外に人が移動して、都心の不動産は暴落しているんじゃないの」。秋口になるとようやく販売実績も回復しつつある状態になったが、都心の物件を警戒する声も聞かれるようになった。

 

そこで私はこう答えるようにしている。「いえ、私も不動産をいくつも所有していますが、実際の入居状態と家賃相場を見てください。以前と変わりません。東京なら、場所と物件を吟味すればこれだけの収益を得ていくことが可能なのです」。

 

一般的に不動産投資と聞くと、危険な投資対象だと思われがちである。しかし、実際にはバブル期のように極端な値上がりこそ見込めないが、単身世帯に好まれる立地の良い物件を所有していれば、長期的には利益が出る仕組みになっている。

 

そう聞いても投資経験がない人は怪しむが、私の実際の入居率と家賃推移、毎年の利益率を見れば話は別だ。首を捻っていたお客様も数字を見ればいつの間にか前のめりになる。

 

結果的に、私は当初の予定通り中古ワンルームマンション販売と賃貸管理で正式に独立することになった。

 

採用する予定だった社員も想定通り付いて来てくれたが、業界自体がまだコロナショック以前に戻っていない上、前職の会社のバックアップがなくなったことにより、独立後の営業成績は販売数ゼロこそ出さないものの、当然ながら業界最下位からのスタートだ。

 

それでも自分には、自分もこの渦中に不動産大家だったという経験の武器がある。合わせて、物件の仕入れと目利きも自分で行えるようになったことも大きい。

 

良い物件は仕入れ値が下がりにくいため、一戸あたりの利益率が低い。不動産会社の多くは薄利多売状態を避けるため、利益率が高くなる物件をお勧めしがちだが、自分が不動産大家をしていることもあり、そうした物件は取り扱いたくなかった。

 

自分も大家として買いたいと思う物件、大家として受けたいと思う賃貸管理サービスを提供すること。この2点を起点に営業活動を続けていると、お客様の反応は明らかにこれまでとは違っていた。

 

武器さえあれば、あとは上がっていくだけ

 

この時期に独立するなんて大変ですねと言われることも多い。私はいつも学生時代から続けているマラソンのことを夢想する。どんなマラソン選手も初めはゼロからスタートするものだが、持久力と自分の体力を見誤らず、地道に登りつめていけばタイムも順位も順調に上がり続けてくれる。

 

逆に考えればトップになるまでは上昇し続けられるとも言える。虚勢をはるのではなく、本当にいい時期にいい形でスタートを切れたと思っている。あとは登っていくだけなのだから。

 

天田浩平(株式会社エイマックス代表取締役)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/0357d7281366985095c42adf391b01ba4583098d?page=1

 

2021年

3月

12日

大手と中堅の「マンションの品質」に差がなくなりつつある理由

大手のほうがマンションの質は良い……そう思っている方は多いはず。しかし、近年は建物自体に大きな差がないだけでなく、その後の保証面でも大手、中堅などの差はなくなりつつあります。本記事では、その理由を見ていきましょう。

 

様々な基準の下に建てられているマンション

 

マンションはさまざまな法律によって基準が定められています。どのデベロッパーでも、都道府県知事や国土交通大臣に任命、指定された建築主事や指定確認検査機関に建築確認を申請する必要があり、建築基準法などさまざまな基準を満たした建物でなければ作れません。

 

その結果、わずかに床スラブ厚が変わるといった微細な差や工法による違いはあるとしても、当然のことながらどのマンションも国が定める基準を十分にクリアしていますから、マンションの躯体(建築物の構造体のこと。建物そのものを支える基礎・杭・柱・梁・床などのことで、内装の仕上げ、設備機器類以外を指します)は、どこの会社でも大差ないと言っても問題ない状況となっています。

 

今はどこの会社の物件でも「公的な保証」がある

 

建物自体に差がないだけでなく、その後の保証にも大手、中堅などの差はなくなりつつあります。

 

2000年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の施行により、購入者は住宅の構造耐力上主要な部分および、雨水の浸入を防止する部分について10年間は無料で補修してもらうことができるようになりました。

 

また、2005年の構造計算書偽装問題を受けて建築確認・検査が厳格化されています。さらに2009年の「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」の施行で、すべての新築住宅供給者(デベロッパー)は、住宅瑕疵担保責任保険に加入することが義務付けられました(保険の他、保証金を法務局に供託することも可能)。

 

これにより、万一、事業者が倒産した場合でも国土交通大臣指定の保険法人に瑕疵の補修等にかかる費用等(保険金)を直接請求することができます。つまり、今はどこの会社の物件でも、公的な保証があると言えるのです。

 

ちなみに、この保険に加入または供託していないと、新築住宅は供給できないことになっており、この制度のおかげで、建物の安心度は高められているわけです。

 

また、マンション独自の維持修繕に関する長期修繕計画も、今どき、設定しない事業者はないと言っても過言ではありません。これは購入するマンションの資産価値の維持に大きな影響があるので、計画案だけでも購入前の早い時期に見せてもらうようにしたいところです。

 

このように、マンションはさまざまな法律などによって規制を受けて建てられています。その結果、現在ではよほどのことがない限り、品質には大きな差はないようになっているということを、まずは理解しておきましょう。

 

同じ広さのマンションにも関わらず価格には大きな差

 

マンションの躯体や品質にはさほど差がなく、保証も変わらないにもかかわらず、大手の有名な会社が作るマンションとそれ以外の会社が作るマンションの間には大きな価格差があります。

 

マンションの市場調査会社トータルブレインが2007年に発表した調査によると、同年1~6月に不動産会社大手12社が東京23区内で販売した分譲マンション価格(3.3㎡あたり)は、中堅・中小の不動産会社の分譲価格よりも25%高かったという結果が出ています。

 

調査対象は東京23区内で販売された分譲マンション5686戸で、このうち、約37%を大手12社の物件が占め、販売価格はそれ以外の会社と比べて、3.3㎡あたり74万3500円高い297万4000円でした。

 

ちなみに、これを70㎡のマンション価格にしてみると、大手の物件であれば約6300万円。25%安い他の会社の物件では、約4730万円になり、同じ広さのマンションであるにもかかわらず、その差は1500万円以上にもなります。これを住宅ローンに換算してみると、35年返済、金利3%として、毎月約6万円の差です。

 

この大きな価格差の要因は、大手企業の場合、資本力を背景に価格が高く評価されがちな大規模物件や超高層物件を扱うことが多いためと考えられますが、同様の立地条件で中規模物件を比較しても、10%前後の価格差は現在でもあるように思います。

 

ブランド物のバッグなら、ちょっと高かったかも……と思っても、数万円程度の価格差ですし、それなりのステイタス感もありますから、多少の使い勝手の悪さは我慢できるかも知れません。

 

しかし、選んだマンションのブランドイメージがよいからと言って、住んでからわかってくる使い勝手の悪さや居住性の悪さは、我慢できるようなレベルの話ではありません。

 

周辺のマンションと比較し、価格差を十分調査する

 

そう考えると、このような価格差があることをマンション購入検討者は見過ごしてはなりません。チラシや住宅情報誌などでは入手できる情報に限りがありますので、必ずインターネットで同駅および周辺エリアのマンションを検索し、その価格差を十分に調査するよう心がけてください。

 

つまり、買う側には、ブランドイメージに踊らされない冷静な判断力と賢い選択が必要なのです。

 

住み心地に関する知識や関心の薄い「営業マン」に注意

 

ブランドイメージに左右されない選び方をご理解いただいた次は、マンションの説明を受ける時に接する営業マンについて見ていくことにしましょう。

 

実際のモデルルームへ行くと、自分が売っている住まいという商品には欠かせない、住み心地に関しての知識や関心の薄い営業マンが多く存在するということに驚かされます。決して、「この営業マン、年齢も若いし、こんなもんだろう」などと見過ごしてはいけません。

 

その営業マンの資質を見極めることが、その会社の商品思想を見極めることにつながります。つまり、これは納得できるマンションを購入する第一歩なのです。

 

営業マンの説明に納得できない背景には販売代理、共同事業という事業の枠組みによる問題もあるようです。

 

知らないモノでも売る?「販売代理」というシステム

 

まずは販売代理というしくみについて解説します。これは言葉が示す通り、マンションを作る会社(事業主)とは別に売る会社が存在するということです。

 

その理由は2つあります。ひとつは、販売にあたって、作る会社に販売人員がいないという場合です。これには、販売目論みの違いにより、単に人員不足になるケースと、人件費を切り詰めるためのケースに分かれます。

 

中にはそもそも、営業マンを抱えていない会社もあります。そうした場合には、販売代理会社に所属する「そのマンションだけの雇われ営業マン」が売ることになるのです。

 

しかし、そういう人たちはマンション販売にかけてはプロですが、所詮は依頼された商品を販売するだけの人です。ですから、パンフレットに書かれていることについては、立て板に水といった調子で詳しく説明してくれますが、事業主の説明や商品思想となると、とたんに答えに窮してしまう人がほとんどでしょう。

 

一部には特定の会社の物件を販売するための専門会社がありますが、そういう会社を除けば、販売会社の目的は販売し、販売代理手数料を受け取るだけ。

 

作る会社、売る会社が同一、あるいはそれに近い状況であれば、売る人も買った人への責任を感じるはずですが、作る、売るが分かれている場合には、立場上どうしてもその意識が薄くなります。つまり、パンフレットに書かれている以上のことを説明できる背景がないのです。

 

また、販売代理会社に任せるもうひとつの経緯に、持ち込み案件というケースがあります。マンション事業は、土地を探して地主と交渉して購入、全体をプランニングして設計、施工業者を選び……と非常に時間と手間のかかる仕事です。

 

土地を買うためには、何百件もの情報を見ますし、そのうちで買える土地となるのはひとつか、2つ。よい土地だと思っても、地主さんがやっぱり売りたくないということもあり、マンション事業が始まるまでには長い時間がかかるのです。

 

そこで、一から全部やって事業化するのは大変でしょうと、土地と建物案を事業として他社に持ち込み、施工や販売もウチでやりますから、事業主として資金だけ出してくださいという仕事をする会社が出てきます。

 

この方法であれば、土地はもちろん、設計プランも決まっており、ついでに販売もしてくれるわけですから、手間はかからず、事業主は事業資金の調達と回収だけに専念できます。つまり、言葉を選ばずに言えば、ラクして儲かる事業手法というわけです。そこで、今期は売り上げが少ないなあ……という時に、採用されるのです。

 

この場合、その事業主は本当の意味で自分が作ったものを売っているとは言えません。その事業主も本来はデベロッパー、即ち商品企画者です。しかし、この形態では、その事業主独自の商品思想は押しやられ、その持ち込み業者の企画意図が具現化された設計プランが、そのまま商品になってしまいます。

 

そのため、営業マンはパンフレットに書かれている以上の説明はできませんし、その事業主独自の商品企画意図の説明をと言われても困る。といったところが本音ではないでしょうか。

 

鈴木 雄二

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ecb8738ad482c43039629c90ceffc02b3d27f9fe?page=1

2021年

3月

05日

マンションの「意外な真実」…じつは“建て替え間近”が「お買い得」といえるワケ

マンションの寿命については諸説あり、一説には40年とも100年と言われています。マンションも人間と同様に寿命がくれば建て替えが必ず必要となるもの。建て替えとなれば発生する費用は一体誰が負担するの…? と不安要素が先行するところですが、実は建て替え前のマンションを購入することで「得」をすることもあるのです。株式会社Housmart代表取締役の針山昌幸氏が解説します。

 

そもそもなぜ建て替えが必要なのか?

 

そもそもなぜマンションの建て替えは必要なのでしょうか。

 

1.耐震性の向上

建て替えをする理由は大きく2つ。1つ目は、耐震性の向上です。

地震が多い日本においては、大きな地震が発生する度に建築基準法が改正され、耐震基準が厳しくなってきました。行政側では地震被害を減らすため、旧耐震の建物に対して耐震補強や建て替えを促しています。

 

2.マンションの形態が現在のニーズに合わない

2つ目は、マンションの形態が現在のニーズに合わなくなってきていること。

「5階建ての団地でエレベーターが無い」「ダイニングのみでリビングが無い」「エアコンが設置できない」など、今の新築マンションでは当たり前に備えられている設備がないという理由で住みづらいことから、空室住戸が増加してしまう原因となっています。

 

つまりマンションの建て替えは、安全面の確保や住みやすさを改善するだけでなく、空室を減らしきちんとマンションが運営されるために実施されるものなのです。

 

建て替えの費用は誰が払うもの?

 

居住者が快適に住み続けるために必要となる建て替えですが、その費用は当然大きなものとなります。建て替えが決まった場合、その費用は住民が負担する必要があります。

 

「だったら、建て替えが必要となるマンションに住んだら損じゃないか…!」

 

となるところですが、実はその逆となる場合があります。それが、建て替えを行ったことで「マンションが大きくなる」ケースです。

 

マンションや一戸建てが建てられている土地には建ぺい率、容積率というものが定められています。全ての建物はその基準に従って大きさが決定し、建設されます。この基準が時代とともに緩和されているケースがあるのです。

 

特に基準が緩和されている土地が多いのは、土地を有効活用したい都心部です。たとえば青山や白金にはかつて低層マンションしか建てられなかったのが、その後の土地計画の変更により現在では大型のマンションが並ぶ土地になっています。

 

以前に建てられた低層マンションを取り壊してその土地に高層マンションを建てれば、マンション全体の床面積は数倍になり、その住戸数も大きく増やすことができます。

 

例えば全50戸のマンションを取り壊しそこに全200戸の高層マンションに建て替える。このとき、新しくできた150戸を一般に販売し、建て替え費用に充てることで、以前からそのマンションに住んでいる住人は建て替えの費用を負担することなく新築マンションに住むことができる、というわけです。

 

新築マンションで販売されない部屋がある理由

 

新築マンションのモデルルームを見学に行った事がある方の中には、分譲されているマンションの中に「販売されない部屋」があるのを見た方もいらっしゃると思います。いわゆる非分譲住戸です。

 

その持ち主こそが「もともとそこに家を持っていた方」。言い方を変えれば、自分たちが住んでいたマンションを不動産会社に提供することで、建て替え費用なしで最新のマンションの部屋を手に入れることに成功した、ともいえます。

 

例えば新宿西口にある新宿アイランドタワービル。

 

敷地内に新宿アイランドレジデンスと言う名前の低層マンションが隣接していますが(新宿駅からアイランドタワーに入るときに右手に見えるマンションです)、実はあのマンションの一部はアイランドタワーを建てた土地の元々の所有者が住んでいます。アイランドタワーを建てるために所有していた土地を提供し、新しく建てられたマンションに今は住んでいるわけです。

 

このように、マンションの建て替えは既存マンションの管理組合がディベロッパーと協力して行うのが一般的です。

 

実際、都内で建て替えが行われたマンションはほとんどがこの形での建て替え。マンションの管理組合には、そうした不動産デベロッパーからの建て替えセミナーのご招待などの郵便がときどき送られてきています。

 

マンションの管理組合で「古くなったからマンションを建て替えます。一人あたり3000万円の負担になります」と言われて「わかりました」と即答する住民は、まずいません。

 

古いマンションを建て替えようとする場合、先に説明した「住民には負担がない形で建て替えを行う」方法以外では費用負担が大きすぎるため、現実的には非常に難しいのです。

 

駅近、建物の高さ、管理組合に注目

では、遠くない将来に建て替えが見込めるマンションとは、どういった条件を持つものでしょうか? 

■人気エリアの駅近である

 

まず、これが極めて重要。マンションの資産価値は立地で決まります。恵比寿や目黒と言った人気エリアであれば、建て替えた後の販売も見込めるため、マンションディベロッパーも建て替えの話に積極的になります。

 

■周囲と比較して圧倒的に低い

 

そして、周りの建物と比べて極端に階数が低い物件です。周りの建物は10階15階建てなのにそのマンションだけ4階建て、というようなケースがこれに該当します。4階建てのマンションを12階建てにすれば部屋数は3倍になり、元の住人に住戸を負担しても利益がでる、というわけです。

 

■管理組合がきちんと機能している

 

また、管理組合がしっかりしていることも重要です。マンションの建て替えを実際に決定するのは、そのマンションの管理組合です。その管理組合が機能していないようなマンションでは、マンション建て替えの決をとることすらできず、計画自体が行えない可能性があるからです。

 

もしも建て替え前のマンションを「後々建て替えられること」を期待して購入する場合、ぜひ気をつけていただきたいことがあります。

 

これらの条件を無事にクリアしても、建て替えは確約できない、非常にラッキーなケースである、ということです。

 

超えるべきハードルと考慮すべき点としては、

 

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・容積率に余裕がある

・住民の合意形成が得られる

・駅近の好立地である

・建て替えが行われるまで古い建物に住み続ける必要がある

・建て替えまでにリノベーションを行う場合はその費用を考慮する

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「建て替えが決まればラッキー」くらいに考える

マンションの建て替えを実施しようとする場合、組合員及び議決権の総数の5分の4の賛成が必要です。また、近隣住人や用途地域など土地がもつ諸条件によってそもそも高層の建物が建てられない可能性も。外から見た要素だけで「将来的な建て替えの実施」の確率を予測し、期待するのは賭けともいえます。

 

実際に建て替えが実現された場合、買い手がつきやすい都心の一等地であっても数千万円の建て替え費用を払うことになるのが通常である、と思っていた方が安全でしょう。

 

実際に建て替えが実施される件数は、ごくわずか。平成31年4月に国土交通省から発表された「マンション建替えの実施状況」によると、建て替え実施中のマンションは23棟。マンション管理業協会の発表によれば、協会が把握している範囲でのマンション棟数は全国で116,830棟。

 

もちろん、建て替えが必要でないマンションも含みますが、その数がいかに少数派であるかはお分かりいただけるでしょう。

 

ギャンブル要素が強いのは否めませんが、「好立地で街としてもブランド力があり、築年数が建っているから価格は底値、古さはリノベーションすればOK。費用負担なしに建て替えが決まればラッキー」と割り切れれば、そうした大逆転劇に賭けてみるのも選択肢としてはアリかもしれません。

 

ただし、現状としては宝くじと同じくらいの確率でもある、と認識しておくのが懸命でしょう。

 

参考:マンション建替えの実施状況(国土交通省)

参考:令和1年マンション管理受託動向調査結果概要

 

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記事提供:「マンションジャーナル」(株式会社Housmart運営)

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針山 昌幸(株式会社Housmart代表取締役社長)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/622b30c1f04fd0853837d9c27a05d371b6f762c9?page=1

2021年

2月

26日

不動産を売却する場合、どんなときにどんな税金がかかるの?

不動産を売却する際、どんなときにどんな税金がかかるか分からないという人も多いのではないでしょうか。

 

転勤に伴ってこれまで住んでいたマイホームの売却を検討されている方や、住み替えのために売却を考えている方もいるでしょう。不動産を売却して利益が出る場合の税金には、注意しておく必要があります。条件によっては、税金を軽減できる特例制度などが使えることもあります。

 

今回は、個人が居住用の不動産を売却した際の税金について解説します。

 

どんな税金がかかるのか

まず、不動産を売却した場合にかかる税金はどんなものがあるか確認しましょう。

 

■所得税・住民税

不動産を取得したときよりも高く売却できたときには、その利益の部分に対し所得税・住民税がかかります。ただし、単純に物件価格だけの比較ではなく、取得や売却のためにかかった費用なども考慮します。税率は保有期間によって異なります。

 

■登録免許税

不動産を取得したときには、買主がその権利を第三者に対して主張できるように登記します。売却の際には所有権移転登記にかかる登録免許税はありませんが、売却する不動産に抵当権の設定登記が残っている場合は、抵当権を抹消する必要があり、その際に登録免許税がかかります。

 

■印紙税

不動産売買契約を締結するときには契約書を作成します。契約書にはその契約金額に応じた収入印紙を貼付が必要です。通常、契約書は売主・買主それぞれが保有するため2部作成しますので、契約書に貼付する印紙も売主・買主がそれぞれ負担するのが一般的です。

 

■固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は不動産を保有している間、毎年課税されるものです。しかしこの税金は「1月1日時点の所有者」に課税されるため、その年の途中で所有者が変わった場合でも売主が支払うことになりますので、引き渡し時に買主との間で清算を行います。

 

売却益が出たら「所得税・住民税」がかかる

不動産の売買で所得税がかかるのは「利益が出た場合」のみです。購入した価格よりも売却価格の額が少なかった場合には所得税はかかりません。

 

所得税がかかるかを判定するためには、下記の式でその利益の額、すなわち「課税譲渡所得金額」を算出します。

 

■課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 - 取得費 ― 譲渡費用 - 特別控除

 

「譲渡価額」は、不動産の売却価格です。

 

「取得費」は、その不動産を購入したときの価格のほか、購入時の仲介手数料、購入時の契約書に貼付した印紙税、登記にかかった登録免許税や司法書士に支払った報酬、不動産取得税などを含むことができます。建物がある状態で購入し、居住することなくその建物を解体して新しい建物を建てた場合などではその解体費用なども含むことができます。

 

一方、建物は経年劣化し、その分価値が下がると考えられますので、減価償却を考慮する必要があります。減価償却率は建物の構造によっても異なりますので、税務署や不動産業者に確認してください(土地には減価償却はありません)。

 

建物購入時の価格といってもその当時の契約書などが残存しておらず、取得費が分からないというケースもあるでしょう。その場合には譲渡価格の5%を取得費にできます。バブル期に購入したような物件は当時より価格が下がって、売却損が出ることもありません。取得費が分かる書類は大切に保管しておきましょう。

 

「譲渡費用」は、その不動産を取得するためにかかった費用のことです。仲介手数料、契約書に貼付した印紙税などのほか、売却のために行った測量費用、広告宣伝費。建物を解体し更地で売却するようなケースでは、その解体費用などを含めることができます。

 

「特別控除」は国の政策上受けられる特例です。現在、一定の条件を満たす居住用不動産を売却した際の3000万円の特別控除、特定住宅地造成事業等のために土地を売却した場合の1500万円の特別控除などがあります。

 

保有期間によって所得税の税率が変わる

課税譲渡所得金額がプラスだった場合には所得税がかかりますが、その税率は保有期間によって異なります。

 

一般的には「保有期間が5年超か、5年以下か」で長期か短期かを区分するといわれますが、正確には「不動産を譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期、5年以下の場合は短期」となるので注意が必要です。

 

下の図で確認してみましょう。CASE1、CASE2とも購入したのは2015年3月15日。売却した時期はCASE1では2021年3月1日、CASE2は2020年12月15日です。いずれも保有期間は5年を超えています。

 

しかし、「不動産を譲渡した年の1月1日時点で5年を超えているか否か」が判定基準になります。CASE1では2021年1月1日時点ですでに5年を超えていますので長期譲渡所得ですが、CASE2の判定基準日は2020年1月1日時点となるため、5年に達しておらず、短期譲渡所得の扱いとなります。

 

長期・短期譲渡所得のそれぞれの税率は

・長期譲渡所得:課税譲渡所得金額×20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

・短期譲渡所得:課税譲渡所得金額×39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

となります(「特別復興所得税」(所得税額の2.1%)を含んでいます)。

 

譲渡所得がある場合には、売却した翌年の確定申告期間中に税務署に申告し、税金を納付する必要があります。

 

登録免許税(所有権移転登記の費用負担はないが…)

不動産を取得するときには所有権移転登記、ローンを利用する場合には抵当権設定登記などが必要になりますが、これらは買主が費用を負担します。不動産を売却するとき、所有権を移転するだけであれば売主に負担はありませんが、金融機関などの抵当権設定登記が残っている場合には、売主は所有権を移転する前に「抹消登記」が必要になり、売主はこの費用を負担する必要があります。

 

まだローンの返済途中でも売却する場合もあるでしょう。また、抵当権の登記はすでに返済が完了している場合でも残っている場合があります。ローンが残っている場合には一括返済をしてローンを完済しないと金融機関は抵当権の抹消に応じてくれません。不動産を売却した資金で完済しようと考えている場合には事前に抵当権抹消登記を行うことができません。

 

この場合は、不動産の引渡(決済)手続きの場に司法書士が立ち会い、抵当権抹消登記と所有権移転登記を同時に行うように指示します。

 

通常、不動産の売買契約と引渡手続きは別の日に設定することが多いです。契約は当事者(売主・買主と仲介業者)のみで行うことができますが、引き渡しは残代金の支払いと同時に行うため、金融機関で行うのが一般的です。

 

印紙税(契約書には印紙が必要)

不動産の場合、契約金額が大きくなりがちなことや、のちのトラブルを防止する観点から契約の条件をしっかり定め、合意した証として必ず売買契約書を作成します。その契約書には契約金額に応じた印紙を貼付する必要があります。通常、契約書は売主・買主双方が本書を一部ずつ保有するため、2通作成し、それぞれに定められた金額の印紙を貼ります。

 

現在、不動産取引にかかる印紙税額は軽減措置が適用されています。

 

固定資産税・都市計画税(保有しているときにかかる税金だが…)

固定資産税・都市計画税は毎年1月1日現在の土地・家屋の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人に対して課税されることになります。このため、年の途中で不動産を売却した場合には、保有期間に見合った税額を日割りで計算し、不動産の引渡時に清算するのが一般的です。売却の際にはすでに売主が支払った、あるいは支払う予定の税額のうち、譲渡した後の期間分相当額を買主から売主に支払います。

 

地域によっては商慣習が異なる可能性もあります。実際に売却する際にはその地域の不動産業者に確認しましょう。

 

税金以外の費用

不動産の売却の際には、税金以外にもかかる費用があります。主なものは下記の2つです。

 

■司法書士報酬

登記は司法書士に手続きを依頼することが一般的ですので、司法書士への報酬とそれにかかる消費税も必要になります。

 

■仲介手数料

不動産の売却は不動産業者に媒介を依頼するのが一般的です。契約が成立した際には仲介手数料を支払います。仲介手数料は宅建業法第46条で「宅建業者は国土交通大臣の定める額を超える報酬を受けてはならない」と定められています。また、この報酬には消費税もかかります。

 

このほかにも、売却前に測量や境界確認などが必要になることがあります。また、最近ではインスペクション(建物調査)などを行うこともあります。売却の対象となる不動産によって必要な費用も異なりますので、事前に確認しておきましょう。

 

税金を軽減する特例

これまで見てきたように、利益が出た場合には所得税・住民税がかかりますが、一定の条件に適合した場合にその税額を軽減する特例が設けられています。特例には下記のようなものがあります。

 

・居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例

・被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例

・所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

・特定の居住用財産の買い替え特例

適用の期間や条件などが細かく定められています。税務署や国税庁のホームページ(タックスアンサー)などで確認してください。

 

まとめ

不動産を売却した際には必ずかかる税金と、利益が出た場合にのみかかる税金があることをお分かりいただけたかと思います。ここ数年、東京圏ではマンションの価格は上がっており、住み替えなどで売却される場合には譲渡益が出ることも珍しくありません。

 

保有期間によって所得税の額は大きく異なり、あと少し先に売却していたら税金が半分近くまで少なくできた、などいうことも起こりえます。

 

一方で、マイホームを売却する場合、一定の条件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」を受けることも可能です。特例の適用条件なども十分に確認していただければと思います。

 

(参照)国税庁「タックスアンサー」

 

執筆者:西山広高

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/9529151d5966c5c3ce52a93d2ec4c3002a0a7e69?page=1

2021年

2月

19日

空き家になる不動産を遺贈寄付するには 円滑に寄付するために生前にすべきこと

空き家になる不動産を公益団体に遺贈寄付したいと考えた場合、どんな手続きが必要でしょうか。不動産の寄付を受け付けていない団体もあるため、事前に調べておくことが重要です。不動産の遺贈寄付の手続きについてまとめました。

 

空き家になる不動産を遺贈寄付できるか

ご自宅などの不動産を遺贈寄付したいと考える方が増えています。特に、子どものいない方は相続人が兄弟姉妹や甥姪になるため、自分が亡くなった後は空き家になる可能性が高く、「引き取り手がいないのだから、遺贈寄付しよう」と考えるようです。また、最近は親から相続した実家が既に空き家になっているケースも非常に多く、「有効に活用してもらいたい」と寄付を考える方も増えています。

 

しかし、不動産の寄付を受け付けている非営利団体はとても少ないのが現状です。これには様々な理由があります。現金の寄付とは異なり、「寄付された不動産を団体の活動に利用できるかわからない」「換金する場合でも必ず売却できるとは限らない」「火災・不法投棄などの管理リスクがある」「遺留分算定の際の評価が難しい」など、不動産特有のリスクがあるからです。このような事情から、多くの団体は「不動産は売却して現金で寄付または遺贈寄付する」ことを求めています。

 

したがって、不動産を遺贈寄付しようと考えた場合、「寄付先の団体が不動産の遺贈を受け付けているか」を確認することが重要です。確認しないまま遺言書に「不動産を遺贈する」と記載すると、死亡後に団体が不動産を受け付けていない場合は遺贈を放棄しますので、不動産は相続人で遺産分割協議されることになり、せっかくの善意が実現しません。このような事態は避けたいところです。

 

不動産を遺贈寄付すると決めたらすべきこと

寄付先の団体に「不動産遺贈を受け付けているか」を確認したら、寄付する不動産をそのまま団体に利用してもらいたいのか、それとも不動産を売却しても構わないのかをはっきり伝えましょう。不動産に思い入れがあって、どうしても団体に現状のまま利用してほしいのでなければ、売却可とした方が団体としては助かりますし、その方が不動産の遺贈を受けてもらえる可能性が高くなります。

 

次に遺言の作成を検討することになりますが、ここで2つの方法があります。

 

1.不動産を現物のまま遺贈する方法

2.不動産を遺言執行者が換価して現金で寄付する方法(換価型遺言)

 

不動産を売却せずにそのまま団体に利用してほしい場合は当然1になりますが、団体が不動産現物で遺贈を受けた後に団体が売却する場合も1になります。団体の方針で、不動産現物での遺贈が難しい場合は2の方法を取ります。2の場合でも100%売却できるとは限らないので、事前に団体へ相談することが必要です。

 

また、2の換価型遺言が可能か否かは、遺言執行者の判断もあります。遺言作成から遺言執行までの期間が10年以上になることもあり、不動産を取り巻く環境が変化して売却が難しくなるケースも想定されるので、換価型遺言に慎重な遺言執行者も多いのです。

 

「やはり不動産の遺贈寄付は難しい」と感じられたことでしょうが、これらすべてを寄付者が行う必要はなく、適切な専門家に相談すれば、団体との交渉も含めて大部分は専門家に対応してもらえます。寄付者は「どの団体に遺贈したいのか」「不動産は売っても良いのか」を専門家に伝えれば良いのです。

 

例えば全国レガシーギフト協会では、非営利団体向けに「不動産査定取次サービス」を提供しています。これは、不動産の遺贈寄付をしようと考えたとき、寄付者が寄付先団体に相談することで、寄付先団体から協会へ不動産の情報が連携され、協会からの依頼により不動産会社で取扱可否の判断がなされるというもの。ここで売却可能とわかった場合には遺言書に不動産の遺贈寄付を書くことができます。

 

これにより団体も安心して不動産の遺贈が受けられ、寄付者も思いがかなえられることになります。このサービスは遺言による不動産の遺贈だけでなく、生前の不動産寄付にも対応しています。ただしサービスの利用は協会の会員団体に限られますのでご注意ください。なお、全国レガシーギフト協会では寄付先選定のお手伝いもしていますので、不動産の遺贈寄付をしたいけれど適切な寄付先がわからない方は、協会へご相談ください。

 

不動産を寄付する場合の税金

不動産の寄付や遺贈寄付をする際には、「みなし譲渡課税」という非常に重要な注意点があります。これは、寄付をする不動産の取得価格(買った時の価格)よりも寄付した時の時価が高い場合に、その差額に対して課税する制度です。

 

生前に不動産を寄付した場合

生前に個人が法人へ不動産を寄付した場合には、不動産を売却したのと同じように(売却したものと「みなし」て)課税します。その納税義務者は寄付者で、確定申告で納税します。「寄付しただけなのに、おかしいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そういう税制です。

 

不動産を現物のまま寄付するとこのような事態になりますので、生前に寄付する場合は、寄付者自身が不動産を売却して譲渡課税を支払い、売却代金から税金や経費を差し引いた残金を寄付した方が良いでしょう。ただし、この場合でも譲渡所得の増加に伴い、翌年の社会保険料が増えることに注意が必要です。

 

遺言で不動産を遺贈寄付した場合

不動産を遺言で遺贈寄付した場合はどうなのでしょうか。この場合も同じようにみなし譲渡課税がかかるのですが、寄付者である遺言者は既に亡くなっていますので、その相続人が代わりに準確定申告(死亡日から4カ月以内)で納税します。相続人の立場で考えてみれば、不動産を遺贈寄付するのは遺言者の意思だから理解できるけれども、不動産を受け取ってもいない相続人が税金だけ負担することは納得がいかないかもしれません。

 

なお、この場合のみなし譲渡課税は、換価型遺言で遺贈した場合でも死亡時における不動産の時価に対して課税されますので、不動産を現物で遺贈した場合と同じです。

 

みなし譲渡課税を相続人が支払うことを防ぐ方法

単純に「不動産を団体へ遺贈する」という遺言を作成すると、不動産に含み益がある場合には上記で述べたような困った事態になり、相続人と団体とのトラブルになりかねません。しかし、これを防ぐ方法があります。遺言に「みなし譲渡課税を受遺者に負担させる」と記載するのです。これにより、団体が税金を負担することになり、相続人とのトラブルを回避できます。ただ、この方法も「本来は相続人が負担する税金を団体が肩代わりした」と税務署が解釈すると、税金分が相続人の一時所得となり、これに課税される可能性もゼロではありません。

 

みなし譲渡課税はなかなか複雑で難しい問題ですので、不動産の遺贈寄付が含まれる遺言書を作成する際は、ここに述べたことをよく理解している専門家に相談することをおすすめします。

 

遺留分の侵害にも注意

みなし譲渡課税の他にも注意すべき点として、遺留分があります。遺留分の考え方は現金を遺贈寄付する場合と同じなのですが、現金と違うのは金額が定まっていない点です。遺留分の算定をするとき、不動産は「時価」で評価しますが、この時価をどのような基準で測るか、様々な判断があります。

 

遺留分を侵害された相続人は、寄付された不動産の時価を高く評価すれば遺留分の侵害額が大きくなり、より多く請求できることになります。相続人と団体との争いに発展しかねませんので、遺留分を侵害しないように、十分余裕をもった財産配分で遺言を作成するようにしましょう。

 

(記事は2021年1月1日時点の情報に基づいています)

 

遺贈寄附推進機構・齋藤弘道プロフィール

みずほ信託銀行の本部で遺言信託業務に従事し、営業部店からの特殊案件やトラブルに対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、弁護士や税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。野村信託銀行を経て、2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。

 

遺贈寄附推進機構・齋藤弘道

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7806b0f68388c298d6a42f55e6b11349d9e1a452?page=1

2021年

2月

10日

2003年以降のマンション価格を検証 「いつ」「どこに」買うのが正解だったか

マンション購入で自分は得したのか、損したのか――。買った後に、その損得勘定について考える人は少なくないだろう。その明暗を左右するのが「時期」と「立地」だが、それによって実際にどのくらい得、または損したのかといった明確な情報は少ない。不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティングを行うスタイルアクト株式会社代表取締役の沖有人氏が、試算したデータをもとに解説する。

 

「自宅マンションを購入すると儲かる」というのは今や当たり前の話である。これを知らない人は大損をしている。その点については、昨年12月に配信したコラムの〈持ち家と賃貸どちらが得か? 直近10年間では「3000万円」の差も〉に書いたとおりだ。さらに、この3000万円の差は「いつ・どこにマンションを買ったか」でも大きく変わってくる。

 

私たちが運営している無料会員制サイト「住まいサーフィン」では、毎年年始の恒例企画として、2003年以降に竣工されたマンションの新築時の価格と中古売り出し価格を住戸単位で比較し算出した「市区別×竣工年別中古マンション価格の値上がり率(騰落率)」を発表している。自分が購入したマンションの竣工年と立地に該当する箇所の騰落率をクリックすれば、おおよそのマンションの“偏差値”が「大吉」、「中吉」、「凶」などおみくじ形式で判定される仕掛けだ。多くの人は、自宅マンションは1つしか買えない。その1つが成功か失敗か、それを判定するわかりやすい指標となるだろう。

 

この騰落率から、中古マンションの資産性の“実績”が判明しているので、新たに売り出される新築マンションの資産性もある程度評価できる。つまり、新築や中古マンションを買う前から、その実現益を見越すことも可能となるのだ。例えば、3年後に竣工する新築タワーマンションを買った人が、転居までの間に住むための中古マンションを買う場合でも、「騰落率」という値上がりしそうなマンションの“基準” を知っていれば、新築と中古、どちらを購入した場合でも損せずに済むのである。

 

マンションが値上がりするかどうかは、「いつ」「どこに」買ったかで決まる。「いつ」買えばもっとも得だったかの答えは、竣工した年で言えば2013年のアベノミクスの経済政策の1つである金融緩和が始まった当初である。金融緩和で市場にたくさんのお金が溢れると、担保が取れる不動産に資金が流れやすく、金利が下がることで不動産価格も上昇する。実際アベノミクス以降、マンション価格は上昇しているため、当時は非常に割安だったと言えるだろう。

 

「どこに」買えば得だったかは、やはり都心が有利で、都県単位で平均騰落率を見ると、東京都区部、神奈川県、埼玉県、東京都下、千葉県の順に値上がり幅が大きい。都区部の中でも都心3区(千代田区・中央区・港区)は24.1~30.6%値上がりしており、2003年以降いつ購入してもプラスで推移していた。この3区のほか、新宿区、文京区、渋谷区、台東区、江東区、品川区でも17~25.3%の値上がり率となっており、これらの地域では、どのタイミングで買っても値上がり率はプラスで推移している。

 

京都市中京区では41.4%の上昇

 

今回発表した騰落率を首都圏平均の竣工年別に見ると、最も損した年は2008年のリーマン・ショックの年で、マンション価格が高かった時期である。この年に竣工したマンションは平均で11.2%値下がりしており、2018年までの全体と比べて最も悪い。しかし見方を変えれば、既に竣工から10年も経っているのに、11.2%しか下落していないとも言える。

 

もし、賃貸に住み続けた場合、毎年物件価格の約4%相当の家賃を支払わなければならない。10年で物件価格の約40%もの現金を失う計算だ。マンション購入であれば、住宅ローン減税などでローン残高の一部が所得税から控除されるが、賃貸で支払った家賃は絶対に戻ってくることはない。もちろん、持ち家の場合は、税金や維持費もかかるが、それを差し引いてもメリットは大きいと言えるだろう。

 

こうした状況が生まれている背景にあるのは、やはり金融緩和だ。2023年の黒田東彦日銀総裁の任期まで金融緩和は続くと思われるが、その中で早く買った者から得をしていると言える。さらに、より値下がりしにくいエリアにマンションを購入していたら、プラスの幅はさらに大きくなる。

 

都区部以外の首都圏の平均騰落率も見ておこう。都下では武蔵野市、小金井市、三鷹市がマイナス0.9~2.1%と比較的変動幅が小さく、上位3位を占めた。神奈川県では、横浜駅のある横浜市西区が20.7%、川崎駅のある川崎市幸区と武蔵小杉駅のある川崎市中原区が9.4%と値上がり率トップ3だった。埼玉県では、さいたま市大宮区、浦和区、上尾市の3つのみが4.7~6.7%の値上がりとなり、千葉県で値上がりしたエリアは、成田市の10.7%と浦安市の2.1%のみだった。

 

首都圏だけでなく近畿圏も見てみよう。値上がりの傾向としては、「いつ」は首都圏の場合と同じだが、エリアでは京都市と大阪市の中心部の値上がり幅が大きかった。京都市では、中京区が41.4%、東山区が24.3%、下京区が21.5%の値上がり率となり、大阪市では、福島区23.2%、北区21.1%、西区20.1%の順で値上がり率が高かった。大阪市は、特にタワーマンションの価格が上昇している傾向が見られた。

 

こうした情報を知っているだけで、自宅は「資産」に変わる。賃貸に住んで家賃を支払った場合との金額差は数千万円にもなり、一般的な平均生涯年収が2億円と考えると、かなり大きな割合を占める。お金を増やすには、自分が働く以外に、マンションという「資産」に稼いでもらうという考え方も知っておいてほしい。

 

【プロフィール】

沖有人(おき・ゆうじん)/スタイルアクト株式会社代表取締役。国土交通省「住宅エネルギー性能表示検討委員会」の委員なども務める。『独身こそ自宅マンションを買いなさい 今すぐ始める「家活」で自分を守る資産をつくる』(朝日新聞出版)、『マンションは学区で選びなさい』(小学館新書)など著書多数。分譲マンションの無料会員制情報サイト「住まいサーフィン」を運営。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ba89778af72949a50b4f9f2f690ae762306f2433?page=1

2021年

2月

05日

初年度と2年目以降で手続きが違う?! 住宅ローン減税の手続きをFPが解説

住宅を購入し、住宅ローン控除の適用を受ける際、初年度と2年目以降とでは行う手続きが異なります。特に初年度においては自分で確定申告を行う必要があり、どのような書類を用意すれば良いのか不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

 

今回は、住宅ローン控除の適用を受ける際の手続きについて解説します。

 

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅購入において住宅ローンを利用した際に、その後一定期間、税負担の減額を受けることができる制度です。もちろん、適用を受けるには要件を満たす必要があり、決められた手続きを行う必要があります。

 

住宅ローン控除は、住宅ローンを組めば誰でも利用できる?

住宅ローン控除は、住宅ローンを組めば誰でも利用できるというものではありません。上で少し述べたとおり、住宅ローン控除の適用を受けるためには、決められた要件をクリアする必要があります。

 

以下に、住宅ローン控除の適用を受けるための大まかな要件を挙げておきますので、自分がその内容にきちんと該当しているかどうかチェックしてみてください。

 

1.住宅を新築もしくは取得、または増改築した日から6カ月以内に居住を開始し、さらに住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること(もし、控除を受ける対象者(住宅ローン契約の名義人)が亡くなった場合はその亡くなった日まで居住していること)。

 

2.住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が、3000万円以下であること。

 

3.新築もしくは取得した住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、その2分の1以上を居住用スペースとして利用していること。

 

4.契約している住宅ローンの返済期間が10年以上あること。

 

5.新築もしくは取得した住宅について、そこに居住している人が以下の期間において、「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」などを受けていないこと。

 

(1)令和2年4月1日以後に譲渡した場合・・・その居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間

(2)令和2年3月31日以前に譲渡した場合・・・その居住の用に供した年とその前後2年ずつの計5年間

 

なお、住宅ローン控除の適用を受けるには、上のすべての要件を満たす必要があり、1つでも欠けている場合は適用を受けることができませんので注意してください。

 

必要書類の入手方法

初年度の確定申告時には、さまざまな書類を入手する必要があります。必要な書類とその入手先を以下にまとめておきますので、参考にしてください。

 

ここに挙げたもの以外にも、ケースによっては「耐震基準適合証明書」や「長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し」などが必要となります。

 

これらの書類については、住宅の引き渡し時に不動産会社から受け取っているはずですので、大切に保管しておきましょう。もしも紛失したのであれば、発行体である市区町村の担当窓口に問い合わせてみてください。

 

初年度の手続き

住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度に確定申告を行う必要があります。手順は以下のとおりです。

 

1.「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に記入します。国税庁の公式サイトに住宅借入金等特別控除額の計算明細書がPDF形式でアップされていますので、それをダウンロードして活用すると良いでしょう。

 

内容は、「居住開始日」「土地や家屋の購入費用」「床面積」「住宅ローンの年末残高」の記入欄がありますので、すべて埋めていきましょう。さらに、ペアローンで住宅ローンを契約している場合は、それぞれが確定申告を行う必要があります。

 

そして、その際にはそれぞれの持ち分割合についても記載することを忘れないようにしましょう。すべての記入が終わったら、最終的なその年の特別控除額を算出して記入します。

 

2.確定申告書Aの第一表に、源泉徴収票の内容を転記していき、さらに上の計算明細書にて算出した「住宅借入金等特別控除額」を記入します。

 

3.確定申告書A第二表も、源泉徴収票を参考に必要事項を転記します。

 

2年目以降の手続き

2年目以降は給与所得のみの方であれば、年末調整で申告することが可能です。以下の書類を会社に提出することで終了します。

 

1.住宅借入金等特別控除証明書

初年度の確定申告後の10月頃に、管轄の税務署から残りの年数分まとめて送られてくるものです。住宅ローン控除を受けようとする年に必要なものですので、なくさないように保管しておきましょう。

 

内容は、初年度に確定申告を行った際と同じことを記載する形になります。異なるのは年末残高の額とそこから算出する控除額です。

 

2.住宅ローンの残高証明書

住宅ローンを借りている金融機関より、毎年10月頃に送られてきます。遅くても11月下旬までには用意しておきましょう。届かない場合は、速やかに金融機関に連絡を入れて再発行してもらってください。

 

ふるさと納税を利用している場合は注意が必要

住宅ローン控除とふるさと納税を併用することは可能です。ただし、提出の際には注意が必要です。

 

まず、ふるさと納税における「ワンストップ特例」は、住宅ローン控除1年目には利用できません。したがって、住宅ローン控除およびふるさと納税ともに確定申告で行う必要があります。

 

2年目以降で確定申告が不要な場合であれば、住宅ローン控除については年末調整で行い、ふるさと納税については「ワンストップ特例」を利用できます。

 

ただし、何らかの事情で確定申告を行う必要がある年においては、「ワンストップ特例」を利用することができないことに注意してください。

 

借り換えをしたら住宅ローン控除はどうなる?

通常であれば、借り換えを行った後は住宅ローン控除を利用できませんが、一定の要件を満たす場合、引き続き住宅ローン控除の適用を受けることができます。その要件とは以下のとおりです。

 

1.新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。

 

2.新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど、住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。

 

借り換え後に上の2つの要件をともに満たす必要があります。特に借り換え後の返済期間が10年以下となっている場合には、住宅ローン控除の適用を受けることはできませんので注意してください。

 

まとめ

住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度に限り確定申告で行う必要があります。必要となる書類も多く入手の手間もかかることから、事前に準備しておくようにしましょう。

 

ただし、ここで述べた手続きはあくまで給与収入のみの場合ですので、自営業者などの方は2年目以降も確定申告を行う必要があります。確定申告の時期にも注意し、申告し忘れることのないように気を付けましょう。

 

執筆者:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)

DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/801e97f50798fc0306d83adbbb9d311350966a53?page=1

2021年

1月

29日

リースバックの審査に落ちたらどうすればよい?落ちたときの対処法を紹介

まとまったお金を得るためにリースバックを検討する人は少なくないでしょう。しかし、リースバックには不動産業者による審査があり、審査落ちしてしまうと希望を出してもリースバックが利用できません。

 

もし、リースバックの審査に落ちた場合はどうすればよいのでしょうか。この記事ではリースバック審査の詳細、リースバックができる条件、審査落ちしたときの対処法を解説します。審査に落ちても慌てず、自分のできる対処法を試しましょう。

 

リースバックの審査とは

リースバックの審査は金融機関がクレジットカード発行などで行う審査とは違い、不動産業者独自の基準で行われます。そのため、ブラック入りしていたり、債務整理の経験があったりしても審査に通る可能性はあるのです。

 

ですが、もし審査に落ちた場合、リースバックは利用できません。不動産業者が行うリースバック審査の基準について、次で詳しく見ていきましょう。

 

リースバックを利用するための条件

リースバックを利用するには、最低限必要な条件があります。もし条件をクリアしていない場合は、審査に落ちリースバックが利用できない可能性が高くなるでしょう。

 

リースバックをするために必要な条件は、以下の通りです。

 

・不動産に重大な瑕疵がない

・名義人全ての同意がある

・ローン残債が売却価格を上回っている

・家賃保証会社の審査に通過できた

・住宅ローンの支払いが滞っていない

 

自分がそれぞれの条件を満たしているか、確認してみてください。

 

 

不動産に重大な瑕疵がない

 

不動産に重大な瑕疵がある場合、買い手が付く可能性は非常に低くなるのでリースバックができないことが多いです。

 

瑕疵の基準は不動産業者によって異なりますが、過去に事件などが起きた物件、建築基準法にのっとって建てられていない物件などは買い手探しが難しくなります。

 

 

名義人全ての同意がある

 

リースバックを行うには、不動産の名義人すべての同意が必要です。例えば、きょうだいで自宅を共有名義としていた場合、リースバックをするには他のきょうだいの署名・押印が必要です。

 

もし、同意が取れていない場合は審査に通らないので、名義人には必ず確認を取って合意をもらう必要があります。

 

 

ローン残債が売却価格を上回っている

 

不動産の売却価格よりもローン残債のほうが大きい場合、リースバックが使えないとしている不動産業者は少なくありません。

 

もしリースバック後も残債が残る場合、物件の抵当権は銀行などローン契約をした金融機関に残ってしまいます。リースバックに申し込むときは、住宅ローンの残債をなるべく減らすことが大切です。

 

 

家賃保証会社の審査に通過できた

 

リースバック契約で家を売却した後、賃貸契約を結ぶにあたっては家賃保証会社の審査に通過することが必要です。家賃保証会社とは、入居者が家賃を支払えなくなったとき、入居者に代わって家賃を支払ってくれる会社のことです。

 

家賃保証会社に保証をお願いすれば、いざというときに備えられるでしょう。しかし、家賃保証会社を利用するには家賃保証会社の審査に通過する必要があります。

 

現在は賃貸契約を結ぶにあたって家賃保証会社との契約を必須にしているところが多いので、家賃保証会社の審査に通ることはとても重要です。

 

 

住宅ローンの支払いが滞っていない

 

住宅ローンの支払いが滞っている場合、不動産会社によってはリースバックが利用できないこともあります。数か月支払いが遅れているだけであれば大丈夫なケースもありますが、長期間住宅ローンを支払っていない場合は銀行など金融機関から差し押さえが入る可能性が低くありません。

 

もし、物件が差し押さえられてしまうと、リースバック契約時に銀行の借り入れを抹消することができません。住宅ローンの支払いが遅れないよう、最優先で返済を進める必要があります。

 

リースバックの審査に落ちたときの対処法

リースバックの審査に落ちると、その不動産業者でリースバックはできなくなります。しかし、リースバックを利用したいのにできない、となれば困ることも出てくるでしょう。

 

リースバックの審査に落ちたときの対処法は、以下の通りです。

 

・不動産を売却する

・他の不動産業者に依頼する

・住宅ローンの返済プランを見直す

・債務整理をする

 

自分にできる対処法で、悩みを解決しましょう。

 

 

不動産を売却する

 

リースバックの利用条件を満たすのが難しい場合には、リースバックするのではなく、通常の方法で売却をしましょう。

 

安定した収入や貯金がなく賃貸契約を結ぶのが難しい人でも、不動産の売却だけであれば可能です。通常の方法で不動産売却をしたほうが必要な条件も少なくなるので、不動産を売却してまとまったお金を得るという目的も達成しやすいでしょう。

 

売却後は引っ越しをする必要がありますが、すぐに家を現金化したい人はリースバックではなく通常の不動産売却を検討してください。

 

 

他の不動産業者に依頼する

 

業者ごとに審査の基準は異なるので、一度審査に落ちた人でも他の業者なら審査に通る可能性があります。どうしてもリースバックをしたい、思い入れのある不動産を手放したくない、という人は他の業者に申し込んでみましょう。

 

ただし、住宅ローンの残債が多すぎる、名義人の同意が取れていない、という状況ではどの不動産業者でも審査が厳しくなります。申し込み前に利用条件をしっかりと確認しましょう。

 

 

住宅ローンの返済プランを見直す

 

住宅ローンの返済が苦しいのにリースバックの審査に落ちてしまった、という人は住宅ローンの返済を待ってもらいましょう。

 

現在、新型コロナウイルスなどの影響により住宅ローンの支払いが難しくなる人が増えています。そこで現在、各金融機関では返済プランの変更・見直しを積極的に行っています。

 

今月、住宅ローンが支払えないかもしれないと感じたら、各金融機関の相談窓口に連絡をしてください。

 

 

債務整理をする

 

借金が多く、返済が難しい、生活が苦しい場合には、債務整理も検討してみましょう。債務整理とは、借金を減額したり返済計画を変更したりして借金の負担を減らす手続きのことです。

 

債務整理をした状態でリースバックをするのは非常に難しくなりますが、任意整理・自己破産などをすれば借金から開放されます。

 

借金返済を目的にリースバックを検討していたけれど、審査に落ちてしまったという人は弁護士などに相談し、債務整理について詳しく聞いてみましょう。

 

リースバック審査に通過するポイント

リースバック審査により高い確率で通過するには、リースバックの利用条件を満たすことが大切です。

 

ここからは審査が不安な人に向けて、通過のポイントを2つ解説していくので、他の業者に申し込みをしよう、と考えている人はぜひ参考にしてください。

 

 

安定した収入を確保する

 

リースバックの審査では、賃貸契約後毎月賃料をしっかり支払えるかがチェックされます。

リースバックの審査は金融機関による審査と異なるため、信用情報に不安がある人でも、現在安定した収入があれば審査に通過できることもあります。しかし、収入がない場合は審査に通過できない可能性が高いです。

 

特に、家賃保証会社では収入や資産の状況についてチェックされることが多いので、リースバックを申し込む前に安定収入を得ている、または十分な貯金を持っていることが必要です。

 

 

名義人全員と話し合う

 

リースバックの契約には名義人全員の同意が必要なので、リースバックを検討するならなるべく早く連絡を取り、しっかりと話し合いましょう。

 

もし、他の名義人と疎遠になってしまっている場合、代わりに連絡を取ってくれる業者もあります。同意なしで契約を進めず、必ず不動産業者に相談をしてください。

 

リースバックの審査に落ちても終わりではない!

リースバックの審査は不動産ごとの独自基準で行われます。そのため、ある不動産業者で審査落ちした人も、他の業者に申し込みしてみましょう。

 

ただし、リースバック利用者に求められる最低限の条件を満たしていない場合はどこの業者でも審査が厳しくなります。

 

住宅ローンの支払いが滞っている、不動産が事故物件である、など解消が難しい問題がある場合は、リースバックを利用せず通常の方法で売却することも検討してください。

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/2262b43d89d938a23aa590c3a47cc22eb253d653?page=1

2021年

1月

22日

新築マンションの購入を検討しています。初期費用はいくらかかりますか?

住宅を購入する際には、その住宅の価格以外にさまざまな費用が発生します。新築マンションを購入しようと思った際には、販売価格に加えてどのくらいの費用がかかるのかをあらかじめ想定しておく必要があります。

 

今回は、新築マンションを購入する際にどのくらいの費用が発生するのか、またそれを抑えるポイントについても解説します。

 

新築マンション購入にかかる費用

新築マンションの購入時にかかる諸費用は、契約から入居までにかかる費用と、購入後にかかる費用に分けることができます。購入後にかかる費用としては、不動産取得税、管理費や修繕積立金、そして固定資産税や都市計画税などが挙げられます。そして、いわゆる初期費用といわれる、契約から入居までにかかる費用については、以下のものがあります。

 

■新築マンション購入の際の初期費用

まず、契約時にどんな費用が発生するのか見ていきましょう。

 

1.申込証拠金

売買契約の多くにおいて発生するものです。申込証拠金とは、その物件を購入すると決めた際やその申込時に支払うもので、「申込金」という言い方をすることもあります。この申込金は購入すると決めた意思表示に基づいて支払うもので、その後購入をキャンセルすることになった際には返金されます。申込金は10万円程度といわれていますが、申込金を必要としないケースもあることから、事前に確認しておくようにしましょう。

 

2.手付金

マンションを購入する契約手続きに至った際に支払うものが手付金といわれるものです。手付金は申込金と異なり、手付金を支払った後に買主側の都合で契約手続きが破棄になった場合であっても返金されることはありません。ただし、売主側の都合で契約破棄となった場合については、売主側は受け取った手付金の倍額を支払うこととなっています。この手付金については、通常引き渡しの際に購入価格の一部として取り扱うことになっています。

 

3.印紙税

物件の売買契約書に貼付する、収入印紙の額のことです。この印紙税は売買契約書に記載されている金額によって異なります。ちなみに現在では軽減措置が設けられており、2014年4月1日から2022年3月31までに作成される売買契約書については、契約金額が1000万円超5000万円以下の場合は1万円(本来税額2万円)、5000万円超1億円以下の場合は3万円(本来税額6万円)となっています。

 

4.頭金

住宅ローンを利用する際に必要となるもので、最近では頭金不要で住宅ローンを利用できる金融機関も増えています。しかし、毎月の返済額や総返済額を抑えるためにも、頭金はできるだけ用意しておきたいものです。もちろん、手元に余裕資金がないのであれば無理に用意する必要はありませんが、可能であれば準備しておきましょう。

2020年3月に国土交通省が発表した「令和元年度住宅市場動向調査報告書」によると、分譲マンションの平均購入価格は4457万円、そして頭金の平均は1755万円と、物件価格の4割程度を頭金として用意していることが分かります。

 

次に、契約から引き渡しまでにかかる費用について見ていきましょう。契約から引き渡しまでにかかる費用については、主に住宅ローンの利用に関わる諸費用となります。

 

5.事務手数料

住宅ローン契約の際に金融機関に支払うもので、金額は金融機関によって異なります。定額にしている金融機関もあれば、融資金額に一定の割合を乗じたものを設定している金融機関もあります。

 

6.保証料

住宅ローンを組む際に保証会社を利用する場合に発生するものです。この保証料を支払うことで、返済が困難な状態になった際には、代わりに保証会社に返済してもらうことが可能になります。

保証料は一括前払いで支払うケースもあれば、金利に上乗せされるケースもあります。一括前払いで支払った場合、繰上げ返済を行った際には返済期間が短縮した分保証料が返還されることもあります。金利に上乗せして支払う場合は、そのような返還制度はありません。

 

また、誤解しがちなのが、保証会社が代わりに返済してくれるからといって、その後の返済義務がなくなるわけではありません。代わりに返済を行った保証会社が金融機関に代わって住宅ローンの契約者に返済を求めてきます。もしその際に返済ができない場合は、最悪の場合、担保にしているマンションが競売にかけられます。

 

7.印紙税(住宅ローン契約時)

住宅ローンの契約時には、マンション購入時の売買契約書とは異なり、金銭消費貸借契約書を締結します。その際にも、その契約書に記載された金額に基づいた印紙税(収入印紙の貼付)が必要です。ただし、売買契約書のような軽減措置はありません。したがって、借入金額に基づいた印紙税を支払うことになります。

 

8.火災保険料

住宅ローンの利用の際、火災保険への加入を義務付けている金融機関がほとんどです。また、一括払いとしているケースが多いため、その保険料を用意しておく必要があります。

 

最後に、住居引き渡しの際にかかる費用について説明します。引き渡しの際には登記関連の費用が発生します。住宅ローンの手続きにおいて、契約締結の際に所有権移転登記や抵当権設定登記が必要です。

 

したがってその登録免許税および登記を代行してくれる司法書士への報酬を用意しければなりません。登録免許税については以下のとおりとなっており、こちらも一部についてはカッコ内の期限において軽減措置が取られています。

 

建物部分・・・固定資産税評価額の0.3%(2020年3月31日までの登記)

土地部分・・・固定資産税評価額の1.5%(2021年3月31日までの登記)

抵当権設定・・・借入金額の0.1%(2020年3月31日までの登記)

 

初期費用を抑えるポイントは?

このように、マンション購入の際には物件価格以外にもさまざまな費用が発生します。総額でみるとかなりの額になるのではないかと不安になりますが、これらの費用を抑えるポイントがありますので、以下に解説します。

 

1.手付金

手付金は法律によって上限額が決まっており、物件価格の20%までとされています。もちろんその上限額を支払う必要はなく、売主側との交渉によって低く設定することも可能です。したがって、手付金の額については、できるだけ交渉して抑えるようにしましょう。

 

2.住宅ローン契約時の印紙税

最近ではネット銀行が住宅ローンを販売しており、手続きがすべてインターネット上で完結できるものが増えています。インターネット上で金銭消費貸借契約書を結ぶことで、印紙不要としているネット銀行もあります。

 

3.火災保険料

火災保険は住宅ローン利用の際に必ず加入する必要がありますが、保険会社については金融機関が指定する保険会社である必要はなく、自分で選ぶこともできます。したがって、さまざまな保険会社を比較し、保障内容と保険料について納得できる保険会社を選ぶことは、費用を抑えるだけでなく、今後の保障を考えるという意味でも大切です。

 

まとめ

マンションを購入する際の初期費用の相場は、物件価格の1割程度といわれています。4000万円のマンションであれば、400万円にも上ります。引っ越しの費用などを加味するとさらに費用がかかるでしょう。

 

したがって、初期費用を抑えるポイントをしっかりと理解し、そしてそれが実行できるかどうか、不動産会社や金融機関の情報を事前に得ておくなど、情報収集を怠らないようにしましょう。

 

執筆者:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)

DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/5b480c1842f624e6dd5c00524de55ca2f69513c2?page=1

2021年

1月

15日

マンションも戸建ても「今年は値上がり」する訳

就業者数が1年前と比べ最も増えた産業は何かご存じだろうか。それは、不動産業である。実に、2020年10月の前年同月比で6.9%増えている。2位の金融業・保険業4.2%、情報通信業の3.1%を引き離しぶっちぎりの1位だ。ちなみに、ワーストだった業種は宿泊・飲食業で9.5%のマイナスである。

 

ここから言えることは、不動産の中でもホテル・飲食は苦戦しているが、最も需要が堅いと言われる住宅はアベノミクス以降、好景気が続いているという事実である。コロナショックで住宅価格の下落なんて、起こる気配はみじんもないのである。2021年の住宅市場の背景を理解しておくと、ご自宅戦略を成功に導くことができる。

 

■不動産事業が好調の理由

 

不動産価格はそれを購入する際のローンの借入額で決まる。2012年12月から始まる安倍政権の経済政策の3本の矢の1つ、金融緩和は既に8年が経過しているが、異次元で行われている。これはデフレ脱却のために始められたもので、インフレ率2%に届くまで終わらないが、届きそうな状況にない。

 

こうなると、黒田日銀総裁の任期2023年4月まで続く可能性が高い。その時点で金融緩和だと新築分譲マンションは土地取得が決まってから分譲されるまで約2年かかるので、2025年の新築マンション価格までは上がることがほぼ決まっていることになる。

 

不動産業は借入をして購入するものである。資産1億円を手に入れるのに、手元資金は1割で借り入れが9割というのはよくあることだ。不動産は担保が取れるので、貸し出しがしやすい資産の最たるものになる。金融緩和はカネ余り状態を作るので、不動産価格は原則上がっていく。単純に言って、金融緩和は不動産インフレを必ず招くのだ。この状況はコロナ前後でも変わっていないので、不動産インフレは止まりそうにない。

 

コロナ前後のマンション価格の動きを振り返っておこう。自粛期間中の4・5月は先行き不安の投げ売りが出て、中古マンションの成約価格は下落した。しかし、この投げ売りは2か月で終わった。その後は、コロナ前の価格に戻り、今はその価格よりも高くなっている。

 

新築マンションの方は、供給者側が大手寡占に近くなったこともあり、数か月間販売を我慢することは体力的にできる。本気度の高い顧客だけの来訪はコストを抑えながら効率的な販売を可能にした。販売戸数は昨年と比して大幅減になるものの、慌てる様子は中堅以下にしか見られない。この状況下では、値引き販売などが行われる段階にはない。

 

そんな折、中古の販売在庫は減りつつある。投げ売り処分されたものは、郊外・駅遠などの立地条件の悪いものが多かったために、残された在庫価格は上昇した。また、見ず知らずの人が内覧するのを敬遠する気持ちから販売を辞める物件が増えた。こうして在庫が減少しながら、在庫価格は上がった。

 

こうしたことは以前にも起きている。リーマンショック後、新興系のデベロッパーの多くが資金ショートして倒産した。この結果、新築マンション供給が前年の1/3に急減し、あまりの新築物件の少なさに中古マンションが売れて、在庫が減りながら値上がりを始める事態が起こる。リーマンショックから1年しか経っていないのに起こった「まさかの値上がり劇」だった。こうして、リーマンショックから2年後には元の価格に戻っていた。

 

不動産価格はローンで決まると書いたが、需給バランスはこうした在庫減の時に価格に影響しやすい。在庫が減ると、価格は上がる方向に動きやすい。これが最も2021年に起こりそうな状況にあると理解した方がいい。

 

■新築分譲戸建も売れている

 

一方、戸建市場も活況を呈している。新築分譲戸建は年換算で首都圏で7万戸に迫るハイペースで売れていて、毎月在庫が1000戸ほど減り続けている状態にある。新築分譲マンションが2019年の供給戸数が3万戸強なので、既に戸数ベースで2倍の取引量が一大マーケットになっている。

 

これだけ売れているものの、新築の着工戸数は4月以降前年同期比で17%マイナスとなっている。こうなると、在庫が少なくなる一方で、販売期間が短くなり、竣工前に売れる事態が増えている。一般的に売れ行きが悪く、建物が竣工してしまうと売出価格の値引きが始まるが、実質的な売買価格の上昇が既に始まっている。

 

ここで言えることは、住宅市場の場合、マンションでも戸建でも一定の需要が常にあるので、供給不足になると価格は上がる方向に動くということだ。都市の住宅市場において、需給バランスの影響は上がる方向にしか動かない、これが実態である。このため、不動産価格は下がることはなく、上がることしかないのである。

 

下がる時は不動産事業者が倒産して資産処分するしかない場合に限られる。それは金融が引き締められた時で、それは当分の間無さそうな状況にある。金融緩和されているうちは持ち家を早く買った者勝ちなのだと言うことは分かっておいた方がいい。

 

■コロナで住宅価格暴落の諸説は本当か?

 

ここからは、ちまたで言われているもっともらしい不動産価格暴落説に反論しておこう。

 

コロナで住宅購入需要は減退し、価格が暴落するという話がある。これは需給バランスというもっともらしい論旨展開だが、先ほど来の話のように、一定量の取引がある都市部では需給バランスで価格は下には動きにくい。

 

地方では取引量が非常に少ないので、需要が非常に少ない中で、供給が増えると下がることはある。地方の土地は価格すらつかないものも増えている。しかし、これは地方の話でしかない。何と言っても、都市部ではいまだに人は増えており、地方では大幅に減っているのだから。

 

残業やボーナスのカットで2020年の年収が減った人がいる。2020年の源泉徴収票の年収が下がると、購入できる価格が下がり、買えない人が多くなる。確かに需要は減退することになろう。それでも供給が少ない状態がマンションも戸建も続くので、価格が下がるような事態にはなりそうにない。

 

職を失うなりして住宅ローンの延滞が始まり、引っ越しせざるを得なくなった悲惨な事例がニュースで取り沙汰される。こうしたニュースの人が支払っている住宅ローンの月返済額は総じて少ない。これは家の問題ではなく、稼ぐ能力の問題である。

 

実際、2020年度の経済成長率は5%以上のマイナスになりそうだが、失業率はわずか0.4%しか上がっておらず、まだ2020年11月時点で2.9%である。リーマンショック後の5.5%の失業率とは比較にならない程、家計への影響は軽微であり、緊急経済対策の効果は抜群にあったと言わざるを得ない。

 

この結果、2021年の持ち家価格は上昇に向かう可能性が高い。その傾向は少なくとも2023年までは続く。そんな中にあって、持ち家購入を遅らせた分だけ、損が拡大していくことになる。これに加えて、住宅ローン減税の対象が50㎡以上から40㎡以上に緩和された。独身や夫婦のみの世帯にとっても、2021年は持ち家購入を早くした方がいい。

 

沖 有人 :不動産コンサルタント

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/a42f012b40c0673634048bf80b9eba4f2a95445d?page=1

2021年

1月

08日

え、新築なのに…水回りでわかる「欠陥住宅」の恐ろしい特徴

建売住宅の欠陥・不具合を見抜く秘訣とは…!? 今回は「水回り」を見ていきましょう。 ※本記事は、書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

水回りは家の生命線…暮らしの充足度に直結する

 

ポイント(1) キッチンの排水をチェック

 

水回りは家の生命線です。家の機能そのものといっても、差し支えありません。箱としての家に、暮らすための機能を持たせているのは水回りです。

 

水回りの不具合は、そのまま暮らしに直結します。念入りにチェックしていきましょう。

 

まずキッチンでは水道を開栓して、水を流してみましょう。排水口から水がきちんと排水されるかを確認してください。流しの下を開くと、パイプの接合部を見られるはずです。ここから水漏れなどは起きていないでしょうか。

 

「水道を流しっぱなし」で水回りのチェックをする理由

次に、床下収納庫を取り外して、床の水漏れをチェックしてください。この間も、水道は流しっぱなしにしておいてください。どこかから水が漏れていれば、床に水が溜まるので、すぐにわかるはずです。

 

洗面台も、キッチンと同じように水を流しながら、排水をチェックしましょう。下部の扉を開くと、排水管が見えるはずです。

 

最近の排水トラップは、排水口に異物を落としてしまったときに排水管から取り出しやすくするために、トラップの下部にキャップがあります。しかし、このキャップがゆるんでいたり、不具合があると、ここから水漏れを起こしてしまいます。

 

実際に手で触ってみて、濡れている箇所がないかを確認してください。

 

まさか!?「ユニットバス」を良く見てみると…

 

ポイント(2) 天井の点検口をチェック

 

天井には、ふたを取り外せる点検口がありますので、これを外してください。懐中電灯で照らすと、内部の様子が見られます。小屋裏を点検口から覗き込むと、小屋裏全体に断熱材が敷き詰められているはずです。

 

しかし、その断熱材がない物件を発見することもあります。また、ときとしてユニットバス付近に断熱材の貼り忘れを発見することがあります。

 

ここで問題になるのは、建物の建っているエリアです。不動産広告には明記が義務付けられていますから、確認してみましょう。

 

都市計画法で「準防火地域」となっている場所では、火事が起きた際に延焼を防ぐという観点から、小屋裏(天井裏)の壁の立ち上がり面にも、外壁の裏側には、不燃材(石膏ボード)の設置が義務付けられています。

 

同様にユニットバス周囲の外壁裏側にも不燃材(石膏ボード)の設置が義務付けられています。しかし、これらの不燃材(石膏ボード)が未施工になっている建売住宅を時々発見します。小屋裏点検口やユニットバスの天井点検口から見たときに、木材がむき出しになって見えている場合は、準防火地域では違反建築となってしまいます。

 

もうひとつ、ユニットバスで確認していただきたいのは、内部のキズです。建築中に、工事業者によって物置として使用されていることが多いのが理由です。工具でキズが付くことが多いため、ユニットバスのメーカーから「物置として使わないでください!」と貼り紙がされているほどです。こうしたキズを見つけた場合には、遠慮せずに補修してもらうように交渉しましょう。

 

恐ろしい…給湯器を固定する「釘」の「ズレ」

 

ポイント(3) 給湯器は固定具合をチェック

 

本体だけで30キログラムはある給湯器ですから、確実に取り付けられていないと、地震の際に落下する危険性があります。

 

外壁に取り付けるのが一般的ですが、このときにサイディングボードだけではなく、釘がしっかりと下地の木の部分に留められているか確認してください。

 

サイディングボードの厚みは14~16センチメートルですが、30キログラムもあるものに対しては安定しません。釘がズレていないかを見るには、横に走っているラインに沿っているかを見れば、大丈夫のはずです。

 

「雨どい」は実際に触って動かしてみよう

 

ポイント(4) 雨水による被害を防ぐベランダ、雨どいの見方

 

雨どいは実際に触って軽く動かしてみましょう。取り付けが甘い場合だと、簡単に動いてしまいます。また、斜めに取り付けられていないかどうかも重要なチェックポイントです。

 

少し離れて見て、壁の縦線にまっすぐ沿っているか確認をしてください。

 

また、ベランダの床から立ち上がり部分の高さは、12センチメートル以上なければならないと決められています。これ以下だと、大雨が降ったときに、部屋に雨水が流れ込む事態になりかねません。

 

また、これに関しては、ゴミや土などで雨どいを詰まらせないようにすることが大事ですが、これは家の造りというよりも、暮らし方の問題です。

 

要注意!「古くからある塀」をそのまま使うと…

 

ポイント(5) 塀の鉄筋チェックも忘れずに

 

住宅と同時に新しく造られた塀なら問題はないのですが、古くからある塀をそのまま使う場合は要注意です。古い塀には、鉄筋が入っていないことが少なくありません。鉄筋の有無によって耐久性には大きな差が出てきます。

 

新しく設置しない場合、隣の敷地との境目にある塀をそのまま使用することも少なくありません。手で軽く押しただけで揺れるような場合は、鉄筋が入っていないと考えて間違いないでしょう。

 

スマートフォンのアプリに、金属探知機がありますので、これを利用して壁内部の鉄筋の有無を確かめてみるのもいいでしょう。

 

コンクリート内部の鉄筋の状態を正確に知るには、プロの診断にゆだねることをおすすめします。私が使っているのは、高性能鉄筋探知機です。これを使うと、一般的な金属探知機よりも精度の高い検査が行えます。

 

「新築の家はきれい」は当たり前ではない!?

 

ポイント(6)〝雑〟な造りの家は後悔する可能性大

 

ここで、ちょっと気になるところを見つけたときのことについて、お話ししましょう。今までは、建物内覧の際のチェックポイントや建物の見方について説明をしてきました。しかし、ここで注意していただきたいのはメンタル面です。

 

新築の家だから、きれいなのが当たり前だという思い込みや、大きな買い物をする際の興奮状態によって、冷静な判断ができないことも少なくないと思います。こうした状態で臨むと、平常なら見えるはずのものも見えてきません。少しのことなら「まあ、いいか」と大きな気持ちになることもあります。

 

家の垂直状況、水平状況、断熱材の施工状況などがきちんとしていれば、家としての大きな問題はありません。立地条件や価格なども含めて、購入することに前向きなところに、営業担当者の煽るような売り文句をかけられても早々に契約を急がず、確かめていただきたいのは細かな点です。

 

◦ドアや窓枠のキズ

◦引き戸のキズ

◦フローリングのキズ

◦床下、天井裏、庭などに散乱するゴミ

 

「些細なキズ」に表れる職人の姿勢

これらは、小さなものでしたら引き渡しまでに補修してもらえればよいはずですし、散らかったゴミも片付ければよい、と思われるかもしれません。

 

しかし、これを造った職人の姿勢に疑問を感じてしまうのです。一戸建ては、買う人にとっては一生に一度の買い物である場合がほとんどです。さまざまなことを考え合わせたうえで、家を選ぶのです。建てる側には、雑ではなく、丁寧な仕事をしてほしいと願うのはムリなことではないはずです。

 

見えているのは些細なキズだけだとしても、どのような工事をしたのかが、その小さなキズに表れているように思うのです。

 

数カ所であれば偶然ということもありますが、キズのある箇所があまりに多い場合には一度、考え直してみてもよいかもしれません。

 

特に、不動産市場が大きく動くといわれる2月、3月という年度末の時期は、営業担当者からも「他に引き合いがある」といった急かせる言葉が出がちですが、その言葉に惑わされないようにすることが大切です。

 

その点からいえば、落ち着いて物件を探すためには、繁忙期の2月、3月を避けたほうがよいといえるでしょう。

 

田中 勲

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/16b25540f39826848bdb86cddd37b3e1b668c069?page=1

2020年

12月

28日

リースバックを利用するための条件とは?利用できないケースも解説

リースバック契約を結ぶ際には、既定の条件を満たしておく必要があります。もし条件を満たせない場合、不動産業者にお願いしてもリースバックを使えない可能性が高いでしょう。

 

そこでこの記事では、リースバック契約における条件と、リースバックを利用できないケースを解説していきます。自分がリースバック契約を結べるのか、事前にしっかり確認しておきましょう。

 

リースバック契約の利用条件

リースバックには利用条件を満たしているかどうかの審査があります。審査といっても、消費者金融や銀行ローンのように厳しく信用情報をチェックされる訳ではありません。

 

審査の条件や内容は、不動産業者ごとに異なります。そのため、他の金融機関の審査に全て落ちている方でもリースバックの審査には通る可能性があると言えるでしょう。

 

とはいっても、審査ですのでどんな人でも絶対にリースバックを使える訳ではありません。条件を満たしていなければ落ちてしまうので、以下で解説するリースバックの条件を知っておきましょう。

 

◆名義人の同意が取れている

 

リースバック契約をするには、家の名義人全員が同意しなければいけません。1人でも同意していない人がいると、契約は成立せずリースバックの話はなくなってしまいます。

 

不動産業者は、契約時に名義人の同意が取れているか、署名などでしっかり確認するので家族間での話し合いを済ませておく必要があります。

 

ちなみに、相続人の同意は不要なので、契約だけであれば相続人への相談はなくても大丈夫です。しかし、いつの間にか相続するはずの家が売却されていたという状態だと、相続時のトラブルにつながるのでリースバックの話はしておきましょう。

 

◆売却価格がローンの残債を上回っている

 

リースバックが利用できるのは、原則として売却価格がローンの残りを上回るときとなります。例えばローン残高が1000万円の時、リースバックを使えるのは売却価格が1000万円を超えるときです。

 

もし売却価格がローン残高を下回っている場合、いったん不動産を任意売却する必要があるので、リースバック契約までには手間がかかるでしょう。

 

◆毎月の家賃を払えるだけの収入がある

 

不動産業者が最も重視するのが、契約者に家賃を支払える支払い能力があるかどうかです。リースバック契約では、家が売却されて所有権を失うので、毎月の家賃を払えなければ、退去となります。

 

もし収入が少ない場合、毎月家賃を支払えないとして契約を断られる可能性も少なくありません。そのためにも他のローンは返済しておく、まとまった貯金をしておくなどの対策が必要です。

 

不動産リースバックで審査落ちするケース

リースバック契約は、利用条件に満たない、不動産が売れないなどの理由で断られることも少なくありません。

 

各不動産業者は明確な審査基準を示していませんが、リースバックの条件から落ちてしまうケースも予想できます。

 

不動産リースバックの条件に満たないケースは、以下の通りです。

 

・不動産に買い手が現れない

・所有者の同意が取れていない

・不動産が事故物件である

・家賃の支払い能力がない

・家賃保証会社の審査に通らない

 

それぞれ確認していきましょう。

 

◆不動産に買い手が現れない

 

物件の価値が低い場合、なかなか買い手が見つからずリースバック契約を結べなくなります。不動産に買い手が付くかどうかは、物件の建っている場所や築年数、周辺環境により変わります。

 

物件のたっている場所など対策できない状況もありますので、買い手が現れない場合はリフォームをするなどして物件価値を上げる、もっと価値が上がりそうなタイミングで売却する、といった方法を採りましょう。

 

◆所有者の同意が取れていない

 

全ての所有者がリースバック契約に同意していなければ、買い手が見つかりそうな物件でも審査には落ちてしまいます。

 

リースバック契約には、名義人全員の同意が必要です。不動産業者によっては、名義人が店頭に訪れることを条件にしているところもあるので、適当な話し合いでは契約を結べません。

 

また、必須ではありませんが、同居している家族に同意を取らず勝手に話を進めている場合も、トラブル防止の観点から審査落ちする可能性があります。

 

家族との不和が不動産業者に知られることは少ないですが、査定や相談の時、家族内でもめているのは大きなマイナスポイントです。リースバック契約の話はあらかじめ家族で話し合っておいてください。

 

◆不動産が事故物件である

 

リースバックで売却予定の不動産が事故物件の場合、物件の価格は大きく下がります。事故の内容にもよりますが、事故物件の売却価格は通常の売却でも市場相場の2~3割程度です。

 

さらに、リースバックの場合は通常の売却価格の60~80%で取引されるので、売却価格はさらに下がるでしょう。そのため、事故物件はほとんど価値がつかないとして、リースバックを断られることも少なくありません。

 

また、事故物件であることを隠して売却すれば、契約を解除されるだけでなく罪に問われることもあります。もし事故物件を売却したい場合は、事情を説明して今後どのように対処すればよいか不動産業者に聞いてみましょう。

 

◆家賃の支払い能力がない

 

リースバック契約後、毎月家賃を支払う能力がないと判断された場合は審査落ちとなります。家賃を支払えるかどうか決める基準は、不動産業者ごとに異なります。そのため、クレジットカードを滞納した人や、その他のローンを組んでいる人もまとまった貯金さえあれば審査に通る可能性が高いでしょう。

 

また、老後の資金のためリースバック契約をする人は多いので、年金暮らしでも年金など安定した収入と貯金があれば審査に通るケースも多いです。

 

ただし、明らかに収入が少ない人や貯金がない人は審査に落ちる可能性もあるので、資金面を安定させつつ他の業者も候補に入れておきましょう。

 

◆家賃保証会社の審査に通らない

 

収入が低く、家賃の支払いに不安がある場合は家賃保証会社の審査に落ちる可能性があります。特に、過去に家賃を滞納している場合は、家賃を支払えない可能性があるとして審査落ちにつながることもあります。不安な点があれば、不動産業者に相談をしてみましょう。

 

リースバックが利用できなかったときはどうする?

 

まとまったお金が必要で、リースバックを検討していたという方は少なくありません。しかし、不動産業者の提示する条件に合わず、リースバックができなかったときはどのように対処すればよいのでしょうか。

 

ここからは、リースバックの審査に一度落ちた場合の対処法を以下の通り解説していきます。

 

・他の業者に依頼する

・不動産だけ売却してしまう

 

諦めず、他に自分ができる手段を探しましょう。

 

◆他の業者に依頼する

1つの不動産業者のリースバック契約に断られても、全ての不動産業者の審査に落ちる訳ではありません。リースバック契約における審査には共通の判断基準がなく、各不動産業者の判断で決められている状況です。そのため、一度審査に落ちても、別の業者に申し込みをすれば審査に通る可能性は十分にあります。

 

リースバック契約を急いでいる方は、審査落ちに備えあらかじめ複数の業者を検討しておくことが大切です。他の業者とすぐに連絡が取れる状況なら、短期間で契約を結べる可能性が大きくなるでしょう。

 

◆不動産だけ売却してしまう

 

リースバック契約の審査にどうしても通らない場合、リースバック契約をせずに、不動産を売却するのがおすすめです。

 

家の売却だけであれば、リースバックほどの詳しい審査は不要です。早くまとまった現金が欲しい人は、売却だけでもできないか相談してみましょう。

 

ただし、通常の売却では家をそのまま賃貸契約を結んで借りることはできません。売却後は家を永遠に手放す覚悟が必要なので、名義人や相続人ともよく話し合って決めましょう。

 

リースバック契約では条件を確認しよう

 

リースバック契約を結ぶには条件があり、条件に満たない人は審査で落とされてしまいます。また、条件には通過していても、不動産業者から見て不安要素の多い方はなかなか審査に通らないでしょう。

 

まとまったお金が必要で、すぐにリースバックを必要としている人もいますが、リースバックはすぐに誰でも利用できる制度ではありません。

 

審査に落ちるのが不安なら、リースバックが利用できるかどうか、事前に不動産業者にしっかり確認しておきましょう。

 

また、審査落ちに備え、複数の業者を検討することも大切です、リースバックの条件は、不動産業者ごとに異なります。1つの業者で審査落ちしても他の業者なら問題ない可能性もありますので、その場合は他の業者も検討してみるとよいでしょう。

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

 

監修:新井智美

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)

DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/5db66f7c6bea182d980cfe6ab0ea1e74e198f398?page=1

 

2020年

12月

25日

ヤバい物件をつかまされないために! 警戒すべき不動産営業とは?〈dot.〉

自分の希望にかなった家や土地を探すためには、いい不動産業者との出会いが欠かせない。ここでは、不動産・建築業界取材歴20年超の業界紙記者が、年末年始で慌ててヤバい物件をつかまないために、有能な不動産営業の見極め方をお伝えする。

 

■年末年始は「稼ぎどき」 セールストークにご用心

 

年度末3月に向けた引っ越し、入居を目指した賃貸物件や分譲物件探しは、年明け1月が最初のピーク。不動産業者は12月から1月にかけて、年度末に向けての顧客を確保しようとモチベーションを高めている(別記事「年末年始「物件探し」は要注意! ヤバい不動産屋の見極め方」参照)。今回は実際に接客する営業担当者とのコミュニケーションを中心に、ヤバい業者にハマらないためのチェックポイントを説明しよう。

 

年末年始の営業担当者は、ノルマをクリアするため、なるべく多くの見込み客を抱え込もうとし、また早々に契約して自分の売り上げを伸ばそうとしている。いわば「稼ぎどき」だ。テンション高く張り切って、問い合わせてきた客を自分のペースに引っ張り込もうとする営業担当者もいる。そのセールストークにうかつに乗ってしまうと、納得のいかない物件をつかまされてしまうことにもなりかねない。

 

■営業担当者は第一印象がすべて

 

不動産業では大きな金額を日常的に扱うため、営業担当者は遺産相続、家庭不和、金銭問題などシビアなトラブルに巻き込まれることも少なくない。修羅場に直面するだけに、海千山千のしたたかな人間も多い業界だ。そこでチェックしたいポイントは、「営業担当者のキャラクター」である。以下のような兆候が見られたら、警戒したほうがいい。

 

・雑談が成立しない

雑談は、お互いの様子を見ながら興味や見識を確かめ、テンポを合わせる配慮がないと滞ってしまうものだ。一方的にしゃべりまくるような営業担当者は論外。逆に、あまりに無口なようではこちらが話しかけづらい。そのあたりをきちんと配慮できる営業は有能だ。

 

・話を聞いていない

会話がスムーズに流れているようでも、なぜか内容が食い違う。聞きたいことに対して、関係のない話題にそれていく。そんな営業担当者は、うなずいているようでもこちらの話を聞いていないことが多い。客の言うことは適当にあしらって、どの物件を推していくか、その段取りで頭がいっぱいなのだろう。

 

・身なりやしぐさが気になる

スーツの着こなしがだらしない、清潔感に欠ける、しぐさや話し方のクセが気になるなど、「ちょっとイヤだな」と感じてしまう相手とはやはり商談が難しいものだ。

 

こうしたチェックポイントを一言で表すなら「相性」ということになる。そして第一印象でよくないイメージを持った場合、そのジャッジはだいたい正しい。

 

接客を担当する営業は、この後の物件案内から契約までの付き合いとなる。大きな出費を伴う取引となるだけに、本当に信頼できる相手か、きちんと見極めたい。

 

■物件案内ではデメリットの確認が最優先

 

通常、物件案内の場合、不動産業者の事務所から営業担当者の運転する車に乗って出かけることになる。客と自分と「2台に分かれると動きにくい」「現地に駐車スペースがない」などの理由があるが、「自分の車に乗せてしまえばどこにでも連れていける」「客を勝手に帰さずにすむ」という本音も透けて見える。

 

客としては興味のある物件だけを見に行きたいのだが、いったん乗車すると「道すがらですから」ということでたいてい数件、引き回されるものだ。候補の物件を複数ピックアップしているときは、道順もあるが、たいてい「難アリ」の物件から見せていく。そこでは営業担当者は、いかにこの物件が「よろしくないか」を伝えるのだ。

 

そのうえで客にとっての本命の物件を見せることで「こんなに好条件の物件はここしかない」という印象を持たせて、「すぐ決めないと他の人にとられてしまう」と思わせるのが狙いだ。

 

その勢いに乗せられては、確認すべき大事な点を見過ごしてしまいかねない。次のチェックポイントは「現地見学のときの質問に答えられるか」だ。

 

■営業担当者は質問に答えられるか

 

・物件のデメリットを確認する

不動産の営業担当者は物件を売ると、自分の給料に販売報酬が上乗せされることが多い。売らないと稼げないので、売りたい物件については長所を並べ立てる。そこで現地見学の際は、その長所を確認しつつ、逆に「デメリットは?」と聞いてみよう。どんな物件でも必ず長所と短所がある。知識のある優秀な営業担当者なら、あとでもめるのを避けるため、短所であってもきちんと伝えてくれるはずだ。

 

・物件価格の相場との差を聞く

「お得な物件ですよ」というのであればそのエリアにおける不動産価格の相場と比べてどのくらいお得なのか、聞いてみる。また、その物件がなぜ相場より安いのかも、見学を踏まえて確認する。不動産に「掘り出し物」は存在しない。安い物件には必ず理由があるのだ。

 

さらに、可能であれば、下記のように物件周辺の状況なども確認しておければなおいい。

 

■物件周辺を自分自身でチェック

 

・物件の周辺の様子をチェックする

その物件がどのような環境にあるのかを自分の目で確認する。住宅地として古いのか新しいのか。近隣の住民は高齢なのか若いのか。筆者が物件を探したときは、隣家の庭木や車を見て、きちんと手入れがされているかをチェックした。外まわりが荒れている家があるようなら要注意だ。

 

・近隣住民と会話する

不動産業者が空き物件に客を案内していることに気づくと、近隣の住民が様子を見に出てくることがよくある。すかさず挨拶して話しかけてみるといい。「日当たりのいい土地ですね」「緑が多いですね」「駅が近くて便利ですね」など、メリット面から声をかけると、気をよくして警戒を解いてくれる。数分の雑談だけでもその地域の雰囲気がわかる。

 

なお、本命の物件の前後に、その不動産業者が自社開発した分譲住宅に連れていかれることがある。これは、仲介だけだと収益が少ないので、本当は自社で土地を仕入れて建物まで用意した“お得な”物件を売りたいからだ。

 

こういうときはある程度案内に付き合ったら、「時間がないので」とさっさと切り上げよう。業者の利益を確保するために工務店に安く建てさせている建物である可能性もある。そうなると、断熱性能も期待できないし、施工管理も不十分で雨漏りなどの不具合も発生しがちだ。よほど立地がよくて売却しやすい物件ならともかく、業界を知る者としてはお薦めできない。

 

もちろん、こんな業者ばかりではないし、良心的な不動産業者、優秀な営業担当者と出会うことができれば、自分の納得のいく物件を見つけることも十分に可能だ。2、3月になるとさらに物件探しのライバルは増える。

 

今回ご紹介したチェックポイントを念頭に置いて、なるべくなら12月のうちに、遅くとも年明け早々には始動して、信頼できそうな不動産のプロと巡り合っておこう。

 

(文/山本五月)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/56183648407f54794f905c51709033139d9b111d?page=1

 

2020年

12月

18日

「不動産しか遺産がない」そんな時こそトラブルがいっぱい 遺産分割時の対処法も解説

遺産分割の時に相続人間で争いが起こりやすい場合として、土地などの不動産しか遺産がないような場合が挙げられます。今回は土地などの不動産の遺産分割の場面でトラブルになりがちなケースと、その対処法を理系税理士がわかりやすくまとめました。

 

土地の評価と遺産分割の方法

土地の遺産分割の話の前提として、遺産分割における土地の評価方法と遺産分割の方法について簡単に解説します。

 

■遺産分割における土地の評価方法

できるだけ争いなく、相続人間でより公平な遺産分割を行うためには、その前提として各遺産が遺産分割時点でいくらの価値があるのか評価する必要があります。例えば、遺産に土地がある場合には当該土地の価値(具体的には市場価値)を以下のような方法で評価する必要があります。どの方法で評価するかについては、相続人間で合意できればそれによります。

 

・不動産鑑定士による不動産鑑定評価額

一番客観性及び精度の高い方法ではありますが、不動産鑑定士に依頼して鑑定報酬を支払う必要があります。特に相続人間で大きな争いがないような場合、鑑定報酬を支払ってまで厳密な評価額を出す必要性が乏しく、遺産分割調停等の争いに発展しない場合にはほとんど見かけません。

 

・不動産業者による査定額

客観性及び精度は不動産鑑定士より劣りますが、その分手間とコストはかからないというメリットはあります。遺産分割調停等の争いに発展した場合でもコストをかけたくない依頼者の事情を踏まえて弁護士も不動産業者から無料で査定書を入手するケースも多いと聞きますが、最近は無料で査定書を出してくれない不動産業者も増えてきているようです。

 

・(相続税路線価×地積)÷0.8

相続税の計算に用いられる相続路線価が市場価値(地価公示水準)の8割水準で定められている点に着目した簡便法です。コストはかかりませんが、あくまでも簡便法であり、精度は不動産鑑定士による不動産鑑定評価に比べ劣ります。

 

・固定資産税評価額÷0.7

固定資産税の計算に用いられる固定資産税評価額が市場価値(地価公示水準)の7割水準で定められている点に着目した簡便法です。路線価による計算と同様、コストはかかりませんが、あくまでも簡便法であり、精度は不動産鑑定士による不動産鑑定評価に比べ劣ります。

 

相続税の申告が必要で税理士に依頼しているような場合には、税理士が土地の相続税評価額を算定していますので、それを基に遺産分割することも多いです。ただし、相続税申告に用いる相続税評価額は、被相続人の死亡時点での評価額であり、市場価値の8割水準ですので、厳密に遺産分割で用いる土地の市場価値を表しているとは言えない面はあります。

 

■土地の遺産分割の方法

各遺産の価値を把握した後はその金額を基に相続人間で協議して遺産を分けていくことになりますが、遺産の分け方としては、主に「現物分割」「代償分割」「換価分割」があります。

ここでは、例えば、父が死亡し遺産は土地1筆のみ、母は既に死亡しており、相続人は本人含め兄妹4人だったとして、土地の分け方をそれぞれの方法ごとに解説します。

 

現物分割

現物分割は最も一般的な分割方法であり、本件の場合には土地1筆を4筆に分筆し、相続人4人で分けることになります。

 

代償分割

特定の相続人が遺産を取得する代わりに他の相続人に金銭(代償金)を支払う方法です。本件の場合、相続人の1人が土地1筆を取得し、他3人の相続人に代償金を支払うことになります。

 

換価分割

遺産を売却し、その売却代金を相続人間で分ける方法です。本件の場合、土地1筆を売却し、その売却代金を相続人4人で分けることになります。

 

遺産分割を行わないまま放置すると、相続財産である土地は相続人の共有状態となり、売却には共有者全員の合意が、賃貸するには過半数の合意が必要等、諸々制約が生じ、共有者間で争いに発展しやすいです。また、遺産総額が大きく相続税申告が必要な場合には、遺産分割の方法が税額や税金の負担関係に影響を及ぼしますので、税理士に相談し、各相続人が負担する税額も含めた公平感を考慮して遺産分割する必要があるでしょう。

 

不動産を遺産分割する時のトラブル事例

ここでは、実際に自宅などの不動産の遺産分割でトラブルになりやすいケースを3つご紹介します。

 

〈ケース1〉

主な相続財産が、被相続人の自宅(築40年の木造家屋とその敷地40平方メートル)しかなく、被相続人と別居の相続人が複数いる場合。

 

敷地が狭く、接道状況にもよりますが、相続人の人数分に分筆して現物分割しようとすると接道義務を満たさず建物が建てられない土地が生じる場合もあり、現物分割によることが困難ですので他の分割方法を検討する必要があります。相続人の中でだれか1人が当該不動産を欲しい方がいて、他の方は欲しがっていないような場合には、代償分割が考えられます。ただし、当該不動産を取得する相続人は他の相続人に自分のポケットマネーから代償金を支払う必要があるので、代償金を支払えるだけのお金を準備できるかが問題となります。

また、相続人全員が当該不動産はいらないような場合には、換価分割が考えられます。ただし、本ケースのような古家付きの場合、市場に売りに出すと建物取壊し前提で土地の価格から建物取壊し費用を控除した金額でしか売れず、思ったより売却代金が得られない場合もあります。

 

〈ケース2〉

ケース1と同様、主な相続財産が被相続人の自宅で、被相続人と同居していた相続人はその土地に住み続けたいが、それ以外の相続人が売却を希望している場合。

 

被相続人と同居していた相続人が当該不動産を取得し、他の売却を希望している相続人に代償金を支払う代償分割が考えられます。ただし、ケース1と同様、当該不動産を取得する相続人が、代償金を支払えるだけの資金が準備できるかが問題となります。もしも代償金が準備できないようであれば、他の相続人の売却希望に同意して、換価分割も考えられますが、当然被相続人と同居していた相続人は住む場所がなくなるので、アパート等を借りる必要がでてきます。結局、住みたい相続人と売りたい相続人の折り合いをどうつけるかが難しいケースです。

 

〈ケース3〉

主な相続財産は被相続人が住んでいた田舎の自宅であり、相続人全員実家を出ており、実家に戻る気はなく、当該不動産を相続したくないが、売却しようにも売れそうにない場合

 

「売却しようにも売れそうにない」とのことですが、簡単にあきらめずに、以下のようなアクションを起こすことをお勧めします。

 

・複数の不動産者に査定を依頼して売れる可能性を探す

・地方自治体に当該不動産の寄付を受け付けてくれるかも含めて相談に行く

・実家の隣人に購入意思がないか、タダならもらってくれるか等交渉する(売れないと思っていても意外と隣人が欲しがってくれるケースがある)

 

また、相続放棄の期限に間に合うのであれば相続放棄する方法も考えられますが、相続放棄をした場合には、売れない不動産だけでなく他の遺産を全て相続できなくなってしまうので注意が必要です。

 

自宅を賃借するセール&リースバックという選択

遺産分割において、相続人間で争いがあり、まったく話し合いにならないような場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができますが、このような場合にはできるだけ早く弁護士に相談されることをお勧めします。

 

また、トラブルケースでもご紹介したような主な相続財産が自宅しかないような場合には、生前に自宅を売却して現金化しアパート暮らしをする方法もありますが、最近では一旦自宅を不動産業者に売却し、当該不動産業者から自宅を賃借するセール&リースバックを行っている不動産業者も出てきていますので、1つの方法として検討してみるものよいと思います。

 

(記事は2020年11月1日時点の情報に基づいています)

 

税理士・井上幹康プロフィール

平成22年、IT系上場企業入社し経理実務全般を経験後、平成24年税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)高崎事務所に入社、法人税務顧問、組織再編、IPO支援、M&Aの税務DD業務、セミナー講師、資産税実務を経験。平成30年7月、税理士として独立開業(浦和支部所属)。令和元年、不動産鑑定士論文試験合格。自社株評価、不動産評価に特化した税理士・不動産鑑定士事務所を目指し活動中。

 

税理士・井上幹康

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/0c2c781bcf5a19ebf249afc21ef608027d07eaff?page=1

2020年

12月

10日

新築3LDKマンションを売って中古4LDKに引っ越し…年収750万男性の決断と失敗

コロナの影響で、住環境の見直し機運は一気に高まっている。「突然のリモートワークで、部屋が足りない」「在宅時間が長くなり、日中の騒音が気になる」など家の買い替えを検討し始めた方もいるのでは。

 

家の売却にあたり、検討すべきタイミングや押さえるべき情報とは何か。陥りがちなミス、失敗例とあわせて、SUUMO(スーモ)編集長・池本洋一氏に聞いた。

 

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池本洋一/リクルート 「SUUMO(スーモ)」 編集長

1995年リクルート入社。住宅領域にて編集を4年、営業を7年経験。2006年に首都圏『新築マンション』フリーペーパー地域版の創刊リーダーを務め、07年に『住宅情報都心に住む』編集長、08年に『住宅情報タウンズ』編集長に就任。11年より現職。19年よりSUUMOリサーチセンター センター長兼務。内閣官房 日本版CCRC構想有識者会議委員、経済産業省 ZEH(ゼロエネルギーハウス)ロードマップフォローアップ委員、国土交通省 良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業 評価委員、環境省 賃貸住宅における省CO2促進モデル事業 評価委員 などを歴任。

https://suumo.jp/baikyaku/

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住環境改善にまつわる「やってはいけない」

 

かつてマイホーム購入といえば、終の棲家を手に入れることだった。ただ現代においては、購入後の住み替えを前提に、不動産を資産として考える人が多くなっている。リクルート住まいカンパニーが2018年に行った「住宅購入・建築検討者調査」によると、住宅購入検討のために行動を起こした人のうち、約3割が持ち家を売却し新しい家の購入、建築を検討している。

 

家の売却を考えるきっかけには、「住環境を改善したいから」「売り時だったから」「財産整理・資金を得るため」の三大要因があると池本氏はいう。ではそれぞれで注意すべき点は何か。細かく見ていこう。

 

「今の家ではリモートワークができない!」という悲鳴は、コロナ禍で噴出した住環境改善ニーズの筆頭だろう。ほかにもご近所とのトラブル、騒音の悩み、子どもが大きくなって手狭になったなど、さまざまな理由がある。

 

住環境を改善するにあたり、整理すべきことは次の2点だ。

 

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(1)今の住環境の何が不満かを言語化する

(2)今の家がいくらで売れるのか、物件価格を知る

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当たり前だと思うかもしれないが、より良い家に住みたいという思いが先行し、買い物件の検討ばかり進める方がとても多いのだという。

 

「よくあるのは、買いたい物件の契約は済んだけれど、売り物件がなかなか思い通りに売れないという事態。時間が経つことで焦りが生まれ、仲介市場で売るのを諦める人もいます。結果、買い取り業者から安く買いたたかれてしまうことも…。新しい家に住み替えはできたけれど、家計としてはもったいないと思うケースはたくさんあります」(池本氏)

 

失敗ケース1:理想の住居は購入できたけれど…

 

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プロフィール:

東京都在住

夫(40歳)会社員・年収750万円 妻(36歳)会社員・年収500万円

7歳の長女、5歳の長男との4人家族

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8年前に3LDKの新築マンションを5500万円で購入しましたが、長男が小学校にあがるにあたり、もう一部屋増やし4LDKの家が必要に。学区を変えずに家を広くするには、新築では購入金額が上がります。中古マンションを含めて検討したところ、築15年のいいマンション物件を5000万円で見つけ、無事引っ越すことができました。

 

ただ、5000万円前後ですぐ売れると思っていた前の家が、売却に難航。「本当に売れるのか」と不安が募り、買い取り業者から提示された4300万円で、妥協して売却することに。仲介会社にもっときちんと査定をお願いしておけば、高く売れたのではないかと後悔しています。

 

焦っても、のんびり構えていても

 

買い替えの難しさは、タイミングにあると池本氏はいう。

 

「買い物件が新築の分譲マンションであれば完成時期や引き渡し時期を読んで動けるので、いつまでに今の家を売ればいいかが分かります。このご家族のように、中古物件や、新築の一戸建てで完成済みの物件の場合、『安く買うために今決断してください』『今買わないと他のお客様が購入してしまいますよ』と不動産会社の営業担当に迫られたり、焦らされたりするケースが多い。営業トークで買わせたいのだろう…とのんびり構えていると、本当にほかの方に即購入されてしまうこともあり、判断はとても悩ましいです。

 

大切なのは、自分の物件がだいたいいくらで売れるのかをはやいうちに把握しておくこと。相場が分かっていれば、思い切って決断をすることができます。買いたい物件ありきで先に動くと、あとから売りの話を進める際に時間経過とともに金額が下がっていくリスクが高まるのです」

 

家の売り買いにおける一番のリスクは、精査せずに購入しのちに失敗だったと判明することだ。買いたい物件があって見逃してしまっても、その経験は次の糧になる。チャンスボールはまた飛んでくると考え、負うべきではないリスク回避から考えること。その心構えが重要だという。

 

家の売却のセオリーは、地域や物件の特徴によって大きく異なる。

 

一般的には、人口の多い都心部で、少人数世帯向けのマンションは売れやすい。大都市では単身者や核家族が多く、人の流動化も激しいからだ。

 

一方、注意が必要なのは、郊外のファミリー型の中古物件。売却したいタイミングで、ほしい人がすぐに現れるとは限らず、人口集積エリアとそれ以外の地域での差は広がっている。マンションは比較的早く売れ、戸建ては時間がかかるため、郊外で一軒家を売却したいと思う方は、早めに売却が可能なのか確認するといいだろう。

 

売り時にまつわる「やってはいけない」

 

売り時には、二つの文脈がある。

 

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(1)物件価格が高く売れる時期である

(2)自分のライフステージの変化に応じて最適な売却時期である

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というものだ。

 

まずは、経済価値を考えた売り時の場合から考えていこう。

 

「買った金額より今の方が高く売れるというケースはごく限定的です。例を挙げるならば、10~15年前に豊洲や田町、品川エリアで購入した人は、1000~2000万円上乗せして売却できる可能性があり、それらは“売り時”だといえるでしょう。

 

ただ、一般的に市況とは、上がり目のときは売却金額も購入金額も同率に上がるもの。売り買いを同時にするということは、結局市況並みに売っているということで、下落局面で売るのと大差がありません」

 

上がり局面で売るメリットは、売却スピードにある。物件価格が上がっている最中は、購入する側も早く買いたいという気持ちが増すからだ。

 

「10年前に5000万円で購入した豊洲のマンションを6500万円で売り、8000万円の物件にジャンプアップするケースはよく起こっています。

 

一旦、手数料などを考慮せずに考えると、10年間ローンを返済していると残債は3500万円ほどになっています。6500万円で売れるのであれば、3000万円の自己資金が入ることになる。その資金を使って8000万円の物件を買うことは、10年前と同じ5000万円で、より築年数が新しくより広い物件に住み替えられるということ。これはラッキーな例です。10年前より金利はだいぶ低くなっており、同じ額の借金でも月々の返済額は低くなる。15万円から12~3万円くらいまで下がるのではないでしょうか。

 

下がり局面で売却しようとすると、購入する側が『待てば下がるかもしれない』と考えるため、なかなか売れない可能性があります。売却スピードを考えれば、経済的に上がり局面で売るのは理にかなっているといえるでしょう」

 

では、自分のライフステージから考えて売り時だと思ったときはどうだろう。ここで考えるべきは「本当に売る必要があるか」という点だ。

 

記事後半では、「売却するか」「賃貸に出すか」の選択肢について解説する。

 

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【後半はこちら】4500万円のマイホームを売ってUターン、妻の実家と二世帯同居した45歳男性の後悔

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田中 瑠子(フリーライター)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/f966f535e293ed4243d5b8de6b7774013db3f8e5?page=1

2020年

12月

04日

持ち家と賃貸どちらが得か? 直近10年間では「3000万円」の差も

「持ち家」か「賃貸」か、どちらが得かを比較する論争は住居費にまつわる定番のテーマだ。このご時世、住宅ローンという借金を背負うよりは、賃貸に住み続けた方がリスクは少なく済むという見方もあるが、過去10年で見ると、得をしたのは圧倒的に「持ち家」だったという。不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティングを行うスタイルアクト株式会社代表取締役の沖有人氏が解説する。

 

「持ち家と賃貸はどっちがお得か?」。この問いの答えが「持ち家」であることは明白だ。少なくともこの10年に限って言えば、その差はあまりにも大きかった。どういうことか。まずは、賃貸がいかに損しているかを説明したい。

 

最初は賃貸で家を借りるのが当たり前と思うだろうが、賃貸物件を借りる人の多くが、収入の4分の1を家賃として支払っていると言われる。一人あたりの生涯年収が2億~2.5億円ほどと考えると、単純計算でも約4000万~6000万円以上が家賃に消えることになる。

 

持ち家の場合でも住宅ローンを払い続けるため、月々の出費は賃貸と変わらないと思うかもしれない。だが、持ち家なら売ればお金になるが、賃貸は消費して終わりだ。東京23区の物件価格は毎年約1%ずつ下がるので、家を購入した場合、35 年ローン返済後でも購入価格の65%の資産価値が残る計算だ。また、社会に出てから亡くなるまで大体70年近くある。住宅ローンは最長35年だが、賃貸で家を借りた場合の家賃の支払い期間はこの2倍だ。

 

さらに、住宅ローンは借入額の3%程度を毎年返済するのに対し、マンションの年間家賃相当額は物件価格の4%ほど。年間家賃の4%を25年払えばその物件価格となるため、ローン返済の方が安く済む計算だ。

 

 

持ち家の購入は「自宅投資」という考え方

 

では、持ち家と賃貸、実際にどれくらい差があったのか見てみよう。私たちが運用している「住まいサーフィン」という無料会員制サイトは、25万人の会員がおり、会員は「自宅査定」という機能を使って現在の自宅の取引価格を調べている。その利用回数は13万件を超えており、そのデータから様々なことを読み取ることができる。

 

まず、持ち家を所有している人の71%、実に7割以上の人の物件の査定価格がこの10年で購入時より値上がりしていることが分かった。その値上がり率の平均は約10%、金額にして620万円だ。多くの人が大体6000万円前後のマンションを購入し、10年後には10%増の600万円前後値上がりしていたことが分かる。10年経過しても買った価格より高く売れるということは、無料で住んだ挙句に、売ったら手元資金が増えるという、願ったり叶ったりの状況を意味している。

 

この間の住宅ローンの返済は貯金しているようなもの。元本の減少額と値上がり益を合わせると、賃貸に比べて合計2000万円以上資産を増やせる可能性が大きい。売却すれば自己資金が増える人の割合は99%で、ローンの返済額以上に物件価格が下がった人はわずか1%しかいなかった。これがこの10年の実態だ。

 

これに対して賃貸の場合、家賃として資金は出ていく一方である。前述したように、年間家賃の相場は物件価格の4%なので、6000万円の物件なら年間240万円、10年で2400万円も手元から出ていく計算になる。持ち家なら620万円の利益が出るのに対して、賃貸なら2400万円が出ていくので、その差は3000万円にも膨れ上がるのだ。

 

加えてこの10年は、住宅ローンを借りているとその1%が現金還付される住宅ローン減税も利用できた(住宅ローン減税の適用は今年の12月末日入居分まで)。この減税効果は年間最大40万円なので、4000万円以上の物件価格なら10年で400万円のキャッシュが手元に残ったことになる。この減税分も含めれば、合計3400万円の差だ。これが持ち家と賃貸の過去10年間のお財布事情である。

 

持ち家の購入には、自宅を手に入れながら不動産投資もできるという2つの側面がある。この2つを組み合わせて「自宅投資」とも読み替えることができる。私はこの「自宅投資」が一番儲けやすいと主張していて、その方法を書いた本もベストセラーになった。私自身がそれを実践しており、実際、既に含み益だけで1億円を超えている。

 

これらを踏まえると、家賃を払うよりも住宅ローンを返済した方が圧倒的に有利だ。「家賃は最大の無駄な出費」と考え、家賃を何とかしなくては貯蓄もままならないという認識を持たないと損をするばかりではないだろうか。

 

【プロフィール】

沖有人(おき・ゆうじん)/スタイルアクト株式会社代表取締役。国土交通省「住宅エネルギー性能表示検討委員会」の委員なども務める。『独身こそ自宅マンションを買いなさい 今すぐ始める「家活」で自分を守る資産をつくる』(朝日新聞出版)、『マンションは学区で選びなさい』(小学館新書)など著書多数。分譲マンションの無料会員制情報サイト「住まいサーフィン」を運営。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/b5dbb9c1594907902245f8ff343108dcc139de97?page=1

2020年

11月

27日

Airbnbはもう古い?「1カ月」単位の宿泊需要増で変わる民泊スタートアップ事情

増える中期滞在需要

 

欧州のレンタルプラットフォーム大手であるFlatioとNomadXが、今年10月に合併を発表した。1カ月から1年程度の中期レンタル市場に注力することで、滞在プラットフォームのトップランナーであったAirbnbと対抗していく予定だ。

 

Airbnbがこれまでサービスの中心にすえてきたのは、観光やビジネスを目的とした、数日から数週間の短期利用だった。しかし、デジタルノマドというワークスタイルの誕生や、コロナの影響によるリモートワーカーの増加も受け、中長期滞在のニーズは急成長している。FlatioとNomadXは、ここに目をつけた。

 

Airbnbやホテルは、短期滞在を前提にした価格設定となっている。そのため、数カ月単位の中長期滞在で使用したい場合は、価格が高くなってしまうというデメリットがあった。また、通常の賃貸契約を交わす場合は、最低滞在期間が1年からに設定されている住宅が多い。このため、数カ月単位の滞在希望者は、滞在先を探すのが非常に難しいという状況があった。

 

FlatioとNomadXの価格設定は1カ月単位となっており、Airbnbやホテルと比べると割安で借りることができる。また、Flatioのサービスでは、長期滞在にありがちなデポジット(日本でいう敷金)の支払いがない。テナントと大家の間で賃貸契約を結んだり、アプリを通した継続契約と支払いも可能だ。

 

デジタルノマドやリモートワーカーが求める中期滞在

 

数カ月単位の中期滞在は、今増えつつあるといわれる「デジタルノマド」の間で需要が高まっている滞在スタイルだ。

 

場所に縛られずに仕事ができるデジタルノマドは、住みたい場所に旅行も兼ねて自由に滞在しながら仕事ができる。サンフランシスコなど生活費の高いエリアから離れ、生活コストが低い国や地域に滞在することもできる。「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた、休暇を過ごしながら仕事をするワーケーションというスタイルも、リモートワークの増加に伴い一般化した。

 

そんなデジタルノマドにとって、Airbnbやホテルに数カ月滞在するのはコストの面から選択外だ。一方、長期滞在を前提に不動産を貸し出しているオーナーからすると、数カ月というのは短く、供給がない。Flatioの共同創始者であるRadim Rezekによると、オンラインで利用できる中期滞在サービスは、現状ほとんどないのが現実だという。

 

リモートワークが一般化しつつある今、自宅オフィスを他の場所にうつしたいという需要も、今後増えることが予想される。スウェーデン、フィンランド 、オランダでは、雇用労働者の30%以上が、現在自宅で勤務をしている。アメリカのデジタルノマドの数は、今年で1千万人になるという予想もある。気分転換に、自宅ではない場所に別荘的に住まいを持ち、仕事場として使用するという需要も、今後増えていくだろう。

 

デジタルノマドを対象としたサービスの増加

 

Flatioの今年度の予約数は、前年比で20%上昇した。都心だけでみると、100%の収益増加を記録している。チェコで2015年に創業したFlatioは現在、17か国・60都市に展開しており、9000件のリスティングを持っている。対するNomadXは2017年の創業時から変わらずポルトガル市場にフォーカスしており、リモートワーカーなどを対象に、1700件の物件が登録されている。どちらも、1カ月から1年までのサービスが対象で、1カ月の利用料金は、Airbnbに比べて50%も安いという。

 

Airbnbも、4年前に中長期滞在サービスを視野に入れたことがあったが、ニーズが少なかったことから本腰を入れてこなかった(中期滞在の利益は当時、全体の5%)。

 

海外でリモートワークをする場合はビザの問題もクリアしなければならないが、テック人材用のビザを発給する英国をはじめ、リモートワーク・フリーランスビザを発行する欧州の国も増えている。チェコでは、Zivnoという1年有効なフリーランス向けの滞在ビザがある。テック最新国のエストニアでも、デジタルノマド向けの滞在ビザが今年6月からスタートした。ジョージア、ドイツ、ノルウェー、ポルトガル、オランダなども、それぞれ条件や期間は異なるものの、一定期間滞在をしながらフリーランスとして働く労働者向けにビザを提供している。

 

Airbnbの失敗から学ぶ

 

Airbnbではこれまで、利益追求の弊害として賃貸住宅の家賃が高騰するなど、数々の弊害が議論されてきた。日本をはじめ、現在では多くの欧州の都市で、Airbnbを中心とした短期滞在サービスに対する規制が行われている。

 

FlatioとNomadXは、こうしたAirbnbによる弊害や失敗を、よく心得ているようだ。

 

Airbnbを利用する家主が、利益追求のために複数の物件を管理する傾向にあるなかで、Flatioに登録している家主の85%は、1人1件のみとなっている。「物件は1人で多くても2件まで。利益追求ではなく、あくまでもサイドビジネスとして行う家主を優先しています」とRadimは説明する。

 

また、FlatioやNomadXの使用者全体の20-25%は、その街に暮らす地元民だ。学生や家を改修中の地元民などが使用するという。

 

リモートワークへのシフトに伴い、これからさらなるデジタルノマドの増加が見込まれる現在。FlatioやNomadXに限らず、中期滞在者やデジタルノマドを対象としたサービスに、今後も期待したい。

 

文:杉田真理子 / 企画・編集:岡徳之(Livit)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/585a8fd3fc1064dbccb9b2cbc84ade629e8ccded?page=1

2020年

11月

20日

タワマンの子どもは成績が伸びにくい?塾教師が気づいた真実

日本では、2000年以降、タワーマンションが乱立する状態になっている。空き家が急増する中、これ以上、大量に住宅を供給する必要はあるのか?またマンションには欠かせない大規模修繕も、タワマンは多額の費用がかかり、破綻の兆しを見せている。いま、タワマンは「限界」にきていると、住宅ジャーナリストは指摘する。本連載は榊淳司著『限界のタワーマンション』(集英社新書)より一部を抜粋、編集した原稿です。

 

なぜタワマンで育った子どもに近視が多いのか

 

タワマンに住むと心身の健康に支障をきたす?

 

日本で少しずつ高層マンションが建ち始めた頃、高層居住と心身のストレスの関係性を調べた研究者がいた。1981年、日本建築学会に発表された論文「超高層住宅居住者の住環境ストレスと健康2」の執筆者、渡辺圭子氏と山内宏太朗氏である。

 

そのまとめのところには、「住環境ストレス度と心身健康度はかなり高い相関関係を有する」とある。残念ながら、現在に至るまでそれに続く研究が見られない。これだけタワーマンションが急増した現代において、ますます必要な研究ではないだろうか?

 

実際に、私が不動産業者と話す中でも、ある一定の割合で、高層階に住み始めて体調を崩し、短期間で引っ越す人の話を聞く。

 

本記事では、タワマン居住がもたらす健康への影響や子育て上のリスクを取り上げた。現在タワーマンションで子育てをしている人や、これから引っ越しを検討している人はぜひ読んでほしい。

 

タワーマンションで育つと近視になりやすい?

 

慶應義塾大学医学部眼科学教室の教授である坪田一男氏は『あなたのこども、そのままだと近視になります』(ディスカヴァー携書)という著書の中で次のように書いている。

 

《オーストラリアとシンガポールでは、同じ中国系人種であっても高層マンションに住む子どものほうに明らかに近視が多いことが分かっています。》

 

また、同書によれば、「数ある『近視のエビデンス』の中でも、唯一確かだとされているのが『外で遊ぶと近視になりにくい』というものです」とある。

 

医学博士の織田正昭氏の著書『高層マンション子育ての危険』(メタモル出版)によると、集合住宅と1戸建て住宅に住む子どもの外遊び時間を比較すると、集合住宅で特に6階以上の高層に住む子どものほうが、1日あたり0.6時間少ないことが分かる。こうしたことも、子どもの近視に何らかの影響を与えているのではないだろうか。

 

「25階以上で生存率ゼロ」

 

このほかにも、カナダの医師会誌「CMAJ」に掲載された衝撃的な調査結果がある。心停止で病院に運び込まれた人のうち、生きて退院できた割合を調べたものだ。1~2階の居住者が4.2パーセントだったのに対して、3階以上の住民では2.6パーセント。そのうち16階以上の住民は0.9パーセントであり、25階以上になると、なんと0パーセントであった。

 

心肺蘇生は一刻を争う。高層階ほど、救急隊員が駆け付けて病院に搬送するまでの時間が長くなってしまうことが影響しているのかもしれない。

 

この調査は、子育ての環境とは直接の影響はないかもしれないが、高層階ほど搬送に時間がかかることはデメリットとして挙げられるだろう。

 

なぜタワーマンションで育つと成績が伸びにくいのか

 

タワマン育ちの子どもは「高所平気症」になる

 

高いところから落ちると、人は死ぬ。

 

これは当たり前の真実である。誰もが知っている、というか感覚として身に付けている。しかし、そうした感覚はもはや常識ではなくなりつつあるのかもしれない。

 

前述したように日本人が本格的に3階以上の階層があるマンションに住み始めたのは、概ね1960年代以降である。その頃から、高層階から子どもが転落する事故が多発した。当たり前である。高いところに住む人が多くなれば、誤って落ちる人も出てくるだろう。

 

しかし、子どもの事故が多すぎることに気付いた人もいた。

 

一群の専門家たちが、そのことを具体的に調べた。

 

財団法人未来工学研究所は1971年に設立された文科省(現・内閣府)所管の研究機関である。彼らが1985年2月に行った調査によれば、高層集合住宅の小学生342人に対して行ったアンケートにおいて、4階以上に住む子の7割以上が「ベランダや窓から下を見ても怖くない」と回答したという。同研究所の資料情報室長(当時)であった佐久川日菜子氏が、こういう子どもの感覚を「高所平気症」と名付けた。

 

高所平気症は4歳頃までに高層階で育った子どもに多く見られるという。

 

「タワマンの子どもは成績が伸びにくい」

 

タワーマンション高層階に育つ子どもは成績が伸びないと話す教育の専門家もいる。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏だ。

 

彼は中学受験指導とプロ家庭教師の経験が40年以上。かつては都内の高級住宅地の家庭を訪れることが多かったが、ここ数年増えているのが都心のタワーマンションの上層階。

 

はじめは、西村氏も「たまたま」だと思っていたそうだ。それが次第に「あれ? なぜだろう」と思うようになったという。そして今は、「タワーマンションの上層階に暮らす子どもは、成績が伸びにくい」と、ほぼ確信するに至ったようだ。

 

タワーマンションの上層階に住むにはそれなりのコストがかかる。タワマンの購入者にはニューカマーの成功者が多い。彼らは優秀であったからこそ、東京という大都会にやってきてそれなりの成功を収めたはずだ。

 

そして自らの努力によって得た成功を、自身の子どもにも望むのは当然だろう。学歴社会を生き抜くために教育への投資を惜しまないはずだ。それだけ熱心であれば、子どもも優秀である可能性が高い。

 

タワーマンションで暮らすことで子どもが失うもの

 

にもかかわらず、中学受験の専門家が「タワーマンションの上層階に暮らす子どもは、成績が伸びにくい」と確信に近いものを持った理由は何なのか。

 

西村氏は、それはタワーマンションに暮らす子どもは外に出たがらないからだと考える。以下、彼のインタビュー記事を引用する。

 

《外に出るのが面倒な子は、世界が広がらない。小学生の学習には、イメージが不可欠だからだ。子供は自分が体験したことや見たものでないとイメージできない。イメージができないと頭の中に知識が入りにくいし、そもそも問題を理解できないこともある。だから、実体験の乏しい子は、成績が伸びにくい。(中略)小学校で学ぶ勉強も、中学受験の勉強も、学びの根底にあるのは「自然」と「生活」だ。小学生の学びにそこが欠けていると伸び悩む。成績の伸び悩みは、子供自身の能力よりも環境によるところが大きい。あまり表に出ない、子供をめぐる環境の実態を伝えていくのも、家庭教師の役目だと思っている。

 

(「タワマン上層階の子『成績は低迷』の理由」プレジデントオンライン、2018年9月7日)》

 

子どもが高層居住によって失うもの

 

「住宅総合研究財団研究論文集」(№36、2009年)に「現代の子育て・子育ちからみた超高層居住に関する研究」という論文がある。副題は「乳幼児と学童期の子どもの成育環境から考察する」とある。筆頭著者は摂南大学工学部(現・理工学部)建築学科准教授(現・教授)の大谷由紀子氏。この中に興味深い記述があるので引用する。

 

《首都圏の超高層マンションが急増する地区の保育所園長に子どもの発達に関する質問を行った。現段階では高層居住による影響は認識されていないが、「親の価値観に違いを感じる」「段差の経験が乏しい(フラットな住戸からエレベーター、ベビーカーを乗り継ぐ)」「バランス感覚が育ちにくい」「コンシェルジェがいるため自分でドアを開けない」などの印象が語られた。子ども全体には「高所を怖がる慎重派の子どもが圧倒的に多い」「生き物の飼育を面倒がる子が増えた」「住んでいるマンションで経済格差が分かる、子どもの間でもそのような会話がある 」(傍点筆者)などの所見が示された。また、「子どもが土に触り、空を見上げ、木の実を採る唯一の場所としても園庭は何よりも重要」であり、マンション下の保育施設に園庭の必要が強調された。》

 

 

 

「高所を怖がる」との記述は前述の「高所平気症」の所見とは異なるものの、生活体験の乏しさは西村氏の観測と一致している。

 

自然に触れて伸び伸びと育てば普通に理解でき、身に付けられる人間としての基本的な感覚を、タワーマンションの上層階で育つことで失ってしまっているとしたら、それは至極残念なことである。

 

榊 淳司

住宅ジャーナリスト

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e3c7b8180d030438c11d03c2539555f03649c578?page=1

2020年

11月

13日

「インターネット無料」や「追いだき機能」…人気物件の舞台裏

経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

 

エリアマーケティングは地元不動産屋に聞け

 

物件のエリア・マーケティング3つのポイント

 

これまで賃貸不動産の購入までの心構えについて、「情報収集」「不動産の選び方」「不動産の現地確認」「収支計画」「融資」のテーマで紹介してきたが、ここからは購入後の賃貸住宅の経営について紹介する。

 

ここでは、入居者ニーズを取り入れた賃貸住宅を提供することが、空室リスク回避のカギを握ることを伝えたい。

 

家主業では、支出を抑えることも重要だが、最も大事なのは家賃収入を確保することだ。家主業の収入は家賃だからだ。家賃収入を最大化するためには、空室をつくらないことに注力しなくてはいけない。空室をつくらないためには、部屋を探している人に「この部屋に住みたい」と思わせることが重要だろう。つまり、入居者のニーズにマッチした部屋づくりが必要だ。

 

では、どうやって入居者ニーズを把握すればいいのか。最も重要なのは、自身が取得した賃貸住宅のエリアのマーケティングをすることだ。

 

マーケティングのポイントは3つある。

 

(1)どんな人が住んでいるエリアか

(2)どんな賃貸住宅が多いエリアか

(3)その入居対象者がそのエリアに住む理由は何か

 

この3点について探るためには、地元の不動産会社を回ることが有効だ。

 

例えば、大学があるエリアでは、(1)については学生が多く、(2)の賃貸住宅の種類は、学生向けのワンルームまたは1Kの賃貸住宅が多くなる。また(3)の学生がそのエリアに住む理由は、大学が近いからだといえる。大学があるエリアに不動産を購入する場合、単身者向けのアパートであれば、通常は学生向けに貸すということになるだろう。

 

しかし、それだけで即決してはいけない。不動産会社を回ってエリアの市場についてヒアリングするときは、学生以外にどんなニーズがあるかを必ず聞かなくてはいけない。当然のことながら、そのエリアには学生向けに賃貸しているライバルが多いからだ。あえてライバルの多い学生を入居者ターゲットとして運営するのか、あるいは、少数派ではあるが、学生以外のニーズを対象とするかを検討する必要がある。

 

「ターミナル駅でなくても、駅から近ければターミナル駅より家賃が安いので、社会人で部屋探しする人が増えている」などという情報が入れば、ライバルだらけの「レッドオーシャン」を狙うより、まだ潜在的なニーズとしてしか知られていない「ブルーオーシャン」である一人暮らしの社会人向けの需要に目を向ける方が、成功する確率は上がるのではないか。あるいは、単身者向けではなく、あえて二人暮らし向け、ファミリー向けの物件購入を検討するという選択肢もあり得る。単身者以外のニーズがどれだけあるのかを、不動産会社を回って聞くことも重要だ。

 

インターネット無料と追いだき機能が人気上位なワケ

 

例えば「意外に小学校の学区として人気が高いのに、ファミリー向け賃貸が少ない」という声を聞いたら、ファミリー向けにチャンスありだ。「需要に対して少ない=不足している」ということなので、ファミリー向け賃貸アパートやマンションがあれば狙い目だろうし、あるいは中古分譲マンションも、というように、選択肢はさらに増えるかもしれない。

 

いずれにしても、収益性が高い不動産の条件は、家賃競争にさらされないポジションにあること。入居者ニーズは、誰もが考えつくようなものだけでなく、意外性のあるニーズ、まさにダイヤモンドの原石のようなものを掘り当てることこそ重要だ。

 

人気設備は「インターネット無料」が4年連続1位

 

入居者のターゲットが明確になってきたら、そのターゲットのニーズに合う部屋を考える。入居者ニーズは大きく3つに分けられる。

 

(1)設備に対するニーズ

(2)建物の造り・間取りに対するニーズ

(3)管理に対するニーズ

 

まず(1)の設備に対するニーズについて説明しよう。

 

賃貸住宅業界向け専門新聞「週刊全国賃貸住宅新聞」で、毎年「入居者に人気の設備ランキング」という企画を実施している。この企画では、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」と「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」の2つのランキングを掲載している。

 

このランキングは、全国の賃貸住宅管理会社の協力を得て、それぞれについて、単身者向けと2人以上住めるファミリー向けとに分けて回答してもらった結果をまとめたものだ。パッと見ただけでも、単身者向けとファミリー向けのニーズの優先順位の違いがわかるだろう。購入したアパートの空室をリフォームする際に、どんな設備を新しく入れるかを検討するときには、単身者向けなのか、ファミリー向けなのかで設備のニーズが異なることを押さえておきたい。

 

このランキング企画は、2005年からほぼ毎年実施していて、私は第1回から編集部の一員として関わっている。第1回からランキングを見ていてわかったことは、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」に入っている設備が、2、3年後には「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」に入っていることだ。つまり、年々設備に対するニーズは、レベルが上がっていることになる。

 

例えば、単身者向けの「独立洗面台」や「宅配ボックス」は、数年前までは「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」のランキングのみに入っていたが、現在は当然ながら両方に入っている。

 

もちろん、長期間TOP3に入っている設備もある。単身者向けでは「インターネット無料」、ファミリー向けでは「追いだき機能」だ。この2つの設備に共通するのは、家計に優しいということだろう。

 

エリアの入居者ニーズをどう掴めばいいのか

 

インターネット無料についていえば、今や賃貸入居者の主要ターゲットである若者にとって、水道、ガス、電気に次いで重要なインフラで、個人で契約するとなると、通常4000~5000円ほど必要だ。そのため、インターネット無料となれば、家賃が周辺相場よりも1000円、2000円高くても、個人で契約するより「お得」になる。では、なぜ家主はインターネットを無料で提供できるのか。当然、インターネット使用料は家主が負担している。ただし、家主向けのインターネット料金は個人の料金とは異なる。集合住宅でまとめてその戸数分を契約するため、1戸で契約する個人よりも安く契約できるのだ。

 

契約戸数やプロバイダー会社にもよるが、目安としては月額1戸あたり1000円前後、別途工事費などの初期費用がかかる。初期費用は設備投資費と考えるが、月額使用料は家賃が1500円以上高くできるのであれば、入居者にインターネット使用料無料としても、十分まかなうことができる。入居者がいる部屋では、立ち会い確認などに手間がかかり、なかなか工事が進まないこともあるが、家主にとっても、入居者にとってもメリットがあるサービスであり、インターネット無料物件の付加価値は高い。

 

追いだき機能がファミリー向け物件に人気なのは、やはり生活時間のタイムラグにある。働き盛りの父親が帰ってくる時間が遅いと、子供たちが入浴する時間と間が空いてしまう。熱いお湯を足すことなく、お風呂を温めることができる。

 

また、二人暮らしや子供が1人のファミリーの場合、2日間お湯を入れ替えずに入るケースもある。そのときにも追いだき機能は役に立つ。ガス代はかかるが、水道代の節約という点でメリットが大きい。

 

ただ、新聞で掲載しているこのランキングは、すべてのエリアに通じるものではない。全国各地からニーズを集めて一つのランキングにしているからだ。ランキングの順位は、エリアによっては異なるものもあるだろう。所変われば住まいに対する入居者のニーズも変わる。当然、設備についても変わるものだ。しかし、このランキングが役に立たないわけではない。

 

賢い家主は、何の準備もせずに「このエリアでは、どんな設備があると入居者が決まりやすいのか」などという質問はしない。このランキングを片手に不動産会社を訪問し、「このエリアではどれが上位になるのか」と聞く。不動産会社の担当者も、たたき台となる「週刊全国賃貸住宅新聞」のランキングがあるからこそ、「このエリアは、単身者ならこっちの設備の方がニーズが高いので2位ですね」などと的確なアドバイスができるだろう。

 

良い情報を集めるためには、自ら情報を発信することが重要だ。そのためのツールとしてもこのランキングの利用価値は高い。

 

永井ゆかり

「家主と地主」編集長

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e32d06e62ea7c739e47a91afcce888dd4196ee42?page=1

2020年

11月

06日

収入減で「住宅ローン破産」も…コロナ禍で家を買う際の注意点とは?

新型コロナウイルスで多くの企業の業績が悪化し、それに伴う収入減少や失業で「住宅ローン破産」をする人が続出しています。以前から家を購入しようと考えていた人の中には、今回のコロナ禍をきっかけに購入を見直す人もいるようです。ただ、年齢が上がれば上がるほどローンの借り入れが難しくなるともいわれており、いつまでも決断を先延ばしにするわけにもいきません。新型コロナウイルスの終息の見込みがない中で家を買っても大丈夫なのでしょうか。

 

積極的な繰り上げ返済はNG

 

新型コロナウイルスの影響で休業や解雇となり、収入が大幅に減ってしまったという人も少なくないことでしょう。そんな中で人生の大きな買い物である家の購入をどうしたらよいのか考えてしまいますよね。特にファミリー世帯は持ち家志向が強いため、これから家を購入しようと検討している人も多いかもしれません。その場合、コロナ不況が長期化することを前提に考え、住宅ローンについての考え方を従来とは変える必要があります。

 

これまで、住宅を買うときの基本といえば、「物件価格の最低2割は頭金で入れる、返済期間はなるべく短く、積極的に繰り上げ返済を行う」というものでした。もちろん、ローンの金額は少なく、早めに返済できるに越したことはありませんが、短い期間で返済しようとすると、毎月負担する金額が重くなります。

 

例えば、4000万円の住宅ローンを金利1%で借り、35年返済するケースと25年返済するケースを比較すると、35年返済する場合の月々の返済額は11万2913円。25年返済する場合の月々の返済額は15万748円となり、毎月約4万円も違ってきます。

 

毎月の収支に余裕があれば、貯蓄する余裕も生まれるので、子どもに学費がかかる時期にも貯蓄で対応したり、今回のコロナ危機のようなことが起こって家計が厳しくなっても貯蓄で補填(ほてん)したりすることも可能です。貯蓄する余裕があれば、子どもの教育費の負担が減ってきたところで、貯蓄分を繰り上げ返済に回すこともできます。

 

企業が倒産するときは、資金繰りでつまずくケースがほとんど。確かに、ローン期間を長くすれば総返済額も膨らみますが、それでも「資金繰りができるかどうか」を重視しましょう。

 

借りられる金額=返せる金額ではない

 

先行き不透明な状況の中で家を購入する場合、資金計画を慎重に立てることは非常に重要です。大切なのは家計を圧迫しない返済プランを組むことです。よくありがちな失敗としては、毎月の住宅ローンの返済額が今の家賃と同額になるような住宅ローンを組んでしまうことです。「今の家賃と同額であれば問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それは間違いです。なぜなら、家を購入すると、月々のローンの返済のほかに管理費や修繕積立金、維持費がかかるからです。

 

マンションの場合には、管理費・修繕積立金が一般的に毎月2万円から3万円ほどかかります。一戸建ての場合には、マンションと違い、管理費・修繕積立金はかかりませんが、不動産はマンションの敷地権の評価よりも土地による評価部分が大きくなるため、その分だけ固定資産税などの負担が重くなる可能性があります。また、不具合が発生したときの修繕費もかかるため、この費用も見込んでおく必要があります。

 

一般的に、住居費用は手取り金額の25%以内に収めるのが理想といわれていますが、都心部の住宅の場合、価格が高いので、35%以内までは許容範囲とします。

 

例えば、手取り月収が35万円のご家庭が4000万円の物件を頭金200万円、金利1%で35年間借りた場合を見てみましょう。毎月のローンの返済額は約10万7000円。マンションの場合、管理費・修繕積立金が加わるので、2万5000円程度を加えると、毎月約13万2000円を支払うことに。先述のように、住居費用は管理費・修繕積立金も含めて考えるため、住居費用の家計に占める割合は38%程度となります。

 

ちなみに、管理費・修繕積立金を含めて考えない場合には、住居費用の家計に占める割合は30%程度となるため、3800万円までローンを借りられるように思ってしまいますが、その金額でローンを組むと住居費が家計を圧迫してしまいます。

 

ではそもそも、金融機関はどれくらいの金額のローンを貸してくれるのでしょうか。一般的に、金融機関が住宅ローンとして貸してくれる金額は「年収負担率(総返済負担率)」で35%まで(年収400万円以上の場合)。この年収負担率というのは、年間のローン返済の総額を税込み年収で割った金額のことです。ただし、実際には、年収負担率35%まで借りられるのですが、理想の住居費用とされている「手取り金額の35%以内」を目指すとなると、年収負担率は20%程度に抑えたいところです。

 

また、これからはボーナス返済が当てにならない時代です。ボーナス返済を組み込んだプランは危険なため、「月々の返済のみ」のプランにしましょう。

 

今回はざっくりとした試算ですから、実際に家を購入するとなった場合には、頭金や返済方法、返済期間、金利など、さまざまな側面からシミュレーションして、家以外の教育費や老後費用なども貯蓄できる余裕があるか、家計が破綻しないかなどを確認することが大切です。

 

「出口戦略」も考えて

 

現在のコロナ禍では、家に対する価値観も変化してきています。なぜなら、新型コロナの影響で、多くの企業でリモートワークを推進しており、通勤する回数が減っている人も少なくないからです。

 

家で仕事をするとなると、これまで、住宅選びの最重要ポイントとされていた都心部や駅へのアクセスのよさといった「通勤利便性」の優先順位が下がります。通勤する必要がない、もしくは減るのであれば、都心部の狭いマンションを購入するよりも、郊外や、駅から離れたエリアの一戸建てを購入した方が価格が安い上に面積も広く、お得度が高いため、最近、郊外の一戸建ての購入を検討している人が筆者の元に相談にくるケースが多くなりました。

 

金額面で見ても、都心部の物件と比べて購入金額が安いため、ローンの負担も抑えられます。新型コロナウイルスの終息が見えない中で高額な住宅ローンを組むと家計が破綻する可能性もあるため、手堅くローンを組むのはよいと思います。

 

ただし、注意が必要なのは、新型コロナウイルスが終息した場合、現在と同じ頻度でリモートワークが続けられるかということです。また、転職した場合にはリモートワークの可否は未知数ですし、子どもが独立したら、広い家ほどメンテナンスが大変になります。病気になった場合も都心部の方が病院に通いやすいでしょう。

 

長い人生の間にはさまざまな転機が訪れます。その際、人に家を「貸す」「売却する」といった選択をする可能性も大いにあります。賃貸契約が成立しやすく、高く売れる物件というと、都心部の資産価値の高い物件になる傾向は、これからもしばらく続くことが予想されます。ちなみに、一戸建ては築20年を超えると建物の価値がゼロになると査定される傾向があるため、どれだけ価格を下げても買い手がつかない駅から遠い物件では、不良債権化する可能性もあります。

 

実際に住んでみて気付くことも多いと思いますが、メリット・デメリットをよく吟味して選択する必要はあるでしょう。購入するときに「貸す」「売却する」ことは考えにくいですが、これらの可能性もあることも踏まえて、現在の状況だけにとらわれず、将来にわたる自分たちのライフプランもしっかりと考えて物件選びをすることが大切です。

 

今回はコロナ禍で家を買う場合の注意点について述べましたが、「そもそも、家を購入する必要があるのか」「一生賃貸なのか」も含めて検討することが大切です。金額的な面からいえば、持ち家も賃貸もかかる費用に大きな差はありません。まずは自分自身のライフプランをしっかり考えてみましょう。

 

ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3416bdc8de0fdf406cc717efb7e6954a86ff1ce7?page=1

2020年

10月

30日

不動産投資が「物件のよさ」だけでは成功できない深い理由

2018年に社会問題となった、新築シェアハウス“かぼちゃの馬車"破綻事件以降、不動産投資へのネガティブなイメージが広がっています。しかし、ある一定の条件を揃えることで、収益不動産を活用した資産形成は実現できます。ここでは、投資物件の選択から維持管理の基本を解説します。※本記事は『新富裕層のための戦略的不動産投資』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

 

「管理会社」と「仲介会社」の違いを理解しているか?

 

不動産投資は物件のよさだけでは成功を収めることはできません。特に運用面では、客付け力が重要な指標となります。リーシング力について解説している本はたくさんありますが、うまく伝わっていない部分も多くあると感じています。それは、管理会社と仲介会社の違いです。

 

当社は賃貸店舗を所有しておらず地場もないのですが、常時96%以上の入居率を保っています。これは、当社のリーシング担当が「管理物件の入居率」を目標としているからだといえます。一方、仲介店舗は「手数料」を目標にしています。例えば、管理物件の入居率よりも仲介手数料や広告費、家賃保証会社など、あらゆるところからマージンを得ることに重きを置いているわけです。つまり、当社のようなタイプはストックビジネスのようなものであり、一方の仲介店舗は単発の手数料商ですので、ビジネスの仕組みが違うということです。

 

管理だけをしている会社であれば、管理手数料が利益の中心となり、客付け会社であれば賃貸仲介の手数料や広告費が利益となります。また、店舗で営業する客付け会社の場合、店舗運営のコストがかかります。

 

今はネットの時代ですが、管理会社と客付け会社の連携がどれだけとれているのかがキーとなります。どのような客付け会社が強いのかは一概に言い切れませんし、一社に任せて客付けが決まるという時代ではありませんから、管理会社が複数の客付け会社に入居募集を依頼していくのが重要です。

 

自主管理をして自分で賃貸仲介会社を一件ずつ回るという方も時々いますが、それを本業にしている管理会社に任せたほうが費用対効果は高いです。

 

そもそもの話として、一口に「不動産会社」や「客付け会社」といっても、例えばTVCMで見かけるような大手チェーン店は、一見客付け会社のように見えますが、地元では大手の管理会社であるケースが多いです。直営店舗の他地場の不動産会社がフランチャイズに加入しているケースもありますから、見た目は全国区のショップのように見えて、実態は地場の老舗管理会社であるということも少なくありません。

 

結局のところ大切なのは、しっかりとリーシングすることです。そのためにどうすればいいのかといえば、非常にシンプルな話です。入退去の管理やクリーニングやリフォーム手配を行い、客付け会社にきちんと情報を周知させること。またADなど、かかる経費をしっかりと配分することです。

 

物件に関していえば、空室を埋めるには、「キレイにすること」が基本です。退去になった部屋は迅速に原状回復工事や必要なリフォームを実施することはもとより、一棟丸ごと管理している会社としてエントランス・廊下・ゴミ置き場・EV・駐輪場など、常に全体をきれいに保っておくことが一つひとつのお部屋の入居促進につながる第一歩です。

 

賃貸経営は、目先の収益より「長期的な視点」が重要

 

物件購入はゴールではなく賃貸経営のスタートです。新富裕層は購入後にどのように賃貸経営に向き合うべきか、建物管理などコストについてお伝えいたします。

 

「お金持ちは3代で家を潰す」という話はよく聞きますが、これは初代の才覚で裕福になったとしても、2代目、3代目はお金の使い方が下手なので、資産を減らしていくという意味です。

 

使い方が下手とは、長期的視点・経営者視点を持たず、目先の損得で物事を判断するということです。「安ければいい」と短絡的に考えていると、そのときは小さな利益を得ても、のちのち大きな損を被るということが経営上ではよく起きます。

 

ですから、何事も構造をきちんと理解することが重要です。例えば、家賃が1000円上がると聞けばうれしくなってしまうものですが、わずか1000円のために2カ月も空室となっては元も子もありません。

 

そのためオーナーは、そうした目先の小さなお金のために、大きなところを見失わないようにしなければなりません。

 

また、客付け仲介店の営業マンは人の入れ替えが激しい傾向があります。オーナー様自ら顔入り名刺を持って挨拶回りに行ったものの、すぐ担当者が離職してしまったという例は珍しくありません。

 

特に地方は、地主という、管理会社にとってのビッグクライアントの物件が優先されるケースも多いため、自分の物件を後回しにされないために、現地の仲介会社を回られる方も多いです。そこまでしたのに担当者が離職となれば、不満な気持ちもよく分かります。

 

ただ、理解しておかないといけないのは、地方物件の多くがそうであるように、家賃が安い物件の場合、客付け仲介会社の収益が家賃1カ月分では割に合わないということです。なので、そういった物件は、賃貸募集の際に、高い広告費が必要であることを見越した価格で購入する必要があります。

 

つまり、表面利回りが高くても、客付けコストや原状回復費を考慮すると、家賃2、3万円の物件は投資に見合っていないというケースも多々あるのです。原状回復費については、今回の民法改正でほとんどがオーナー負担ということになりましたので、特に注意が必要です。

 

「必ずX後に売る」というこだわりは不要

 

高稼働の必要性と、購入後(買い進めや売却など)をどのように考えればよいのでしょうか。

 

最近、お客様から出口戦略について相談を受けることが増えました。しかし、そもそも30年という長さでお金を借りられることもすごいことですし、完済後も持ち続けるという選択肢もあるわけです。

 

にもかかわらず、なぜ「5年後に売る」といった戦略を立てる必要があるのでしょうか。5年後の相場は、誰にも読めません。それどころか1年先も、数カ月先でさえも予測が難しいのが経済というものです。

 

自分にコントロールできないものによって、自身の損益が左右されることは、できるだけ避けなければなりません。

 

ファンドバブルが弾けたのは、ファンドが「〇年後には必ず売却する」ということを決めていたために、実際5年後に相場が下がっていても売らざるを得なくなったためです。

 

30年間で好きなときに売れるのに、わざわざ5年後に売ると決めてしまう理由はないはずです。毎年「今は売り時か?」と検討する必要はあるものの、最初に確定する必要はありません。

 

むしろ「5年後に売れたらいいなと思っていたけど、市況が悪いから持ち続けよう」とか「3年だけど、今売ったほうがよさそう」、もしくは「急にお金が必要になったから売ろう」といった判断を自分でできることが長期投資の強みです。

 

したがって、イメージを持つことや毎年の定点観測・市場把握は重要ですが、「必ずX後に売る」というこだわりを持つ必要はないのです。

 

信頼できる管理会社の選択が成功の秘訣

 

私は物件購入においてバランスを大切にすべきという考え方を提案しますが、購入後もバランスが必要です。長期修繕計画に関しては、新築アパートを買う人の場合、20年経った中古アパートがどうなるのか理解したうえで新築を買うのならいいのですが、新築物件しか見ないのはリスクがあります。

 

また不動産会社との関係性についても、私は違和感を覚えます。あなたは不動産会社を「コンサルティング会社」として見ていますか、それとも「下請け会社」として見ていますか。「安ければいい」と考えるのは、下請け会社に対しての発想です。下請けだと見ているのなら、下請けのような会社しか選べないでしょうし、逆にコンサルティング会社だと思って見ているのなら、それにふさわしい会社と出会えるはずです。

 

私自身、管理は「当たり前の積み重ね」だと認識しています。当社のお客様には、すでに他社から物件を購入している方もいます。ただそのなかには、管理状態がひどいケースもあります。

 

管理については、数の論理が働くので、管理戸数が3000戸もしくは5000戸といったラインを超えないと、ビジネス的に生産性が高いとはいえません。当社の場合、そこまでの戸数にはなっていないのですが、売買があるので会社全体としては成り立ってはいます。そうでなければ管理戸数が多い会社でないと厳しいといえるでしょう。

 

特に、繁忙期に原状回復の業者に依頼する場合、やはり発注数が多い管理会社の依頼が優先される傾向にあります。繁忙期に暇な原状回復業者というのは、仕事のクオリティが低いから暇なのであって、言い方は悪いですが〝安かろう悪かろう〟のケースはやはり多くなりました。

 

そういったことを考え合わせると、管理会社のポイントは、質の高い工事業者を迅速に手配したり、入居者様からのリクエストに丁寧に対応したり、送金レポートを1日でも遅らせなかったりということになるのです。

 

杉山 浩一

株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

宅地建物取引士

マンション管理士

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/45b2602c65fb699ab30f528b166e7ee0803749dd?page=1

2020年

10月

23日

恐しい…水で急速に腐った「日本の木の家」のとんでもない末路

本記事は、2016年1月29日刊行の書籍『「ワケあり物件」超高値売却法』(幻冬舎MC)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

築50年の住宅…価格はゼロどころかマイナス

自分の物件に、どのような不人気の「ワケ」があるのかを、いくつか代表的な事例をあげて見ていきましょう。

 

1.築年数が古い物件

 

不動産の上物は新しければ新しいほど価値が高くなります。欧米はともかくとして、日本ではこれが絶対的な真理です。欧米では、伝統的な石造りの建物などにも人気が集まりますが、日本では伝統的な古民家といえども住みたがる人は多くはないでしょう。

 

もちろん、欧米に比べて日本の住宅が、耐久性で劣るというわけでもありません。建築技術でいえば、住宅でもマンションでも日本は世界でも最高レベルにあります。違いがあるとすれば文化や慣習の部分です。

 

ちなみに、日本の法律では、木造住宅・店舗の減価償却用の耐用年数は事業用で22年、自己の居住用で33年となっています。これは、税制上は木造住宅には33年間の使用価値があることを示します。

 

もちろん、実際の耐用年数はもっと長く、実際に存在する木造住宅を見ると、築50年や60年の物件もたくさんあります。

 

しかし、市場価値でいえば、木造住宅はだいたい15年も経てば価値がゼロになってしまいます。つまり築15年の木造一戸建ての物件があったとすれば、その価格は、ほぼ全て地価であって、住宅部分は価格に入っていないというわけです。

 

さらにいえば、築50年の住宅などでは、その価格はゼロどころかマイナスになることもあります。新しい買い主が住宅を取り壊す費用がかかるからということで、土地価格から住宅の取り壊し費用が引かれて、物件価格になっているからです。

 

ちなみに、鉄骨鉄筋コンクリート(RC)造の建物の場合は、減価償却用の耐用年数は事業用で47年、自己の居住用で70年です。RC造は歴史が浅いので、明確にはわかりませんが、実際の耐用年数も同じ程度ではないでしょうか。

 

ですが、市場価値でいえば、やはりRC造のマンションといえども、せいぜい30年間でゼロになるのではないかと思います。

 

同じ築10年でも「こんなに違う…」大差のワケは?

2.設備の老朽化した物件

 

物件の築年数が経っているかどうかは、人でいえば年齢のようなものなので、ごまかすことはできません。物件広告を見ればすぐにわかります。しかし、物件広告だけではなかなかわからないのが、その物件の状態です。状態がよければ築年数が経っていても売れますし、逆に悪ければ築浅でも不人気物件となってしまいます。

 

実際に物件がどのような状態にあるのかは目で見てみれば一目瞭然です。同じ築10年といっても、状態がよいか悪いかで雲泥の差が出ます。会社で人を採用するときに、同じ年齢でも外見や経歴がまったく異なるのと一緒です。

 

物件の状態といって、すぐに思い浮かぶのは外観や内装です。外壁の塗装が剥げていたり、壁紙が煙草のヤニで汚れていたりするような家は、いかにも古そうな感じがしますし、目に見えない部分の経年劣化まで想像させてしまいます。

 

人間も、採用面接や商談に向かうときにはきれいに外見を整えていきますが、それと同じように不動産も、内覧の前には化粧(メイクアップ)をして、こざっぱりとした外観になるよう清掃する必要があります。お客様に自らを売り込むという意味では、どちらも同じことだからです。

 

もちろん、外見ばかりではなく、中身も重要です。すぐに目に見えるわけではありませんが、大切なポイントが水回りです。住宅において最も傷みやすく、劣化が激しいのが水回りの設備だからです。

 

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい

水回りとは、トイレ、キッチン、風呂場、洗面所を指します。水を使う場所は汚れを落とす場所でもあるので、油汚れも多く、どうしても汚くなりがちです。

 

また、水は一見、無害に見えますが、木材や鉄骨などの建材を腐らせる作用を持ちます。住宅にとって一番の大敵は水気なのです。もちろん、水気はパイプや塗料などによって建材からは遠ざけられていますが、長年使っていると、知らず知らずのうちに水はねや水漏れが重なって、しみをつくり、経年劣化を進めるものです。

 

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい印象を見る人に与えます。水回りではありませんが、住宅と水の関係で最も注意しておきたいのが雨漏りです。雨漏りは、屋根や外壁のすき間から雨水が建物の内部に侵入することで起こります。水が入ってきたときに、中にいる人がすぐに気づけばよいのですが、なかなかそうはなりません。なぜなら、外壁と内壁との間には、天井裏などの空間があるからです。

 

さらに、そこに断熱材や防音材などが詰められているために、住宅内への雨水の侵入に気づけないのです。そのため、住人が室内への雨漏りに気づくころには、すでに天井裏にはかなりの水がたまっています。その水が天井にしみをつくり、柱を濡らし、ベニヤ板を波打たせてしまうのです。

 

雨漏りの厄介なところは、1回の修繕では完全に直せないところです。というのも、雨漏りは、前述のような理由ですぐに気づけないために、屋根や外壁のどこから雨水が入り込んでいるかの原因を特定することが難しく、直しても直りきらないことが多いからです。また、一部を直しても、他の箇所から雨が侵入することが多く、何度もの修繕を必要とします。

 

実際に、弊社の管理する物件では数カ月の間に、3回も雨漏りの苦情が出て、そのたびに工務店を手配しなければなりませんでした。住宅の水気は、建材の腐食ばかりでなく、シロアリを呼び込むこともあります。腐食もシロアリも、壁の裏側で進行するため、普通に生活していても気づかないことが多く、気づいたときにはもう手遅れになっていることが多いのです。

 

これらの経年劣化は、たとえ売り主が知らずに売却しても、売却後に発覚した場合、瑕疵担保責任として売り主の責任で修理する必要があるため、黙って売り抜けることはできません。また、知っている場合は修繕履歴を全て、新しい買い主に伝える義務があります。

 

ですから「ワケ」を隠すことは法律上も、道義的にもできないのです。それよりは、売却前に徹底的に検査と清掃をして、できるだけよい状態をお客様に見せるほうが、高額で売れる可能性が高まります。

 

バス停からも10分以上…「遠すぎる家」の恐ろしい結末

3.交通の利便性が悪い物件

 

不動産屋として売り出し中の不動産を見ていて感じるのは、人気のない物件、価格が下がっていく物件の特徴は交通の利便性が悪いことです。

 

かつて、住宅が不足していた時代には、駅からバスで何分などといった物件でもわりとよく売れていたのですが、現在は、駅から歩けないくらい遠い物件は本当に人気がなくなりました。

 

バス停が近くにあればまだいい物件で、ひどいところになるとバス停からも10分以上歩かなければなりません。都市部ではどうしても駅周辺が栄えますし、人も集まります。駅から近いことは、今や住宅の必須条件になりました。

 

戸建てであればともかく、マンションの場合は駅から遠いと格段に資産価値が落ちます。電車の線路は人間の身体でたとえるならば血管のようなものです。人口が減少すると、都市の中心部に人が集まるコンパクト・シティ化が進みますから、ますます郊外には人がいなくなるでしょう。

 

「駅から遠くても車があるから大丈夫」の落とし穴

もちろん「駅から遠くても車があるからいい」という人も、なかにはいます。しかし、車派の人の場合は、物件の道路付けにこだわります。まず、車派の人にとって、駐車場のない物件は、それだけでアウトです。せっかく住宅を買うのに、わざわざ家から離れた駐車場を借りることほどバカバカしいことはありません。

 

さらに駐車場があっても、家の前の道が4メートル未満の場合は、取り回しが困難です。駐車場に車を入れるたびにストレスを感じたくはありません。建築基準法では、建物の敷地は原則として幅員4メートル以上の道路に接している必要があるとされています。もし敷地に面している道路の幅が4メートル未満の場合は、その敷地には建物は建てられません。仮に建てても、違法建築物になってしまいます。これを接道義務といいます。

 

しかし、新しく開発された都市はともかく、古くからある市街地では4メートル未満の道が普通に存在しています。江戸時代には車などなかったのですから道もそれほど広く造る必要がなかったのです。法律を厳格に適用すると、古くからある道とそこに面した建物のほとんどが違法となってしまいます。

 

そのため、建築基準法第42条第2項の規定で、古くからある幅員4メートル未満の道を建築基準法上の道路とみなすように規定しています。これを42条2項道路と呼びます。本来は、幅員4メートル未満のものは道路とすら認めないのですが、建築基準法ができる以前からの道であるため、特例として道路と認めているのです。

 

このように、幅員の狭い道路はいずれも見栄えが悪く、車での通行に不便なために敬遠されています。また、42条2項道路に面した建物は、建て替えの際に道路幅が4メートルになるように敷地を後退させること(セットバック)が義務づけられているため、将来的には敷地面積自体も狭まることになっています。このため、余計に人気がなくなっているのです。

 

松本 俊人

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/b5439a0bbec4f74672afdb5c02872f8ebd53a905?page=1

2020年

10月

16日

53歳会社員「住宅ローン控除を使って節税したらいくらの物件まで手が届く?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。 今回の相談者は、53歳、会社員の男性。戸建てから戸建てへの住み替えを検討中の相談者。住宅ローン控除を活用しながら、いくらぐらいまでの物件まで手が届くか知りたいとのこと。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

 

 

【相談者の悩み】

 

家を建てたいのですが、大きな買い物なので不安もあります。いくらぐらいの物件までなら心配ないのでしょうか?

 

現在の金利を考えれば節税のために住宅ローン控除を使いたいので、できるだけ頭金を少なくして買おうと思っています。現在の自宅はローン残債300万円で、不動産屋に相談すると2000万円くらいで売れそうとのことです。 

 

車(BMW)の買い替えを考えていますので、1年後に500万円ほどは貯蓄が減ります。 子どもは独立したので教育資金等大きな出費の予定はありません。60歳までは現在の収入が続きますが、その後は半分になり65歳で終わりです。退職金は2000万円ほどの予定です。将来的には実家の不動産を弟と相続しますので、半分売却すれば5000万円にはなると思います。 

 

【相談者プロフィール】 

 

男性、53歳、会社員、既婚 

 

同居家族について:妻、53歳(パート・手取り月8万円) 

 

子ども:1人(25歳)、独立 

 

住居の形態:持ち家(戸建て) 

 

毎月の世帯の手取り金額:68万円 

 

年間の世帯の手取りボーナス額:100万円 

 

毎月の世帯の支出の目安:40万円 

 

【毎月の支出の内訳】 

 

住居費:11万円 

 

食費:5万円 

 

水道光熱費:3万円 

 

保険料:2万円 

 

通信費:1万5000円 

 

車両費:1万円 

 

お小遣い:15万円 

 

その他:1万円 

 

【資産状況】 

 

毎月の貯蓄額:20万円 

 

ボーナスからの年間貯蓄額:100万円 

 

現在の貯蓄総額:2000万円 

 

現在の投資総額:1500万円 

 

現在の負債総額:300万円

 

 

 

【FPの回答】

渡邊:こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。住宅の買換えを検討しており、どれくらいの物件価格まで購入して大丈夫かとのご相談です。

 

お子様は既に独立しており、教育費の心配はいらないので、ご夫婦でのリタイア後を見据えての購入計画になります。理想のシニアライフを実現するための賢い住宅購入計画について考えていきましょう。

 

リタイアするまでにいくら準備するべき?

現在の手取りの収入から逆算して、年収は1080万円とします。60歳までは同じ年収で推移し、60歳から65歳は年収540万円と仮定します。

 

まずは、完全リタイアするまでにどれだけ生活資金を準備するべきかについて、現在の生活費をベースに考えてみましょう。 

 

現在お住まいのご自宅を売却した場合の手残りは、税金や手数料を加味しないと1700万円とします。現在、住居費を除いた生活費は、約29万円/月となります。お仕事をされているので、交際費などの支出があると思われ、お小遣いは15万円と多めの計上となっています。実際にリタイアした後に、これだけの金額使うかは分かりませんが、少し余裕を持たせた上で同じ生活費で考えてみます。

 

年金プラス住居費プラス2000万を目安に

一方、入ってくる収入としては、65歳に完全リタイアとすると公的年金のみとなります。厚生年金については、加入期間とその間の収入によって受給額が変わりますが、今回は夫婦合わせて、公的年金の受給額25万円/月とします。 

 

もし90歳までの生活を考えると、差額の4万円/月×25年間=1200万円となります。リフォームや介護・葬儀費用などの特別支出を500万円程度考えるとすると、住宅費用を除いた老後資金の目安は、1700万円となります。 

 

65歳以降の生活で住居費以外で約2000万円程度手元に準備すれば、十分生活出来る計算となります。退職金が大体2000万円とのことなので、それを老後資金と考えても良いかもしれません。

 

住宅ローン控除の恩恵は受けられる?

 

 

次に住宅購入について考えてみましょう。ご相談者は今の低金利をうまく活用しながら住宅ローン控除を最大限使っていきたいとのご要望です。

 

ご相談者は新築で戸建てを建てたいとのことですので、もし長期優良住宅であれば、ローンの年末残高の1%(最大50万円)を所得税・住民税から控除することが出来ます。 

 

住宅ローンの返済シミュレーションを作成すると、変動金利0.45%返済期間20年で5500万円の住宅ローンを組んでも、10年経過後の繰上げ返済を考えると、支払い利息よりも住宅ローン控除で控除できる合計額の方が大きくなるので、メリットがあると言えそうです。

 

 

 

7000万円の物件を買っても老後資金は問題なし

 

 

これらを踏まえてCF(キャッシュフロー)表を作成してみました

 

 

<前提条件> 収入:ご主人様~60歳1080万・60歳~65歳540万、奥様~60歳96万 世帯年金:65歳~約25万/月 

 

退職金:60歳2000万 

 

生活費:29万/月 

 

住宅購入:年収からの借入れ可能額5500万、頭金1500万、住宅ローン5500万 変動金利0.45%、返済期間20年、10年後に残債を一括返済予定。 自動車購入:来年500万 将来の相続:考慮せず

 

 

仮に諸費用込みで7000万円の物件を頭金1500万円入れて5500万の住宅ローンを組めたとしても、返済しながら貯蓄をすることも可能です。90歳時点で1000万円強の貯蓄が残る計算となります。

 

 

もし、住宅のリフォームや介護などを考慮しても、将来の相続によるご実家の売却などを想定した場合は、十分老後の生活はしていけるでしょう。

 

 

 

無理に高い物件を買う必要はない

 

住宅ローン控除を最大限活用しながら、生活出来る範囲の物件金額について考えましたが、当然無理に高い物件を購入する必要はありません。住みたいエリアやどのような家でどのようなライフスタイルを実現させたいのかが重要となります。まずはそこからスタートが基本です。 

 

今回いただいた情報以外にも、例えばお子さまへの結婚資金援助や住宅購入資金援助、お孫さんが出来た場合の援助など、出来ればやってあげたいというものもあるかもしれません。 

 

ご相談者は既に教育費も終わっており、それなりの資産形成もされてきているので、ある程度の余裕はあるようです。 

 

住宅購入以外の老後にやりたいことやお金が掛かりそうなことを想定し、慎重な住宅購入を目指しましょう。実際に購入したい物件が見つかれば、その金額でどうローンを組んだら良いのか、住宅ローン控除や生活を考慮しながら専門家に相談し、シミュレーションを作成してみてください。きっと理想の住宅購入及びセカンドライフが実現出来ます。 

 

何より大事なのは、金銭的にも精神的にも安心できる日々の生活です。

 

渡邊裕介(ファイナンシャルプランナー)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad413900db1b7e8c712f8f1b181254d91002e0b3?page=1

2020年

10月

09日

家賃6万円を超えたら、家を買った方がいい理由

日本のファミリー世帯の持家率は76%に及ぶ。4分の3以上の子どもが持ち家に住んでいるのが実態だ。持ち家を持とうと思ったきっかけも、「子どもや家族のため」が7割を占める。出産したら家を買うというのが、人生ゲームの定番の方程式といえる。

 

しかし、住宅市場はアベノミクス以降激変し、物件の選び方も変わっている。エリアごとの買いやすさも違いが大きいので、基礎知識を付けて購入に臨みたいものだ。

 

● 持ち家市場の激変 分譲戸建は「買える価格」か

 

アベノミクス以降、7年間で分譲マンション価格は5割ほど値上がりした。この価格高騰の波に乗り遅れた場合、共働きの高年収夫婦(パワーカップル)でない限り、購入環境は厳しくなった。 マンション以外の選択肢は戸建になるが、オーダーメイドの注文は分譲よりも1000万円高くなる(リクルートマイホーム購入者アンケート調べ)。そのため、現在のファミリー世帯のエントリー商品は分譲戸建になっている。この価格はアベノミクス以降、ほぼ横ばいで推移しており、リーズナブルな価格水準に留まっている。 分譲戸建の全国の平均価格は2700万円になる。これを35年の住宅ローンにすると、月の返済額は6.4万円になる。持ち家以外のファミリー世帯の平均年収は540万円なので、価格は年収のちょうど5倍になる。年収に対する返済額の比率は14%ほどで、無理せず返せる水準にある。 もし、この返済額と同等の家賃を払っているなら、家を買った方がいいことになる。なぜなら、この支払いを35年続けた結果は、賃貸ならその後も死ぬまで支払いが続くが、持ち家なら返済完了と同時に支払いがなくなるからだ。こうして、賃貸と持ち家では約1.5倍の住居費の差が出る。とにかく、早めに買って定年までに返済を終えてしまった方が、老後の暮らしは明らかに楽になる。

 

 

● 結婚は30歳前後でも 持ち家取得は37歳と遅い理由

 

とはいえ、結婚早々全員が家を買っているわけではない。全国の平均的な結婚年齢は30歳前後であるが、持ち家取得の平均年齢は37歳となっている。この7年間のブランクは、「家族構成が決まってから間取りを考えて家を買いたい」というのが、第一の理由である。子どもの数に応じて部屋数を決めたいというのは、もっともな理由ではあるが、これによって失う家賃は1年で77万円、5年で384万円になるのでムダだ。 そのため筆者は、購入をもっと早めた方がいいと考えている。なぜなら、戸建もある条件を満たせば、売却で損をする可能性が低いからだ。 住宅性能評価書付き住宅のほとんどが75年以上の耐久性を持ち合わせており、その年間価格下落率は1.4%に過ぎない。これは「100%÷75年≒1.4%」という数式と一致する。住宅ローンの返済ペースが年2.7%進む時代に売却を行うと、この差額「(2.7%-1.4%)×居住年数」が戻ってくる計算になる(ちなみに、分譲戸建でも国が定めた等級を取得していない戸建の資産性は保証されていない)。 家賃で掛け捨てるより、持ち家はこうした面でもお得になる。そうなると、10年ほどで住み替えることもできる。予定外に第三子が生まれたら、それが双子だった場合などの家族構成の変化にも、買い替えという方法で対応することができる。

 

 

● 戸建を買いやすい 都道府県はどこか?

 

都道府県別に平均販売価格を計算すると、首都圏、近畿圏、愛知県の3大都市圏と北海道、沖縄県がトップ10を占める。3000万円を超える価格水準では、年収倍率は平均で7倍ほどになるが、75%が持ち家を取得しており、それだけ家賃負担も大きいことが踏み切らせる理由になっている。要は、家賃並みの返済なら買えるのだ。

 

比較的価格が安く2500万円以下の都道府県は25と、過半数に及ぶ。年収倍率でも4~5倍程度で購入しやすい状況にある。月の支払いも5~6万円で、家賃水準以下になる。中でも宮崎県が最も安く、平均価格は2000万円となる。月支払額は4.8万円、平均年収423万円と低いが、年収倍率は4.8倍に留まり、戸建を買いやすい県になっている。 年収倍率が最も低いのは、福井県、香川県、徳島県で4.1倍しかない。こうなると、家賃など払っている場合ではないので、ファミリー世帯の持家率は80%ほどにもなる。

 

 

● 「住宅すごろく」は昔の話? シェアを伸ばす分譲戸建

 

こうして持ち家のエントリー商品の地位を分譲戸建が確立した。分譲は戸建の3分の1を占めるようになり、毎年0.5%ずつ市場シェアを増やしている。 以前、「住宅すごろく」という考え方があったが、これは今では様変わりしている。昔は都市圏に出てきて、単身でアパートに住み、結婚して賃貸マンションに住み、マンションを買って、最後に庭付き一戸建、というのがすごろくの「上がり」と思われていた。 今は、結婚したら分譲戸建がエントリー商品になり、引っ越しができるので、注文戸建を建てて一生住むのもいいだろうし、子どもが巣立ったら、便のいい立地でマンションを買うのもいいだろう。 いずれにしても大事なのは、「売却可能な持ち家を若くして取得した方が得だ」という人生設計である。このパターンを踏まないと家に悩まされる人生になりかねないので、気をつけてもらいたい。 (スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7b6a4c8c7fa4114820cbdeb4dba8035f624d1341?page=1

2020年

10月

02日

買って猛烈に後悔した「築古マンション」の恐ろしすぎる共通点

本記事は『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

築古物件に必ずつきまとう「修繕コスト」の大問題

 

築古の土地値物件を探すにあたってはもちろん、建物の築年数は経過していても修繕コストが少なくてすむものが理想です。修繕コストを下げるためには、購入予定の物件を詳細に確認する必要があります。その状態によっては、購入を避けましょう。 理由はさまざまですが、リスク回避にコストがかかる、もしくはリスク回避そのものができず瑕疵が残ってしまい、半永久的に賃貸できない、もしくは賃貸に出せたとしてもオーナーとして、入居者や第三者からの損害賠償請求を受けるリスクがあることを頭に入れておかなければなりません。 家賃によらず、最低限、入居者が快適に過ごせる空間を準備しましょう。そのために、瑕疵担保責任を免責とする売買契約の場合は、よりいっそう慎重に物件の調査を行うようにしましょう。 以下に、注意すべきポイントを解説します。 ●雨漏れ物件 当然、雨漏れはない方がいいのですが、築古物件の場合、防水効果が切れている物件はかなりの確率で存在します。そのときは自分で判断をすることなく、迷わず塗装防水工事業者に同行を依頼し、防水の原因と補修が可能であるのか、その補修がいくらぐらいか購入前に確認してください。 雨漏れがひどい場合、内装の石膏ボードなどが内側から腐ってしまっていることがあります。その場合、いくら新品のクロスを表面に貼っても、下地が腐っていれば数カ月でカビてしまいます。 室内の壁の下地から工事のやり直しになり、倍以上のコストがかかる場合もあります。 また、こんなケースもありました。4階建て重量鉄骨造のマンション16世帯中、1階の103号のキッチン天井から雨漏れしてくるのですが、その上の203号と303号は雨漏れはしていないのです。そのため、どこから雨漏れしているのかがわからず、数カ月ほど悩まされました。 結局のところ、屋上のドレイン配管から鉄骨を経由して雨漏れしていることがわかりました。原因がわからない場合は、雨漏れ原因を究明してくれる業者に依頼しなければなりませんが、1回の調査で20万~30万円のコストがかかってしまいます。

 

仙台市のとある物件で悲劇が…

 

●木造で軒天(のきてん)がはがれている物件 自社物件の購入を検討する際、こういった物件は迷わずやめるようにしています。 まず、雨漏れを放置しておくと木造の躯体が腐ります。また、シロアリは湿気を好みますので木の中に住みつき、繁殖します。シロアリが発生すると柱などの躯体はすぐに駄目になり、軒天の板が剥がれ落ちることさえあります。特に軒天の上には、ベランダもしくは廊下の下地がありますので、それが腐っていれば落下のおそれがあります。万が一、廊下やベランダが落下したら、入居者や来訪者の生命に関わり、大家業としての業務上過失責任を問われることになります。修繕には多大なコストがかかるため、購入するのは控えましょう。 仙台市で勤務していたとき、ある投資家が、仙台市太白区の山の上の満室想定利回り30%の物件を購入しました。 12室中入居が4室と、ほとんど入居者がいない物件でした。当初8室で350万円前後の修繕費を見込んでいたようですが、ベランダが腐ってグラグラしていると後になって発覚しました。購入金額が12室で960万円であったのに対し、12室分のベランダの取り換えと塗装とで300万円もの追加費用がかかってしまい、収支が大きくずれてしまったのです。オーナー側としては、入居させた以上、建物を安全に維持する責任があります。コストがかかるからといって修繕しないわけにはいきませんので、注意が必要です。

 

「二日酔い?」いいえ。スーパーボールを置いたら…

 

●傾いている物件 最近西東京に中古の自宅を購入したのですが、物件の選択をするにあたって妻とともに中古住宅をいくつか見てまわっていました。ある物件では、玄関に入ってリビングに入室した際、ぐらぐら頭が回り、車酔いにあったような印象を受けたのです。昨日お酒を飲みすぎたのか?とも思いましたが、妻も同じ印象を受けたようだったので、娘のスーパーボールを置いてみました。すると、窓に向かって動いたのです。つまり、部屋が傾いているということです。 建物を水平に戻すためには、ジャッキアップ工事が必要となります。基礎と建物の間にジャッキをいれるのですが、非常に大掛かりな工事で莫大な費用がかかるため、あらかじめ注意しておくことが必要です。 ●隣地と境界の確定で揉めている物件 物件を購入するにあたっては、敷地の境界を確定する必要があります。公募売買といって、謄本上の土地面積で売買を行うことがあるのですが、確定測量の費用が高いため「境界は非明示で売買する」と仲介会社からいわれる場合もあります。必ず境界を確定してもらうようにしましょう。 境界が確定されておらず、隣地と揉めていた場合、解体して分筆(一筆の土地を法的に分割すること)し、建売住宅にしようとしても分筆そのものが不可能となってしまいます。そのために必ず境界は確定してもらい、少なくとも測量図面に基づいて境界を明示してもらうようにしましょう。

 

「ライフラインの越境」が危険すぎるワケ

 

●ライフラインが越境している物件 地面を経由しているガス、水道などは、道路から直接配管されているのが通常です。しかし、途中で土地を分筆してライフラインの配管をしている場合は要注意です。 なぜなら、水道配管、もしくは排水管が劣化してしまい、敷設し直す必要がある場合、隣地の敷地内にある配管もまた掘削して配管し直さなければならないからです。土ならまだしもコンクリートだった場合、隣地が許可しないこともあります。 ライフラインの越境は、その後宅内に直接配管できるかどうかを確認するようにしましょう。 ●エレベーターを定期リニューアルする必要がある物件 6階以上、高さ31m以上の物件については必ずエレベーターを設置しなければなりません。エレベーターは初期投資が大きいため、高層マンションを取得する際にはエレベーターの維持管理費用が必須となります。 エレベーターの柱に「年度~定期点検実施済み」とステッカーが貼ってあれば、それはきちんと点検されている証拠です。裏を返せば、このステッカーがないエレベーターは、購入後すぐに多額のリニューアル費用がかかるということですので、注意が必要です。

 

シンドラー社の痛ましい事故が発生してから

 

2006年、シンドラー社の事故が発生してから定期点検の方法が見直されました。1年に1度は一級建築士などの有資格者による法定点検が必要とされ、また月に1度は定期点検として制御盤、機械室、電動機の給油・確認、ブレーキ調整などをしなければなりません。 月に1回の定期保守点検では、 ★POG(パーツ、オイル、グリス) ★フルメンテナンス の二つの点検方法があります。文字通りフルメンテナンスは基盤、ロープ、ボタンなどの劣化の際、追加費用がかからないという利点がありますが、コストがかかります。メーカー、サイズにもよりますが、相場は以下の通りです。 ★POG 1万5000円~3万5000円/月 ★フルメンテナンス 3万円~7万円/月 白物家電メーカーの関連会社であるエレベーター会社は点検費用が高く、エレベーター専業会社は比較的低コストでの対応が可能です。 また、エレベーターにも耐用年数があり、多くは20年~25年の間にリニューアルが必要です。方法としては、 ★全部撤去、新設リニューアル 800万円~1500万円 ★準撤去リニューアル 500万円~800万円 ★制御、部分リニューアル200万円~500万円 と幅がありますが、新設でなければ徐々に扉、電動機など部分修理の回数は増えます。工期は長いものの、新設が一番コスト減となります。 いずれにしてもエレベーターは非常に高額ですので、コストがかかることを頭にいれておきましょう。

 

「不労所得」が謳われる不動産投資、その実態は…

 

不動産投資の仕組みや特徴についてみてきましたが、その中で一貫してお話ししているのは、「投資という側面がある以上、出口を見据えて戦略を立てなければ失敗する」ということです。 医療が発達している上、少子高齢化が進む日本の平均年齢は先進国の中でも最も高く、アメリカより高い46.1歳です。特段の工夫をせず、今までと同じやり方、同じエリアで若年層、学生のみをターゲットとする賃貸経営は、徐々に入居率が下がっていくでしょう。一方、留学生を積極誘致する大学などを賃貸需要とする物件は需要が見込めるでしょう。また、積極的に高齢者を受け入れる体制をつくっているアパートは、今後も需要が増加していくことでしょう。 自分の物件が今後も継続的に賃貸需要が見込めるのかどうか、10年後のことは誰にもわかりません。リスクをとらないということは、今物件を保有している人は物件を売り、投資をやめ、利益を確定させることです。そもそも不動産投資をしていない人はこれからも不動産投資をしないということになります。 ここまで読んでいただいたらわかるかと思いますが、不動産投資は、豊富な知識や情報によって適切な選択をしていかなければなりませんので、決して、何もしなくとも利益があがる不労所得ではないのです。 不動産投資を確実に成功させるには、家賃収入を最大化させるため、仲介会社、賃貸会社、管理会社、リフォーム会社、税理士などさまざまな業種の人に依頼し、コストをコントロールし、その利ざやで収益を上げなければなりません。そのため、「他人任せ」ではなく多くの情報を取り入れ、自分の頭で考え、組み立てをすることが重要です。

 

菅谷 太一

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d957f35d733816eb331235956d6b4880dacd9c8?page=1

2020年

9月

25日

恐ろしい…「日本の家」の質が急低下している、これだけの理由

※本記事は、株式会社緑建設代表取締役社長・齋藤正臣氏の著作『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

「掘り出し物」という言葉を鵜呑みにすると…

 

■土地のことしかわかっていない不動産業者は信用できるか 不動産業者は土地の売買に関してはプロフェッショナルかもしれませんが、同じように家造りに関してもプロフェッショナルかといえば、必ずしも、そうではありません。しかし多くの方が、不動産業者に相談すれば、家造りに関してもアドバイスがもらえると思われているようです。 しかし、ここに大きな誤解があるのです。 それぞれのエリアによって、地元ならではの情報を持った不動産屋があります。彼らは、駅からの距離や周囲環境などの利便性に関しても、詳しく教えてくれるはずです。しかし、それはあくまでも不動産=土地の情報にすぎません。 「どんな土地に住むのか」と、「どんな家で暮らしたいか」の二点は、似ているようですが、ゴールの方向性がまったく違います。 不動産業者にとって大切なことは、あくまでも〝土地を売る〞ことです。土地を売るためには、多少のごまかしもあるでしょうし、真実を黙ったままということも少なくないと聞きます。 「掘り出し物」という言葉を不動産業者の営業マンが言うことがありますが、実際にはそういうことはほとんどありません。例えば古い擁壁をやり直さないと建築の許可が下りないなど、購入してから余計な費用がかかることがあります。安い土地には必ず安いなりの理由があるのです。何も考えずに、不動産業者の言うことを鵜呑みにするのは避けるべきです。 本当に良い不動産業者は、土地を探す際に、家の間取りまで考えてくれます。建てたい家、暮らしたい家の希望イメージがあるなら、それをきちんと伝えて、双方が理解したうえで、あなたの希望の家に沿った土地探しをしてくれる不動産業者を探してください。 2階には六畳の部屋が3つ、リビングには吹き抜けや大きな窓が欲しい……など、家のイメージを伝え、希望の間取りがこの土地の広さで叶うのか、相談にのってもらえれば、安心して土地を探すことができるはずです。 家造りは、土地と建物の双方の歯車がかみ合って、初めて良いものになります。希望の家を叶えるためには、家に関する知識もしっかり身に付けた不動産業者の存在が不可欠です。

 

自分の家が「建築家の作品」になってしまうと…

 

■建築家は自分の作品を造っている 設計事務所の建築家に設計を依頼した場合、住む人の利便性よりも、自分の作品として考えている人が多く、施主が「ここはこうしたい」と修正を依頼しても、「いえ、ここはこの方がいいのです」と突っぱねられてしまうケースも多いようです。 長い時間をかけて打ち合わせをしたのに、建築家から意に添わないプランが出され、「この図面を造るのにこれだけの時間がかかったからこれだけの費用を払ってください」と言われても納得できるものではありません。 また、建築家の提案通り壁を曲面にしたら家具が置きづらくなったとか、不必要に段差が多くて疲れるといった話があります。こういった事例では、実際の暮らしぶりをまったく考慮せずに作品として設計したとしか考えられません。 もちろん、生活動線や使い勝手を考えたプランを立てて、施主の希望を聞いてくれる建築家の方も中にはいらっしゃいます。ただ往々にしてプラン変更を聞かない人が多いとよく耳にします。建築家の中には実際の建築現場の納まりを知らず、工事を担当している施工会社から設計を指摘されると機嫌を損ねる人もいるようです。 個性的な家に住みたい。その人の作風が好きで作品を購入したい。多少意に添わなくても構わない、というリスクを背負う覚悟ができているのであれば、建築家にお願いする意味はあると思います。美的センスや相性のいい建築家と出会えれば、もちろん満足のいく家が建てられるでしょう。

 

「家から近いほうがいいよね」という大誤解

 

■家から近い業者に依頼するのがいいのか 工務店を選ぶ際は、家から近い会社がいいという説が昔からあります。何かトラブルがあった際にすぐにかけつけてくれるという理由からです。 しかし、トラブルへの対処スピードは、それぞれの会社の姿勢の問題であって、距離の問題ではありません。例えば、ドアの締まりの調子が悪い、といったような急を要さないトラブルがあった場合、家から10分の場所にある会社と、家から1時間の場所にある会社を比較して、前者は対応が3日後だけど、後者は翌日にはすぐお宅へ伺って対応してくれるとしたら、後者の会社の方が結果的には早く問題が解決します。 実際、緊急を要するようなトラブルというのは、電気系統やガス給湯器の故障などであって、工務店では直せないので機器のメーカー担当者が修理に伺うことになります。そうなると、住宅会社に電話して、そこからまたメーカーのサービスセンターに連絡するのと、お客様自身がサービスセンターに連絡するのとでは大差はなく、住宅会社の距離は関係ありません。大事なのは、あなたが困ったときにすぐ対応してくれる会社かどうかです。 ■棟数が多いと本当に安心なのか 手がけている住宅の数が年間何百棟以上ある。注文住宅部門で3年連続第1位……等。多くの注文を受注していれば、その会社は安心・信用できるということでしょうか。それだけの棟数の家を建てるのに、大工が何人、電気屋が何人、左官屋が何人必要でしょうか。 建築現場が増えれば増えるほど、関わる職人の数は増えていきます。大量の職人を導入すれば、その中で明らかに技術の差は生まれ、上手な職人だけの集団をつくることは不可能になります。 例えば、県内で10位の腕を持つ大工が来て、35位の左官屋が来て、23位の電気屋が来て家を建てれば、20位くらいのいい家ができるかもしれません。しかし、250位のタイル屋が来た瞬間にその家の品質は明らかに落ちてしまうのです。 同じ会社が造った家でも、ある人の家は素晴らしい出来で、ある人の家は欠陥があるということが起こりうるのです。年間の施工棟数が多い会社に、口コミや評価にばらつきが出るのはそのためです。 棟数の多い少ないがそのまま建てる家の質の良し悪しになるわけではありませんが、棟数が少なければ各現場、同じ職人が来て施工することになるので、品質のばらつきはなくなります。 しかし、昔ながらの地元の工務店の中には、技術のあるなしにかかわらず、昔からの付き合いで仲間の職人に依頼する会社もあります。棟数が少ないからといって必ずしもいいというわけではありません。品質のいい家を建てるためには、技術のある職人を常に抱えている会社を選びましょう。

 

「パパ、家建てて」大手ハウスメーカーのなかには…

 

■ある大手は入社すると家族、親戚、友達の家を建てさせられる これはちょっとした業界の裏話なのですが、毎年多くの新入社員を募集する大手ハウスメーカーのなかには、入社した新入社員にノルマを与えクリア出来ないと、家族や親戚、友人などに家を建てるように勧誘させる会社もあるそうです。伝手がなくなり、ノルマが達成できなくなった社員は自主退社をしていきますが、また翌年にはたくさんの新入社員が入ってくるというわけです。 もしあなたの身の回りにハウスメーカーに就職した親戚や知り合いがいて、その会社で家造りをするよう営業に来たとしても、情に流されず、自分の理想の家が実現できるかどうか、という点で選んでください。もし、その会社で理想の家造りができそうだということであればいいのです。何度も書きますが、家造りに情けは禁物です。 ■アフターサービス部門があれば安心なのか 24時間、365日、いつでも困ったときには電話口で対応してくれるアフターサービス部門がある会社は安心でしょうか。 定期的な点検やメンテナンスといったフォローは確かに便利で魅力的です。何かトラブルが発生した場合にもすぐに相談出来るので心強いかもしれません。しかしこれは、言い換えると専門の部署を設けなければいけないくらい、年間を通じてクレームの件数も多いということにもつながります。 大してクレームが寄せられなければ、直接担当した営業マンか現場監督と話をすれば いいのです。完全にクレームをゼロにすることはどんな会社でも難しいでしょうが、専門の部署を設けて人を雇う必要があるということは、それだけ多く問題が発生しているという逆説的な証拠かもしれません。 関わる人が多いと希望が通りづらい会社の規模が大きくなってしまうとどうしても仕事が分業されてしまうので、仕方がないことなのかもしれませんが、例えば営業マンに希望のプランを伝えたとしても、直接施主から話を聞いていない設計部の人間が図面を書いた場合、希望が反映されないものが上がってきてしまうということがよくあります。 また、設計図が上がってきた段階で、営業マンが気づくことがあっても、設計部の担当者の方が先輩で、社内の上下関係で営業の立場が弱く、出てきたプランの修正をその場で言えないこともあるようです。その結果、希望が反映されないプランをそのまま施主に提出してしまうことになります。 直接打ち合わせをしていないと、なかなか施主の気持ちが伝わらず、親身になって設計する気にならないのかもしれませんが、施主の要望はプランに反映するべきと考えます。一番いいのは、設計する人間と直接打ち合わせができるような会社を選ぶことです。

 

齋藤 正臣

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8eace03d36d62571244084150ee2ecf718e7bbda?page=1

 

2020年

9月

17日

コロナで変わる「地方移住」 地域おこし協力隊に応募殺到、オフィス移転も〈週刊朝日〉

 退職後のセカンドライフとされていた「地方移住」。新型コロナウイルスの感染拡大でこれに異変が起きている。リモートワークの普及に伴い、人混みでの感染リスクを避けようと地方暮らしを選ぶ人が増え、働き盛りの世代も目立つ。

 

 首都圏に暮らす50代の夫婦は、今秋に中部地方へ移住することを決めた。もともと地震のリスクなどに不安を感じていたといい、「コロナに背中を押された」。夫は自営業であるため、移住先でも同じような仕事を新たに始めるつもりだ。  すでに今春、東京から中部地方へ移り住んだのは40代の夫婦だ。以前から願望はあったが、「移住先で仕事が見つかるかがネックだった」(夫)という。コロナ禍でリモートワークが進んだことから、地方でも同じ仕事が続けられると判断した。移住先でも外出自粛を余儀なくされたが、豊かな自然に囲まれて過ごせることを改めて良かったと感じている。  実際、兵庫県豊岡市が「地域おこし協力隊」として農業や伝統工芸の従事者を募ったところ、応募が殺到した。応募者は通常2~3人くらいだというが、6月29日~7月19日の約3週間に17人の枠で求めると、56人が手を挙げたというのだ。 「移住を考えていて、コロナがきっかけで人生を見つめ直したという方もいました」(市担当者)。応募者は、東京を含め全国各地からの21~47歳。20代が20人超もいたという。8月から現地に移り住み、仕事に携わる人も出てきた。  移住したい人と受け入れる地域をマッチングさせるサービスも、コロナ禍で活況だ。マッチングの専用サイト「SMOUT(スマウト)」の新規登録者は、4月までは600~700人程度だったものの、5月に1千人を超えると、6月には約1500人、7月に約1800人と最多を更新した。  スマウトを運営するカヤックの広報担当、梶陽子さんは「緊急事態宣言が解除された5月、自然発生的に増えました。コロナでリモートワークが進み、ファミリー層も移住を検討しています」。

 

 新規登録者は20~40代が大半で、首都圏の割合が高くなる傾向だ。  スマウトを活用する山口県萩市は、前出の豊岡市のような「地域おこし協力隊」(9人枠)で、22人も応募が来るなど手応えを得る。 「コロナをきっかけに、都市部で仕事をするより、地方で仕事をすることに興味を持った方はいました。これまで簡単に移り住みにくかった世帯が動き出しています」(市担当者)  茨城県の移住・就職相談センターでも相談が増えている。50~60代の退職者がセカンドライフを送るための移住が中心だったが、最近は働き盛りの30代が目立つという。 「リストラを懸念している」。こう話すのは、首都圏で不動産関連の会社に勤める30代の男性だ。コロナでテナント需要が低迷するなど先行きが不透明なため、移住を絡めた転職を考えている。首都圏外で就職活動を続け、すでに内定を得た会社もあるという。 ■複数県探す人も パソナは淡路移転  都市部への人口流出が進み、労働力の確保が課題とされてきた地方。図らずも、コロナがこうした「逆流入」を呼び起こすきっかけになった。  徳島県は、コロナで解雇や雇い止め、採用内定取り消しとなった人を対象に県職員を募集した。 「移住者がどんどん増えているかというと、まだそこまでではありません。ただ、コロナが移住を考えるきっかけにはなっている。移住関連サイトの閲覧が増え、東京の相談センターなどに問い合わせが増えています」(県担当者)  東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」は45道府県の地域情報を提供し、移住や地方暮らしの相談を受けている。高橋公理事長は「面談を含めて本気度の高い人が来ています。移住に仕事は不可欠」と語る。センターにはハローワークも備え、移住先での就職を支援する。  センター内に相談窓口を設ける岐阜県の担当者もこう話す。 「これまでの移住は『観光で訪れて良かった』という理由でしたが、コロナがきっかけなのか、現地を訪れたことがないという人もいます。地方移住に興味があり、インターネットなどでよく調べてきて、趣味や好きなことをやりたいと相談に来ます」

 

 さらに、「一人で複数県に相談に来る人が確実に増えている」(センターに相談窓口を構える富山県の担当者)という。  リクルートキャリアのHR統括編集長、藤井薫さんは「コロナでリモートワークが進み、時間や空間を超えられるようになった。会社や人生、家族関係などを考え直し、仕事のあり方を考える時代に突入しているのでは」と指摘する。  転職情報サイト「doda」の編集長、喜多恭子さんは「コロナによる在宅勤務で家族と触れ合い、仕事を見つめ直された方が多い」としたうえで、「件数はまだそれほどではないが、移住を望む方もいる。仕事探し自体も変わってきている」。  東京都心のオフィスを地方に移す動きも出てきた。人材派遣大手のパソナグループ(東京都千代田区)は、本部機能社員の約3分の2を兵庫県淡路島に移す。新型コロナの感染拡大やデジタル革命が進むなか、リモートワークなどで働き方が変わり、新しい生活様式への適応が求められている。都心の自然災害リスクへの対応もあるためだ。パソナは2023年度末までに、グループの本部機能社員約1800人のうち、約1200人を移す予定だ。本部機能業務には、人事や広報、総務、財務経理、経営企画などがあるという。  消費者庁は、新未来創造戦略本部を7月30日に徳島市に開設した。消費者政策の研究機能を担うほか、国際業務の拠点などとなる。国や自治体、企業や大学の研究者など約60人の体制でスタートし順次、拡充していく方針だという。  都心からオフィスを地方へ移す動きは、これからどんどん出てくると見るのは、住宅ジャーナリストの榊淳司さんだ。とくにIT系の仕事は、場所を選ばないことが多いためだ。  パソナの移転については、子育て世代の場合、子どもの受験や進学面でハンディがあるものの、瀬戸内海の温暖な島暮らしはある意味で魅力的だとする。 「都心のオフィスは縮小傾向があからさまになっています。地方では戸建て住宅が売れていて、一部の動きとは言えなくなっています」(榊さん)。コロナが収束しても、この流れは止まらないとする。(本誌・浅井秀樹) ※週刊朝日  2020年9月25日号

 

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2020年

9月

11日

新築神話が崩壊…中古住宅は実際のところ何年住めるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

 

中古流通市場には不思議なことがいっぱい

 

日本の中古流通市場を見ていると、不思議なことがいっぱいあります。 私がまだ三井不動産に入社したばかりのころ、ある中古物件の仲介の仕事に携わりました。物件は神奈川県鎌倉市にある一軒家。建物は戦前に建てられたもののようですが、大変しっかりと造られた洋館で、重厚な佇まいです。歴史を十分に感じさせる素晴らしい建物に、現地を訪れた私も時計の針が戻ったようなノスタルジックな気分にさせられたものでした。 売主は数年前に亡くなり、相続人が持て余して売却をしたい、との申し出でした。 さて売り値の査定です。私はまだ入社後間もなかったので、不動産仲介は素人の域を出ていません。先輩に教わりながら価格を査定していきます。土地の形状、傾斜、境界の確認など土地周りの作業を行ないます。周辺の取引事例も綿密に調査します。鎌倉といってもエリアによってだいぶ土地の値段は違ってきます。この物件は超一等地ではありませんが駅からも近く、まずまずの立地です。この場所なら良い価格がつきそうです。 そして建物の調査をしようとした私に、先輩が声を掛けました。 「ああ、建物はいいや。どうせ価値なんかないから。古屋と表示すればそれでかまわないよ」 そうです。日本の不動産流通業界では建物の価値は木造などの場合は築20年を超えるとほぼゼロという査定が平気で行なわれるのです。つまり中古査定価格はほぼ土地代相当ということになるのです。 素人目にはまだ十分使用できるお洒落な洋館のお値段がゼロ。それどころか、 「解体費用分は土地の査定価格から引いておかないと売れないかもな」 先輩の声が響きます。なんだかその声に当時の私は大いなる違和感を覚えたものです。日本においては中古住宅の査定に当たっては、とにかく建物の価値を認めようとしないのです。

 

中古住宅に高い査定がつくことはない

 

同じ時期に同じ仕様の家を買った場合でも20年も経過すると、それまでの家の管理内容によって物件の価値は大きく異なってくるはずです。これは住宅に限らずオフィスビルでも商業施設でもホテルでも理屈は同じです。ところが中古住宅では築年数で「一発アウト」これはおかしな話です。 以前は日本の木造住宅は耐用年数も20年程度といわれ、それは日本の住宅は木と紙でできていて20年以内には建て替えなければならないような劣悪なものが多くあるからだ、とされていました。しかし、現在では木造住宅でも耐久性、耐震性にすぐれ、100年も持つような優良住宅が建てられるようになっています。 それでも、築年数が経過した中古住宅に高い査定値がつくことは稀です。 中古に価値を与えないということは、住宅の持ち主がいざ市場で売却しようとする際には、「土地代しかあてにならない」ということを意味します。 たとえば土地の評価額が50坪で5000万円、つまり坪当たり100万円だったとします。ここに40坪の住宅を3200万円で建設します。坪当たり80万円程度の建設費になりますから、設備仕様は十分な住宅といえます。土地と建物を合わせた費用は8200万円ということになります。 ところがこの住宅、20年たっていざ売りに出すと土地代のみが売り値と査定されてしまうのが常です。土地代が10%値上がりしていれば5500万円。ただし建物代はゼロなので中古価格は5500万円にしかなりません。わずか20年の間で2700万円も不動産価値が下がったことになります。ましてや土地代が10%下落してしまうと中古価格は4500万円。そこに建物の価値は一切包含されないのです。 これでは、日本人が自らのライフスタイルに合わせて住宅を気軽に買い替えていくことは、至難の技となってしまいます。 アメリカ人は人生の中で5、6回は住み替えるといいます。それは中古住宅に価値があると多くの人が信じているからです。テレビ番組でご一緒した米国人タレントは私にこう言いました。 「日本人、よく勇気出して新築住宅買うよね。なぜって、アメリカじゃ、まだ誰も住んだことのない住宅なんて怖くて住めないよ」

 

住宅は一生のうち何度もする買い物へ

 

これはアメリカの住宅の施工が悪いということではなく、「人が住んで性能をちゃんと確かめた」あるいは「前住んでいた人がリニューアルをしてさらに価値を高めた」ということが普通に評価される、ということです。 それでもこれからの日本では、不動産価値に対する見方が新築一辺倒から本当に自分たちのライフスタイルに合った住宅を中古住宅に見出すような時代になると考えています。 なぜなら、デベロッパーがモデルルームなどで展開する仮想現実の世界などが実際の生活にはころがっているわけではないことに、多くの人たちが気づき始めているからです。とにかく家を持たなくちゃ、といった脅迫概念が薄れ、不動産価格が手ごろな価格に落ち着いてくれば、人々はじっくり住宅の品定めを行なった上で、新築や中古の関係なく、真に自らのライフスタイルに合った住宅を選ぶようになるでしょう。 国でも、中古住宅流通を促進するために中古住宅に関する性能評価制度を制定し、物件の価値を正しく判定する一助となるようにしています。業界側も建物に価値が見出せるようになれば、もっといろいろな売り方が可能になってくるはずです。 バブル崩壊は、こうした中古住宅の流通にも中長期的には良い影響をもたらすことになるかもしれないのです。

 

牧野 知弘

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3983e3df59a5064201dcb47fc3f4ef7e43de6323?page=1

2020年

9月

04日

ウィズコロナで疎遠になる人間関係。都心に家を買うか否かで…

コロナ禍は人の生き方、価値観まで変えたんです。そうなると当然、価値観の合わない知人とは疎遠になるわけで……」  ここ半年の間で、人々の暮らしは大きく変化した。たとえば、これまで“出社”が前提となっていた働き方もコロナ感染拡大を防ぐため、積極的にテレワークが取り入れられた。政府から外出を控えるように呼び掛けられるなか、買い物はすべて通販で済ますという人も増えた。それぞれの価値観がガラリと変容するなか、友人や知人との“人付き合い”に軋轢が生まれることも……。

 

 

テレワークが中心となって都心に住むメリットがなくなった

 

 大手通信会社勤務・丸田俊樹さん(仮名・40代)は、7月まで都心の高級賃貸マンションに住んでいた。しかし8月からは千葉県の成田空港近くに引っ越し、大自然の中で暮らし始めたという。コロナ禍直前、今年の2月頃までは、都内湾岸エリアのタワーマンションを購入する予定だったという。 「結婚して第二子も産まれるし、将来ずっと仕事ができるのかわからない。決して安い買い物ではありませんが、都心のタワマンなら、毎月のローン以上の額で賃貸にも回せる。家を購入した同僚や知人から『買わないなんて損だ』と言われて購入をほぼ決めていたんですよ」(丸田さん、以下同)  日本の人口は右肩下がり、という見方もあるが、都心の人口は逆。資産価値としても申し分ない、と考えていたという丸田さんと、都心に家を購入した知人たち。ところが、である。  新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが中心となり「出社する必要がない」という人が増え始めると、価格が高く、そして狭いという会社近くの都心の物件に住む理由がなくなってしまった人々も増えた。丸田さんもそんな一人である。 「今や出社は2週間に一度、ゴールデンウィーク後に妻と相談し、千葉の奥に引っ越しました。家賃は以前の4分の1なのに広さは2倍。空気もおいしいし、買い物は以前と変わらず通販でひと通り揃う。パートに出ていた妻も今は専業主婦ですが、満足げです」

 

価値観の違いから知人とは疎遠に

 

 そんな丸田さんをよく思わないのは、都心に家を買った知人たち。引っ越した新居で、密にならない屋外バーベキューの開催を呼びかけたところ……。 「知人のAを誘ったところ、『コロナなのにバカか!』とキツい言い方をされました。それだけならまだいい。Aは後日、自身の住むタワマン最上階のゲストスペースで、同じく都心の物件を持つ知人を集めて密なパーティーをしている写真を、これ見よがしにSNSにあげていました」  丸田さんは、その投稿をまるで自分への当てつけのように感じたという。 「家を都心に買わないという時点で、私がAの価値観を認めていない、というふうに映ったのかもしれません。別の知人ヅテに聞いたんですが、Aはかなり無理して7000万以上の物件を購入したらしく……。その後コロナで嫁さんの仕事が減り、都心の不動産価値が下がる、などと言った報道を見て相当気にしていたようです」  結局、知人のAさんは、いつの間にか丸田さんとのSNS上のつながりを一方的に切ってしまったというから笑えない。

 

「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えた

 

 ここまで極端ではないが、こうしたコロナ禍の不動産を通じた「分断」は他にも起きていると話すのは、神奈川県相模原市内の不動産店店長・清水嘉一さん(仮名・40代)だ。 「都心離れは確実に起きていて、郊外の物件がいま相当動いています。都心の物件をさっと売って郊外に出た人たちが、自分の環境を自慢すると、都心から出られない人たちがムカつかれる、というお客さんは結構います。従前の価値観においての最上の暮らし、の形が変わってきたので、新たな価値感は都心暮らしを続ける人にとっては厄介。自分の資産が目減りする可能性があるわけですから」(清水さん)  Aさんとは疎遠になってしまった丸田さんだが、最近になってAさんと同様に都心在住の知人から「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えたという。価値観が変われば人付き合いも変わる。一見悲しく見える話ではあるが、新しい時代を生き抜く上では必要なことなのだ。<取材・文/森原ドンタコス>

 

日刊SPA!

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/45c1677e4e41c2d5da14e61ed3beffa9ffe3b51d?page=1

2020年

8月

28日

大家の権利を売買する「オーナーチェンジ」物件とは 投資話で損しないために

相続対策を考えた時、選択肢の一つは賃貸中の物件「オーナーチェンジ物件」です。あまりなじみがないかもしれないので、メリットや注意点をまとめました。 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、定年を控えている方や安定収入のある公務員、会社員に投資用マンションの営業マンから電話が多く掛かっているようです。私にも「お客さまを紹介頂き、成約した際には○○万円、物件価格の●●%、紹介料をお支払いします」という、よだれの垂れそうな金額を提示する営業電話を多く頂きます。そのような紹介業務を収入源にしている方もいるのかもしれません。 今年は年度末である3月に外出自粛などの影響を受け、なかなか数字を上げられなかった業者さんが多かったのだと思います。さて、以前であれば、新築の投資用マンションのケースが多かったのですが、最近は価格も高騰していたり立地に難があったりする物件も多いので、賃貸中の中古物件いわゆる「オーナーチェンジ物件」の購入話を持ちかけるケースも増えています。相続対策として賃貸投資を検討されている複数の方から「実際のところ、どうなのか?」という確認や問い合わせを多く頂きました。そこで、今回は、オーナーチェンジ物件の購入を検討した際に気を付けたいことのほか、メリットとデメリットについて、お伝えしていきます。

 

オーナーチェンジ物件は中古物件

 

オーナーチェンジ物件は、簡単に言うと中古物件の1つです。このため、まずは中古物件のメリットとデメリットから解説します。なお、数年前より中古物件はオフィシャルな言い回しではなくなり、マスコミや公官庁でも「既存物件」というようになりました。中古と言う用語が古い、悪いなどネガティブなイメージを持つからだと思われます。ただ、わかりやすさの観点からこのコラムでは、あえて「中古」という言葉を使います。 中古物件のメリット では、まず、中古物件のメリットについてお伝えしましょう。 ・中古物件は、新築物件に比べて、理論上、新築物件の利益分(おおよそ粗利20%前後)が削ぎ落ちているので、投資額(購入額)が割安なこと

 

・周辺の賃料相場が安定していれば、結果的に期待できるリターン(利回り)が高くなること

 

・新築物件では見えづらい管理状況などのリスク(不確定要素)が少ないこと

 

以上の点は投資対象として魅力を感じますよね。最初から家賃収入を得られる賃貸中の中古物件を勧められるケースも多くあります。これが、今回のテーマのオーナーチェンジ物件です。また、好んで中古物件に投資される方が多いのも事実です。 ただ、リスクとリターンはトレードオフ、表裏一体の関係です。あちらを立てればこちらが立たず、の状況になります。 中古物件のデメリット デメリットは次の通りです。

 

・新築物件と比べ、中古物件は確実に経年劣化していることから、物件を補修しなければいけない可能性があること

 

・設備や意匠などが古くなり、周辺の物件と比較して見劣りしてしまう物件もあること

 

・建築当時は適法であった建築物が、その後、法令の改正などによって現行法に適合しなくなった既存不適格物件の場合、裏ワザ的な手法を使わないと建て替えや補修、ローン付けなどができないケースがあること

 

 

購入価格以上の費用がかさんだり、手間が増えたりすることもあるので、知識や情報を豊富に持つ、できれば実績のある宅建業者さんにサポートしてもらいましょう。

 

目に見えないリスクも

 

以上のように、オーナーチェンジ物件の場合は数字や見た目で有利に見えても、手続きや契約の段階で目に見えないリスクが顕在化することもあります。そのような点を踏まえた上で、投資の是非を判断しましょう。 例えば、「2020年に大家さんが知るべき『改正民法』のポイントは?売買で要注意」でもお伝えした通り、2020年4月から契約を規定する民法(債権編)が改正され、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されました。 以前は不良品だと知らずに購入した買い手は法的に守られるのが原則でした。そもそも中古物件の売買では売り手が個人であるケースが多く、その場合、瑕疵担保責任は取らなくても良いことになっていました。 今後は契約内容をしっかり理解した上で契約しないと買主は守られないことになります。このため、契約を交わす際には今までにないほど慎重になる必要があります。

 

オーナーチェンジ物件の注意点

 

オーナーチェンジ物件は、すでにお伝えした通り、新築物件と違い、ハード面で難があるケースが多いので、チェックする必要があります。ただ、未入居の中古物件とも違うので、既存の契約などソフト面の確認も必要です。 オーナーチェンジ物件で最も気を付けなければいけないことは、「現に入居している方(借家人)との信頼関係構築&維持」です。それは、オーナーチェンジ物件の売買は所有権だけでなく、賃借権も同時に譲渡される、引き継ぐことになるからです。 そもそも所有権と賃借権は別々の権利です。売買をすれば自動的に賃借権も移動するというわけではありません。借家人(賃借人)に賃借権という債権を引き継いだというためのルール(対抗要件)があります。 このルールは、民法第467条に記載されています。以下に書き起こしてみました。 ・民法 第467条(債権の譲渡の対抗要件) 1.債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2.前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 分かりやすく言うと、大家の権利の移動(=賃借権の譲渡)を借家人(=賃借人・債務者)に主張し、新しい大家が家賃の支払いなど請求するためには、(1)譲渡人である「“前”の大家さんから借家人に通知してもらう」か、(2)「借家人自身から承諾を得る(納得して貰う)」必要があります。 これは、借家人から見ると誰が大家かわからないケースや、誰に家賃を支払ったら良いか分からず、二重に家賃を支払うケースなど、不都合がないように定められたルールです。新しい大家さんから考えると、少々手間がかかります。 通常、新しい大家になった場合には、借家人からの承諾を得るようにします。この手続きは、売買契約の仲介に入っている宅建業者に依頼するケースが多いでしょう。その後、この仲介業者に物件の管理を委託する可能性が高いです。ただ、大前提として、この仲介業者さんに債権譲渡をする権利はありません。 その一方、新しい大家さんから考えると、この原則を通すのは難儀です。そこで、例外的に新しい所有者さんは、大家(賃貸人)の地位を承継します(最高裁判例 昭和39年8月28日)。通常、必要な上記の通知についても不要とされ(最高裁判例 昭和33年9月18日)、所有権移転登記を受けていれば賃料も収取できます(最高裁判例 昭和49年3月19日)。新しく大家になった際、突然、家賃を値上げするなど、急な変更を加えると、借家人との間に感情的な禍根が生じます。大きなトラブルに発展するケースもあります。このため、慎重さが必要です。 このようなことを、わかりやすく説明できる管理会社(宅建業者)が少ないのも事実です。繰り返しになりますが、今年2020年4月から契約重視の社会に突入しています。自分自身で知識や優良な情報を得るか、信頼のおけるアドバイザーにサポートを依頼されると良いでしょう。

 

(記事は2020年7月1日現在の情報に基づきます)

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役 ライフプランFP(R)、CFP(R)認定者、日本FP協会 評議員。企業の不動産部門を経験した後に独立後、優益FPオフィス代表として、住宅購入や不動産活用のアドバイスを行う。

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/62d3bbd19465fdb740f7557bba8b452b63a7cea9?page=1