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2020年

9月

17日

コロナで変わる「地方移住」 地域おこし協力隊に応募殺到、オフィス移転も〈週刊朝日〉

 退職後のセカンドライフとされていた「地方移住」。新型コロナウイルスの感染拡大でこれに異変が起きている。リモートワークの普及に伴い、人混みでの感染リスクを避けようと地方暮らしを選ぶ人が増え、働き盛りの世代も目立つ。

 

 首都圏に暮らす50代の夫婦は、今秋に中部地方へ移住することを決めた。もともと地震のリスクなどに不安を感じていたといい、「コロナに背中を押された」。夫は自営業であるため、移住先でも同じような仕事を新たに始めるつもりだ。  すでに今春、東京から中部地方へ移り住んだのは40代の夫婦だ。以前から願望はあったが、「移住先で仕事が見つかるかがネックだった」(夫)という。コロナ禍でリモートワークが進んだことから、地方でも同じ仕事が続けられると判断した。移住先でも外出自粛を余儀なくされたが、豊かな自然に囲まれて過ごせることを改めて良かったと感じている。  実際、兵庫県豊岡市が「地域おこし協力隊」として農業や伝統工芸の従事者を募ったところ、応募が殺到した。応募者は通常2~3人くらいだというが、6月29日~7月19日の約3週間に17人の枠で求めると、56人が手を挙げたというのだ。 「移住を考えていて、コロナがきっかけで人生を見つめ直したという方もいました」(市担当者)。応募者は、東京を含め全国各地からの21~47歳。20代が20人超もいたという。8月から現地に移り住み、仕事に携わる人も出てきた。  移住したい人と受け入れる地域をマッチングさせるサービスも、コロナ禍で活況だ。マッチングの専用サイト「SMOUT(スマウト)」の新規登録者は、4月までは600~700人程度だったものの、5月に1千人を超えると、6月には約1500人、7月に約1800人と最多を更新した。  スマウトを運営するカヤックの広報担当、梶陽子さんは「緊急事態宣言が解除された5月、自然発生的に増えました。コロナでリモートワークが進み、ファミリー層も移住を検討しています」。

 

 新規登録者は20~40代が大半で、首都圏の割合が高くなる傾向だ。  スマウトを活用する山口県萩市は、前出の豊岡市のような「地域おこし協力隊」(9人枠)で、22人も応募が来るなど手応えを得る。 「コロナをきっかけに、都市部で仕事をするより、地方で仕事をすることに興味を持った方はいました。これまで簡単に移り住みにくかった世帯が動き出しています」(市担当者)  茨城県の移住・就職相談センターでも相談が増えている。50~60代の退職者がセカンドライフを送るための移住が中心だったが、最近は働き盛りの30代が目立つという。 「リストラを懸念している」。こう話すのは、首都圏で不動産関連の会社に勤める30代の男性だ。コロナでテナント需要が低迷するなど先行きが不透明なため、移住を絡めた転職を考えている。首都圏外で就職活動を続け、すでに内定を得た会社もあるという。 ■複数県探す人も パソナは淡路移転  都市部への人口流出が進み、労働力の確保が課題とされてきた地方。図らずも、コロナがこうした「逆流入」を呼び起こすきっかけになった。  徳島県は、コロナで解雇や雇い止め、採用内定取り消しとなった人を対象に県職員を募集した。 「移住者がどんどん増えているかというと、まだそこまでではありません。ただ、コロナが移住を考えるきっかけにはなっている。移住関連サイトの閲覧が増え、東京の相談センターなどに問い合わせが増えています」(県担当者)  東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」は45道府県の地域情報を提供し、移住や地方暮らしの相談を受けている。高橋公理事長は「面談を含めて本気度の高い人が来ています。移住に仕事は不可欠」と語る。センターにはハローワークも備え、移住先での就職を支援する。  センター内に相談窓口を設ける岐阜県の担当者もこう話す。 「これまでの移住は『観光で訪れて良かった』という理由でしたが、コロナがきっかけなのか、現地を訪れたことがないという人もいます。地方移住に興味があり、インターネットなどでよく調べてきて、趣味や好きなことをやりたいと相談に来ます」

 

 さらに、「一人で複数県に相談に来る人が確実に増えている」(センターに相談窓口を構える富山県の担当者)という。  リクルートキャリアのHR統括編集長、藤井薫さんは「コロナでリモートワークが進み、時間や空間を超えられるようになった。会社や人生、家族関係などを考え直し、仕事のあり方を考える時代に突入しているのでは」と指摘する。  転職情報サイト「doda」の編集長、喜多恭子さんは「コロナによる在宅勤務で家族と触れ合い、仕事を見つめ直された方が多い」としたうえで、「件数はまだそれほどではないが、移住を望む方もいる。仕事探し自体も変わってきている」。  東京都心のオフィスを地方に移す動きも出てきた。人材派遣大手のパソナグループ(東京都千代田区)は、本部機能社員の約3分の2を兵庫県淡路島に移す。新型コロナの感染拡大やデジタル革命が進むなか、リモートワークなどで働き方が変わり、新しい生活様式への適応が求められている。都心の自然災害リスクへの対応もあるためだ。パソナは2023年度末までに、グループの本部機能社員約1800人のうち、約1200人を移す予定だ。本部機能業務には、人事や広報、総務、財務経理、経営企画などがあるという。  消費者庁は、新未来創造戦略本部を7月30日に徳島市に開設した。消費者政策の研究機能を担うほか、国際業務の拠点などとなる。国や自治体、企業や大学の研究者など約60人の体制でスタートし順次、拡充していく方針だという。  都心からオフィスを地方へ移す動きは、これからどんどん出てくると見るのは、住宅ジャーナリストの榊淳司さんだ。とくにIT系の仕事は、場所を選ばないことが多いためだ。  パソナの移転については、子育て世代の場合、子どもの受験や進学面でハンディがあるものの、瀬戸内海の温暖な島暮らしはある意味で魅力的だとする。 「都心のオフィスは縮小傾向があからさまになっています。地方では戸建て住宅が売れていて、一部の動きとは言えなくなっています」(榊さん)。コロナが収束しても、この流れは止まらないとする。(本誌・浅井秀樹) ※週刊朝日  2020年9月25日号

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/db150c9095717bfb01cbfd86b99efca6b5e0ffd1?page=1

2020年

9月

11日

新築神話が崩壊…中古住宅は実際のところ何年住めるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

 

中古流通市場には不思議なことがいっぱい

 

日本の中古流通市場を見ていると、不思議なことがいっぱいあります。 私がまだ三井不動産に入社したばかりのころ、ある中古物件の仲介の仕事に携わりました。物件は神奈川県鎌倉市にある一軒家。建物は戦前に建てられたもののようですが、大変しっかりと造られた洋館で、重厚な佇まいです。歴史を十分に感じさせる素晴らしい建物に、現地を訪れた私も時計の針が戻ったようなノスタルジックな気分にさせられたものでした。 売主は数年前に亡くなり、相続人が持て余して売却をしたい、との申し出でした。 さて売り値の査定です。私はまだ入社後間もなかったので、不動産仲介は素人の域を出ていません。先輩に教わりながら価格を査定していきます。土地の形状、傾斜、境界の確認など土地周りの作業を行ないます。周辺の取引事例も綿密に調査します。鎌倉といってもエリアによってだいぶ土地の値段は違ってきます。この物件は超一等地ではありませんが駅からも近く、まずまずの立地です。この場所なら良い価格がつきそうです。 そして建物の調査をしようとした私に、先輩が声を掛けました。 「ああ、建物はいいや。どうせ価値なんかないから。古屋と表示すればそれでかまわないよ」 そうです。日本の不動産流通業界では建物の価値は木造などの場合は築20年を超えるとほぼゼロという査定が平気で行なわれるのです。つまり中古査定価格はほぼ土地代相当ということになるのです。 素人目にはまだ十分使用できるお洒落な洋館のお値段がゼロ。それどころか、 「解体費用分は土地の査定価格から引いておかないと売れないかもな」 先輩の声が響きます。なんだかその声に当時の私は大いなる違和感を覚えたものです。日本においては中古住宅の査定に当たっては、とにかく建物の価値を認めようとしないのです。

 

中古住宅に高い査定がつくことはない

 

同じ時期に同じ仕様の家を買った場合でも20年も経過すると、それまでの家の管理内容によって物件の価値は大きく異なってくるはずです。これは住宅に限らずオフィスビルでも商業施設でもホテルでも理屈は同じです。ところが中古住宅では築年数で「一発アウト」これはおかしな話です。 以前は日本の木造住宅は耐用年数も20年程度といわれ、それは日本の住宅は木と紙でできていて20年以内には建て替えなければならないような劣悪なものが多くあるからだ、とされていました。しかし、現在では木造住宅でも耐久性、耐震性にすぐれ、100年も持つような優良住宅が建てられるようになっています。 それでも、築年数が経過した中古住宅に高い査定値がつくことは稀です。 中古に価値を与えないということは、住宅の持ち主がいざ市場で売却しようとする際には、「土地代しかあてにならない」ということを意味します。 たとえば土地の評価額が50坪で5000万円、つまり坪当たり100万円だったとします。ここに40坪の住宅を3200万円で建設します。坪当たり80万円程度の建設費になりますから、設備仕様は十分な住宅といえます。土地と建物を合わせた費用は8200万円ということになります。 ところがこの住宅、20年たっていざ売りに出すと土地代のみが売り値と査定されてしまうのが常です。土地代が10%値上がりしていれば5500万円。ただし建物代はゼロなので中古価格は5500万円にしかなりません。わずか20年の間で2700万円も不動産価値が下がったことになります。ましてや土地代が10%下落してしまうと中古価格は4500万円。そこに建物の価値は一切包含されないのです。 これでは、日本人が自らのライフスタイルに合わせて住宅を気軽に買い替えていくことは、至難の技となってしまいます。 アメリカ人は人生の中で5、6回は住み替えるといいます。それは中古住宅に価値があると多くの人が信じているからです。テレビ番組でご一緒した米国人タレントは私にこう言いました。 「日本人、よく勇気出して新築住宅買うよね。なぜって、アメリカじゃ、まだ誰も住んだことのない住宅なんて怖くて住めないよ」

 

住宅は一生のうち何度もする買い物へ

 

これはアメリカの住宅の施工が悪いということではなく、「人が住んで性能をちゃんと確かめた」あるいは「前住んでいた人がリニューアルをしてさらに価値を高めた」ということが普通に評価される、ということです。 それでもこれからの日本では、不動産価値に対する見方が新築一辺倒から本当に自分たちのライフスタイルに合った住宅を中古住宅に見出すような時代になると考えています。 なぜなら、デベロッパーがモデルルームなどで展開する仮想現実の世界などが実際の生活にはころがっているわけではないことに、多くの人たちが気づき始めているからです。とにかく家を持たなくちゃ、といった脅迫概念が薄れ、不動産価格が手ごろな価格に落ち着いてくれば、人々はじっくり住宅の品定めを行なった上で、新築や中古の関係なく、真に自らのライフスタイルに合った住宅を選ぶようになるでしょう。 国でも、中古住宅流通を促進するために中古住宅に関する性能評価制度を制定し、物件の価値を正しく判定する一助となるようにしています。業界側も建物に価値が見出せるようになれば、もっといろいろな売り方が可能になってくるはずです。 バブル崩壊は、こうした中古住宅の流通にも中長期的には良い影響をもたらすことになるかもしれないのです。

 

牧野 知弘

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/3983e3df59a5064201dcb47fc3f4ef7e43de6323?page=1

2020年

9月

04日

ウィズコロナで疎遠になる人間関係。都心に家を買うか否かで…

コロナ禍は人の生き方、価値観まで変えたんです。そうなると当然、価値観の合わない知人とは疎遠になるわけで……」  ここ半年の間で、人々の暮らしは大きく変化した。たとえば、これまで“出社”が前提となっていた働き方もコロナ感染拡大を防ぐため、積極的にテレワークが取り入れられた。政府から外出を控えるように呼び掛けられるなか、買い物はすべて通販で済ますという人も増えた。それぞれの価値観がガラリと変容するなか、友人や知人との“人付き合い”に軋轢が生まれることも……。

 

 

テレワークが中心となって都心に住むメリットがなくなった

 

 大手通信会社勤務・丸田俊樹さん(仮名・40代)は、7月まで都心の高級賃貸マンションに住んでいた。しかし8月からは千葉県の成田空港近くに引っ越し、大自然の中で暮らし始めたという。コロナ禍直前、今年の2月頃までは、都内湾岸エリアのタワーマンションを購入する予定だったという。 「結婚して第二子も産まれるし、将来ずっと仕事ができるのかわからない。決して安い買い物ではありませんが、都心のタワマンなら、毎月のローン以上の額で賃貸にも回せる。家を購入した同僚や知人から『買わないなんて損だ』と言われて購入をほぼ決めていたんですよ」(丸田さん、以下同)  日本の人口は右肩下がり、という見方もあるが、都心の人口は逆。資産価値としても申し分ない、と考えていたという丸田さんと、都心に家を購入した知人たち。ところが、である。  新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが中心となり「出社する必要がない」という人が増え始めると、価格が高く、そして狭いという会社近くの都心の物件に住む理由がなくなってしまった人々も増えた。丸田さんもそんな一人である。 「今や出社は2週間に一度、ゴールデンウィーク後に妻と相談し、千葉の奥に引っ越しました。家賃は以前の4分の1なのに広さは2倍。空気もおいしいし、買い物は以前と変わらず通販でひと通り揃う。パートに出ていた妻も今は専業主婦ですが、満足げです」

 

価値観の違いから知人とは疎遠に

 

 そんな丸田さんをよく思わないのは、都心に家を買った知人たち。引っ越した新居で、密にならない屋外バーベキューの開催を呼びかけたところ……。 「知人のAを誘ったところ、『コロナなのにバカか!』とキツい言い方をされました。それだけならまだいい。Aは後日、自身の住むタワマン最上階のゲストスペースで、同じく都心の物件を持つ知人を集めて密なパーティーをしている写真を、これ見よがしにSNSにあげていました」  丸田さんは、その投稿をまるで自分への当てつけのように感じたという。 「家を都心に買わないという時点で、私がAの価値観を認めていない、というふうに映ったのかもしれません。別の知人ヅテに聞いたんですが、Aはかなり無理して7000万以上の物件を購入したらしく……。その後コロナで嫁さんの仕事が減り、都心の不動産価値が下がる、などと言った報道を見て相当気にしていたようです」  結局、知人のAさんは、いつの間にか丸田さんとのSNS上のつながりを一方的に切ってしまったというから笑えない。

 

「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えた

 

 ここまで極端ではないが、こうしたコロナ禍の不動産を通じた「分断」は他にも起きていると話すのは、神奈川県相模原市内の不動産店店長・清水嘉一さん(仮名・40代)だ。 「都心離れは確実に起きていて、郊外の物件がいま相当動いています。都心の物件をさっと売って郊外に出た人たちが、自分の環境を自慢すると、都心から出られない人たちがムカつかれる、というお客さんは結構います。従前の価値観においての最上の暮らし、の形が変わってきたので、新たな価値感は都心暮らしを続ける人にとっては厄介。自分の資産が目減りする可能性があるわけですから」(清水さん)  Aさんとは疎遠になってしまった丸田さんだが、最近になってAさんと同様に都心在住の知人から「田舎はどうだ?」と聞かれる機会が増えたという。価値観が変われば人付き合いも変わる。一見悲しく見える話ではあるが、新しい時代を生き抜く上では必要なことなのだ。<取材・文/森原ドンタコス>

 

日刊SPA!

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/45c1677e4e41c2d5da14e61ed3beffa9ffe3b51d?page=1

2020年

8月

28日

大家の権利を売買する「オーナーチェンジ」物件とは 投資話で損しないために

相続対策を考えた時、選択肢の一つは賃貸中の物件「オーナーチェンジ物件」です。あまりなじみがないかもしれないので、メリットや注意点をまとめました。 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、定年を控えている方や安定収入のある公務員、会社員に投資用マンションの営業マンから電話が多く掛かっているようです。私にも「お客さまを紹介頂き、成約した際には○○万円、物件価格の●●%、紹介料をお支払いします」という、よだれの垂れそうな金額を提示する営業電話を多く頂きます。そのような紹介業務を収入源にしている方もいるのかもしれません。 今年は年度末である3月に外出自粛などの影響を受け、なかなか数字を上げられなかった業者さんが多かったのだと思います。さて、以前であれば、新築の投資用マンションのケースが多かったのですが、最近は価格も高騰していたり立地に難があったりする物件も多いので、賃貸中の中古物件いわゆる「オーナーチェンジ物件」の購入話を持ちかけるケースも増えています。相続対策として賃貸投資を検討されている複数の方から「実際のところ、どうなのか?」という確認や問い合わせを多く頂きました。そこで、今回は、オーナーチェンジ物件の購入を検討した際に気を付けたいことのほか、メリットとデメリットについて、お伝えしていきます。

 

オーナーチェンジ物件は中古物件

 

オーナーチェンジ物件は、簡単に言うと中古物件の1つです。このため、まずは中古物件のメリットとデメリットから解説します。なお、数年前より中古物件はオフィシャルな言い回しではなくなり、マスコミや公官庁でも「既存物件」というようになりました。中古と言う用語が古い、悪いなどネガティブなイメージを持つからだと思われます。ただ、わかりやすさの観点からこのコラムでは、あえて「中古」という言葉を使います。 中古物件のメリット では、まず、中古物件のメリットについてお伝えしましょう。 ・中古物件は、新築物件に比べて、理論上、新築物件の利益分(おおよそ粗利20%前後)が削ぎ落ちているので、投資額(購入額)が割安なこと

 

・周辺の賃料相場が安定していれば、結果的に期待できるリターン(利回り)が高くなること

 

・新築物件では見えづらい管理状況などのリスク(不確定要素)が少ないこと

 

以上の点は投資対象として魅力を感じますよね。最初から家賃収入を得られる賃貸中の中古物件を勧められるケースも多くあります。これが、今回のテーマのオーナーチェンジ物件です。また、好んで中古物件に投資される方が多いのも事実です。 ただ、リスクとリターンはトレードオフ、表裏一体の関係です。あちらを立てればこちらが立たず、の状況になります。 中古物件のデメリット デメリットは次の通りです。

 

・新築物件と比べ、中古物件は確実に経年劣化していることから、物件を補修しなければいけない可能性があること

 

・設備や意匠などが古くなり、周辺の物件と比較して見劣りしてしまう物件もあること

 

・建築当時は適法であった建築物が、その後、法令の改正などによって現行法に適合しなくなった既存不適格物件の場合、裏ワザ的な手法を使わないと建て替えや補修、ローン付けなどができないケースがあること

 

 

購入価格以上の費用がかさんだり、手間が増えたりすることもあるので、知識や情報を豊富に持つ、できれば実績のある宅建業者さんにサポートしてもらいましょう。

 

目に見えないリスクも

 

以上のように、オーナーチェンジ物件の場合は数字や見た目で有利に見えても、手続きや契約の段階で目に見えないリスクが顕在化することもあります。そのような点を踏まえた上で、投資の是非を判断しましょう。 例えば、「2020年に大家さんが知るべき『改正民法』のポイントは?売買で要注意」でもお伝えした通り、2020年4月から契約を規定する民法(債権編)が改正され、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されました。 以前は不良品だと知らずに購入した買い手は法的に守られるのが原則でした。そもそも中古物件の売買では売り手が個人であるケースが多く、その場合、瑕疵担保責任は取らなくても良いことになっていました。 今後は契約内容をしっかり理解した上で契約しないと買主は守られないことになります。このため、契約を交わす際には今までにないほど慎重になる必要があります。

 

オーナーチェンジ物件の注意点

 

オーナーチェンジ物件は、すでにお伝えした通り、新築物件と違い、ハード面で難があるケースが多いので、チェックする必要があります。ただ、未入居の中古物件とも違うので、既存の契約などソフト面の確認も必要です。 オーナーチェンジ物件で最も気を付けなければいけないことは、「現に入居している方(借家人)との信頼関係構築&維持」です。それは、オーナーチェンジ物件の売買は所有権だけでなく、賃借権も同時に譲渡される、引き継ぐことになるからです。 そもそも所有権と賃借権は別々の権利です。売買をすれば自動的に賃借権も移動するというわけではありません。借家人(賃借人)に賃借権という債権を引き継いだというためのルール(対抗要件)があります。 このルールは、民法第467条に記載されています。以下に書き起こしてみました。 ・民法 第467条(債権の譲渡の対抗要件) 1.債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2.前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 分かりやすく言うと、大家の権利の移動(=賃借権の譲渡)を借家人(=賃借人・債務者)に主張し、新しい大家が家賃の支払いなど請求するためには、(1)譲渡人である「“前”の大家さんから借家人に通知してもらう」か、(2)「借家人自身から承諾を得る(納得して貰う)」必要があります。 これは、借家人から見ると誰が大家かわからないケースや、誰に家賃を支払ったら良いか分からず、二重に家賃を支払うケースなど、不都合がないように定められたルールです。新しい大家さんから考えると、少々手間がかかります。 通常、新しい大家になった場合には、借家人からの承諾を得るようにします。この手続きは、売買契約の仲介に入っている宅建業者に依頼するケースが多いでしょう。その後、この仲介業者に物件の管理を委託する可能性が高いです。ただ、大前提として、この仲介業者さんに債権譲渡をする権利はありません。 その一方、新しい大家さんから考えると、この原則を通すのは難儀です。そこで、例外的に新しい所有者さんは、大家(賃貸人)の地位を承継します(最高裁判例 昭和39年8月28日)。通常、必要な上記の通知についても不要とされ(最高裁判例 昭和33年9月18日)、所有権移転登記を受けていれば賃料も収取できます(最高裁判例 昭和49年3月19日)。新しく大家になった際、突然、家賃を値上げするなど、急な変更を加えると、借家人との間に感情的な禍根が生じます。大きなトラブルに発展するケースもあります。このため、慎重さが必要です。 このようなことを、わかりやすく説明できる管理会社(宅建業者)が少ないのも事実です。繰り返しになりますが、今年2020年4月から契約重視の社会に突入しています。自分自身で知識や優良な情報を得るか、信頼のおけるアドバイザーにサポートを依頼されると良いでしょう。

 

(記事は2020年7月1日現在の情報に基づきます)

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘プロフィール

株式会社優益FPオフィス 代表取締役 ライフプランFP(R)、CFP(R)認定者、日本FP協会 評議員。企業の不動産部門を経験した後に独立後、優益FPオフィス代表として、住宅購入や不動産活用のアドバイスを行う。

 

ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/62d3bbd19465fdb740f7557bba8b452b63a7cea9?page=1

2020年

8月

21日

30年暮らした東京を離れ、階段100段登った先の小さな平屋で暮らしています【脱都会。野ざらし荘だより#1】

イギリス生まれ東京育ちの私が、30数年暮らした東京を離れ、神奈川県の横須賀に移り住んだのが5年前。階段を100段登ったところにぼつんと取り残されたようにある小さな平屋の一軒家を「野ざらし荘」と名付け、暮らし始めました。 東京湾の入り口に位置し、江戸時代から軍港都市として栄えた横須賀。今でもアメリカ海軍の基地があるため、駅周辺は外国人が行き交い異国情緒が漂います。 野ざらし荘は駅から歩ける距離にあって、田舎と呼べるほど田舎でもないのですが、辺鄙な立地と階段の多さに訪れた友人の中には我が家を“横須賀のチベット”や“天空の城”という人もいるくらい人里離れた雰囲気を醸し出し、誰が植えたのか分からない木々が生い茂る野趣あふれる家なのです。 現在はここに越してから出会った夫と2歳になる子どもを育てながら毎日の暮らしを楽しんでいます。車で少し走れば海があり、山もある自然豊かな三浦半島の片隅での日々の暮らしを綴っていけたらと思います。

 

「野ざらし」な家に一目惚れ

 

東京では大学卒業をきっかけに実家を出て、学生街を転々としていました。味のある食堂や古書店がひしめき合う下町の街並みが好きで気ままな一人暮らしを送っていましたが、畑に通って自分で農作物を作ったり、花を扱う仕事をするようになってワンルームのアパートでは何をするにも手狭に感じて、庭のある家に住みたいと思うようになりました。 幼少期を庭付きの家が立ち並ぶイギリスの郊外で過ごし、庭で当たり前のようにお茶をしたり、庭の池で遊んでいた記憶がどこかで呼び覚まされたのかもしれません。 そんなことをなんとなく思いながら、ある日ネットサーフィンしていると、たまたま目に飛び込んできたのが横須賀の「改装できる物件」でした。横須賀は一度も訪れたこともない、縁もゆかりもない土地でしたが、理想的な間取りと、自分で好きなように改装できるという条件に惹かれました。

 

母屋とは別に“離れ”があり、中庭もあって、大きすぎず小さすぎず。防音室まで付いていたのは謎ですが、いろんな可能性を秘めた物件にむくむくと妄想は膨らんだのでした。

 

母屋は人が出入りするオープンな場所にして、離れは自分の暮らす拠点にして、と間取りから自ずと自分の暮らし方のようなものが導かれていったような気がします。 家賃は東京の学生街でワンルームの一人暮らしをしていた時とさほど変わらず、電車に乗れば都内まで1時間ちょっとというのも大きな魅力でした。物件情報を見た次の日には不動産屋に電話し、翌週には物件を見に現地に向かっていました。

 

汗ばむ陽気の中、友人と夏休みの子どものようにコンビニで買ったアイスクリームを舐めながら急坂を登り、さらに100段の階段を登りきったところにある一軒家にたどり着きました。門から家まで延びる道の両脇には背丈ほどある草むらがザワワと揺れ、その風景がまるで沖縄みたいで心が踊りました。 家は高台で隣接するマンションの4階部分とちょうど同じ高さ。見晴らしが良く、四方から吹き抜ける風が気持ちよい場所でした。ペンキが剥がれ、屋根も所々傷んではいましたが暮らしながら直していけばよいか、とすっかりこの家が気に入り、すぐにここに暮らすことを決意しました。一人で暮らす不安は、楽しさの方が優って、全くと言っていいほどありませんでした。

 

引っ越し当日は土砂降りの雨!初日から百段の階段の洗礼…

 

引っ越し当日はあいにくの土砂降りで、しかも友人が借りてきてくれた2tトラックがまさかの屋根なし。ブルーシートをかけたら穴が空いていて余計に水が溜まって家具やダンボールはびしょ濡れになりました。 雨の中、傘もさせず、雨に晒され手に抱えてたダンボールは半ば崩壊寸前。溶け出す前に家に投げ入れるという状態でした。追い討ちをかけて100段の階段の往復で足はプルプルと痙攣し始めていました。手伝ってくれた仲間たちと最後は声にならない雄叫びを上げながら何とか最後の荷物を運びきりました。 一人暮らしの引っ越しとはいえ、膨大な量の本と梅酒やら梅干しやらの瓶詰めの数が尋常ではなかったのです。全ての荷物を運び終えたときの達成感といったら、ずぶ濡れになりながら百キロマラソンを完走したのに等しく、肩からはもうもうと湯気が立っていました。 すぐにでもシャワーを浴びてさっぱりしたかったのですが、ガスが壊れていてまだ風呂も使える状態ではなかったので、濡れ鼠のまま横須賀の街まで下りて銭湯で汗を流しました。横須賀名物のカレーを食べて、付け合せの牛乳で乾杯し、ようやく息を吹き返したのでした。

 

濡れた本が乾くのに2週間!海が近い街ならではの苦悩を知る…

 

引っ越してから知ったのですが、ここは海が近いので湿気が多く、雨に濡れた本は乾くのに2週間近くかかりました。革靴はカビが生えて思い切って全部捨てました。しばらく人が住んでいなかったため、蟻やダンゴムシの方が多くて、虫とともに暮らす日々。起きたら布団の周りに数百匹のダンゴムシがうごめいていたということもありました。

 

鳥の鳴き声で起こされ、庭で日向ぼっこをする生活に

 

自然が近い土地ならではの洗礼を受けながら、小さいとはいえ、2軒ある平屋での一人暮らしをしみじみと噛み締めながら暮らしていました。鳥の鳴き声で起こされ、日差しが差し込む庭でぼーっと日向ぼっこしているうちに1日が経っていたなんてことも一度や二度ではありません。柿仕事をしたり、庭で朝食をとったり。

 

夜には星がよく見えました。改装に取り掛かろうと思いながらあっという間に半年が過ぎていました。野ざらしな暮らしが段々と板についてきました。

 

来る人が我が家に来てショックを受けないように、とあえて「野ざらし荘」という名をつけてみましたが、一度訪れた人は何だか妙にその名前に納得して帰っていくのでした。

 

【著者】

清土奈々子

 

階段100段を登った高台の一軒家「野ざらし荘」に夫と2歳の子と暮らす。編集・ライター、ギャラリー「野ざらし荘」運営、子ども向けワークショップのコーディネーター、絵描きのtoiとともにユニット「村のバザール」を組みライブイベントの企画やウェディング装飾、デザインワークなど行う。ミュージックビデオなど映像制作も。 youtube| https://www.youtube.com/channel/UCkAE6Jcy6oSlJxD2nUIu32Q webshop| nozarashisou.handcrafted.jp/

 

清土奈々子

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/e159dbbff6c397afc4f72ab2a9fed24252e17a6b?page=1

2020年

8月

12日

「かぼちゃの馬車」でも暗躍…銀行ぐるみの転売業者に要注意

経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

 

不動産を購入するまでの9つの手順

 

家主業の基本、不動産を買うなら何を基準に買えばよいか、一通りわかったところで、今度は実際に不動産を購入する手順を見てみよう。大まかな手順は次の通りだ。

 

(1)収益不動産の情報を集める 不動産情報を集める方法の王道は、主として収益不動産を扱うポータルサイトでの検索だ。収益不動産のポータルサイトの大手は「健美家」と「楽待」。 また、収益不動産を扱う会社に問い合わせて、自身の属性などの個人情報や希望する不動産の条件等をあらかじめ伝え、情報をもらいやすくする。

 

(2)不動産会社に問い合わせて不動産の詳細な情報をもらう ポータルサイト等で条件に合う不動産を見つけたら、その不動産の広告を出している不動産会社に問い合わせて、現在の入居状況、各戸の家賃状況、契約期間などが書かれた「レントロール ※ 」と呼ばれる資料、分譲マンションなら修繕積立金や大規模修繕履歴など詳細な情報をもらう。

 

(3)不動産会社に現地を案内してもらう 不動産会社から提供された情報を見て、条件に合いそうであれば、実際に現地へ足を運び内見する。

 

(4)買い付けを入れる 内見後、不動産が気に入れば、不動産会社経由で買い付けを入れる。 留意しておきたいのは、買い付けの申し込みは必ずしも早い者勝ちではないことだ。売主が、その買い付け申し込みに応じても、契約を締結するまでは、売主は売買の約束を撤回して、他の購入希望者に売却することもできる。一方、買い付けを入れた希望者も契約を結ぶまでは撤回することができる。

 

(5)売買契約を締結する 買い付けが通ったら、売買契約締結となる。買い付けが通ってから契約締結までは、通常1週間から 10 日間程度。契約日は、売主・買主・不動産会社の予定で決まる。売買契約書と重要事項説明書の内容を確認し、署名・捺印で契約が成立する。

 

不動産購入代金以外にも諸費用の準備も

 

(6)金融機関に融資を申し込む

 

融資の申し込みについては、売買契約を締結したら、金融機関にて売買契約書、重要事項説明書、その他資料の原本や写しの提出・確認を行う。買い付けを入れる前後に、金融機関に前もって相談し、融資の申し込みをすることもある。

 

(7)管理会社または仲介会社を探す 管理会社をどうするかは重要な問題だ。売主が委託していた管理会社を引き継ぐか、新規で管理会社を探すか、自主管理にするかの3つの選択肢がある。管理会社を変える場合、自主管理にする場合は、以前の管理会社から業務を引き継ぐ必要がある。

 

(8)金銭消費貸借契約を締結する 金銭消費貸借契約とは、融資の本契約のことだ。当日は必要書類を持参の上、金融機関の融資担当者から重要事項の説明を受け、条件を確認し、問題がなければ契約書に署名・捺印をして完了となる。

 

(9)決済・引き渡し 決済・引き渡しは、融資を出す金融機関で行う場合が多い。売主、買主の他に、売主側仲介会社、買主側仲介会社、司法書士、融資を利用するときは融資をする金融機関担当者が一堂に会する。管理を委託する場合は、管理会社が待機することもある。 登記に必要な書類を司法書士が確認して、問題がなければ融資を実行する。その後、司法書士と仲介会社への支払いが済んで決済は完了となる。決済が完了したら、賃貸借契約書原本や鍵の引き渡しを受けて、決済・引き渡しが完了する。 不動産購入時に必要な経費は、手付金、不動産購入代金、不動産会社に支払う仲介手数料、不動産登録免許税、司法書士に支払う登記手数料、火災保険加入費、固定資産税等の精算金、ローン手数料、保証会社を使う場合はローン保証料、印紙税となる。見ての通り、不動産購入代金以外にも結構費用がかかるため、その部分も見越して資金を準備することが必要だ。 ※レントロールとは、賃貸借条件一覧表のこと。ビルや賃貸マンションやアパートを一棟買いする際はその物件の質を見定める基準となる。通常、1枚の用紙に、各部屋番号ごとの契約賃料や共益費、預かり敷金の金 額、契約年月日が記載されている。場合によっては賃借人の属性(法人、個人)や名前、性別が記載されていることもある。

 

良い「三為業者」、悪い「三為業者」

 

不動産の売買取引の現場では、時々「三為業者」という用語が出てくる。「かぼちゃの馬車」オーナーたちの多くは、この三為業者が関係した土地取引によって、相場よりもかなり高い金額で購入した。三為業者とは、所有権の移転の実態を反映していない「中間省略取引」において、特約として、所有権が最初の所有者から最終購入者に直接移転する旨を定める契約「第三者のためにする契約」を積極的に行う業者のこと。この「中間省略取引」自体は合法であり、不動産売買取引を効率的に進める方法の一つだ。 本来なら不動産の所有権が「最初の所有者から購入者X」、「購入者Xから最終購入者」へと移転した場合、不動産登記簿に2回の移転登記が記載されるべきだが、中間省略取引では、当事者全員の合意があれば、「最初の所有者から最終購入者への所有権移転登記」という1回の移転登記のみを申請し、登記することが可能となる。この契約の特色は、Xが最初の所有者から購入した金額を転売先である最終購入者に知られることがない点だ。 オーナーの代理人として「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズの一連の販売に関与した会社などに対して、訴訟を起こした加藤博太郎弁護士の調査により、今回販売会社がかなりの利益を乗せてオーナーに販売していた実態が明らかになった。 例えば、土地所有者から約3000万円で購入した土地を販売会社の元締めA社が約5500万円でオーナーに直接営業している販売会社B社に売却し、B社はオーナーに約6000万円で販売していた。実に2倍もつり上げられた金額でオーナーは購入し、結果的に多額の借金を抱えることになった。 注目したいのは、最も利益を得ていた元締めA社。加藤弁護士は「週刊全国賃貸住宅新聞」の取材で、「元締め会社とスマートデイズ実質経営者とスルガ銀行支店長で協議が重ねられてつくられたスキームではないか」と話していた。 「投資は自己責任」とはいえ、素人では見抜くのが難しかった状況があったのも事実。「投資」という欲をビジネスとしている企業にもまた欲があるという点を理解しないといけないようだ。

 

永井ゆかり

「家主と地主」編集長

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/dafcb43d6bb5fcc4595f581b1bb290c5212bca59?page=1

2020年

8月

07日

25年周期で大変動…社会構造の変化が不動産価値を決める!

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

 

戦後、日本に起こった「人口爆発」

 

日本は1945年の太平洋戦争の終結後70年以上の時を経ました。70年といえば、ほぼ人の一生に近い年月ですが、この間私たち日本人は戦禍で廃墟になった国土を立て直し、世界的にも未曽有の経済発展を成し遂げ、今、世界で最も豊かな国の一つとして存在しています。 私は、戦後の日本社会の変遷を25年という四半世紀ごとに整理してみると、その間の不動産の価値に対する人々の接し方、感じ方の違いが鮮明になってくることに気がつきました。 どういうことなのか、説明しましょう。 1945年から1970年までの四半世紀は、いわば日本の「復興期」でした。戦争終了直後、日本の人口は約7200万人。すべてを失っての再出発でした。 実はこの45年から70年までの四半世紀の間で、日本に起こった劇的なことは「人口爆発」でした。なんとこの間に日本の人口は世界が瞠目するほどに急増。大阪万国博覧会が開催される70年には、すでにその数は1億人を超えていたのです。率にして44%の増加。世界の歴史の中でも、これだけ顕著に人口増加を果たした国はありません。 人口がこれだけ増加するということは、経済から見ればそれだけ消費者が増える、つまり内需が急拡大したということです。経済はおのずと成長軌道を描きやすい環境下にあったともいえます。 しかしこの時期、日本社会全体はまだ貧しい状況でした。日本は輸出型製造業の成長に活路を見出し、原材料を輸入して製品化しこれを外国に輸出することで、60年代には経済において高度成長期を迎えることができました。 1958年には東京タワーが完成、そして1964年には最初の東京五輪が開催されます。同じ年に東京と大阪を結んで東海道を疾走することとなる東海道新幹線は、日本全国の子供の憧れの的でした。

 

「三種の神器」から「3C」の時代へ

 

この当時は、国民一人一人は貧しかったものの、国が新幹線や高速道路、そして東京五輪や大阪万博などの一大イベントを催し、希望に満ち溢れる国民をぐいぐいと牽引していった時代ともいえます。 この時期の人々の生活や価値観がよく窺い知れるのが、2005年に上映され大ヒットとなった『 ALWAYS 三丁目の夕日』です。この映画は田舎町から東京の町工場にやってくる女性が成長していく過程を追ったもので、当時の東京を表わしたノスタルジックなスタジオセットが話題を呼びました。同様に2017年に放映されたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」も、茨城県から上京して東京の町工場に就職した主人公が苦労をしながらも成長し、そこで出会った洋食屋の味に惚れ込むというストーリーを描き、注目されました。 50年代は三種の神器として、「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が、60年代には3Cと呼ばれた「車」「クーラー」「カラーテレビ」など、国民には常にわかりやすい生活向上のための「目標」のようなものがありました。 国民の皆が明日へのゆるぎない希望を持ち続けた一方で、どんどん都市部に流入する人の流れは、膨大な新たな住宅需要を生み出していきました。 国は1956年7月に、住宅に困窮する勤労者のために住宅や宅地を供給すること を目的とした日本住宅公団(現・UR、都市機構)を設立して対応しますが、当時の住宅の質はけっして水準の高いものとはいえませんでした。とりあえず「住む」ためのハコを量的に確保した、というところです。 1971年からスタートする1995年までの四半世紀はどうでしょうか。 この間の日本の人口は約2000万人の増加を見ました。高度成長期という右肩上がりの経済成長を味わった日本にとっては 70 年からの四半世紀は二度のオイルショックとの戦い、円高というグローバル経済の中での舵取りと、苦難が連続する時代でした。

 

全国各地にニュータウン建設が加速

 

しかし日本経済はこうした苦難を次々に克服し、飛躍的な成長を遂げていきます。 『Japan as №1』(エズラ・ヴォーゲル著)という書籍が持て囃され、世界第2位のGDPを実現し、日本がその自信を大いに深めていった時代でした。 一方、地方から都会へ大量に流入する人々の隊列はこの時代も続き、大挙してやってきた勤労者たちは都心から郊外に延びる鉄道沿線にマイホームを求めました。住宅は値上がりを続け、国民全員が「早く家を持たなければ一生持てなくなる」と、本当に信じた時代でした。 国が全国各地にニュータウンの建設を加速させたのも、この時代です。とりわけ1970年代は全国各地の丘陵が造成され、その結果、全国に2009カ所、面積にして18.9万haの住宅用地が誕生しました。 不動産神話あるいはマイホーム神話というのは、この時代に形成された考え方です。詳しくは拙著『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)を参考にしていただければと思います。 いずれにしてもこの時代は、不動産価値が人口の増加と経済の驚異的な成長に後押しされて上昇し続けていく時代でした。そうした意味では、「実に単純な」論理の下で不動産は捉えられていたのです。 今では冗談のような話ですが、1974年当時の厚生省の(現・厚生労働省)人口問題審議会が人口白書において「日本は出生抑制に努力すること」の旨を打ち出していました。この年は前年にオイルショックが勃発し、資源と人口に関する危機意識が高かったことが背景にあります。同年開催された日本人口会議では「子供は二人まで」という、今の政府が聞いたら卒倒するような大会宣言が採択されています。 では、日本がその絶頂時代を迎えていた1990年代半ば以降、日本はどんな道をたどっていくことになるのでしょうか。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe5e74df7b24fd31a795777d22c4b8481cd09423?page=1

2020年

7月

30日

「しくじった」資産20億円大家の失敗。1DKのマンションが…

株式会社町田工務店代表取締役社長・町田泰次氏は不動産投資で20億円もの資産を築き上げた。なんだか胡散臭いイメージが付きまといがちな不動産投資だが、成功者と敗者を隔てたものは何か? 書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎MC)にて同氏が語っている。

 

 

大家さん業に不動産情報ポータルサイトは不可欠

 

本連載では、これから大家さん業をはじめたいと思っている人向けに、私が大家さん業をはじめたころを振り返りながら、大家さんとは何か、また大家さん業をうまくやるための心構えなどを述べてきた。基本的に昔も今も大家さんが気を配るべき点や注意するべき点はかわっていない。だが、ひとつだけ大きく変わった点がある。それはインターネットの普及で、賃貸住宅をとりまく情報環境が大きくかわったことだ。 昔は賃貸住宅の入居者募集は、駅前の不動産屋(あえてそう呼ばせてもらう)の仕事だった。部屋を借りたい人は、住みたい場所を決めたら最寄りの駅前にある不動産屋へいき、条件を告げて物件を紹介してもらっていた。 それが大きく変わるきっかけとなったのは首都圏や関西圏で直接ユーザーに不動産情報を届ける不動産情報誌が創刊されたことだった。これによって入居希望者は、いろいろな場所で好みの賃貸住宅を手軽にさがせるようになった。 これがインターネット時代の到来でさらに進化して、現在のスーモやホームズなどの大手不動産情報ポータルサイトになったわけだ。 いまや大家さん業をやるには、こうしたポータルサイトは入居者の募集だけでなく、いろいろな面で不可欠の存在になっている。

 

■入居希望者の動向が詳しく分かる不動産情報ポータルサイト こうしたポータルサイトは、いまや入居者募集のツールとしてだけでなく、大家さんが自分の賃貸住宅を経営する際に必要な、さまざまなデータを与えてくれる。大家さん業をやっていくうえで欠かせない便利なツールになっているのだ。私も重宝している。 カメのようにゆっくりと歩きながらも、ウサギのように耳を大きくして情報はちゃんとキャッチするのが、賢い大家さんである。 たとえば大家さんにとって気になる空室率なども、全国平均や各自治体毎の平均はもちろん、もっとこまかく調べることもできる。ポータルサイトによっては入居希望者があるエリアの不動産情報をどれだけ見たか10段階で表示している。さらに大家さんが不動産会社を通して頼めば、自分の物件に関連するもっと詳しい情報を提供してくれる場合もある。 こうした情報を利用すれば、たとえばあなたの物件のある地域の空室率をかなり正確に試算できるので、より正確な家賃設定にいかすことができるわけだ。こうしたデータをあなたのパートナーとなる不動産会社と共同で利用すれば、あなたの賃貸住宅がターゲットとする市場のより正確な分析が可能になる。

 

資産20億円大家が「失敗した」と思ったことは…

 

■ポータルサイトを意識した物件づくりが必須 いま私が1棟マンションの新築を企画したり、リフォームを計画する際に、もっとも意識しているのは、こうした大手不動産ポータルサイトの検索エンジンにいかにひっかかりやすいものをつくるかということだ。 「流儀三」で詳しく述べるように、ポータルサイトで入居希望者が物件をさがす場合、自分の希望する物件条件を検索用チェックボックスに入力する仕組みになっている。あなたの賃貸住宅が、このチェックボックスの項目に該当する機能やサービスを持っていればいるほど、検索エンジンにひっかかる確率が高くなる。つまり入居希望者の目に触れる確率が高くなるのだ。 したがっていま目端のきく大家さんはみな、ポータルサイトの検索用チェックボックスを頻繁にチェックして、チェックボックスに新たな項目ができれば、それに即対応する用に設備を更新したりサービスを追加している。ポータルサイトを意識した設備のグレードアップや条件設定は、多くの入居希望者に自分の賃貸住宅を見てもらう上で必須の条件になっているのだ。 ■退去時アンケートにも大切なヒントが インターネット全盛の時代といっても、それがすべてではない。大家さんにとって、自分の所有する賃貸住宅の入居者からくるクレームや要望を聞く耳をもち、それを経営に活かしていくことは、大家さん業の基本であり、それはいまもまったく変わっていない。 たとえば入居者の契約期間が満了して退去が決まったときは、入居者にアンケートをとって、退去の理由や入居中の不満などを具体的に引き出すようにしたい。そもそも退去理由が転勤や結婚など、大家さんにとって防ぎようのない理由かどうかは、つぎの入居者を募集する際にも重要だ。 これがはっきりしないと募集戦略もたたない。入居中は、はっきりいってくれない入居者も、退去時には正直に不満を口にしてくれる場合も多いので、このチャンスを逃がすのはもったいない。 たとえば私が印象に残っているのは、あるマンションで収納の少なさへの不満が多かったことだ。1DKがとれる大きさの部屋を、好みの家具がおけるように、あえて広めワンルームにしたのだが、それが裏目にでた。 「もう少し狭くなってもいいから、収納はほしかった」 「家具はあまり持ちたくないので、細かな収納があるとよかった」 こうした声が多く、その後は居室はもちろんリビングやトイレ、洗面所にも簡単な収納をつけるようにした。かなり前の話だが、最近では収納の多さは、単身者用のマンションでは必須のアイテムになっている。 ■成約に結びつくのは内覧時の好印象 ポータルサイトで得られる情報は確かに部屋を選ぶ際に重要だが、インターネットでは伝わらない重要なこともある。それはマンションの外観とか共用部の印象など、実際に希望する部屋を内覧したときの印象だ。 ポータルサイトが提供する情報がいくらきめ細かくなっても、その情報だけで契約してしまう人はいない。最終的に成約に結びつくのは、内覧時の印象だ。 内覧時の印象をよくするには、まずは外観や共用部の美化維持を徹底することだ。私は不動産会社を通して専門の巡回スタッフに依頼してマンションの外観に痛みや汚れがないか定期的にチェックしてもらっている。 また入居者への情報提供や注意喚起のために掲示した印刷物が古くなったり汚れたままになっているのは、第一印象を悪くする。古くなったアパートで、いつはられたかもわからないような印刷物がヒラヒラしているのを見かけることがある。あれは大家さんのやる気のなさを象徴しているようで、ほんとうにいただけない。

 

町田 泰次

 

株式会社町田工務店 代表取締役社長

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c958576d7bc63a3d12189333d77dfae6740f9c75?page=1

2020年

7月

22日

「築61年のマンション」建て替え成功で分かった腐動産の末路

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

 

マンション建て替えに成功したのはわずか226棟

 

2017年、東京都新宿区四谷本塩町にある、日本初の民間分譲マンション四谷コーポラスが建て替えられることになった。 このマンションが分譲されたのは今から64年前の1956年。建て替えで解体される時点で築61年だ。JR「四ツ谷」駅から徒歩5分の好立地。外堀通りの喧騒からも離れた閑静な住宅街にある。延のべ床面積は2290㎡(約693坪)、総戸数28戸。分譲主は日本信販株式会社だ。

 

マンション関連の法律の骨格をなす区分所有法が施行されたのが1962年であり、管理方法も含めてマンションというシステムがまだ構築されていない段階だったこと、かつ住宅ローンの制度がない中、日本信販による割賦販売という仕組みを導入しての分譲事業という意味で、このマンションの存在は日本のマンションの歴史そのものといってもよいだろう。 このマンションの解体に先立ち、内部を見学させていただく機会を得た。地上5階建ての建物内部は、1階と4階にしか共用廊下がなく、メゾネットタイプの住戸を組み合わせた斬新な構成になっている。つまり、1、2階がメゾネットで組み合わせ、さらに4階を玄関として3、4階のメゾネットと4、5階のメゾネットを組み合わせた、昔流行(はや)ったルービックキューブのような構成の建物だ。

 

こうした形態を取ることによって、当時では考えられないほど広い70㎡以上の面積を確保した住戸を実現できたのだ。 築61年を迎える建物はさすがに外壁やサッシ、配管などの老朽化は目を覆うばかりだが、木製のサッシや住戸内部の建具デザイン、学校と見紛うような幅広の共用階段など、「レトロ」と呼ばれてもよいほどの趣 おもむき を随所に感じさせる建物となっている。 建物に対する建築学的なノスタルジーは他者の評論に譲るとして、この建て替えがどうして実現できたのかを考えてみよう。 四谷コーポラスの管理組合では2006年から10年間にわたって、大規模修繕または建て替えの検討を進めてきたが、建物の耐震性の確保は難しいと判断し、建て替えの決議を行なったという。 現在、国内では約106万戸の旧耐震マンション住戸が存在している。国土交通省によれば2014年4月時点で、全国で建て替えが行なわれたマンションはわずか226棟にすぎない。 昔のマンションは規模が小さいものが多いので、1棟が平均50戸としても建て替えの恩恵にあずかった住戸は1万戸強。旧耐震マンション全体の1%ほどということになる。それほどマンションの建て替えは、さまざまな事情により進んでいないということだ。

 

築61年マンションが建て替えに成功した理由

 

本件は建て替えを行なっても、現状よりも容積率(土地面積に対して建設できる建物面積の割合)が1.2倍程度にしかアップしないという。28戸の住戸は建て替え後は51戸になり、このうち23戸が権利者住戸、残りの28戸が新たに分譲される予定だ。建て替えにはメリットは少なく、通常ではなかなか合意形成が図れないものと推察されるが、実際には権利者の9割が建て替え後のマンション住戸の床を持つことに同意した、とのことだ。

 

四谷コーポラスが建て替えを成功に導けた理由は、何だろうか。

 

1.立地 建て替え後のマンションにも十分な不動産価値があれば、分譲部分を高値で売却できる。高値で分譲できれば、建て替えにあたって区分所有者の追加負担は少なくなる。 マンションは、建物部分について経年で劣化してしまうので不動産価値はどんどん下落してしまうが、土地の価値が保たれている立地であるならば、建物さえ新しくすれば、現在の時価で販売することができるのだ。 2.区分所有者の多くが富裕層であること 建て替えにあたっては、区分所有者が経済的に困窮していないことが必要だ。高齢化等により健康を害していても、建て替え期間中は医療機関や他の施設に移転ができるなどの条件がそろうことも必要だ。また、容積率緩和が十分でなく、建て替えにより新たな追加負担を求められたとしても、負担できるだけの経済的余裕があることが建て替えを可能にする。

 

 

3.「代替わり」が行なわれていること 四谷コーポラスの区分所有者はその多くが、途中で第三者に売却されずに相続されてきたそうだ。そして二代目、中には三代目が実際に住んでいるという。棟内に展示されていたマンション内の写真を見ると、築30年以上を経過した1988年当時の写真でも、大勢の子供たちが棟内を駆け回る姿が写し出されている。 相続された上で、子供や孫たちが実際に「住んでいる」ということは、マンションが故郷となり、所有者に愛されているということの証左だ。 4.コミュニティーが保たれていること 上記に加えて戸数がわずか28戸という小所帯であることから、「昔からよく知る」人たち同士でコミュニティーが形成され、しかも三世代にわたる老若男女が自分たちの資産であるマンションの不動産価値をアップさせるために、「建て替え」という手法を選んだことが容易に想像される。

 

さて、建て替え率1%のマンション。 上記のような要素が備わった物件はどれほどあるだろうか。

 

郊外立地で子供や孫には見向きもされなくなったマンション、1棟が数百戸もあり中国人投資家が闊歩する湾岸タワーマンション、高齢者ばかりで何事も決められない管理組合、クレームばかりでコミュニティーに参加しない区分所有者の存在。 これらのマンションで、築30年を超えても3世代の老若男女が集い、築年数が60年の還暦を迎えるときに、全員で自分たちの財産を守り抜こうという気持ちになれるであろうか。 マンションを買うということは、「コミュニティーを買う」ことと同義なのだ。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

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2020年

7月

17日

相続人がいない、管理費滞納…、老朽化マンションの負動産地獄

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

管理費・修繕積立金の滞納マンションが増加

 

高齢者の単身世帯が激増している。 マンションにおける高齢者の単身世帯数については正確なデータが存在しないが、2013年度に実施された国土交通省の「マンション総合調査」によれば、東京都内のマンション世帯主のうち、70歳以上が世帯主である住戸が2割、50歳以上が7割を占める。現在では当然、事態はさらに深刻だろう。こうした現状からは、今後多くのマンション住戸が相続の対象となってくることが、容易に想像される。 かつては、親が子に残す財産で最も価値の高いもののひとつが自宅だった。不動産は財産としての価値が高い。つまり、相続人が「住む」こともできれば、人に「貸す」こともできる。最後には「売る」ことで現金にも換えられるということで、相続人の間ではこの親の残した自宅の相続をめぐって醜いトラブル=「争続」問題が生じていた。 ところが、最近はやや状況が異なるようだ。都心居住が主流となる中、親の自宅を相続しても、自身で「住む」つもりはない。賃貸に出しても、築年数が経過したマンションでは住宅設備は古く、部屋の内装も時代遅れでなかなか借り手がつかない。かなりのお金をかけてリニューアルしても、立地に劣るマンションになると、満足な賃料で貸せるケースは少なくなっている。賃貸住宅の空き家は東京都内だけでもなんと59万8000戸も存在することが、この状況を物語っている。 親の残した自宅の不動産価値がそれほどでもないことに気づき始めた相続人たちは、むしろ現金や株式を優先し、不動産を敬遠して相続人同士で押し付けあうような場面も増えているという。 こうした状況で相続したマンション住戸。管理上でもやっかいな問題を引き起こしている。相続人がマンション住戸を相続したことを管理組合に連絡をしないケースが、増えているのだ。 親のマンション住戸を相続はしたものの、部屋内の片付けだけでも一苦労。住戸は傷みが激しく、賃貸するとしても相当額のリニューアル費用がかかる。ただでさえ欲しくもなかった住戸を無理やり相続した相続人は、その事実を告げずに放置、結果として管理費・修繕積立金が滞納となるのだ。

 

相続人がいない「おひとり様」マンション急増中

 

通常であれば管理組合は、相続人が確認できれば、当然のこととして相続人に対して管理費・修繕積立金の請求を行なうことになる。ところが相続人としての届け出が行なわれておらず、どこに請求してよいのかわからなくなるケースが発生しているのだ。 相続人を見つけ出して、滞納分を請求できても、相続人が外国住まいであったり、相続人が複数存在するとなると、各相続人間の共有財産ということでコミュニケーションが取れずに、なかなか思うように徴収できないケースも増えている。 首都圏郊外のあるマンション管理会社の社員は、最近の事情を次のように話す。 「最近は相続人の方をつきとめても、本人にマンションを継ごうという意識がさらさらありません。中には『困っているなら差し押さえでもして売ってくださいよ』と言ってくる人までいる始末です」 この相続人が言うように、最終的にはマンション住戸を差し押さえたうえで、競売等にかけて滞納分を回収していくというのが法律上の手続きとなるが、時代環境は変化している。 以前であれば、流通市場に出せば確実に売却できたマンションも、立地や築年数、設備の状況などによってはまったく買い手がつかないケースも出始めている。競売によって確実に滞納金が回収できるという保証は、どこにもない。 管理費の滞納が300万円、住戸内の後片付け費用で100万円、リニューアル費用で300万円、管理組合で計700万円かけて売却に出したものの、売れない。最終的に売却できた金額は400万円だったなどという事例も、珍しいことではなくなっている。差し押さえるための手続き、弁護士費用なども組合員から集めた管理費しか元手がない中、管理組合もおいそれと手が出しにくいというのが現状だ。 さらに問題がやっかいになってくるのが、相続人がいないマンション住戸の増加だ。「おひとり様」があたりまえになってきた日本社会。少子高齢化の進行は核家族どころか結婚をしない、兄弟、身寄りのない単身者の増加を招いている。こうした区分所有者に相続が発生すると、相続人がいないということになる。

 

マンションはスラム化への道を歩むのか

 

相続人が存在しない、または相続人が全員相続を放棄した場合、マンション管理は家庭裁判所等が選定する相続財産管理人と対峙することとなる。つまり管理費・修繕積立金等の請求を、相続財産管理人に対して行なうこととなるのだ。通常、相続財産管理人を選定する場合は東京地裁などの場合、100万円ほどの予納金を納付しなければならない。相続財産からあらかじめ差し引ければよいのだが、該当金額を引当できない場合はやはり管理組合の負担となる。

 

このような住戸は最終的には売却することによって現金化することとなるが、現実は予納金すら回収できないケースも見受けられるのだ。

 

こうした事態に対して、市場性がないのであれば無理に売却せずに、国庫に入れて国から管理費・修繕積立金を徴収すればよいという人もいるが、国が国庫として取ることは事実上ない。仮に国庫に帰属させたとしても法律上、国は「特定承継人」ではないので管理費・修繕積立金等を支払う義務はないということになる。 管理費・修繕積立金の滞納が多いマンションほど老朽化が激しく、市場における流通性に欠ける物件が多くなる。そうした住戸ほど誰も相続をしたがらない。相続を放棄する、相続をしても住戸を放置し、管理費・修繕積立金の支払いを免れつづける。売却しても債務全額の回収には程遠く、そもそも売却すら叶わない、こんな物件が今後急速に増加してくる可能性が高くなっているのだ。

 

マンション永住化などというが、世代を跨いで価値が持続できない多くのマンションが、今後スラム化への道を歩む可能性が高いはずだ。そんなマンションに資産価値を求める現代人は、マンションというあやふやな共同体の持続可能性をよく見極めるべきなのだ。

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/34f60ddea552f62681a4124119bedb5e442a3ce7?page=1

2020年

7月

10日

急増する「マンション墓」を安易に選んではいけない理由

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

 

高齢化社会ニッポンは年間40万人の純減

 

毎年、お盆の季節はふるさとに帰省する客で鉄道や飛行機、高速道路などが混雑する光景が「お決まり」の映像としてメディアを賑わせる。 お盆のそもそもの目的は、先祖のお墓にお参りして、その霊をなぐさめるところにある。帰省客のどれだけが、実際に墓参りを行なっているかはわからない。どちらかといえば地方出身者は、墓参りとは別に、親戚への挨拶や卒業した学校の同級生が集まって、互いの状況を語り合う場になっているのが実態かもしれない。 理由はともあれ、人間誰しもが亡くなれば入居するのが墓である。 日本の人口は、2015年の国勢調査で初めて減少に向かっていることが発表された。人口が減少する理由は、生まれる赤ちゃんの数より亡くなる人の数が多い、つまり「人口の自然減」の状態に日本があることを示している。 2017年の出生数は94万1000人だったのに対して、死亡者数は134万4000人。なんと日本は、人口の自然増減においては年間で40万人もの純減を記録している。 実際の日本の総人口は22万人ほどの減少と発表されているが、この差は在留外国人の数が急激に伸びているからである。今や日本の人口減を一生懸命外国人在留者の伸びという「社会増」で補っているというのが現代日本の姿なのである。 さて、日本は高齢化社会に突入したといわれているが、この影響は今後死亡者数の激増という形で社会にさまざまな問題を投げかけてくる。1966年(昭和41年)の日本の死亡者数は67万人と戦後最低を記録している。当時の日本は、戦後生まれの男女が世の中を闊歩する若々しい社会だったのだ。 それがこの50年間で、死亡者数は倍増したことになる。医療施設が整い、高齢者施設が数多く建設され、長寿社会が実現したとはいえ、人間、いつかは死ぬ。そしてこれからの日本は「死ぬ」可能性の高い人が激増する状況にあるのだ。

 

墓もマンションのようにみんなで住む時代

 

厚生労働省の予測によれば、2040年には死亡者数は166万人と今よりさらに24%も増加するとしている。それもそのはずである。2017年9月、厚生労働省の発表によれば、現在国内では80歳以上の人口が1002万人。対前年比で 38万人の増加となり、初めて1000万人の大台を超えたという。さらに90歳以上の人口は206万人、100歳以上の人口でも6万7000人となっている。どんなに長寿社会になるからといっても、この数値だけから判断して今後20年くらいの間で1000万人近くの人が亡くなっていくことは、誰が見ても明らかだからだ。 いっぽう現在、日本の人口の約3分の1が東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で構成される首都圏に集中している。つまり、今後は首都圏での死亡者数が激増することが、容易に予測できる。ところが、首都圏で墓地として提供できる土地は少ないのが実態だ。 墓を持つ側のニーズにも変化が表われている。墓地といえば、これまでは地方の実家の周りにある、あるいは郊外の山などを造成して開発した霊園に多く存在したが、こうした施設に対する不満も多い。年に数回の墓参りに行くにも遠くて交通利便性に欠ける、墓参り時の天候に影響を受ける、墓の清掃や雑草取りなど手間暇がかかる、土地使用料や墓石代などの費用が高いなどといった理由が挙げられている。何事にも合理的に考える世代が台頭していく中で、既存の施設に対する不満が高まっているのである。 このような状況を反映して現在人気なのが、墓ビルである。墓地の形態をとらずに建物の中に収容をする納骨堂は何も今に始まったものではないが、最近増加しているのが、ビルを建てるか既存のオフィスビルやマンションを改装して、建物全体をお墓の収用場所にしようというものだ。墓もマンションのようにみんなで「一緒に住む」という時代になったのだ。 墓ビルではハイテク化も進んでいる。以前は建物内に棚を設(しつら)えて骨壺などを並べるだけの簡素なものだったのが、機械化され参拝者は決められたブースに来てICカードで登録番号を読み取ってもらい、該当する塔婆などの一式が目の前に出現するのを待つ。まるで銀行の貸金庫室に行って自分の金庫を取り出すような感覚だ。線香などもあらかじめ備わっているので、手ぶらで参っても大丈夫。何事も手軽に済ませられることも人気の秘密になっている。 費用も墓地であると区画にもよるが、墓石などを含めるとなんやかんやで200万円から300万円程度はかかってしまうが、自動式納骨堂であれば100万円程度。永代使用権や永代供養なども含まれているものが多いので安上がりである。 また近年は少子化が進み、「おひとりさま」需要も増える中、墓守をする後継者がいない人にとっても負担が少ないといえそうだ。

 

墓ビルがスラム化してお化け屋敷に?

 

さて一見すると良いことずくめの墓ビルであるが、実は多くの問題を抱えている。墓地は土地の中に収容されるスタイルであることから、土地が永遠に存続する限りにおいては墓としても永久に存続していくことが前提となる。ところが建物内に収まっている墓ビルは、当たり前のことだが、建物は「永久不滅」でないということを考えなくてはならない。

 

墓ビルは建物内を自動化して収容力を高めている。中には1棟で1万基もの収容力を持つビルまであるという。1基100万円だとして1万基で100億円にもなるのだから、おいしいビジネスともいえる。だがこれらも「満杯」になった後はひたすら「管理」していくことが必要になる。一般的には管理費などを徴求する形をとっているが、さて管理費はいつまで取ることができるのだろうか。最初に永代供養としてまとまった費用を徴求できたとしても墓守は永遠である。

 

建物は「有限」であることから、当然のことだが大規模修繕も必要になる。50年、60年先には「建て替え」も必要となるかもしれない。そのときこうした費用はどこから出ていくのだろうか。墓ビルに対しては宗教法人施設の敷地内限定とする、あるいは宗教法人が一定以上関与する法人の所有に限定するなど、規制を施す自治体もあるが、どのようにして建物を維持管理していくのか、まだ不透明な部分も多いのが実態だ。

 

維持費用が途絶え、誰も管理せず、放置されるような墓ビルが将来都内のあちこちに出現したらどうなるのだろうか。墓ビルが「スラム化」してお化け屋敷になるなどという笑えない話にもなりかねないのだ。永遠に存続することができない器に「永久に存在するはずの」お墓を管理していくことの矛盾に、まだ多くの墓ビルが気づいていないのだ。

 

牧野 知弘 オラガ総研 代表取締役

 

牧野 知弘

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/207c56523b51e18d89425958dd45f4f60e563422?page=1

2020年

7月

02日

理想のマンション「何駅」郊外に行けば買えるか

 コロナ禍は「家」に関する価値観を変えるといわれている。背景にあるのが在宅勤務の普及だ。パーソル総合研究所によれば、緊急事態宣言後のテレワーク実施率は全国平均で25.7%。東京都に限れば41.1%に達した。現在でも出社人数を制限して、社員を交代で出勤させる企業は少なくない。

 

日中は働きに出て、自宅は寝に帰るだけ。コロナ以前にそんな働き方をしていた人が急に在宅勤務を余儀なくされると、リビングが狭い、仕事をするための書斎が欲しいといった「不満」に気づいた人も多いだろう。

 

 

■広さを求めて郊外に目を向ける

 

だが、限られた予算で広い部屋を求めるには、地価の安い郊外へと目を向けざるをえない。では、具体的に今住んでいる駅より「何駅」都心から離れれば理想の広さが手に入るのか。 リクルート住まいカンパニーの調査によれば、2019年の新築マンション購入者の平均価格は5517万円で、住戸の面積は68.2㎡。今回は理想の広さを80㎡と仮定し、その住戸を5517万円で購入するためには、どれぐらい都心から離れる必要があるのかを調べた。

 

データは不動産調査会社の東京カンテイの協力を得て、駅ごとの㎡当たりのマンション価格を算定。新築マンションは2019年1月~12月に分譲された住戸、中古マンションは2019年1月~12月に流通した築9~11年の住戸を対象に集計している。いずれも最寄り駅から徒歩20分以内の物件が対象(バス便除く)で、専有面積30㎡未満の住戸やオフィス・店舗区画は含んでいない。

 

なお、昨今は新築マンションの供給が少なく、中古マンションも取引事例が少ないなどの理由で、十分なデータが集まらなかった駅も多かった。そこで、東京カンテイのデータに含まれていない駅については、6月中旬時点で価格を公表している分譲中の新築物件、およびポータルサイトにて売り出し中で築9~11年の中古物件を独自に集計した。サンプル数が少ないことを考慮し、あくまで参考価格として「※」マークを付加している。

 

コロナ禍で広い住戸が求められる時代には、どんなマンションが検討に値するのか。早速見ていこう。

 

「地価の安い郊外に行かないと広い住戸が買えない」という現実が如実に表れたのが小田急小田原線だ。68.2㎡の場合、新宿から出発して代々木上原や下北沢といった人気エリアを経て、最初に予算内に収まるのが新宿から14駅を数えた喜多見だ。なお、参考価格ではあるが、経堂駅から徒歩10分の「ザ・グラント経堂」では、71.54㎡の住戸が5280万円で販売されており、こちらも手が届きそうだ。

 

表では68.2㎡の新築住戸の価格が予算内(平均購入価格5517万円)の場合、赤で表示した。そして、80㎡の新築住戸が予算に収まる場合を黄色で示したが、小田急線では新宿から28駅の小田急相模原まで進む必要がある。参考価格でも75.33㎡が4,596万円(80㎡換算で4880万円)で販売されている「ライフレビュー新百合ヶ丘」の最寄り駅である新百合ヶ丘が精いっぱいだ(ただしこのマンションには76.8㎡以上の間取りはない)。

 

以上の仮定は、あくまで「新築」にこだわった場合だ。中古マンションでも許容できるなら、参考価格ベースでは登戸まで近づく。表では80㎡の中古マンションを予算内で買える場合を青で示したが、町田や相模大野といった利便性の高い駅も選択肢に入ることがわかる。

 

■JR中央・総武線でも中古に訴求力あり

 

近年供給される新築マンションは用地費や建築費が上昇しており、販売価格は高止まりの状態だ。不動産経済研究所によれば、首都圏の新築マンションの平均価格は、2010年に4716万円だったのが2019年には5980万円まで上昇した。相対的に割安な中古マンションの訴求力は、いやが上にも高まっている。

 

同じく中古の優位性がにじんだのがJR中央・総武線だ。価格高騰を象徴するかのように、新築マンションでは予算オーバーの駅が続く。ようやく予算内に収まるのが、新宿から18駅を数えた豊田だ。なお、参考価格ではあるが、三菱地所が分譲している西国分寺駅から徒歩10分の「ザ・パークハウス 国分寺四季の杜」では、記事執筆時点で70.72㎡の住戸が5321万円で販売されている。

 

80㎡の住戸を求めると、そこからさらに1駅奥に進んだ八王子が該当する。新宿から中央特快に乗っても約40分と、昨今の都心ニーズからはやや外れる。他方で、検討対象を中古にも広げれば、選択肢は一気に武蔵境にまで近づく。検討対象の駅だけでなく、分譲中・売り出し中住戸の数もぐんと増える。

 

■東急東横線の新築で予算内はゼロ

 

東急東横線に至っては、新築だけを検討対象にすると、予算内に収まる駅が一つも該当しなかった。対照的に、中古であれば日吉や菊名といった交通利便性の高い駅も選択肢に入る。人気の沿線を望むなら、中古は検討対象として外せないようだ。実際、大手マンションデベロッパー7社で構成する「メジャー7」が2018年に行った調査によれば、マンション購入検討者の43%が、新築だけでなく中古も検討対象としていた。

 

価格に影響を与えるのは、新築か中古かだけではない。急行が止まるか、複数路線が利用できるかといった「駅力」も重要な要素だ。

 

「駅力」によって価格に差が出たのは田園都市線だ。新築でも予算内に収まる駅は複数あるものの、急行停車駅にこだわるなら、渋谷から21駅の長津田まで広げる必要がある。逆に普通列車しか止まらない駅でも構わないのであれば、都心からさほど離れずにマンションを買うことができる。

 

■新築には広い住戸がない

 

今回はJR山手線から延びるJR中央・総武線と私鉄数路線を検証した。結果としては、新築にこだわると現在住んでいる場所よりも都心から離れざるをえない。他方で、駅力にこだわらず、中古も選択肢に入れれば、新築検討時よりもむしろ都心に近い場所でもマンションが買える。今回は築9~11年のマンションを対象に集計したが、築年数がより古いマンションであれば、さらに都心に近づくことも可能だ。

 

そもそも、現在分譲されている新築マンションには80㎡以上の住戸自体が存在しないこともある。前述のとおり、新築価格が上昇する一方で、購入検討者の予算は伸びていない。するとデベロッパーとしては、住戸の面積を削ることで販売価格の総額を抑えることになる。総額が大きくなる80㎡の住戸は予算に収まる買い手が限定されるため、デベロッパーとしては供給に慎重になる。

 

冒頭で示した小田急小田原線では、新築80㎡が購入できる駅で「小田急相模原」を挙げた。だが実際には、駅徒歩圏内で分譲されている「レーベン小田急相模原Vuitoa」での最も広い住戸は、現在の販売期では73.87㎡だ。

 

仮に広い住戸があったとしても、「プレミアム」扱いとして価格が上乗せされているマンションが少なくない。本稿で示した駅別価格はあくまで平均価格を㎡当たりの価格で割り戻している。実際の販売価格には軽重があり、プレミアム住戸は予算内に収まらない可能性が高い。

 

たとえば、関電不動産開発が田園都市線の宮崎台駅から徒歩10分の場所で分譲している「シエリア宮崎台」。記事執筆時点では70㎡の住戸が3998万円で販売されており、80㎡換算で4500万円台と、同駅における平均価格よりもお買い得だ。

 

だが、間取り図を見ると80㎡超の住戸はいずれも角部屋に設定されている。採光や眺望に優れる角部屋はほかの住戸よりも価格が高く設定されていることが多い。実際、85㎡台の住戸の販売価格は6546万円で、80㎡換算では6160万円と予算オーバーになる。

 

■広さがダメなら部屋数で勝負

 

在宅勤務の普及により広い住戸が求められるようになると、広さも供給も絞るという新築マンションの戦略は顧客に受け入れられなくなる。そこでデベロッパーは「部屋数」を増やしたりことで対応する。三菱地所は大人1人が入れる木製の「箱の間」を、自社分譲マンションを対象に展開する。リフォームなしで部屋数を増やすことができる。

 

大規模マンションでは、 共用施設のラウンジやスタディルームを書斎代わりにしている物件もある。予算の制約で住戸を広げられない中では、住戸内の部屋数や自由に使える共用施設をどう増やしていくかが、アフターコロナのマンション業界を勝ち抜くカギとなりそうだ。

 

一井 純 :東洋経済 記者

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/7955fe1ada63d69b10fc6701313d5f938b075554?page=1

 

 

 

 

2020年

6月

26日

いまさら聞けない不動産投資の基本(9)ワンルームマンション投資の落とし穴

「いまさら聞けない不動産投資の基本」シリーズでは、主に不動産投資をこれから始めようと考えている人、始めたものの不安を感じている人などを対象として書かせていただいています。

 

ここ数年で急速に増えたワンルームマンション投資。しかしながら、投資用ワンルームマンションを購入された方の中には、その仕組みやメリット・デメリットをあまり深く知らずに始められている方も少なくありません。

 

今回はワンルームマンション投資の特徴について考え、個人的な見解も含めてお伝えします。

 

 

ワンルームマンション投資の特徴

 

これまでもお伝えしてきたとおり、不動産投資はしっかり検討・分析して行えば、比較的リスクの低い投資法だといえます。不動産にはそれぞれに特性があり、その特性をしっかり理解することが必要です。

 

これからの日本は人口減少が進行していきます。世帯数も2035年くらいをピークに減少に転じるといわれていますが、単独世帯の数は今後も増加が予想されています。

 

核家族化が進行し、進学や就職、結婚を機に親元を離れる若者が増えています。結果として地方では人口減少がより顕著になり、都市部近郊でも人口が減少するところが増えていきます。

 

ワンルームマンションは、地方から出てくる若者を中心とした単身世帯の受け皿であるといえます。こうした人たちは交通の便や生活利便施設の充実など、利便性の高いエリアへの居住を希望する人が多いことも確かです。

 

こうしたマーケットを狙い、首都圏でのワンルームマンションの新規分譲戸数はここ15年ほどの間で毎年8000戸前後が供給されています。あわせて、こうした物件のオーナーとなる大家さんも増えました。

 

ワンルームマンションの価格推移

 

ワンルームマンションだけでなく、一般分譲マンションも含めたマンションの価格は、2013年以降右肩上がりに上昇してきました。

 

2019年には首都圏の新築マンションの平均価格が6000万円を越え、バブル期のピークの価格にほぼ並んでいます。2020年以降はコロナウイルスによる経済へのダメージの状況しだいでは下落していく可能性もあると感じます。

 

一方、このところ新築マンションの供給戸数は減っています。2000年をピークに減少し始め、2008年のリーマンショックのころには大きく減り、その後少し持ち直したものの、直近5年間の供給戸数はピーク時の半分以下です。

 

この間、新築分譲マンションのデベロッパー(開発分譲会社)は大手寡占が進みました。現在は体力のある大手が売り急がず、長期間かけて販売するケースが増え、価格をコントロールしている印象があります。

 

一方、投資用マンションに限った供給は直近5年程度の間、年間約7000戸前後の戸数を維持しています。価格も上昇してきており、やや過熱感があるように感じます。

 

投資用マンションに関していえば、大手のシェアは減少しており、中小のデベロッパーが一般向けでは体力が続かないために、投資用の需要に流れ込んでいるようにも感じます。価格が高騰した結果として、販売価格を抑えるために1戸当たりの面積を小さくしたり、郊外の物件が増える傾向も見て取れます。

 

新築であれば物件のきれいさや、日本人ならではの「新築志向」の強さから、多少強気の家賃設定でも入居者が決まるケースは多いと考えられますが、投資対象として考える場合は、今後の予測も含め慎重に判断しなければ行けない状況であるといえるでしょう。

 

 

 

ワンルームマンション投資の落とし穴

 

ワンルームマンションへの投資を考える際に、抑えておきたいポイント・リスクを考えます。これらを見誤ると落とし穴があるかもしれません。

 

・新築でも一度人が住めば中古(新築プレミアムの落とし穴)

ワンルームマンションを投資用として分譲する会社の中には、高級分譲マンションのような立派なパンフレットを作成している会社もあります。新築分譲時の価格にはこうした資料の作成費も含めた広告宣伝費が含まれています。

 

また、先述のように新築を選ぶ入居者も多く、結果として、よほど市場相場とかけ離れない限り、最初の入居者は高めの賃料でも埋まる可能性が高いといえます。一度人が住めば中古マンションですので、入居者が入れ替わった時に同じ賃料で再入居してもらえるかどうかが重要になります。

 

・賃料の下落(需要と競合物件)

入居者の入れ替わりのことを考え、当該エリアの人口予測、賃料の周辺相場、競合物件の数など確認が重要になります。

 

駅から少し距離のある物件の場合、より駅に近いところに競合物件が建ち、その物件が同じ賃料で募集し始めると、遠いほうの物件は同じ賃料では埋まらない可能性が高くなります。長期保有するつもりでいても、賃料の下落により毎年赤字に陥るようなケースもあります。

 

・資産価値の下落(需要と周辺環境)

投資用不動産の場合、その価格は土地価格の推移よりも賃料、利回りの影響を強く受けます。賃料が下がれば当然利回りが下がり、結果として、売却しようとした時の価格も下がります。

 

売却の際、借入金の残債が物件価格よりも多く残っているような場合には、追加費用が必要になり、売るに売れないというケースもあります。

 

・家賃滞納

投資用不動産の場合、入居者からの家賃が滞納するケースもあります。サブリースしている場合には、サブリース会社が傾かない限りこうしたことはないでしょうが、個人と直接契約している、あるいは入退去管理だけを業者に依頼している場合は、こうしたリスクに備えることも必要です。

 

管理会社で賃料の督促まではやってくれても、それより先には突っ込んでくれないケースもありますので、保証会社の利用なども検討すべきです。

 

・サブリース会社からの賃料見直し要請

前回のサブリースのコラムでもお伝えしましたが、サブリースもずっと賃料を保証してくれるわけではありません。周辺の賃料が下落し、想定家賃が取れなくなったり、空室が増えてくるとサブリース会社からの値下げ要請が来る可能性もあります。

 

・管理組合の運営と修繕積立金の不足

最近の投資用マンションは、先述のように比較的小さな会社がデベロッパーであるケースが増えています。投資用マンションの場合、同じ建物内のすべての分譲住戸が投資用であることも少なくありません。

 

一般のマンションと異なり、投資用マンションでは所有者(=個々の住戸のオーナー)が管理組合の集まりに出席することも少なく、管理組合が機能していないケースも多々あります。建物管理の状況や長期修繕計画と修繕積立金の積み立て状況などに、あまり関心がないことが多いと考えられます。

 

分譲会社としても、実質利回りを落とす管理費や修繕積立金を分譲時に安く設定し、分譲後はほったらかしということにもなりかねません。

 

一般のマンションでも最近、修繕積立金の不足が問題になっています。いずれ、投資用マンションでも同じような事態に発展しかねません。管理が行き届かないマンションはいずれ、入居者からのクレームが増え、結果として賃料の下落、空室の増加、資産価値の減少を招きます。

 

 

 

まとめ

 

東京の人口も2025年ごろをピークになだらかに減少していくと予測されています。

 

東京都の中でも人口が減るところ、横ばいのところ、わずかながらも増えていくところがあるでしょう。単独世帯は今後も増加が見込まれていますが、エリアによって増加率にはばらつきがあり、減少するエリアもあると考えられます。

 

ワンルームマンション投資に関するネガティブな部分を主に見てきましたが、逆にいえば、これらのチェックポイントをクリアできる物件であれば、投資対象として検討できると考えます。

 

都心部でのワンルームマンションの供給数は少なくなっていますが、表面利回りだけで判断するのではなく、立地を厳選する必要があるでしょう。

 

郊外に広がり始めている供給状況ですが、今後の投資対象としては都心部に回帰していくと考えられます。個人的には、あえて都心部で今後希少になるであろうエリアの中古物件を狙うという選択肢が手堅いのではないかと感じています。

 

このところ投資用中古マンションの価格も高くなっています。投資タイミングの見極めも重要だと感じます。

 

<参照>

不動産経済研究所「2019年上期及び2018年年間の首都圏投資用マンション市場動向」(2019年8月6日付)

東京都政策企画局「2060年までの東京の人口推計」

東京都「東京都世帯数の予測」

 

執筆者:西山広高

 

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

 

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/bc1a6f65cdb9f529bd2d6a6b14f6dd138422af38?page=1

2020年

6月

19日

コロナ禍で住まい選びのオンライン化進む。売買・賃貸契約、住宅購入はどう変わる?

新型コロナウイルスの影響によって仕事や買い物など、さまざまな場面で「新しい生活様式」が広がりつつある。バーチャル画面を使ったモデルルーム見学やオンラインによる住まい選びセミナーなど、住まい選びにもそうした新しい動きが出始めているようだ。国や業界の対応、各企業の現状を取材した。

 

賃貸取引に続き売買取引でもIT重説の社会実験スタート

不動産業界では国が音頭をとり、コロナ以前から「重説のIT化」が進められていた。重説とは重要事項説明のことで、宅地建物取引業法では賃貸や売買の契約時に宅地建物取引士による説明が義務付けられている。 これまでは重要事項説明書という書面を使い、借主や買主に対して対面で重説が行われてきた。それがコロナ禍をきっかけに、IT化、つまりオンラインによるリモート化が一気に進みそうな状況なのだ。 重説のIT化はまず、賃貸取引で始まった。20158月から20171月まで、賃貸取引と法人間売買取引について社会実験が行われ、事前に登録した不動産会社が実際の業務でテレビ会議システムなどによる重説を実施。201710月からは賃貸取引での本格運用がスタートし、すべての不動産会社がIT重説を実施できるようになっている。 さらに201910月からは、個人を含む売買取引についても社会実験が開始された。賃貸取引と同様に事前登録した不動産会社が実験に参加する形で、2020930日まで実施される予定だ。参加事業者の募集は当初は20205月中旬までの予定だったが、コロナ禍を受けて門戸を広げる意味で当面の間延長されることとなった。 売買取引でのIT重説では、事前に不動産会社が売主と買主の双方に同意を得る必要がある。買主には重要事項説明書などの資料が郵便などで送付されるので、事前に目を通しておくことが可能だ。IT重説を実施するときには通常の重説と同様に不動産会社側から宅地建物取引士証が提示され、説明の様子が録画・録音される。また説明後は買主にもアンケート調査が行われ、国土交通省に提出することになっている。 社会実験に参加している不動産会社は売主の同意があれば、物件広告にIT重説が可能なことをPRでき、国が指定したロゴマークも表示できる。IT重説が受けられる物件かどうか知りたい場合は、ロゴマークで確認するといいだろう。 売買取引の社会実験に登録している不動産会社は、2020529日時点で475社となっており、今後も増えることが予測される。また賃貸取引については重要事項説明書などの書面を電子化する社会実験も2019年に実施された。今後も重説のIT化が進めば、自宅に居ながら簡単に住まいの契約がしやすくなりそうだ。

 

国や業界団体が感染予防対策のガイドラインを策定

重説のIT化が進められる一方で、不動産・住宅業界ではコロナ禍に対応した新しい接客方法などを模索する動きも出ている。緊急事態宣言の期間中は営業を自粛する店舗やモデルルームも多かったが、宣言が解除されたことで徐々に営業が再開され、客足も戻りつつあるようだ。 そんななか、国土交通省は不動産業界向けに感染予防対策ガイドラインを作成した。従業員の健康確保やテレワーク・時差出勤などの検討、勤務中のマスク着用の推奨といった基本的な対策をまとめたものだ。 店舗などでの接客については、来店やモデルルームへの来場はできる限り予約制とし、少人数での来店・来場を依頼するとしている。また仲介時の売買活動に関する報告は、対面ではなく電話などでも可能とするといった内容だ。 住宅業界の団体である住宅生産団体連合会も同様に、住宅業界向けの感染予防ガイドラインを策定。顧客との打ち合わせや商談はできる限り電話やメール、オンラインで行い、対面で行う場合はできる限り2m(最低1m)の間隔をとり、お茶などはペットボトルや紙コップで出すといったきめ細かな対策をまとめている。 不動産・住宅業界では感染予防に注意を払いつつ、早期の景気回復や市場活性化に向けた経済対策を自治体や国に要望しているところだ。

 

VRでの住まいづくりが体験できるセットが好評

住宅メーカーやリフォーム会社など、個々の企業でもオンラインを活用した対応が進んでいる。どのような対策に取り組んでいるのか、具体例を紹介しよう。 在宅で住まいづくりの相談ができる「おうちで住まいづくり」を4月から展開しているのが積水ハウスだ。希望の日時を予約すると、間取りや土地探し、資金などについて電話やWEBで担当者と相談できる。またVR(バーチャル・リアリティ)を使ってプランニング例などを体験できる「住まいづくり」体験セットを、希望者に無料で送付するサービスも行っている。 同社によると、住まいづくり体験セットは特に好評で、4月の資料請求は前年比で約2倍、5月はエリアによって5倍以上の引き合いがあったという。またリモートによる相談は当初は申し込みが少なかったが、企業でのリモートワークなどが普及するにつれて徐々に増えてきているそうだ。さらに6月には同社社員の自邸を動画で紹介するコンテンツをHP上で公開したり、今後は営業が分譲地や建売物件をライブ配信するなど、オンラインを活用したサービスを予定している。

 

リフォームのオンラインセミナー・相談会で集客増

東京・横浜を拠点にリフォームを手がけるスタイル工房では、以前からセミナーや相談会を行っていたが、コロナ禍を受けてオンラインでの対応に力をいれている。これまでは月2回の店舗セミナーでそれぞれ34組程度の参加だったが、オンライン化によって月に十数組の申し込みが入っているという。またオンライン相談会も新規の申し込みが月に30件程度と好調だ。

「オンラインでの打ち合わせやセミナーはお互いに時間調整がしやすく、進めやすいと言えます。また事前に質問事項や要望を整理するなど、しっかり準備して参加されるお客様が多く、こちらからのプラン提案などもスムーズです。ただ、工事の詳細を決める打ち合わせなどは、対面のほうが素材感などを直接感じられてよいという感想も聞かれました」と、同社の担当者は話している。 また現状ならではの要望として、オンライン授業用に子ども部屋をリフォームしたいといった相談もあったという。同社では今後もオンライン化を進め、モデルルームのライブ見学会なども検討しているそうだ。 このほか、新築マンションでもモデルルーム見学や商談などをオンラインで可能にする取り組みが広がっている。なかには情報収集や見学、契約から引き渡しまで、マンション購入のほぼすべての手続きをオンラインや郵送などでリモート化できるケースもある。 国や業界団体、各企業の取り組みが進むことにより、極力外出しなくても住まい選びが完結できるようになるかもしれない。不動産会社とオンラインで相談や打ち合わせをすれば、対面よりも効率的で内容の濃い話ができる場合もあるだろう。とはいえ、採光や眺望、室内空間や内装の素材、周辺環境などは、実物を見ないとイメージしにくい面はある。アフターコロナ時代には、手続きなど可能な部分はオンラインを活用しつつ、必要に応じて現地を確認することで、間違いのない住まい選びを実現するようにしたい。

 

●取材協力 積水ハウス スタイル工房

大森 広司

https://news.yahoo.co.jp/articles/d77d59674c3885b54d4f083861b93652a6b26379?page=1

 

 

2020年

6月

12日

資産家ドクター「不動産投資の嬉しい3つのメリット」

株式投資、FX、不動産投資など、さまざまな投資を自ら実践してきた医師が語る、不透明な時代を生き抜くためのお金の知識。本連載は、現役の医師で、大見医院院長の大見貴秀氏の書籍『失敗から学び続けた、資産家ドクターの投資術』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋し、医師に最も適している資産形成法を教えます。※「医師×お金」の総特集。 GGO For Doctor はコチラ

 

不動産投資のメリット(1)生命保険の代わりになる

不動産投資には大きなメリットが3つあります。保険的機能、年金としての効果、節税効果です。どんなメリットなのか、それぞれ解説しましょう。

 

まず、不動産投資の保険的機能についてです。金融機関から融資を受ける際、基本的に「団体信用生命保険」に加入することになります。金融機関からすれば、ローンの返済中に本人が高度な障害や病気で仕事を辞めざるをえなくなったり、もしくは亡くなったりすると、返済ができなくなるリスクを負うことになります。

 

団体信用生命保険は、そうした事態に備えて、ローン返済中に本人に万が一のことがあれば、生命保険会社がローンの残金を払ってくれるという保障制度です。したがって、ローンの返済契約者本人が返済途中で亡くなったとしても、保険会社が全部払ってくれるので、残された家族がローンの残債を返済する義務はありません。

 

そのうえ、不動産からの家賃収入は継続して入ってきますから、家族にとってはそれが遺族年金のような形でまるまる生活費として使えることになります。もちろん、すべての物件を売却してお金に換えることも可能です。これは不動産投資の大きなメリットだといえるでしょう。

 

 

先日、こんな話を聞きました。大規模な不動産を所有していた方が亡くなったとき、こんなに多額の借金を抱えてどうしたらいいのか、と奥さんはかなりパニック状態になったそうです。団体信用生命保険のことを知らなかったためですが、その説明を聞いたときはとても安心したと仰っていました。いまでは残された大規模な不動産から安定した家賃収入があるので、不自由なく生活できているそうです。

 

いまの団体信用生命保険は、死亡だけではなく、初期のがんや女性特有の病気になったときでも保障されるように適用が広がって、医療保険の要素も加味されています。掛け金も安く、保障も厚いので、一般の生命保険に入るよりも有利かもしれません。なお、団体信用生命保険の保険料は毎月のローン返済額の中に組み込まれていますから、別途保険料を払う必要もありません。

 

不動産投資のメリット(2)年金としての効果

 

次に、不動産投資の年金的効果についてです。

 

購入した不動産のローンを35年かけて全額返済したとしましょう。もしあなたがいま35歳だとすれば、そのとき70歳になっています。ローンを完済していますから、家賃収入はそのまま70歳以降のあなたの不労収入、つまり年金と同じことになるわけです。

 

もちろん、所有している物件は35年の間に古くなっていますが、リフォームもしくはリノベーションすれば借り手はつくでしょう。物件を所有し続けている限り、収入は確保できるのです。さらに、物件は資産として残っていますから、購入時の価格よりも価値は下がっているにしても、それを売却すればかなりゆとりあるお金を手にすることができます。

 

ローンの返済を満期ではなく繰り上げて返済すると、なお有利です。それだけ早く年金として活用できることになるからです。複数の物件を所有しているなら、その効果はより大きいでしょう。

 

たとえば、物件を2戸持っているとすると、そのうちの1つを売却して、そのお金をもう1戸の物件の繰上返済にあてれば、手持ちの貯蓄を減らすことなくローン返済が完了し、完済した物件からの収入は私的年金として役立てることができます。

 

ただし、築年数を経た物件を維持している限り修繕費用などの出費があるので、完済後の家賃収入が全額まるまる年金として使えるわけではありません。そこは注意が必要です。

 

不動産投資のメリット(3)節税効果

次に、不動産投資の節税効果についてです。

 

不動産投資で物件を購入すると、賃料収入が発生するので、毎年確定申告をしなければいけません。

 

研修医や勤務医の給与収入の他にアルバイト収入も得ているあなたなら、当然確定申告をしていると思いますが、不動産を購入して家賃収入を得ると、それが不動産所得として加算されて、翌年の申告で所得税と住民税の対象になります。不動産所得の金額は、次のように計算します。

 

「総収入金額-必要経費=不動産所得の金額」

 

総収入金額とは、賃貸の1年間の家賃収入のことです。必要経費とは、固定資産税、不動産取得税、損害保険料、減価償却費(*)、修繕費、仲介手数料、不動産管理費、税理士報酬、図書費、交通費などの経費です。

 

多くの場合、総収入よりも必要経費の金額のほうが大きくなるので、不動産所得は赤字になります。これが節税効果になるのです。不動産所得の赤字が給与所得と合算(損益通算といいます)されると、総所得の額が減るので、税金も少なくなるわけです。

 

 

たとえば、あなたの課税される所得金額が1000万円で不動産所得がゼロだとすると税率は33%なので、330万円が所得税としてとられることになります。これに対して、もしマイナス100万円の不動産所得があったとすれば、損益通算されて「1000万円-100万円=900万円」が課税される所得金額になります。900万円の税率は23%ですから、所得税は207万円。すなわち、不動産所得がゼロのときよりも120万円余り税金が安くなります。確定申告すれば、給与から天引きされて多くとられていた所得税のぶんがのちに還付金として戻ってきます。

 

このように、不動産投資をすると節税効果のメリットがあるのです。ただし、多くの人が誤解をしているのですが、節税効果は長く続くものではありません。還付金が毎年必ずあるわけでもありません。

 

なぜなら、必要経費の部分が年を経るごとに減っていくからです。物件を購入した1~2年目はさまざまな諸経費がかかるので節税効果はたしかに大きいのですが、3年目以降も同じというわけではないので、注意が必要です。あくまで、節税効果はメインとして考えないほうがいいでしょう。

 

*減価償却費=不動産の購入価格をそのまま経費として計上することはできない。その代わり、経年による価値の目減り分を 減価償却という一定の方法で減価償却費として計上する。計算は次のとおり。「建物価格×償却率=減価償却費」。償却率は 国税庁の「減価償却資産の償却率表」を参照。

 

不動産投資のデメリットを知り、 対策を考えておく

保険、年金、節税と不動産投資にはいくつかメリットがあるのですが、反対にデメリットもあることを忘れてはいけません。不動産投資のデメリットとしては、次のようなことが考えられます。

 

(1)空室リスク

 

(2)天災リスク

 

(3)管理修繕費変動リスク

 

(4)金利上昇リスク

 

(5)倒産リスク

 

それでは、一つひとつ説明していきます。

 

(1)空室リスク

 

空室リスクについては、いうまでもないでしょう。購入した物件に入居者を確保できなければ、家賃収入がありません。最初の入居者が確保できたとしても、その人が出ていったあと、次の入居者が見つからずに空室になってしまう場合があります。家賃収入はそういうリスクがあるので、不動産投資に不安を抱いている人が多いのです。私も札幌の物件は中心部からは外れていたため、一度出てしまうと数カ月単位で入居者が入らないということを経験しました。思った以上に入居者の退去は精神的なストレスなのです。けれども、心配はいりません。

 

入居者がいなくても、不動産会社が家賃を支払ってくれる「家賃保証」というシステムがあるからです。不動産会社が、毎月の家賃から手数料を引いた金額をオーナーに払ってくれます。手数料は不動産会社によって異なりますが、だいたい8~10%です。

 

たとえば、毎月10万円の家賃であればその8%の8000円が手数料として引かれて、残りの9万2000円が家賃として保証されるわけです。したがって、家賃保証があればたとえ空室になったとしても、家賃収入がゼロということはありません。ただし、すべての不動産会社が家賃保証というシステムを取っているわけではないので、不動産会社を選ぶ際には注意しましょう。

 

(2)天災リスク

 

次に、不動産には天災のリスクが伴います。地震や津波や火事といった災害は、突然にやってきます。地震がきても絶対に倒れない、津波がきても絶対に流されない、火事になっても絶対に燃えない、などという保証はだれにもできません。したがって、天災のリスクを少しでも防ぐためには、みずから地震保険や火災保険で備えるしかないのです。

 

ただし、物件選びの際、耐震性の高い物件を選ぶ、燃えにくい構造の物件を選ぶなどの配慮は必要です。

 

 

(3)管理修繕費変動リスク

 

建物は長い間にだんだん老朽化していきます。古く傷んだ建物には入居者が入りません。ですから、オーナーとしては常に修繕とメンテナンスを心がけなければいけません。そのための費用をふだんから用意しておく必要があります。

 

また、建物の管理費も5~10年ごとに上がる場合があります。それを知らずにいると、あとでこんなはずではなかったと後悔することになるので、事前にきちんと調べておきましょう。

 

(4)金利上昇リスク

 

不動産投資をするとき、金融機関から資金の融資を受けることになります。融資には金利が伴います。いまは低金利ですから融資が受けやすくなっていますが、金利は今後ゆるやかに上がっていくと予想されています。変動金利の返済を選択した場合、金利が上がると返済の支払いが増えていくので、そのリスクがあるといえます。

 

変動金利とは、金融機関の融資の金利タイプの一つで、返済の途中で市場の金利の変動に連動して金利が見直されるものを指します。不動産投資は、この変動金利で融資を受ける形になります。これに対して、返済の全期間が一定の金利で変わらないタイプを固定金利といいます。変動金利の金利上昇リスクを避けるには、ローンの返済期間を短くするなど対策が必要です。ただし、金利が上がるときは不動産の価値も上がることが多いので、不動産を売却するタイミングともいえます。その際は、選択肢の一つとして考えてもいいでしょう。

 

(5)倒産リスク

 

不動産投資には、不動産を販売した会社や管理している会社が倒産してしまったらどうするか、というリスクがあります。不動産業界は動きが激しいので、そういうケースが少なくないのです。ただし、心配はいりません。不動産会社が倒産しても、所有している不動産の権利はオーナーが持っているので、不動産を取り上げられることはありません。しかし、新たに管理会社を探す必要があります。管理会社によっては、手数料が変わる可能性があるので要注意です。

 

大見貴秀

 

大見医院院長

 

植田幸

 

資産コンサルタント 宅地建物取引士 AFP(日本FP協会認定)

 

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大見 貴秀,植田 幸

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c40b7ebdab5ea2b4af41434a1d3afe1aa86563c2?page=1

 

2020年

6月

05日

住宅リースバックがにわかに活気づいている訳

新型コロナウイルス感染症の流行が続き、収入減などで生活資金の確保に悩む人が今後、増える懸念が高まっている。そうした状況下で、自宅を売却してそのまま賃貸として住み続ける「リースバック」事業に参入する不動産会社が相次いでいる。

 

5月からケイアイスター不動産(本社・埼玉県本庄市)が、不動産担保ローンのセゾンファンデックス(本社・東京都豊島区)と提携して参入。今月からは、埼玉県エリアを中心に住宅分譲などを展開するポラスグループでも自社施工物件を対象に事業を開始した。

 2013年からリースバック事業を展開する不動産流通フランチャイズチェーン(FC)のハウスドゥは、この分野の草分け的存在だが、2020年6月期第3四半期(1~3月)も反響数6000件弱、契約数176件で過去最高を記録。3年前に参入した中古マンション買い取り再販のインテリックスでも、センチュリー21などの不動産流通FCと連携して買い取り件数を増やしており、保有件数は今年2月末で前期末比約4割増の358件となった。

 ケイアイスター不動産が参入したのは、同じ不動産流通FCのハウスドゥやセンチュリー21がリースバックで集客力を高め、FC加盟店獲得につなげているのに対抗するため。10年後に1000店舗獲得を目指して取り組みを強化していく考えだ。  国土交通省でも、2020年度から住宅局でリースバックの調査研究事業を開始し、それに基づいて不動産会社のほか弁護士や消費者団体を加えたラウンドテーブルを設置。ガイドライン策定など市場環境の整備に乗り出す。はたしてリースバックは、住宅・宅地資産を有効利用する新たな不動産商品として普及・拡大するのか。

■リバースモーゲージは普及進まず  昨年6月、金融庁の審議会報告書案『高齢社会における資産形成・管理』が公表され、いわゆる「2000万円不足問題」がクローズアップされた。総務省が5年ごとに実施する全国消費実態調査(2014年)によると、家計資産に占める住宅・宅地資産の割合は66.6%を占めており、以前から住宅・宅地資産をいかに有効活用するかは課題となっていた。  日本では、1981年から東京・武蔵野市が自宅を担保に生活資金を融資する「リバースモーゲージ」の提供を開始。その後、民間金融機関からもリバースモーゲージを商品化したが、トップシェアの東京スター銀行でも、2005年からの累計利用件数が1万2000件にとどまっており、普及が進んでいない。

「本来、自宅を担保に生活資金を提供するのは金融機関がやるべきことで、不動産会社の仕事ではない。しかし、困っているお客さんがあまりに多いので取り組むことにした」。ハウスドゥの冨永正英常務取締役は、ハウスリースバック事業を始めたきっかけをそう話す。  リースバックの手法は不動産業界では以前から利用されてきた。1991年のバブル経済崩壊後に欧米から不動産証券化の手法が導入され、資金繰りに困った企業が含み益のある本社ビルなどの不動産を投資家に売却して資金を調達、そのまま賃貸ビルとして借りるという方法である。1997年のゼネコン危機では、大成建設が本社を置く東京・西新宿の新宿センタービルの持ち分を売却、現在も賃貸のまま利用している。

 その手法を個人住宅にも適用し、自宅を売却した後も住み続けることが可能な商品として事業化。病気や高齢者施設への入居などで、まとまった資金が必要な高齢者を中心に利用者を増やしてきた。リバースモーゲージのように申し込み時点で55歳以上といった年齢制限はかかっていないが、利用者の7割は高齢者で、残りは2006年の貸金業法の規制強化で資金繰りに困った個人事業主が多いという。 ■入居者がいつ退去するかわからないリスク

 スター・マイカは、賃貸で運用中のマンションを投資家などから買い取り、入居者が退去した後、リノベーション(大規模修繕)して売却するビジネスモデルで、買い取り時の価格競争を回避する戦略を取っている。顧客からの要望で以前からリースバックにも対応しているが、「自宅の場合、いつ入居者が退去するかがわからないのでリスクが大きい。買い取り物件全体の3~4%程度にとどめている」(財務担当役員)と一定の歯止めをかけて運用している。

 一方、インテリックスでは、リースバックを中長期視点で有効な仕入れルートと位置づけて「あんばい(安心売却)」の商品名で事業をスタート。不動産流通フランチャイズチェーン事業でハウスドゥと競合関係にあるセンチュリー21と組んで仕入れを積極的に増やしている。  「リースバックは資金力のない中小業者では事業を拡大するのは難しく、賃貸で運用中に高齢入居者が死亡するなどのリスクがあるので大手は手を出しにくい」(能城浩一執行役員リースバック事業部長)と分析。賃貸で運用した後は、マンションだけでなく戸建ても含めて自社で売却して収益化を目指す。

しかし、入居者がいつまでも退去しなければ物件を売却して収益化することはできない。金融機関がリバースモーゲージを積極的に拡大できない理由も、「長生きリスク」「不動産価格変動リスク」「金利変動リスク」の3大リスクがあるからだ。  インテリックスではリースバック利用者とは2年間の定期借家契約を結ぶが、「何回でも契約更新は可能」なので長生きリスクが生じる可能性はある。これまでは保有件数が300件台、保有総額57億円で運用できているので、市場売却以外の出口戦略は考えていないというが、先行するハウスドゥは出口戦略の多角化を進めている。

 「リースバック利用者には、(期間を限定する)定期借家契約では不安という方も多いので、普通借家契約に切り替えることにした。昨年9月に東京スター銀行とも提携したリバースモーゲージ保証事業などの金融事業も伸ばしていく」  ハウスドゥの安藤正弘社長は今年2月の2020年6月期中間決算説明会でそう表明した。  ハウスドゥでは、2013年からリースバック件数を順調に積み上げてきたが、保有総額が100億円に迫ったタイミングから、不動産ファンドへの物件売却などに取り組んできた。今年3月末の保有物件は330件、保有総額も53億円とピークの半分程度に抑えている。

 その一方で積極的に増やしているのがリバースモーゲージ保証などの金融事業だ。常務取締役の冨永氏が「一般消費者への資金提供は不動産会社の仕事ではない」と言うように、本来なら金融機関のリバースモーゲージが利用できれば問題ないのだが、金融機関にとっては不動産価格変動リスクへの対応が難しい。 ■リバースモーゲージを伸ばすうえでの壁  筆者が1年ほど前に東京スター銀行を取材したときも「リバースモーゲージを伸ばすうえで、最も困っているのが不動産担保評価。住宅金融支援機構の住宅融資保険が利用できるのなら、もっと取り扱いを増やせるのだが……」(ローン推進幹部)との悩みを聞いていた。

ハウスドゥのリバースモーゲージ保証は、不動産会社のノウハウを生かして不動産価格変動リスクを担保する保証を提供する。2017年の大阪信用金庫をはじめ信金を中心とした12金融機関と提携し、トップシェアの東京スター銀行もハウスドゥの保証を利用することにしたわけだ。  ちなみに住宅金融支援機構の住宅融資保険は、1955年に成立した住宅融資保険法に基づいて金融機関が提供する住宅ローンが不測の事態で事故になった場合、担保物件売却後の未回収元金を保険でカバーする制度だ。

 同機構では2009年からリバースモーゲージの仕組みをまねて、高齢者向けに融資期間中は金利だけを返済して最後に元金を一括返済する住宅ローン「リ・バース60」を商品化。2017年からは住宅融資保険制度を適用して自宅を売却して債務が残った場合でも返済が免除されるノンリコース型の提供を始めて、一気に融資件数を増やしている。  この住宅融資保険をリバースモーゲージにも適用できないかどうかを住宅金融支援機構に確認したが、「法律では資金使途が住宅に限定されており、一般的な生活資金を提供するリバースモーゲージなどには適用できない」と回答。資金使途の拡大の可能性についても「もともとの法律の趣旨が、住宅の建設等に必要な資金の融通を円滑にするのが目的であり、資金使途を広げるのは難しいのではないか」との見解だった。

リースバック保証協会が始動  今年1月、一般社団法人リースバック保証協会が設立された。国土交通省が2020年度予算にリースバックの調査研究事業を盛り込むことになり、住宅局住宅政策課からヒアリングを受けたハウスドゥが国への要望を取りまとめる業界団体が必要と判断して準備した。代表理事にはハウスドゥの冨永氏が就任したが、まだ本格的な協会活動は始まっていない。  国交省では現在、調査研究事業の委託先を選定中で、リースバック市場の状況把握もこれから着手する段階だ。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行で、生活資金に困窮した高齢者を中心に、今後はリースバックの利用が拡大することも見込まれる。

これまでにリースバックの利用件数も多くはないので、何らかのトラブルが発生したといった話は聞こえていないが、リースバックの賃貸借契約はほとんどが2~3年の定期借家契約となっている。賃貸契約更新は何度でも可能で、自宅の買い戻しもできるというが、契約更新時に条件見直しなどがどのように行われるのかといった問題もある。  リースバックの買い取り条件も、ハウスドゥでは現時点での市場価格の7割を基準にしているが、これも事業者ごとに確認する必要があるだろう。

 一方、事業者にとっては、今後、急速に高齢化・人口減少が進むなかで、リースバックやリバースモーゲージの需要が拡大すれば、不動産価格変動リスクの増大にどう対応するかが重要な課題になるだろう。65年前に国が住宅ローンの元金回収を保証するために住宅融資保険法を制定したように、個別の事業者だけでカバーするのは難しいのではないか。  ハウスドゥが業界団体名をリースバック保証協会としたのも、業界全体で不動産価格変動リスクを保証する仕組みをつくりたいとの思惑があるのかもしれない。住宅金融支援機構のリ・バース60も、ノンリコース型を投入したとたんに利用件数が増えたように、住宅・宅地資産を有効利用するための政策も必要だろう。

千葉 利宏 :ジャーナリスト

https://news.yahoo.co.jp/articles/9dd2290b9f2e3e90140297197c6327138481fdd1?page=1

2020年

5月

28日

コロナで「マンション価格が大暴落する」は本当か?新築・中古で予測する

こんにちは。マンションブロガーの、のらえもんです。“湾岸の妖精”である私は東京に緊急事態宣言が出されてから、外出が極端に少なくなった日々を過ごしていますが、皆さんどうお過ごしでしょうか?  お仕事も基本的に在宅勤務に切り替わっていますが、先日出社したときには、あまりにも人がいない街にショックを受けました。5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されましたが、一刻も早く、街に人があふれる日常が戻ってくることを、切に願う毎日です。

 

コロナ禍で不動産が大暴落?

 さて、結婚したとか子供ができたとかの理由で、東京でマンション探しをしていた若者にとっては、コロナ禍は大変ショッキングな出来事だと思います。 「緊急事態宣言の後、凍結した家探しはいつ再開すればいいの?」 「いや、今後コロナ自体が終わっても不動産価格がどんどん下落していくことはないのか? もうちょっと待ったほうがいいのでは…?」  そんな不安がつきまとうかと想像します。たしかに、不動産価格が暴落するのが確定しているのなら、家を購入するのは待ったほうが良いかもしれません。そのへん、どうなのでしょうか? 私は巷でうわさされる見方とは違った考え方をしています。

 

新築マンションはなかなか下がらない

 中学校公民の授業で、「価格は需要と供給の交点で決まる」と習ったはずです。そう、需要曲線です。感覚的にぴったりだと思います。  需要が少なくなれば、価格は下落する……コロナで景気が悪くなれば、買う人はいなくなり、需要が消失する。そうなると価格が暴落する。そう多くの人が考えているし、一部週刊誌やネット記事を見てもそう書いてあって不安になりますよね。  しかし、現実の世界では教科書で書かれているような単純な需要曲線のみで価格は動きません。不動産という商品は、閉店までに半額にしてでも売らないといけないスーパーの総菜ではないのです。

 

不動産の価格はどう決まるのか?  売り手が困っていなければ、価格を落としませんし、赤字額で在庫処分……というのは聞こえがいいのですが、そういう商品はもともとの原価が非常に低く設定されています。  しかし、一般的に新築マンションの原価は75~80%前後であり、残り20%から広告宣伝費と販売管理費と利益が出るという世界なのです。  こうなると、売れ行きが悪くなってもなかなか値下げができない、ということがわかります。リーマンショックの時には20%、30%下がったマンションもあったじゃないですかって? あの時は販売主であるデベロッパー自体が存亡の危機にあり、投げ売りしてでも現金化しないと会社が破滅したからです。  今回は金融機能が正常であり、国もコロナ関連死をなるべく防ぐように金融機関に働きかけているので、カネ詰まりによる投げ売りは小さいデベロッパーならともかく、人気の大手になると起きそうにありません。

 

とはいえ、中古マンションは多少下がるかも

 一方で、中古マンションは少し事情が異なります。中古マンションは取引事例法といって、同地域から似たような条件のお部屋の成約事例と比較して価格が決定されるからです。原価という概念はありません。  中古マンションの売主は個人で、多くの方は住宅ローンを抱えていらっしゃいます。そのため、心理的には住宅ローンの残債+諸費用を乗っけた以上の価格が売り出しのスタートラインとなります。取引が極端に多い東京湾岸エリアや武蔵小杉などは、ほぼデータが揃っていて取引相場が決まっています。  売主のみなさんはもちろん相場以上を狙っているのですが、売主の中でも事情を抱えた人たちがいます。相続だったり、離婚だったり、はたまたは事業で抱えた負債だったり。  こういった切羽詰まった事情があると、コロナによる不景気などで少しでも売れ行きが悪くなると、相場よりちょっと下で売ることになります。この取引が事例として掲載されて、次の取引の参考データとなるのです。  こうした売り急ぎデータが増えていきますと、相場が下落し始めます。もちろん、中古マンション取引が少ない地域でしたら、こうした相場固めを経ずに一気に価格が落ちる可能性もありますが、売る人も買う人も多い東京でしたら残念ながら、落ちるとしても徐々に、ということになります。といっても下げ幅は1年間で最大10%程度かと考えております。

 

それでは購入を待つべきなのか?

持ち家というものは、「資産」「耐久消費財」、そして「自分と家族が暮らす場所」という3つの要素が絡み合っています。  コロナで失業があるかも? と思っている方はいま無理して買うことはないでしょうけど、人生あまり先延ばししても、新居での家族との生活、そこでの積み重ねという時間は取り戻せません。  今すぐ買う必要がないなら、とりあえず数か月程度待ってみてお目当てのエリア相場がどう変化するか見たらいいと思います。でも、かなり急いでいるようであれば、さほど待つ必要性は感じません。  5%の下落は心理的に大きいものですが、金利0.6%で住宅ローンを借りると、5%の下落は4年8か月の元本返済に相当します。お金で時間を買うと思ったら、さほど悪くない取引ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  相場の下落だけではなく、自分自身と一緒に暮らす人の希望条件のすり合わせなどをこの際しておくと、動き出すときにスムーズかもしれませんね。家選びのつまづきは、価格だけの問題ではなく、価値観の違いなどによってもひきおこされます。

<TEXT/のらえもん> bizSPA!フレッシュ 編集部

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/14faf40c9408ebb86e613e6eb13afbfa04884f72?page=1

2020年

5月

22日

相続時の10年以内の登記が義務化される!?「所有者不明土地」関連の法改正の行方は?

「所有者不明土地」とは、文字通り「誰が持っているのか分からない土地」のこと。今回は、「所有者不明土地」がこれから引き起こすと予想されている問題と、その解決のために行政が進めている対策について詳しく解説します。(ファイナンシャルプランナー・佐藤益弘)
【※前回の記事はこちら!】>>最近よく耳にする「所有者不明土地」とは?

 

「所有者不明土地」について今後、予想される問題とは

 わが国の人口ピラミッドを見たときの最大の多数派である団塊の世代といわれる方たちが、後期高齢者である75歳を迎えるのが2025年前後です。一般的に後期高齢者になると、痴呆症の発症や要介護になる確率が高くなり、意思表示がしづらい状況に陥りがちです。

 そして、超高齢社会が進展する中、相続も増加することが予想され、2030年前後に多死社会・大量相続時代が訪れるといわれています。
【※関連記事はこちら!】>>「相続」で必要な書類、手続きのスケジュールを解説!

 相続の連鎖によって「所有者不明土地」が、より大量に発生する可能性が高くなりますから、この問題の解決が喫緊の課題になっています。

 一つの「所有者不明土地」を解決するためには、所有者の探索をすることになります。そのためには多大な時間と費用が必要になります。「所有者不明土地」が大量に発生すれば、事態の深刻化が避けられそうにありません。

先行して改正された「土地基本法」が2020年4月1日施行に

 2020年4月、土地の利用や活用に関する指針を示した「土地基本法」が30年ぶりに改正され、「所有者不明土地」問題の解決に向けた事実上のキックオフとなりました。

 土地基本法はバブル経済真っ最中の1989年(平成元年)にできた法律でしたから、土地活用を促進することを前提に、土地所有者の“権利”が中心的に示されていました。

 それが2020年(令和2年)に改正された土地基本法では、「所有者不明土地」問題における、管理不全になっている土地を解消するために、土地所有者の”権利”だけでなく、“責務(責任と義務)”も示されることになりました。

 どういうことかというと、わが国の所有権はとても強い権利で、たとえ隣近所の土地が管理不全になって迷惑を掛けていても、所有者に無断で活用したり、立ち入ったりすることができないことになっています。

 しかし、このような土地をそのまま放置すると、近隣住民が多大な迷惑を被り、ひいてはその地域全体の資産価値を下げてしまうような状態に陥ってしまうかもしれません。

 こうした問題の解決のためには……

・所有者が土地の利用・管理について第一次的な”責務”を負う
・所有者による土地の利用・管理が困難な場合には、近隣住民や地域コミュニティ等が行う利用・管理には公益性があると考えられ、そのために所有権は制限され得る
・国や地方公共団体は、利用・管理の促進策やその法的障害の解消のための施策を講じるべきである

といったことが必要で、今回の改正に盛り込まれています。

 そうすることにより、管理不全の陥っている空き家や空き地に対応していこうとしているわけです。

 

「所有者不明土地」問題の解決に向けたこれまでの国の動き

 これまで「所有者不明土地」問題に対して、さまざまな議論が行われてきました。

 たとえば、2018年(平成30年)に「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」(所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議)が決まり、法務省や国土交通省など関係省庁で「人口減少社会における土地に関する基本制度の在り方」等について検討を進めています。

 そして、同年11月に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の一部が施行されました。

 内容としては、登記名義人として記載されている所有者が死んだ後、長期間にわたって登記されていない土地があった場合、登記官が職権を用いて、亡くなった所有者の法定相続人を探した上で「長い間、相続登記未了であること」などを登記に付記して、法定相続人に登記手続きを直接促すことができるようになりました。

 ただ、「所有者不明土地」問題を解消するためには、まだまだ必要なことが山ほどあります。

 問題解決をより一層進めるため、2019年(平成31年)3月より法務省にて法制審議会-民法・不動産登記法部会が立ち上がり、議論を経て2019年12月3日に「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」として公表されました。パブリックコメントを受けて、2020年夏頃までには最終試案が出され、秋の臨時国会での法案成立を目指すことになっています。

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正法案のポイントは?

「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」 の中身を覗いてみましょう。

 まず、「所有者不明土地」問題の根本的な原因である「相続等による所有者不明土地」の”発生を予防”するための仕組みづくりとして、不動産登記情報の更新を図る、としています。

 具体的には「相続時の登記を義務化すること」を挙げています。

 また、「所有者不明土地」の”発生を抑制”するため、「土地所有権の放棄」や、遺産分割を10年以内に行うなど「期間制限の設定」などが検討されています。

 そして、「所有者不明土地」を”円滑かつ適正に利用”するための仕組みづくりとして、「共有関係にある『所有者不明土地』を利用できるようにする方策」が考えられています。

 具体的には、共有を解消しやすくするための、民法の共有制度の見直しです。この件は2021年度の「住生活基本計画」でも、「老朽化マンション」が主な議題に上がっていることから、改正が求められています。

 また、所有者不明土地の管理を合理化するために、現行法にはない「特定の財産のみを管理する制度」が検討されています。このほか、近隣の土地の所有者が境界の確定や確認などをする際に「所有者不明土地」を利用しやすくするためのルール改正も提言されています。
【関連記事はこちら】>>「権利未登記」「違法建築」「境界未確定」など”不動産の売却”でよくあるトラブルの解決法とは?

 まとめると……

1.相続等による所有者不明土地の発生を予防するため「相続登記の義務化」を進め、不動産登記情報の更新を図る

 

2.相続等による所有者不明土地の発生を抑制するため「土地所有権の放棄」や「遺産分割の期間制限」などを設ける 

3.所有者不明土地の利用について円滑化かつ適正化を図る
・所有者不明土地の共有制度を見直す
・所有者不明土地の財産管理制度を見直す
・所有者不明土地を近隣地の住民が使えるように「相隣関係規定」を見直す 以上の事柄は、執筆時点(2020年4月)では現在進行形の話なので、変更されることも予想されます。

 なぜなら、改正される法律は、民法(物権法、相続法)及び不動産登記法など非常に多岐にわたります。また、改正されると、その後の生活に大きなインパクトを持つことになるからです。

 次回からは、「所有者不明土地」の具体的な4つのケースについて、お伝えします。

佐藤益弘

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200521-01110621-diamondf-bus_all&p=1

2020年

5月

15日

マンション投資に失敗した会社員が損切りどころか追加で2戸買った理由

不動産投資についてさまざまな情報が飛び交っている。専門誌『家主と地主』編集長の永井ゆかり氏は、「不動産投資で成功するかどうかは、情報の集め方にかかっている。失敗する人の多くは、正しく情報収集できずセールスマンの話を鵜呑みにする」という――。

 

 ※本稿は、永井ゆかり『1万人の大家さんの結論!  生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。

■1万人大家さんの「知恵」による12カ条

 私は、これまでに延べ1万人の家主に取材してきた。経営が順調な家主たちは、前の職業でのさまざまな経験を「知恵」に変えて賃貸経営に生かしている。彼らの賃貸経営に取り組む姿勢や具体的な仕事のやり方、賃貸経営の哲学を、家主の具体的な業務の流れに沿って落とし込み、「家主業の極意12カ条」にまとめてみた。

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第1条 情報は 多方面から 集めよう
第2条 バラ色の セールストークに トゲがある
第3条 割安の 不動産には ワケがある
第4条 買う前に 現地訪問 怠るな
第5条 余裕なき 収支計画 回避せよ
第6条 借金の 重み知らずに 借りちゃダメ
第7条 入居者の ニーズ把握し 部屋づくり
第8条 業者は 家主の大事な パートナー
第9条 法律や 税務の知識 身につけよ
第10条 売却は 事業拡大の カギ握る
第11条 家主業 投資ではなく 事業なり
第12条 人生に 幸せもたらす 家主業
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 家主業を始めるにあたり、最初の一歩となる事前準備、物件の選定や購入など、初期の段階で入門者が警戒するべきポイントを説明したい。

■不動産会社主催のセミナーは営業ツール

 新しく何かを始めるとき、まずはそのテーマに関する情報を、さまざまな角度から幅広く集めるだろう。情報の集め方次第で結果が大きく変わってくるのが家主業である。今、「不動産投資」に関しては情報があふれているといっても過言ではない。書店に足を運べば、不動産投資専用の書棚はあるし、インターネットで「不動産投資」と入力し検索すれば、もの凄い数のサイトやブログ、動画、SNSのページが出てくる。投資や資産運用の分野で、不動産投資はかなり大きな存在感を示すようになっている。

 一方で、その情報を一つ一つ見ると、さまざまな投資手法がある。不動産といってもさまざまなタイプがあり、どの不動産をどんな方法で購入したらいいのか、迷ってしまうのではないだろうか。そこでまずは専門家の話を聴こうと考え、収益不動産サイトに掲載されている不動産投資セミナーに参加して情報を集めるビギナーは多い。

 セミナーに参加することは確かに情報収集の一つの手段である。ただし気をつけなくてはいけないのは、そのセミナーの多くは不動産販売業者が主催しているということだ。そのことをきちんと理解して参加するのであれば問題はないが、そうでない場合、販売業者の上手なセールストークに乗せられ、不本意な不動産購入をしてしまうケースもある。

 そういう人は、実際には1つか2つ程度のセミナーに参加しただけで決めてしまうのだ。多少のリスクがあっても、買いたくて仕方のないビギナーは、販売会社に「大丈夫、あなたなら買えますよ」などと言われると舞い上がってしまうからだろう。不動産の世界は金額が高いモノを扱うだけに、玉石混交だ。もちろん良心的な不動産販売会社もある。その良心的な販売会社を見つけ出せないと、不動産を購入できても後から苦労する羽目になる。

■成功した家主は数十冊もの書籍を読んでいる

 だからこそ情報は多方面から集めることが重要だ。まずは不動産投資と名の付く書籍は片端から読もう。うまくいっている家主たちは基本的に数十冊は読んでいる。これまで取材した家主の中には「読んだ本は100冊を超える」という人もいた。収益不動産を購入するときにどんなことをしたらいいのか、どんなことに注意したらいいのかなどは、先輩たちが経験してきたことや専門家によるアドバイスなどで知ることができる。

 ただし、不動産投資本もまた、玉石混交であることは留意しておきたい。特に近年は不動産を購入してまだ5年も経っていないような人が、まるで自分は「成功者」のように本を出版しているケースが目立つ。家主業はたった5年くらいではうまくいったかどうかは正直わからない。むしろ買った当初は儲けやすく、徐々に収入が減り、借り入れの返済が終わったころ、また増えていく傾向にあるのだ。家主歴が10年未満の人が書いた本については、参考程度にとどめておいた方が無難だろう。

 

■家主ネットワークを作るのも有効だ

 情報収集の方法は、販売業者によるセミナーと書籍ばかりではない。近年全国的に増えている「家主の会」に参加してみるのも有効だ。「家主の会」とは、家主が主催する家主のための仲間づくりの会であり、弊社が把握しているだけでも全国に100近くある(本書の「全国の主な家主の会」参照)。

 講師は、弁護士や税理士、建築士など会のメンバーの顧問先の士業の専門家、自身の賃貸経営を語る家主、新しい商品やサービスの紹介及び市場トレンドなど不動産業に関連する業者が話すケースもある。

 最も特徴的なのは、家主自身による講演が多いことだろう。家主自身による成功談や失敗談、自らの経験に基づいた経営姿勢などのリアルな話は大いに刺激になる。勉強会を行う会では、たいてい懇親会も行っている。会に参加し仲間をつくることで、家主同士だからこそ入ってくる情報が得られる。同じ家主として悩みを相談できる人たちもいる。仲間の輪をつくることで、良心的な不動産会社を紹介してくれたり、金融機関を紹介してくれたりもする。こうした家主のネットワークは貴重だ。

 こうして情報収集のルートを増やしていくと、今度はさまざまな投資手法があって迷ってしまう人も多い。迷ったときは、自分が収益不動産を購入する目的を明確にすること、そしてその情報が本当に有効なモノか、怪しいモノかを見極める力が重要になってくる。その2つさえきちんと持っていれば、大きく失敗することはない。

■家主仲間の存在は「情報の鵜吞み」を防止できる

 不動産情報は、基本的に不動産会社から得るケースが多い。新築であれば、新築不動産の販売会社、中古であれば仲介会社か、再販会社だ。家主の仲間がいない人の場合、不動産について教えてくれる人は不動産会社の営業マンしかいないため、つい彼らの話を鵜呑みにしてしまいがちだ。

 「自己資金ゼロでも買えます」「初心者で不動産について知らなくても大丈夫。私たちがサポートします」「ここでしか手に入らない物件情報があります」などなど……。営業マンはこうしたトークで不動産販売の営業をする。この3つのトークだけで、不動産購入の障壁は低く、素人でも簡単に始められるものだと思ってしまう人も少なくない。

 しかし、ここまで本論を読んだ読者の方たちであれば、これらのセールストークに問題があることに気づくだろう。

 

■セールストークを信じ切ってしまった会社員の末路

 ここで、不動産会社の営業マンのセールストークを真正直に信用して大変な目に遭った人の事例を紹介したい。投資用ワンルームマンションを営業マンに言われるがまま買い進めて、結局、損切りで売却したサラリーマンの笹川さん(仮名)だ。

 不動産会社の営業マンに「1つしか持っていないから不安定になるんですよ」と言われ、3戸購入してしまったことを後悔しているという。

 悪夢の始まりは2006年。新築分譲マンション業者から電話営業されたことがきっかけで、1戸購入したことだった。「老後対策として、また節税対策としてもいい商品ですよ」と勧められて契約。営業マンに言われるがままローンを組み、その後の賃貸管理は販売会社の系列の管理会社に任せることにした。購入当初は新築とあって家賃も高く、入居も安定していた。収支も毎月の手残りこそわずかだったが、マイナスになることはなかった。

 ところが、数年経つと周辺に新築ワンルームマンションが多く建ったことから、空室期間が長くなり、家賃の値下げを余儀なくされ、その結果、収支はマイナスになった。これからどうすればよいのかと担当の営業マンに相談した。そこで、冒頭のセリフを言われ、2戸目と3戸目を購入してしまったが、結局やりくりするのは大変だった。

 担当の営業マンに電話すると、すでに退職していた。サラリーマンとしての収入があるので、不動産収支のマイナスを何とか補填することはできたが、退職後の見通しに不安を感じ、結局、売却を決意した。損切りせざるを得なかった笹川さんは、自らの安易な不動産投資に猛省したという。

■「高利回り物件」の8つの理由を押さえよ

 不動産投資家が書いた書籍やブログなどでよく出てくるのが、「高利回り」という言葉だ。

 「利回り」とは、投資額(不動産購入額)に対するリターン(家賃収入)の割合のことで、収益性の目安となる。当然、「高利回り」とは「高収益」ということで、不動産情報にある「高利回り物件」という文字は、収益不動産を購入しようとする人たちの目には魅力的に映る。高利回り物件とは、価格が安い割に高い家賃収入が得られる物件のこと。つまり、いかに割安な物件を探せるかどうかがポイントというわけだ。

 まず、留意しておきたいのは、不動産に限らず、割安なモノには当然割安な理由があること。その理由をしっかり押さえておかないと、買った後に「こんな物件買わなければよかった! 」と後悔することになる。価格が安い理由は、買いたいと思う人があまりいない、つまり人気がないということだ。そこで、まず不動産で人気がない物件の特徴を挙げてみよう。

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1 建物が古い
2 立地が悪い
3 空室だらけで家賃収入が少ない
4 借地権が付いている
5 土地に接道がなく建て替えができない
6 事故物件である
7 特殊な物件である
8 売主に事情がある
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 主に以上の8つの理由がある。ここでは、最も高い利回りを狙える可能性がある物件の1つ、建物が古い物件を購入する際の注意点について、説明しよう。

 

■今年4月に改正された「契約不適合責任」とは

 建物が古い物件は、立地が良い場合でも古いというだけで家賃を低く設定していることが多いため、リフォームにより高付加価値物件に再生しやすい。「高利回り投資で成功した」と標榜している人の多くは、築年数の古い物件を購入し、リフォームにより内装の見た目を良くして家賃を上げて貸している。リフォーム費用を抑えるために、家主自らDIYで壁紙や床材を張り替えたり、塗装したりするケースもある。

 ただし、屋根や躯体に問題がない建物であるかどうかを必ず確認しなくてはいけない。近年は「ホームインスペクション」と呼ばれる建物診断が注目を集めている。アメリカでは、不動産取引時に行うことが義務化されていて、日本でも、2018年4月に、中古住宅の売買時に、不動産業者がホームインスペクションについて買主や売主に対して説明することや、ホームインスペクション業者(住宅検査事業者)を紹介・斡旋(あっせん)できるか告知することが義務化された。

 ホームインスペクションは有料ではあるが、行っていない建物の場合は、自己負担してでも行った方がいい。買う前に問題の有無が明確になり、リスクを回避することができるからだ。

 また、古い建物にはシロアリ被害や雨漏りといったトラブルがあるケースも多いため、「契約不適合責任」についても知っておくべきだ。「契約不適合責任」とは2020年4月に民法が改正される前まで「瑕疵(かし)担保責任」という名称で使われていたもので、売買契約で商品に品質不良や品物違い、数量不足などの不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことだ。

 これまでは例えば、シロアリ被害や雨漏りなど、売買の目的物に、買主が発見することのできない「隠れた瑕疵(欠陥)」があるときに、買主は売主に対し、損害賠償や契約の解除を請求することができた。だが、法改正によって、買主が契約以前からシロアリ被害や雨漏りなどの欠陥があることを知っていた場合でも売主は責任を負う。さらに、追完請求(修補、代替物引渡等)や代金減額請求ができるようにもなった。

 ただし、契約不適合責任は瑕疵担保責任と同様に任意規定のため、売主が宅建業者の場合などを除き、これまで通り売主と買主の合意があれば、契約不適合責任を免責にしたり、契約不適合の範囲を限定しても法的に問題はない。契約の内容については注意が必要だ。

■「高利回り」は収益性の目安に過ぎない

 こうした契約的な部分以外でも、古いアパートや一棟マンションで気をつけなくてはいけないのは、退去が発生したときだ。購入当初は、空いている部屋のリフォーム費用を予算として組み入れて収益性を考えるが、購入後、退去が発生すると、退去した部屋もそのままの状態では貸しにくいことから、リフォームをする必要が出てくる。この退去のタイミングが重なると、予想していなかった出費がかさみ、たちまちリフォーム費用が足りなくなる。

 利回りは、あくまでも不動産の収益性の一つの目安に過ぎない。自己資金をどのくらい準備できるのか、収入だけではなく、支出の金額や内容を試算し、キャッシュフローを十分考慮して買うことが必要だ。



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永井 ゆかり(ながい・ゆかり)
家主と地主』編集長
全国賃貸住宅新聞社 取締役。1975年、東京都生まれ。日本女子大学卒業。98年、「亀岡大郎取材班グループ」に入社。住宅リフォーム業界向け新聞、ベンチャー企業向け雑誌等の記者を経て、賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」編集長、賃貸住宅業界向け新聞「全国賃貸住宅新聞」編集長、2004年、全国賃貸住宅新聞社取締役に就任、現在に至る。新聞、雑誌の編集発行の傍ら、家主や不動産会社向けセミナーでの講演活動を行う。本書が初の著書となる。2児の母。
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『家主と地主』編集長 永井 ゆかり

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200515-00035336-president-bus_all&p=1

2020年

5月

08日

「不動産投資で節税」は危険 営業マンのセールストークが示す節税の真相と本末転倒な結末

収益物件を販売する不動産会社の営業マンのセールストークには、

「老後の年金になると思っていかがですか」
「団信加入で生命保険の代わりになりますよ」

「節税ができますよ」

といったものがあります。

どれもウソではありませんが、その言葉を鵜呑みにして何も検証せずに購入してしまうと、

・ 購入後に大きく物件価格が下がる
・ 思ったように収益が上がらない

などと、後悔することになります。

なかでも、節税目的で不動産投資をするのは、特に危険です。

不動産会社の営業マンが言う節税とは

不動産投資における節税と言えば、

・ 相続税
・ 所得税

・ 住民税

といった節税がありますが、不動産会社の営業マンが言う節税とは「所得税・住民税」の節税です。

ここでは法人ではなく、個人で給与収入がある人を例にあげてお話します。

個人で収益物件を購入し、家賃収入が発生すると、

年間の収入から経費・減価償却を引いた収益=所得
となり、所得を申告することになります。

マイナスの場合は、損失として申告することができます。

不動産賃貸業を個人で行う場合は、その不動産所得と給与所得を合算することができます。

また、損失も同様に給与所得と合算することができます。

これを「損益通算」と言います。

■損失が出た場合
損失が出た場合は、給与所得から損失分がマイナスとなります。

そのため確定申告すれば、年末調整で支払った所得税・住民税が還付され、節税ができるという訳です。

節税してお金が戻ってくるのは嬉しいものです。

特に収入が多く、所得税・住民税の支払いを高額だと思っている人に、この節税というキーワードは効くわけです。

節税は最初の1年だけ

この節税スキーム、実は1年目だけしか効果はありません。

例えば、1800万の新築ワンルームを金利2%・フルローン・35年で物件を購入したとして考えてみましょう。

・ 毎月の返済 … 約6万
・ 家賃収入 … 月7.0万

・ 管理費・修繕積立金 … 月1.2万

・ 賃貸管理費 … 0.3万

購入諸経費として、

・ 登記費用25万
・ 不動産取得税15万

・ 減価償却20万

程度とします。

新築ワンルームの場合は、デベロッパーから直接購入するので仲介手数料などはありませんが、仲介手数料は経費には参入できません。

■初年度と2年目以降の節税効果
初年度の収支は、

年間収入84万 - 経費18万 - ローン返済72万=-6万と購入諸経費他-60万、-66万となります
1年目は給与所得より、不動産賃貸業の損失-66万を引くことができたので、大きな節税効果がありました。

しかし、2年目は同じ条件だと、損失6万と減価償却20万の-26万だけとなります。

初年度は大きな節税効果がありますが、2年目以降は節税効果が減ってしまいます。

 

節税目的の不動産投資が危険な理由

年間数万円の節税のために、不動産投資で損を出すという考え方は実は非常に危険な考え方です。

本来は、不動産投資ではきちんと利益を出し、出た利益に対して節税を行うべきです。

損を出して節税するということは、不動産投資自体に失敗している可能性が高いと言えるのです。

せっかく不動産投資をするのに、節税できても最終的に損をすることになれば本末転倒です。

今回例にあげた新築ワンルームの場合、新築プレミアムで物件価格も賃料も高い状態にあります。

最初は空室率も少なく、賃料も高い状態をキープできると思いますが、築年数が経てば家賃は下がり、周りに新築でもできようものなら空室期間も長くなります。

■年間家賃が毎年1%下落した場合
例えば、年間家賃が毎年1%下落すると考えると、10年後の年間収益は大幅に減ることになります。

1年目は不動産の損失は-6万でしたが、10年後の家賃は6.3万まで下がり、年間の収入は-14.4万。

このときの物件価格は、収益還元法で利回り7.0%で売れるとすると、年間75.6万÷0.07=1080万と10年で720万も下がってしまいます。

30年後には、5万くらいになると考えると利回り8.0%で売れるとしても750万。

最終的に利息を含めて2500万程度返済して、750万の物件を手に入れたということです。

■年間数万円の節税のために「1750万」も損をする
年間数万円の節税を行うために、1750万も損をすることになります。

こういった物件を買ってしまうと資産を増やすどころか、資産を減らすことになってしまいます。

やはり、不動産投資では、節税目的で物件を購入するのではなく、まずは利益の出せる物件を購入することが大事だと言えます。

利益を出した上で節税を

税金を払うということは、不動産投資で利益を上げているということです。

節税目的の不動産投資は、損をして少ない還付金を得ているだけで、資産は目減りしていると考えるべきです。

やはり、不動産投資では利益がきちんと出る物件を購入し、資産を積み上げていくべきであり、その上で経費を計上したり、節税を検討すれば良いと思います。

これから不動産投資を始める方は、節税ではなく、まずは利益を上げて納税することを目標に物件選びをしてください。

それが不動産投資で成功するための近道です。(執筆者:山口 智也 / 宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・米国不動産経営管理士(CPM) )

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200508-00010001-manetatsun-bus_all&p=1

2020年

5月

01日

suumo、マイナビ賃貸…「物件検索サイト5つ」比べてみました

不動産投資の最大の懸念点「空室リスク」。膨大な物件数のなかから選ばれるには、どうすればよいのでしょうか。※本記事は、幻冬舎MC『入居希望者殺到の人気物件に化ける 築古マンション超復活メソッド』より一部を抜粋・編集したものです。

「SNSを使って入居者募集」は最善策といえない

フェイスブックやツイッター、LINEなどを使ってオーナー自ら入居者の募集をするのも、手法としてはありだと思います。ただこれには限界があります。

例えばフェイスブックで下準備として友人をどんどん増やす。これ自体は結構あっさりある程度の数字になると思います。問題はそのあとで、その友人たちの記事を読んだり「いいね!」を押したり…一人ではとても大変です。だからといって無視していては、いざ広告を載せても、普段「いいね!」を押してくれない人の記事なんて、だれも見てくれません。

インスタグラムは、写真が上手なオーナーだと、もしかしたらある程度効果が期待できるかもしれませんが、こちらも極めて限定的です。

オーナー個人がSNSを活用する場合は、「入居希望者が見つかれば儲けもの」くらいの気持ちで始めるのがちょうどいいと思います。

むしろ、管理会社がSNSによる計画的な入居者募集活動を企画して、それ専用の人材を置いて対策を行うのが理想でしょう。そのくらいしっかり体制を組んでやらないと、結果が得られないということです。

いまの子どもたちの世代が大人になるころには、生まれたときからインターネットが劇的に普及している世界だったわけですから、いまよりネットに対してのとらえ方がより生活に根差していると思います。そのころには、もしかしたら「仲介会社なんてなくても、SNSだけで家は探せる」という時代が来るかもしれません。

不動産の話題からはそれますが、物流や食品業界などではすでに軒並み仲介問屋や代理店の類は不要という流れができつつあります。

現状の物件探しにおいては、仲介会社の役割を担えるほどの効果を、ネットには期待できません。

しかし、可能性はありますし、最も大切なことは情報発信の場として活用できるということです。オーナーや借り手は、いろいろな情報を求めてネットサーフィンをしています。どんな会社なのか? 代表はどんな人物なのか?…など、こうした疑問に応えられる土台だけは、企業として作っておかなければなりません。

例えば、オーナーや借り手が会社のことを調べようとホームページを見たときに、それに加えてSNSで代表者の考え方がリアルタイムで見られることが望ましいということです。ビジネスは、最終的には人対人。ネット時代になろうが何も変わっていない。その相手の考え方を知ること、そして知らせることが重要なのです。そう、昔から実は何も変わっていない、シンプルな関係なのです。

 

戦略的な活用が重要…各ポータルサイトの特徴とは?

欠かせないのが、ポータルサイトへの出稿です。有名どころからあまり知られていないサイトまでさまざまですが、ここでいくつかご紹介させていただきます。それぞれに掲載費用の違いなど、特徴があります。

 suumoスーモ

いわずと知れた、物件検索の大手サイトです。運営元は、株式会社リクルート住まいカンパニー。賃貸住宅の募集広告の草わけ的な存在である「住宅情報」を長らく運営し2009年より統合ブランド「suumo」を展開しています。

老舗だけあって、入居募集広告の件数はもちろんのこと、さまざまな検索軸があり狙っている入居者をピンポイントで集めることもできます。例えば、「楽器相談可の賃貸物件特集」「宅配ロッカーがある賃貸物件特集」「家具や家電が付いている賃貸物件特集」など、実に豊富な検索軸から好みの物件を見つけることができます。

このほか、付随する情報サイトも目白押しです。その中には、オーナー向けのページもあり、貸し出す物件の郵便番号など必要な情報を入れると賃料の相場を知ることができます。またエリアごとの不動産会社情報も豊富で、その会社がオーナーにとってどんなサービスを展開しているのか、という点まで把握できます。

肝心の物件掲載費用ですが、老舗価格です。今回紹介するポータルサイトの中では高額です。他社に比べ反響が良く効果が出る可能性は高いのですが、それに合わせて費用も高額。ただ、実績があるので多くの不動産会社が出稿しています。

 LIFULL HOMEʼS(ライフルホームズ)

運営元は株式会社ライフル。suumoより後発のサイトとはいえ、短期間で総掲載物件数がナンバーワン(産経メディックス調査2017・1)になった住宅ポータルサイトです。

suumo同様多彩な検索ができるほか、電話による無料相談も受け付けています。「希望条件が多く検索がうまくいかない」といったユーザーにも、一件一件電話で対応してくれるという、大手サイトの割には、非常に小回りの利くユーザーフレンドリーな対応を取っています。インターネットがそれほど得意ではない方も利用しやすそうです。

このほか、全国の自治体が管理する空き家や空き地を調べられる「空き家バンク」や、全国の自治体ごとの空室率や家賃相場、物件掲載数などが調べられる「見える賃貸経営」など、興味深い情報サイトも充実。投資にも活用できそうなポータルサイトに仕上がっています。

認知度の割には低額ですが、プラス反響課金制度があります。反響が入るたびに契約の規定料金が徴収されます。

 マイナビ賃貸 

運営元は株式会社マイナビ。物件の検索機能の充実ぶりに加え、住まいと暮らしをテーマにしたコラムが充実しています。注目エリアや、人気駅周辺のレポート記事などは、住居エリアを検討している人にとってはとても参考になります。

特集企画には「合格前に物件予約が可能な不動産会社特集」など、若者をターゲットにした内容を大きく打ち出しています。各大学から通いやすい住宅に絞って検索できる機能なども充実。必然的に若い層の反響に強い印象のあるポータルサイトです。

 アットホーム 

全国の不動産会社が持つ情報を加盟する会社で共有できるようにするビジネスモデルを最初に手掛けたのがアットホーム株式会社。いまでは当たり前となっている業者間の仕組みを構築してきた会社だけあって、同社のポータルサイトは業者への対応力が高いです。

不動産業者と宅建業許可を持っている人だけが閲覧できる、不動産流通機構が運営するレインズ(不動産流通標準情報システム)や、宅建協会が運営するハトマークサイトへ、情報をコンバートする機能が付いています。この二つの業界サイトは、ほぼすべての物件を掲載しているので、その手間が省けます。

 キマRoom! 

株式会社セイルボートが運営する、業者間流通と業務効率化を図るために開発された民間の便利サイト。完全会費制で、閲覧も登録も業者しか行えません。レインズにはない検索軸やほかの業者へ物件情報を配信できるサービスなどがあり、ほかの業者へ自分たちが管理する物件をアピールすることができます。

さらに、ここでも紹介してきた民間のネット媒体、suumoやLIFULL HOMEʼS、さらに自社サイトへ物件情報をコンバートして一括入稿することができます。マイソク(募集図面)も登録情報から自動生成されるなど、日常の業務のスリム化にも大きく貢献するツールです。

エンドユーザー向けか業者向けか、コストをかけても急いで入居者を募りたい、コストは抑えたい、はたまた全世代というより主に若者向けに効率よくリーチしたい…など。時期や希望に応じて、戦略的に最適なポータルサイトを使われるのがいいでしょう。オーナーも、各ポータルサイトの特性をなんとなく理解して、管理会社や仲介会社とディスカッションしてみてください。

小山 友宏

株式会社アークマネージメント 代表取締役

小山 友宏

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200430-00026784-gonline-bus_all&p=1

2020年

4月

24日

入居待ち6500人! デンマーク発のコンテナ住宅が熱望される理由

 “ヒュッゲ”と呼ばれる居心地の良い暮らしの時間を大切にする文化が根付き、幸福度の高い国として知られるデンマーク。

 新型コロナウイルスへの対応では、現在42歳のフレデリクセン首相が力強く指揮を執り、休業補償とのセットで、休校・ロックダウン・国境封鎖と素早い措置が行われた結果、4月初旬現在、デンマークの入院患者数はゆるやかに減少傾向にある。

 そんなデンマークの首都コペンハーゲンに、6500人もの学生が入居待ちをしている大人気の賃貸住宅が存在する。通常、輸出、輸入の貨物を運ぶために利用される箱型のコンテナを使った集合住宅だ。このコンテナ住宅の最大の特徴は、家の形状を保ったまま別の土地に引っ越しができること。これにより、物価の高いコペンハーゲンで低価格の賃貸を実現できたという。

 このコンテナ住宅を手掛けるデンマークのスタートアップ「CPH Village」のCEO Frederik Noltenius氏(37歳)に、ビジネスモデルと人気の理由を聞いた。

一時的に未使用な土地を活用した「コミュニティー型ヴィレッジ」

――まずは御社のビジネスモデルを教えてください。

 私たちはコペンハーゲン市内の大学に通う学生に向けて、輸送用コンテナを活用した低価格で賃貸できる集合住宅を提供しています。コペンハーゲンでは、個室を伴う住宅を借りる場合の家賃が月平均で5500クローネ(約8万7000円)かかるのですが、私たちが提供するコンテナ住宅は、4180クローネ(約6万6000円)に抑えられています。

 住民は小型キッチン付きの12平方メートル(約7畳)の個室を持ち、トイレとバスは他の住民と共有しています。個室は決して広くはないものの、住民同士が交流できる広いコミュニティースペースを併設することで、窮屈に感じさせないよう配慮しています。

 また、単純に住宅だけを提供するのではなく、住民同士が心地よく空間を共有できるようにコミュニティー運営のサポートも行っていますね。

 

コンテナに目を付けた背景

――マンションや一軒家を複数人で共有することで家賃を下げる「シェアハウス」とコンセプトは近いと思うのですが、なぜ住宅にコンテナを採用し、移動させる必要があるのでしょうか?

 私たちが移動可能なコンテナに目を付けた背景には、コペンハーゲンの都市化の問題があります。都市に人口が集中しているため住宅コストは上昇し、多くの人は給料の多くを家賃にあてている。また、現代のコンクリートを使った建築方法は、環境保護の観点から見ても持続可能とは言えない。その上、都市に住む人々は、幸せよりも孤独やストレスを感じているという調査結果がある。この問題は今後数十年でますます大きくなるでしょう。

 このような背景がある中で、私たちはコペンハーゲンで手頃な価格の学生用住宅が不足しているという大きな課題を知りました。物価の高いこの地では、手頃な学生用住宅が約2万2000戸も不足している。さらにスウェーデンでは約30万戸、ヨーロッパ全体では約400万戸が足りていない。とはいえ、中心地に近い場所に住宅を建てれば、コスト増はまぬがれない。

 何か良い方法はないかと模索していたところ見つけたのが、5年や10年などの一定期間、使用予定がない土地の存在。コペンハーゲンを中心に点在するこれらの土地は、近い将来に開発が決まっていますが、現状は使用されず空き地になっています。

 地図上の赤い点が該当する土地で、いずれもコペンハーゲンの中心地に近く、利便性が良い人気のエリアです。しかも、未使用の期間は格安で借りられる。だから、建築した住宅を取り壊さずに移動できれば、この場所を有効活用できる。その考えに基づいてたどり着いたのが輸送用コンテナでした。

 中古のコンテナをリサイクルすれば環境保護につながる上に、土地が安いぶん、家賃を抑えられる。コミュニティーを作り孤独を防ぐことで、住民の幸福度も高められる。そして、土地の使用期限がきたらコンテナ住宅を大型トラックに乗せて、跡形を残さず別の土地に移動できる。これが私たちのビジネスモデルのカギであり、持続可能なライフスタイルのアイデアです。

 

プロトタイプを作り、法改正を求める

――家をそのまま動かすとは、ユニークなビジネスアイデアですね。ぜひ起業ストーリーについても聞かせてください。「CPH Village」は、どのように立ち上がったのでしょうか?

 当社は、私と共同経営者のMichael Plesnerの2人で立ち上げました。私たちは共通して政治学のバックグラウンドを持っており、これまで大企業や非営利団体で「持続可能性」をキーワードにさまざまな事業に携わってきました。特に大企業で感じたのは「持続可能性」の観点で見ると、そもそもスタートポイントが間違っているということ。すでにあるプロダクト、ビジネスモデルともに、この先何十年も継続できるとは到底思えませんでした。

 間違ったスタートポイントから始めたものを起動修正するのは難しい。私たちは、そういった企業のサービスやビジネスモデルを持続可能なものに変えたいという同じパッションを持っていたことから、2014年に起業に至りました。現在も経営は2人で行っています。

――斬新なビジネスアイデアを現実にする過程で、苦労したことはありますか?

 誰もやったことがない事業ですから、プロトタイプ製作は時間をかけて慎重に進めました。安全性に考慮するため何度もテストを重ねて、最終的に最長で40年間の連続利用が可能なコンテナ住宅のプロトタイプが完成しました。

 さらに、私たちはにはもう一つやるべきことがありました。前代未聞のビジネスを始めるには、法律を変える必要があったんです。私たちはデンマーク議会に出向き、デンマークの学生用住宅不足の危機を救うソリューションとして、法改正を求めました。結果的に3年の月日を費やしましたが、ビジネス大臣の提案を通じて可決されました。

オープン後に応募が殺到、現在6500人待ち

――政治学のバックグラウンドを生かして、大胆なアプローチを成功させたのですね。その後は、どのように事業をスケールしてきたのでしょうか?

 17年から本格的に住宅建設をスタートさせ、18年に私たちの初のプロジェクトである「CPH VILLAGE」がオープンしました。これは、全部で168戸のコンテナ住宅を持つ村で、海沿いで眺めが良くコペンハーゲンの中心地に30分以内でアクセスできる好立地です。

 起業当初から自社のWebサイトのほか、Instagramを活用してPRを行ってきたところ、「CPH VILLAGE」が建設中の段階からマスコミからの取材依頼もいくつかあり、オープン後には応募が殺到、現在6500人がウェイティングリストに登録しています。

 20年現在は、スウェーデンのマルメという都市にも私たちの村を建設しています。ここは森林に囲まれた立地であることから、住宅はコンテナのサイズ感を維持しつつも材料には木材を利用しています。その土地にマッチしたベストな材料、ベストなデザインを模索しながら、持続可能なライフスタイルを追求しています。

 「CPH VILLAGE」での経験に基づいた改善を加えながら、人生のビジョンを共有し、より豊かに生きられるようなコミュニティーを育てる予定です。

 

住民満足度90%! 若い世代を魅了

――「CPH VILLAGE」が若い学生たちから反響を得ているのは、なぜだと思いますか?

 私たちが住民に提供しているのは、「スペース」「サービス」「コミュニティー」の3つで、これらの相互作用が評価されている理由だと思います。

 コンテナ住宅は、個人で自由に使える面積は限られているもののDIYがしやすい仕様にしているため、住民たちは好みの家具を置き、思い思いの装飾を施して、小さなスペースを有効活用しています。

 家賃が安いからといってサービスの質を落とすことはありません。コンテナ住宅は断熱材、窓、換気システムなど、従来の住宅と変わらない設備を持っています。唯一異なるのは家そのものを移動できることだけ。また、余計なモノを所有せずに済むようにプリンターやDIY用の道具類、掃除機などは運営側で用意し、住民同士でシェアすることで利便性を高めています。

 コミュニティー運営も私たちが注力しているポイントで、住民たちと一緒に計画しながら村の外観デザインを作ったり、交流が生まれるようなイベントを催したりしています。

 住民が自主的に主催するコミュニティーディナーも不定期で開催されており、これは交流促進だけでなく、環境保護の面でも良い取り組みです。168人が個別で食事をするのに比べてエネルギーが削減できるし、フードロスにもつながるかもしれません。

 住民への満足度アンケートでは、10点中9点という好評価を得ていて、「コミュニティーでの出会いや空間が気に入っている」「ロケーションが最高」といったコメントが寄せられています。

 また、同時に住宅の機能性に関しても住民へのヒアリングを通じて、データを蓄積しています。住宅業界では建設と不動産の分野が切り離されていて、消費者のデータを十分に蓄積できていない課題があるからです。何が効率的に機能していて、何が機能していないかを知ることで、よりムダがなく住みやすい住宅に改善したいと思っています。

 

都市で持続可能なライフスタイルを

――これから事業を拡大させていくために、どんな戦略を考えていますか?

 ひとまず22年末までを目標に、スカンジナビア全体に10の村を作り、合計2500戸の学生用住宅を建設する具体的な計画を進めています。これが成功したら、私たちは国際的にビジネスをスケールさせる可能性を持つ企業に成長するでしょう。

 23年以降も引き続き住宅の建設を続け、世界中にデンマークに根付く“ヒュッゲ”(人と人との触れ合いから生まれる、穏やかで居心地の良い雰囲気を指す)を体現するような100万戸の住宅建設を目標としています。

 もし将来、住宅としての需要がなくなった場合でも、柔軟性のある建物であることから、高齢者施設、住宅のリノベーション中に一時的に住める仮住宅、一時的な幼稚園や学校、オフィス、ホテル、カフェやレストラン、イベントスペースなど、さまざまな用途に活用できるはずです。

 従来の住宅や施設に比べて短期間で完成する上に、用途に応じて戸数を増やしたり、減らしたりできる。さらに、一度建てたものを取り壊すことなく別の場所に移動できる。これらのメリットは建設業界・不動産業界にとって大きなインパクトであり、都市での持続可能なライフスタイルを確立する助けになると信じています。

(小林香織)

ITmedia ビジネスオンライン

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200423-00000033-zdn_mkt-int&p=1

2020年

4月

17日

いまさら聞けない不動産投資の基本(3)不動産投資のデメリットとリスク

前回まで、個人が行う不動産投資の歴史、不動産投資のメリットについてお伝えしました。

不動産投資も「投資」である以上、メリットばかりではなくデメリットやリスクもあります。大きな資金を投入することになるため、失敗すると回復が難しく、場合によっては生活に影響するほど大きな損失を抱え込む可能性もあります。

今回は、不動産投資のデメリットとリスクについてお伝えしたいと思います。

不動産投資のデメリット

不動産投資も資産活用、資産運用の手法の1つですが、他の投資とは異なり、「現物投資」すなわち、実在する資産に直接投資するという点で、ほかの投資方法とは異なる特徴があります。

不動産投資には、どんなデメリットとリスクがあるのでしょう。
主なものとしては、

1. 家賃の下落、空室リスク
2. 金利上昇リスク
3. 取得・保有に費用がかかる
4. 建物や設備の老朽化をカバーする費用がかかる
5. 売却時にも費用と時間がかかる
6. 不動産価格が下落する可能性がある
7. 相続時にもめるかもしれない

などがあります。1つずつ見ていきましょう。

1. 家賃の下落、空室リスク

不動産投資を行ううえではしっかりとした事業性の確認・検証を行うことは基本ですが、最も重要なポイントは

・長期間家賃が下がらないこと(賃料の下落リスク)
・安定して入居者がいること(空室リスク)
の2つです。

不動産投資を検討する際、投資用不動産を販売する業者から事業収支計画書を提示されることが多いと思います。私のところにも、業者から提示された事業計画書の妥当性について、セカンドオピニオンを求めてご相談に見える方がいらっしゃいます。

不動産販売業者は、物件を購入してもらうことで仲介手数料という報酬を得ます。多くの業者が何とか売りたいと思うため、事業計画書も楽観的な計画になっていることが少なくありません。

賃料を高めに想定していたり、空室率を低め、場合によってはゼロでシミュレーションしているケースもあります。

現実的に考えて、空室率がゼロということはあり得ません。ワンルームの場合、入居する人が学生であれば、卒業時には退去するでしょうし、社会人でも転勤などの都合で退去することがあるでしょう。

立地などの条件が良い物件は、退去後1~2ヶ月前後で次の入居者が決まることも多いと思います。それでも4年住んだ人が退去し2ヶ月間空室ならば、空室率は2÷48≒4%です。

周辺に競合物件が多かったり、希望家賃が周辺相場に比べ高い物件は、2ヶ月では決まらないこともあります。事業としての安全を考慮するならば、少なくとも5~10%程度の空室率は見込んでおいたほうが良いでしょう。

また、競合物件が増えてくると、賃料を下げないと入居者が決まらないこともあります。立地を含めた物件の特性を把握し、長期にわたって賃料を維持できるかどうかについても、考慮しておく必要があります。

 

2. 金利上昇リスク

物件購入の際、ほとんどの人が利用する融資には、当然金利がかかります。業者が作成する事業計画書では、当初の金利がそのままずっと継続するように設定しているケースがほとんどです。

今は超低金利ですので、これ以上金利が下がる余地はほとんどないといえます。不動産投資の場合、融資の返済期間は長期に設定する場合がほとんどで、変動金利での借入れの場合、返済期間中に金利が上がる可能性は否定できません。

また、投資不動産向けローンは住宅ローンよりも高めの金利が設定されているほか、変動金利で借り入れる場合には、将来の金利上昇の可能性も否定できません。

融資を利用すると自己資金の投入は少ないかもしれませんが、大きな額の借入れですので、金利も小さい金額ではありません。わずかな金利の上昇でも収支に影響します。事業収支を検討する際には、金利上昇の影響も十分に考慮しておく必要があります。

3. 取得・保有に費用がかかる

不動産を取得・保有する際には、さまざまな費用がかかります。取得時には仲介手数料、不動産取得税、ローン手数料、契約書に貼付する印紙代、登記に必要な登録免許税や司法書士報酬などがかかります。

また、保有期間中は入居者がいなくても毎年固定資産税・都市計画税のほか、マンションであれば管理組合に支払う管理費や修繕積立金も必要です。

賃貸借契約や鍵の受け渡し、原状回復の確認などの入退室管理を業者に依頼する場合は、その費用も考慮する必要があります。

4. 建物や設備の老朽化をカバーする費用がかかる

内装や設備は年を経るごとに老朽化します。壁紙などを張り替えは10年に一度は行う想定をしておいたほうが良いでしょう。

また、給湯器やエアコンなどの設備の寿命は、15年から20年程度です。老朽化や故障の際は修理・更新費用も必要です。長期間保有している間にはキッチンやトイレ、ユニットバスなどの更新が必要になることもあります。




現在の借地借家法では、普通に使っていて当然に劣化、老朽化するものは貸主(大家)が修繕する義務を負うため、必要な費用は事業計画の中では見込んでおく必要があります。

敷金を預かるケースも多いと思いますが、返還することが前提です。通常損耗の補修などに敷金は使えません。クリーニングや鍵の交換費用などのほか、借主に負担してほしい費用については、あらかじめ契約時に特約として具体的な金額も含めて提示しておく必要があります。

 

5. 売却時にも費用と時間がかかる

「不動産」という言葉は文字どおり「動かせない資産」という意味がありますが、もう1つ「流動性が低い」という特徴があります。

金融資産と異なり、不動産の場合は売却しようとしても、すぐには現金化できません。また、ローン残高が大きい状態では、その不動産を担保に金融機関から追加で借り入れることも難しいでしょう。

不動産を売却する場合、一般的には不動産業者に売却を依頼し、買主を探し、価格を含めた条件交渉を行い、条件が折り合えば契約を行います。

引渡時には、買主に物件に関わる書類や鍵(自分で持っていなければその旨を記した書類)などを引き渡し、融資を受けている金融機関に返済するとともに、抵当権を抹消するための書類を受領し、所有権移転と抵当権の抹消登記を司法書士に依頼します。

これらの手続きには、少なくとも2~3ヶ月程度は見ておいたほうが良いでしょう。急な出費には対応できないというデメリットがあります。

6. 不動産価格が下落する可能性がある

売却時に不動産価格が上がっていれば、売却益(キャピタルゲイン)が得られることは前回のメリットの項目で説明しましたが、当然下落するリスクもあります。特に人口が減少していく社会は、日本が初めて直面する現実です。

不動産は動かすことができません。物件の選定を行う際にも、その立地の将来性や災害リスクなども十分に考慮しておく必要があります。物件選びのポイントについては次回のコラムで詳しくお伝えしたいと思います。

7. 相続時にもめるかもしれない

30代、40代であれば、自分の身に万が一のことが起きたときの相続のことなど、考えることもないかもしれません。しかし、そのときはいずれやってきます。いつか必ず訪れるそのとき、不動産が遺された人たちの争いの種になる可能性もあります。

まず、不動産を共有で相続するのはさまざまなトラブルの元です。修繕や売却などの際には共有者全員の同意が必要になります。

共有者同士のコミュニケーションが密に取れていればまだしも、もしなかなか連絡が取れない、あるいは意思統一ができないといった場合には、所有者だけでなく入居者にも迷惑が及びかねません。不動産は分割できない資産と考えておくべきです。

また、不動産には同じものはありません。複数の不動産を所有していた不動産オーナーが亡くなり、残された人がそれぞれを相続するとき、相続する人がほしい不動産とほしくない不動産、魅力的な不動産と負担にしかならない不動産などがあった場合、遺産分割方法でもめる可能性があります。

かといって、売却して現金で分ける場合には時間がかかることは先述のとおりです。相続税を節税する目的で不動産投資を行う場合などは、特に相続の方法なども併せて検討し、できれば相続人になる人たちとも相談し、遺言書を残しておくべきでしょう。

 

まとめ

不動産投資は大きな資金を投入して行うため、慎重に検討したうえで取り組む必要があります。投資用不動産を販売する会社は購入してもらうことで報酬を得るだけで、購入後のフォローまでしてくれるところはまれです。

ましてや、想定していた賃料では入居者が集まらないような場合でも責任を取ってくれることはありません。

また、不動産投資を行う人は「一般消費者」ではなく「事業主」になるため、消費者保護法の対象でもありません。投資は自己責任。これは不動産投資にもいえることです。

不動産投資は慎重に検討すればリスクの低い投資法ですが、業者に進められる物件はより慎重に検討する必要があるといえるでしょう。
次回は、物件選びのポイントについてお伝えします。

執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-00010007-ffield-bus_all&p=1

2020年

4月

10日

日本人の92%は「相続税がかからない!?」…FPが教える”コスパの良い相続”

コロナウイルスによる活動自粛ムードのなか、経済活動への影響が心配されており、それは私たちの家計も例外ではない。

お金について、「コスパ(コストパフォーマンス)」の観点からズバリ切り込んでいく『コスパの神様』の著者である、ファイナンシャルプランナーの篠原充彦先生に、先行きが不透明な状況下で誰もが気になっている家庭のお金の悩みについてうかがった。

※本記事は、篠原充彦:著『コスパの神様』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。

相続税がかからなくても揉めるのが相続

親が高齢になるにつれ、気になる相続の問題。相続に関しての相談はここ最近増えています。うちは揉める財産なんかないから関係ないと思っていても、いざ、相続となれば揉めるケースが多いのには理由があるのです。

相続税は、基礎控除額(3000万円+法定相続人1人につき600万円)以上に遺産相続があった場合にかかる税金ですが、日本人100人中、何人ぐらいの人に相続税がかかると思いますか?

答えは8人。

基礎控除が平成27年1月1日から低くなったので、平成27年はぐんと増えてますが、それでも100人中92人は基礎控除の中に収まっているということになります。

こう言うと、「相続でのトラブルをよく耳にするけど、うちはそんな莫大な財産も無いわ」と思っているあなた! その考えアマーイです。

実は、遺産相続でトラブル・揉め事が起こる7割は遺産が5000万円以下の世帯で、揉め事が起こる全体の3分の1が1000万円以下の世帯となっています。ということは、相続税がかからない一般家庭の世帯が一番揉めてるということになります。

相続で揉めるのは、いろんなケースがあるのですが、多いのは、お金で分けることができない場合です。代表的なのは不動産で、よくあるのが自宅です。

例えば、兄弟の2人の場合、父が既に亡くなっていて、母と長男が2人で持ち家に住んでいて、その母が亡くなった場合、相続人は子ども2人の兄弟です。

残された遺産が、現金200万円と家(1000万円相当)だった場合、法定相続分は2分の1ずつの600万円ずつになるのですが、家(不動産)は均等に分けられないですよね。

家を売却すると長男が住むところがなくなるし、かといって長男が自宅を相続する分、次男に残りの相続分を現金で渡す400万円がない。こういう場合のトラブルが多いです。

ただ、兄弟本人同士が揉めるというよりは、他人である兄弟の奥さんなどが口を出して、「あんた、現金200万円だけって少なすぎるやないの! 向こうは現金1000万円分の家を相続してんねんで!」という感じで、「相続」が「争続」に発展することが多いようです。

 

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」は何が違うのか?

こういう時に有効なのが、遺言書です。トラブルが発生するのは、遺言書がなく、相続人同士が協議して決めるしかないからです。遺言書は基本的に遺言内容に従って相続するので、面倒な分割協議をしなくて済みます。

遺言書は大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

自分で書いて作成するのが「自筆証書遺言」で、プロに書いてもらって作成するのが「公正証書遺言」というイメージです。費用的には、「自筆証書遺言」は実質0円。公正証書遺言は、プロに作成してもらうので遺産の額によって違いますが、費用はかかります。

2019年1月に民法改正により自筆証書遺言の財産目録の作成についてはワープロでの記入も可能になり簡素化したとはいえ、遺言書というのは、ただ書いて置いておいたらいいだけということではなく、細かいルールがたくさんあります。

日付、署名、押印はもちろんのこと、複数枚になると契印(二枚以上の書類が連続していることを証明するための印)が必要だったり、遺産分割があいまいな内容でないかどうかなど、この遺言書が有効かどうかを家庭裁判所に判断してもらう必要があるのです。一箇所でも不備があった場合、その遺言書は、無効になります。ただの紙切れになるということです。

そうならないためにも、プロに書いてもらう公正証書遺言をお勧めします。公正証書遺言は公証人に遺言内容を口頭で伝えてそれをもとに公証人が作成します。

公正証書遺言のメリットは、遺言書が紙切れになる心配もなく、保管場所は公正役場で保管できるので、紛失の恐れもなく、家庭裁判所のチェックも必要ないことです。

亡き人の想いが詰まった遺言書、これが無効になった場合、相続人同士の分割協議になりますが、話がまとまらず訴訟に発展し、訴訟費用や弁護士を雇う費用、裁判所が遠方だった場合の交通費、長引いた場合の本業への影響、精神的苦痛などなど考えると、10万円前後の費用がかかっても最も確実な公正証書遺言の方がコスパ的にお得です。

 

相続は「遺産」だけではない。だからきちんと話をしておく

これまでの話は、相続する遺産があった場合の話ですが、相続は何もプラスの財産ばかりではありません。亡くなった方が借金をしていた場合、いわゆる「負の財産」があった場合のことも考えておく必要があります。

亡くなった方が残した借金は相続人が背負わなければいけません。この場合、「相続放棄」という手続きをすることで、借金を相続せずに済みますが、相続開始があったことを知った時から原則3カ月以内に行わなければいけません。

3カ月という期間は非常に短いです。お葬式や遺品整理、そして、故人の財産などを調べてたらあっという間に過ぎてしまい、後で借金があると知っても相続放棄ができないということになりかねません。それをよく知っている取立人は半年後くらいに、借用書と請求書と共にやってきます。

一番大切なことは、今のうちから親子でお金の話をすること。相続が起こってから、亡くなってからでは遅い事があるので、生きている間に家族にと遺産について話をしておく必要があります。

プラスの財産を聞きにくいのであれば、「オトン、銀行や消費者金融などで借金してないか? してるんやったら、今のうちに言っといて」とそれくらいはきっちり家族で把握しておくことが大切です。

お金の話はどうしても子どもからは話しにくいことなので、お父さん、お母さんから遺産について話してあげるというのも1つのマネー対策になります。

もし、遺産について話にくいのなら、こんな葬式をしてほしい、こんな墓にしてほしい、という話をおした後で遺産の話を切り出すと話しやすいと思います。負の財産も相続する、ということを忘れないように!

篠原充彦(篠原FP事務所代表)

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200408-00010000-php_s-bus_all&p=1

2020年

4月

03日

知らないと損する新相続ルール。もはやお金持ちだけの話ではない!

 4月1日から相続税の運用方法が変わる。「争族問題」とも呼ばれる家族間の紛争を回避するため、手続きがより簡素化されるが、知らないと損することも……。今回、そんな新相続法のポイントを解説する。

 

4月1日から改正 知らないと損する新相続ルール

「約40年ぶりに相続法が大改正され、昨年から順次、施行されています。『相続争いなんてお金持ちの話』と考えがちですが、新ルールを知らないと、思わぬところで損をするリスクもあるのです」

 税理士法人タックス・アイズの五十嵐明彦税理士がこう話すのは、’15年の税制改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられ、これまで相続税を納める必要のなかった人も、相続対策に迫られるようになったからだ。

 今回の改正で特に重要なのが4月1日から施行される新制度「配偶者居住権」だという。

「夫(または妻)が亡くなったとき、残された配偶者が生活に行き詰まることのないよう、保護する目的で作られたのが配偶者居住権です。これにより、夫が亡くなった以降も、配偶者が生活の基盤である自宅に、優先的に住めるようになりました」(五十嵐氏)

 改正前は、配偶者が家族間の争いに巻き込まれ、住む家を追い出されるケースが後を絶たなかった。3年前、長年連れ添った夫に急な病で先立たれたA子さん(69歳)が、「針のムシロだった」という過去のつらい体験を振り返る。

「夫が2000万円の自宅と3000万円の預貯金を残してくれたので、一人息子と私が相続することになりました。ただ、息子は夫と折り合いが悪く、長らく音信不通で、夫が亡くなると『遺産をよこせ』と乗り込んできたんです。私は夫との思い出が詰まった自宅を相続するつもりでしたが、そうすると預貯金の相続分は500万円しか残らず暮らしていけません。結局『こんな田舎の家なんて売り払え』と言う息子が自宅を売却してしまい、泣く泣く老人ホームに身を寄せることになりました」

 こうした悲劇を防ぐのが、「配偶者居住権」だ。自宅の相続を「持つ権利」(所有権)と「住む権利」(配偶者居住権)に分けることで、妻(配偶者)が優先的に自宅に住み続けられる。五十嵐氏が続ける。

「夫が亡くなり、相続するのが妻と子という場合、両者の取り分は2分の1ずつ。法改正前は、夫が残した財産が2000万円の自宅と3000万円の預貯金というケースでは、妻が自宅を相続すると預貯金は500万円しかもらえず、生活が行き詰まってしまう。法改正後は、仮に自宅の価値を1000万円の所有権と1000万円の配偶者居住権に分けて、子が所有権を、妻が居住権を相続することで、妻は改正前より1000万円多い1500万円の預貯金を相続することができる」

 

改正相続法で賢く「節税」するには?

 ここで、すでに施行されている改正相続法のポイントにも触れておこう。遺言書の作成がPCでも作成可能となったほか、故人の預貯金が一金融機関につき150万円まで引き出せるようになるなど、多くの新ルールが設けられた。

 1年前に夫が急逝し、思わぬ苦難を強いられたB子さん(68歳)の苦労話は、改正前の制約がいかに理不尽だったかを物語っている。B子さんが当時を振り返る。

「2年前、夫が脳梗塞で急死したのですが、生前、生活費を含めたお金の管理はすべて夫がやっていたので、凍結された夫名義の銀行口座から1円も引き出せなくなってしまったんです……。凍結を解除するには公的書類が必要だけど、役所に行く暇なんて遺族にありませんよ。葬式費用も消費者金融で借金せざるを得ませんでした」

 一方、新ルールにおいて「節税」はどれくらい可能なのか?

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏がそのノウハウを話す。

「夫から妻が相続した自宅を、妻が亡くなったとき子が相続すると、そのたびに相続税がかかるが、配偶者居住権を取得した自宅の場合、子が相続するときに相続税はかかりません。また、相続時の自宅の評価額は、妻の死亡と同時に消滅する配偶者居住権の分が除かれるので、相続税自体も安くなります。ただし、配偶者居住権が付いている自宅は、いわば“こぶ付き”なので売りにくく、価値が落ちる可能性があり注意が必要です」

 不動産の相続には、小規模宅地等の特例を利用するといい。

「特例を利用すれば、自宅等の敷地の評価額を最大80%引き下げられます。5000万円の土地なら評価額が1000万円と節税効果は大きい。ただし、子が相続する場合、親との同居が必要だったり、相続前の3年以内に自らの所有する家に住んでいないことなど、条件がいくつかあります。また、預貯金は、“老々相続”になる前に、早めに生前贈与をしておいたほうがいいでしょうね」(深野氏)

 相続が金持ちだけの話ではなくなった今、新制度をいかに上手に活用すべきかがカギになるだろう。

 

<相続法の主な改正点>

【自筆証書遺言】
’19年1月~ 「手書き」が基本だが、財産目録等をパソコンなどで作成できるように
’20年7月~ 遺言書を自分で管理することに不安を感じている人のために、法務局で保管してもらうことが可能に

【相続人の預貯金】
’19年7月~ これまで遺産分割協議が終わるまで口座は凍結されたが、1行150万円まで引き出しが可能となり、葬儀費用の支払いなどに充てられるように

【義理の親を介護】
’19年7月~ 義理の親の介護を担ってきた非相続人(例えば、すでに亡くなっている「長男の嫁」で代襲相続人である子供もいない非相続人)が、「特別寄与料」という名目で、介護など労務提供したことを証明できればそれに相当する費用を請求することが可能に

【配偶者居住権】
’20年4月~ 配偶者が引き続き自宅(持ち家)に住み続けられるように。なお、婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅を生前に贈与した場合、遺産分割の対象外に

<相続に関する節税のポイント>

①配偶者居住権を取得
⇒自宅が課税対象になるのは父の死亡時のみに
⇒自宅の課税評価額も、配偶者居住権を差し引いた分、安くなる!

②小規模宅地等の特例を利用
⇒自宅等の敷地の評価額を最大80%引き下げられる!

③生前贈与を活用する
⇒住宅資金や子や孫の教育資金は、最大1500万円が非課税枠に
⇒暦年贈与なら、贈与税は年間110万円まで控除される

【税理士法人タックス・アイズ 五十嵐明彦氏】
税理士。公認会計士。社労士。資産税業務など幅広く手掛ける。『親が元気なうちからはじめる 後悔しない相続準備の本』(ディスカヴァー21)ほか、著書多数

【ファイナンシャルリサーチ代表 深野康彦氏】
マネー、商品全般の最新情報に詳しく、資産形成・運用に精通する。近著『10万円ではじめる! 人生100年時代の資産運用』(宝島社)ほか、著書多数

取材・文/斎藤武宏 撮影/山崎 元(本誌) 表組み内イラスト/大久保紫野

ハーバー・ビジネス・オンライン

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200403-00216025-hbolz-soci&p=1

 

2020年

3月

27日

住宅ローンの審査に落ちてしまった…。その理由とは?

多くの人が一生の中で最も高額となる買い物は「自宅」という場合が多いでしょう。高額であるがゆえに、その資金を現金で一括払いする(できる)方は少なく、多くの場合は住宅ローンを利用することになります。

ただし、住宅ローンにはそれぞれの金融機関が実施する「審査」があり、審査に落ちて借りられない場合や希望額を借りることができない場合などがあります。今回は住宅ローンの審査について確認してみたいと思います。

住宅ローンの審査ってどんな流れ?

金融機関での住宅ローンの審査には多くの場合「事前審査」と「本審査」の2段階があります。

住宅ローンの契約は、物件の売買契約が完了しないと締結できません。物件を購入したものの、万が一、住宅ローンを借りることができない場合には、購入資金を調達できなくなります。そのため、住宅ローンの事前審査と物件の購入の申し込みは、通常、同時並行して進められます。

事前審査の申し込みは、不動産会社や住宅会社に依頼することが多く、必要書類の準備や申し込み手続きなどの煩雑な作業をある程度任せることができます。また、自分自身でネット銀行や金融機関に申し込むこともできます。

特に、ネット銀行の場合はパソコンやスマホからいつでもどこでも住宅ローンの申し込みができるなど利便性が高く、審査に要する期間も短縮されるメリットがあります。そして、この事前審査を通過しないと次の「本審査」に進むことができません。

本審査ではより詳細な審査内容となるため、提出しなければならない書類も多くなります。本審査を通ったところでようやく住宅ローンの契約となります。

申し込みから審査結果が出るまでに要する期間は金融機関によって異なりますが、下の図の通り、一般的には事前審査で3~4日程度、本審査で1週間程度かかるといわれています。

不動産会社に購入を希望する物件を押さえておいてもらえる期間は1週間程度の場合が多いため、事前審査の申し込みは速やかに行わないと間に合わなくなるおそれもあります。不動産会社にも審査の流れなどをよく聞いて、余裕のあるスケジュールを立てるようにしましょう。

≪一般的な住宅ローン審査の流れ≫

 

住宅ローンに落ちてしまう理由

住宅ローンの審査の際に、金融機関ではどのようなところを見ているのでしょうか? 審査を申し込む人にとっては最も気になるところでしょう。一般的にいわれる住宅ローンの審査に落ちてしまう理由を見てみたいと思います。

1、申込者の信用度が基準を満たしていない
住宅ローンの申込者の信用度において金融機関が定める基準を満たしていない場合などが該当します。

特に、申込者の就業状況や申込時の年齢などがチェックされます。金融機関は貸したお金を確実に回収できるのかという観点を最優先で考えます。仮に、申込者が転職した直後である場合などは、お金を貸し出すことが難しくなります。

2、他の債務で遅延などがある
マイカーローンやカードローン、クレジットカードの支払いなど他の債務の返済状況による信用情報も審査に影響してきます。延滞の情報などが残っていると信用度が低くなってしまうため、新たに住宅ローンを借りることが困難になります。

3、「返済負担率」を超過している
「返済負担率」とは、申込者の年収に占める借入返済額の割合を示す数値です。例えば、フラット35では、年収400万円未満の場合には30%以下、年収400万円以上では35%以下と返済負担率の上限基準を定めています。

そして、この返済負担率を算定する際には、住宅ローンのみならず、他のローン(マイカーローンなど)も含んだ返済額で計算されます。つまり、住宅ローン単独では上限の基準に満たない場合でも他の借り入れの残高が影響して、住宅ローンの借入額が制限されることがあります。

このような場合には可能な範囲で、住宅ローンの審査の前にマイカーローンなどの他の借り入れを一括で返済しておくことも一つの対処方法となります。

4、健康状態に問題がある
ほとんどの住宅ローンでは団体信用生命保険の加入が必須条件となっています。つまり、団体信用生命保険に加入できる健康状態にないと、住宅ローンを契約することができません。

5、不動産の担保評価
金融機関は住宅ローンの契約の際に、同時にその不動産を担保とする抵当権を設定します。これは、万が一住宅ローンの支払いが滞った場合に、この抵当権を実行して住宅ローンの残債の返済に充てるためのものです。

つまり、購入する不動産にある程度の担保価値がないと住宅ローンの契約に至らないことになります。

 

住宅ローンの事前審査と本審査って何が違う?

事前審査とは、文字通り本審査に進むための事前の仮の審査といったところでしょう。その審査基準は金融機関ごとに異なりますが、多くの金融機関における審査基準は、以下のようなものといわれています。

(1)完済時の年齢、借入時の年齢
(2)健康状態
(3)勤務年数、年収
(4)購入不動産の担保評価
(5)連帯保証
(6)融資可能額(返済負担率)

まず、(1)年齢ですが、完済時年齢の上限はほとんどの金融機関の場合、80歳未満と定められます。それによって返済期間の長短にも影響が出てきます。また、申込時年齢は金融機関によって異なりますが、おおむね「満20歳以上満65歳以下」などとなっています。ちなみにフラット35の場合は70歳未満となります。

次に、(2)健康状態については、前述の通り、ほとんどの住宅ローンは団体信用保険の加入が必須となっています。病気などのために加入できなかったり、生活習慣病のリスクが高い人などは住宅ローンの契約にも影響を及ぼす可能性があります。

(3)勤務年数については、多くの金融機関が勤続年数を最低2~3年以上と定めています。同じく自営業者の場合でも営業年数が2~3年以上と定めている場合が多いです。また、派遣社員や契約社員の場合には借り入れは難しいことが多く、金利や保証料が高めとなる傾向があります。

(4)不動産の担保評価についても、金融機関としては最重要視する項目といえるでしょう。住宅ローンの支払いが万が一滞ってしまった場合には、その物件を担保として支払うことになります。

債権者である金融機関としては、その物件が返済に充てられるだけの担保価値があるのかということが判断基準となります。そのため、物件の担保評価が高いと金融機関が判断をすれば、住宅ローンの審査にも有利に働く可能性があります。

せっかく事前審査を通過しても、本審査で落とされてしまうと住宅ローンの契約はできません。本審査では事前審査よりも詳細な審査を行うため、提出しなければならない書類などが多くなります。必要となる書類などはおおむね以下の通りです。

(1)実印、印鑑証明書
(2)住民票
(3)課税証明書(住民税決定通知書)
(4)源泉徴収票(会社員など)、確定申告書(自営業など)
(5)本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
(6)売買契約書(不動産売買契約書、重要事項説明書)  など

※事前審査の段階では認め印でOKですが、本審査では実印での押印と印鑑証明書が必要となります。

 

住宅ローンの審査に落ちないためにできること

大まかな審査の流れとその審査基準を説明してきましたが、申込者にとって最も重要なのは可能な限り審査に落ちないようにすることです。審査に臨むにあたって事前に知っておくべきポイントを確認してみましょう。

1、頭金をできるだけ準備しておく
手元に預金などの頭金が十分に用意されていれば、年収などの理由から借入希望額に満たない場合などがあっても対応できる可能性があります。

せっかく見つけた希望にかなう自宅を購入する際に臨機応変に対応できるよう頭金に充てることができる現預金などを事前に準備しておくことをお勧めします。もちろん、その後の生活資金や子どもの教育資金などの支出を考慮した上での計画が必要です。

2、ペアローンや親子リレーローンなどを検討する
例えば、夫の年収だけでは希望の自宅の購入に必要な借入額の住宅ローンを組むことが難しい場合などには、さまざまなローンの方法があります。ペアローンとは、親子や夫婦などで住宅ローンを組み、双方が互いに連帯債務者として返済していくなどの仕組みです。

また、親子リレーローンとは、親が高齢、収入が少ない、などの場合に子どもが住宅ローンを引き継ぐことで長期間の借り入れが可能となる仕組みです。その他にも夫の収入に妻の収入を合算する「収入合算」という方法もあります。

3、クレジットカードなどを整理しておく
クレジットカードの支払いを遅延しただけでも信用情報に記録され、住宅ローンの審査にも影響が出ることがあります。本人にとってはちょっとした延滞なので気にもとどめていなかったケースが多いことでしょう。延滞している支払いなどがあれば、できるだけ返済しておきましょう。

Q&A

Q1:フラット35には事前審査がないと聞いたけど本当?
A1:フラット35では申し込みを受けた金融機関が事前審査を行い、住宅金融支援機構が本審査を行います。フラット35の場合は、利用するための「人」や「住宅」の条件が前もって公表されていることが特徴です。住宅の条件には、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合した「適合証明書」が必要であるなどの条件があります。

Q2:審査がゆるい金融機関はある?
A2:住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なるため、ある銀行では審査に落ちても、他の銀行の審査には通ることもあります。つまり、どの金融機関だから審査がゆるいということを明確にすることはできません。

ただし、フラット35の場合は一般の住宅ローンと審査基準が違うとされています。

例えば、フラット35の場合は、雇用形態や勤続年数には制限がなく、勤務状況などの人的審査よりも担保の対象とされる物件審査(建物の技術基準)に重点が置かれている傾向があるといわれています。

このような点を加味すると、どの金融機関で申し込んでもフラット35を選択した場合の方がローンの審査は通りやすい傾向にあるといえます。また、フラット35には公的融資としての側面がありますので、一般の住宅ローンと比較して自営業の人も審査に通りやすい傾向にあるともいわれています。

ただし、昨今ではフラット35の延滞者の増加や審査の甘さを問題視する動きなどもあり、以前のように明確に「フラット35だから審査が甘い」といわれることはなくなっています。

まとめ

住宅ローンの審査に落ちてしまうと、夢のマイホームを取得することが難しくなります。できる限り若いうちから貯蓄や保険などを使って頭金を準備しておくことが重要となるでしょう。

また、住宅ローンの返済期間は極めて長期に及びます。その間には考えもしなかった環境の変化が生じることもあるでしょう。住宅ローンは「借りることができる金額」ではなく、「無理なく返済できる金額」の借り入れを心掛けましょう。

執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャルフィールド編集部

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200326-00010006-ffield-life&p=1

2020年

3月

19日

「中古マンションの購入は消費税がかからない」は本当か?

2019年10月、消費税が10%に増税されました。不動産は大きな買い物ですから、当然消費税も高額です。買主にとって「税金」は非常に関心の強い分野であると思われます。もしかしたら、「中古マンションの購入は消費税がかからない」という話を聞いたことがあるかもしれません。本記事では不動産会社で資産コンサルタントとして活躍する髙木弘美氏に、「中古マンションの購入に消費税がかかるのか」という疑問について解説いただきます。

 

中古マンションの消費税は「取引様態」で異なる

不動産は金額が大きいため、消費税は高額になります。買主にとって税金は非常に大きな関心事のはずです。建物価格4,000万円のマンションであれば実に400万円もの消費税がかかることになります。実は不動産の購入にかかる消費税の有無は、売主が誰であるかによって異なるため注意しましょう。結論からいうと、「売主が課税事業者」の場合は消費税がかかり、「売主が個人」の場合なら消費税はかかりません。

たとえば新築マンションは、一般的に売主が不動産会社(事業主)となるため、10%の消費税がかかります。一方、中古マンション購入の場合は、売主が事業者と個人どちらなのかは分かりません。前者であれば消費税が課税され、後者であれば消費税を支払う必要はありません。このように書くと「個人間で不動産の売買なんてありえるの?」と感じる人もいるのではないでしょうか。

たしかに個人から直接不動産を購入するケースはまれでしょう。しかし不動産会社の紹介(仲介)を受けて中古マンションを購入する場合、その売主が個人であれば消費税は非課税となります。現状不動産会社が仲介する中古物件の大半は、個人が売主なので実質は「中古物件を仲介で購入する場合は消費税非課税」と考えても良いかもしれません。

数百万円の消費税が非課税となれば買主にとっては大きな負担の軽減となります。不動産情報サイトやチラシの物件情報は法律で表示義務があるため物件の取引様態の記載が必要です。その種類は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3パターン。このうち「売主」とあるのはその情報を出している事業者が売主、つまり消費税がかかるケースです。

一方「代理」や「媒介(仲介)」の場合は、売主が事業者と個人のいずれの可能性もあります。このケースでは、不動産会社に直接確認してみるようにしましょう。

ここまで中古不動産の消費税の有無について述べてきましたが、これはあくまでも「建物」に関しての話です。不動産には建物と土地がありますが土地については、そもそも消費税がかかりません。これは売主が誰であるかは無関係で売主が不動産会社などの事業者であっても土地の場合は消費税がかからず購入できます。

また建売住宅などは「土地・建物セット」で販売されるケースが珍しくありません。この場合、販売価格の総額のうち「建物分がいくら」「土地分がいくら」という内訳が契約書に記載されています。この内訳を必ず確認するようにしてください。当然、建物代の割合が大きければ消費税は高くなり割合が小さければ消費税は低くなります。

 

マンション購入時の「手数料」や「諸費用」は課税対象

マンション購入にかかる費用は、マンションそのものの販売価格だけではありません。付帯するさまざまな手続きや書類の提出などにかかる手数料や諸費用が発生します。そしてこれらの諸費用は消費税の課税対象ですので注意しておきましょう。課税対象となる主な費用を以下に3つ紹介します。

●仲介手数料

不動産仲介会社に支払う手数料です。仲介手数料の上限は売買価格が400万円を超える場合「売買金額×3%+6万円+消費税」と法律で定められています。仮に3,000万円のマンションを仲介で購入し上限額の手数料(3,000万円×3%+6万円=96万円)を支払う場合、消費税は96万円×10%と算出され9万6,000円です。

●事務手数料

住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。金額は金融機関によって異なり事務手数料がないというところもあります。事務手数料を設定している金融機関は借入金額の2%程度が相場です。借入金額が3,000万円で手数料は2%(60万円)とすると消費税は6万円にもなります。

●登記費用

不動産登記の際には登録免許税や司法書士報酬が発生します。登録免許税には課税されませんが司法書士報酬は消費税の課税対象です。

■引っ越し費用、家具・家電の購入費用

中古マンションの購入に伴う引っ越し費用や入居時に購入する家具・家電代にも当然ながら消費税がかかります。冷蔵庫やエアコン、洗濯機やベッドなど購入費用に対して10%の消費税負担が必要です。消費税10%増税というのは購入検討者にとって決して無視できないものですが、国は増税分に対して「すまい給付金」や住宅ローン減税などさまざまな支援制度を設けています。

これから中古マンションの購入を考えている人は、消費税についても事前にしっかりと確認した上でこれらの制度を上手に活用しながら無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

髙木 弘美

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200318-00025789-gonline-bus_all&p=1

2020年

3月

13日

2020年開業の新駅を一挙解説!復興のシンボルや「田畑の中」にできる駅も

3月14日のJR各社のダイヤ改正に合わせて、いくつかの新駅が誕生する。これらJRの新駅に加え、今年全国で開業になる、そのほかの鉄道会社の主な新駅についてもチェックしてみよう。(鉄道アナリスト 西上いつき)

● 駅は街の顔となり その街のイメージをつくる

 鉄道依存度が高い日本においては、毎日のように多くの人々が家から駅、駅から目的地へと乗降を繰り返している。駅がその街に及ぼす影響は計り知れず、単なる交通手段としてだけではなく、その街の中心となり価値を生み出すものとなる。

 例えば、経済誌や大手不動産会社では「住みたい駅ランキング」なるものが発表されて毎度話題を呼んでいるが、世間もそれに日和見し、地価もその駅を中心に徐々に上がっていく、なんてこともある。

 今年開業する新駅の存在は、いかにその街に影響を与えるだろうか?今回は14日に控えるJR各社のダイヤ改正に合わせて開業する新駅を含めた、今年に開業予定の主な駅を一挙紹介する。

 

(1) 高輪ゲートウェイ駅(東京都港区・JR山手線 14日開業予定)

 14日のダイヤ改正に合わせてデビューするのが、この「高輪ゲートウェイ」駅だ。1971年に西日暮里駅が開業して以来、山手線ではおよそ50年ぶりの新駅の誕生となる。こんな歴史的瞬間が間もなく訪れようとしているのだから、鉄道ファンのみならず、多くの人々が今か今かとその時を待っているに違いない。

 なお、今回はあくまで「暫定開業」となり、全てが完成する本開業は2024年度ともうしばらく先になりそうだ。

 ご存じの方も多いと思うが、公募の駅名決定について批判が相次いだのも記憶に新しい。「カタカナがダサくて必要ない」「公募1位の“高輪”のみにすべきだ」などの反対意見もあったが、物議をかもしたおかげか、皮肉にも開業前から有名になった駅名ともいえる。この駅名は、もともとJR東日本が進める品川開発エリアを「グローバルゲートウェイ品川」と銘打っていることもあり、その中心地となる新駅にもゲートウェイを冠することになったのだ。

 同駅が立地する港南・芝浦エリアは、多くのマンション・商業地が建設されるなど急成長している。六本木・麻布などの古い街に比べると、港区随一の「発展途上」エリアともいえる。ここにできる新駅の役割には大きく期待したい。

 

● 港区にはもう1つの新駅が 静岡には難読駅が登場!

 (2)虎ノ門ヒルズ駅(東京都港区・東京メトロ日比谷線 6月6日開業予定)

 「高輪ゲートウェイ」と同じ、東京都港区下での新駅開業。その名の通り、超高層ビル群「虎ノ門ヒルズ」と地下道で直結する。駅開業にあわせて、周辺施設の開発も目まぐるしく進んでいる。こちらも高輪ゲートウェイと同じく暫定開業となり、開業後も本開業の2022年まで工事は続く。

 同駅は高輪ゲートウェイと同じ「地名+カタカナ」の形となったが、こちらについてはあまり多くの反対意見は上がっていない。東京メトロは駅名発表時に「より明確でわかりやすく」と掲げたが、なるほど既に街のランドマークとなった名前を直接冠したからこそ、高輪ゲートウェイと違って大きな批判にはつながらなかったともいえる。

 都心ならではの利便性の良さも注目だ。400m先の銀座線・虎ノ門駅とは乗換駅。現行の日比谷線・霞ケ関駅~神谷町駅間に位置しており、霞ケ関駅から約800m、神谷町駅から約500mという立地である。さらには東京オリンピック・パラリンピックにあわせて、虎ノ門ヒルズは5月にプレ運行が開始される、東京臨海部への「東京BRT(バス高速輸送システム)」の発着所となる。新駅を中心とした交通結節点として新たな役割も担っていくことが予想される。

 (3)御厨(みくりや)駅 (静岡県磐田市・JR東海道本線 14日開業予定)

 こちらも同じく14日のダイヤ改正に合わせて開業。住民からの要請により新設となった、いわゆる「請願駅」である。ただし、その請願自体は30年以上前になされたもので、長い時間を経てようやく今年、開業することとなった。新駅周辺にはヤマハ発動機の工場がある。ヤマハスタジアムの最寄り駅ともなり、Jリーグ・ジュビロ磐田の試合時には混雑も予想されている。

 また、ヤマハ発動機はネーミングライツによって名付けられた同駅北口広場「ヤマハ発動機Revs(レヴス)サークル」に、高さ12mにもなる「音叉」のモニュメントを設置。こちらも街の新しいランドマークとなりそうだ。

 この新しい駅に、「御厨」という難読名をつけたのはなぜだろうか。「わかりやすさ」とは真逆ではあるが、これは元からある地名に由来しており、地元では親しみある名前なのだという。また難読とはいえど、他県にもいくつか同じ地名がある。実は長崎県の松浦鉄道にも「御厨駅」という同名の駅が存在する。駅周辺の開発も多く予定されており、地元にとっても新たな拠点へと成長していく期待の大きい駅だろう。

 

● 三陸鉄道にも新駅 南伊予駅は田畑の真ん中に登場

 (4)新田老駅(岩手県宮古市・三陸鉄道リアス線 5月18日開業予定)

 2011年の東日本大震災にて甚大な被害を受けた三陸鉄道。2014年に一度は全線復旧を果たしたが、昨年の台風19号の影響により、再び被災してしまった。不通区間においてはバス代行輸送が行われていたが、今月20日に復旧工事が完了し、全線開通となる見込みだ。そんな三陸鉄道に5月18日に開業予定なのが新田老駅である。

 同駅近隣は災害公営住宅や道の駅などが作られており、エリア中心部に位置する。また、三陸鉄道の駅には愛称が付けられており、新駅・新田老駅についても公募で「真崎の紺青(こんじょう)」という瀟洒(しょうしゃ)なネーミングが選ばれた。東日本大震災から丸9年が過ぎ、同市における復興後の地域創生の拠点となることが期待される。

 (5)南伊予駅(愛媛県伊予市・JR予讃線 14日開業予定)

 JR四国発足後、5つ目の新駅となる南伊予駅。こちらも14日のダイヤ改正に合わせて開業する予定である。この新駅の開業は、県庁所在地駅としては構造上なにかと不便が多い松山駅が、2023年の高架化完了を目指し行われている工事に伴うものだ。現行の松山駅から移転して新車両基地が建設されるが、伊予市の要望もあり、南伊予駅についてもこれに隣接した形で設置されることとなった。

 貨物の車両基地としてはかなり大規模なものであるが、隣接する南伊予駅については特に特急も停車せず、周りも田畑だらけであるので、旅客駅としてどのくらいの効果があるのかは不明であるが、周辺地域がどう変わっていくのか、開業後に注目するところではある。

● 華々しい新駅開業の裏で 多くの廃駅も決まっている

 このように新駅開業が予定されている一方、2020年中に姿を消す駅も多い。長らく経営が苦しい状況のJR北海道では、ダイヤ改正を機に南弟子屈駅と古瀬駅の2駅、さらに5月には札沼線・北海道医療大学駅~新十津川駅間の廃止とともに、この区間の駅も廃止される。代行バスは運行されるものの、鉄道駅としての役割を失うことは沿線地域にとって大きな影響を与える。

 さらには、東日本大震災の被災規模が大きかったJR東日本の気仙沼線・大船渡線の一部区間についても、この4月1日に正式に鉄道事業を廃止することとなった。震災後は鉄道からBRTとして、専用道路でバスを運行する形に切り替わっていたが、ついに鉄道の復旧はかなわなかった。ダイヤ改正時に両線には「BRT」の駅が新設されるが、姿を変えてもぜひ、街の顔としての役割を果たしてほしい。

 少子高齢化・人口減少時代と言われて久しいが、2020年代となり、地方部においてはいよいよその影響が生々しい形で押し寄せてきている。冒頭で述べた通り、駅は「街の顔」としての役割も大きく、さびれていく姿を見るのは物悲しいものだ。

 しかし一方で、経済産業省および国土交通省が推進するMaaSの取り組みが各社で活発化し、パークアンドライドや公共施設、保育所など、さまざまな施設を併せ持つ駅が登場してくるだろう。駅が鉄道駅という単一の「手段」から、さまざまな機能を持つ「目的」としての存在となり、地域の拠点として、新たな価値を持つことも考えられるだろう。

西上いつき

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200313-00231590-diamond-bus_all&p=1

2020年

3月

06日

巨額の中国マネー、カナダに流入 豪邸が爆買いされ、地元住民が取り残された

「中国マネー」が世界を駆けめぐり、局地的な不動産バブルを生んだ。一気に押し寄せ、急に引いていく巨大マネーの波に、地元住民は翻弄されている。その様をカナダ、オーストラリアで見た。
カナダ西部の都市バンクーバー。中心部から橋を渡った北側にあるウェストバンクーバーは、高級住宅地として知られる。
地元不動産業者のクラランス・ディベル(63)が、海を見下ろす高台をベンツでのぼりながら、案内してくれた。

 

「家売って」中国人団体の戸別訪問

「この家は2回、中国人に売った。あそこはイラン人の家だったが、中国人に売った。その向こうの家もそうだ」

売り出し中の邸宅を2軒見せてもらった。大理石を敷き詰めた玄関、巨大なワインセラー、シアタールーム、海を一望する南向きのベッドルームとバスルーム。

「世界一の眺望だ」

3階建て約1100平方メートルで、2400万~2700万カナダドル(約20億~23億円)だという。

ディベルは2008年のリーマン・ショックで大損した銀行を辞め、不動産業を始めた。知り合いの中国人に翻訳してもらった広告をネットに流すと、中国本土から問い合わせが相次いだ。「バンクーバーで中国人向けに不動産売買を始めた最初の白人として有名なんだ」

11年ごろからの「熱狂」を、ディベルは忘れられない。

20~30人の中国人の団体がバスで押し寄せ、一軒一軒チャイムを鳴らして「売りませんか?」とたずね歩いていたのだ。20億~30億円の物件をその場で買っていく。ローンではなく一括で支払った。16年ごろまで、高額物件が1週間に3~4軒売れた。「そのころは本当に一日も休みなく働いた」

オーナーが中国人だという建設中の邸宅を見せてもらった。玄関の大理石やリビングの家具、シャンデリアなどは欧州中を探し、イタリアから輸入した。建設費は8億円を超えるという。建設業者のユリ・モーガン(37)は「私たちに注文するような人は、お金のことを気にしない。200万ドル増えてもぜんぜん気にならないようだ」と話す。

中国人の「爆買い」で住宅価格は急上昇、16年までの10年間で2~3倍に跳ね上がった。スイスの金融大手UBSのグローバル不動産バブル指数で、バンクーバーは16年にトップになるなど上位の常連だ。

 

「自国通貨は信用しない、不動産が安心」

1997年の香港返還の前から、自由がなくなると考えた香港の人がバンクーバーに住宅を買い求めるようになった。2010年の冬季五輪で注目が集まり、中国本土からも殺到した。

バンクーバー不動産協会長のアシュリー・スミス(35)は「海と山に囲まれて住むところが限られるが、生活しやすく教育環境が良いことから、富裕層の中国人家族が住むようになった」と説明する。

日本から1994年に移り住んだ不動産業者のフレッド吉村(50)は「中国やイランなど中東の人は、自国通貨を信用していない。財産をパークする(置いておく)目的でバンクーバーの不動産を買っている」。上昇を続ける不動産は「安全資産」で、自国通貨で持っているより心配がないというわけだ。

だが、「中国マネー」による住宅バブルは変調をきたす。

きっかけは州政府が導入した税制だ。2016年、外国人が住宅を買った際に価格の15%(18年から20%)の税金を追加でかけるようにした。さらに、空き家や、父親が中国本土で働くなど所得税を納めていない世帯を対象に、州政府が年間で不動産評価額の2%、バンクーバー市が1%の税金をとるようになった。20億円の住宅を買った場合、購入のときに4億円を余計に支払い、数千万円を毎年納めなければならない。

当局が動いたのは「特に若い世代が住宅を買えない状況」(市の住宅政策を担当するエドナ・チョウ)だったからだ。

いま、中国人投資家に一時の勢いはない。住宅価格は下落に転じた。

それでも、地元住民が「住宅バブル」の蚊帳の外に置かれる状況は変わらない。超高額物件の価格は下がったが、中間層にも手が届きそうな物件は高止まりしたままだ。この10年ほどで5倍に値上がりしている住宅もあり、価格は1億円を超えるものが多い。

中国マネーは地球の反対側にも押し寄せていた。オーストラリアのシドニーでは、12年ごろから中国や香港の投資家が殺到し、住宅価格は年10%以上のペースで上昇した。

あおりをくったのは地元の人だ。住宅産業協会(HIA)ニューサウスウェールズ事務局長のデイビッド・ベアー(59)は「価格が急騰し、地元住民が初めて住宅を買おうと思っても、手が届く値段ではなくなった」と説明する。

不満は実力行使を引き起こした。住宅価格がピークに達した17年、中央銀行や大手金融機関が集まるシドニー中心部の「マーティンプレース」に、多くのテントが立ち並んだ。

代表で「マーティンプレースの市長」と呼ばれたランツ・プリースリー(74)は「9カ月もの間、家を買えない約800人がテントにこもって抗議したのだ。投資家たちは、住宅をカジノでギャンブルをするように扱っていた。ふつうの労働者の収入でシドニーの住宅はとても買える値段ではない」と振り返る。

政府は「バブル退治」に動いた。外国人による不動産取得への税率を引き上げ、銀行への指導を強めて住宅ローンの審査を厳しくした。00年のシドニー五輪から右肩上がりだった住宅価格は値下がりに転じ、17年のピークと比べ7%超の下落となった。

シドニー中心部から電車で40分ほどの街エッピング。駅周辺にはマンションが並び、中国人に人気のエリアだった。昨年末、駅前に建設中の高層マンションのモデルルームを訪れてみたが、客の姿はなかった。一気に押し寄せ、急に引いていく中国マネーに翻弄されたように見えた。

 

このバブル、始まりはどこに

いまの世界のバブルは、2008年のリーマン・ショックから始まった。

危機から脱するため、米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)は、国債などの資産を買って大量のお金をばらまく「量的緩和」を3度にわたっておこなった。基軸通貨の米ドルが市場にあふれ、ドル安が進んだ。

中国はリーマン・ショック直後、景気の悪化を防ぐため、財政支出を4兆元増やした。当時の為替レートで約57兆円もの額だ。しかも人民元はドルと連動させていたので、ドルが増えるのにあわせて人民元を増やした。当然、ドル安に伴って人民元も安くなった。

もし中国が完全変動相場制をとっていれば、ドル安が進んでいたので、日本が急激な円高になったように人民元も高くなったはずだ。しかし、為替管理をしている中国は、通貨量を増やして人民元を安くした。年9%もの成長を遂げていたのにもかかわらず、財政出動と金融緩和を実行していたことになる。

つまり、景気の火が燃えているところに、油を注いでいたようなものだ。そんな状況で、バブルが生まれないはずはない。あふれた中国マネーは国内にとどまらず、世界を駆けめぐる。

そうしたときに人民元を持っていれば、インフレと通貨安で、価値が下がってしまう。お金持ちたちは、高値安定しているバンクーバーやシドニーの不動産などにお金を移した。その結果、世界の局地的なバブルにつながったのだ。

朝日新聞社

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200304-00010000-globeplus-int&p=1

2020年

2月

28日

親離れしない兄に絶句…母の葬儀後、妹が放った「驚愕の提案」

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、二次相続に直面した兄と妹の事例を、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

実家暮らしの長男…いつまでも親離れできず

今回ご紹介するのは、父、母、長男、長女の4人家族です。

父は有名企業で重役を務めあげた人でしたが、良き家庭人とはいえず、いわゆる仕事人間だったといいます。「あまり父との思い出はないんですよ」と二人の子どもが口を揃えていうほど、平日は仕事に、休日はきまって接待ゴルフにと、ほとんど家にいることはなかったそうです。

父が家にいない分、母は子育てに奮闘しました。しかしひとつ母には後悔があるというのです。

「父親がいないから、子どもを甘やかして育ててしまったかもしれません。特に長男は……」

母がそう後悔するのは、長女は30歳を前に結婚し、実家を離れたのに対して、長男は結婚の“け”の字も感じさせず、いつまでも実家を離れないからのようです。いまでは結婚をする/しないは個人の自由ですが、母の世代では結婚して一人前、という感覚が強いのでしょう。

「掃除も、洗濯も、食事の用意も、すべて親がしているの。あの子、私たちがいなくなったら、生きていけるのかしら」

40代の長男とはいえ、子どもはいつまで経っても子どもです。母の心配は尽きません。それから数年後、父が他界しました。長年勤めていた会社を定年退職してからも、再就職をして70歳を超えてもなお現役で働いていた父。「趣味は仕事です、って人だったわね」と父を懐かしむ家族。幼いころは仕事ばかりで家にもろくにいない父を嫌っていた子どもたちでしたが、最後の最後まで仕事にまい進していた姿に、生き様を見たようでした。

また父が残してくれた遺産も、かなりの額になっていました。「お父さん、お金を使うといえば、ゴルフくらいだったからね」と母。遺産は自宅のほか、株式や現金などが8,000万円ほどありました。母と、長男、長女で話し合った結果、長男に3,000万円、長女に1,000万円、母は自宅とその残りという分け方になりました。長男と長女の相続額に違いが生まれたのは、「お母さんの面倒は長男が見るから」という理由からだったといいます。

とはいえ、まだまだ母は元気なので、長男が母の面倒を見ることはありません。仕事で忙しい長男を支える母、という構図はこの後も変わらなかったといいます。

 

母の遺産は実家と貯金…兄妹でどう分ける?

母は80歳近くで他界しました。晩年は足腰が悪くなっていたので、自ら希望して介護施設に入居していたそうです。

「うちの上の子、結婚してなくて1人できちんとやっていけるのか、心配で仕方がないのよ」

と、介護施設でも心配していたのは、長男のことだったといいます。

葬儀のあとのこと。実家にいたのは、長男と長女でした。

長女「いいお葬式だったね」

長男「いろんな人に愛されていたんだな、お母さん」

長女「そうね。で、兄さんはこれからどうするの?」

長男「えっ、別にこれからも変わらず……」

長女「じゃあ、このまま実家に住むってわけね」

長男「まあ、そうだな。俺は一人だし、長男だし」

長女「じゃあ、あの家は、兄さんにあげるわ」

長女はさりげなく母の遺産相続の話を始めていました。長男は「まだ葬儀が終わったばかりなのに……」と、少しげんなりしたといいます。

長女「ほかに、どれくらい遺産があるのかしら?」

長男は、いそいそとタンスから母の貯金通帳を持ってきました。母が残したのは、4,000万円ほど。

長女「ねえ、この家は兄さんのものになるんだから、このお金は私のものよね」

長男「えっ、それはないだろう……」

長女「だって、この家、絶対4,000万円以上するわよ。貯金を全部もらっても足りないくらいよ」

長男「でも家は売るわけじゃないから、お金にならないだろ。俺も少しぐらいは……」

長女「ちょっと兄さん、これまで散々、親に甘えて暮らしてきたんじゃない。さらにもっとお金が欲しいなんて、どこまで厚かましいのよ!」

長男「でも……」

長女「それに、お父さんの相続のときに私よりも多くもらっているじゃない。お金には困っていないはずよ」

長男「困ってはないけど……」

長女「あーイライラする! そんなんだから、死ぬ間際までお母さんに心配されるのよ! 還暦を前にして、情けないったらありゃしない。 早く親離れしなさいよ!」

長男は何もいえず、そのまま黙り込んでしまいました。結局、遺産分割は長女のいうとおりになったそうです。

 

遺言書を作成する際は、遺留分の侵害に注意

父が亡くなった際の一次相続では何もいうことがなかったのに、母が亡くなった際の二次相続では、ずいぶんと強気の態度に出た長女。このように兄弟姉妹の間で相続争いになるのは、二次相続のときに起きやすい傾向にあります。

このような争いを避けるためにも、遺す側は遺言書をつくっておくといいでしょう。そして遺言書を作成する際、気を付けたいのが「遺留分」です。

遺留分はひと言でいうと、「残された家族の生活を保障するために、最低限の金額は相続できる権利」のことで、法定相続分の半分が認められます。

遺留分の計算をするときは遺産の金額の考え方に注意が必要です。この遺産の金額は、相続が発生した時の時価とされています。ここで注意をしなければいけないのが、不動産の時価の考え方です。相続税を計算する際に使う不動産の評価額は、相続税評価額というものを採用します。一方で、遺留分を計算する際に使う不動産の評価額は、実際の売買価格を基準とします。

相続税評価額ベースでは遺留分を侵害してなくても、実際の売買価格ベースにすると遺留分を侵害しているケースもあるので要注意です。

【動画/筆者が「遺留分について」分かりやすく解説】


橘慶太

円満相続税理士法人

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200228-00025728-gonline-bus_all&p=1